八舞→病→中二病
「まさか、お弁当忘れてしまうとは・・・・・」
士道にから朝受け取って、そのまま家に忘れてしまったようです。仕方ありません、今日は購買にしますか。
購買部へ移動し、テキトウに数点見繕って買いました。今日はチョココロネとクロワッサン、タマゴサンドに抹茶オレです。ちょっと、買いすぎましたね。
購買部への帰りに、士道と耶倶矢ちゃん、夕弦ちゃんの3人に会いました。
「あれ?千夜?購買部に行ったのか?弁当は作ったろ?」
「家に忘れてしまいまして・・・・・」
「かかか、千夜はおっちょこちょいだな」
「確かにな」
「失笑。士道が言えたことではありません」
「うぐっ!・・・・・確かにお前らの分を作ってなかったけど」
これから、3人で購買部へ行くみたいです。あれ?でもこのタイミングだとーーーーー
「コロッケパン1つ!あといちごオレも!」
「うわっ!服引っ張んじゃねぇよ!」
「いいカレーパンは俺に食われるカレーパンだけだ!」
「なんとしても確保するのだ!」
「メディック!メディィック!」
「畜生、なんでパンなんかのために!」
ーーーーーやはり、遅かったですか。
怒号が飛び交い、悲鳴が上がり、絶叫が耳をつんさぐ。おびただしい生徒数に対して販売員のおばちゃんがひとりというアンバランスな配置が生み出した苛烈な戦場がそこに展開されていました。
「うわ、やっぱり遅かったか。ちょっと待たないと買えないなこりゃ」
やっぱり、購買部のおばちゃんを増やすべきですよね。そしたら、もっとスムーズに行くのに。
さて、この
「なんでなんだ?昂らせてくれるではないか。牙を抜かれた家畜ばかりかと思うていたが、やはり闘争本能を内に隠しておったか。くく、血湧くの、夕弦」
「興奮。悪くありません。先々月から生活はとても快適でしたが、ぬるま湯に浸かりすぎて少し体がなまっていたところです」
やっぱり、火がついてしまいましたか。
「お、おい、2人とも」
「案ずるな士道。ようはあの最奥の店主に金を払えばよいのだろう?」
「首肯。ならば話は簡単です。夕弦と耶倶矢に不可能ありません。ーーーーー設置。耶倶矢」
「おうとも!」
夕弦ちゃんが片膝をつき手を組み合わせ、耶倶矢ちゃんがそこに足をのせます。
「はぁっ!!」
声と共に耶倶矢ちゃんは宙を舞い、他の生徒を飛び越して購買の前に向かって放物線を描きながら飛んでいきます。
しかしーーーーー
「奥義・
声と同時に耶倶矢ちゃんの左方から勢いよく誰が飛び出し、耶倶矢ちゃんに当て身を食らわせました。
「なっ!?」
「耶倶矢ちゃん、危ないです!」
あのまま落ちたらおしくらまんじゅう状態のところに落ちてしまいます。
「ちょっと、失礼します!!」
「ふっ、決まっーーーーーぐふっ!?」
近くにいた男子生徒の頭を踏み台にし耶倶矢ちゃんを空中でキャッチします。そのまま、おしくらまんじゅうを繰り広げている生徒の1人の肩を蹴って戻ってきます。
イカロスなんちゃらを耶倶矢ちゃんに食らわせた奴、後で締め上げます!ーーーーーって、なにか匂いますね?って、くっさ!!なんですかこの匂いは!?生ごみと下水と動物の死骸と夏場の堀の水をブレンドして熟成させた後、スカンクの放屁を適量浴びせかければこんな感じになるでしょうか・・・・・とにかく、1度離脱します。
そして、購買戦争が収まって数分後ーーーーー
結局耶倶矢ちゃんと夕弦ちゃんが買えたのはパンの耳を2つとジャム1つでした。
その後、さらに問題が発生しました。2人の手元からパンが消えたのです。
いったい、いつの間に?ここまで戻ってくるのに数メートルしかなくて、あった出来事は弱々しそうな女の子とぶつかってーーーーーって、完全にそれじゃないですか!?
パンが消えて困惑する2人に伝えようとした瞬間、廊下に笑い声がひびきました。
「ーーーーーふふ、ふふふふ、ふぁーっはっはっは!!」
「何奴!?」
耶倶矢ちゃんが叫ぶと同時に、前方にバッと人影が躍り出てきそしてそのまま廊下に手をついて華麗な前転を連続し最後に二回転宙返りを決めてその場に降り立ちます。長身の男です。トサカのように刈り込まれた頭に、鋭い目。なぜか制服の袖が肩口で千切ってあって両腕はバンデージで固められていました。ちなみにその腰には、焼きそばパンとフルーツ牛乳が下げられています。
あっ、この人さっき足場にした人ですね。
「甘い。甘すぎる。その程度で購買を利用しようとしていたのか」
「は・・・・・?」
士道がポカンとしていると柱の陰から、白衣の男が現れました。縁の曲がった丸眼鏡に、痩せた体。見るからに科学者のような格好です。ちなみに手にしているのはハムたまサンドとコーヒー牛乳です。
「くきき・・・・・まぁ、歓迎させてもらうよ。ようこそ新兵諸君。我らの戦場へ」
そう言って、バッと白衣を翻します。白衣の内側に、栓をされた幾本もの試験管が吊られているのが見えました。
みんなで怪訝そうな顔をしているとさらに柱の影から女の子が現れました。先程、2人にぶつかった子です。その子は何やらサンククロースのように、大きなピニール袋を背負っています。
「驚嘆。あなたはーーーーー」
夕弦ちゃんも先程ぶつかった相手だと気が付き声をかけます。その少女は先ほどの弱々しい調子が嘘のように嘲笑めいた笑みを浮かべました。
「きゃはは、そんなんじゃいつまで経ってもパンは食べられないわよーん?」
そう言ってビニール袋から、包装の端が切り取られたパンの耳を取り出し、ポン、ポンと弄んでみせてきました。
「あれは!」
「凝視。夕弦たちのパンの耳です」
「おのれ貴様ら、何者だ!」
耶俱矢ちゃんと夕弦ちゃんが視線を鋭くし、三人を睨め付けます。耶俱矢ちゃんが叫ぶと、三人はフッと不敵な笑みを浮かべました。
「ふ・・・・・ならば名乗ってやろうか?」
初めに名乗りを上げたのは足場にした人でした。足場にした人は両腕を広げ片足をあげました。
「体操部で鍛えし強靭な脚力としなやかな身のこなしで、群がる凡百共全ての上を往く!空中の貴公子ーーーーー〈
「なんだよその異名。つか、普通そういう煽りって自分で言うか?」
士道のもっともらしいツッコミをスルーして科学者姿の男が眼鏡を押し上げ身をそらすポーズをとりました。
「科学部の部費を濫用し、特殊調合した芳香剤で戦士たちの食欲を奪う!死へと誘う芳香ーーーーー〈
「・・・・・なんつー迷惑な・・・・・」
なるほど、先程した変な匂いの正体はこの人でしたか。・・・・・後で、生徒会に科学部の予算減らす検討をしてもらいに行きましょうか。
最後にビニール袋を背負った少女があざといポーズを取ります。
「その可愛らしい容姿で相手を油断させ、刹那の早業でパンをスリ盗る!幻惑の魔術師ーーーーー〈
「いや普通に犯罪じゃねか!」
警察に電話いるでしょうか?
「きやはは、見くびらないでよねぇ。ーーーーーポケットをご覧なさい!」
言われた通り耶倶矢ちゃんと夕弦ちゃんがポケットの中を探ります。するとその分だけの小銭が入っていました。警察はいらないようですね・・・・・微妙なラインだと思いますが。
「「「ーーーーー我らこそは、雷禅高校購買四天王!!」」」
この瞬間、私と士道は何故かこの人達、八舞姉妹と波長が合いそうだなぁと思ったのでした。
「四天王・・・・・だと」
耶倶矢ちゃんが驚きの声をあげます。あれ?でも四天王ならあと1人足りないですね。
「四天王って・・・・・3人しかいねえじゃねえか」
士道も同じことを思ったようでそう言葉をこぼしました。
「ふふふ、あのお方は四天王最強めったなことでは姿を現さぬわ!」
「そう、通称〈
「私たちにすら勝てないあなた達が会えるお方じゃないのよー」
ミスって事は女性なのでしょうか?まぁ、その人は気にしてないでしょうね。
「おのれ、ただで帰れると思うなよ。我らをコケにしたその代償、命をもって贖ってもらうぞ。煉獄の檻に囚われ己の罪を悔いるがいい」
「宣戦。数々の非礼、もはや捨てて置けません。あなた方に決闘を申し込みます」
「ふ・・・・・今宵の戦いはもう終結している。無粋なことを言うな」
「くきき、だが、その意気は買おうじゃないか。我らは購買にて最強。我らを前にして、目当てのパンを手にできるものなどいはしない」
「挑戦はいつでも受けるわよぉー?そうねぇ、さしあたっては・・・・・あら、ちょうどいいじゃなーい。次の月曜日、月一の限定パンが発売されるわ。今月はレインボークリームパンね。それを先にゲットした方の勝ちというのはどぉーお?」
何ですか、そのレインボークリームパンって私もその日買いましょう。
「よかろう、購買の借りは購買で返してくれる、貴様らにパンの耳をかじらせてくれるわ」
「宣言。その言葉後悔させてあげます」
2人はビシッと四天王に指を突きつけます。3人は愉快そうに肩を竦めた後、私達の方を見てきました。
「ふ・・・・・威勢のいい弟子たちだな〈
「くきき、
「でぇもぉ、こんな子たちじゃ私達の相手が務まらないわよぉ?」
「「・・・・・は(い)?」」
〈
「お、俺のことか?」
「もしかして、私もですか?」
「何を言っている、当然だろう。〈
「おい待てなんだそれ初耳だぞ」
「私なんて関わってすらいないじゃないですか」
「ふーーーーーとぼけるのであればそれもいいだろう」
「くきき、どちらにせよ、貴様の弟子達はやる気のようだしね」
「きゃはは、どうせ無駄だと思うけどぉ」
3人はそのまま歩いていってしまいました。
「くっそ!コケにしようって目に物見せてくれる!」
「同意。同じことは言わせません。ーーーーーしかし、夕弦たちが敗北したのは事実です。その汚名をすすぐためには、特訓して強くならねばなりません」
「特訓ーーーーー
ーーーーー士道!特訓を頼む!」
ーーーーー士道!特訓をお願いします!」
こうして、3人は特訓することになり、次の月曜日には見事四天王の3人を打ち倒したのでした。
〈
力で相手を吹き飛ばす。
〈
特殊な芳香剤の匂いで相手の戦意を削ぐ。
〈
相手のアイテムを盗む?
〈
予約という手段を使い確実にパンを手に入れる。
〈
主人公スキルで気づかないうちに敵の攻撃をかわす。
〈
たまたま見つけたショートカットルートを駆使して1番に購買部に乗り込む。
或守インストール編について
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