「・・・・・士道、おかえりなさい」
「・・・・・ただいま」
士道が五河家に帰ってきたのを出迎えます。非日常デートの後のせいで少し気まずいですが。次は妹ですか・・・・・朝、鞠亜ちゃんが一緒に寝ていた事でひと悶着あったのに士道と自然な流れで寝てしまいました。ーーーーーまぁ、確かに暖かったし、安心しましたが・・・・・
「千夜はこっちに戻っていたんだな」
「はい。さっきの非日常デートが終わったあと気がついたらここにいました。それで、兄さんーーーーーあっ」
「へ?」
「間違えました。忘れてください」
不覚。朝、からかう為に言ったのと違って今回は本気で言い間違えました。
「まぁ、士道が本当に兄さんでもよかったんですが」
「ん?何か言ったか?」
「いえ、なんでもないです。それよりも、士道。鞠亜ちゃんがまだ帰ってきていないです」
「鞠亜が?」
「はい、知りませんか?」
「そう言えば学校でいなくなって探している途中だったな」
「琴里ちゃんに聞きましたが、もっと学校を見てから帰りたいと言った見たいです」
「じゃあ、迎えに行くか」
「士道、私も行っていいですか?」
裏或守ちゃんのことも気になりますし。
「ああ、助かるよ。人手は多い方が嬉しいしな」
「いえ、私は士道ともう少しいたいので(話したいので)」
「そうか。・・・・・えっ?」
「どうかしましたか?」
「いや、千夜らしくないなって思って?」
「ダメだったでしょうか?」
「い、いや、別にダメじゃないけど・・・・・」
士道の様子がおかしいですね?どうしたんでしょうか?
「それでは、行きましょうか」
私たちは学校へ向かって歩を進めました。学校へ向かう途中、予定通り鞠亜ちゃんの話になりました。
「千夜は、鞠亜は何を考えているんだと思う?」
「と、いいますと?」
「俺はさ、鞠亜の求めているものを、上手く見せることが出来ているのかなって」
「大丈夫だと思いますよ。士道は士道が思う事を一生懸命成せばいいんです。昔の人も成せばなる成さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなりって言ってますし。ただ、取り返しがつかなくなる前に相談ぐらいはしてくださいね?」
「・・・・・ありがとうな。千夜」
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裏或守ちゃんについて話す前に学校に着いてしまいました。そして、鞠亜ちゃん捜索を開始した訳ですがすぐに見つかりました。
「見つかってしまいました」
かくれんぼしていましたっけ?
「どうしたんだ、鞠亜。学校に何か気になるものでもあったのか?」
「・・・・・はい。気になることがありました」
「気になる事?」
「それよりも・・・・・士道が探しに来てくれて、嬉しいです」
鞠亜ちゃんが士道に突然、抱きつきました。あれ?デレ気来ました?
「・・・・・ま、鞠亜!?どうしたんだ、突然・・・・・!?」
「やはり、予想通りの反応です」
「・・・・・よ、予想通り?どういう事だ?」
「こうすれば、士道が探しに来てくれると思いました。ゲームでは、こうすることでドキッとするものなのでしょう?士道のそういう反応が、見たかったのです」
「鞠亜・・・・・」
デレてはないようですが、鞠亜ちゃんはやはり少しづつ変わってきているみたいです。これがいい変化に繋がればいいのですが・・・・・それにしても、この2人私を忘れてイチャイチャしてやがりますね・・・・・
「じー」
「はっ!千夜、違うんだ」
「何が違うんですか?私は何も言ってませんよ?」
「なんか、目が凄い訴えてきているから!?」
「気のせいではないですか?さて、鞠亜ちゃんも見つかりましたし帰って夕飯にしましょう」
私が先導して歩き出すと2人はその後を着いてきます。2人を見ると鞠亜ちゃんが士道の手を取りました。やっぱり、鞠亜ちゃんは変わってきていますね。
それはそうと、私だけ手を繋いでいないというこの状況、もの凄く仲間外れ感がします。私は士道の隣に移動し、鞠亜ちゃんと反対側の士道の手を取りました。
「千夜!?」
「仲間外れはいけませよ?にーさん?」
「それはもういいから!」
仮想世界の夕焼けの中、3人が手を繋いだ影が伸びていました。