ーーーーまだ、まだ分からない。
ーーーーー私には『愛』が分からない。
【士道視点】
「・・・・・ここ、は?」
周囲を見回してみても、同じような景色が続いている。まるで、映画の世界のような、電脳世界そのものだった。
「どうしたの?そんな驚いた顔をして」
「或守・・・・・?おまえ、どうして・・・・・」
目の前にいたのは、黒い或守だった。
「・・・・・っていうか、ここは一体?」
「ーーーーーこのままじゃ、中途半端で終わってしまう。何も実ることはなくて、いつまでも答えは出ない」
「中途半端?どういう意味だ?」
「もっと、先ーーーーーもっと先を見せてあげて」
「もっと、先?どういう意味だよ、おい、或守ーーーーー」
俺の視界は光に飲まれ、気がつくと街に戻っていた。
「・・・・・って、ここは・・・・・カラオケ屋の前、か?元に戻った・・・・・のか?」
でも、さっきの場所は一体ーーーーー。一応、元に戻ってこれたみたいだが・・・・・
「五河士道。あなたに、決めて欲しいことがあります」
「或守・・・・・じゃなくて、鞠亜か?みんなはどうした?決めて欲しい・・・・・ことってなんだ?」
「士道はわたしに愛を教えてくれています」
「あ、ああ。たから、みんなで一緒に・・・・・遊びに行ったり、いろんなシュチュエーションをやったりしているんだよな」
「はい。そうすることで、様々な情報を知ることが出来ました。ですが、わたしはーーーーーまだ、愛がわかりません」
「うーん・・・・・それは、そう・・・・・かもな。俺にも、分からないんだし・・・・・」
「だからーーーーー士道に選んで欲しいのです」
「選ぶ?前にも、言っていたよな、それ。選ぶって・・・・・」
「少なくとも、ここに来てくれたみなさんは、五河士道に好意を抱いている。それは、間違いのないことです。五河士道の側にいたい、自分のものにしたい・・・・・それが、愛ですか?」
「それは・・・・・それだけじゃ、ない・・・・・とは思う」
「わたしも、そう考えます。けれど、この世界には結実した愛がありません。だから・・・・・わたしはその先を知ることが出来ない」
ーーーーー先、か。さっきの『或守』も、そんなこと言ってたな。
「だから、選んでください。愛を誓った相手になるかどうかをーーーーー」
「選ん、なんて・・・・・俺には・・・・・俺・・・・・はーーーーー」
「そして・・・・・見せてください。わたしに、未来を・・・・・愛が、深く結びつくところを。ありえたかもしれない、ありうるかもしれない、五河士道と彼女のーーーーー行く末を」
「士道、あなたは魂月千夜を愛すことが出来ますか?」
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はい。
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いいえ。