インフィニット・ストラトス~墜ちてきた影~   作:ヴァイ

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戦闘書いてると、どうしてもその話のメインの人以外は空気になってしまう……


第9話 幻影の印

 「何が起こったんだ!?」

 

 アリーナを襲った衝撃に一夏も鈴も驚きと困惑を隠せないでいた。明らかな非常事態に観客席に防壁がが張られたのを見て、ようやく驚きによって呆けていた意識が戻ったくらいである

 

 「非常時なのは確かよ。ピットに戻るよ」

 

 「いや、それは出来ないみたいだ」

 

 辺りを見回すといつの間に現れたのか、骨や植物のツルのような怪物だらけである。だが、やはり注意するべきは衝撃を起こした原因である。しかし、考えるヒマもなくその落下点からビームが発射された

 薄っすらと見えてきたそのビームを放ってきた相手は骨やツルのような怪物ではなく、腕が異様に長い奇怪な見た目はしているもののISであった。そして、そのISに呼応するがごとく怪物たちも一夏と鈴に襲い掛かってきた

 

 「数が多すぎる!!避けるので精一杯だ!」

 

 「龍砲で援護するから、一夏は近づいてきた敵とあのISのビームに気をつけて!かなりの出力よ」

 

 一夏は言われたとおり近づいてきた骨の怪物に雪片で切りかかり腕を切断した。しかし、切断したはずの腕が見る見るうちに再生されてしまった

 

 「数が多いくせに再生能力までもってるのかよ!」

 

 「打鉄とかも修復能力に長けてるけど、切断された部分をあんなに早く再生するだなんて!!やっぱり見た目どおりの怪物みたいね」

 

 しかも、先ほどから黒い霧が辺りを包んでおり、BC防御ということで少量ずつではあるがエネルギーが減り続けているこのままでは敵だらけのこの状況で無防備な状態になってしまう。それに、相手の再生能力もあり、まったく敵の数が減らない。打開策が見つからず、一夏と鈴は徐々に追い込まれていった

 

 

 

 

 一方アリーナの外ではアクセルと簪が怪物相手に奮闘していた

 

 「ほれほれ、一列に並びな」

 

 そう言いながらアクセルはガンレイピアを連射する。すると、それを回避した怪物が見事に一列に並んだ

 

 「ハルバートランチャー、シュート!」

 

 一列に並んだ怪物はハルバートランチャーにより、ものの見事に消し炭と化した

 

 「……す、すごい!」

 

 「いや、この程度ならどうってことないぜ。攻撃方法こそ奇怪だけど、やつら行動パターンは単純みたいだ。機械的意味じゃなく、どっちかっていうと動物に近い感じだけどな」

 

 「……でも、このままじゃ……エネルギーが……」

 

 敵の再生能力に気づいてハルバートランチャーのような高出力武器で消滅させてはいるものの、高出力武器ばかりを使っていてはすぐにエネルギーが尽きてしまう。それに倒しても倒してもその分だけ怪物がまた現れるのだ、これではキリがない

 

 「やっぱり弱点を探したいところだな……そんじゃ数撃ちゃ当たる作戦といきますか」

 

 「……私が探します……弱点がわかったら……山嵐で殲滅します……」

 

 「そうするかね。でもできるのかい?大量のミサイルを一体一体に当てるんだろ?」

 

 当てるだけならともかく当てる部位まで指定するのだ、並大抵の技術ではできることではない

 

 「……やってみせます。けど……流石に解析中に……回避や防御は無理……」

 

 「この状況だやるしかないさ。その間は俺が守ってやるさ!!」

 

 この言葉に簪は思わず赤面した。このシチュエーションで正直その台詞はずるいそう思った

 

 「全武装展開!全方位フルバーストでいくぜ!!」

 

 アシュセイヴァーの全武装による攻撃で怪物たちもそれ相応のダメージを受けていた。数がある程度減ったのを見るといくらかは弱点に当たっていたのかもしれない

 

 「……解析完了……発射……!」

 

 放たれたミサイルはすべて怪物の身体の紅い珠に命中し、それを破壊された怪物は灰のようなものになり、崩壊していった

 

 「ものの見事に全部弱点に当てたみたいだな」

 

 「……紅い珠が……破壊されると……全体が崩壊するみたい……」

 

 「そうか、じゃあサンプルを残すのは難しいかもな。まぁ、とにかくこれで片付いた……わけじゃないみたいだな」

 

 今ので一掃できたかと思いきや、またなにもない空間から怪物が現れた。弱点がわかったので楽にはなるだろうが、エネルギーが切れればそれで終わりである

 

 「おいおい、無限湧きかよ。じゃあ、元から断たなきゃならねぇか……外にそれらしいのはいねぇし、中の一夏たちに頑張ってもらうしかねぇか」

 

 中のことは中の人間に任せなければならない。ならばとアクセルは通信をいれた―

 

 

 

 

 アリーナのピット。一夏が発進した後の上、扉がロックされたということでもぬけの殻となっているはずのそこにラミアは一人たたずんでいた

 

 (遮断シールドがレベル4に設定……、扉も全てロックされたか……。落下のほぼ直後に隔壁が下ろされ闘技場の様子は確認できないが、落下したのは恐らくISだろう)

 

 緊急事態とはいえ、ラミアにとっては関係のない話である

 

 (各国が操縦者を預けるほどの学園の手並みを見せてもらおうかと思っていたが、いまだにロックの解除すらされていないところを見るとさほどのものでもないらしい。後は隊長か……記憶を失って少々衰えているとはいえ、あの戦闘技術ならば大丈夫だとは思うが……)

 

 アクセルに限ってやられるとは思ってはいないが、この騒ぎの元凶が落下してからそれなりに時間が経っている。ISもPTもエネルギーは無限ではないのだからこれはまずい

 

 (とはいえ、状況がわからなければ動けんか……)

 

 『一夏、鈴ちゃん、セシリアちゃん、ラミアちゃん聞こえるか?』

 

 状況が知りたいときに通信が入るとはありがたいことである。アクセル・アルマーはいつもなにかとタイミングが良い人物らしい

 

 『はあはあ……聴こえてる』

 

 『こっちも……聴こえてるわ』

 

 『ええ、こちらも聴こえていますわ』

 

 『はい、聴こえておりますです』

 

 ラミアを含めアクセルの通信を受けた四人が答える。声からして一夏と鈴の状況は厳しいもののようだ

 

 『一夏たちは戦闘中みたいだな。同じ敵だってことを前提に言うが、そいつらの弱点は紅い珠だ。そこを破壊すれば崩壊する』

 

 『それがわかればこっちのものね』

 

 鈴の言葉に希望が灯った。どうやら再生能力にまいっていたらしい

 

 『だけど、元を断たなきゃ後から湧いてきやがるみたいなんでな。そっちに骨やツルみたいの以外の敵はいるかい?』

 

 『異様な形をしたISがいる。でも、敵が多い上に反応が尋常な速さじゃなくって……』

 

 『そいつを倒せばおそらくは終わりだ……けど、キツそうだな』

 

 通信の始めの返事もそうであったが、一夏と鈴には余裕がない

 

 『セシリアちゃんとラミアちゃんは今どこにいる?』

 

 『観客席ですわ。扉のロックが開かないので生徒たちでごった返しですけれど……』

 

 『アリーナのピットです。周囲には私以外だれもおりませんことよ……私が行くしかないようですね』

 

 一夏たちの救援に向かうならばこの中で行けるのはラミアしかいない。観客席にいるセシリアではどう頑張っても間に合わないうえ、アクセルたちは外の敵にかかりっきりである

 

 『ああ、一夏たちの救援を頼む。一夏たちは耐えてくれ、ラミアちゃんが来てからはラミアちゃんの援護だ』

 

 『『了解』』

 

 『では、参りますアクセル様もご武運を……』

 

 そう言ってアクセルとの通信を終わり、自身のISである"アンジュルグ"を展開する。ISの解析がてらに造られたものであるが、はじめからラミアに使わせるつもりであった専用機でありポテンシャルは高い

 

 「……ミラージュ・サイン」

 

 実体化させた剣でピットの隔壁を細切れにし、戦場へと天使が舞い上がった

 

 

 

 

 状況は悪かった。白式も甲龍もエネルギーは尽きかけ、白式にいたっては零落白夜を使えば発動の瞬間にエネルギーが尽きるであろうほどに消耗していた

 だが、その状況に変化が起こる

 

 「ファントムフェニックス!!」

 

 アリーナのピットの辺りから飛来した火の鳥はその場の敵のほとんどを焼き尽くした

 

 「なんて威力なの!!」

 

 「怪物どもが完全に消し炭だ……」

 

 驚く一夏たちにラミアから通信が入る

 

 『私があのISの相手をする。お前たちは取り巻きを頼む』

 

 『了解』

 

 『ま、消耗した私たちじゃあのISの相手は無理だしね』

 

 役割が決まったというところで、また怪物が何もない空間から出現した。一夏と鈴はラミアに言われたとおりにそれらの殲滅に向かい、ラミアは相手のISにミラージュ・ソードで斬りかかった。だが、相手はソードを避け、すぐさま距離とりビームで反撃してきた

 

 (通信のときの織斑一夏の言葉通り反応は良いようだな……しかし―)

 

 もう一度ラミアは相手のISに斬りかかる。しかし、相手のISはそれをかわす。だが、突如ISの背後に現れたラミアは左腕を切断した

 

 「センサーをも誤魔化すアンジュルグの幻影を見切ることはできん……な!?」

 

 ラミアは異様な光景を目撃する。左腕を切断されたはずのISの左腕が再生し、さらには全身鎧を纏ったような姿に変貌した。腹部には怪物と同じ紅い珠が姿を現した

 

 (再生どころか、変貌しただと!そして、取り巻きと同じ紅い珠……いや、同じではない)

 

 ラミアが目撃したのは紅い珠と同化しているISのコアであった

 

 (ISのコアがあるならば擬態していたというわけではないらしい……サンプルとして回収したいところだな)

 

 しかし、あいてには再生機能があり、珠を破壊する必要がある。しかし、破壊すると全体が崩壊するらしい。この相手がそうでないとは限らないのだから、サンプルを得るなら珠を破壊するわけには行かない

 

 (ならば、珠以外に再生不可能なまでのダメージをあたえる!)

 

 ラミアが動いた瞬間、その姿が消え去る。再び変貌したISの背後に現れたラミアはそれを斬りつける。そしてそれは一撃では終わらない。相手を翻弄するように四方八方いろいろな方向から現れ、斬りつけていく、変貌したあとのISの装甲は簡単に腕を両断できた変貌前の比ではなかったが、その装甲も斬りつけられ珠以外はズタズタにされていった

 

 「出力調整……コア以外を焼き尽くされろ!ファントムフェニックス!!」

 

 実体化された弓から放たれた火の鳥が相手のISを焼き尽くす。その後には紅い珠だけが残されていた

 

 「コアから再生する様子はないか……サンプルの入手には成功したな」

 

 後で連絡をよこしてWシリーズにでも持ち帰らせればいいだろう

 やはり、あのISが元凶であったようで、怪物たちは全て消えていった。一夏と鈴はやはり疲れたのだろうへたり込んでいる。ラミアはことが終わったことの報告にアクセルに通信を入れた

 

 

 

 

 怪物が消えたことを確認したところでアクセルは通信を受け取った

 

 『報告します。元凶と思われるISを撃墜しました』

 

 『ありがとうな、ラミアちゃん』

 

 『い、いえ、この程度はどうということはありません』

 

 アクセルはラミアに激励を送ったが、返事がどもっている。ラミアが今のアクセルに慣れていないのが原因だが、アクセルにとっては知るよしもない

 

 『だけど、敵の目的が読めないな……あの霧が何かしらの効果を持っているならむしろ、扉のロックはしない方がよかったはず』

 

 『それについてはある程度答えは出ています』

 

 『本当かい?』

 

 『はい、元凶のISにもあの紅い珠があり、それにISコアが同化していました。もともとISと怪物が別勢力だったとすれば、行動のちぐはぐさにも納得できます』

 

 つまりは、ISの方が怪物に乗り移られたということなのであろう

 

 『どっちみち、両方がここを襲うつもりだったのは変わらねぇか……とくにあの怪物だ。なんだかわからないけど、凄く危険な気がするんだな、これが』

 

 アリーナを襲撃した怪物に得体の知れない脅威を感じるアクセルであったが、その危機感がどこから来ているものなのかがどうしても思い出せないでいた




ヴィンデルさんをはやく活躍させたい……しかし、予定としてはまだ先の話
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