インフィニット・ストラトス~墜ちてきた影~   作:ヴァイ

5 / 11
ぶっちゃけ、そこまで話が動かないのでこの話のタイトルを考えるのに苦労しました


第3話 記憶の違和感

 放課後、この学園に二人しかいない男たちは机でうなだれていた

 

 (意味がわからん……なんでこんなにややこしいんだ?)

 

 その片方である一夏のほうはISの授業が全く理解できないで悩んでいた。始めは解説してくれていたアクセルも流石に片手間のじゃ解説しきれないとさじを投げてしまった……どうやら自分は根本的に知識が足りないのだと一夏はあらためて思った

 

 (どう弁解するかねぇ……まさか、意図せずに口説いちまうとは思わなかったぜ)

 

 もう片方のアクセルは「おまえを俺の女にすると言ったらどうする?」というたとえ話が間が悪く口説き文句のようになってしまったために一日中弁解する言葉を考えていた

 この学園の女子のレベルは高いので是非お近づきになりたいとは思ってはいた。セシリアはその中でも飛び抜けた容姿をもった一人であろう。だが、戦うという目的のために煽っている流れで口説くことになるとは思っていなかった。ムードもなにもあったものではないし、第一記憶が戻るまではちょっとデートに誘う程度に止めるつもりであった

 

 「まぁ、なるようにならあね。案ずるより産むが易しとも言うしな」

 

 セシリアへの弁解は勝負に勝ったときに考えるようとアクセルは決めた

 

 「織斑くん、アルマーさん。まだ教室にいたんですねよかったです」

 

 決意を新たにしていたところに副担任の山田真耶が二人に呼びかけた

 

 「お二人の寮の部屋が決まりました」

 

 そういって真耶は部屋番号の書かれた紙とキーを渡した

 

 「俺って部屋が決まってなかったんじゃないんですか?前に聞いた話じゃ1週間は自宅から通うことになるって話でしたけど」

 

 「俺が入ることになって相部屋の相手が簡単に決められたんだろ男二人だからな」

 

 「そうなります。寮にはなるべく早く入っていただきたいところでしたので、アルマーさんの入学が決まったことで即部屋割りを決めたんです」

 

 唯一の男のIS操縦者ともなれば簡単に外を出歩いてもらうわけにはいかないのだろう

 

 「でも荷物は一回家に取りに行かないといけないし、今日は帰っていいですか?」

 

 「荷物なら私が手配しておいてやった。ありがたく思え。着替えと携帯電話の充電器があれば十分だろう」

 

 本当に必要最低限だ。もう少し娯楽があっても良いと思うところである

 

 「夕食は六時から七時、寮の一年生食堂でとってください。各部屋のシャワーのほかに大浴場もありますが、いまのところお二人は使えません」

 

 「え?なんでですか?」

 

 「お前は同年代の女子と一緒に風呂に入りたいのか?」

 

 「混浴ってのもまた良いもんだと思うぜ?」

 

 とんでもないことを言うアクセル。無論本気では言っていない

 

 「ア、アルマーさん駄目ですよ。ましてやアルマーさんはむしろわたしと同い年くらいなのに」

 

 「だったら、真耶ちゃんにお相手してもらおうかねぇ」

 

 その言葉に真耶は言葉にならない言葉を発して顔を真っ赤にしている。千冬あたりならツッコミを容赦なく入れてくるのだろうが、どうもこういうからかいに免疫のない人の方が多いらしい。教室付近で聞き耳を立てている女子たちもそうであるようだ……からかい甲斐がある

 

 「わ、私たちは会議があるので、これで~」

 

 そそくさと退散してしまった……少しからかいすぎたようだ

 

 「アルマー、からかうのもほどほどにしておけ!」

 

 「はいはい、わかってますって」

 

 千冬はアクセルに釘を刺して真耶を追って行ってしまった

 

 「部屋が決まったことだし部屋に行こうぜ。ここで動物園のパンダやるよりマシなはずだ」

 

 「確かにそうだな。ISの用語とか教えてくれよこのままじゃあまりにも授業の意味がわからなくて居眠りしちまいそうだ」

 

 二人は生徒たちの目から逃れるように部屋に向かった

 

 

 

 

 IS学園の唯一の男部屋でアクセルが一夏に対して講義をしていた。とりあえず、専門用語くらいは抑えておかなければ授業にはついていけないのだから早く頭に叩き込んでしまいたい

 だが、一夏にはもう一つやらなければならないことがある。一週間後に控えた試合の特訓である。巻き込まれた形ではあるが男としてただ負けるなんてことはしたくはないのだ

 

 「なぁ、アクセル。ISの特訓に付き合ってくれないか?」

 

 ISの用語を教わる延長で特訓を頼んでみる。記憶喪失である彼だが実際こちらが教えてもらっている立場なのだ。特訓の方でも頼りになるだろう

 

 「すまねぇ、ちょっと記憶の足しにならないか過去の資料とかで世界情勢を洗っておきたいんだ。部屋に帰ったらIS用語は教えるからそれで勘弁してくれ」

 

 「ああ、やっぱりそっちが大事だもんな。IS学園ならその辺の施設も充実してるだろうし」

 

 表には見せないがやはり記憶のほうはしっかり気にしているようである。軽い態度であまり見えてこない部分であろう

 

 「じゃあ、アドバイスとかないか?まだ触れただけみたいなもんだからピンとこないんだよ」

 

 「一夏の機体がわからんことにはなんとも言えないが、一夏は武道をやっていたりするか?」

 

 「剣ならやってたぞ?」

 

 「だったらそれを特訓するといい。人の形を残した兵器っていうのは人間の力を増幅させるもんだ。自身が強くなっておいて損はないぜ」

 

 アシュセイヴァーの件は例外中の例外である。普通ならば自身が鍛えればそれに応えてくれるものなのである

 

 「一週間後の試合は俺たちも対戦するんだ試合順が後だったなら試合の様子は観察しておけばいいさ。手の内が一方的にわかっていても初心者が経験者に勝てる確率は低いからな」

 

 「そうさせてもらうよ。せいぜい攻略の参考にさせてもらう」

 

 その後、一通りISに関する講義をしたあと二人は眠りに入った

 

 

 

 『そう、そんなことがあったの』

 

 ラミア・ラヴレスの自室ではルームメイトの箒が寝静まったのを見計らい、ラミアがレモンと通信をしていた

 

 「申し訳ございません。あの言葉に続く言葉は予測がついたはずなのですが、予測する前に身体が反応してしまいまして」

 

 この謝罪はアクセルの言葉をさえぎったことに対しての謝罪である。アクセルとレモンの関係を考えれば、あのような発言にしてしまった自分の失態を詫びずにはいられなかった

 

 『いいわよ、私と彼のことを関係を考えてのことでしょうし、彼の記憶が戻ればちゃんと私のことを思い出してくれるから。それにあの人との関係って結構ドライだし、新しい刺激になってくれるかもね』

 

 「そういうものなのでしょうか?」

 

 『人によるでしょうけどね。人の感情についてしっかりと学びなさいな。あなたの入学はそのためのものでもあるんだから』

 

 「はい、善処いたします」

 

 通信は切れて部屋は静寂に包まれる。アクセルの言葉に反応してしまったのも感情によるものなのだろうかと、ラミアは思いに耽った

 

 

 

 

 次の日の授業は前日のアクセルの講義もあり一夏もある程度は授業についていけるようになっていた。これで間違って居眠りして千冬に殴られる心配もないだろう

 授業が無事終わったと思いきや女子たちの強襲を受けた。動物園は卒業できたが、今度はスキャンダルを撮られた有名人だ。主な標的は千冬の弟ということもあり一夏の方である

 

 「千冬お姉さまって、ご自宅ではどんな感じなの?」

 

 この質問に答えようとした一夏は授業時間になり戻ってきた千冬に当然のごとく殴られた。その後の千冬の一喝により女子たちはクモの子を散らすように席に戻っていった

 

 「ところで織斑、お前のISだが準備に時間がかかる。学園の方で専用機を用意するそうだ」

 

 一夏がちんぷんかんぷんになっていると、教室中がざわめいた。うらやましいという声が大半である。当の本人の一夏にはいまいち意味がわかっていないようだが……

 

 「おそろしく簡単に言えば、世界でも数の少ないISの内一つがお前の専用機になるってことだ」

 

 「本来なら、IS専用機は国家や企業に所属する人間にしか与えられない。しかし、お前は状況が状況なので、データ収集目的として専用機が用意されることとなった」

 

 一夏も一応の理解はしたらしい。もう授業に入るかと思いきや一人の女子から千冬に質問が上がった

 

 「あの……篠ノ之さんって、もしかして篠ノ之博士の関係者なんでしょうか?」

 

 「そうだ。篠ノ之はあいつの妹だ」

 

 正直、教師としては褒められたものではない千冬の発言で、授業中にもかかわらず、箒の元にわらわらと女子が集まる。囲まれた箒は質問攻撃を受けている

 

 「あの人は関係ない!」

 

 突然の箒の大声によって教室が静まり返った

 

 「……大声を出してすまない。だが、私はあの人じゃない。だから、教えられることは何もない」

 

 ヘンに気まずい雰囲気が広がった。その中でアクセルが千冬に耳打ちする

 

 「今のはアンタのミスだぜ」

 

 「ああ、今反省しているところだ。あとで篠ノ之にも謝罪しておく」

 

 そう返事を返した千冬は授業を再開させた

 

 

 

 

 授業が終わると早速セシリアがこちらに話しかけてきた

 

 「安心しましたわ。まさか訓練機で相手をしようとは思っていなかったでしょうけれど」

 

 「自分も専用機だって自慢しに来たのかい?子供のやることだねぇセシリアちゃん」

 

 アクセルは前回の弁解は勝った後にやると決めて、完全に煽りにかかっている。専用機を手に入れるという一夏に話しかけに来たはずが、標的はすぐにアクセルに切り替わった

 

 「そういうあなたの機体はどうですの?調べたところ男にも使えるPTという機体らしいですけれど」

 

 「軍での量産化予定機の指揮官機仕様さ。俺がデモンストレーションに成功すりゃ世界が変わるってわけだ、こいつは」

 

 「それは残念でしたわね。入学早々に挫折を味わうことになるのですから」

 

 「記憶喪失だから成功に執着するわけじゃないが、失敗して降ろされるのは本位じゃないね。"万が一"負けたときの話だけどな」

 

 わざわざ"万が一"を強調した。これをさらっと流せるセシリアではなかった

 

 「どうやら本気でわたくしに勝つ気のようですわね……良いでしょう。この間は冗談のつもりでしたが、わたくしが勝てば本当に小間使いにしてさしあげます。負けたらあなたの女にでもなんでもなってさしあげますわ!!」

 

 「もう少し感情を抑えることを覚えないと身を滅ぼすぜ。そっちこそ覚悟しときな」

 

 そうして改めての宣戦布告は終わった。今度はセシリアの方から女になる宣言をされてしまった。どうしてこう煽りに弱いのだろうか

 箒に特訓を頼みに行くという一夏と別れ、アクセルは昼食のため食堂に向かった

 

 

 

 

 放課後、アクセルは図書室で世界情勢の資料に囲まれていた

 

 (やはり、なにか違和感があるな……)

 

 アクセルの記憶喪失は自分や関係者の記憶こそ失っているが、日常生活は普通に送れる程度である。その常識からしてもこの世界全体に関して違和感を覚えている

 細々した違和感は元より、兵器関連の違和感が特に酷い。いくら知識を得てもISのようなパワードスーツに関する記憶が元からあったという感覚がまったくないのである

 

 (もしかして、俺ってこの世界の人間じゃなかったりして)

 

 その後も資料を漁ったが、収穫がないまま試合の日を向かえる




ヴィンデルさんをもうちょっと出してあげたいけど、まだまだ活躍予定の話は遠いという事実
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。