また、わたしのせいで人が傷ついた。
士道と一緒にいた
わたしもあんな風になりたいと思った。だけど、無理でした。昔からわたしはおくびょうで何時も自分のからにこもっていました。そんな、わたしを引っ張ってくれたのはハルちゃんと士道君でした。
でも、ハルちゃんはわたしをかばって死んでしまいました。そして、士道君もあんなに血を出したので、きっともう・・・・・
ーーーーーヤーちゃんのせいで・・・・・
ーーーーー千夜のせいで・・・・・
2人は居ないはずなのに、そんな風に声が聞こえた気がします。
ーーーーーなんで、助けてくれなかったの?
ーーーーーお前がちゃんとしていれば!!
ごめんなさい、ごめんなさい・・・・・ごめんなさい・・・・・
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〜士道side〜
「なんだ・・・・・あれ・・・・・」
千夜が逃げた方に赤黒いドームが出来たのだ。赤黒いドームの周りは赤い液体が流れ回っていた。それを見たエレンは何故か帰っていってしまった。
『士道、聞こえる?』
「あぁ」
『あのドームの中心に〈スペクター〉、つまり千夜姉の霊力を感知したわ』
「あれは千夜が起こしたのか!?」
『恐らくね。それとそのドームなんだけど、ドームに近くなればなるほど生命力を吸う力が強くなっているみたいなの』
「どういう事だ?」
イマイチ理解が出来なく琴里に聞き返す。
『ドームを中心にして草木はどんどん枯れていってるし、コンクリートや建物は粉々になっていってるの。ドームに近いほど酷い感じね。あの中に入ったらどれだけ生命力を吸い取られるか・・・・・』
「・・・・・俺、千夜を連れ帰ってくる」
『士道!今の話聞いていたの!?あの中に入ったら一溜りもないのよ!』
分かっている。四糸乃の吹雪のドームよりも、狂三の【
「だけど、千夜が待っている」
『そうだけど・・・・・』
「この状態だからASTも手を出せないだろうから十香達を頼む。エレンが戻って来ないか心配だしな。じゃあ、行ってくる」
『ちょっと、士道!待ちなーーーーー』
インカムを耳から外し捨て、赤黒いドームへ向かった。ドームに近づくほど息苦しく、体中がだるくなっていく。
何とか、ドームの前までつくことが出来、中へ入っていく。赤い川を渡ってドームに手をかけるとすんなりと入っていくことが出来た。
「なっ!?」
ドームの中は一面、彼岸花で覆い尽くされており、赤い月が浮かんでいた。
その中心に白い影を見つけた。千夜だ。
ドームの中でさらに強くなった生命力の吸収に耐えながら中心に向かう。
「千夜!」
「えっ?・・・・・士道、君?うそ・・・・・生きて」
「千夜、迎えに来たぜ。一緒に帰ろう」
「だ、ダメです。わたしといた士道君が不幸になります」
「そんな事なーーーーー」
「あります!!」
昔の千夜らしくなく声張り上げて否定した。
「わたしのせいでハルちゃんは死にました!わたしがもっとお姉ちゃんらしくしていれば死ななかったんです!士道君もそうです!わたしをかばって大怪我して・・・・・もう嫌なんです、誰かを失うのは!怖いんです、私のせいだと他の人に責められることは」
「誰も千夜を責めたりなんかしない!」
「でも!聞こえてくるですよ!ハルちゃんがヤーちゃんのせいでって言う声が!」
きっと、それは千夜自身が自分を責めるあまりに生み出した幻聴だろう。
「わたしはダメなんです!弱虫で内気でおくびょうでみんなに迷惑をかけるダメな人間なんですよ!」
「そんな事無い!!」
「っつ!?」
「俺の知っている千夜はダメ人間なんかじゃない!」
「そんな筈は・・・・・」
「俺の知っている千夜は誰かの為に動けるとても良い奴だ!優しい奴なんだ!絶対にダメなやつなんかじゃない!」
千夜は固まってしまっているがそのまま構わず続ける。
「失うのが怖い?なら、俺がずっと傍にいる!責められるのが怖い?なら、俺が庇ってやる!困ったら俺に言え!俺を頼れ!」
「でも、それだと士道君に迷惑が・・・・・」
「迷惑なんかじゃねぇ!俺が千夜の力になりたいんだ!一方的にが嫌なら俺が困っていたら助けてくれ」
「わたしなんか役に立たないよ・・・・・」
「そんな事ない!」
もし、本当に千夜が〈リーパー〉なら今まで何回も救われてきた。
「今まで俺は何回も千夜に救われてきたんだ。だから、その恩返しをさせてくれ」
少しの間、静寂が続く。それを打ち破ったの千夜の方だった。
「わたしは、ダメな人間じゃないんですか?」
「あぁ」
「わたしは、士道君の役に立っていましたか?」
「あぁ」
「わたしを・・・・・わたしを助けてくれますか?」
「あぁ!」
「えへへ・・・・・そうですか・・・・・士道君」
「なんだ?」
千夜に手招きされて近づいていく。瞬間手を引っ張られ、頬にキスをされた。
「なっ!?なぁ?!?」
「今はこれで勘弁してください。ありがとうございました、
そう言って、千夜は光の粒となって消えていった。