セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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113話 過去と未来の狭間で

海上

 

 氷河が回収した愚者の石はフジツボがこびりついていたために取り除く作業が必要となり、愚者の石の回収作業は続けられていた。

 

切歌「うーん…」

 

 そんな時、反応があった。

 

切歌「おひょっ?」

 

調「よし、切ちゃん。まずは落ち着こう」

 

切歌「おひょ~~!!」

 

 調の制止も聞かずに切歌は愚者の石を見つけようとしたために泥が調にひっかかってしまった。

 

切歌「デェーース!」

 

エルフナイン「あっ!?見せてください!うわああああっ!」

 

 今度はエルフナインが転んでしまった。

 

氷河「おいおい…」

 

パルティータ「落ちついてね…」

 

響「こっちは見てらんない…」

 

 エルフナインは切歌の拾ったものが愚者の石かどうか見た。

 

エルフナイン「そうです。これが賢者の石に抗う僕達の切り札、愚者の石です!」

 

響「すっかり愚者の石で定着しちゃったね…」

 

未来「そうだね…」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 装者達はシャワーを浴びていた。

 

切歌「かあー!五臓六腑に染み渡るデス」

 

調「さすが石の発見者はいう事が違う」

 

響「そういえばエルフナインちゃんは?」

 

クリス「まっ裸でマッハな鴉の行水だ」

 

マリア「泥に塗れた奇跡を輝かせるために」

 

 エルフナインはパルティータと共に対消滅バリアを組み込む作業を行っていた。

 

翼「対抗手段。対消滅バリア」

 

未来「愚者の石の特性で響達がイグナイトを使えるようになれば、勝利できる…」

 

響「(だとしても、まず…)」

 

 ちょうどシャワーを浴び終わり、着替え終わった時に美衣が来た。

 

美衣「クリスさん、先程グラード財団の病院から連絡が来ました」

 

クリス「連絡?あたしに?」

 

美衣「ソーニャさんとステファンさんが帰国前に面会を求めているのですが…」

 

クリス「わりぃ。それなしで頼む」

 

美衣「…それでよろしいのですか?後悔しますよ」

 

クリス「それでいいに決まってるだろ」

 

未来「クリス…」

 

クリス「過去は過去。選択の結果は覆らない」

 

翼「だからとて目を背け続けては今なす事ですらおざなりになってしまうぞ」

 

 集合場所へ向かう途中で氷河が待っていた。

 

クリス「氷河…」

 

氷河「クリス。俺もかつて、友の片目を失わせてしまった罪悪感で為すべき事を放棄しようとした。だが、逃げてばかりではどうにもならない。しっかり向き合うんだ」

 

クリス「クールぶってる奴が随分と熱いセリフを吐くな。ご忠節が痛み入るね」

 

氷河「そうしていると絶対に後悔するぞ…」

 

???「うむ、揃っているようだな」

 

 そこには弦十郎が待っていた。

 

響「師匠?何ですか?藪から棒に」

 

弦十郎「全員トレーニングルームに集合だ」

 

装者一同「はあ?」

 

クリス「トレーニングって……。オッサン、愚者の石も見つかった今、今更が過ぎんぞ」

 

弦十郎「これが映画だったら、たかだか石ころでハッピーエンドになるはずがなかろう」

 

クリス「何だよ、それ」

 

 弦十郎と共にいた紫龍が立ち上がった。

 

紫龍「愚痴を言う暇があるのなら、さっさと行ってこい」

 

 

 

ホテル

 

 カリオストロは負傷したプレラーティの治療をしていた。

 

カリオストロ「(サンジェルマン、あの時の動揺は半端じゃなかったわ…)」

 

 アダムとサンジェルマンの会話を盗み聞きしていたカリオストロはアダムの『2人がダメというのなら…あの女を使ってもいいんじゃないかな…?』という言葉にサンジェルマンがかなり動揺していた様子を見てしまった。

 

カリオストロ「(あいつの言うあの女がサンジェルマンの師匠なら、寝言の件と組み合わせればもしかしてサンジェルマンは…)」

 

 推測をしていると、ちょうどサンジェルマンが来た。

 

サンジェルマン「プレラーティの修復は?」

 

カリオストロ「順調よ。時間は少しかかるけど」

 

サンジェルマン「同じ未来を夢見た仲間…」

 

カリオストロ「そうね。困っているのならどうにかしてあげたいし、仲間を傷つける奴は許さない。あーしも腹を括ったわ」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 早速、トレーニングルームで装者一同の訓練が開始された。

 

あおい「トレーニングプログラム、開始します」

 

 ホログラムのアルカノイズが出現し、7人とも向かっていった。切歌は災輪・TぃN渦ぁBェルを、調はα式 百輪廻を放ち、他の面々も次々とアルカノイズを蹴散らしていった。

 

調「私と切ちゃん、二人の歌を重ねれば…!」

 

切歌「ザババの刃は相手を選ばないのデス」

 

響「私達だって調ちゃんと切歌ちゃんに負けてないよね?未来!」

 

未来「うん!」

 

マリア「だからって、大人げない」

 

 ふと、装者達が視線を向けた。その先には弦十郎がいたのであった。しかも、紫龍と氷河は2人共壁に寄りかかって見ていた。

 

弦十郎「今回は特別に俺が訓練をつけてやる!遠慮はいらんぞ」

 

クリス「はぁ…」

 

弦十郎「こちらも遠慮なしで行く!」

 

 早速、弦十郎はマリアに連打をかけてきたためにマリアは防いだものの、吹き飛ばされた。

 

マリア「どうすればいいの!?」

 

弦十郎「うおおおおっ!とぅっ!」

 

マリア「ああっ!」

 

 弦十郎のキックでマリアは吹っ飛ばされた。

 

翼「マリア!」

 

調「人間相手の攻撃に躊躇しちゃうけど…」

 

切歌「相手が人間かどうか疑わしいのデス」

 

響「師匠、体打をお願いします!はああああっ!」

 

クリス「張り切るな、特訓バカ!」

 

未来「私も行くから、先走らないで!」

 

 響が先走ったため、慌てて未来も出て、2人同時に攻撃を仕掛けたが、同時攻撃もかるくいなされていた。

 

響「はっ!たあっ!」

 

未来「ふっ、やあっ!」

 

弦十郎「響君は唐突に任せるな!そして未来君は動きを合わせるなら、もっと思いっきりがいいぞ!」

 

翼「司令は手を合わせ、心を合わせる事で私達に何かを伝えようとしている!」

 

 そして、響のパンチと未来の扇による打撃をそれぞれ片手で受け止めた。

 

弦十郎「ふん!」

 

響「うわっ?」

 

未来「えっ?」

 

弦十郎「ほいよっと」

 

 2人はそのまま弦十郎に投げ飛ばされた。

 

響「うわああああっ!」

 

未来「きゃあああっ!」

 

翼「だが、その前に……私の中の跳ね馬が躍り高ぶる!はああああっ!」

 

 斬りかかった翼だが、弦十郎は紙一重でかわし、その後も躱し続けて遂には白刃取りで受け止めてしまった。

 

翼「お見事!」

 

弦十郎「ふん!てりゃあっ!」

 

 そのまま翼は当身を受け、吹っ飛ばされた。

 

クリス「ほたえたな、オッサン!」

 

 クリスはMEGA DETH PARTYを放ったものの、弦十郎はなんと、ミサイルをすべてキャッチしたのであった。

 

弦十郎「おおりゃあああ!」

 

 そして、反撃として投げ返した。

 

クリス「嘘だろ!?」

 

 投げ返されたミサイルは爆発してクリスは爆風で吹っ飛ばされた。

 

弦十郎「数をばら撒いても、重ねなければ積み上がらない!心と意を合わせろ!爆進!」

 

 切歌と調は何もできないまま、弦十郎の脚振にやられたのであった。

 

弦十郎「忘れるな!愚者の石はあくまでも賢者の石を無力化する手段に過ぎん!」

 

紫龍「もしも、錬金術師の方が地力が上であれば、イグナイトが使えても無意味だ」

 

弦十郎「さあ、準備運動は終わりだ!」

 

響「え?じゃあ今のは…」

 

弦十郎「本番は…ここからだ!」

 

 そう言って英雄故事というテープがセットされたラジカセを用意し、スイッチを入れた。

 

 

 

神社

 

 どこかの神社でティキはホロスコープを映し出していた。

 

ティキ「7つの惑星と7つの音階。星空はまるで音楽を奏でる譜面のようね!」

 

アダム「始めようか。開闢の儀式を……」

 

 肩を出しているサンジェルマンの方へアダムが手をかざすと赤い円が浮かび、血が滲みだした。

 

サンジェルマン「ううっ…くっ!」

 

アダム「そろそろ選ばなくてはね。捧げる命はどちらなのかを。もしくは…あの女にするかを」

 

 やはりアダムのいうあの女にサンジェルマンはかなり動揺した。

 

アダム「さてシンフォギアだよ、気になるのは」

 

カリオストロ「あーしが出るわ。儀式で動けない人と負傷者には任せられないじゃない」

 

アダム「あるのかな?何か考えでも」

 

カリオストロ「相手は肌に悪いくらいの強敵。もう嘘はつきたくなかったけど…搦め手で行かせてもらうわ。杳馬を使ってもいいかしら?」

 

アダム「いいよ。杳馬も暇だから」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 翌日、翼とクリスは指定の建物へ送迎してもらい、残りの装者達は対消滅バリアの機能が組み込まれたギアが手渡された。もともとギアにイグナイトが搭載されていない未来の神獣鏡に対消滅バリアは不要であったため、搭載されなかったが。

 

響「これが…」

 

エルフナイン「はい。急ごしらえですが対消滅バリアを組み込みました」

 

調「見た目に変化はないけれど」

 

切歌「これで賢者の石には負けないのデス」

 

エルフナイン「お二人には先に渡しておきました。お知り合いに会いに行くそうなので」

 

未来「ステファンの事ね」

 

パルティータ「もうあの2人には伝えたけど、ここから先の説明はよーく聞いてちょうだい」

 

 

 

建物

 

 クリスと翼はステファンとソーニャに会っていた。

 

ステファン「今日の夕方の便で帰るんだ。でも、その前に…この事を伝えたかった」

 

 パルティータの錬金術による再生治療により、ステファンの足は元通りになっていた。

 

クリス「(足が…元通りになってる…!)」

 

ステファン「ほんと、俺自身も自分の足が再生したのを見た時は夢じゃないかって思ったぐらいだったよ!」

 

 

 

回想

 

 それは、ヒュドラ型アルカノイズ戦の最中であった。手術室の手術中のランプが消え、ステファンを車いすに乗せてパルティータが出てきた。

 

ソーニャ「ステファンの足は再生したんですか?」

 

パルティータ「……ええ、再生したわ」

 

 失ったステファンの足が元通りに再生していたため、ソーニャは涙を流した。

 

パルティータ「でも、失った四肢が再生する事は数千年錬金術を極めた私だからこそできた事で本来はあり得ない事。再生した足、大切にするのよ」

 

ステファン「ああ、大切にするさ!」

 

 

 

ステファン「足が元通りになったから、早速リハビリをやってるんだ」

 

クリス「そうか」

 

ステファン「早くリハビリを終えないとな!」

 

 立ち上がってリハビリをしようとしたステファンだったが、ソーニャが慌てて止めようとした。

 

ソーニャ「ステファン、無茶しすぎよ!そんなに急がなくても」

 

ステファン「俺、病院にあった『ある障害者の記録』って本を見て、その障害者に負けてられないって思ったんだ!」

 

ソーニャ「だからって、対抗心を燃やさなくても…」

 

ステファン「病院の人にその障害者について聞いてみたら、爆発事故で身体がバラバラになったけど奇跡的に助かって、動かない手足を元のように動かすために長距離のハイキングをしたりと途方もないリハビリをしたってあったんだ。だから、俺も負けてられないんだ!」

 

クリス「とんでもねーバカやってんな…。って、爆発でバラバラだって!?」

 

翼「そんな事があり得たのか…?(それに『ある障害者の記録』…。確か、今は亡き名医が書いた本だったな…)」

 

ステファン「ほんとはその障害者に会ってみたかったし、内戦のない国ってのをもう少し見たかったけど、姉ちゃんの帰りを待ってる子達も多いからさ」

 

クリス「ん?」

 

翼「彼女は雪音のご両親やアリシアのご両親を始めとしたNGO団体メンバーの遺志を継ぎ、家や家族を失った子どもたちを支援しているそうだ」

 

クリス「え?」

 

 

 

回想

 

 まだクリスの両親とアリシアの両親、そしてNGO団体のメンバーが生きていた頃、ソネットとアリシアの母親は共に歌を唄い、雅律とアリシアの父親は共にバイオリンを弾いてクリスやアリシア、ソーニャを始めとした子供達を笑顔にしていた。

 

クリス『パパとママ、そしてアリシアの両親を始めとしたNGO団体のメンバーの遺志を継いで……』

 

 他の村の支援のためにアリシア一家とNGO団体のメンバーが村から離れた直後、支援物資に紛れた爆発物によってクリスの両親は帰らぬ人となった。その数日後、二人の後を追うかのようにアリシアの両親とNGO団体のメンバーもブリル協会の戦闘員に殺されてしまった。詳細は隠された上でその事はクリスと逸れた直後のソーニャにも伝わった。

 

ソーニャ「そんな…!クリスの両親だけでなく、みんなまで死んでしまったなんて…!」

 

 悲劇の連続に泣くのを通り越し、ソーニャは放心状態になってしまった。

 

 

 

クリス「(わかってた…。ソーニャお姉ちゃんのせいじゃないと。なのに…あたしも死んだアリシアも…)」

 

 それから、クリスは何か言おうとしたが、その直後に窓が爆発し、アルカノイズが出てきた。

 

翼「アルカノイズ!?」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 本部でもアルカノイズ出現をキャッチした。

 

朔也「第7区域にアルカノイズの反応を検知!天羽々斬とイチイバルは即時対応を!」

 

あおい「響ちゃん達もそちらにむかっているわ」

 

慎次「避難誘導の要請をお願いします」

 

 

 

建物

 

 早速、アルカノイズは攻撃をしていた。

 

クリス「2人は早く避難を!」

 

ソーニャ「わかったわ」

 

クリス「ムシャクシャのぶつけ所が!」

 

 クリスと翼はギアを纏い、戦闘を開始した。

 

ステファン「凄い……」

 

 そんな中、瓦礫がソーニャとステファン目掛けて落ちてきた。一方、クリスと翼は外でアルカノイズと戦闘を繰り広げていたが、カリオストロの攻撃が飛んできて、カリオストロが現れた。

 

カリオストロ「ノコノコとおびき出されたわね」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 カリオストロの出現は本部でも確認された。

 

朔也「敵錬金術師とエンゲージ!」

 

慎次「ですが、単騎での作戦行動?」

 

あおい「陽動?何かの囮でしょうか?」

 

弦十郎「ぬぅ……?」

 

 発令所にはパルティータの姿もあり、カリオストロの動向を注視していた。

 

 

 

建物

 

 カリオストロの攻撃をクリスと翼はよけながら走っていた。

 

翼「雪音!建物に敵を近づけさせるな。逃げ遅れた人達がまだ!」

 

クリス「わーってる!」

 

 矢の雨をカリオストロに撃ち込んだがカリオストロは踊るように避け、クリスの後ろに回り込んだ。

 

クリス「ちょこまかと!」

 

 今度は距離をとるカリオストロにクリスはボウガンを向けたが、その先には建物があった。

 

カリオストロ「口調ほど悪い子じゃないのね」

 

クリス「なっ!?」

 

 そのままカリオストロは光弾でクリスを吹っ飛ばした。

 

翼「雪音!」

 

 駆け寄ろうとしたが、アルカノイズが邪魔してきた。

 

クリス「が…は……」

 

カリオストロ「嫌いじゃないけど殺しちゃお」

 

 そう思った矢先、蛇腹剣の攻撃が飛んできてカリオストロは回避した。すると、響達が来たのであった。

 

響「大丈夫!?クリスちゃん!」

 

クリス「遅えんだよ、バカ」

 

 そして、調と切歌、未来の攻撃でアルカノイズが一掃された。

 

未来「遅くなってすみません、翼さん!」

 

翼「すまない、小日向、月読、暁」

 

調「たまには私達だって」

 

切歌「そうデス!ここからが逆転デス!」

 

カリオストロ「そうね。逆転劇はここからよね!出てらっしゃい、杳馬!」

 

 カリオストロに呼ばれ、杳馬が出てきた。

 

響「杳馬!」

 

マリア「この男が杳馬…!」

 

調「いかにも邪悪な男って感じがする…!」

 

杳馬「やあやあ、三色団子のお嬢ちゃん達は俺との対面は初めてだねえ」

 

切歌「また三色団子って言われたデス!」

 

未来「何をしに来たの!?」

 

杳馬「7対1で戦ったらすぐにシンフォギア装者のお嬢ちゃん達が勝つじゃん。だから…、大半は退場してもらおうか!」

 

 そう言って杳馬は黒い渦を目の前に発生させた。

 

翼「この渦は…!」

 

響「星矢さんと紫龍さんを中国へ飛ばした技だ!」

 

未来「吸い込まれる…!」

 

 あっという間にクリスとマリア以外は渦に飲まれてしまった。

 

クリス「バカ達をどこへやった!?」

 

杳馬「さあね、どこへ行っちゃったのかは教えないよ~~!じゃ、俺はこの辺で」

 

 そう言って杳馬は姿を消した。

 

マリア「消えた…」

 

カリオストロ「ふふ…紅刃のシュルシャガナと碧刃イガリマのユニゾン。プレラーティが身をもって教えてくれたの。気をつけるべきはこの2人って。そして、錬金術を分解してくる神獣鏡がいなかったら、もう錬金術を無力化される事もなくなるわよ!」

 

クリス「それはまた随分と」

 

マリア「私達も舐められたものね」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 杳馬によって響達がどこかへ飛ばされた事にまたしても発令所に衝撃が走った。

 

弦十郎「5人はどこにいる?」

 

朔也「それが…東シベリアで反応がキャッチされました!」

 

弦十郎「シベリアだとぉ!?」

 

沙織「今すぐ移動手段の手配を!」

 

 

 

東シベリア

 

 響達は杳馬によって氷河の故郷ともいうべきシベリアに飛ばされていた。

 

切歌「ぎょえ~~~~っ!!ここが氷河の故郷のシベリアデスと~~!」

 

調「辺り一面氷ばかりだし、寒い…!」

 

 切歌と調はあまりの寒さに互いに抱き合って寒さに耐えていた。

 

響「今度は私達が飛ばされるなんて、ぶるる……」

 

未来「翼さん、これからどうしたら…?」

 

翼「本部に連絡する以外、方法はあるまい」

 

 そう言ってると、通信が入った。

 

沙織『こちらで移動手段の手配をします。なので、急いで空港まで来てください』

 

翼「了解!」

 

 急いで一同は空港へ向かった。

 

 

 

建物

 

 クリスとマリアの2人とカリオストロの戦闘は続いていた。飛び道具同士の攻撃のぶつかり合いの後、マリアが爆発の煙に紛れて一気に接近した。

 

マリア「この距離なら飛び道具は!」

 

クリス「接近する時は気を付けろ!そいつの本領は」

 

 クリスの忠告は間に合わず、カリオストロはかがんでマリアの攻撃をかわし、本領の接近戦に切り替えた。

 

カリオストロ「まさかの武闘派っ!ジェットォ、アッパ~~~ッ!」

 

マリア「があああああっ!」

 

 そのままマリアは空高く飛ばされ、その後に車田落ちした。

 

クリス「マリア!」

 

 すぐにカリオストロはクリスをパンチで吹っ飛ばした。

 

カリオストロ「ガッツポーズ!」

 

 クリスが吹っ飛ばされた先には逃げ遅れたソーニャとステファンがいた。

 

クリス「まだこんなところに!?」

 

ソーニャ「ステファンの車いすが…」

 

カリオストロ「ごめんね、巻き込んじゃって。すぐにまとめて始末してあげるから」

 

 クリスだけでなく、逃げ遅れたソーニャとステファンも巻き添えにしてカリオストロは始末しようとしていた。

 

クリス「そうはさせ…くっ…」

 

 カリオストロのパンチを受けたダメージは予想以上に大きかった。

 

ステファン「あっ!」

 

カリオストロ「ふふ…」

 

 不気味に迫るカリオストロだったが…。

 

ステファン「おおおおおおっ!!」

 

 まだリハビリの途中ではあったがステファンは立ち上がり、足元にあった椅子の破片をカリオストロ目掛けて蹴っ飛ばした。

 

カリオストロ「やけのやんぱち!?」

 

 すぐに防いだものの、その隙をクリスは逃さずに攻撃し、カリオストロは外へ出た。

 

クリス「何のつもりだ!?」

 

ステファン「クリスが2回助けてくれたから、俺も今クリスを助けられた!」

 

クリス「2回!?あたしは1回しか助けてねえぞ!」

 

ステファン「1回目は大雨が続いた時だ!あの時聞こえた歌を唄ってたのはクリスなんだろ!?クリスの声を聞いて俺は確信したんだ!」

 

 ステファンのいう、1回目がわからなかったクリスであったが、大雨という言葉を聞いてそれがアリシアとの戦いの時である事に気付いた。

 

ステファン「失った命は、過去はどうしたって変えられない。本当だったら、失くした足も変えられない!だけどこの瞬間は変えられる!きっと未来だって!」

 

ソーニャ「ステファン…」

 

ステファン「姉ちゃんもクリスも死んだアリシアも変えられない過去に囚われてばかりだ!俺はこの足で踏みだした!姉ちゃんとクリスは!?」

 

 ステファンが車いすに手を置くと、ソーニャが手を添えてくれた。そして、クリスも手を置き、ようやくわがだまりが解消されたのであった。

 

クリス「これだけ発破かけられて、いつまでも足を竦ませているわけにはいかねーじゃねえか!」

 

 一方、マリアは接近戦を仕掛けるカリオストロに大苦戦していた。

 

カリオストロ「これで止めよ!ブーメ」

 

 ところが、クリスが駆け付けて矢が飛んできたためにカリオストロは防御した。

 

マリア「襲い!だけどいい顔してるから許す!」

 

クリス「さっきのあれ、この本番にぶつけられるか!?」

 

マリア「いいわよ。そういうの嫌いじゃない。でも、ちゃんとパルティータから聞いた?」

 

クリス「ああ!」

 

 

 

回想

 

 それは、待ち合わせの場所に行く前の事であった。

 

パルティータ「2人には先に説明しておくけど、この対消滅バリアの機能は本来は役に立たない代物の力を無理に使ってるから、どんなバグが発生するのかわからないわ。イグナイトを使う場合、敵を必ず仕留める事。仕留めきれない場合に待っている結果は死だと思いなさい」

 

クリス「わかったよ。要は使いどころを間違えるなって事だろ?」

 

 その問いにパルティータは頷いた。

 

 

 

カリオストロ「何をゴチャゴチャと!」

 

 カリオストロはハートのエネルギー弾を拳で飛ばし、二人を吹っ飛ばした。はずであったが…

 

カリオストロ「ふふ…。あれ?」

 

 煙の中から出たのは、イグナイトを発動させたクリスとマリアだった。

 

カリオストロ「イグナイト!?ラピス・フィロソフィカスの輝きを受けて、どうして!?」

 

クリス「昨日までのシンフォギアと思うなよ!」

 

 ようやくイグナイトを使う事ができるようになり、二人の猛攻が始まった。しかし、ただ二人で戦うのとは違う様子である事をカリオストロは察していた。

 

カリオストロ「(これってユニゾン!?ザババの刃だけじゃないの!?)」

 

 2人の猛攻は続いた。

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 発令所でもモニターで確認されていた。

 

あおい「愚者の石によある対消滅を確認!イグナイト、解除されません!」

 

エルフナイン「うまくいきました!」

 

朔也「フォニックゲイン、相乗的に上昇中!ユニゾンの効果だと思われます!」

 

沙織「いけそうですね、司令」

 

弦十郎「ああ」

 

 

 

回想

 

 弦十郎のいう本番とは、ユニゾンの訓練であった。

 

弦十郎「調君と切歌君のユニゾンは強力。だからこそ、ロボの反乱の時のような分断が予想される。ギアの特性だけに頼るな!いかなる組み合わせであっても歌を重ねられるように!心を合わせるんだ!ギアの特性に関係なくユニゾンができた響君と未来君のように!」

 

 

 

美衣「それこそまさしく…」

 

弦十郎「絆のユニゾン」

 

 

 

建物

 

 激戦は続いていた。

 

カリオストロ「ラピスの輝きを封じた上にユニゾン?こんなのサンジェルマン達にやらせるわけには!やらせるわけにはぁ!!」

 

 クリスの猛攻を止めた後、カリオストロは高質量のエネルギーを溜めた。

 

マリア「高質量のエネルギー!?まさか相打ち覚悟で!?」

 

カリオストロ「あーしの魅力は、爆発寸前!!」

 

 両手を合わせ、凄まじいエネルギーでカリオストロは飛行した。それに対抗するべく、クリスはマリアとの合体技、Change the Futureを発動させた。そして、カリオストロと空中で何度もぶつかった。

 

カリオストロ「うおおおおおおおっ!!」

 

 互いに勝負を決めるべく、激突した。マリアとクリスはカリオストロに少し押されていたが…

 

ステファン「今を超える!」

 

ソーニャ「力を!!」

 

 二人の声が聞こえたのか、クリスはマリアと共に最後の力を振り絞り、カリオストロを打ち破ったのであった。

 

カリオストロ「ああああああああ!!!」

 

 そして、大爆発し、マリアとクリスは着地した。

 

マリア「やったわね…?」

 

クリス「ああ……」

 

 しばらくした後、飛行機から響達が降りてきた。

 

未来「クリス!」

 

切歌「マリア!」

 

クリス「どこほっつき歩いてたんだよ…!」

 

響「それが…ロシアのシベリアに飛ばされて…」

 

マリア「ロシアですって…?」

 

 勝負が終わり、笑いあっていたが、調の方は暗い様子だった。

 

未来「翼さん、訓練の時から調ちゃんの様子が…」

 

翼「確かに、そうだな…」

 

 

 

空港

 

 そして、ステファンとソーニャは帰国する事となった。

 

ステファン「結局、その障害者とは会えなかったか…」

 

ソーニャ「その人ともいつか会えるわよ、きっと」

 

ステファン「そうだな。生きてりゃ、いつか会える!」

 

 いつかその障害者に会えると思うステファンとソーニャであった。進んでいくとふと、黒いコートの男とすれ違い、ステファンは足を止めた。

 

ソーニャ「ステファン、立ち止まっていると乗り遅れるわよ!」

 

ステファン「ごめん、姉ちゃん!今行く(さっきの人、どこに…?)」

 

 すれ違った黒いコートの男はもう見当たらず、急いで先へ進んだステファンだった。ステファンとソーニャが乗った飛行機を見送るクリス達であったが、その近くをステファンとすれ違った黒いコートの男が通った。

 

クリス「ん?誰か通らなかったか?」

 

翼「気のせいではないのか?」

 

クリス「気のせい…か…」

 

 

 

神社

 

 サンジェルマンとアダムは儀式の最中であった。そこへ、杳馬が来た。

 

アダム「杳馬か」

 

杳馬「訃報だよ…。実はカリオストロちゃん、やられちゃったんだ…」

 

サンジェルマン「そんな!?カリオストロが!?」

 

アダム「省けたね、選択の一手間が。贄と捧げるはプレラーティ。ちょうどいいね、怪我もしてるし」

 

サンジェルマン「あなたはどこまでも!」

 

 拳を振り上げたサンジェルマンだが、杳馬が立ちはだかった。

 

杳馬「んはははっ!そうだよ、俺もアダムも人でなしさ。全くもって正しいねえ、君の見立ては」

 

 そう言って杳馬はサンジェルマンを吹っ飛ばした。

 

ティキ「アダムの人でなしー!ろくでなしー!悪い男はいつだって女の子にモテモテなのよね」

 

アダム「旧支配者に並ぶ力だよ、神の力は。手に入らないよ、人でなしくらいじゃないと」

 

 不敵に言うアダムであったが、杳馬の目はアダムを見下していた。

 

 




これで今回の話は終わりです。
今回の話はソーニャとクリスのわがだまりが解けるのと、カリオストロとの戦いを描きました。
弦十郎との戦闘はXD時空なので未来も加えましたが、響共々あっけなくやられる役回りになっています。
また、今回ステファンが入院中に読んでいた『ある障害者の記録』や空港でステファンとすれ違った黒いコートの男は一体何者なのか(すっとぼけ)?
次の話は調と翼のユニゾン、そしてプレラーティとの戦いとなります。

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