識別名:リーパー   作:兎秤

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 或守インストールをやっていると段々と表情が豊かになっていく鞠亜ちゃんがかわい過ぎる。


少女は人工精霊の寝顔を見た

 料理対決をした次の日。朝、五河家に行きました。琴里ちゃんと十香ちゃんは既に制服に着替えていてリビングにいましたが士道がまだ居ませんでした。

 

「2人とも、おはようございます。士道はまだですか?」

「ええ、今から起こしに行くつもりよ」

 

 あれ?そう言えば或守ちゃんはどこに行ったのでしょうか?

 

 そんな事を考えながらも、3人で士道の部屋に向かいます。扉を開けベッドの方を見て、私たち3人は驚くことになりました。

 

「なんじゃこりゃああああああああっ!?」

「うわぉ!?なんだおい!」

「士道、これは一体どういう了見なの?回答によってはただじゃおかないわよ」

「これは・・・・・なんということだ・・・・・!」

「琴里、十香、千夜・・・・・?これ・・・・・って、なにが?」

 

 士道は現状を理解出来ていないようです。仕方ありませんね。

 

「士道。それでは、隣を見てみましょうか」

「なにが・・・・・えっ?ま、鞠亜・・・・・?何してんだ!?」

 

 そう、士道の隣では鞠亜ちゃんか寝ていーーーーーちょっと、待ってください。今なんて言いました?或守ちゃんではなくて鞠亜ちゃん?一体どういうことですか?

 しかし、そんな事よりも或守ちゃんの寝顔可愛い。写真撮って起きましょう。士道達が何か話していますが私は或守ちゃんの寝顔をこのスマホに納めなければならないのです(使命感)!!

 

「・・・・・ん。・・・・・うぅ・・・・・ふぅ。・・・・・士道、おはようございます」

 

 あっ、起きました。

 

「ああ、おはよう。起きたばっかで悪いけど、聴きたいことがあるんだが・・・・・」

「はい。なんでしょうか?」

「なんでここで寝てんだ?」

「何故・・・・・でしょうか?」

「士道、あなたやっぱり、無意識のうちに或守を連れ込んでーーーーー」

「違うって!・・・・・違うよな?」

 

 いや、そこで不安にならないでくださいよ・・・・・

 そこに、或守ちゃんの助太刀が入ります。

 

「はい。私が士道のベットに自分で入りました。自発的な行動です」

「なんだと・・・・・!シドーと一緒に寝られるとは・・・・・羨ましいのだ!」

「うらやま・・・・・しい。五河士道を愛している貴方たちは、五河士道と床を共にしたいと考えますか?」

「うむ!きっと寝るときも一緒の方が、嬉しいし、温かいのだ!」

「わっ、私は別にそんなこと・・・・・」

「1番一緒に寝ているのは琴里だけどな」

「それは子供の頃の話でしょう!?今はしないわよ、そんなこと。この阿呆兄が変な気を起こしたら困るし!」

「おこさねーよ!」

「・・・・・ふぅん。あっそ」

「私は、士道とは寝たいとは思ってませんね。あっ、でもーーーーーいえ、それより或守、ではなく鞠亜ちゃん?も十香ちゃんみたいに、士道と一緒に寝たいと思ったのですか?」

「・・・・・そうなのでしょうか?愛に関連する行動をシュミレートした・・・・・のではないのでしょうか」

 

 鞠亜ちゃんもよくわかっていない見たいです。まさか、鞠亜ちゃんが士道に恋を!?ーーーーーそんなわけないですか。いえ、でも士道ですし、もしかしたら・・・・・

 

「それで、シドーと一緒に寝てどんな感じだったのだ?嬉しかったか?寝ている時のシドーはどんな感じなのだ?」

「温かかった・・・・・です。・・・・・後は、よく分かりません。でも、不快ではありませんでした」

 

 あれ?これマジなやつですか?

 

「・・・・・あのさ、みんな、そろそろ部屋から出て行ってくれないかな・・・・・着替えたいし、飯もつくらないと・・・・・」

 

 士道の不満?を受けて十香ちゃんは部屋から出ていきました。

 

「私の行動理由は不明でした。もしかすると・・・・・何らかのバグによるものかもしれません」

「バグ・・・・・?バグ・・・・・か」

 

 バグという単語を受けて、士道はなにか思い出しているような態度をとりました。

 

「士道?なにか心当たりがあるのですか?」

「うん?いや・・・・・大丈夫だ」

 

 うん、嘘ですね。まぁ、深くは追求しないでおきましょう。士道の私たちを思っての行動でしょうし。

 

「・・・・・では、私も1階に行っています」

 

 そう言って、鞠亜ちゃんは部屋から出ていきました。今は、私はと士道、琴里ちゃんだけです。

 

「ほら、2人も早く行けって」

「今までの或守からは、考えにくい行動ね・・・・・ねぇ士道、なんだかあの子、段々様子が変わって来ていると思わない?」

「そう、かなぁ・・・・・言われてみれば、そうかもしれないけど」

「私たちの情報を元に成長しているのかもしれませんね」

「なんにせよ、変化があるのは悪くないわ。ここから脱出する手がかりになるかもしれないしね。現状、ここから出るには、或守の要求ーーーーー『愛を教える』に答える必要がある。でも、それが可能なのかも、わからない。ただ、或守が予想通りに人工精霊で、そして、精霊の力でこの電脳空間を支配しているなら、もうひとつ手がある。精霊をデレさせるーーーーーっていう、ね」

「昨日もそんなこと言っていたな・・・・・」

「でも、琴里ちゃん。ここはさっき言った通りゲーム内。士道が仮に鞠亜ちゃんをデレさせてキスをしたとしても封印はできないのではないのですか?」

「かもね。だとしても、デレさせれば、説得も可能になるでしょう」

「成程、それにデレさせれば、鞠亜ちゃんの『愛を教える』も達成出来るのではないですか?」

「確かにそうね。と言うことで、士道。なるべく、或守の言うことには答えてあげなさい。・・・・・でも、今朝みたいなのは許さないからね。健全にいきなさい」

 

 ・・・・・キスをしろと言っている時点で健全じゃないと思うのは私だけですかね?

 

「・・・・・まぁ、できるかはわからないけど、やってみるよ」

「頼んだわよ。ーーーーーじゃ、早く着替えて、朝ごはんお願いね、おにーちゃん」

「りょーかい。まったく・・・・・兄使いの荒い妹だよ・・・・・」

「ついでに、私の分もお願いしますね。にーさん」

「お前は妹じゃねぇだろ・・・・・」

 

 こうして、ゲーム内での三日目がスタートしました。

 

 


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