マルチフォームスーツ"IS"正式名称"インフィニット・ストラトス"。宇宙進出につくられたパワードスーツであるが、現在では表向きは競技用として、裏では兵器として扱われている
そのIS用の格納庫で一体のパワードスーツの前に立っていたのは、自分たちの世界からの脱出を図ったシャドウミラーの総帥ヴィンデル・マウザーと同組織の科学者レモン・ブロウニングである
「一応の完成に至ったか……意外と早かったな」
「この程度の技術を盗んで発展させるのくらいわけないわ。甘く見ないでちょうだいな」
「この世界の情勢を一変させた兵器なのだ、正直のところもう少しかかるとは思っていた」
「その世界情勢を立て直さなくちゃ話にならないんだもの。コレの完成に越したことはないでしょ」
二人の話している世界情勢とはそれを作り出した原因であるISが女性にしか反応せず、扱えないということに起因する。ISの性能は現行兵器をはるかに凌駕するためIS=軍事力などという考えを起こし、その操縦者を確保するために女性の優遇制度を施行したわけである。先日、男性の適応者が現れたようだが、特異な例では今後の情勢に変化はないだろう
ヴィンデルにしてみれば、このような考えをおこし実行に移したこの世界の上層部連中はいったいどうなっているのか頭を抱えざるを得ない
ISは以前の世界で言うところの特機(俗に言うスーパーロボット)のようなものだ。高性能だが少数しか生産できない(ISの場合は開発者がしないというのが正しいが…)のが弱点である。現行兵器では数をそろえても敵わないとはとはいえ、勝利に必要なのは高性能機を倒すことではないのだ。いくらISとはいえ数の暴力相手に重要拠点を守りきれるわけがないのである
その考えに至らず女性優遇の制度である。現行兵器の操縦者はまだまだ男性が大多数を占めているのだから、IS操縦者にかまけて現行操縦者をないがしろにしてしまっているのと同様なのだ。これを一国だけでなく全世界が行ったのだというのだから呆れるを通り越して感心しそうだ
「この現状は平和の代償になっていった軍人たちを思い出されてな……」
「その現状を打開するためのコレじゃない。男女共用戦闘用パワードスーツ"PT"コレが標準装備になれば女性優遇なんて必要はなくなるわ」
そう、二人の目の前に鎮座しているのはISではない。コレはISを解析したレモンが男女共に扱えるように改良し、さらに現場の人間の受けが良いように一部性能にリミットをかけたパワードスーツ"PT"正式名称"パーソナルトルーパー"である。女性にしか扱えないISが兵器の標準になっているからここまで世界が歪んでいるのだ。ならば男女共に使え量産可能なPTが標準となれば問題はなくなる
「ISの開発施設を秘密裏に乗っ取りここまできたが、流石に予算はもう心もとない。PTの性能を各国の上層部に認めさせて予算を得る必要がある」
「量産可能とはいえ予算がないとね。ISに取って代わるなら相手はISにかぎるわ」
「だったら、PTを公表してIS学園に特別枠での入学を狙うのが良いか。各国の代表候補も入学するのだ、デモンストレーションにはちょうど良いだろう」
「入学が決まった時点で上が興味を持ったことは明白だし、予算も得られるかも知れないわね」
「あとは操縦者だが、データ取りを考えれば操縦者はWシリーズではなく人間に任せたい」
しかし問題があった。この世界にたどり着いた時点での生身の人間は数人程度でとても学園に手放す余裕はない
「タイミングよくあの人が転移して来てくれたりしないかしら……」
その時、ヴィンデルの持っている連絡端末に連絡が入った
「重力振反応を検知したそうだ」
「本当にタイミングが良いのねあの人は……」
風向きは自分たちに向いてきたようである
次回やっと第1話に突入です
次話投稿のところで書いてて、保存をクリックしたら投稿されてビビった…機能を把握しなきゃ