セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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120話 黒い医者との思い出

ブラックジャックの家

 

 騒動が一段落した後の事だった。ブラックジャックの診療所へ沙織と弦十郎が来ていた。

 

ブラックジャック「沙織お嬢様と弦十郎が何の用だ?」

 

弦十郎「ブラックジャック君に要請がある。君にS.O.N.Gの民間協力者になってほしい。これから、アルカノイズに遭遇する可能性も高くなるから、協力者になれば装者の護衛もつけられるぞ。もちろん、我々は普段の君の行動を束縛しない」

 

ブラックジャック「民間協力者に?だが、無料では引き受けないぞ」

 

弦十郎「付き合いはそれなりにあるから、それくらいわかってるさ。それに、君はグラード財団が誇る君と並ぶ腕を持つ名医のホワイトクイーン、パルティータ君についても知りたくないか?」

 

沙織「民間協力者になっていただけたら、教えますよ」

 

 今まで自分に匹敵する腕を持つ医者を探していたブラックジャックにとって、自分に匹敵するといわれるパルティータに興味関心があった。

 

ブラックジャック「私に匹敵する腕の持ち主といわれるホワイトクイーンの事は気になるが、そっちもただでは教えてくれないのか」

 

沙織「そこはギブアンドテイクという事でどうでしょうか?」

 

ブラックジャック「いいでしょう。民間協力者になりますが、きちんと治療費はとりますよ、沙織お嬢様」

 

沙織「はい。交渉は成立という事で」

 

ブラックジャック「それと、アルカノイズについてお聞きしたい」

 

 沙織と弦十郎はアルカノイズ、そしてそれを製造する錬金術師についても教えた。

 

ブラックジャック「錬金術か…。歴史に埋もれ、今となっては○○の錬金術師というアニメをはじめとしたアニメや漫画の中の存在になり果てたと思っていたら、まだ現代にも存在していたとは…。世界というのは思った以上に奥が深いものだな」

 

弦十郎「そうだな」

 

 

 

S,O,N,G潜水艦

 

 沖縄の騒動が終わって戻ってきた響達は沙織の大活躍やブラックジャックの事を話していた。

 

翼「なっ、立花達は任務中にあの世界一の名医とも言われるブラックジャック先生に会っただと!?」

 

切歌「驚きデス!」

 

響「凄いんだよ!船の中で怪我をした人の応急処置をしてくれたんだけど、病院では応急処置のレベルを超えていたって!」

 

クリス「数千万単位の金を要求するけど、それに見合った事をしてくれたんだ」

 

マリア「応急処置という名の治療…。相変わらずの手術の腕前ね…」

 

未来「相変わらずって…、マリアさんはブラックジャック先生の治療を受けた事があるんですか?」

 

マリア「数年前にね」

 

 そこへ、星矢達が入ってきた。

 

切歌「沙織さんは沖縄では凄い活躍をしたと響さん達から聞いたデス!」

 

沙織「いえ、私は田中代議士の行いを紛糾しただけです。横暴な振る舞いをした挙句、田中代議士があまりにも自己中心的な発言を繰り返して勝手に自滅しただけで…」

 

調「全部あの代議士の自業自得」

 

マリア「口は禍の元っていうけど、あの人の場合は人格もダメでそれとの相乗効果で自分で自分の破滅を招いてしまったわね…」

 

翼「ブラックジャック先生はお金持ちしか治療しないのか?」

 

星矢「そうでもないらしいぞ。普通の人でも治療してくれたケースがいくつもあるんだぜ」

 

紫龍「ただし、それなりの誠意を見せなければ、金持ちであっても治療をしてくれないんだ」

 

沙織「グラード財団の医療機関でも手におえない患者が来た際は度々、ブラックジャック先生を呼んでいて、大きな戦いが終わる度に星矢達の治療も彼に依頼してお世話になっています」

 

響「星矢さん達とブラックジャックさんって、意外と付き合いが長いんだ」

 

クリス「気になってたけどあいつ、どういうわけかシンフォギアの事を知ってたんだ」

 

氷河「ブラックジャックがシンフォギアを?」

 

クリス「ああ。あたしらに『LiNKERを使っているのか』とか聞いてきて……」

 

未来「響とクリスはないと答えて、私は昔は使ってたけど、今はもう使ってないと答えました」

 

響「どうしてブラックジャックさんはシンフォギアやLiNKERを知ってるのかなぁ…」

 

 それに、マリアと切歌、調が反応した。

 

調「それ、ちょっとある騒動があって…」

 

響「騒動?」

 

 そう言ってると、弦十郎が来た。

 

弦十郎「全員揃ったようだな」

 

未来「今回の任務は何ですか?」

 

弦十郎「今回の任務はある事件での自爆テロに失敗し、かろうじて生きている錬金術師から仲間やアジトに関する事情を聞きだしたくて、治療を医療施設にお願いしたがあまりにも火傷などがひどくて手に負えず、ブラックジャック君に来てもらう事にした。君達にはブラックジャック君の護衛、及び手術が成功するまで敵の錬金術師達の攻撃からの防衛をやってもらいたい」

 

響「ブラックジャックさんの護衛ですか…」

 

星矢「あいつには色々と世話になったし、手術を何としても成功させてやろうぜ!」

 

 一同は意気揚々と出撃の準備をした。

 

 

 

車内

 

 S,O,N,Gの送迎用の車に乗り、ブラックジャックは車内にいる装者達と対面した。

 

翼「(あの男が医師免許を持たない上、法外な手術費をとる反面、普通の医者では手に負えない多くの重傷患者や末期患者の命を救ってきた名医ブラックジャックか……。半分白髪、色が違う移植された皮膚、一度見たら忘れられない特徴的な顔だ……)」

 

ブラックジャック「またお前さん達と出会うとは。一応、民間協力者になるのを承諾したから付き合いも長くなるだろう」

 

マリア「今回はブラックジャック先生、あなたの護衛と、手術が成功するまでの病院の防衛よ」

 

ブラックジャック「この前はシンフォギア装者が船に乗ってなかったら、他の乗客共々、海の藻屑となっていたからな。護衛は感謝する」

 

調「そう言えば、ブラックジャックと一緒に幼い子がいるけど…」

 

響「この子はピノコちゃんなの」

 

切歌「ピノコはブラックジャックの子供デスか?」

 

ピノコ「子供じゃにゃいだわしゃ!ピノコは、ちぇんちぇの奥たんなのしゃ!」

 

切歌「そうは思えないのデス」

 

調「どう見たって、幼稚園児にしか見えない……」

 

ピノコ「ピノコは子供じゃにゃいだわしゃ!大人だわしゃ!」

 

翼「本当にあの見た目でピノコは大人なのか!?」

 

未来「はっきりとはわからないんですけど、本人は18歳と言っているようです」

 

マリア「ええええっ!!!?」

 

翼「18歳だと!?何かの冗談だろう!」

 

ピノコ「ほんとだわしゃ!」

 

響「でも、あり得なくはないですよ。セレナちゃんなんか、コールドスリープしてなかったら20歳でしたし…」

 

ブラックジャック「(セレナ…?)」

 

 ブラックジャックは響がうっかり言ってしまったセレナという言葉に反応した。そして、ピノコが18歳である事が信じられなさそうな顔をしているマリアへ怒りの視線を向けた。

 

ピノコ「そこのおっぱいオバケもあたちが大人だと認めない顔をしてるのよしゃ!ちぇんちぇに近づくのも許さないだわしゃ!」

 

マリア「お、おっぱいオバケ!?」

 

クリス「あたしにもあのチビはおっぱいオバケって言ったんだ。全く、何であたしは胸の事ばかり言われるんだよ…!」

 

 近頃、クリスはやたらと胸の事を言われているため、クリスほど胸の事は言われないものの、ピノコにおっぱいオバケ呼ばわりされたクリスの心境がマリアには理解できた。

 

マリア「それより、ブラックジャック先生は風鳴司令から治療費は受け取ったの?」

 

ブラックジャック「治療費は受け取った。といっても、弦十郎や沙織お嬢様は色々と仕事の依頼を俺にするし、二人には世話になっているから、通常の10分の1程度で引き受けるのだがな」

 

未来「依頼って……」

 

ブラックジャック「色々あった。色々な重傷患者や末期患者の治療がな。それに、大火傷を負ったウェル博士の治療を引き受けた事もある」

 

マリア「アリシアに大火傷を負わされたあの状態のドクターを治療できたなんて……」

 

ブラックジャック「弦十郎の方針は『罪を憎んで人を憎まず』だからな。生きて罪を償わせるというのも、ある意味では生き地獄だ。ま、身体の方は治せても、精神面は手の施しようがなかったがな」

 

 話をしているうちに目的地が近づいてきた。

 

 

 

病院

 

 そして、目的地の病院に着き、ブラックジャックは自爆テロに失敗してかろうじて生きている錬金術師の診察を行った。

 

医師「どうでしょうか?ブラックジャック先生」

 

ブラックジャック「治せます。ですが、それなりの大手術になります。準備はよろしいですね?」

 

医師「それは承知しています。あ、後……この患者の仲間がこの病院を襲ってくる可能性も……」

 

ブラックジャック「それについては、心強い護衛がいます。きっと、彼女達が何とかしてくれるでしょう」

 

医師「わかりました。では、準備に取り掛かります」

 

 装者達は待合室にいて、手術室のランプが点灯した。

 

響「ブラックジャックさんの手術が始まるみたいだよ」

 

未来「でも、錬金術師が襲ってくるって弦十郎さんは言ってるから、油断しちゃダメだよ」

 

クリス「なあ、思ってたんだが、ブラックジャックはなんでシンフォギアやLiNKERの事を知ってるんだ?」

 

切歌「至って簡単デス。マリアの治療に来たのがきっかけなのデス」

 

翼「マリアの治療にだと?」

 

調「うん…」

 

マリア「あれは、数年前ぐらい前になるわ……」

 

 

 

回想

 

 それは、フロンティア事変はおろか、ルナアタック事変ですら起こっていない時期であり、マリア達は適合訓練の最中であった。

 

マリア『そう、マムがまだ生きていた頃…』

 

ナスターシャ「あなた達には、これから新型のLiNKERの投与とギアの装着の訓練を行ってもらいます」

 

切歌「その……新型LiNKER、大丈夫なんデスか……」

 

調「何だか…不安……」

 

 不安そうにする2人の肩にマリアは手を置いた。

 

マリア「大丈夫。まずは私がやるわ」

 

調「でもマリア……」

 

マリア「だから、大丈夫って言ってるでしょ?マム、私からやるわ!」

 

ナスターシャ「わかりました。では、マリアから始めますよ」

 

 早速、マリアは新型LiNKERを打った。

 

マリア「Granzizel bilfen gungnir zizzl」

 

 マリアは聖詠を唱え、ガングニールを纏ったのであった。

 

切歌「おおっ、成功デス!」

 

調「よかった……」

 

 研究員達や切歌と調は喜び、ナスターシャも少しだけ微笑んでいた。

 

マリア「言ったでしょ、大丈夫っ」

 

 しかし、突如としてマリアに異変が起こった。

 

マリア「がはっ!ああああああっ!!!」

 

 マリアは血を吐き、凄まじいバックファイアが発生し、のたうち回って大量出血したのであった。

 

切歌「マリア!」

 

調「そんな……!」

 

ナスターシャ「適合訓練は中止!ただちに医務室へ!」

 

 すぐにマリアは医務室に運ばれ、ある程度時間が経った。

 

切歌「マム、マリアに何が起こったのデスか……!?」

 

ナスターシャ「恐らく、ギアと新型LiNKERのバックファイアが同時に発生し、絶唱並のバックファイアとなったのでしょう」

 

調「LiNKERとギアのバックファイアが同時に……」

 

切歌「マリアは大丈夫なんデスか?」

 

ナスターシャ「それは……」

 

 医務室から、医者が出てきた。

 

ナスターシャ「マリアの容態はどうでしたか?」

 

医者「残念ながら、我々の手では施しようがないほどです。もう、諦めるしか……」

 

 その非情な回答に切歌と調は絶望に打ちひしがれ、泣き出した。

 

切歌「そんな……セレナに続いて、マリアまで死んでしまうのデスか!?」

 

調「そんなの、いやだよ!何とかしてよ!!」

 

 泣いている切歌と調の姿にナスターシャは血が出る程にまで、歯を食いしばっていた。

 

医者「そんな事を言われても……」

 

ナスターシャ「諦めてはいけません!ここの医者では治せないのなら、世界中の名医に来てもらい、治してもらえばいいのです!」

 

医者「ですが、それができる医者はいるのでしょうか…?」

 

ナスターシャ「何が何でも探します!(マリア、あなたを絶対に死なせません!たとえ、私の命に代えてでもあなたを治せる名医を見つけ出してみせます!)」

 

 研究員を総動員し、ナスターシャはマリアの治療ができる名医を血眼になって探していた。

 

研究員A「しかし、あの状態の患者を治せる医者はいるのか?」

 

研究員B「無理に決まってるだろ?」

 

研究員C「そういや、ブラックジャックとかいう、世界一ともいわれるほどとんでもなく腕のいい医者がいたな」

 

研究員B「だけど、医師免許のねえモグリの医者だし、気まぐれでへそ曲がりだし、治療費はかなりとるし、そんな奴に頼むわけ……」

 

 研究員達のぼやきをナスターシャは聞き、目の色を変えてきた。

 

ナスターシャ「そのブラックジャックという医者ならば、マリアを救えるのですか!?」

 

研究員C「プ、プロフェッサー!?」

 

研究員A「けど、あの医者は医師免許がない上、金をかなりとるんですよ!そいつに頼むなんて……」

 

ナスターシャ「一刻を争うのです!少しでも希望があるのなら、直ちに連れてきなさい!」

 

 ちょうどブラックジャックは手術の依頼があってアメリカに来ていたため、ナスターシャが思っていた以上に早く連れてくる事ができた。

 

ブラックジャック「あなたが依頼人の」

 

ナスターシャ「ナスターシャです」

 

ブラックジャック「患者は?」

 

ナスターシャ「今から案内します」

 

 ナスターシャはブラックジャックを案内した。ブラックジャックを見た切歌と調はその特徴的な姿に異様な雰囲気を感じていた。

 

調「あの人が……ブラックジャック……。マリアを救える世界一の腕を持つ医者……」

 

切歌「何だか、不気味デス……」

 

 そして、ほぼ全身包帯が巻かれていて痛々しい姿をしているマリアをブラックジャックは診察し、部屋から出てきた。だが、その表情はさっきとはまるで血相を変えていて、明らかに怒っている様子だった。

 

ナスターシャ「ブラックジャック先生、マリアは治せ」

 

ブラックジャック「どういう事だ!?ナスターシャ教授!」

 

ナスターシャ「どうしたのですか?」

 

ブラックジャック「あの患者からとんでもない劇薬が検出されたんだぞ!あのLiNKERとかいう劇薬はとんでもない毒物だ!ナスターシャ教授、あなたはそれを知っててマリアに投与したのか!?」

 

ナスターシャ「はい…」

 

ブラックジャック「お前さんはマリアをモルモットか何かのように思っているのか!?とんだ薄情者だ!」

 

 ナスターシャに薄情者といったブラックジャックに対し、切歌と調は激怒した。

 

調「ブラックジャック、その言葉を取り消してよ!」

 

切歌「マムを薄情者呼ばわりするのは許せないデス!」

 

ブラックジャック「マム…?お前達2人はその女を親のように慕っているようだが、そいつはマリアにとんでもない劇薬を投与したんだぞ!薄情者と言って何が悪い!?」

 

調「そういうブラックジャックこそ、手術の度にいつも大量のお金を請求してる金の亡者じゃない!あなたがそれをやめれば、もっと多くの人の命が救えるというのに!」

 

ブラックジャック「世の中は単純じゃないし、俺は慈善家じゃない。帰らせてもらう!」

 

 ナスターシャに激怒し、帰ろうとしたブラックジャックであったが……。

 

切歌「ブラックジャックはマムを全く知らないのデス!」

 

ブラックジャック「どういう意味だ?」

 

切歌「マムは数年前の事故の際に左目と足を犠牲にマリアを助けたのデス!決してお前の言うような薄情者ではないのデス!」

 

ブラックジャック「左目と足を犠牲に!?」

 

 その時、ブラックジャックはなぜ、ナスターシャが眼帯をし、電動いすに乗っていたのかが理解できた。

 

ブラックジャック「……俺はとんでもない勘違いをしていたようだ。ナスターシャ教授、あなたは薄情者ではなく、あの2人やマリアに慕われているいい育ての親のようだ」

 

ナスターシャ「ですが、私がこのような事態を招いてしまったのは事実です。管理責任は私にあるので、あなたの気が済むまで私を罵ってくれて構いません。ですが、マリアを助けてください…。手術費は私が必ず」

 

ブラックジャック「いや、あなたが支払う必要はない。支払うべきは……FISの上層部だ!今からオペを開始する!」

 

 準備が整った後、ブラックジャックは白衣を着用し、手術が始まった。

 

ブラックジャック「(こいつは予想以上に厄介だ。ここの医者が匙を投げるほどにな。だが、ナスターシャ教授は左目と足を犠牲にしてマリアを助けたんだ…。ならば、俺は教授の頼みに応えてマリアを必ず助ける!俺が母さんを失った時のような悲しみをあの2人とナスターシャ教授にさせたくはない…!)」

 

 ブラックジャックの速く、的確なメス捌きはFISの医者達でも驚くほどであった。調と切歌、ナスターシャはマリアの手術が終わるのを待っていた。

 

調「マム、ブラックジャックはマリアを救えるの?」

 

ナスターシャ「救えます。かつて、ブラックジャック先生は幼い頃、母親と共に不発弾の爆発に巻き込まれて身体がバラバラになったのですが、本間先生の大手術により、奇跡的に一命をとりとめ、厳しいリハビリを積んでから医学を学び、今に至るそうなのです。残念ながら、共に爆発に巻き込まれた母親に関しては亡くなられたそうですが……」

 

調「身体がバラバラに!?」

 

切歌「あたし達がそうなったら、即死デス……」

 

調「(ブラックジャックが何となく家族の事に関して弱そうなのは、お母さんが早くに亡くなったのが原因なのかな…?)」

 

ナスターシャ「普通はそうなるはずです。しかし、あの人は奇跡的に生き延びる事ができ、医者となってからは天才的な医療技術で奇跡を起こし、普通の医者では手に負えない患者を多く救ってきた。まさに、その存在自体が奇跡といえるでしょう」

 

 ナスターシャが説明している間にもブラックジャックはどんどん治療を進めていき、遂に手術中のランプが消えてブラックジャックが出てきた。

 

ナスターシャ「手術が終わったようです」

 

切歌「ブラックジャック、手術は成功したのデスか…?」

 

ブラックジャック「……成功だ!」

 

 笑顔で答えたブラックジャックに切歌と調はマリアが助かった事に大喜びし、ナスターシャもほっとしたのであった。そしてその晩、ブラックジャックはナスターシャと話をしていた。

 

ブラックジャック「ナスターシャ教授、なぜあなたはLiNKERをマリアに?」

 

ナスターシャ「……ここからは他言無用の機密事項です。よろしいですね?」

 

ブラックジャック「わかった」

 

 ナスターシャは他言無用と言い、シンフォギアの事などをブラックジャックに話した。

 

ブラックジャック「なるほど。マリアにLiNKERを投与したのは、シンフォギアの適合訓練だったからなのか……。だが、マリアは助かった。家族を失わずに済んでよかったですね、教授」

 

ナスターシャ「……実は、数年前に既に失っているのです」

 

ブラックジャック「数年前だと?」

 

ナスターシャ「切歌が言っていた、私がこのような状態になる原因となった事故の際、マリアの妹のセレナが亡くなったのです」

 

ブラックジャック「(助ける事ができたと思っていたら、数年前に既に失われた命があったとは…。だから、ナスターシャ教授はマリアを助けてほしいと必死で頼んだのか……)」

 

ナスターシャ「FISの上層部にはいくら請求するんですか?」

 

ブラックジャック「日本円にして、5億円だ!人の命が助かり、シンフォギアなどの機密漏洩防止のための口止め料だと思えば安いものでしょう?教授」

 

ナスターシャ「ええ。人の命は失われたら永遠に戻る事はありませんからね…」

 

 翌日、意識が戻ったマリアは跳ね起きたのであった。

 

マリア「こ、ここはどこなの!?」

 

切歌「マリアが起きたのデス!」

 

ナスターシャ「マリア、昨日何があったのか覚えてますか?」

 

マリア「確か、適合訓練の際にガングニールを纏った後で……」

 

ナスターシャ「その際、ギアとLiNKERのバックファイアが同時に発生し、マリアはここの医者では手の施し様がないほどの重体となったのです」

 

マリア「でも、何でそれ程の重体になったのに、どうして私は生きているの?」

 

ナスターシャ「それは、私がマリアの治療のためにあの方を呼び、手術してもらったからです」

 

 ナスターシャの話と同時にブラックジャックが入ってきた。

 

ブラックジャック「手術から1日で跳ね起きるとは、予想よりも早く意識が戻ったようだ」

 

マリア「その人は?」

 

調「ブラックジャック。医師免許がない上、数千万単位以上のお金を請求する金の亡者だけど、世界一の腕を持つ医者なの」

 

マリア「あなたがあの巷で有名なブラックジャック先生なの!?」

 

ブラックジャック「そうだ。それと調、金の亡者というのは余計だ」

 

ナスターシャ「様々な依頼が来るためにお忙しい中、本当にありがとうございました」

 

ブラックジャック「それと、LiNKERを使うというのであれば、このような大惨事を引き起こさないためにももっと改良が必要だ。では、これで」

 

 機密や非人道的な事を漏らすと脅して治療費をFISの上層部から搾り取り、マリアの意識が戻って術後の経過を見た後、帰ったのであった。

 

 

 

響「そんな事があったんですか……」

 

未来「だから、シンフォギアの事を最初から知ってて、私達に『LiNKERを使っているのか』と聞いてきたんだ……」

 

マリア「フロンティア事変後の私達の処遇の件でもブラックジャック先生はFISの実態を知る人として、斯波田事務次官に呼ばれてその人と共に私達の死刑回避に奔走してくれたの」

 

翼「なっ!?そこまでしてくれていたとは!?」

 

クリス「つーか、医者ってレベルの仕事を超えてやがるな……」

 

未来「だけど、ブラックジャック先生に治療を依頼する人は政治家やお金持ちだって多いんだよ。だから、世界的にあれ程の影響力があってもおかしくない気がする」

 

マリア「その通りよ。ブラックジャック先生は無免許医だけど、医師や医療機関に見放された末期患者達の最期の希望になっている上、多くの要人や有力者も顧客になっているせいで日本医師連盟を揺るがした事件さえ起こって世界への影響力も大きくなっているから、各国政府も彼の医療行動には見て見ぬふりをせざるを得ないって翼のパパさんも言ってたわ」

 

 予想以上にブラックジャックの世界への影響力が大きい事に響達も驚いていた。

 

調「だけど、あの数千万単位以上の治療費をとるのだけは許せない」

 

切歌「そうデス!ブラックジャック先生は金の亡者なのデス!」

 

 切歌と調はブラックジャックの法外な治療費をとる姿勢を認めていなかった。そこへ、通信が入った。

 

弦十郎『早速、アルカノイズが出てきたぞ!出撃だ!』

 

装者達「了解!」

 

 装者達は病院の防衛のために出撃したのであった。アルカノイズ出現の報告は待っているピノコはおろか、手術室にも入っていた。

 

看護師「大変です!ノイズが病院に迫っています!」

 

医師「ノイズだとぉ!?手術中だという、こんな一大事に!」

 

ブラックジャック「うろたえるな!今は手術中だ!それに、我々をノイズから護ってくれる人達のためにも、我々はこの手術を成功させなければならない!それが、我々の戦いだ!」

 

医師「も、申し訳ありません!ノイズの出現を聞いて、取り乱してしまったもので…」

 

ブラックジャック「(あの7人ならば、アルカノイズを1歩たりとも病院へ足を踏み入れさせないだろう。そして、俺も彼女達の期待に応えて手術を成功させねばならない!)」

 

 響達が護り抜く事を信じ、ブラックジャックと医者達は手術を続けた。一方の装者達もいつも以上に気合が入って戦っていた。

 

マリア「医者のブラックジャック先生からしたら、一瞬で人命を奪えるノイズやアルカノイズは許し難い存在でしょうね」

 

未来「医者としてでなく、1人の人間としても許し難いはずですよ」

 

響「病院には多くの人達がいるから、絶対に護りきらないと!」

 

翼「私達が武器を手に、敵から人々を護る防人なら、ブラックジャック先生達医者はメスなどの医療用具を手に、病魔や怪我という名の敵と戦う防人だ!何としても護り切るぞ!」

 

 翼はブラックジャック達医者も防人とみなしたのであった。そして、装者達がアルカノイズを倒しきったのと同時に手術も無事に終了したのであった。

 

調「手術は無事に終わったの?」

 

ブラックジャック「ああ。お前さん達が病院を護り切った事で手術も無事に成功した。ありがとう」

 

切歌「えっへんデス!」

 

調「もっと手術費を安くしてくれたら、多くの人達が助かるのに……」

 

ブラックジャック「それは容認できないな」

 

切歌「やっぱり、金の亡者ぶりは変わってないデス!こうなったら、司令に奉仕の心を叩き込んでもらわなければいけないデス!」

 

ブラックジャック「ほ、奉仕の心!?」

 

 ブラックジャックはらしくない怯えた表情をした事に、調と切歌はある事に気付いた。

 

ピノコ「どうしたの?ちぇんちぇ。それに、ほうちのこころってなぁに?」

 

調「もしかして、ブラックジャックは司令の説教が苦手なんじゃ……」

 

切歌「ぬふふふふ…、思わぬ形でブラックジャックの弱点がわかったデス!へそ曲がりで金の亡者という、腐った性根を司令に叩き直させてやるデス!」

 

ブラックジャック「や、やめろ!それだけはやめるんだ~~~っ!!」

 

 慌ててブラックジャックはその場から逃げ出そうとした。その光景にピノコはチンプンカンプンなのであった。




これで今回の話は終わりです。
今回はブラックジャックとマリア達の意外な過去が明かされ、なぜブラックジャックがシンフォギアやLiNKERを知っていたのかが明らかになるのを描きました。
過去の話でマリアが死にかかった原因をギアとLiNKERのバックファイアが同時に発生した事にしたのは、絶唱並のバックファイアで命の危機にならなければブラックジャックの出番にならないと思ったためです。
アニメのブラックジャックでできた見どころはニコニコでは変身シーンとも称されるブラックジャックの白衣装着シーンだと思うので、回想で白衣を着用するシーンはアニメの白衣装着シーンだと思ってください。
最後辺りの戦闘パートは戦闘の描写と手術の描写が交互に描かれると思ってください。
ブラックジャックの弱点に弦十郎の説教を設定したのは、いくらブラックジャックでもOTONAの説教にはかなわないだろうと思ったからです。
次は六等星の話をします。そして、久しぶりに奏とセレナの出番もあります。
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