魔王探偵夕映   作:ヴィヴィオ

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26話

 

 

 

 

 夕映はネギと木乃香の契約を見送た後、彼らに注意事項を伝えて帰らせた。その背後。アルコールランプの火から1人の少女が現れて夕映に近付いてくる。

 

「お姉様」

「今夜、仕掛けるのです。少なくとも戦いにはなるのですよ」

「わかりました。皆さんは見学なさるのですか?」

「もちろんなのです。超と博士は絶対に見学しますし、エヴァもそうでしょう」

「勝ってしまっても構わないですか?」

「いえ、適度に負けてあげてください。愛依」

「わかりました。では、殺されるくらいはしますね」

「死なないからといって危険な事はあまりして欲しくはないのですが……」

 

 愛衣の身体は炎があれば再構成できる火の大精霊となっている。それはつまり、死ぬ事がないという事でもある。偽装など彼女にとっては容易い事なのだ。

 

「大丈夫ですから。それより今日はのどかさんの代わりにご飯を作りますね」

「む。よろしくお願いするのです」

「はい」

 

 夕映は危険な魔導書を読み、愛衣は料理をしていく。

 

 そして、夜10時。愛衣は動き出した。彼女は桜の並木道を歩いていく。その手には2人の少女が引きずられていた。

 

「本当は深夜0時がいいのですが……」

「ネギ先生、眠そうだもんね」

「それより引きずられるのはしんどいよ……」

「脱走を企てた2人が悪いのですよ」

「お姉ちゃんが勉強嫌だって……」

「捕獲するこちらの身にもなってください。楓さんも出てきてますから謝ってくださいね」

「「はーい」」

 

 引きずられている2人は風香と史香の2人だ。勉強が嫌で逃げ出した2人なのだが、身体能力と技術は既に上忍並になっているので生半可な手段では捕らえる事はできない。

 

「でもさ、重力加速度とかわけわかんないよ」

「でも、覚えた方が使えますよ」

「難しいですよね……」

「っと、来ましたね」

 

 歩いていると前方からやって来る人影に愛衣は立ち止まる。

 

「そっ、そこまでです! 生徒を放しなさい!」

「ああ、性懲りもなくまた来たのですか? 今度は3人のようですが……」

「せんせー助けてーお仕置きされちゃう!」

「あわわわ」

「愛衣ちゃん……そういう事なん?」

「木乃香さ……こはん。たった、3人で何ができるー」

「「あふっ」」

 

 愛衣は史香と風香を手放して手帳を取り出して読み始める。

 

「まさか詠唱の準備!?」

「いや、これはどっちかというと……」

「えっと……おぶ、汚物はっ、しょ、消毒だー」

 

 顔を真っ赤にしながらつっかえつっかえで言う愛衣に見ている者達は笑っていた。

 

『棒読み過ぎるヨ』

『可愛いですね愛衣は』

『が、頑張って』

『とんだ茶番だな』

「みんな酷いです……」

「か、覚悟してください!」

 

 ネギはテンパっていて気付いていない。愛衣から与えられた恐怖は大きいのだろう。ルーテシアの方は白銀の杭に鎖が取り付けられた物を両手で持ち、臨戦態勢を取っている。

 

「ふぅ……覚悟ですか。そうですね。先生は覚悟がありますか?」

「え?」

「生徒を殺すという覚悟が」

「そ、そんな事……」

「覚悟が無いのでしたらイギリスに帰ってください。今度は手加減しませんよ」

 

 愛衣が手を差し出し、その上に黄金色に輝く球体が生成される。それは膨大な熱量が集約された炎の塊。

 

「最終警告です。お帰りください」

「嫌です! 僕は誰も殺しません!」

「愛衣ちゃん……」

「……」

「力が無い状態で何を吠えた所で無駄です。殺さずに相手を無力化するには力量差がかなり必要です」

「それでもです! 行きます! 光の精霊11柱(ウンデキム・スピーリトウス・ルーキス)! 集い来たりて(コエウンテース) 敵を射て(サギテント・イニミクム)!! 魔法の射手(サギタ・マギカ)!! 」

 

 魔法の射手(サギタ・マギカ)と同時に魔導銃から弾丸を撃ち出すネギ先生。それに対して愛衣は箒を呼び出して掌の黄金色の玉を打った。黄金色の玉は魔法の射手(サギタ・マギカ)を飲み込んでネギ達へと向かう。

 

「ん」

 

 ルーテシアが鎖で木乃香とネギを絡めて瞬時にその場から離れた。その直後に黄金色の玉が命中し、巨大な火柱をあげる。

 

『愛衣、威力が高すぎるぞ』

『出力が高すぎるヨ』

『麻帆良の結界を破壊する気なのです?』

「あっ、ごめんなさいごめんなさい」

 

 結界は火柱を受けてバチバチとショートしていた。それはもう盛大に。これによって一部では大変な事になっている。

 

「学園長!! 結界が崩壊します!!」

「なんとか食い止めるんじゃ!! ぬぉおおおおおぉぉぉぉっ!!」

 

 全力で結界に魔力を送って強化している魔法先生達。エヴァの魔力を使って結界を展開している彼らにとっても内側から上級精霊どころ精霊王の力を使われるとは思っておらずある意味耐えているだけで素晴らしいといえる。

 

「あわ、あわわわわわ」

「ふぇーすごいんやな愛衣ちゃん」

「強い」

「ど、どどうしよう!」

「命令して」

「せやな。ネギ君。ルーちゃんにお願いしよっか」

「で、でも……」

「大丈夫、任せる」

「わ、わかりました……お願いします」

「ん。任された」

 

 ルーテシアが瞬時に駆け抜けて行く。残された木乃香はネギの手を握って礼呪に魔力を送っていく。ネギもそれを見て同じようにしていく。2人からの魔力供給によりペガサスを召喚して駆け抜けるルーテシア。それに対して愛衣は……

 

「これより性能テストを始めます。風香ちゃんと史香ちゃんは逃げてください」

「了解だよ!」

「に、逃げます!」

 

 一目散に逃げる2人。そこに光速で突っ込んで来るペガサスに向かって愛衣は箒を向けて無数の炎の魔法の射手を放っていく。その数は千近く、威力がも一発一発が中級クラスの威力となっていた。その中を無茶苦茶な機動力で避けて愛衣に一撃を放つ。

 

「くっ!?」

 

 愛衣は瞬時に上空へと逃れる。攻撃を受けた地面にはクレーターが出現しており、威力の高さが伺える。そして、ルーテシアは瞳を開いた。

 

 

 

 

 

 

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