インフィニット・ストラトス~墜ちてきた影~   作:ヴァイ

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先の展開のアイディアが二転三転して困ります


第8話 異形の刺客

 「じゃ、次は山嵐(やまあらし)の方のテストいってみましょうか」

 

 「……はい」

 

 多数のターゲットが出され縦横無尽に動き回る。しかしそれは同数のミサイルによりすべて撃墜された

 それを行ったのはもちろん打鉄弐式の操縦者である更識簪(さらしきかんざし)、指示を出しているのは開発に携わったレモンである。二人は完成した打鉄弐式のテストをしていた

 

 「自動追尾の方は良好のようね。じゃあ、マニュアルでもお願いね」

 

 「……これほどの自動追尾の性能が……あるのにですか?」

 

 「うちの量産予定の機体のほとんどには高性能のジャマーが搭載される予定なの。自動追尾じゃ簡単にミサイルの軌道を反らされるわよ」

 

 そう言ったレモンはターゲットを出現させた。すると、簪は両手両足の装甲を消し、空中に投影キーボードを出現させ入力を始める。そうして発射されたミサイルは見事にターゲットに全弾命中した

 

 「ターゲットのレベルは結構上げてたんだけど……マニュアルでなかなかやるじゃない。代表候補生なだけのことはあるわね」

 

 「……今のは……実戦じゃ無理」

 

 「でしょうね。でも、援護してくれる味方がいれば別の話よ。それにアナタの分析の能力はなかなかのものよ。どう?卒業したらうちに来ない?」

 

 冗談交じりの勧誘だが、本気の褒め言葉でもある打鉄弐式を一緒に開発してレモンは簪の才能を感じていた

 

 「……これくらいなら姉さんにも」

 

 「比べる必要はないと思うわよ。気持ちはわからなくもないけどね」

 

 「……レモンさんに……そんな人がいるんですか?」

 

 ISを分析したことといい、それを元にPTを開発したことといい規格外といってもいい頭脳と技術を持っている。そんな人が自身と比べてしまうような人などいるのだろうか?

 

 「才能とかは別にして、本当に存在としてという形ではあったのだけどね。私がどれだけの功績を挙げようと父と母は喜びはしなかったわ。あの人たちの娘の代わりにはなりえなかったのよ」

 

 レモン自身語りすぎたとは思ったが、転移してから慌しかったこともあり簪との打鉄弐式の開発はちょっとした癒しになったこともあり、このままにはしておけなかった

 

 「でも、あの人に出会ってからはそんなことはどうでもよくなったわ。簪ちゃんにもそういう人が現れると思うわよ。自分のことをちゃんと見てくれる人なのか、持つ空気で自分のコンプレックスをどうでもいいと感じさせてくれる人なのか、どういう人かはわからないけれどね」

 

 「……私なんかに……そんな人なんて」

 

 「持ちすぎは禁物だけど、自信は持ったほうが良いものよ。十分に魅力的よ簪ちゃんは」

 

 ―そうでしょうか?と素直に簪は照れた。付き合いは短いが嘘は言っていないと感じたのだろう

 

 「話し込んじゃったけど機動試験も問題なし、打鉄弐式は完成よ対抗戦に間に合ったわね」

 

 「……ありがとう……ございます」

 

 「短い間だったけど、これでお別れになるわね。会社のほうにも仕事はあるしね」

 

 ―卒業後はよろしくねというレモンに、考えておきますと返し簪はレモンを見送った

 

 

 

 

 生徒玄関前の廊下に大きく張り出された紙を見て一夏は項垂れた

 表題は『クラス対抗戦日程表』であり、一回戦目の一夏の相手は鈴であった

 

 「良かったな一夏。仲直りのきっかけになるかもしれないぜ?」

 

 「その前に殺意をむき出しにされた上でボコボコにされそうだけどな」

 

 怒ったときのあの様子を見れば簡単に許してもらえるとは思えない

 

 「アクセルさんの相手は誰でしたの?」

 

 「更識簪っていう子だ。四組の専用機持ちらしい。ブロックが一夏たちと違うから注意すべきは一回戦と最終戦になるな」

 

 入学してそう日が経っていないこともあり、量産機に敵はほぼいないと言っていいだろう。ただ、専用機持ちといっても一夏の場合は燃費の問題もあって全試合で気が抜けるものではないが……

 

 「おはようございまする。アクセル様。対抗戦の組み合わせですか?……これは」

 

 対戦相手を見ながら雑談していると、ラミアが話しかけてきた。ラミアの方から話しかけてくるというのは珍しいことである

 

 「ああ、おはようラミアちゃん。どうかしたかい?」

 

 「いえ、四組の専用機がうちの手がけたものになったのでよろしく。と伝言を社から頼まれていたのですが……いきなり対戦することになったようですね」

 

 自社機の性能の証明にはなんとも都合の悪い話である。どちらかは必ず一回戦で敗退することになるのだから

 

 「そりゃまた災難だけど、しょうがないわな。なるようになるさ。どうせ、PTの性能証明はここだけでやるつもりはないんだろ?」

 

 「ええ、デュノア社にも売込みをしていますし、ドイツ軍にも社員は送り込む予定でありまする」

 

 「社員を送りもむって人員不足じゃなかったっけ」

 

 記憶喪失であるにもかかわらずアクセルがIS学園(ここ)に送り込まれたのは人員不足が原因だったはずである

 

 「それは人間の……いえ、なんでもありません。さすがにこれ以上はここで話すことでもないでしょう。では、失礼しまする」

 

 そういうと彼女はスタスタと歩いていってしまった

 だが、ラミアが去っていった後すぐにこちらにまた声をかけてくるものがあった

 

 「おはよう、みんな。で、どう?一夏、一回戦で叩きのめされる前に謝る気になった?」

 

 「どうせ、勝負事で手加減するようなことはしないだろ。それに、謝るにしても鈴のほうが避けてたじゃねーか」

 

 売り言葉に買い言葉で一夏が返答した時点でこの会話の結果は見えたようなものである。貧乳というキーワードによって爆音が鳴り響く頃にはアクセルはセシリアを連れて一組の教室に避難済みであった

 

 

 

 

 それからの数週間は早いもので、一夏と鈴は顔も合わせようとしないままで試合当日を迎えた

 

 「一夏さんも鈴さんもあの調子で大丈夫でしょうか?」

 

 「あの年頃の喧嘩なんてなるようになるさ。それより、応援よろしくな」

 

 「他ならぬアクセルさんの試合ですもの。頼まれなくとも応援しますわ」

 

 「じゃ、準備がてら対戦相手にご挨拶してくるとしますか」

 

 そういったアクセル鋭い視線が突き刺さった無論セシリアの視線である

 

 「本当に挨拶だけだから安心しなって」

 

 ジト目で睨んでくるセシリアをなだめた後、アクセルは観客席を後にした

 

 

 

 

 「一夏、これが最後のチャンスよ。謝る気はある?」

 

 「謝ったところで雀の涙ほどしか対応変わんないんだろ。本気で来いよ!」

 

 『両者、試合を開始してください』

 

 ブザーが鳴り、両者が動く

 一夏は近接ブレード雪片弐型で鈴の大型ブレード双天牙月(そうてんがげつ)を受け流した

 

 「まともに受けると思ったけどやるじゃない」

 

 「これでもまじめに特訓してるからな」

 

 「でも、双天牙月だけじゃないのよ!この甲龍(シェンロン)は!」

 

 鈴の肩アーマーがスライドして開くところで、危険を察知し鈴から離れる一夏だったが一足遅かった。一夏は目に見えない衝撃に殴り飛ばされた

 空間に圧力をかけて砲身を生成し、余剰で生じる衝撃を砲弾化する衝撃砲、龍咆(りゅうほう)による攻撃であった。これは砲身も砲弾も見えず、射角にほぼ制限がない。射程がそれほど長くないのが救いだが、雪片一本の一夏には射程外から攻撃すると言うことも不可能である

 しかし、このまま攻撃を受けるわけにはいかない。一夏はひとまず距離をとった

 

 (どうする?……って白式じゃやれることは一つしかないよな)

 

 ―一撃で極めるしかない。とは白式の正式な機体データを見たときのアクセルの言葉であるが実際その通りである。そのための零落白夜(れいらくびゃくや)瞬時加速(イグニッション・ブースト)なのだ。瞬時加速による突撃が特訓中に成功したことは数える程度であり、相手が打鉄装備の箒の時の話だ。ビットの扱いが上達したセシリア相手には翻弄され、アクセルにいたってはブレードだけで相手をしてもらっても突撃のタイミングがわかっているかのごとくかわされた

 しかし、自身の手札はこれしかないのだ。なんとしても隙をついて瞬時加速を成功させるしかない。狙うは衝撃砲の発射直後だ。少なくとも、自分が受けた攻撃力で撃った場合は連射は不可能なはずである

 

 「近づいてこないのか、これないのかはわからないけど、それならこのまま龍砲で終わらせてあげるわ」

 

 鈴が衝撃砲を放つ。センサーが空気の歪みを感知した瞬間、一夏は急上昇し鈴に向かって瞬時加速で突撃する。鈴に雪片の刃が届きそうになったその時―

 

 ズドオオオオンッ

 

 轟音と共に、招かれざる客がアリーナに降り立った

 

 

 

 

 一夏と鈴の試合の開始ブザーがなる頃、ISアリーナの外でキーボードを叩いている簪をアクセルは見つけた

 

 「更識簪ちゃんかい?」

 

 「……そうですけど……対戦前の挨拶ですか?」

 

 「そんなところさ。あと一応、白式の開発を急がせたわびもしたいしな」

 

 対戦相手の簪を調べるおり専用機にシャドウミラー社が関わっているということで社に連絡したところ、打鉄弐式を開発することになった経緯を説明してもらった

 

 「……打鉄弐式は完成したから……もう気にしなくていいです」

 

 「じゃあ、試合は遠慮なしでいけるな。自社対決になっちまうけどよろしくな」

 

 ニカッという表現がぴったりな笑顔でアクセルは手を差し出し、簪はそれに答えて手を握った

 

 「にしても、なんでこんなところで?」

 

 「……アリーナは……落ち着かない」

 

 「そりゃそうか」

 

 アリーナは全席満員なうえ、通路まで埋め尽くされている有様だ。選手の控え室は大丈夫なはずだが、友達のよしみだとかなんだとかで入り浸っている生徒がいないということもないだろう

 

 「まぁ、俺たちの試合まで時間があるし日光浴ってのもありかもしれんね……ん?今日は晴れのはずだったよな?」

 

 「……雲じゃない……霧」

 

 「霧だって?にしては黒くないか?」

 

 先ほどまで異常がなかった空間だったはずだが、突如として黒い霧があたりを包みこんでいた

 

 「簪ちゃん、ISを展開しな。BC兵器かもしれねぇ」

 

 「……はい」

 

 アシュセイヴァー、打鉄弐式をそれぞれ展開した二人は対BC防御を発動させ、霧を分析する

 

 「……データなし……未知の成分です」

 

 「なにかはわかんねぇけど、BC防御しといて良かったな」

 

 「……範囲はISアリーナ周辺」

 

 だとするとまずい。専用機持ちはともかく、一般生徒はどうすることもできない

 

 ズドオオオオンッ

 

 「ISアリーナからか!!ちっ、次から次へと」

 

 ISアリーナから轟音が鳴り響く、この霧と無関係とは思えない。だが、まずは原因の究明よりも生徒の安全確保が先である

 

 『千冬ちゃん!正体不明の霧がアリーナの外を覆っている。アリーナを全閉鎖だ!外に生徒を出すなよ』

 

 『何!わかった外のことは任せた』

 

 とりあえずしばらく生徒の安全は確保できる。しかし、この霧の原因がつかめない

 センサーの感度を上げてみるが、それらしいものはない。ならば、ISアリーナの轟音の主が怪しいとふんだアクセルがアリーナの方へ行こうとしたその時センサーに反応が現れた

 

 「重力震反応だって!?簪ちゃん、空間転移だ気をつけろ!!」

 

 「……空間転移って……これは!?」

 

 驚く簪の目に映るのは、何もない空間から現れた骨のようなものや、植物のツルのようなものの群れである

 

 「簪ちゃん、この学園ってイベントのときにこういうモンスターを出すデモンストレーションをするもんかい?」

 

 「……それはない……と思います……多分」

 

 アクセルとしてはそこは自信満々で"ない"と言って欲しかったところだが、そんなことを気にしている場合ではない。この怪物どもがこの霧と関係あるのは明白である

 

 「って言っても、言葉が通じそうにはないんだよな、これが」

 

 「……結局自分たちで……原因を探すしかないっていうことですね」

 

 「俺の勘じゃ、アリーナ内部の轟音の主が怪しいと思うけどな」

 

 相談していると、怪物が襲い掛かってくる。ISアリーナの方に行くにしても、怪物の数がとんでもないうえ、自分たちが離れればアリーナ自体が標的になりかねない。とりあえず数を減らさねばとアクセルと簪は怪物の迎撃を開始した




極めるを使うのはスパロボじゃシャドウミラー連中だけかと、思いきやカイさんもつかっていた
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