魔王探偵夕映   作:ヴィヴィオ

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10話

 

 

 ネギの一件が終わった後、夕映達は世界中の紛争地帯へと介入していく。そして、そこで魂の収集と民間人の救助を行っていく。時には政府に味方し、時には反乱軍などに協力していく。そして、膨大な資金と技術を元に土地を買取って開発復興していく。数年前から夕映が買収していた会社を合わせて綾瀬コーポレーションという物を立ち上げていた。その企業を使って行っている為、資金も資源もかなり夕映の元へと集まっている。では、何故夕映がそんな事をしているかといえば、支持基盤作りだ。ネギが行った事業は確かに成功したが、それでもかなりの時間と手間がかかった。それは根回しもそうだが、支持基盤が存在しない、又は少ないという事が原因だった。だからこそ、夕映は初めから支持基盤を作り、国民を教育すればいいという考えの元、活動を行っている。

 

「夕映、孤児の引き取りは完了したよ」

「では施設に連れていくです」

「うん。ちゃんと教育して私達の力になってもらわないとね」

「ええ。マナ、教育はどうなってるですか?」

「第一期。第二期共にまあ使える程度だ。だが、まだまだだな」

「では引き続き教練をお願いするです」

「了解した」

 

夕映達は世界中から引き取った孤児達を手に入れた無人島に集めてダイオラマ魔法球に叩き込んで徹底的な軍事調練や知識を与えているのだ。教官は傭兵だったり悪魔だったりする。ちなみに悪魔の筆頭はダンタリオンだ。この無人島の地下では巨大な工場が作られ、超鈴音が麻帆良で作っていたようなロボットが大量生産されている。

 

(軍事力はかなり増えているです。問題は人員ですが、そちらも孤児を教育しているですし、国民の教育も問題ないのです)

 

全てが順調といえる夕映は旧世界から着実に支配下を増やしていく。そして、そんな夕映が新たに訪れたのはアメリカにあるジョンソン魔法学校だ。

 

(さて、ここに愛衣さんが居るはずです。彼女も鍛えれば強力な使い手になるはずです)

 

夕映が求めているのは佐倉愛衣。原作の魔法生徒だ。大人しく控え目な性格だが、若年ながら無詠唱呪文も使いこなすことができる秀才で特に炎系の魔法を得意とする。魔法演習でオールAの成績を取ったことからもそれは明らかだ。

 

(愛衣さんを落とすのは簡単です。先ずは拉致……いえ、私と共に来ていただければ後はどうとでもなりますし)

 

夕映は魔法学校に潜入して愛衣を探していく。肝心の愛衣は訓練所で魔法訓練をしていた。8歳の少女が火の魔法を使っている。他の人もいるが、誰も彼女を気にかけていない。彼女は留学生であり、異物なのだ。

 

「こんばんは」

「……誰、ですか……」

「私は綾瀬夕映。貴方を迎えに来たのです」

「私を……?」

「その素晴らしい魔法の才能、私の元で役立ててみないですか? 私はスプリングフィールドの弟子をしています」

「ナギ様の!? ほ、本当ですか!」

「ええ」

 

夕映は仮契約カードを見せてあげる。すると凄く嬉しそうに見る愛衣。ミーハーな性格な彼女にはたまらない。

 

「そうですね、貴方なら直ぐに紅き焔(フラグランティア・ルビカンス)どころか燃える天空(ウーラニア・フロゴシース)まで使えるようになるです」

「わ、私が高等な呪文の広範囲焚焼殲滅魔法燃える天空(ウーラニア・フロゴシース)を……」

「先ず私がそれを使える所をお見せしましょう」

「は、はい」

「それを見た後にでも決めるです。改めて明日の夜に迎えにきます。これがその目印です」

 

夕映は愛衣の首にペンダントをつけた後、空に愛衣の杖を借りて空に向けて詠唱する。

 

「|契約に従い 我に従え 炎の覇王《ト・シユンポライオン デイアーコネート・モイ ホ・テユラネ・フロゴス》来れ(エピゲネーテートー)浄化の炎(フロクス・カタルセオース)燃え盛る大剣(ロンファイア・フロギネー)ほとばしれよ、ソドムを焼きし(レウサントーン ピユール・カイ・テイオン)|火と硫黄、罪ありし者を 死の塵に《ハ・エペフレゴン・ソドマ ハマルトートウス エイス・クーン・タナトウ》燃える天空(ウーラニア・フロゴシース)

 

夕映の詠唱に従い、大規模な超高温火炎を作り出して焼き払う広範囲焚焼殲滅魔法が発動し、空が真っ赤に染まって轟音が轟く。そして、夕映は杖を返して即座に転移した。周りは大騒ぎになり、非常警戒が取られる事となった。

 

「す、すごい……わ、私にもあんな事が……」

 

愛衣の脳裏には自分が同じ事を行う姿があり、先程の堂々とした夕映の姿がダブって見える。

 

(わ、私もあんな風になれる……ナギ様の弟子が直接スカウトしに来てくれた……なら、私だってできるはず!)

 

その後、愛衣は荷物をまとめてジョンソン魔法学校より姿を消した。そして、数年後に現れる彼女はもはや別人だった。後に炎の申し子や炎帝と呼ばれる程の魔法使いとなる。

 

「さて、今日からお前の教官はこの私だ」

「は、はい。よ、よろしくお願いします」

「ああ、よろしくしてやる。では先ずは魔法の射手 連弾・火の100矢を撃ってもらおうか」

「そ、そんなにですか!?」

「こんなの序の口だ。貴様の潜在魔力はそれなりにあるようだが、少ないからな。先ずは技巧を身につけて貰う。その後、炎に特化するよう成長させてくれるそうだ。良かったな」

「は、はいぃぃ」

「でははじめる。そうそう、私の名前はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ」

「エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルって闇の福音じゃないですかっ!?」

「そうだ。今の私はナギに力を封じられているが、教える事は可能だ。ああ、安心しろ。夕映は間違いなくナギの弟子だ。だが、奴とは違うがな」

(騙されたっ!?)

「おっと、逃げられるなんて思うなよ? 貴様にある選択肢は二つだけだ。ここで超一流の魔法使いとなって夕映の従者になるか、死ぬかだ」

「っ!?」

「といっても、生命の水を飲ませてやるから安心しろ。つまり殺しはなしない……」

 

それは絶望的な宣告だ。

 

「あと、ここは外での1時間が1週間になる。よかったな、たっぷり修行できるぞ」

「そ、そんな……」

「それと不完全な不老も与えておいてやるから外で普通に成長するのと同じだ。まあ、なんだ。諦めてるんだな。確実に強くはしてやる」

「は、はい……お願いします……」

 

愛衣はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルによってトラウマ並の……トラウマを植え付けれられる激しい訓練を施される。時には紛争地帯に単身送り込まれて虐殺を命じられたり、竜種と追いかけっこしたりととっても楽しい訓練が施された。しかも夕映まで混じってやる時があるのでそれは凄まじい厳しさとなる。もちろん、教官は2人でそこにのどかとマナが入り、愛衣とパーティーを組んで魔王2人に挑むのだ。その難易度は始めたら即ラスボス戦というクソゲー並だ。

 

「ふっふふ、データの収集は完了しました。のどかさんのトライゴンも問題無いようですね」

「宝具も融合させているけどそっちは大丈夫なのです」

「愛衣さんに叩き込む精霊の捕獲はどうですか?」

「そっちは問題無く調査できているですよ。フェニックスとイフリートの混合体にするのですから。それよりハカセの方は?」

「こちらも人体実験を行って精霊と人間の融合は問題なく可能ですよ。といっても闇の魔法(マギア・エレベア)を参考にして改造したのですが……」

「失敗作はどうするのだ?」

「当然、有効利用させて貰いますよ……」

「マッドサイエンティストだな。まあ、もともと犯罪者や死刑囚だから構わないですが」

「ええ、塵芥しか使っていません。しかし、まだ戦力を集めるので?」

「当然です。まだ動く訳にはいかないのです。奴らの尻尾が掴めていないので」

「彼らが動き出した時を狙う……素晴らしく合理的です。しかし、もう開発するものが無くなったのですが……」

 

ハカセはほぼダイオラマ魔法球の理論を使い、麻帆良地下にある下水道を利用して作られた時間を引き伸ばした空間で研究を行っている為、夕映が与えた軌道エレベーターなどの研究もある程度終わってしまったのだ。世界中から研究者を引き抜いた事も理由の一つだ。彼らが作る兵器もそうだが技術力もかなり高くなってしまっている。

 

「ならいっそ宇宙戦艦でも作ってしまうのです」

「成程、それはいい考えです」

「冗談のつもりだったのですが……」

「なにか?」

「いや、なんでもないのです。それより人型ロボットの方は?」

「そちらはエヴァンジェリンさんと協力してなんとか作っていますが、やはりなかなか進みませんねー」

「まあ、そっちは後々でいいです」

(超さんが来てからの方がいいですからね)

 

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