今日から鞠亜ちゃんは授業を見学者として参加するみたいです。前まではNPCからは居ないものとして認識されないように設定されていましたが、今日から変更したみたいです。
「おい、五河!」
教室に入った瞬間、殿町君が士道に詰め寄って来ました。
「その美少女は一体誰なんだよ!?見るからに私服だし、転校生ってわけではなさそうだが・・・・・」
あっ、そうでした。NPCにも認証できるようなったんでしたね。それにしても、食いつき方が凄いですね・・・・・
「ええと・・・・・学校見学の子ってことになるかな。或守鞠亜だ。ーーーーー鞠亜、殿町、馬鹿だ」
わ〜、説明雑。
「殿町、馬鹿と呼べばいいですか?わかりました」
わ〜、素直。
「俺はそんな名前じゃない!五河!ちゃんと説明してくれ!」
わ〜、正論。
「まぁ、嘘じゃないだろ」
「のぉぉぉぉぉぉぉ!」
わ〜、鬼畜。・・・・・うん、もういいや。殿町馬鹿君はそのまま走りさっていきました。
「おやおや、五河君、その子は?・・・・・まさか!!」
「・・・・・今ならまだ間に合う。親御さんの元に返してやりなさい」
「返しても有罪だけどね。悲しい事件だった・・・・・」
「人を誘拐犯扱いするな。鞠亜、こいつらは亜衣麻衣美衣だよ」
「ユニットみたいに言わないでくれるかな!?」
「しかも若干、昭和の匂いがするわ・・・・・もっと新しい感じにしてよ。AMM48とか」
48人になった!?
「ダメよ!AMMだとクラスのみんなにミサイル迎撃ミサイルだと思われて、ちょっと恥ずかしいわー」
「普通思われないだろ!どんなクラスだよ!?」
「AMM。ミサイル迎撃ミサイルで間違いないはず」
「いた!?・・・・・って、折紙か」
折紙さんはAST所属ですし、そういう発想が出てくるのでしょうか?
「今日、鞠亜は学校を見学してみるんだってさ。よろしくな」
「理解した。かわりに或守鞠亜に要求がしたい」
「はい・・・・・なんですか?」
「せっかくの仮想世界。もっと私と士道が接近するイベントを発生させて欲しい。その方が、貴方の要求にも近道のはず」
「それが有用だと判断した場合、ご協力します」
「期待している。年齢制限なら外してもって構わない」
だから、ダメですって!ここは、Rー15までなんですから!
そして、 鞠亜ちゃんの授業見学が始まりました。四糸乃ちゃん大丈夫かな・・・・・何故か不安になってきました。ーーーーーあっ、また何かがたった音が!
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「先程の英文ですが、誤用があるのではないのでしょうか?」
「え、ふぇ・・・・・?あ、あの・・・・・一応、教本通りで・・・・・」
「鞠亜!」
士道が慌てて両手でバッテンを作ってストップさせます。士道が何かあったら質問したらいいと言ったらまさかそんな高度なことを言ってくるとわ・・・・・私はさっぱり分かりませんけどね(ドヤァ)。
「士道、今の質問に問題がありましたか?」
「あ、えーと、ちょっと内容が高度すぎるというか・・・・・教科書自体の間違いは指摘しないでやってくれ」
「わかりました、改善してみます。すみません、先生。さきほどの質問ですが、使用している教材を変更してはどうでしょうか。現在使用しているものは海外では版がひとつ古くーーーーー」
「鞠亜!」
またもや士道がストップをかけます。四糸乃ちゃん涙目になっちゃってますね。
「こうすれば問題が解決すると考えたのですが・・・・・ダメだったでしょうか?」
「教科書ってそんなに融通が効くもんでもないんだよ・・・・・ほら、四糸乃が若干涙目だろ・・・・・」
「真実を告げてはならないなんて・・・・・授業は難しいですね」
「いや、なんていうかこう・・・・・違うんだ。とりあえず俺が悪かった。少し時間をくれ」
士道が身振りで四糸乃ちゃんに授業を進めるように頼んでいる間に今の問題を少しだけ緩和しておきましょうか。
「鞠亜ちゃん、鞠亜ちゃんや」
「はい・・・・・なんでしょうか?」
「教科書はね、教育委員会がこれを教科書として使っていいですよって許可がおりた物じゃないとダメなんですよ。おりてないのは教材っていいうんですけどね。さっき言っていた版は最近出たばかりなんですよね?だから、まだ教育委員会の許可が出てないんですよ。・・・・・多分」
「・・・・・確かに、まだ教育委員会からの認定を受けていませんでした。成程、先程の質問は解決できました。千夜、ありがとうございます」
「いえいえ」
さて、士道はこの子にどうやって授業を受けさせるのでしょうか?コンピュータ上の存在でネットに繋がっている訳ですから知識はもの凄く膨大ですし、人としての人格形成が出来たばかりのせいか不安定ですからね。
「千夜、知恵をかしてくれ」
「いや、頼るんですか」
「すまん。鞠亜が授業に参加できるようにするにはどうすればいいと思う?」
「そうですね・・・・・」
そうだ、鞠亜ちゃんをもの凄く頭のいいことして捉えましょう。そうすれば、考え方も変わってーーーーーそうだ!
「十香ちゃんの分からないところを教えてあげるようにすればいいんじゃないんですか?」
「うん?それじゃあ、授業に参加しているとは言えないんじゃ?先生みたいだし」
「そんな事ないですよ、生徒どうしの教え合いも立派な授業の一環です。やりませんか?教え学習みたいなこと。ちなみに、これは生徒のコミニケーション能力を上げる役割もあるので先生の怠慢ではないですよ。まぁ、普通やるのは中学生までが多いですが。それに、先生も授業に参加しているみたいなものですし」
「なるほどな、それなら千夜も一緒に教えて貰ったらどうだ?」
「えっ?」
「苦手だろ?英語」
「うっ・・・・・わかりました」
そして、私と十香ちゃんは鞠亜ちゃんに四糸乃ちゃんの授業の細かい所を説明してもらいながら授業を受けました。なんか、前より英語がわかった気がします。
「士道、千夜それに十香・・・・・先程はありがとうございました。お陰で授業のあり方を少し知ることが出来ました」
「それなら、よかったよ」
「うむ、私も或守の説明は助かったのだ」
「また、お願いしたいですね」
「はい。それでは士道、少し気になることかできましたので、しばらく教室を離れます」
「わかった。行ってこい」
「はい、ありがとうございます。それでは・・・・・」
鞠亜ちゃんはそくさくと教室から出ていきました。
「あっ、しまった。もう次の授業の時間になるよな?悪い十香、千夜。俺ちょっと行ってくる」
「私も行きます。探すのは人がいた方がいいですし、次の授業はだいたいもうわかってますので」
「お前本当に英語以外は強いよな・・・・・じゃあ、頼んだ。十香はもし遅れたら先生に伝えといてくれ」
「うむ、分かったのだ!」
私と士道は鞠亜ちゃんを探しに教室を出ました。
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・・・・・いませんね。士道の方では見つかったのでしょうか?でも、電話は来てませんしーーーーーえっ?私服の女の子と青髪の男子生徒が屋上に行くのを見た?ありがとうございます。名前も知らない女の子。
情報をもとに屋上に行くと途中で殿町馬鹿君とすれ違いました。
「殿町馬鹿君。士道と鞠亜ちゃんは屋上にいました?」
「馬鹿は止め・・・・・いや、千夜に罵倒されていると思うとなんかゾクゾクと・・・・・それで、五河は屋上にいたぞ。或守ちゃんは見てないな」
「わかりました。ありがとうございます」
「おう!千夜のお願いならいつでも聞くぜ」
殿町馬ーーーーーいえ、悦ぶので止めましょう。殿町君と別れ屋上に出ると士道と黒髪の少女がいました。
あれは・・・・・鞠亜ちゃん?いえ、見た目こそ似ていますが何か違う存在な気がします。彼女は誰でしょうか?鞠亜ちゃんの姉妹かなにかでしょうか?それとも裏人格?話している士道はかなり剣幕な表情ですが・・・・・
それにしても、あの鞠亜に似た少女・・・・・言いづらい、裏或守ちゃんにしましょう。裏或守ちゃんの見た目は二亜さんの霊装状態に似てますね・・・・・黒髪の少女に修道服。鞠亜ちゃんは白いので気が付きませんでした。それに鞠亜ちゃんは何処かメカメカしいですし・・・・・
入口の影で2人を見ていると急に裏或守ちゃんが輝きだしました。そして、私の意識はその光に飲まれていきました。
なんか、これ前にもあったような・・・・・