S.O.N.G潜水艦
戦場の様子がモニターに映され、切歌は慎次と救護班によって回収された。
あおい「あっ!救護班、切歌ちゃんの回収を完了!」
調「よかった…」
切歌が回収された事に一同は安心した。
弦十郎「付近住人の避難は!?」
朔也「間もなくです。急がせています!」
翼「あんなものが神を冠する力だというのか…!」
マリア「間に合わないの…?」
星矢「だったら、俺達の出番だ!」
そう言って星矢達は立ち上がった。
紫龍「神の力とて、タナトスとヒュノプスの双子神、そして冥王ハーデスなどといった正真正銘の神には及ばないだろう!」
氷河「ならば、俺達の付け入る隙はある!」
クリス「それに、こっちにも神殺しって対抗策があったはずだろ!?」
沙織「グラード財団でバルベルデドキュメントの解読作業が進行中で、緒川さんの指示で調査部が動いています!新しい情報がわかり次第、伝えると向こうから連絡をもらっています!」
弦十郎「よし、動けない装者達に代わって、聖闘士に出撃を命じる!」
星矢「任しとけ!」
星矢達は出撃した。
街
響達はアダムと杳馬の2人と対峙した。
サンジェルマン「神の力は人類の未来の為にあるべきだ。ただの一人が占有していいものではない!」
アダム「未来?人類の?くだらない!」
杳馬「俺はどうでもいいけどね!」
アダムは帽子を投げ、杳馬はビームを発射した。しかし、帽子は響とカリオストロとプレラーティに弾かれ、ビームはパルティータの防御壁に防がれた。
サンジェルマン「母さん達はともかく、お前がなぜ私を?」
未来「これは響のワガママなの」
サンジェルマン「ワガママ?」
アダム「群れるがよい。弱い者同士が!」
アダムの攻撃を回避し、一同は攻撃を仕掛けたが、アダムに軽くいなされた。
響「誰かの力に潰されそうになってた、あの頃…あなたのように支配に抗う人に助けてもらった。だから…サンジェルマンさんとは戦うのではなく話し合いたいと体が勝手に動いてしまいました」
サンジェルマン「立花響…」
カリオストロ「まあ、サンジェルマンと話し合いたいなんて」
プレラーティ「お前が狙うはティキ。神の力へ至ろうとしている人形だ」
5人はティキへ視線を向けた。
ティキ「ティキ…ティキ…ティキ……。アンティラ……」
サンジェルマン「器を砕けば神の力は完成しない。この共闘はシンフォギア装者の2人とは馴れ合いではない」
響「ワガママだったら仕方ありませんね!」
アダムと杳馬が降りてきた。
パルティータ「杳馬は私に任せて!」
パルティータは錬金術で聖衣を召喚し、聖衣を纏った。対する杳馬も冥衣を纏った。
杳馬「鎧を装備してパルティータちゃんと戦うのは初めてだな」
パルティータ「私も同じよ、杳馬!」
パルティータと杳馬は互いに激突した。
未来「誰かのためにサンジェルマンさん達の力を貸してください!」
カリオストロ「ま、アダムを倒すのであれば力を貸すわよ!」
プレラーティ「遅れると置いて行くワケダ!」
そう言って、響達5人はアダムに向かっていった。
アダム「思い上がったか?どうにかできると…5人でなら」
アダムは響の攻撃をかわしまくっており、サンジェルマンの攻撃も回避していたが、木に着地した際にサンジェルマンの銃弾から錬金術が発動し、アダムの動きを止めた。
カリオストロ「行くわよ!」
響とカリオストロのダブルパンチ、そしてプレラーティのけん玉の球と未来の扇の打撃を受けてアダムは吹っ飛ばされた。
プレラーティ「やるな」
連携を決めた5人は笑った。一方、現場に向かっていた星矢達であったが、途中でティキにそっくりなオートスコアラーが立ちはだかった。
星矢「人形?」
紫龍「油断するな、2人とも!オートスコアラーは小宇宙がないから実力が測れない上、何をしでかすか」
言い終わる前にオートスコアラーは口から高出力のビームを発射し、3人は慌てて回避した。
氷河「キャロルのオートスコアラーよりも圧倒的に強いみたいだな」
星矢「だが、その人形もぶっ壊してやるまでだ!」
S.O.N.G潜水艦
連携を決める5人に装者達は驚いていた。
クリス「やり合ってた相手の手と手を取るなんて、どんな戦い方だ!?しかも、やっつけたはずの2人までいるし!」
翼「あの2人が生きていたのは予想外だが、それが存外ガツンと来ることを知らぬ雪音ではあるまい」
クリス「ぅ……。だ、だからって簡単に倒せる相手じゃないぞ」
マリア「そうね。盤面は刻一刻と振りになっているわ」
街
その通り、ティキにエネルギーが集まりつつあった。未来はギアの飛行能力で向かっていたが、響はサンジェルマンが銃弾を錬金術で錬成した足場を使って進んでいた。
アダム「させはしない、好きに!」
そう言ってアダムは衝撃波で響と未来を吹っ飛ばした。
アダム「僕だけなんだよ、触れて良いのは!ティキのあちこちに!」
ティキ「メロリンズッキューーーン!!」
ティキの体が赤く輝いた。
響「このままじゃ…」
アダム「ふっ」
サンジェルマン「ですが局長」
アダム「ん?」
サンジェルマン「ご自慢の黄金錬成はいかたいたしましたか?私たちに手心を加える必要もないのに何故あのバカ火力を開帳しないのかしら?」
プレラーティ「そう言えば、使って来ないワケダ」
アダム「ちっ」
サンジェルマン「天のレイラインからのエネルギーチャージは局長にとっても予定外だったはず」
カリオストロ「門の解放に消耗しちゃって、黄金錬成させる力が無いのがわかっちゃったわよ!2人ともわかった?」
響「はい!」
プレラーティ「とっておきの秘策をやりたいから、2人で少し時間を稼いでほしいワケダ!」
未来「わかりました!」
サンジェルマン達は集まった後、何かの準備の時間稼ぎをしてほしいと響と未来に頼み、二人はアダムに向かっていった。
アダム「何をやるのかわからないけど、無駄だ!」
そう言ってアダムはビームを発射したが、未来も高出力ビームの流星を放ち、神獣鏡の特性でアダムのビームを無力化したのであった。
アダム「紫のシンフォギアめ…!」
その直後に響のパンチが飛んできて、アダムは吹っ飛ばされた。
カリオストロ「準備はオッケーよ!」
プレラーティ「チャージ時間は都合でここまでだが、問題ないワケダ」
サンジェルマン「行くぞ、局長!黄金錬成だ!」
サンジェルマン達は3人で力を合わせて黄金錬成を発動させ、チャージ時間などの都合でアダムが使うものよりも威力は低いものの、火の玉を放った。
アダム「3人で力を合わせて黄金錬成だと!?うわあああああっ!!」
そのまま火の玉はアダムを飲み込み、爆発した。
サンジェルマン「よし!今だ、立花響、小日向未来!ティキが神の力へと至る前に!」
カリオストロ「ちょっと待って、サンジェルマン!」
黄金錬成を受けたアダムは服が燃え尽きて全裸になっていた上、身体のあちこちの皮膚が焼け落ち、機械の部分が見えていた。
プレラーティ「どういうワケダ!?」
サンジェルマン「錬金術師を統べるパヴァリア光明結社の局長が、まさか……」
未来「人形!?」
アダム「人形だと…?人形だとぉぉぉぉぉ!!」
ティキ「許さない!アダムをよくも、痛くさせるなんてぇぇぇ!!」
アダムが人形呼ばわりされて激昂したのと同時に、ティキの体から赤い光が放たれた。
サンジェルマン「光が…生まれる!?」
パルティータと杳馬の戦いは続いていて、二人とも様子の変化に気付いた。
杳馬「んはははははっ!面白い事になったねえ…!」
パルティータ「遂に…神の力が…!」
光を放ち終わると、ティキは巨大で異様な姿に変貌していた。そして、変貌したティキにアダムは乗った。
アダム「神力顕現。持ち帰るだけのつもりだったんだけどね、今日のところは」
ティキ「ごめんなさい…あたし、アダムがひどい事をされてたから、つい…」
アダム「仕方ないよ、済んだ事は。だけどせっかくだから……知らしめようか、完成した神の力を。ディバインウェポンの恐怖を!」
並行世界の可能性の一つを選び、ディバインウェポンが肩を光らせた途端、響達はかわした。ところが、響は2発目で吹っ飛ばされ手しまった。
響「ああっ!」
未来「響!」
駆け付けようとした未来であったが、ディバインウェポンの無差別攻撃を見た杳馬はすぐに未来の傍に来た。
杳馬「こんな所で未来ちゃんと響ちゃんに死んでしまったら、俺は困っちゃうんだよなぁ!」
そう言って杳馬は未来の腹にエネルギー弾を撃ち込み、吹っ飛ばした。
未来「きゃああああっ!」
パルティータ「杳馬、あなたの相手は私よ!」
杳馬「ああ、わかってるよ」
再び杳馬はパルティータと激突した。
杳馬「(俺はラッキーだったぞ!初めて響ちゃんと未来ちゃんに会った際、二人の魂は他の人間とは異なるのを直感で感じたからなあ。疑似的なカギを撃ち込んでおいた。うまくいけば……)」
未来を攻撃したのは単なる攻撃ではない、杳馬の企みであった。杳馬が未来に放った攻撃自体はとても軽いものであったため、すぐに未来は立ち上がった。
未来「そ、そんな…」
カリオストロ「やばすぎじゃない…?」
ディバインウェポンにより、辺り一面の街は廃墟と化していた。
S.O.N.G潜水艦
その様子は本部でも確認された。
沙織「これが神出づる門より現れし、神の力…」
調「これだけの破壊力…シンフォギアで受け止められるの?」
街
杳馬とパルティータの激突が近くで続く中、響達は辺り一面を廃墟にしたディバインウェポンと対峙していた。
アダム「人でなし。サンジェルマン達はそう呼び続けていたね、何度も僕を」
カリオストロ「やっぱり、あんたは…」
アダム「そうとも。人でなしさ、僕は。何しろ人ですらないのだから」
サンジェルマン「アダム・ヴァイスハウプト、貴様は一体…?」
アダムは全裸のまま、空から降りてきた。
アダム「僕は作られた。彼等の代行者として。」
響「彼等?」
アダム「だけど破棄されたのさ。試作体のまま…。完全すぎるという理不尽極まる理由を付けられて!あり得ない…完全が不完全に劣るなど……」
???「当然だ。所詮は試作体、伸びしろのない人形が伸びしろのある人間に勝てるはずもあるまい」
アダムを完全否定した声がしたが、それを言ったのは未来であった。
アダム「な、何だとォ!?まさか、貴様は……!」
自分を否定した言葉に心当たりがあるアダムは未来を睨み付けた。
響「未来、何を言っているの?」
未来「えっ?私が言ったの?」
アダム「…そうか、まだ完全に目覚めていないのか…!そんな歪みは正してやる。完全が不完全を統べる事でね!!そして、何も知らぬままこの場にいるシンフォギア装者は2人共死ぬがいい!!」
ディバインウェポンは口からビームを発射しようとした。
サンジェルマン「何を!?」
響「さっきみたいなのを撃たせるわけには…!」
響はバーニアを吹かし、ディバインウェポンの顔面にパンチを打ち込んだ。
アダム「ティキ!」
響のパンチを受けてディバインウェポンの頬が壊れ、反撃で響を吹っ飛ばした。響に殴られたせいでビームの照準は上空へずれてしまい、雲を突き抜けて人工衛星を破壊し、人工衛星の欠片は流星となって落下していった。
未来「響!」
未来達は響に駆け寄った。
S.O.N.G潜水艦
人工衛星が破壊された知らせはS.O.N.G本部にも入った。
朔也「シエルジェ自治領から通達。放たれた指向性エネルギー波は米国保有の軍事衛星に命中、蒸発させたと…」
弦十郎「響君達の状況は!?」
朔也「周辺のカメラはダウンしたままです。急ぎ、別視点からの映像を…」
あおい「司令!各省庁からの問い合わせが殺到しています!」
弦十郎「全て後回しだ!放ってお…」
ところが、訃堂が通信を入れてきた。
訃堂『どうなっている?』
弦十郎「あ……」
訃堂『どうなっていると聞いておる!』
弦十郎「ははっ!目下確認中であり…」
訃堂『儚きものが。此度の騒乱は既に各国政府の知るところ。ならば次の動きは自明であろう。共同作戦や治安維持などと題目を掲げ、国連の旗を』
沙織「それは女神アテナたる私と星矢達聖闘士が絶対に阻止してみせます!彼等とて、聖闘士を敵に回すほど愚かではありません!」
訃堂『この国を守護さしめるは誠の防人たる我をおいて他になし!城戸の忘れ形見たる貴様らが護国を語るとは言語道断!』
血は繋がっていないものの、光政の孫である沙織に強い敵対心を持つ訃堂は沙織の言葉に耳を貸さず、通信を切った。
マリア「今の通信って…」
翼「この戦いに風鳴宗家が動くという事だ」
沙織「訃堂については私達に任せてください。司令はこの戦いの指揮を!」
弦十郎「そうだな。面倒事を引き受けてくれる沙織お嬢様はとても心強い!」
朔也「モニター出ます!」
モニターには、倒れている響の姿があった。
調「あっ、響さん!?」
クリス「あのバカ、地面が好きすぎるだろ!」
街
ディバインウェポンはゆっくり移動していた。
ティキ「ア、アダム…ティキ、頑張った。ほ、褒めて、て、て……」
アダム「いい子だね、ティキはやっぱり」
ティキ「だったら、ハグしてよ。抱きしめてくれないと、伝わらないよ」
アダム「やまやまだよ、そうしたいのは。だけど出来ないんだ。手に余るそのサイズではね」
ティキ「いけず……。そこもまた、好きなんだけどね」
そんなディバインウェポンへ銃を向け、銃弾を放ったサンジェルマンだが、ダメージを受けたディバインウェポンは並行世界から無傷の自分を連れてきた。
サンジェルマン「やはり、ヨナルデ・パズトーリと同じか…!」
再び撃とうとしたサンジェルマンだが、カリオストロとプレラーティに止められた。
カリオストロ「サンジェルマン、迂闊に撃っても効果はないわよ」
プレラーティ「何か、対策を考えなければならないワケダ」
サンジェルマン「対策か……!」
未来「どうすれば…」
S.O.N.G潜水艦
ディバインウェポンの攻撃力と防御には装者達も驚いていた。
調「さっきのはヨナルデ・パズトーリと同じ!」
マリア「なかった事にされるダメージ!」
翼「圧倒的な攻撃と絶対的な防御」
クリス「ああ…。反動汚染の除去が間に合ったとしたら、どう立ち回ったらいいんだよ…」
沙織「(ヨナルデ・パズトーリを倒せた、響さんと星矢なら、恐らく…!)」
街
ディバインウェポンの猛威に未来達は苦戦していた。
アダム「不完全な人類は支配されてこそ完全な群体へと完成する。人を超越した僕によって!」
サンジェルマン「世迷うなよ人形」
アダム「錬金術師し」
サンジェルマン「失格なのは貴様の方だ!真の錬金術師ともいえるのは貴様ではなく、実の母を失った私を育て、支配に抗う心と錬金術師としての神髄を叩き込んでくれたお母さんだ!貴様は人類を超越したと言っているが、お母さんや黄金聖闘士、果ては杳馬という謎の男といった人形の貴様より強い人間がゴロゴロいるぞ!」
自分より強い人間の存在を突き付けられた事にアダムは大激怒した。
アダム「黄金聖闘士やあの女の事を言うな!」
カリオストロ「あらやだ!あの怒り方を見たら、明らかに錬金術師としてもサンジェルマンのお母さんにかなり劣っているのを証明しちゃってるわ」
プレラーティ「人形の器なんてたかが知れているワケダ」
未来?「所詮は完全、いや、欠陥品といったところか」
カリオストロ「というか、あの紫っ子、またキャラに合わない偉そうな事を言ったわ」
アダム「貴様らぁ~~~っ!!僕を侮辱した貴様らは入念に始末してやる!!」
大激怒したアダムは向かっていった。またしても覚えのない事を言った事に戸惑う未来であった。
S.O.N.G潜水艦
星矢達はティキそっくりなオートスコアラーの妨害で間に合うかどうかわからず、パルティータも杳馬との戦いで救援に行けないため、本部にいる一同は何もできなかった。
弦十郎「無為に天命を待つばかりか!?」
???『諦めるな!あの子なら、きっとそう言うのではありませんか?』
あおい「発信源、不明。暗号化され身元も特定できません。ですが、これは…」
モニターにいくつもの文書が映された他、グラード財団から解析が完了したバルベルデドキュメントも同時に送られ、瞬が来た。
瞬「たった今、グラード財団の方でもバルベルデドキュメントの解析が終わりました!」
沙織「解析に携わった皆さんも、施設の防衛についていた瞬もお疲れ様です」
???『我々とグラード財団が持ちうる限りの資料です。ここにある神殺しの記述こそが切り札となり得ます』
クリス「神殺し!?なんでまた…」
そして、次は慎次が通信を入れた。
慎次『調査部で神殺しに関する情報を追いかけていたところ、グラード財団から解析完了の報告が入ったのと同時に彼らと接触。協力を取り付けることが出来ました』
次はある映像が出た。
マリア「これは!?」
???『かつて神の子の死を確かめるために振るわれたとされる槍。遥か昔より伝わるこの槍には凄まじき力こそ秘められていたものの、本来、神殺しの力は備わっていなかったと資料には記されています』
調「それなのに、どうして?」
???『2千年以上に渡り、神の死に関わる逸話が本質を歪め変質させた結果であると……』
翼「まさか哲学兵装!? 先のアレキサンドリア号での中心にあったという……」
???『前大戦時にドイツが探し求めたこの槍こそ…』
モニターに『GUNGNIR』という文字が出た。
弦十郎「ガングニールだとぉ!?」
ガングニールだと分かった途端、弦十郎は驚いたが、沙織は冷静であった。
回想
それは、星矢達が出撃する前であった。
星矢「俺と響が同じ神殺しという宿命を背負っているだって!?」
沙織「そうです。あのバルベルデに出た神の力の怪物を星矢だけでなく、響さんも倒せたのであれば、響さんのギア、ガングニールにも神殺しの力があるはずです」
星矢「じゃあ、俺と響の出会いは…」
沙織「恐らく、同じ宿命を持つ者同士であるが故の運命的な出会いだったのでしょう」
沙織「(私の予感が当たったとは…)」
響『そう、なんですね…』
翼「立花!」
街
響は立ち上がった。
沙織『響さん。あなたのギア、ガングニールにも星矢と同じ神殺しの力があります』
響「ガングニールにも…神殺しが…。まだなんとかなる手立てがあって…それが、私の纏うガングニールだとしたら…」
アダム「気取られたのか…?」
響「もうひと踏ん張り…やってやれない事はない!」
アダム「ティキ!」
ディバインウェポンは肩からビームを放ったが、響はかわした。
アダム「行かせるものか、神殺し!」
錬金術で迎え撃とうとしたアダムであったが、錬金術による攻撃は未来のビームで無力化され、カリオストロのパンチとプレラーティのハンマーを同時に受けて吹っ飛ばされた。
アダム「うわあああああっ!」
サンジェルマン「なるほど。得心がいったわ。あの無理筋な黄金錬成はシンフォギアに向けた一撃ではなく…局長にとって不都合な真実を葬りさるためだったのね」
カリオストロ「でも、あの子を倒しても今度は神殺しを持つサジタリアスが脅威になるから、どっちみちあいつは詰んでいるわよ!」
アダム「貴様ら、どこまでも僕を愚弄して~~っ!!」
サンジェルマンは銃を剣に変形させて向かっていったが、アダムは左腕を引きちぎって受け止めた。
サンジェルマン「バカな!?」
アダム「潰えて消えろ!理想を夢想したままに!」
しかし、その直後に未来、カリオストロ、プレラーティの攻撃を3連続で受けた。
アダム「ぐはっ!」
サンジェルマン「3人とも…!」
カリオストロ「あーし達はここでは終わらないわよ!」
プレラーティ「サンジェルマンとは苦楽を共にした仲なワケダ」
未来「ここは私達に任せてそのまま行って、響!」
響はディバインウェポンへ向かっていった。
アダム「乗り過ぎだ…調子に!」
サンジェルマン「私達は進む!」
プレラーティ「前に前に!」
カリオストロ「ここで怯んじゃったら、取り返しがつかないほどに後ずさっちゃうしね!」
サンジェルマン「屈するわけにはぁぁぁぁっ!!」
4人同時攻撃を受け、アダムは吹っ飛ばされた。
アダム「寄せ付けるな、カトンボを!」
響はディバインウェポンにパンチを打ち込もうとした。
響「はああああああっ!!」
ティキ「アダムを困らせるなぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
響とディバインウェポンの拳のぶつかり合いが少し続いてから、ディバインウェポンの腕の方が破壊された。
ティキ「ああああああっ!!」
並行世界の同一個体にダメージを押し付けようとしたが、できなかった。
ティキ「きゃああああっ!!」
S.O.N.G潜水艦
ディバインウェポンにダメージが残ったままなのはモニターでも確認された。
あおい「ディバインウェポン、復元されません!」
マリア「効いてるわ。まさか本当に?」
クリス「神殺しの哲学兵装…」
発令所へ切歌が入ってきた。
調「切ちゃん!」
???『バルベルデから最後に飛び立った輸送機。その積み荷の中に大戦時の記録が隠されていたのです』
切歌「あの時の無茶はムダではなかったのデスね……」
弦十郎「教えて欲しい。君の国が手に入れた機密情報を何故我々に?」
???『歌が聞こえたって…』
弦十郎「歌?」
???『先輩が教えてくれたんです。あの時、燃え尽きそうな空で歌が聞こえたって。そんなの私も聞いてみたくなるじゃないですか!』
街
ディバインウェポンの反撃で響は吹っ飛ばされたが、未来がキャッチしてくれた。
未来「響、あの人形に大きな一発を叩き込んで!」
響「うん!ありがとう、未来!」
アダム「おのれ…!」
妨害しようとしたアダムであったが、サンジェルマン達が立ちはだかった。
カリオストロ「邪魔はさせないわよん!」
サンジェルマン「行け、立花響!」
響のマフラーが光り、腕のアーマーが変形してドリルのように高速回転した。
響「八方極円に達するはこの拳!如何なるものも破砕は容易い!!」
そのまま響はディバインウェポンへ突撃した。
アダム「ハグだよティキ!さあ、飛び込んでおいで!神の力を手放して!」
ティキ「アダム!大好きぃぃぃぃぃぃ!!」
ディバインウェポンからティキが分離したのと同時に響の拳によってティキは砕かれてしまった。
ティキ「きゃあああああああっ!!」
ティキの分離と共にディバインウェポンは消滅した。
プレラーティ「あの厄介な奴は終わりなワケダ」
一方、パルティータと杳馬の戦いは続いていた。
パルティータ「向こうは後はアダムだけね!アダムさえ倒せば」
杳馬「さあて、それで終わるかなぁ…?」
S.O.N.G潜水艦
モニターにもディバインウェポンの消滅が映された。
調「ここ一番でやっぱり!切歌「バッチリ決めてくれるのデス!」」
街
響の攻撃を受け、ティキは下半身が破壊されていた。
ティキ「アダム好き。大好き。だから抱きしめて。離さないで。ドキドキしたいの」
アダム「恋愛脳め、いちいちが癪に障る。だが間に合ったよ、間一髪。人形へ、神の力を付与させるための…」
アダムはティキを蹴り飛ばした。
ティキ「なんでまた!?」
未来「あなた、自分に尽くしてくれるオートスコアラーにまで!」
カリオストロ「何を言ってもあのお人形さんには話なんて通じないわ。ぶっ壊さなきゃどうにもならないのよ」
アダム「貴様らも癪に障る事ばかり言ってくれるね。けど、あの人形なんかよりも断然役に立つ。こっちの方が」
アダムは引きちぎった自分の腕を持った。
アダム「付与させる!この腕に!その時こそ僕は至る!アダム・ヴァイスハウプトを経た、アダム・カドモン!!新世界の雛形へと!」
引きちぎった自分の腕に神の力を宿らせようとしたアダムであったが、神の力は通り過ぎ、ある方向へ向かった。
響「何…?これ?」
向かった先は響の方であった。
未来「神の力が、響に…?」
響「どうしたの?えっ?う、うわああああっ!!」
神の力が響に宿り、響は蛹のような姿に変貌してしまった。
未来「そ、そんな…響ぃいいいいいっ!」
プレラーティ「どうなっているワケダ!?」
アダム「宿せないはず…。穢れなき魂でなければ神の力を!」
サンジェルマン「生まれながらに原罪を背負った人類に宿る事など…!」
一方、響が神の力を宿し、蛹に変貌したのを見た杳馬はニヤけたのであった。
杳馬「んはははははっ!やはりそうか!俺の考えは正しかったぞ!」
パルティータ「何を言っているのよ、杳馬!」
杳馬「実はねぇ、俺は響ちゃんに神の力が宿った理由を既に知ってるんだよぉ!」
パルティータ「何ですって!?」
杳馬「けど、バラルの呪詛に詳しいパルティータちゃんなら頭を使えばわかるから、それは教えな~~い!んじゃ、しばらくしたら更に面白くなるから俺はこの辺で」
そう言って杳馬はどこかへワープした。
パルティータ「呪詛に詳しい私にならわかる、か……」
星矢達と交戦しているオートスコアラーも姿を消した。
星矢「あいつ、何者なんだ?」
紫龍「わからん…」
氷河「あのオートスコアラー、核物質が入ってるのを示すシールがあったぞ」
星矢「核物質だって!?」
杳馬は空からオートスコアラーを引き連れて蛹の方を見ていた。
杳馬「さあ、どうなるかなぁ?あいつは目覚めたみたいだけど、本格的に暴れる事に応じてくれないなぁ…。でも、響ちゃんに神の力が宿ったとなれば、色んな国々はどう動くんだろうねえ。そして、アダムのダンナやシンフォギア装者のみんな、星矢達はどうするのかなぁ?それに…俺にはとんでもない代物が傍にあるもんね~!んはははははっ!」
ティキに似たオートスコアラーはこれまでのオートスコアラーと違って言葉を話せないものの、杳馬の言葉がわかるのか、拍手などのリアクションをしていた。蛹の方は心臓の鼓動のように脈を打っていたのであった。
仕事が忙しくて遅くなってすみません。今回は響達とアダム達の戦い、そして響に神の力が宿るのを描きました。
原作では響とサンジェルマンがアダムに挑みましたが、今小説では未来とカリオストロ、プレラーティも共に戦うという流れになっています。
途中で杳馬の攻撃を受けた後に未来が本人が言った覚えがないのにアダムを完全否定するような言葉を言いましたが、勘のいい人は何なのかわかるかも知れません。
次の話は破壊神ヒビキだけでなく、本格的にティキにそっくりなオートスコアラーが牙を向いてきます。