セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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あけましておめでとうございます。
今回の話は今年最初に投稿する話となります。


117話 神の力

 

 響に神の力が宿り、蛹のような姿に変貌した事に一同は衝撃を受けていた。

 

アダム「台無しだ…。僕の千年計画が…。それでも神の力をこの手に!」

 

 放心状態になり、アダムは姿を消した。

 

未来「響…!」

 

サンジェルマン「(立花響…お前は一体?)」

 

 

 

城戸邸

 

 あれから1日後、城戸邸では響の誕生日パーティーのための準備が終わっていたが、星矢達は響の事でどうすべきか考えていた。

 

星矢「まさか、響に神の力が宿るなんて事態になっちまうとは…!」

 

瞬「どうすれば、いいんだろう…?」

 

紫龍「(そう言えば、南の島がある並行世界に行った際、ポセイドンが響は神の器がどうとかこうとかと言っていたな。それと、今回の件が関係しているのか…?)」

 

プレラーティ「サンジェルマンの母親がいるから、大人しくできる場所があって助かったワケダ」

 

カリオストロ「けど、これからどーなるのかしら?」

 

氷河「どうすれば、響を元の状態に戻せるのか…」

 

 そこへ、サンジェルマンが来た。

 

サンジェルマン「確か、お前が今のサジタリアスの黄金聖闘士にして、お母さんの実の子であるペガサスの聖闘士の生まれ変わりである星矢だったな」

 

星矢「それがどうしたんだ?」

 

サンジェルマン「お前と個人的な話をしたい。してもらえるか?」

 

星矢「いいけど…」

 

 星矢はサンジェルマンと個人的な話をする事にした。

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 それからさらに1日後、マリア達F.I.S組は立ち入り禁止区域の近くに来ており、他の装者と星矢達は本部にいた。

 

八紘『立花響が神の力と称されるエネルギーに取り込まれてから……48時間が経過。国連での協議は最終段階。間もなく日本への武力介入が決議される見込みだ。そうなると、お前たちS.O.N.G.は国連指示の元、先陣を切らねばならないだろう』

 

弦十郎「やはりそうなってしまうか…」

 

八紘『さらに状況が状況であるため…事態の収拾に反応兵器の使用も考えられる』

 

弦十郎「反応兵器!?だが、あの中には響君が……!」

 

八紘『無論そんな暴挙を許すつもりはない。だが世界規模の災害に発展しかねない異常事態に米国政府の鼻息は荒い』

 

弦十郎「ぬうっ!消し飛ばされた軍事衛星が口実を与えてしまったか!?」

 

沙織「いざとなれば、女神アテナである私や星矢達聖闘士が対処します。私は国連の協議に通信で参加し、武力介入を止めてみせます。本当は現場へ行って、直接何とかしたかったのですが…」

 

八紘『沙織お嬢様や聖闘士がいると心強い。引き続き、局面打開に尽力してほしい。それがこちらの交渉カードになりえるのだ』

 

弦十郎「わかった。すまない、兄貴」

 

 八紘は通信を切った。

 

慎次「国連決議による武力介入。ほんの数週間前のバルベルデと同じ状況に今度は我々がなってしまうなんて……」

 

エルフナイン「あの蛹状の物体内部に響さんの生体反応を確認しています。おそらくは神殺しの力が融合を食い止めていると思われますが、それもいつまで保つか……」

 

翼「時間が稼げているうちに対策を!」

 

星矢「それだったら、未来が重要ポジションだろ?」

 

クリス「…そうだな」

 

沙織「頼みますよ、未来さん」

 

未来「はい!」

 

弦十郎「マリア君達につないでくれ」

 

あおい「はい」

 

 現地にいるマリア達に通信を入れた。

 

マリア『こちらの準備はできてるわ』

 

未来「どうやったら響を助けられるんですか?」

 

エルフナイン「これを使います」

 

 エルフナインが見せたのはLiNKERのようであったが…。

 

星矢「LiNKER?」

 

瞬「いや、もしかするとAnti_LiNKER?」

 

エルフナイン「LiNKERとAnti_LiNKERは表裏一体。LiNKERを完成させた今、Anti_LiNKERもまた生成可能です」

 

マリア『でも、適合係数を引き下げるAnti_LiNKERを使ってどうやって?』

 

エルフナイン「ヨナルデパズトーリとディバインウェポン。どちらも依代にエネルギーを纏って固着させたもの。まるでシンフォギアと同じメカニズムだと思いませんか?」

 

 その事に一同は気付いた。

 

紫龍「言われてみればそうだな…!」

 

弦十郎「響くんを取り込んだエネルギーとギアを形成する聖遺物のエネルギーが近い性質だとするなら……」

 

クリス「Anti_LiNKERでぽんぽんすーにひん剥けるかもしんないんだな!?」

 

エルフナイン「はい。そのために…」

 

 エルフナインはシンフォギアのコンバーターユニットを出した。

 

翼「コンバーターユニット!それでは……!」

 

エルフナイン「はい。反動汚染の除去完了。いつでも作戦に投入可能です」

 

弦十郎「星矢も言った通り、未来君はこの作戦のエース・イン・ザ・ホール。切り札だ」

 

氷河「未来もシンフォギア装者だから、多少の危険でも大丈夫なはずだ」

 

未来「はい、わかりました!」

 

弦十郎「そして、あと3人…」

 

 そこへ、パルティータがサンジェルマン達を連れてやってきた。

 

パルティータ「司令、私は星矢と一緒に用事に行ってきます」

 

星矢「用事?」

 

パルティータ「具体的な事を言わずとも、わかるでしょ?」

 

 パルティータの言葉に星矢は頷いた。

 

サンジェルマン「お母さん、その用事を済ませたらすぐに来て」

 

パルティータ「わかってるわ」

 

 パルティータは星矢と共にテレポートした。

 

沙織「未来さん以外の方々も身構えないでください。彼女達は協力者なのです」

 

サンジェルマン「お母さんの要請で協力する事にしたが、情報は役に立ったのかしら?」

 

エルフナイン「パルティータさんの賢者の石は複雑すぎて解析不能だったので、サンジェルマンさん達の賢者の石に関する技術無くして。この短期間に汚染の除去は出来ませんでした。ありがとうございます」

 

プレラーティ「何よりなワケダ」

 

弦十郎「それで、我々への協力についてだが…」

 

サンジェルマン「それでも、苦楽を共にした仲間やお母さん以外と手は取り合えない」

 

カリオストロ「サンジェルマンったら、マザコンかしら?」

 

 そんな中、警報が鳴った。

 

弦十郎「どうした!?」

 

朔也「司令、鎌倉から直接!」

 

 

 

鎌倉

 

 訃堂は直接通信を入れた。

 

訃堂「護国災害派遣法を適用した」

 

紫龍『何だと!?』

 

翼『まさか立花を第二種得意災害と認定したのですか!?』

 

訃堂「聖遺物起因の災害に対し無制限に火器を投入可能だ。対象を速やかに殺処分せよ!」

 

氷河『そいつは聞けないな』

 

瞬『僕達は助け出す手段を講じています!あなたの非人道的な言う事は聞けません!』

 

訃堂「儚きかな。国連介入を許すつもりか!?その行使は反応兵器! 国が燃えるぞ!」

 

氷河『そうなった場合は、俺達聖闘士が何とかする!人でなしの老害は引っ込め!』

 

訃堂「何だと!?ワシを愚弄する気か!?」

 

翼『国を守るのが風鳴ならば鬼子の私は友を!人を防人ます!』

 

訃堂「翼!その身に流れる血を知らぬか!?」

 

翼『知るものか!私に流れているのは……天羽奏という1人の少女の生き様だけだ!』

 

紫龍「身近な人達を護ろうとしないのなら、貴様に護国を語る資格はない!」

 

訃堂「おのれ!貴様ら聖闘士も所詮は夷狄たる女神の下僕!ワシに歯向かう貴様らにも護国災害派遣法を適用し」

 

???「色々と自分の悪事を非難されて頭に血が上った挙句、俺の仲間達を敵と断定するとは随分と小物臭いじゃねえか、時代錯誤のボケジジイ!」

 

 声をかけたのは星矢であり、パルティータもいた。

 

訃堂「魔女とその息子め!どこまでもワシを愚弄しおって!!」

 

パルティータ「ボコボコにしたから少しは反省すると思ったけど、死ななきゃそのバカは治らないようね」

 

星矢「それに、今のクソジジイは護国より俺達への恨みで動いてるんじゃねえのか?結局はウェルのクソ野郎と同レベルの小悪党じゃねえか」

 

訃堂「黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ!!!ワシこそがこの国を守護する防人!夷狄たる女神の下僕に成り下がった貴様を排除してくれるっ!!」

 

 完全に訃堂は激怒し、星矢に殴りかかったが、星矢は容易く受け止めた。

 

訃堂「微動だにせぬだと!?」

 

星矢「確かにてめえは白銀聖闘士よりは多少強いみたいだな。だが…、その力を人々を護るために使わない貴様は人の皮を被った化け物、人でなしだ!」

 

 そう言って星矢は訃堂の顔面を思いっきり殴り、吹っ飛ばした。

 

訃堂「ぬおおおおっ!!」

 

 吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられた訃堂だが、すぐに立ち上がって刀を抜いた。

 

訃堂「我が群蜘蛛の錆となるがいい!!」

 

 訃堂は風林火山を発動させ、星矢に斬りかかったが…。

 

星矢「動きがスローすぎてあくびが出るぜ。そして、これでも喰らってもうなにもできなくなりやがれ!アトミックサンダーボルト!!」

 

 風林火山が叩き込まれる前に星矢は1億発もの光速拳を訃堂に叩き込んだ。

 

訃堂「ぬわああああああっ!!さ、防人たるこのワシがぁああああああっ!!」

 

 そのまま訃堂は凄まじい勢いで吹っ飛ばされ、富士山に激突したのであった。

 

星矢「これだけフルボッコにしてやりゃ、生きてたってもう再起不能になるだろうな」

 

パルティータ「さ、本部へ戻りましょう」

 

 訃堂を富士山まで吹っ飛ばした星矢はパルティータのテレポートで一緒に本部に帰還した。

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 星矢親子は本部に戻った。

 

未来「星矢さん!」

 

サンジェルマン「用事は済んだの?お母さん」

 

パルティータ「ええ、済んだわ」

 

星矢「あのボケジジイをブン殴って富士山まで吹っ飛ばしてやった。生きてたって、もうロクな事はできないぜ」

 

弦十郎「…これまた豪快でとんでもない事をしたもんだな…!」

 

サンジェルマン「(星矢、やはりお前はお母さんの実の子の生まれ変わりに恥じない男だ。支配を強いる者を容赦なく倒すとは…。お前なら、お母さんを…)」

 

 権威などに屈する事なく訃堂を叩きのめした星矢にサンジェルマンは感心していた。

 

 

 

 

 訃堂が叩きのめされ、富士山まで吹っ飛ばされたため、自衛隊は展開していても指示が来ないために攻撃していなかった。

 

隊員A「急に命令が来なくなったぞ」

 

隊員B「ああ。隊長達もどうすればいいのか悩んでいるようだ」

 

隊長『各員に通達!目標に変化が現れたぞ!各員、警戒を怠るな!』

 

 通達通り、蛹にヒビが入ってから落下し、中から巨人となった響が姿を現した。それから戦車を見回した後、口から光線を放って薙ぎ払い、大地を焼き尽くした。

 

隊員A「まさか、こんな化け物が…!」

 

 再び響は光線を放とうとしたが…。

 

星矢「ふんっ!」

 

 駆け付けた星矢のパンチで光線は掻き消された。

 

星矢「対処できないわけじゃないが、攻撃がとんでもねえな…」

 

 他の装者達も来た。

 

紫龍「自衛隊各員に告ぐ。この場はシンフォギア装者と聖闘士に任せてもらおうか」

 

隊長『国連直轄の先遣隊と聖闘士か。我らは』

 

氷河「お前達ではあの怪物に勝ち目はない。死にたくないのなら、さっさと撤収しろ!」

 

隊員A『隊長、目の前にいるのは聖闘士です。事を構えるべきではありません!』

 

隊長『わかっている。さっき、通達があった。この場は聖闘士とシンフォギア装者に任せ、撤退せよと。今から撤退だ!』

 

 命令もあって聖闘士と事を構えるべきではないのと判断し、自衛隊は撤退した。それと入れ替わるようにS.O.N.Gの装甲車も来た。

 

パルティータ「3人とも、準備はいいかしら?」

 

カリオストロ「あーしはバッチリよ!」

 

プレラーティ「いつでもいけるワケダ」

 

サンジェルマン「これは共闘ではなく、私達とお母さんの戦いだ」

 

慎次『特殊車両隊、到着。いつでも行けますよ』

 

弦十郎『よし!響君のバースディパーティを始めるぞ!』

 

???「おっと、そうはいかないよぉ!」

 

 声の主は杳馬であり、しかもティキそっくりなオートスコアラーまで連れていた。

 

星矢「あの時のオートスコアラー!?」

 

サンジェルマン「ティキに…そっくりだ!」

 

杳馬「こいつは俺が作り上げたオートスコアラー。言わばティキ2号機みたいなもんさ。このまま響ちゃんを元通りにしたって面白くないだろう?だから、こいつというお邪魔虫を用意したのさ!」

 

 杳馬が指を鳴らすと、アダムと同じやり方で宇宙のレイラインから神の力を顕現させた。

 

サンジェルマン「まさか、また神の力を顕現させようというのか!?」

 

杳馬「その通り!さあ、面白いショーの始まりだぁ!」

 

 そう言ってるうちにティキ2号機に神の力が宿り、色々異なる所はあれど、ディバインウェポンの姿へと変貌した。

 

クリス「ディバインウェポンだとぉ!?」

 

未来「神の力が宿った響とディバインウェポンを同時に相手にしないといけないなんて…」

 

杳馬「さあ、ディバインウェポン2の力のお披露目だ!」

 

 ディバインウェポン2はかなりの速さで腕を動かし、装者達を薙ぎ払おうとしたが、星矢に止められた。

 

星矢「このディバインウェポン2とかいう奴、かなり動きが速くて強いぞ!こいつは俺達に任せろ!」

 

未来「お願いします!」

 

 未来達は響を止めるのへ向かい、ディバインウェポン2と杳馬の相手は星矢達がする事となった。ディバインウェポン2はかなりのスピードで星矢達を薙ぎ払った。

 

紫龍「くっ!」

 

星矢「こいつ、響達では奇跡でもおきなきゃどうにもならねえ強さだ!俺達でも油断はできない!」

 

氷河「くらえ、ダイヤモンドダストォ!」

 

 ダイヤモンドダストを受けて凍ったが、ディバインウェポンと同じようにディバインウェポン2も並行世界の同一個体にダメージを押し付け、無力化した。

 

瞬「復元された!?」

 

紫龍「恐らく、星矢以外の俺達の攻撃は無力化されるのだろう…!」

 

星矢「だったら、俺の出番だ!みんなはフォローに」

 

 しかし、エルフナインから通信が来た。

 

エルフナイン『待ってください!』

 

 

 

装甲車

 

 装甲車では、ディバインウェポン2のある秘密に気付いた。

 

星矢『急にどうしたんだよ!こいつには神殺しが有効なんだろ!?』

 

エルフナイン「確かに有効です!ですが、星矢さんは迂闊に攻撃してはダメなんです!」

 

星矢『どういう事なんだよ!?』

 

あおい「司令、あのディバインウェポン2の中核となっているオートスコアラーには反応兵器に使われる核物質が20発分も含まれています!」

 

弦十郎「20発分だとぉ!?ディバインウェポン2が爆発したらどうなる!?」

 

朔也「万一、あのディバインウェポン2が爆発した場合……神の力と反応兵器20発分の核物質のエネルギーが一斉に解放され、日本の半分程度は焦土と化すと推測されます!」

 

弦十郎「日本の半分だとぉ!!?」

 

沙織「爆発したら大変ですが、このデータを直ちに国連に送れば、反応兵器使用を取りやめてくれる可能性が高くなります!」

 

弦十郎「それもそうだな!とんだ事実が最悪の事態の回避になりそうだ…!」

 

 

 

 

 ディバインウェポン2自体が巨大な反応兵器である事に星矢達は衝撃を受けた。

 

星矢「反応兵器20発分だって!?」

 

氷河「だから、あのオートスコアラーに核物質が入っている事を示すシールがあったのか!」

 

パルティータ「杳馬、なんて代物を制作したの!?」

 

杳馬「そうさ、こいつはティキと違って最初から自爆特攻用に製造したのさ。原子力をオートスコアラーの動力に採用するなんて思ってなかっただろう?錬金術は想い出などといった形のない代物をエネルギーに変えられるなら、原子力を現代科学以上の効率でエネルギーに変えられてもおかしくないはずだけどなぁ」

 

パルティータ「戦いに負けたら死ぬ、戦いに勝ってもその際の大爆発で死ぬ、愉快犯のあなたらしい嫌みったらしい代物を作り上げたものね!しかも、神の力を自爆特攻用に使うなんて!」

 

杳馬「さあ、どうするのかなぁ?抵抗しなかったら星矢達が死ぬ。倒しても大爆発で甚大な被害が出て、死ぬ。どうやって止める?」

 

 杳馬はパルティータとの戦いを続けた。星矢以外の攻撃は通用せず、倒しても最悪の事態になるディバインウェポン2は迂闊に攻撃できない星矢達に猛攻を加えた。一方、装者達は苦戦しながらも何とか怪物と化した響の動きを封じる事ができた。

 

翼「今です、緒川さん!」

 

慎次『心得てます!』

 

 特殊車両から次々と注射器が発射され、Anti_LiNKERが注入されていった。

 

 

 

装甲車

 

 その様子は確認された。

 

朔也「Anti_LiNKER命中!注入を開始!」

 

あおい「対象より計測される適合係数、急速低下!」

 

八紘『弦、さっき沙織お嬢様から国連に送られたディバインウェポン2のデータにより、反応兵器の使用はディバインウェポン2の動力となっている反応兵器20発分の核物質が入った原子力エンジンに誘爆してしまい、さらなる甚大な被害をもたらすため、非常に危険と判断された』

 

弦十郎「ディバインウェポン2の危険性をわかってくれたようだ…」

 

八紘『だが、武力介入の否決はまだだ。杳馬とかいう男はよくあんな代物を製造できたものだな…』

 

弦十郎「とんだ男だ…!きっと、核物質の出所はアリシアに滅ぼされた朝鮮半島北部エリアだろうな…」

 

 

 

 

 Anti_LiNKERを注入されて動きが止まったかに見えた響だが、すぐに暴れ出して拘束を引きちぎった。

 

一同「うわああああっ!」

 

 そのままビームを放ったが、サンジェルマン達が防いでくれた。

 

カリオストロ「間一髪だったわね!」

 

サンジェルマン「繋いだ手を振り払うのがお前のやりたかったことか!?立花響!」

 

 

 

装甲車

 

 一方、弦十郎達の方はある異変に気付いていた。

 

朔也「ここに来て、低下していた適合係数の上昇を確認!」

 

エルフナイン「神の力に備わる防御機構。Anti_LiNKERの理をリアルタイムに書き換えて……」

 

あおい「適合係数、数値反転。急上昇します」

 

弦十郎「ああ。そこまでの予測はついている。だから……」

 

 

 

 

 装甲車からマイクが射出され、未来はそれをキャッチした。

 

未来「響ぃいいいいいっ!!」

 

 大声で未来が叫ぶと、響の動きが止まった。

 

あおい『響ちゃんの活動、停止しました!』

 

エルフナイン『適合係数によって融合深度が増している今ならば…電気信号化された未来さんの声は依代となっている響さんにねじ込まれるはずです!』

 

未来「今日は響の誕生日なんだよ。なのに……なのに響がいないなんておかしいよ!」

 

 未来の声は届いた。

 

響『呼んでいる…?この声……』

 

未来「響……。お誕生日おめでとう。ううん、きっとこの気持ちは…ありがとう、かな。響が同じ世界に生まれて来てくれたから……私は、誰かと並んで走れるようになったんだよ」

 

響『未来……?』

 

未来「誰かとなら1人では超えられないゴールにだって届くかもって気付かせてくれた」

 

響『未来…私の陽だまり……!』

 

未来「響!私のお日様……!」

 

 未来の声が届いたのと同時に異形と化した響の体にヒビが入り、そして消えていった。

 

未来「響、信じてた!」

 

 響が神の力から解放された際に未来はギアの飛行機能で響を抱き、地面に降りた。

 

 

 

装甲車

 

 響が解放された事に一同はほっとした。

 

あおい「響ちゃんは無事です!生きてます!」

 

美衣「八紘さん、武力介入についてはどうなりましたか?」

 

八紘『こちらでも状況を確認している。国連による武力介入は先程否決された』

 

弦十郎「八紘兄貴…」

 

八紘『今、星矢達が戦っている巨大な反応兵器ともいえるディバインウェポン2への誘爆の危険性やこれまでお前たちが築いてきたS.O.N.G.の功績の大きさに加え……斯波田事務次官がソバに倣ったコシの強さで交渉を続けてくれたおかげだ』

 

弦十郎「人は繋がる。一つになれる」

 

八紘『そうだ。反応兵器は使われない』

 

 ところが、とんでもない知らせが入った。

 

朔也「太平洋沖より発射された高速の飛翔体を確認!あれは…!」

 

八紘『撃ったのか!?』

 

弦十郎「何という事だ!このままだと、ディバインウェポン2へ誘爆してしまうぞ!」

 

 今度はまたしてもとんでもない知らせがはいった。

 

あおい「司令、こちらへ向かっていた反応兵器が消えました!」

 

弦十郎「今度は消えただと!?」

 

 

 

米国

 

 どこかのゴルフ場にいた米国大統領は反応兵器発射のボタンを押した。

 

大統領「そもそも、わが国の成り立ちは…人が神秘に満ちた時代からの独立に端を発している。この鉄槌は」

 

高官「大統領、発射した反応兵器が消えました!」

 

大統領「何ッ!?消えただと!?」

 

高官「今は…」

 

 うろたえていると、近くにできた空間の穴から反応兵器を掴んだ巨大な手が出てきて、反応兵器を持ったまま地面に殴りつけると、反応兵器が爆発したのであった。

 

大統領「反応兵器が送り返されただと!?そ、そんなバカな~~~っ!!!」

 

 反応兵器の爆発に米国大統領らは飲み込まれ、消えていった。

 

 

 

装甲車

 

 消えた反応兵器がどこへ行き、爆発したのかはすぐに知らせが入った。

 

あおい「司令、先程米国で反応兵器による爆発がありました!その爆発によって大統領をはじめとした多くの人々が死亡!周囲にも甚大な被害が出たとの事です!」

 

弦十郎「こちらへ向けて発射された反応兵器が消えた後、米国へ飛んでいっただと!?」

 

朔也「ディバインウェポン2による仕業だと思われます!」

 

沙織「まさか、腕だけ空間転移させて反応兵器を掴み、それを米国へ送ったのでは…!?」

 

 

 

 

 沙織が思った通り、ディバインウェポン2は反応兵器が来るというのを聞いた杳馬が命じて腕だけ空間転移させて反応兵器を掴み、また空間転移させて米国で爆発させたのであった。

 

星矢「腕だけ空間転移しただと!?反応兵器は…」

 

杳馬「ああ、そうさ。米国は自分達が一番って思い込んでいるから、その鼻っ柱をへし折るために反応兵器を送り返してあげたんだよぉ。ま、あんな国なんて俺がその気になればいつでも滅ぼせるんだけどね」

 

紫龍「最悪の事態を防げたのはいいが…」

 

瞬「ディバインウェポン2はどうすれば……」

 

 翼達は星矢達がディバインウェポン2に苦戦しているのを目撃した。

 

クリス「星矢達が苦戦してるだって!?」

 

切歌「あんなのは神殺しで」

 

氷河「それが、奴は核物質がギッシリ詰まっている巨大な反応兵器のような奴だから、神殺しで迂闊に攻撃すれば大惨事になるんだ!」

 

 巨大な反応兵器という言葉に装者達は衝撃を受けた。

 

調「巨大な…反応兵器……!?」

 

翼「神の力を反応兵器と組み合わせて自爆特攻用にしただと!?」

 

マリア「そんな怪物、どうやって…?」

 

杳馬「さあて、もう爆破させちゃおっと!」

 

 ディバインウェポン2から何かの音がした。

 

瞬「時限タイマーが作動したみたいだ!」

 

翼「どうすれば…」

 

 時限タイマーが作動して爆発が迫っているディバインウェポン2に悩む中、サンジェルマンは立ち上がった。

 

サンジェルマン「私はこの瞬間のために生き永らえてきたのかも知れないな…」

 

マリア「何を言って…」

 

 サンジェルマンは星矢の近くに来た後、足元に錬成陣が出現した。

 

サンジェルマン「星矢、どうやらこの状況を打開する最善の手段はこれしかないようだ」

 

星矢「サンジェルマン、お前…」

 

 

 

回想

 

 前の日の事であった。

 

星矢「個人的な話って何だ?」

 

サンジェルマン「星矢、私に万一の事があった時はお母さんを頼む」

 

星矢「母さんを?急にどうしたんだよ」

 

サンジェルマン「何だか、近いうちに私の命を燃やさねばならない時が来る予感がした。だから、お母さんの実の子の生まれ変わりである星矢にお母さんの事を頼みたい」

 

星矢「サンジェルマン……」

 

サンジェルマン「これは私の兄弟も同然の星矢にしか頼めない事だ。できるか?」

 

星矢「……わかった。お前の頼み、確かに聞いたぞ」

 

 

 

 サンジェルマンの近くへカリオストロとプレラーティも来た。

 

カリオストロ「あーし達も忘れないでね」

 

プレラーティ「最後までサンジェルマンに付き合うワケダ」

 

サンジェルマン「2人とも…」

 

 サンジェルマン達は唄い出した。その歌声に響も目が覚めた。

 

響「この歌声は……?」

 

未来「響!」

 

響「未来……翼さんに、みんな…。それに…」

 

 杳馬と戦っているパルティータは歌声の意味に気付いた。

 

パルティータ「やめて!やめるのよ、サンジェルマン!!私が代わりに!」

 

 今まで以上に動揺したパルティータの声にも耳を貸さず、サンジェルマン達は唄い続けた。

 

瞬「まさか、3人は…」

 

紫龍「ディバインウェポン2をどうにかするために命を燃やしている!」

 

 唄いながらサンジェルマンはパルティータに錬成してもらったラピスを星矢が持つ金の矢に括り付けた。

 

プレラーティ「(この輝き、サンジェルマンの師匠に錬成してもらった逸品なだけあって凄いワケダ)」

 

サンジェルマン「(呪詛の解除、そしてお母さんに追いつきたい一心で始まったラピスの研究開発がやっと誰かのために…)」

 

カリオストロ「(本音言うと、局長にぶち込みたい未練はあるけどね。でも驚いた。いつの間にあの子達と手を取り合ったの?)」

 

サンジェルマン「(取り合ってなどいないわ。お母さんや星矢と違ってあの子達と手を取り合ってなどいない…取り合えるものか……。数えきれないほどの病人達の命を紡いできたお母さんと違って死を灯す事でしか明日を描けなかった…私にはぁああああっ!!)」

 

 自分達の命を焼却し、星矢に注いだサンジェルマン達であった。

 

サンジェルマン「星矢、お母さんを頼む…。そして……私を今まで育ててくれて、愛してくれてありがとう、お母さん……」

 

パルティータ「サンジェルマン…、サンジェルマァァァァン!!」

 

 星矢に注いだ後、サンジェルマン達は消えていった。その光景にパルティータは涙を流し、悲しんでいた。

 

翼「錬金術師…理想を追い求める者……」

 

杳馬「さあて、もうすぐ爆発しちゃうぞ!」

 

 消えていったサンジェルマン達に星矢は涙を流していた。

 

星矢「サンジェルマン……、カリオストロ…、プレラーティ…、お前達の遺志、確かに受け取った!!」

 

 そう言って星矢はラピスを括り付けもらった黄金の弓矢を構え、ディバインウェポン2に向けた。

 

杳馬「星矢、お前が攻撃するとどうなるかわかってるのかなぁ?」

 

星矢「わかってるさ。だからこそ、サンジェルマン達は俺達に未来を、母さんを託してその命を燃やしたんだ!お前達が命を燃やして託してくれたラピス、絶対に当ててみせる!燃えろ、俺の小宇宙よ!」

 

 星矢は小宇宙を最大に燃やした。そして、仲間3人も一緒に来て、小宇宙を燃やした。

 

紫龍「星矢、俺達もいるぞ!」

 

氷河「俺達の力を合わせて!」

 

瞬「ディバインウェポン2を打ち破るんだ!」

 

星矢「行くぞ、コズミックスターアロー!!」

 

 コズミックスターアローを放つ直前、杳馬と戦いつつ、横目で星矢達を見ていたパルティータの目には消えていったサンジェルマン達の姿があった。サンジェルマン達の命の輝きとラピスの光を纏った黄金の矢はディバインウェポン2を射抜き、神殺しの力でディバインウェポン2は復元されずに爆発したが、直後に爆発が収縮して宿っていた神の力共々消えていった。

 

???A「いいものが見られたワケダ」

 

???B「確かに、いいものだったわ」

 

???C「サンジェルマンったら、笑ってる」

 

 ディバインウェポン2を破壊した星矢達にはうっすらとサンジェルマン達の姿が目に映った。

 

マリア「ディバインウェポン2を…撃破した…」

 

調「あとは分離した神の力を!」

 

切歌「うん」

 

 ところが、空間が割れて神の力が引きちぎったアダムの腕に宿った。

 

アダム「しなければね、君達に感謝を」

 

翼「アダム・ヴァイスハウプト!またしても神の力を!」

 

アダム「僕の手に…今度こそ!」

 

 そのままアダムは腕を放り投げた。

 

翼「止めるぞ!」

 

アダム「そうはさせ」

 

 ところが、広範囲攻撃が無差別にアダムと装者達を襲った。

 

アダム「何の真似だ!?杳馬!」

 

杳馬「ごめんごめん、パルティータちゃんが避けられない攻撃をしちゃったら、たまたまダンナ達を巻き込んじゃって」

 

アダム「何だとォ!?」

 

杳馬「(もうあの人形も終わりだな)」

 

 アダムと装者達が吹っ飛ばされた隙に響が向かった。

 

未来「今がチャンスだよ、響!」

 

響「うん!」

 

アダム「近づかせるものか!」

 

???「アダムのいけず!」

 

 ところが、ティキが抱き付いてアダムを邪魔した。

 

アダム「うわっ!」

 

ティキ「抱いてくれないからあたしが抱いちゃう」

 

 アダムの動きが止まった隙に響が向かっていった。

 

響「うおおおおおおっ!」

 

アダム「やめろっ!!都合のいい神殺しなものか!その力は!2千年の想いが呪いと積層した哲学兵装!使えば背負う、呪いをその身にぃぃっ!」

 

星矢「耳を傾けるな!たとえ俺は神殺しの聖闘士であっても、俺は俺だ!だから響、迷わずに神の力をぶっ壊せ!」

 

響「うおおおおおおっ!」

 

 そのまま響は神の力を打ち砕いたのであった。

 

 




これで今回の話は終わりです。
今回は破壊神ヒビキと杳馬が開発してティキ2号機が神の力を得て変貌した姿、ディバインウェポン2との戦闘、そしてサンジェルマン達の最後を描きました。
当初からサンジェルマン達を原作同様に退場させる事は決めていましたが、星矢達がいたら反応兵器だけでは退場の理由が力不足になってしまうと考え、サンジェルマン達が犠牲にならないとどうにもならない相手として神の力に加えて反応兵器20発分の核物質をギッシリ詰め込んだティキ2号機が変貌したディバインウェポン2が思いつきました。
そして、反応兵器を発射した米国がディバインウェポン2によって反応兵器を本国へ送り返され、大統領をはじめとした人々が大勢死亡するというしっぺ返しを受けるのも加えました。
次はアダムとの最終決戦を描きますが、前の話で出ていた『奴』がどう動くのかが見物です。

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