島
翼達は再び並行世界へ来た。
クリス「ひぃ~…相変わらず暑っちいな。その預かってきた荷物には何が入ってんだ?」
翼は荷物の中身を見た。
翼「これは…、水着?」
クリス「後はキャンプセットか?遊びに来たのかっつーの」
紫龍「だが、野宿はしないですむぞ」
クリス「それはそうだけどな…」
マリア「夏らしくていいじゃない。それにこの暑さなら、水着で動いた方がいいかも(南の島で水着…いいわね。これは私へのささやかなご褒美かしら♪)」
口だけはもっともらしい事を言っているが、実際はバカンスを楽しむ気満々のマリアであった。
クリス「確かに汗はうざってぇけどよ、水着で調査ってアリなのか?」
翼「どの道、戦闘時にはギアを装着する。ここは心遣いに感謝して着替えるとしよう」
クリス「全く、真面目なのだか天然なのだか。てめえら、後ろを向け!」
着替えるため、紫龍達に後ろを向くように言い、翼達は水着に着替えたのであった。
クリス「んーっ、動きやすい。こりゃ確かに涼しくて悪くねえかもな」
マリア「S.O.N.Gも粋な配慮をしてくれるじゃない。これで任務をこなしながら、バカンス気分も少しは味わえるというものね」
???「マリアとやらは本心はバカンスをしたかったのか?」
声がしたために後ろを向くと、そこにはクリシュナがいた。
マリア「クリシュナ!」
クリス「てめえ、あたしらの着替えを見てたな!?」
クリシュナ「着替え?俺はついさっきここに来たばかりなのだぞ」
クリス「だったら、幽霊みたいに背後から出てくんな!!」
マリア「まぁ、せっかくだし、少し海にでも…」
紫龍「どうやら、そうはいかんようだ」
バカンス気分での探索も束の間、ノイズが現れたのであった。
氷河「どうやら、バカンスをさせてくれないようだ」
マリア「(私の…バカンスが…)」
紫龍「どうした?マリア!」
マリア「…やっぱり私には夏を楽しむ権利もないというの!?少しだけでも、その気分を味わえたらと思ったのに!」
クリス「おい、なんかキレてねーか!?」
クリシュナ「そのようだ」
マリア「いいわ、あなた達が私の夏を邪魔するというのなら全て倒して押し通る!」
激怒したマリアは戦いの歌を唄ったが、変身した姿はいつものギアではなく、水着のような姿であった。
マリア「覚悟しなさい…。この銀の輝きで殲滅してあげるわ!」
紫龍「何だ!?あれは!」
氷河「水着だが…、シンフォギアにあんな機能がある事は聞いてないぞ!」
マリア「水着…?え?な、何よこれ!?」
いつものギアではなく、水着のような姿に戸惑ったが、何か違和感を感じた。
マリア「(でも、暑くない…。それに…!)考えるのは後、ノイズを片付けるわよ!」
紫龍達はノイズと戦った。紫龍達は難なく動き、翼とクリスは戦場が砂地であるために動きづらかったが、マリアは今までよりも軽々と動いていた。
マリア「体が…軽い!暑さに対しての抵抗力、砂浜をものともしない機動力、まるでこの場所のためにあつらえたかのようなギアね!」
マリアの様子を紫龍達も横目で見ていた。
紫龍「(どうやら、あのギアは見た目だけ変化したわけではないようだな…)」
マリア「このまま一気に片付けてあげる!」
あっという間にノイズを全滅させたのであった。
マリア「全て片付いたわね…」
翼「ああ、それよりさっきのギアは…?」
マリア「私にもわからないわ…。一体、何が起きたっていうの…?」
氷河「理由はわからないが、マリアのアガートラームに何らかの変化が起こったと考えるのが自然じゃないか?」
マリア「どうして今、それが起きるのよ」
クリス「まあ、考えてもしょうがねーだろ。で、実際どうなんだよ、さっきのギア」
マリア「…戦いやすかったわね。この地形に適しているというか…」
クリシュナ「そうだろうな。実際、昨日に比べるとこの場での戦闘に適しているように見えた」
マリア「どうして水着型になったのかはわからないけど、これはこっちでの戦いの重要な力になるかも知れないわね」
そう言ってると、唸り声がまたした。
クリシュナ「また例の唸り声か…」
マリア「まるで、セイレーンの歌声のようね」
紫龍「またノイズが出るのだろう。ならば、倒すまで!」
装者と紫龍達はノイズに向かっていった。マリアの軽快な動きに翼とクリスは感心していた。
翼「凄まじい戦いぶりだな、マリア。水着型というのはそんなに動きが変わるものなのか?」
クリス「はっ、おかげでこっちは楽でき」
クリシュナ「そんな事をいう暇があるのなら、手を動かせ!」
紫龍「だが、なぜマリアのギアだけが…」
マリア「私にもわからないわ。けれど…この地からがあれば負ける気はしないわ!」
マリアは軽快にノイズをなぎ倒していった。
翼「ふっ、頼もしい限りだ」
マリア「さあ、残りも一気に片付けるわよ!」
こうして、紫龍達はノイズを殲滅したのであった。
翼「ふぅ、どうにか片付いたが、この地形への対処法を考えねばな…」
クリス「紫龍達とか、水着っぽいギアの方は楽勝みたいだけどな」
マリア「そうね、誇張抜きに素晴らしいわ、このギアは」
クリス「見た目はそんな強そうに見えねーが」
氷河「見た目だけで判断すると痛い目に遭うぞ」
翼「実際の所、どれほど違うんだ?」
マリア「動きやすさはもちろんのこと、暑さへの耐性もあって、砂浜という地形での着地時のグリップ力までも格段に増しているわ」
紫龍「それほどまでに戦いやすくなるのか…。そうなれば、翼とクリス、元の世界にいる3人もマリアみたいな水着型のギアになる可能性もあるぞ」
クリシュナ「だが、何かのきっかけがなければ変化はできないようだ」
クリス「言っとくけど、あたしは羨ましくねえぞ!でも、ほんとにそんなんで暑くなくなんのか?着心地はどうなんだ?」
マリア「特に普段のギアと大きな違いはないわね。ただ、このギアを纏う前に感じていた暑さは感じないわ」
クリス「見た目はただの水着モドキだけどな」
翼「そのギアについては帰還した後にS.O.N.Gで調べてもらうとして、今は探索を続けよう」
氷河「そうしよう」
再び探索を再開した。
マリア「むやみに歩き回っても仕方ないわ。まずはここの地形を把握しましょう」
クリス「この地形を把握してる奴なら、ここにいるぜ」
翼「ここって…」
クリシュナ「俺だ。俺は修行の一環でだいぶ前からこの島に住み着いている」
マリア「そう言えば、クリシュナはだいぶ前からこの島にいるって言ってたわね!忘れてたわ」
クリシュナ「この島の自然などに関しては俺が熟知している。何か怪しそうな場所を探るとしよう」
探索しながら紫龍達は水着やらで騒ぐ装者一同を見ながら男同士で話をしていた。
紫龍「クリシュナは暑くないのか?」
クリシュナ「暑いもなにも、俺の故郷は1年中この島と似たような暑さだからな。それに、クンダリーニを扱うようになってからはこの程度の暑さなど心地よいものだ」
紫龍「クンダリーニ…、俺達聖闘士でいえば小宇宙の事だな」
クリシュナ「そういうお前達もこの暑さは大した事はなかろう?」
氷河「ああ。俺なんか、マグマの近くで戦った事もあるからな」
そして、森の中で話をした。
翼「あの謎の唸り声とノイズの出現とかが連動している事はもはや疑いはないが、正体をどう見る?」
クリシュナ「俺としては、親玉のノイズが小型のノイズを生み出す際の音だと思う。仮にノイズを操る人間がいたとしても、多くの人が逃げ出したこの島でノイズを操って行動させた所で何の価値もないのだからな」
マリア「クリシュナの言う通り、仮に操ってたとしても、襲撃が散発的なのが腑に落ちない…。現段階ではまだ判断できないわ。あの唸り声のような音についてなのだけれど…便宜上、『セイレーンの歌』と呼称するのはどうかしら?」
マリアの提案に一同は賛成した。そうしていると、セイレーンの歌が聞こえてノイズ達が現れた。
マリア「さっそく来たわね」
紫龍「みんな、戦いながら歌の聞こえる方向を探ってくれ!」
クリシュナ「心得た!」
紫龍達は襲ってきたノイズを全滅させた。
氷河「セイレーンの歌の方角は…」
クリス「海側からみたいだな」
マリア「となれば、探索を海側へと集中するのみ!」
歌の聞こえる方角がわかり、海へ向かった。
翼「この方向で間違いない。だが一帯、何があの歌を…」
沖の方から歌が聞こえ、その方向を見てみたが、見当たらなかった。そうしていると、ノイズが出てきた。
氷河「ノイズばかり湧いて来るな…」
紫龍「だが、立ちはだかるのなら、倒すまで!」
現れたノイズは一掃された。そして、調査を続けたが何も手掛かりは得られなかった。
紫龍「クリシュナ、港などがあったがこの島に人はいたのか?」
クリシュナ「いたとも。だが、つい最近ノイズが現れて人々は避難してしまった」
翼「だから、道路などは荒れていなかったのか…」
氷河「そろそろ夕食にしたいが…」
マリア「せっかくだから、現地調達しましょう」
クリシュナ「それなら、俺が大物の魚を獲ってくるとしよう。少し待つといい」
そう言ってクリシュナは海に飛び込んだ。
クリス「あいつ、何を獲ってくるんだ?」
マリア「わからない…」
翼「時間がかかるかも知れないから、我々も調達しよう」
翼達は釣りをしたが、一行に釣れなかった。
クリス「…釣れねえじゃねーか!ただの1匹さえも!」
紫龍「そう簡単に釣れるわけがないだろう?老師でも釣りをする時は気長に待っていたんだ」
クリス「あんたの師匠のようには待てねえよ!」
翼「魚は音に反応する。静かにするんだ、雪音」
そう言ってると、クリスの竿の動きに変化があった。
翼「雪音、かかっているぞ!」
クリス「来たああっ!あたしの晩飯!観念しろーっ、って、え…あわ、あわわわっ!?」
マリア「竿を放しなさい!海に落ちるわよ!」
竿に引っ張られ、クリスは海に落ちた。
氷河「クリス、大丈夫か!?」
マリア「どうしたのかしら?浮かんでこないわ!」
翼「何だと!?今助け」
それを邪魔するかのようにノイズが現れた。
マリア「ノイズ!?こんな時に!」
紫龍「この場は俺達が引き受ける!お前はクリスを頼んだぞ!」
ノイズは紫龍と氷河とマリアに任せ、翼は浮かんでこないクリスを助けに向かった。
クリス「(ちっくしょう…引きずり込まれた…。息ができねえ…何とかしないと…。くそっ…、水の中を自由に動けりゃいいのに…)」
翼「(雪音!くっ、どこだ!早く見つけないと…!)」
海に潜った翼だが、潮の流れのせいで進めなかった。
翼「(くっ…潮の流れが速い!このままでは!)」
一旦、翼は海から出た。
翼「くっ!待ってろ雪音!今すぐ…(私はもう誰も失うものかの決めたのだ!)」
翼はギアを纏うために戦いの歌を唄うと、翼のギアも水着型になったのであった。そして、海に飛び込んだ。
翼「(ん?なんだこれは!水の中で思うように動ける…。雪音、とらえた!)」
何とか翼はクリスを助け出した。
クリス「ぶはっ!はぁ、はぁ…」
翼「しっかりつかまれ、雪音!」
氷河「2人共気を付けろ!そっちに新手のノイズが来ている!」
翼「くっ!一難去ってまた一難とは…」
クリス「(こんなとこじゃまともに動けねーじゃねーか!…けど、弱音吐いてる場合じゃねー。一か八かだっ!)」
いちかばちかでクリスはギアを纏った。そして、ノイズを一掃して戻ってきたのであった。
クリス「…まさかあたし達のギアまで水着型に変わるなんてな」
翼「ああ、一体どうなっているのか…」
マリア「でも、怪我の功名じゃないかしら?どう?水着型の感想は」
クリス「こんなに変わるなんて思わなかった。凄いな、ほんと…」
翼「ああ、予想以上の動きやすさだ」
マリア「ふふ、でしょう?」
クリス「これなら、ノイズがどれだけ来ても楽勝だな」
紫龍「ああ。それと」
そんな中、聖遺物の欠片がまた見つかった。
マリア「それは…新たな聖遺物の欠片!?」
クリス「もしかして、さっきのノイズの群れの中に?」
紫龍「だとすれば、聖遺物の影響を受けたノイズがいたのだろうな」
話している間に2m近い魚を獲ってきたクリシュナが海から戻ってきた。
翼「で、でかいぞ!!」
クリス「マグロを獲ってきたのか!?」
クリシュナ「正確にはキハダマグロだ。どれ、俺が捌くとしよう」
紫龍「氷河は地面の一部を凍らせてくれ」
氷河「ああ」
氷河は凍気で砂浜の一部を凍らせた。
翼「これは氷のテーブルと椅子か!」
クリス「こういった時に歩く冷凍庫の氷河がいたのは大助かりだ!」
氷河「あ、歩く冷凍庫だって!?」
クリシュナ「さて、行くぞ!とあああああっ!!」
華麗な槍捌きでクリシュナはキハダマグロを一気に解体し、6人分に切り分けたのであった。
マリア「南国でマグロの仲間の刺身を食べられるなんて…」
クリシュナ「火を通すというのもあるが、どっちにする?」
翼「いや、キハダマグロの刺身を食べた事は今までない。刺身のままで食べさせてほしい」
クリシュナ「わかった」
一同はキハダマグロをおいしく食べたのであった。
市街地
そして翌日、響は課題に苦戦していた。
響「なんでこんなに課題が出るんだろう…?」
未来「授業を抜けたり、休んだりする事が多いからでしょ」
瞬「きちんとこなさないとこんな感じで泣く事になるんだよ」
響「ふえ~ん、星矢さん達聖闘士が羨ましい~!」
孤児であるために幼少期に修行地に送られ、聖闘士となった星矢達が響には羨ましかった。
瞬「でも、聖闘士になるには地獄のような修行を数年間も受けないとダメなんだ。こっちの方が天国だと僕は思うよ」
響「そんな~!あたし、呪われてるかも…」
瞬「とにかく、ノイズ退治は僕と星矢に任せて響は宿題をやるんだよ」
未来「響の事は私が見ておきます」
瞬「うん。君達も僕と一緒に勉強したくなったら来てもいいんだよ」
瞬の笑みと共に未来も笑みを浮かべたが、響は愕然とする一方であった。
S.O.N.G潜水艦
聖遺物の欠片をまた見つけたため、翼達は一旦期間した。
エルフナイン「また聖遺物の欠片を見つけたのですね?」
翼「混乱した状況での発見だったため、前回同様ノイズが落としたものかは確証がないが、見てくれるか?」
聖遺物の欠片をエルフナインに診せた。
エルフナイン「…これは前に発見された欠片と同一の聖遺物の一部分に間違いないみたいです」
氷河「となれば、他にもまだ欠片を持ったノイズが?」
弦十郎「どう思う?エルフナイン君」
エルフナイン「はい、その可能性は高いです。ただ、ノイズが聖遺物を取り込むような事はありませんので、あくまでも聖遺物の影響によるものだと考えられます」
紫龍「聖遺物の影響だと?だが、完全聖遺物でもないのに聖遺物が他に影響を与える事はあるのか?」
エルフナイン「頂いていた聖遺物の欠片を調べてみたところ、微弱ながらエネルギーのようなものを纏っていたんです」
マリア「それは…この聖遺物が起動しているという事なの?」
エルフナイン「本来はあり得ない事なんですが、この聖遺物は欠片の状態でも起動を維持できるのかも知れません。装者の皆さんが持つ聖遺物の欠片から作られたマイクユニットは歌の力で活性化しますが…この聖遺物も何らかの条件下で活性化し、起動すると考えられます」
氷河「欠片の状態でも起動する聖遺物は放置しておくわけにはいかないな…」
エルフナイン「はい。並行世界の危機とこの砕けた道の聖遺物…。無関係という事はないと思います」
沙織「でしょうね。私もこれはギャラルホルンのアラートにも関係していると考えた方が自然です」
マリア「あの…もう一つ報告したい事があるんだけど」
マリアは水着型のギアの事を報告した。
エルフナイン「なるほど、水着型のギア…。ギアには装者の心象が反映されます。恐らくですが、その時の心象が関係しているものかと」
マリア「心象が反映される…」
それぞれ、水着型のギアになったきっかけを思い出していた。
エルフナイン「その強い想いにギアが反応し、シンフォギアのロックが一部解除されたんでしょう」
そして、エルフナインのデータ収集に付き合う事となった。
翼「構わない。私達もいきなりで手探りだからな。わかった事があったら教えてほしい」
エルフナイン「はい、ありがとうございます」
クリス「…で、どうしてこいつらがついて来てるんだよ?」
響達もいたのであった。
響「そんなの、見たいからに決まってるよ!クリスちゃん達の水着!」
クリス「水着じゃなくて水着型のギアだ!」
マリア「あなた達も?」
調「どんなギアなのか興味があって」
切歌「水着型なんて面白そうなもの、見逃す手はないのデス!」
紫龍「だったら、訓練の相手になってやれ」
星矢「どんなギアだろうな…」
そして、訓練が始まり、エルフナインはデータ収集を行ったのであった。
エルフナイン「数値的な出力は変わりませんが、砂地や水辺への対応力が増していますね…。局地対応型のギアと言えます」
翼「確かに、足場が不確かでも落ちる事にない機動力は素晴らしいな」
マリア「ええ、それに暑さの遮断もね。地味だけど体力を削られないというのは大きいわ」
クリス「向こうにはピッタリのギアだよな」
翼「ああ。この機動性こそ、このギアの最大の利点だな」
響「ふっふっふ…違いますよ、翼さん!そのギアの本当の力、本当の魅力はそんな事じゃないです!」
翼「本当の力…?」
クリス「他にも何かあるってのか?気付いたなら言ってみろよ」
マリア「興味あるわね」
響「そのギアの本当の力は…可愛いって事です!」
マリア「か、可愛い…?」
切歌「た、確かにそうデス!」
調「意外な盲点…」
響「可愛いは正義!水着っぽいギアだなんて、みんなの魅力120%増しです!」
クリス「バカかっ!?」
クリスは響に拳骨した。
響「あいたっ!?」
翼「雪音、まあ殴らなくても…褒めてくれてるのだし」
クリス「ったく…何かと思えば…」
切歌「でも可愛いは大事デスよ!」
調「強くて可愛い。これ以上はない」
クリス「お、お前らまで…な、何言ってやがる…」
星矢「おや、照れてるんじゃないのか?」
瞬「やっぱりクリスも嬉しいんだね?」
クリス「んなわけあるか!どいつもこいつも…」
響「クリスちゃん、私にだけ厳しい…」
クリス「お前が言い出しっぺだろうが!」
マリア「何にしても、無骨であるよりはいいんじゃない?」
翼「そうだな」
オペレーター達からも水着型ギアは好評であった。そんな折、ノイズ警報が鳴った。
響「ノイズ!」
翼「司令、位置の特定は」
星矢「待てよ。翼達は並行世界の方へ行ってくれ。この場は響達に任せよう」
マリア「…わかったわ。頼むわね、3人とも。そして、星矢、瞬」
星矢「ああ!」
瞬「マリアさん達も気を付けて」
響達はノイズ殲滅に向かい、マリア達は並行世界へ向かった。
島
マリア達は待っていたクリシュナと合流した。
マリア「みんなのためにも、私達はいち早くこの島での問題を片付けないといけないわね」
クリス「余裕だろ、こっちにゃ水着型があるからな!」
クリシュナ「慢心していると、足元をすくわれるぞ」
クリス「てめえは小言が多いんだよ!」
そう言ってると、セイレーンの歌が聞こえ、ノイズが現れた。
翼「早速出迎えとは。この島のノイズの異常発生が異変の元凶なのかもしれないな」
マリア「何にしても、ホスピタリティを忘れないノイズだこと」
氷河「歓迎するにしてもワンパターンだな!」
紫龍と氷河は聖衣を、クリシュナは鱗衣を、装者達はギアを纏ってノイズに向かっていき、殲滅したのであった。
翼「ノイズ殲滅を確認。今回は妙に数が少なかったことが気がかりだが…待て、人の声が聞こえる!」
助けを求める声が聞こえた。
クリス「今の声、誰か襲われてんぞ!」
クリシュナ「地元の人間の声だ!我々が戦ったのは陽動でそっちが本隊なのだろう!急いで向かうぞ!」
紫龍達は助けを求める声の方へ向かった。
翼「あれは…」
クリシュナ「この島の島民だ!紫龍、氷河、一気にスピードを飛ばして島民の方へ向かうぞ!」
紫龍達は一気にスピードを飛ばして助けを求めている漁師の元に駆け付け、ノイズと応戦したのであった。
漁師「ありがとうございます!あ、あんたはこの島で修業してる…」
クリシュナ「この場は俺達が引き受ける!」
漁師「とりあえず、船を降りて」
紫龍「船から降りるな!」
またノイズの群れが現れたのであった。
漁師「まただ!またノイズが来る!もうダメだ…!」
クリシュナ「諦めてはならない!我々がいるのだぞ!お前達も生きるための努力をするんだ!」
氷河「一般人には指一本触れさせん!」
紫龍達は後から駆け付けた翼達と共にノイズを殲滅したのであった。
漁師A「助かったよ、クリシュナさん」
クリシュナ「ふっ、俺とはそれなりの付き合いではないか」
漁師A「ノイズが来た時はいつもあんたに助けてもらってたからな」
漁師B「それよりクリシュナさん、その人達は?」
クリシュナ「今回、ノイズ退治に来た政府の秘密部隊…、とでも言うべきか」
漁師A「あんた達にもお礼を」
翼「礼は必要ありません。危難を討ち、人を護る事が私達の使命ですから」
紫龍「それより、この島の事を聞かせてください。ノイズはよく現れるのですか?」
クリシュナ「彼等はそのノイズ大量発生の原因を突き止めたいんだ。話せる事を話してほしい」
漁師A「わかった。この島は一部の漁師とその家族が住んでいた小さな漁師町だ。ノイズが増えたのはここ最近だな」
漁師B「ノイズが増えた事で一緒に住んでいた漁師たちはみんな、逃げるように島外へと移っていきました」
翼「どうしてあなた方はここに?」
漁師A「俺達はこの島が好きなんだよ。それをノイズなんかに奪われちまうのが許せないんだ」
クリス「確かにすげえ綺麗な島だよな。魚もたくさんいるし…」
クリシュナ「俺も今まで訪れた場所の中でもこの島は最高の場所だから住み着く事にしたんだ」
漁師A「前まではノイズの目撃なんて稀で、例え見かけても島の外でだったんだ。それが、最近じゃ普通に島の中にも現れやがる」
マリア「急にノイズが増えたっていうのが気になるわね」
漁師B「それなんですが、沖でおかしな黒い影が現れてからなんです。ノイズの数が急に増えだしたのは」
紫龍「おかしな黒い影?」
漁師A「船で沖に出た時に見たんだが、黒くバカでっかい影があって、そこからノイズが大量に…こりゃー大事だと」
漁師B「ええ、その時はクリシュナさんは魚を獲りに出かけてて、我々で何とかできないかとご神体の銛を使ったんですが、砕けてしまって…」
クリス「ご神体?なんだかわかんねえけど、いくら何でもクリシュナがいない時にノイズ相手に立ち向かうなんて無茶だろ!」
マリア「そうだったのね…。ところでその黒い影とご神体について詳しい話を聞かせてくれない?」
漁師A「黒い影についてはよくわからんが…。水面下にいて、漁船よりさらに大きい影だったって事くらいしか…」
氷河「船よりって…相当なサイズだ」
漁師B「ええ。なんでご神体を使うしかと…ご神体はこの島で祀られている銛でして」
漁師A「元々島の地下にある神殿に祀られていたんだが、ちょうど祭りのために地上に運んであったんだ。でも、黒い影には通じず、あまつさえ砕けた欠片を取り込まれてしまって…。思えばノイズが島の中に現れるようになったのはご神体が砕けてからかも知れません」
クリシュナ「ノイズ大量発生の原因はそれだったのか…」
翼「欠片…それはもしかして、このくらいの大きさの」
翼は聖遺物の欠片の大きさを聞いてみた。
漁師B「そ、そうです。それくらいの大きさです」
マリア「私達が見つけた不思議な聖遺物の欠片…恐らくそれがそのご神体ってわけね」
クリス「その欠片ってどんくらいあるんだ?」
漁師B「砕けた時の大きさ的に多分5つくらいかと」
翼「化け物の現れる前に聞こえるあの唸り声に心当たりは?」
漁師A「あの音…薄気味悪い唸り声の事か?ありゃ、悪魔の歌声だと地元では呼んでる」
漁師B「ノイズが大量に現れるようになってから、聞こえるようになったんです。だから悪魔の歌声と…」
紫龍「…やはりあの声とノイズには関係があるようだ」
クリシュナ「この件は俺と政府のエージェント達が解決する。ここは危険だから、当分の間は近づいてはならない」
漁師A「クリシュナさん、いつも漁とかを手伝ってくれるばかりか、ノイズ退治まで引き受けてくれてありがとうございます」
クリシュナ「困った事があったらお互い様だ」
翼「必ずこの事態を収拾してみせましょう」
行こうとした矢先、漁師が止めた。
漁師A「あと、奇妙な事がもう一つあるんだ」
氷河「奇妙な事?」
漁師B「悪魔の歌声が聞こえるようになってから、何の前触れもなく大嵐になる時もあってな」
漁師A「これも何かの異変ではないかと…」
紫龍「わかりました。それも調査しましょう」
そして、夕方になった。
マリア「さっきの話。聖遺物の事のノイズの関係性…どう思う?」
クリス「ノイズが島には近づかないって話か?」
マリア「ええ。この島には神殿があって、そこに聖遺物が祀られていた。その聖遺物が砕けてから、ノイズが島に押し寄せるようになった。関係あると思わない?」
クリシュナ「俺はあると思っている。その聖遺物がノイズを遠ざけていたと考えた方が自然だ」
紫龍「そしてそのきっかけとなった巨大な黒い影…。これほどわかりやすい異変もないな」
クリス「つまり、そいつを倒せばこの異変は治まるって事か?」
氷河「その可能性は高い。それに、砕けた聖遺物の欠片も集めなければ…」
翼「目的は黒い影の調査及び撃退と、聖遺物の欠片の回収というわけだな」
紫龍「ああ」
翼「…なあ、黒い影というのは、カルマ化したノイズではないだろうか?」
クリス「カルマノイズって前にもあったあれか?」
翼「ああ。確証はないが、前回同様、異変の核としてギャラルホルンが感知した可能性はあると思う。しかし、仮にカルマノイズだったとして、このような人の少ない場所に現れるものだろうか…?」
マリア「カルマノイズについては、まだまだ不確定要素の塊よ。何が起きても不思議じゃないわ」
氷河「そうだとすれば、翼達はイグナイトは使えないぞ」
クリス「だとしても、あたしらには水着型があんだろ!それに紫龍達もいるし、カルマノイズが来たってぶっとばしてやらあ!」
クリシュナ「それと、漁師の言ってた何の前触れもない大嵐も気になる。これは何かの前触れでなければいいのだがな…」
南の島には様々な謎がいっぱいであった。
これで今回の話は終わりです。
今回は水着型ギアの変化と地元の漁師からの情報収集を描きました。
だいたいは本編と同じですが、何の前触れもない大嵐は作中でもある通り、何らかの前触れになります。
次の話は響達が合流します。