今日は感想ででたあの人がある意味大変な一歩を進み出します。
次の時間が体育の為、2-Aの教室の中ではうら若き中学生の女子達が着替えを行っている。いや、中には明らかに中学生じゃないだろうという者達も居るが。
「ねえねえ、やっぱり高畑先生ってすごいよね?」
「確かに頼りになるかにゃー」
亜子が話題をふり、裕奈が答える。それに他の子達も興味を持ち出していく。
「何かあったん?」
「高等部との場所の取り合いだよ」
「えーーまたですかーー」
「風香達が蹴散らしてやったのに懲りないねー」
ちびっ子二人は楓から訓練されている為、他の者達より圧倒的な身体能力を所持している。もちろん、楓よりは低いが。それでも二人が揃うと双子ならではの連携をとって楓と渡り合える実力を持っている。
「二人が居れば良かったんだけどねー。それより、ネギ君はちょっと頼りなかったねーーー」
「でも、10歳だからしかたないじゃーん」
彼女達の会話は当然の如く着替えさせて貰っている夕映と他の者達にも聞こえている。
(懐かしいのです。確かにこんな事もあったのですよ)
「夕映、次はこっちでよ」
「足もあげてください」
夕映は大人しくのどかと愛衣に着替えさせられている。この頃、世話は全て二人が行っていて、夕映自身はあまり動かない。もとからぐうたらの事もあるから尚更だ。任せるところは任せているのだ。いや、明らかに任せすぎだが。怠惰の関係もあってやる気が非常に少ないので仕方がない。
「今日は屋上でバレーですよね?」
「そうだよー。夕映と同じチームになったらいいんだけどね」
「どうでもいいのです。どうになったにしろ負けはないのです」
「まあ、夕映ならそうだよね」
「おい、そろそろ行かないと不味いぞ」
「そうだな」
マナの声に従って着替えた者達から移動していく。そして、屋上に到着するとそこには先客が居た。
「あら、またあったわね、アンタ達」
そこには高等部2-Dの女子達が居た。
「なんでここに居るのよ!」
「私達はレクリエーションのバレーをやりにきたのよ」
「明らかにおかしいでしょう!!」
その意見はもっともだ。彼女達の校舎は二つ向こうなのだから。
「どうする?」
「放置」
「夕映ー」
「授業ですよ……」
そもそも夕映が出席しているのは体育だけはテストでどうにもできないからだ。潰れるのならそれはそれで構わないと思っている。エヴァンジェリンとそれにつきあている茶々丸は他の授業を完全にサボって既にどこかへと行っている。とにかく、夕映はだるくて帰ろうとしたが聞き捨てならない言葉が聞こえてきた。それは放置していた他の少女達からの声だった。
「あんた達の方がガキじゃない!!」
「やる気!! かかって来なさいよこの中坊! 私達がギタギタのメチャメチャにしてあげるわ!!」
「やれるもんならやってみなさい!!」
「逃げるんじゃないわよ!!」
(このまま帰ったら小娘如きに負けた事になるです? 冗談じゃない、蹴散らしてさっさと終わらせてやるですよ)
「うわぁ~やる気になったよ……」
「あははは、大変です……っ!?」
愛衣は瞬時に夕映の前も立って構える。
「ハックションッ!!」
その瞬間、突風が吹き抜けた。だが、風は瞬時に上空へと送られる。
「武装解除にはならなかったですね……」
「危険だな、あの小僧……」
夕映はこの時期の事を思い出し、色々と見られた事なども思い出していた。何故さっさとコントロールできるようにしなかったのかと……それにこれは明らかなセクハラだ。
「それではスポーツで対決しましょう。それなら争う事もないでしょう」
「いいわよ。面白いじゃない。私達高等部が負けたら大人しくコートから出て行くし、今後昼休みもアンタ達の邪魔をしないわ。それでどう?」
「そ、そんな事言って体格も年齢も……別にいいか。それで、どうするの?」
亜子は反対しようとしたが、こっちにいる存在を思い出したようだ。彼女達は基本的に表で芸能活動をしている。ただ、戦う力も教え込まれている。
「勝負はドッチボールよ」
「いいでしょう、後悔しないように……」
「生意気ね!」
亜子達は既に綾瀬コーポレーションの全面協力の元、全国区のアーティストとなっている。あの傷だって綺麗にされており、CDの売上トップの常連となっている為、自信も必然的についてきている。売れている芸能人だからこそ高校生が嫉妬している部分もあるだろうが。
「ドッチボールですね」
「ええ、ハンデでそっちは22でいいわ。こっちは11でいいからね」
「いや、必要ないのです。正面から蹴散らしてやるです」
流石に魔王モードになっていない夕映が亜子達の前に出て堂々と宣言する。
「言うじゃない……って、この子って……」
「ま、まずいよ……!」
あっちが何かを言っているが、夕映は無視して他のメンバーを決めていく。そして、夕映が決めたメンバーが夕映に始まり愛衣、のどか、アスナ、マナ、楓、風香、史伽、鈴音、古菲ことクーちゃん、桜咲刹那。そして、最初から屋上で日向ぼっこをしていたエヴァンジェリンに付き合っていた茶々丸という容赦が全くない布陣だった。
「獅子は獲物を狩るときは全力を尽くすというです」
「いや、やり過ぎだよ! 明らかなオーバーキルになっちゃうよ!」
のどかが夕映を止めようとするが夕映は止まらない。そして、始まったドッチボールは悲惨だった。
「では、先攻は譲ってやるです」
「えっ、ええ……」
「おい、大人気ない真似をしているぞ。坊や、止めろよ」
「え? 何を言っているんですか?」
そして、高速で投げられたボールを片手で受け止める夕映。ちなみに外野にはのどかが居る。
「さて、誰に喧嘩を売ったか覚悟しろ……です」
軽く上に投げたボールはキュィィィンという音と共に高速回転を行っている。それを夕映は回転を殺さずに投げた。そして、シュパンという音と共に放たれたそれは音速を超えて目標の横を通り過ぎて壁にぶつかり、壁を破壊して途中でめり込んだ。
「ん、ちょっとミスったです」
「ありえねーよ!! そういう問題じゃねえだろう!!」
とあるクラスメイトから突っ込まれたが無視する夕映。それよりも非道いのはその音速を超えた攻撃にさらされた少女達だ。
「ひっ、ヒィィィィィ!!」
「夕映ーボールが破れちゃったよ?」
「脆いのです。というか、のどか……ちゃんとキャッチするですよ」
「いや、流石に夕映がここまで大人気……」
「なんですかのどか?」
「ううん、なんでもない。次はちゃんと取るね」
そして、新しいボールを用意するのどか。その身は莫大な気を纏う。
「ちょ、ちょっと待てお前ら!」
その膨大な気に刹那がストップをかける。流石にこれは不味いと思ったのだろう。
「えっと、ごめんね? 降参しないと、死んじゃうかも知れないよ……?」
流石にのどかも不味いと思ったのか、腰の抜けた彼女達に殺気を込めて優しい音色の声をかける。
「こ、降参します! だからゆるしてぇぇぇぇぇ!!」
彼女達は失禁してしまったが、ちゃんと敗北を認めて逃げ出した。確実にトラウマになっている。そして、この件でもう1人微妙に封じていた記憶を思い出しかけている者がいた。
(な、なんだろ……か、身体の震えが止まらないよ……こ、怖い……)