3回目の非日常デートです。テーマは【家族】【兄妹】【妹】です。
今までの非日常デート全部ですが、書いていてコレ誰だ?ってなりました。
【士道視点】
俺がホラー映画を見ていると、お風呂から出てきた妹がドライヤーを持って近づいて来た。いつもしている三つ編みはお風呂上がりのため解いており、水滴が
「兄さん、頭を乾かしてください」
「またかよ・・・・・いい加減、自分で乾かしたらどうだ?それに、それ俺のジャージなんだが?」
「いいじゃないですか。別に減るものでもないですしーーーーーはい」
少し余った袖をプラプラさせながら妹はドライヤーを手渡してくる。
「分かったよ、
「は〜い」
千夜を座らせ手慣れた感じに、髪を乾かしていくと、ドライヤーの風に吹かれて白い髪がなびき、いい匂いが香ってくる。
本当に不思議だよな・・・・・同じシャンプーを使っているはずなのに、こんなにも匂いに差が出るなんて。女の子の不思議だ・・・・・
「どうだ?熱くないか?」
「ん〜、大丈夫ですよ」
気持ちよさそうに目を細めて千夜は返事をした。しばらくして、髪を乾かし終えてドライヤーをしまい、テレビの方へ意識を傾ける。
「兄さん、兄さんや。何を見ているのですか?」
「うん?ホラー映画だけど?」
「今のところ内容は?」
「ある日、町中の人達が急にゾンビ化して、学校の屋上に逃げ込んだ3人の女子生徒が、学校を拠点として生活していて。資材確保のためにデパートに行ったら同じ学校の生存者を発見して帰ってきたところ」
「ふ〜ん・・・・・面白い?」
「まぁまぁ。ただ、キャラ達が問題を抱え込みすぎて見てるこっちが鬱になりそう」
そんな、くだらない会話をしながら映画を見続けていると、時計はいつの間にか11:30を指していた。
「俺は眠いから寝るけど、お前はどうする?」
「あと、ちょっとだから見切ってから寝ます」
「分かった、なるべく早く寝ろよ?」
「は〜い」
俺は自分の部屋のベッドに入り瞼を下ろした。
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しばらくして、ガチャっと扉が開く音がした。寝付きかけていた所だったがその音で目を覚ます。体を起こすと、扉のところには千夜が自分の枕を持って立っていた。
「千夜、どうしたんだ?」
「兄さん・・・・・今日、一緒に寝てもいい?」
「どうしたんだ?別にホラー苦手じゃないだろ?」
「だって・・・・・し、が・・・・・」
「なんだって?」
「虫がうじゃうじゃと出て・・・・・」
「あ〜」
千夜の数少ない苦手なものの虫が映画で画面を埋め尽くすほど出たらしい。たまに、ホラー系で出るけど、確かにあれは気持ちが悪いしな・・・・・
「ダメ・・・・・ですか?」
千夜は、涙目になりながら、枕を握りしめこちらを見てくる。断れるわけないだろ。お兄ちゃんなんだから。お兄ちゃんは無条件に妹に甘いものだ。
「いいぞ」
千夜はパァっと顔を明るくして布団の中に潜り込んできた。
「あれ?今日布団干しましたか?」
「あぁ、ふかふかだし、お日様の匂いがするだろ?」
「実際にはダニが死んだ匂いらしいですけどね」
「マジかよ!?・・・・・そういうのは言って欲しくなかったな・・・・・あれ、千夜はダニは大丈夫なのか?」
「見えませんから」
そんな、話をしていると千夜は安心してきたのかウトウトと船を漕ぎ出した。
「千夜、もう眠いか?」
「はい・・・・・もう、落ち、そう・・・・・です・・・・・」
途切れ途切れながら千夜は答え、俺に手を向けてきた。
「兄さん・・・・・手、繋いでくれませんか?」
「あぁ」
千夜の小さな手を繋ぐ。ひんやりとして柔らかい手だった。
「ありがとう・・・・・ござい、ます・・・・・」
そして、すぐにでも寝そうになりながら千夜は最後にこう言った。
「おやすみなさい。兄さん」
「あぁ、おやすみ」
そして、俺の意識も闇の中に落ちていった。