魔王探偵夕映   作:ヴィヴィオ

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9話

 

 

 

 数年の月日が流れ、夕映は麻帆良学園が長期の休みになっている間、世界中を移動しながら宝具を集めていく。時には強奪し、遺跡から発掘したりすると同時にスカウトも行っていく。そこには原作のキャラである龍宮真名……いや、今はマナ・アルカナという名前だ。そしてもう1人葉加瀬聡美が夕映の仲間になった。マナはのどかと同じくエヴァンジェリンによって強化訓練を受けている。

 そんな彼らを引き連れて夕映はまたウェールズを訪れていた。そう、今日は1996年冬、運命の日である。この日の為に元老院の調査を行っていた。ここでも探偵の技術が生きている。

 

(雪の日の夜、ネギ先生の村がメガロメセンブリア元老院が召喚した魔物に襲われるです。今まで準備をしてきたのはこの日の為)

 

最初にウェールズを訪れてから何年もかけてこの地に魔法を仕込んできた夕映。今日の目的はいたって簡単だ。悪魔の殲滅。それだけだ。

 

「さて、今回の目的は実戦の試験も兼ねて行うです。マナ、のどか……存分に暴れるです」

「いいだろう」

「任せて」

 

マナは大量の重火器を所持し、のどかに至っては三角形の錫杖頭に三角形の遊環を持つ大杖という武器には思えない特殊な杖だ。しかも、地面につける方は槍のようになっている。これはハカセと夕映、エヴァンジェリンによって作成された杖の為、かなりえげつない事になっている。まあ、マナの銃も全て超電磁砲仕様なので同じだが。

 

「住民はどうする?」

「助けるられるなら助ける。無理なら放置で構わないのです」

「了解した」

「じゃあ、行っちゃおうか」

「ええ。各自、お待ちかねのお客様のようです。散開」

 

夕映が虚空を見詰めた後、2人に指示を出す。2人は瞬時に夜の森を駆け抜けていく。

 

(元老院の老害が準備した物、ありがたく頂くですよ)

 

夕映はこの地に仕込んだ魔法を発動させる。それは元老院どころか世界中の人が効果を知れば禁呪と指定される代物だ。だが、効果がバレ無ければ問題無い。

 

(私がより強大になり、次のステップへと上がる為の数少ないステージ。逃しはしないのですよ)

 

発動された魔法陣はウェールズ周辺を覆う大規模な物だ。だが、それは基本的に生きている生物には影響が無い為、なんとも思われていない。

 

「さあ、今宵は幕が上がった。楽しいヴァルプルギスの夜を始めよう」

 

魔王モードになった夕映は街へと進軍する悪魔の軍勢を背中に七色の翅を展開して宙に浮かびながら見る。そこではのどかは投擲した錫杖によって軍団の一部を破壊されて蹂躙される姿が映し出されている。しかも槍が戻ってくるまでの間にもルーンを使って敵を蹂躙している。マナはマナでグレネードランチャーとかを楽しそうにぶっぱなしたり、P90TRを片手ずつ2丁持って撃ち殺していく。それでも数が多く、村にも入り込んでいく悪魔達。それを迎撃する為に村に住む魔法使い達も戦いに参加していく。

 

(ネギ先生は確保したいですね……)

 

ネギを救う必要はないと思っているが、死なれたら困るとも思っている。歴史は確実に変わっているのだから。

 

「|百重千重と重なりて走れよ稲妻《ヘカトンタキス・カイキーリアリス・アストラプサトー》」

 

詠唱して放つ千の雷で侵入した悪魔をなぎ払う夕映。それと同時に翅を消して地上へと降り立つ。周りの魔法使いに混じりながら徹底的に悪魔を虐殺していく。そんな事をしていれば夕映は注目を集めるが一切気にしない。躊躇もせず実力を発揮して悪魔を虐殺する。

 

「これは予想外だ。まさかこれほどの使い手が居るとは知らなかったよ」

「現れたか、上級悪魔ヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・ヘルマン」

「これは私を知っているとは……一体何者だね?」

「答える義理があるとでも?」

「いや、構わんよ。身体に聞くまでだ」

「ならばさっさと来い」

「逝くぞ!!」

 

放たれる石化の光線を片手で掴んで弾き飛ばし、魔闘気の纏った拳を瞬時に接近して叩き込む。

 

「ぐふっ!?」

 

吹き飛ばされた悪魔に対して夕映は歩きながら次々と雷の暴や千の雷を放って上級悪魔を蹂躙していく。その姿は正に魔王といえるだろう。

 

「これで止めだディヴァイン・コロナ」

「ぐっ!?」

 

超高温の黄金に光り輝く球体をヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・ヘルマンの身体へと叩き込んで消滅させる。上級悪魔など既に夕映の敵ではないのだ。

 

「ぬしは何者じゃ……」

 

そんな圧倒的な夕映に魔法使いの格好をした爺さんが声をかける。彼の背後には金髪の女性と小さな少年が震えてこちらを見ている。

 

「私はスプリングフィールドの弟子であり後継者だ」

「ナギのじゃと……」

「お父さんの……」

(驚いていますね。しかし、小さいネギ先生は可愛いですね。まあ、私はもはや違う存在なのでどうでもいい事です)

「さっさと逃げるです。はっきり言って邪魔なのですよ。このままだと全滅するですよ」

「そ、そんな事無い! お父さんが助けてくれるもん!」

「ネギ……」

 

ネカネに抱きしめられる幼いネギ。それを見た夕映はじっと見た後、ネギに告げる。

 

「人に助けを求めるな。自らの力で全てを乗り越えろ。それがナギだ。偉大な魔法使いになろうなんて甘い考えを捨てろ。英雄と呼ばれるナギ・スプリングフィールドも私と同じただの大量殺人者だ」

「お、おい……」

「子供になんて事を……」

「甘い考えを持つな。さもなければそれは自らの死を招く。貴様の身近に居る者達も含んでだ。実際、お前は不幸だろう。両親は英雄だからと危険な任務を宛てがわれて行方不明だ。今回の事だってお前の母親を恨んでいる連中の差し金だ。つまり、お前の両親がこの村を滅ぼす原因になった」

「うっ、うぅ……」

 

夕映は自身の力を従前に発揮してどんどんネギの心にトラウマを植え付けていく。

 

「いい加減にしてください!」

「ふん。確かにそろそろいいだろう。魔法使いになるなら甘い考えを捨て、他人に踊らされない事だ」

 

夕映は踵を返して歩いていく。その先には2人の少女が居る。

 

「ミッションコンプリートだ」

「殲滅終わったよ」

「では、術式を発動したのち撤収する」

「了解」

「うん」

 

夕映は空へと手を向ける。すると展開されていた魔法陣は悪魔の魂と死した者達の魂を吸い上げて全て夕映へと集めていく。そう、夕映の狙いとは召喚された悪魔達の魂……力だ。それを自身に取り込んでさらに強化する事だ。

 

「お、おじいちゃん……」

「アレは悪の魔法使いじゃな。ナギの弟子というのは本当かわからんが……あやつの言う事も一理あるわい」

「そんな……」

「お、お父さんは悪くないもん……」

「そうじゃな。だが、しかし、英雄とは言われてもそれは勝者から見た側にしか過ぎぬ。いや、これはネギにはまだ早いの。それよりも村の皆の安否確認をせねばならぬ」

「ええ」

 

夕映の介入により終わってみれば数人の犠牲者だけで、原作のような被害は出ていない。そして夕映は帰りながらネギの事を考えていた。

 

(これでネギ先生は大丈夫でしょう。魔法使いにならなくても構いませんし、スタンさんに任せておけばネギ先生も少しまともになるでしょう。ネギ先生、貴方は魔法を忘れて幸せに過ごしたらいいのです。他の事は全て私が引き受けますから……)

 

狂ってしまった夕映は狂った方法でしか助けれられない。そして、自身のやる事がネギと対立する事になるのも理解できている。故にネギを魔法から遠ざけようとしたのだ。だが、そんな思惑は外れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

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