事件のあった次の日、3―Aは普段と違った。まず、最初に壇上に上がったのが副担任になったタカミチだったのだ。
「えーと、ネギ君は体調不良の為お休みだ」
「「「えぇええええええっ!!」」」
「だ、大丈夫なんですか!」
「ああ、大丈夫だよ。それと木乃香君もお休みだ」
クラスの皆が心配する中、一部だけ反応が違った。それは愛衣だ。
(あわわわ、どうしよう……やりすぎちゃったのかな!? で、でも、やらないとお姉様達に怒られるし……うぅ……)
愛衣はかなり不安になっていた。
(愛衣はどうしたのかな? なんだか不安そうだけど……手伝ってあげた方がいいかな)
そんな愛衣を見守る者も居る。愛衣とのどか、二人の仲はかなり良い。お互いに支え合い、時には競い合っているのだ。授業が始まり、二人はとりあえず夕映に連絡を入れた後、授業を受けていく。
一方、その頃のネギは自分の部屋にあるベッドの中で布団を頭から被り、頭を抱えて震えて居た。
(怖い怖い怖い!)
「ネギ君、大丈夫やで。うちやるーちゃんが居るから」
「ん」
そんなネギに抱きつくようにして両脇からルーテシアと木乃香が二人でネギを包んで慰めていた。
(しかし、お爺ちゃんに言われて来たけど、これはホンマに重症やな~。何があったんやろ?)
「るーちゃん、何があったん?」
「……襲われて……負けた……」
「え?」
「ひぃっ!?」
「ああ、大丈夫やで。よしよし」
「……平気……ネギは守る……」
(僕は僕は……)
恐怖に震える少年を二人の少女は励ましていく。そのおかげもあって、ネギはかなり回復してきた。
その日の夕方、麻帆良学園の結界を抜けて小動物が侵入して来た。それを感知した者達は動きだした。
「おい、行かないのか?」
「面倒なのです。というか、エヴァが行けばいいじゃないですか」
「いやだよ、めんどい。あっ、それ、ポン」
「全く、不真面目ネ」
「あ、上がりです国士無双」
「マスター、面倒がらず行くべきでは?」
「なら、お前がいけ」
「それはダメね。メンツが……いや、ハカセが居るか」
彼らは授業をサボってずっと麻雀をやっていた。それもある意味ではお金を賭けてだ。
「これで最下位は茶々丸か」
「まあ、金を出すのは私なんだが……次の茶会は頼むぞ茶々丸。そうだな、茶室でしようか」
「分かりました。では、少し出てきます」
定期的に息抜きとしていろんな遊びをしている。授業をサボってだ。彼らが放置を決定し、茶々丸が確認に動いた。そして、茶々丸が動くという事は同時にシスターズも動くという事だった。
侵入者は皆の知っている通り、淫獣カモことアルベール・カモミールという者だ。性格はスケベオヤジそのもので、タバコを吸い、酒も飲む。覗きや下着ドロをはたくのだ。彼は今、大変な危機に瀕していた。
「目標を確認。狙撃します」
「うぉっ!?」
それは狩りでも楽しむかのようにカモを狙撃している。しかも、逃げ道を用意して誘導しているのだ。
「畜生ッ、女子寮に近づけねえ!!」
女子寮に近づくと、消音装置を取り付けられたガトリングガンから発せられる透明の弾丸で容赦無く追い払われるのだ。もちろん、それだけではない。
「茶々丸、仕留めていいのか?」
「ええ、構いません。ただ、手加減をお願いします」
「了解した」
カモの居る場所から数百メートル離れた塔の上から狙撃用のライフルを構えるマナ。その横に立ちながら指揮する茶々丸。そして、この位置から放たれた弾丸がカモの背中へと吸い込まれる。
「ぎゃあっ!!!」
痙攣して動けなくなったカモを茶々シスターズが生ゴミでも掴むように掴んで箱に入れて運んでいく。
「で、アレはどうするんだ?」
「捨てます……ですが、一応報告しておきましょう」
茶々丸は夕映に連絡を入れる。
「オコジョ妖精を確保しました。どうしますか?」
『許可はどうなっているです?』
「取られていませんね。密航です」
『では、刑務所に梱包して送ってやるです』
「了解しました。聞いていましたね。そのようにしてください」
「了解」
こうしてアルベール・カモミールは梱包されて本国へと送り返された。
麻雀をやりながら、携帯で連絡をとっていた夕映は悪い顔をしていた。
「どうした?」
「いえ、女の敵を排除しただけです」
「ああ、アレカ。ダガ、いいのカ?」
「構わないのですよ。ネギ先生にはこちらで協力すればいいですから。いえ、それよりもこちらで導けばいいのです。何も問題はないのです」
(そう、こちらで操作すればネギ先生は問題ないです。幸い、こちらの手勢を送り込んであるのです。まあ、コントロールできるかはわからないですが、問題はないとは思うのです。一番危険な存在はこちらで確保しているので、どうにかなるはずです。むしろ、ネギ先生には木乃香とルーテシアを付けておけば大丈夫でしょう。木乃香がつくということは刹那さんもついてくるですし)
ネギにはゆっくりと確実に成長するように布石を打っていく予定なのだ。