セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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歌と魔法の物語編
133話 夢で会ったような…


郊外

 

 ある時、ギャラルホルンのアラートが鳴り、突如として現れたノイズではない正体不明の敵に星矢達は最悪の事態に備えて装者達の戦いを見守り、装者達は応戦していた。

 

クリス「何なんだよ、こいつら!」

 

翼「ノイズではない事は確かだが、放っておくわけにはいくまい!」

 

切歌「そんな細かい事は後にして、とにかく倒す事が先デス!」

 

調「そうだね」

 

 装者達は正体不明の敵を次々となぎ倒していった。

 

星矢「今日も俺達の出番はなさそうだな」

 

氷河「ギャラルホルンのアラートが鳴った以上、とてつもなく恐ろしい何かが起きるかも知れんぞ」

 

沙織「(ですが、今回はアラートの色が異なります。あの蛇の怪物の時とも違いますし、何なのでしょうか…?)」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 弦十郎達は動向を見極めていた。

 

あおい「敵は順調に駆逐されていってます」

 

朔也「駆逐はもうすぐおわりそうですね」

 

弦十郎「このまま終わってくれればいいんだが…」

 

沙織「ネフィリムの影が現れたケースもあるので、まだ油断は」

 

 そう言ってると、高エネルギー反応が確認された。

 

あおい「新たな高エネルギー反応を確認!」

 

弦十郎「何だとォ!?」

 

朔也「これまでの反応と一致しない反応です!」

 

 モニターに超巨大な上に逆さまになっていて、スカートの下に巨大な歯車が蠢いている青いドレスの女性みたいな化け物が映ったのであった。

 

沙織「あれは、一体…?」

 

 

 

郊外

 

 現場では、巨大な化け物の登場に響達も衝撃を受けた。

 

切歌「と、とてつもなく大きいのデス!!」

 

調「下手をしたら、ネフィリムノヴァにも匹敵するかも…」

 

クリス「的がデカイ分、狙いは容易いぜ!」

 

 そう言ってクリスはミサイルや銃弾を叩き込みまくったが、化け物には思ったほど効いている様子がなかった。

 

化け物「アハ、アハハハハッ!!」

 

クリス「思った以上に効いてねえのかよ!」

 

翼「デカイ分、防御力も高いという事か…!」

 

響「だとしても、それ以上に攻撃を叩き込めばいいだけの事です!」

 

未来「それでこそ、響だよ!」

 

マリア「みんな、波状に攻撃を叩き込むわよ!」

 

 装者一同は化け物に攻撃を連続で叩き込んだ。まずはマリアの攻撃と切歌と調のユニゾン技による波状攻撃、そして次は翼とクリスの攻撃、締めに響と未来が攻撃を仕掛けた。

 

化け物「アハハハハッ!」

 

マリア「その笑い声、とても耳障りなのよ!」

 

 そう言ってるうちに化け物は消えてしまった。

 

未来「消えちゃった…」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 装者達は本部に帰還した。

 

翼「あの化け物は一体…?」

 

エルフナイン「わかりません。少なくとも、新たに繋がった並行世界にいる事は間違いないでしょう」

 

クリス「あの化け物が並行世界にいるのか…」

 

切歌「本体に勝てるのか不安なのデス…」

 

調「ネフィリムなどと違って初めて戦った相手だから…」

 

 いきなり巨大な敵と戦う羽目になったため、装者達は不安だった。

 

紫龍「今回の並行世界は生半可な戦力では返り討ちに遭うだけだろうな…」

 

沙織「司令、今回はどうしますか?」

 

弦十郎「ふむ…。今回は星矢達はこの世界に残り、装者達全員で向かってもらおうか」

 

響「わ、私達全員で!?」

 

 いきなり装者全員で並行世界へ向かう事に響達は驚いた。

 

弦十郎「いきなりあの怪物が出た以上、戦力を出し惜しみするわけにもいかないしな」

 

瞬「響達が不在の間は僕達がノイズ退治をしておくから、安心して」

 

マリア「頼むわ」

 

沙織「皆さん、今回は未知の敵が出た以上、以前にもまして未知の世界へ足を踏み込む事になります。絶対に生きて帰る事だけは約束してください」

 

響「わかりました!必ず生きて帰ってきます!」

 

 

 

ゲート内

 

 そして響達はギャラルホルンのゲートを通り、新たにつながった並行世界へ足を踏み入れようとしていた。だが、そんな時に響はピンクのツインテールの少女を見つけ、足を止めた。

 

未来「どうしたの?」

 

響「いや、気のせいだよ。さ、行こうか!(さっき、誰かがいたような気がしたけど……)」

 

 気のせいだと思い、響は足を再び動かして進んだ。響が見たピンクのツインテールの少女は響達を見つめていた。

 

 

 

郊外

 

 ゲートを通り抜け、響達は新たな並行世界へ足を踏み入れた。

 

響「ここが…新しい並行世界…!」

 

未来「とても異変が起こっているとは思えないのどかな場所だよ」

 

切歌「ピクニック日和なのデス!」

 

調「うん。シートを広げてお弁当を食べたい雰囲気…」

 

マリア「2人共、私達は並行世界の異変の調査とその排除にやってきたのよ」

 

切歌「はっ!?あまりにものどかでついついそんな気分になったのデス!」

 

 切歌と調がそう思った通り、この辺りは建物が少なく、ピクニック気分になれる場所であった。

 

クリス「それにしても、ここはどこなんだ?」

 

翼「ちょうど近くに建物がある。そこにいる人に」

 

???「急に聖遺物反応が出たけど、その反応の主はあなた達なの?」

 

 声がしてその方を向くと、そこには櫻井了子がいたのであった。

 

クリス「嘘だろ……?」

 

響「りょ、りょりょりょ……了子さん!?」

 

了子「あらあら、私のファンかしら?」

 

翼「いきなり櫻井女史に会えたのはよかったのかも知れない」

 

マリア「彼女なら、理解してくれそうだわ」

 

 

 

了子の家

 

 近くにある割と大きな了子の家に装者達は上がらせてもらった。

 

未来「わざわざすみません」

 

了子「いいのよ。それより、あなた達は何者かしら?」

 

翼「実は…」

 

 自分達は異変の調査のために並行世界から来た事を伝えた。

 

了子「なるほどね。それなら、未確認の聖遺物がいきなり7つ同時に出現してもおかしくはないわ」

 

マリア「どの程度聖遺物の研究は進んでいるの?」

 

了子「それがね、聖遺物絡みの事故が色々とあって、どの国も思うように進んでいないのよ。あなた達のいる世界ではかなり進んでいるようね」

 

翼「はい。そしてその結果、シンフォギアが実用化されました」

 

了子「シンフォギア…。私の構想にあった代物がこんな形で出た以上、あなた達は並行世界の人間である事は確定ね」

 

クリス「それより、ここはどこなんだ?」

 

響「教えてください」

 

了子「ここは見滝原の郊外よ。で、ここが私と弦の家」

 

翼「弦?まさか、その人は風鳴弦十郎なのでは…?」

 

了子「そうよ。数年前に私と結婚したの」

 

響「ええええええっ!?」

 

???「やけに騒がしいな」

 

 そこへ、弦十郎が来た。

 

未来「弦十郎さん!」

 

弦十郎「ん?なぜ俺の名前を最初から知ってるんだ?」

 

了子「それはね…」

 

 了子は響達の素性を話した。

 

弦十郎「なるほど、並行世界から…。了子の言ってる事は正しいようだな…」

 

切歌「司令はこの世界の異変と戦ってるのデスか?」

 

弦十郎「司令…?何を言ってるんだ?俺は、見滝原中の体育教師だ!」

 

 その言葉にまたしても衝撃を受けた。

 

クリス「オッサンが教師だって!?」

 

弦十郎「体を動かすのはもちろん、映画を見てその動きを覚えるという授業もやってるぞ!」

 

切歌「す、すごいのデス!」

 

調「授業の光景が容易に想像できる…」

 

弦十郎「だが、生徒を護るのは大人たる俺達の役目だからな。前に学校を占拠しようとした中東出身のテロリスト達をあっさり片付けた事もある」

 

 弦十郎が以前、テロリストをあっさり片付けたと豪語した事に響達は何も不自然に思わなかった。

 

マリア「話が教育の方になってるけど、この世界に何か異変はないのかしら?例えば、黒いノイズとか…」

 

了子「ノイズは半世紀から1世紀ぐらいに一度しか現れない特異災害だから、ノイズが出たという記録はないわね」

 

弦十郎「だが、以前から原因不明の自殺や交通事故、蒸発事件が起こっている」

 

未来「原因不明の自殺や交通事故?」

 

弦十郎「俺が阻止した事例もいくつかあるが、その際の自殺しようとした人や交通事故を起こしたりした人の話では、その時の事を覚えていないらしい」

 

クリス「嘘だろ!?」

 

翼「催眠術か何かでそうさせるように仕向けたのでは…?」

 

了子「そこは不明よ。これらの真相を暴くためには、調査が必要ね。あと、妙なエネルギー反応が急に出たり急に消えたりと度々確認されているの。そっちもよろしくね」

 

響「はーい!」

 

切歌「早速、調査開始デス!」

 

マリア「とりあえず、切歌と調は今日の段階では本部との連絡役も兼ねて櫻井了子と一緒に行動して。私達は5人で行動するわ」

 

切歌「ガッテン承知デス!」

 

調「わかった。って……」

 

 ふと、装者達がカレンダーを見ると、元の世界や各並行世界では10月のはずなのに、4月になっていた。

 

切歌「デデデデース!!どうなってるのデスか!?」

 

弦十郎「何って、今月は4月なんだぞ」

 

マリア「どうなってるのよ!私達の世界や各並行世界では10月なのに、ここでは4月なんて!」

 

了子「あなた達の驚き様を見れば、この世界とあなた達の世界には月日のズレが生じているようね」

 

響「でも、今まで並行世界に行った際はこんな事はなかったんです」

 

了子「もしかすると、何者かがギャラルホルンとやらに干渉し、あなた達の世界と月日のズレが生じているこの世界に繋げたんじゃないかしら?」

 

翼「制御を受け付けないはずのギャラルホルンに干渉できる存在か…」

 

 ふと、響はピンクのツインテールの少女がやったのではないかと思ったのであった。

 

 

 

見滝原

 

 響達は見滝原に来た。

 

響「ここが見滝原かぁ…」

 

未来「何も異変がないような街だね」

 

クリス「だが、オッサン達の言う異変が起こってるんだ」

 

 それから響達は調査を続けたが、特に手掛かりは得られなかった。

 

翼「何も手掛かりはないようだな」

 

マリア「仕方ないわね。ここで調査は」

 

 ところが、通っている最中に登校途中の女子中学生3人とばったり対面した。

 

響「あっ…!」

 

少女A「あっ…!」

 

 そのピンクのツインテールの少女と響は視線が合ってしまった。

 

響「えっと…」

 

少女B「えっ?まどかと声が同じ!?」

 

少女C「確かに、声だけ聞くと間違えちゃいそうですわ」

 

まどか「ほんとだ!私と声が同じ!」

 

 まどかと響の声が同じ事に双方とも驚いたのであった。

 

翼「その少女、立花と声がそっくりだ!」

 

未来「何だか、大人しい響って感じがするよ」

 

少女B「向こうも盛り上がっちゃってるなぁ」

 

響「そうだ、自己紹介しよう!私は立花響!17歳!」

 

未来「私は響の幼馴染の小日向未来」

 

翼「風鳴翼だ」

 

クリス「あたしの名は雪音クリス」

 

マリア「マリア・カデンツヴァヴナ・イヴよ」

 

まどか「響さんに未来さん、翼さんとクリスさんにマリアさんですね。私は鹿目まどか」

 

さやか「美樹さやか、さやかちゃんだよ!」

 

仁美「志筑仁美です。よろしくお願いします」

 

さやか「それにしても、クリスはとても胸がデカイわね。あたし達と大差ないのにそんな巨乳を持つ中学生がいるなんて……驚きだぁ!」

 

 そう言ってさやかはクリスの胸を揉んだ。

 

クリス「うわっ!あたしの胸を触んじゃねえ!」

 

さやか「その巨乳、まるでマシュマロみたいだぞ!」

 

クリス「てめえ、あたしは中学生じゃねえ!高校生だ!」

 

 激怒したクリスに拳骨され、さやかの頭にたんこぶができていた。

 

まどか「こ、高校生…!?」

 

仁美「驚きですわ…」

 

さやか「って事は……」

 

翼「私達全員はお前達より年上だ」

 

仁美「あの、何をしているのですか?」

 

マリア「私達は政府機関の人間で、この見滝原に異変が起こっていると聞いて、調査に来たの」

 

さやか「異変かぁ…」

 

響「とりあえず、まどかちゃん達も何かあったら知らせてね」

 

まどか「はい、響さん」

 

 そう言って響達は調査を続けた。

 

さやか「まどか、あのまどかと声がそっくりな子が気になるの?」

 

まどか「うん…。響さん、明るい人だから私にとっては太陽のように明るくて、眩しくて…」

 

仁美「私もあの人は太陽のような人だと思いますわ」

 

 何も取り柄がないと思っているまどかにとって、響は太陽のように明るく、眩しい憧れの存在と化したのであった。

 

 

 

市街地

 

 辺りを見回ってみたが、特に異常は見当たらなかった。

 

翼「どこにも異常は見当たらなかったな…」

 

マリア「そうね…。治安が悪いとは思えないし、どうなのかしら…?」

 

 そんな中、何かの音がした。

 

クリス「この音は…バカしか考えられねえな」

 

響「えへへ…お腹空いちゃった!」

 

クリス「こんなとこで腹が減ったのかよ!」

 

翼「だが、腹が減っては戦はできぬという言葉がある。食事をしてから調査を再開しよう」

 

響「やったぁ!」

 

???「まどか!?」

 

 突然、誰かが声をかけてきたが、空腹になっていた響には聞こえていなかった。そして、その声の主の少女は声を出したのがまどかではないと知り、気が抜けてしまった。

 

少女「私がまどかと間違えてしまうほど声が似てたなんて…。あの子、何者なの?」

 

 まどかと間違えてしまった事に少女はショックを受け、その場を後にした。

 

 

 

病院

 

 昼食をとった後、何か異変が起きてないか病院に来た。

 

未来「病院に来ちゃった」

 

マリア「念のため、調べておきましょう」

 

 病院も調査してみたが、特に異変はなかった。

 

クリス「異変はねえようだな」

 

翼「他をあたってみるとするか」

 

 病室を通りかかると、ある少年と視線が合った。

 

少年「見慣れない人達だね。どうしたんだい?」

 

マリア「私達は政府機関の人間で、何か異変がないか調査しに来たの」

 

恭介「お勤め、ご苦労様です。僕、上条恭介と言います。あなた達は…?」

 

 響達は自己紹介した。

 

恭介「それでは、調査を頑張ってくださいね」

 

 恭介は響達を見送った。ふと、未来は恭介の左手に注目していた。

 

響「どうしたの?未来」

 

未来「あの恭介って子、怪我で手が動かせないんじゃないかな?」

 

マリア「言われてみれば、そうかも知れないわ」

 

響「ここのお医者さんでも治せないなら、その時はブラックジャックさんの出番ですよ!」

 

クリス「バカ!ブラックジャックは普通の人間だから、並行世界を渡れねえだろ!」

 

響「はぁ…。だったら、パルティータさんの出番かぁ…」

 

翼「そうなるな」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 一方、切歌と調は報告のために元の世界に戻り、月日のズレが生じている事を元の世界の弦十郎らに伝えていた。

 

弦十郎「月日のズレか…」

 

沙織「確かにアラートの様子といい、今回はおかしな部分が多いですね」

 

切歌「何者かがギャラルホルンに干渉して世界を繋げたと推測されているのデス」

 

慎次「その何者かとは、一体…?」

 

調「そこは私達も心当たりが全くないの」

 

弦十郎「月日のズレはわかった。2人とも再び向こうへ向かい、何かあったら報告に来てほしい」

 

 切歌と調は再び並行世界へ渡った。

 

 

 

了子の家

 

 結局、異常は見つからずに一同は帰ってきた。

 

弦十郎「異常は見つけられず、か…」

 

響「あの…師匠は人々を護る組織の司令じゃないんですか?」

 

弦十郎「一応、見滝原中の教師で構成された見滝原中の生徒はもちろん、見滝原市の人々の平和と安全を守る見滝原Gメンのメンバーだが、司令ではない」

 

了子「司令は別にいるのよ」

 

翼「叔父様以外で司令を務められる人といえば…」

 

 そこへ、誰かが通信を入れたが、その人物は一同に縁の深い人であった。

 

八紘『弦、異変はどうなんだ?』

 

翼「お、お父様…!」

 

 突然、見覚えのない人物にお父様と言われ、八紘は困惑した。

 

八紘『お父様?弦、その女は何者なんだ?』

 

弦十郎「実は…」

 

 弦十郎と了子は響達の事情を話した。

 

八紘『なるほど。君は並行世界の私の娘だというのか』

 

翼「そうです。信じがたい話ですが…」

 

八紘『確かに、急に聞いたせいでそうだな。それより、異変についてはまだわからないのか?』

 

了子「そうよ。この子達も手伝ってくれてるんだけど、わかんない事だらけなの」

 

八紘『そうか。だが、焦り過ぎも禁物だ。落ち着いて冷静に調査するんだ。それと、君達は明日、市庁舎へ来てくれ』

 

 そう言って八紘は通信を切った。

 

マリア「翼のパパさんが見滝原Gメンの司令なの?」

 

弦十郎「そうだ。そして、八紘兄貴は見滝原市の市長でもある。で、俺が現場指揮官といったところだ。だから、いざとなれば俺も前線に出て戦うからな!」

 

切歌「それは心強いのデス!」

 

クリス「黄金レベルの敵でもいなけりゃ、オッサンは途方もなく心強いからな」

 

調「それより、また調査に向かうのですか?」

 

了子「もう今日は遅いから、ゆっくり休んで次に備えましょ」

 

 もう遅いため、装者一同は寝る事にした。

 

 

 

???

 

 変な道をまどかは走り続けていた。進んだ先にある扉を開けると、そこには崩壊した街と、響達が元の世界で戦った化け物、そして、その化け物と戦っている少女の姿だった。

 

まどか「ひどい…」

 

???「仕方ないよ、彼女一人では荷が重すぎた。でも、彼女も覚悟の上だろう」

 

 声とともに不思議な生き物がいつの間にかいた。一見するとかわいらしい獣だが、その瞳は不気味さも感じられた。

 

まどか「そんな…、あんまりだよ!こんなのってないよ!!」

 

 化け物と戦っていた少女は戦っている中でまどかに何かを伝えようとしていた。

 

???「諦めたらそれまでだ…。でも、君なら運命を変えられる。避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい。そのための力が、君には備わっているのだから」

 

まどか「本当なの?私なんかでも本当に何かできるの?こんな結末を変えられるの?」

 

???「勿論さ。だから僕と契約して、魔法少女になってよ」

 

 

 

まどかの家

 

 しかし、これはまどかが見た夢であった。

 

まどか「はぁ……、夢オチ…?」

 

 そして、母親の詢子、父親の知久、弟のタツヤと共に朝食をとって支度を終え、学校へ行く時間となった。

 

 

 

見滝原市庁舎

 

 同じ頃、朝早くに響達は八紘が待っている見滝原市庁舎に来た。

 

八紘「昨日は通信という形で君達と対面したが、私が見滝原市長にして、見滝原Gメン司令の風鳴八紘だ」

 

翼「司令、どのようなご用件で私達を呼びだしたのでしょうか?」

 

八紘「君達にはこの世界に滞在している間、見滝原Gメンのメンバーとして活動してほしい。見滝原Gメンのメンバーとして活動した方が調査の方でも色々と便利であろう?」

 

翼「私としても、合法的にこちらの世界の調査が可能になるのはありがたい事だと思います」

 

八紘「では、このバッジを付けたまえ」

 

 八紘は響達に見滝原Gメン隊員の証であるバッジを渡し、響達はそれを付けた。

 

マリア「翼のパパさん、このバッジを付ければ、見滝原市内ならどこでも合法的に調査が可能になるのね?」

 

八紘「そうだ。それと、君達に大人数で乗れる車一台とバイク一台を手配しよう。翼は元の世界ではバイクを乗り回しているそうだからな」

 

翼「感謝します」

 

マリア「車は私が運転するわ」

 

八紘「弦達は見滝原中へ行った。では、君達は調査に向かってくれたまえ」

 

 早速、響達は見滝原Gメンとして調査に乗り出した。

 

 

 

見滝原中学校

 

 見滝原中学校ではホームルームの時間になっていて、弦十郎は何か異変がないか教室の様子を見ながら回っていた。

 

弦十郎「(今日も異変はないようだな…)」

 

 そうしていると、まどか達のクラスの教室に通りかかろうとしていた。

 

弦十郎「(また和子先生の愚痴が始まったのか…)」

 

 弦十郎は同僚の早乙女和子の愚痴にうんざりしていた。

 

和子「今日は皆さんに大事なお話があります。心して聞くように。目玉焼きとは半熟ですか、完熟ですか?はい、中沢君!」

 

中沢「えっ、えっと……どっちでもいいんじゃないかと…」

 

和子「その通り、どっちでもよろしい!たかが卵の焼き加減なんかで女の魅力が決まると思ったら大間違いです!!女子の皆さんはくれぐれも半熟じゃなきゃ食べられないとか抜かす男とは交際しないように!」

 

さやか「ダメだったか…」

 

まどか「ダメだったんだね」

 

和子「そして、男子の皆さんは卵の焼き加減にケチをつける大人にならない事!えへん。はい、後それから、今日は皆さんに転校生を紹介します」

 

さやか「そっちが後回しかよ」

 

和子「じゃあ、暁美さん、いらっしゃい」

 

 和子に呼ばれてクールな雰囲気の少女が来た。

 

さやか「うわぁ、すげえ美人!」

 

 転校生に見とれる中、まどかは転校生が夢に出た少女と同じ姿である事に驚いていた。

 

まどか「嘘…、まさか…」

 

和子「それじゃあ、自己紹介いってみよう」

 

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

 

 そして、しばらくしてから響達が調査のため、見滝原中学校を訪れた。

 

響「ここがまどかちゃん達が通っている学校かぁ…」

 

未来「響、調査に行くよ」

 

 職員室へ行き、自分達が見滝原Gメンである事を教頭に教え、許可をもらって調査を行った。

 

切歌「何だか、リディアン以上に近未来的デス!」

 

調「そうだね」

 

マリア「3組に分かれて調査を行いましょう」

 

 響と未来、翼とマリア、クリスと切歌と調の3組に分かれて何か異変がないかの調査を行った。

 

翼「緒川さんは歴史の授業を担当しているのか…」

 

マリア「由緒ある忍の家に生まれた緒川さんらしいわね」

 

 クリス達の方は…。

 

切歌「藤尭さんはITの授業をしてるのデス!」

 

調「友里さんは国語みたい」

 

クリス「案外、適材適所みたいだな」

 

 響と未来の方は…。

 

響「未来、今回の異変はいつもと違ってなかなか見つからないね…」

 

未来「うん。でも、きちんと解決しないと大変な事になるよ」

 

響「そうだけど、この世界にあの怪物がいるのかな…?」

 

 会話をしていると、まどかだけでなく、響達は面識がないが、響の声がまどかに似ていたがために、響をまどかと間違えてしまった少女、暁美ほむらを見つけた。

 

響「あの子、不思議な子だなぁ…」

 

 まだ響達が来ているのを知らないほむらはまどかと会話していた。

 

ほむら「鹿目まどか、あなたは自分の人生が貴いと思う?家族や友達を大切にしてる?」

 

まどか「え、えっと…。わ、私は大切だよ。家族も友達のみんなも、大好きでとっても大事な人達だよ」

 

ほむら「本当に?」

 

まどか「本当だよ!嘘なわけないよ!」

 

ほむら「そう。もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて絶対に思わない事ね」

 

まどか「え?」

 

ほむら「さもなくければ、全てを失う事になる」

 

 その言葉はまどかにとって衝撃的だった。

 

ほむら「あなたは鹿目まどかのままでいればいい。今まで通りに、これからも」

 

 ほむらは立ち去ろうとしたが…。

 

ほむら「あなた達、いつからそこにいたの?」

 

響「え?私達の事に気付いていたの!?」

 

 仕方なく響と未来は出てきた。

 

ほむら「あなた、本当に声だけ聞いてるとまどかと間違えてしまうくらいに声がそっくりね。名前は?」

 

響「私、立花響」

 

未来「響の幼馴染の小日向未来よ」

 

響「ほむらちゃん、だったよね?なんか、不思議だと思うけど…」

 

ほむら「あなた、まどかと声が似てるのは驚いたけど、まどかを危険な目に遭わせたりしたら、その命はないと思いなさい」

 

響「ほむらちゃん、何で私にこんな事を言うのかはわからないけど、困っている事があったら言って。私や未来に翼さん達が力になるから」

 

 その言葉にほむらは思わず苛立った。

 

ほむら「……あなた、まどかと同じ声でそんな事を言わないで!」

 

 怒ったほむらはその場を離れた。

 

響「私、嫌われちゃったのかな…?」

 

未来「(ほむらちゃんって子、何だか並行世界の響と似たような悲しくて絶望している目をしてた…。何か、あったのかな…?)」

 

 並行世界の荒んだ響を見た未来はほむらの様子を察していた。それから、異変がないか学校を調査している響達、そして弦十郎らにほむらはある疑問が浮かんだ。

 

ほむら「…まどかと似た声の立花響とその仲間達、そして見た事もない教師。こんな事、今までの時間軸では一度も見た事がなかった。何らかのイレギュラーだとでもいうの?」

 

響『困っている事があったら言って。私や未来に翼さん達が力になるから』

 

 響が言ったその言葉は、ほむらにとって忌まわしい言葉であった。

 

ほむら「力になる?馬鹿らしい!私はもう誰にも頼らないと決めたのよ。まどかと同じ声の能天気な女にそんな事を言われると虫唾が走る!」

 

 誰にも頼らないと決めたほむらにとって、まどかと同じ声で困った事があれば力になると言った響はとても憎く、忌まわしい存在であった。そして、まどかの方を白い謎の生き物と杳馬が見ていた。

 

 

 

ショッピングモール

 

 放課後、駅前のショッピングモールのカフェでまどか達は話をしていた。

 

さやか「えっ、何それ!?」

 

まどか「訳わかんないよね…」

 

さやか「文武両道で才色兼備かと思いきや、実はサイコな電波さん。く~~っ!どこまでキャラ立てすれば気が住むんだ、あの転校生は!?萌えか?そこが萌えなのか!?」

 

仁美「まどかさん、本当に暁美さんとは初対面ですの?」

 

まどか「う~ん…、常識的にはそうなんだけど……」

 

さやか「何それ?非常識な所で心当たりがあるというの?」

 

まどか「あのね…、夕べ、夢の中であの子と会ったような…」

 

さやか「あははははっ!すげえ、まどかまでキャラが立ち始めたよ!」

 

まどか「ひーどいよ!私、真面目に悩んでるのに!」

 

さやか「ああ、もう決まりだ。それ、前世の因果だわ。あんた達、時空を超えて巡り会った運命の仲間なんだわ!」

 

仁美「夢って、どんな夢でしたの?」

 

まどか「それが…、何だかよく思い出せないんだけど…とにかく変な夢だったってだけで…」

 

仁美「もしかしたら、本当に暁美さんと会った事があるのかも知れませんわ」

 

まどか「えっ?」

 

仁美「まどかさん自信は覚えていないつもりでも、深層心理には彼女の印象が残っていてそれが夢に出てきたのかも知れません」

 

さやか「それ、出来過ぎてない?どんな偶然よ」

 

仁美「そうね。あっ、もうこんな時間。ごめんなさい、お先に失礼しますわ」

 

さやか「今日はピアノ?日本舞踊?」

 

仁美「お茶のお稽古ですの。もうすぐ受験だっていうのに、いつまで続けさせられるのか」

 

さやか「うわぁ、小市民に生まれてよかったわ」

 

まどか「私達も行こっか」

 

さやか「まどか、帰りにCD屋に寄ってもいい?」

 

まどか「いいよ。また上条君の?」

 

さやか「いひひ、まあね」

 

 その頃、響達も色々と回った後、ショッピングモールの調査に来ていた。

 

翼「その暁美とかいう少女は立花を嫌っていたというのか?」

 

響「はい…。まどかちゃんと同じ声でそんな事を言うなって言われて…」

 

調「元から響さんはその声だというのに、そんな言いがかりをつけるなんて…!」

 

切歌「そのほむらとかいう女は性根が腐っているのデス!」

 

マリア「そう思いたくなるのは仕方ないけど、私達は調査を行い、異変の詳細を突き止め、解決する事が大事よ」

 

調「だけど、その異変と遭遇しない…」

 

翼「仕方あるまい、月読。地道に調査を続け、その異変と遭遇するしかないだろう」

 

クリス「だけど、こんな中じゃな…」

 

 ふと、未来はどこかへ行くまどかを見つけた。

 

未来「みんな、まどかちゃんが!」

 

響「まどかちゃんが!?」

 

 一同はまどかを追いかけた。まどかはさやかと共にCDショップにいたのだが、助けを呼ぶ謎の声が聞こえたため、まどかは改装中のフロアに来た。

 

まどか「誰?誰なの?」

 

???「助けて…」

 

 まどかは暗い中で恐る恐る声の主を探していた。

 

まどか「どこにいるの…?あなた、誰?」

 

???「助けて…」

 

 そんな時、天井のエアダクトの蓋と共に白いウサギみたいな生き物が落ちてきた。

 

まどか「あなたなの?」

 

???「助けて……」

 

 その直後、学校にいた時とは服装が違うほむらがやってきた。

 

ほむら「そいつから離れて」

 

まどか「だ、だって…、この子、怪我してる…。だ、ダメだよ、ひどい事しないで!」

 

ほむら「あなたには関係ない」

 

まどか「だってこの子、私を呼んでた!聞こえたんだもん、『助けて』って!」

 

ほむら「そう……」

 

 沈黙が続いたが、そこへ響達が来た。

 

響「まどかちゃん、大丈夫!?」

 

まどか「私は大丈夫。でも、この子が…」

 

 まどかが抱えている生き物の姿を響達は見た。

 

切歌「まさか、ウサギさんっぽい生き物を傷つけたのはほむらなのデスね!?」

 

調「許さない…!」

 

翼「立花と小日向はまどかとその生き物を連れて逃げろ!この場は私達が暁美を食い止める!」

 

響「わかりました!」

 

未来「行こう、まどかちゃん!」

 

 響はまどかの手を引き、急いでその場を離れた。ちょうどその時にさやかとも遭遇した。

 

さやか「さっき見てたけど、何だかやばそうだったね」

 

未来「わからない。でも、この子が傷ついているから、動物病院へ行こう!」

 

 一方、翼達とほむらは対峙していた。

 

マリア「ほむらと言ってたわね。あなたには色々と聞きたい事があるわ。そうしてくれれば、乱暴な事はしないと約束する」

 

ほむら「あなた達に話す事は」

 

 そう言ってると、空間が歪んだ。

 

ほむら「こんな時に…!」

 

 ほむらはその場を去った。

 

クリス「待ちやがれ!」

 

マリア「待ちなさい!今は化け物達を倒して、あの子達と合流するのが先決よ!」

 

 そして、翼達のいる場所は混沌とした空間になり、元の世界に出没した怪物も出てきたのであった。

 

 

 

 

 

 




これで今回の話は終わりです。
今回は響達の世界にいきなりワルプルギスの夜の影が出てきたのとまどかマギカの1話、『夢で会ったような』の話となっています。
並行世界の方では月日にズレが生じている設定にしたのは、本来はもっと後にこの話を執筆する予定でしたが、マギアレコードのアニメ版放送やヒーリングっど♡プリキュアが放送された事で前倒しして執筆したくなり、まどかマギカの本編中の時期に合わせるために月日にずれが生じた設定にしました。
まどか達のいる並行世界側での弦十郎らを見滝原中の教師にしたのは、変に防衛組織の人間にするより教師の方がまどか達と接点を持ちやすいと思ったからです。
まどかと響は中の人が同じなので、作中でもまどかと響は声が似てると周りに言われるように描いた他、まどかと声が似てるせいでほむらが響に憎悪を抱く原因にもなるのも挿入しました。
ワルプルギスの夜はまどか☆マギカ本編でもまどかの夢で出てきたので、今小説でもある意味原作再現としてワルプルギスの夜の影が響達の世界に現れるのを描きました。
次の話はみんな大好きマミさんの登場と悪徳営業者にして、外道マスコットキュゥべえとのファーストコンタクトを描きます。

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