セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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135話 もう何も怖くない

病院

 

 学校の後、さやかは恭介のいる病室に来たが…。

 

響「やっほー!」

 

 響達も魔女がいないか来ていたのであった。

 

さやか「ひ、響達まで!!」

 

未来「この街に初めて来たときもこの病院に来て、恭介君と知り合いになったんだ」

 

切歌「もしかして、さやかは恭介の事が好きなのデスか?」

 

さやか「ちょ、ちょっとそんな言い方しなくても!!」

 

調「気になる…」

 

クリス「というか、そういう話はうちでやれ!!」

 

 騒がしくなり、恭介が気付いた。

 

恭介「何をしてるの?」

 

響「あはは…、さやかちゃんと一緒にお見舞いに来たんだ」

 

恭介「そのバッジ…弦十郎先生と同じ見滝原Gメンの人達だね。見回りのついでで来てくれてありがとう」

 

さやか「それじゃ、またね」

 

 お見舞いを終え、さやか達は帰った。

 

 

 

公園

 

 同じ日の夜、響達は再びマミの魔女退治に付き合っていた。

 

マミ「ティロ・フィナーレ!」

 

 掛け声とともに大砲みたいな巨大な銃から弾丸が発射され、狙いの使い魔に命中して使い魔は大爆発した。それと共に空間も元通りになった。

 

さやか「いや~、やっぱマミさんってかっこいいねえ!」

 

マミ「もう…、見世物じゃないのよ。危ない事してるって意識は忘れないでおいてほしいわ

 

まどか「グリーフシード、落とさなかったね」

 

弦十郎「魔女じゃないみたいだな」

 

マミ「あれは使い魔です」

 

さやか「なんか、ここんとこずっと外れだよね」

 

マミ「使い魔だって放っておけないのよ。成長すれば、分裂元と同じ魔女になるから。さあ、行きましょう」

 

 一行は帰る事にした。

 

マリア「マミ、使い魔は私達に任せたら?そうした方が魔力の消耗も抑えられるはずだけど…」

 

マミ「ですけど、長年魔法少女をやってきたせいで使い魔も倒さないといけないと体に染みついてしまって…」

 

翼「私達も無理にそうしろとは言ってないしな」

 

マミ「2人共何か願い事は見つかった?」

 

さやか「う~ん…。まどかは?」

 

まどか「……ううん」

 

未来「焦らなくていいから、じっくり考えてね」

 

響「そういうマミちゃんはどういった願い事をしたの?」

 

マミ「私の場合は……考えている余裕さえなかっただけの話だから…」

 

 マミは目を閉じて自分が契約をした時の事を思い出していた。

 

マミ「後悔している訳じゃないのよ。今の生き方も、あそこで死んじゃうよりはよほどよかったと思ってる。でもね、ちゃんと選択の余地がある子には、きちんと考えた上で決めてほしいの。私にできなかった事だからこそ、ね」

 

さやか「ねえ、マミさん。願い事って、自分のための事柄でなきゃ、ダメなのかな?」

 

マミ「え?」

 

さやか「例えば…、例えばの話なんだけどさ、あたしなんかよりよほど困っている人がいて、その人のために願い事をするのは…」

 

まどか「それって、上条君の事?」

 

さやか「た、たとえ話だって言ってるじゃんか!」

 

切歌「素直に言えばいいのデス」

 

さやか「だから!」

 

キュゥべえ「さやかの疑問に答えてあげるけど、別に契約者自身が願い事の対象になる必然性はないんだけどね。前例もないわけじゃないし」

 

マミ「でも、あまり感心できた話じゃないわ。他人の願いを叶えるのなら、尚の事自分の望みをはっきりさせておかないと。美樹さん、あなたは彼に夢を叶えてほしいの?それとも、彼の夢を叶えた恩人になりたいの?同じようでも全然違う事よ、それ」

 

 このマミの言葉は重みがあり、厳しい言葉であった。

 

さやか「…その言い方はちょっとひどいと思う…」

 

マミ「ごめんね。でも今の内に言っておかないと。そこをはき違えたまま先に進んだら、あなたはきっと後悔するから」

 

さやか「…そうだね。あたしの考えが甘かった。ごめん」

 

マミ「やっぱり、難しい事柄よね。焦って決めるべきではないわ」

 

キュゥべえ「僕としては早ければ早いほどいいんだけど」

 

マミ「ダメよ。女の子を急かす男子は嫌われるぞ」

 

 まどか達と別れたマミはソウルジェムを片手に夜の公園を歩いていた。しばらくすると、何かに気付いたのか、ソウルジェムを指輪にした。その直後に後ろにほむらが現れた。

 

ほむら「わかってるの?あなたは無関係な一般人を危険に巻き込んでいる」

 

マミ「彼女達はキュゥべえに選ばれたのよ。もう無関係じゃないわ」

 

ほむら「あなたは2人を魔法少女に誘導し、立花響達を始めとする得体の知れない連中をも引き込もうとしている」

 

マミ「それが面白くないわけ?」

 

ほむら「ええ、迷惑よ。…特に鹿目まどか」

 

マミ「ふ~ん。そう、あなたも気付いてたのね。あの子の素質に」

 

ほむら「彼女だけは…契約させるわけにはいかない」

 

マミ「自分より強い相手は邪魔者ってわけ?いじめられっ子の発想ね」

 

ほむら「あなたとは戦いたくないのだけれど」

 

マミ「なら、二度と会う事のないよう努力して。話し合いだけで事が済むのは、きっと今夜で最後だろうから」

 

 マミとほむらの話を杳馬は2人が認識しづらいほど上空から見ていた。

 

杳馬「おうおう、ギスギスしちゃってるねえ。さて、これからどうなるのかなぁ…?」

 

 

 

市街地

 

 翌日、響達は弦十郎も加え、チーム毎に手分けして魔女がいないかの見回りをしていた。

 

マリア「魔法少女ギアは予想以上に便利よ。魔法攻撃への耐性も通常のギアより高くなっているし、ソウルジェムに似たセンサーで魔女の探知もできるようになったわ」

 

弦十郎「それに、一度変化した後は自由に変化できるようになったみたいだ」

 

マリア「マミの力で変化した際に魔法少女の気分になったから、それもあるのかも知れない。それに、魔法少女ギアの状態なら、対魔力対策もされてるかのように結界の中でも外部との通信が可能になるわ」

 

弦十郎「心象変化というのは面白いものだな」

 

 そう言ってると、まどかとマミの2人と遭遇した。

 

弦十郎「2人ともその急ぎ様、魔女が出たのか?」

 

マミ「はい」

 

まどか「先生とマリアさんも一緒にお願いします!」

 

マリア「わかったわ。念のため、みんなにも指定の場所に来るように伝えるわ」

 

弦十郎「(何か嫌な予感がする…。俺も念には念を押しておくか)」

 

 移動している際、弦十郎はある人物に連絡した。

 

弦十郎「緒川、お前も来い。今回は何か嫌な予感がする…」

 

 まどかとマミの2人と合流した後、マリア達は恭介のお見舞いに来た病院の駐輪場に来た。そこには、黒い亀裂が壁にあった。

 

マミ「ここね」

 

 ソウルジェムの指輪を壁に向けると、指輪の宝石が輝き、魔女の紋章が現れた。

 

マミ『キュゥべえ、状況は?』

 

キュゥべえ『まだ大丈夫。孵化する様子はないよ』

 

まどか『さやかちゃん、大丈夫?』

 

さやか『へ~きへ~き。退屈で居眠りしちゃいそう』

 

キュゥべえ『むしろ、迂闊に大きな魔力を使って卵を刺激する方がまずい。急がなくていいから、なるべく静かに来てくれるかい?』

 

マミ『わかったわ』

 

マリア「さっきからまどかとマミは何をしてるの?」

 

まどか「テレパシーで会話してたんです」

 

マミ「みんな、結界の中を静かに進むわよ」

 

 一同は結界に突入した。その際に慎次も弦十郎以外には気付かれないように入り込んだ。

 

 

 

魔女の結界

 

 今回の魔女の結界の中も混沌という言葉でしか言い表せないほど様々なものがあちこちにあった。

 

まどか「間に合ってよかった…」

 

マミ「無茶しすぎって怒りたい所だけど、今回に限っては冴えた手だったわ。これなら、魔女を取り逃がす心配も…」

 

 会話が途切れた途端、マミは後ろに視線を向けた。マリア達も視線を向けると、いつの間にかほむらがついてきていた。

 

マミ「言ったはずよね?二度と会いたくないって」

 

ほむら「今回の獲物は私が狩る。あなた達は手を引いて」

 

マミ「そうもいかないわ。美樹さんとキュゥべえを迎えに行かないと」

 

ほむら「その2人の安全は保障するわ」

 

マミ「信用すると思って?」

 

 マミは左手を突き出すと指輪が輝き、地面からリボンが現れてほむらを拘束した。

 

ほむら「ば、バカ…。こんな事やってる場合じゃ…」

 

マミ「もちろん怪我させるつもりはないけど、あんまり暴れたら保証しかねるわ」

 

ほむら「…今度の魔女は、今までの奴等とはわけが違う…!」

 

マミ「大人しくしていれば帰りにちゃんと解放してあげる。行きましょう、みんな」

 

まどか「あ、はい…」

 

弦十郎「ほむら君、今回の魔女がどれほど強いのかはわからないが、もしもの事があれば俺がその魔女を倒す!生徒を守るのが教師であり、大人である俺の役目だからな!」

 

ほむら「あなたの言う」

 

マリア「ほむら、この人の強さを過小評価してもらっては困るわ。それじゃ、私達はこれで」

 

 そう言ってマリア達は進んだが、その際に弦十郎は合図をして、慎次がほむらの前に現れた。

 

慎次「ほむらさん、この結界の中にいる魔女を知っているようですが、特徴などを教えてくれませんか?」

 

 しばらく進んでいると、瓶が浮かんでいる場所へ来た。

 

まどか「あの…、マミさん…」

 

マミ「何?」

 

まどか「願い事…私なりに色々考えてみたんですけど……」

 

マミ「決まりそうなの?」

 

まどか「はい…。でも、マミさんには考え方が甘いって怒られそうで…」

 

マミ「どんな夢を叶えるつもり?」

 

まどか「私って昔から得意な学科とか、人に自慢できる才能とか、何もなくて…。きっとこれから先ずっと誰の役にも立てないまま迷惑ばかりかけていくのかなって……。でも、マミさんと会って誰かを助けるために戦ってるのを見せてもらって…。同じことが私にもできるかも知れないって言われて…何よりうれしかったのはその事で…。だから私…、魔法少女になれたらそれで願い事は叶っちゃうんです。こんな自分でも誰かの役に立てるんだって。胸を張って生きていけたら…それが一番の夢だから」

 

マミ「大変だよ。怪我もするし、恋したり遊んだりしてる暇もなくなっちゃうよ」

 

まどか「でも、それでも頑張ってるマミさんに…、私、憧れてるんです」

 

マミ「憧れるほどのものじゃないわよ、私。無理してかっこつけてるだけで、怖くても辛くても誰にも相談できないし、一人ぼっちで泣いてばかり。良いものじゃないわよ、魔法少女なんて」

 

 そんなマミにマリアは手を置いた。

 

マリア「でもマミ、あなたはもう1人じゃない」

 

弦十郎「そうだとも。これからは俺達もお前の魔女退治に協力する。本来ならばそれが大人の仕事なんだからな!」

 

マミ「…そうね、そうなんだよね…」

 

 振り向いた後、マミはまどかの手を握った。

 

マミ「本当に、これから私と一緒に戦ってくれるの?傍にいてくれるの?」

 

まどか「…はい。私なんかでよかったら」

 

弦十郎「マリア君達は異変が収まったら帰るが、俺達教師は魔女退治に参加し続けるぞ」

 

 弦十郎とまどかの温かい言葉にマミは…。

 

マミ「参ったなあ…。まだまだちゃんと先輩ぶってなきゃいけないのになあ…やっぱり私、ダメな子だ…」

 

まどか「マミさん…」

 

マミ「でもさ、せっかくなんだし、願い事は何か考えておきなさいよ」

 

まどか「せっかくなんですかね…、やっぱり」

 

マミ「契約は契約なんだから、ものはついでと思っておこうよ。億万長者とか、素敵な彼氏とか」

 

まどか「いやぁ…、その…」

 

マミ「じゃあ、こうしましょう。この魔女をやっつけるまでに願い事が決まらなかったら、その時はキュゥべえにごちそうとケーキを頼みましょう」

 

まどか「け、ケーキ?」

 

マミ「そう、最高に大きくて贅沢なお祝いのケーキ。それでみんなでパーティーをするの。私と鹿目さんの、魔法少女コンビ結成記念よ」

 

マリア「まどかがそんな願いで魔法少女に?」

 

マミ「嫌ならちゃんと自分で考える!」

 

 そんな中、キュゥべえからのテレパシーが来た。

 

キュゥべえ『マミ!グリーフシードが動き始めた!孵化が始まる、急いで!』

 

マミ「オッケー、わかったわ。今日という今日は速攻で片づけるわよ!」

 

マリア「私も行くわよ!Seilien coffin airget-lamh tron」

 

 笑みを浮かべたマミは魔法少女の姿に変身し、マリアもギアを纏った。それと同時にお菓子が現れるといった変化が起こった。マミはまどかの周りにリボンの壁を形成してからギアを纏ったマリアと弦十郎と共に飛び降り、次々と使い魔を蹴散らしていった。今回のマミの戦い方はまるでダンスをするかのような動きで、マリアもそれに合わせていた。

 

マミ「(身体が軽い…。こんな幸せな気持ちで戦うなんて初めて…。もう何も怖くない。私…もう一人ぼっちじゃないもの)」

 

マリア「マミ、嬉しそうね」

 

弦十郎「だが、気を抜きすぎると思わぬしっぺ返しを受けるぞ」

 

 使い魔を蹴散らした後、マリア達と共にまどかの手を引いて進んでいった。奥へ進んでいくとさやかとキュゥべえがいて、駆け寄った。

 

マミ「お待たせ!」

 

さやか「ああ~、間に合った…」

 

キュゥべえ「気を付けて!出てくるよ!」

 

 そんな時、袋が破けてぬいぐるみのような魔女が出てきた。

 

 『お菓子』の魔女、シャルロッテ。その性質は『執着』。 欲しいものは全て。絶対に諦めず、欲しいものを手に入れる。彼女の欲しいものを奪い取るのなら、その者には死よりも惨い最期が待ち受けているだろう。

 

マミ「せっかくのところ悪いけど、一気に決めさせて……もらうわよ!」

 

 シャルロッテが座る椅子の足をマスケット銃の銃身で破壊すると、バランスがとれなくなった椅子が倒れるのと同時にシャルロッテが落ちた。それを逃さずマミは再び銃身でシャルロッテを壁に殴り飛ばし、銃弾を放った。シャルロッテは銃弾を全てかわしたが、地面に落ちてマミに頭部を撃ち抜かれた。その後、地面から出た黄色いリボンに拘束された。

 

さやか「やった!」

 

 さやかが歓声をあげると同時にマミも勝利を確信したような微笑みを浮かべた。持っているマスケット銃を巨大な銃に変化させ、狙いをシャルロッテに定めた。

 

マミ「ティロ・フィナーレ!」

 

 弾が発射され、シャルロッテに命中するとリボンでシャルロッテは体を締め付けられ、勝利したかに思えた。

 

マミ「…え?」

 

 ティロ・フィナーレを受けたシャルロッテの口から長くて巨大な黒い体とピエロのような顔が特徴の本体が出てきた。シャルロッテはマミに急接近すると、禍々しく鋭い牙が生えた大きな口を開けてマミを食べようとした。その光景にまどかとさやかは声も出せず、マミは動く事さえできなかった。このままだとマミはシャルロッテの餌食になるところだったが…、突如としてマミが消えてしまった。

 

さやか「マミさんが消えた!?」

 

弦十郎「念のためお前を呼んで正解だった、緒川!」

 

 まどか達の傍にマミを抱えた慎次がいつの間にかいたのであった。

 

まどか「緒川先生!」

 

さやか「っていうか、いつの間に!?」

 

慎次「弦十郎先生に呼ばれて皆さんに気付かれないよう、こっそり後をついてきたんですよ」

 

マリア「やはり、あなたは忍者なの?」

 

慎次「そうです」

 

まどか「お、緒川先生が忍者!?」

 

慎次「そういう場合ではないですよ。それと弦十郎先生、ほむらさんの話によるとあの魔女は外部からの攻撃ではいくらでも脱皮して再生できます。なので」

 

弦十郎「だったら、壁とかに殴り飛ばし続け、内臓にダメージが行くようにすればいいだけだ!」

 

 凄まじい理論にキュゥべえは理解が追いつかなかった。

 

キュゥべえ「内臓にダメージが行くようにすればいいなんて、どういう事を考えればそんな発想になるんだい?わけがわからないよ」

 

弦十郎「マリア君は指示があるまで手を出すな。久しぶりに俺に暴れさせろ!」

 

 それにマリアは頷き、弦十郎が出た。

 

弦十郎「人食い魔女、今度は俺が相手だ!俺の生徒は1人たりとも貴様の胃袋の中には入れさせんぞ!!」

 

 シャルロッテは弦十郎に食い掛ったが…。

 

弦十郎「オラァ!」

 

 弦十郎は拳1発でシャルロッテを殴り飛ばし、壁に叩きつけた。

 

さやか「ええ~~っ!!?魔女を素手で殴り飛ばした!?弦十郎先生って、そんなに強かったの!?」

 

まどか「響さん達の言った通りだ…。弦十郎先生って、物凄く強い……!」

 

 あまりの弦十郎の強さにまどか達見滝原中の学生組は開いた口が塞がらなかった。吹っ飛ばされて壁に激突したシャルロッテは脱皮して再び襲い掛かった。

 

弦十郎「オラオラオラオラオラオラオラァ!!!」

 

 弦十郎の拳の連打にシャルロッテは殴り飛ばされ、壁などに激突しては脱皮して再び襲い掛かり、また殴り飛ばされを繰り返していた。一見するとこの戦いは互角かと思われていたが、シャルロッテは殴り飛ばされて壁に激突したのを繰り返していたために表面のダメージは脱皮でなかった事にできても内臓へのダメージの蓄積が進んで来たのか、次第に動きが遅くなっていった。

 

慎次「どうやら、敵の動きが鈍ったようですね」

 

弦十郎「マリア君、締めは君に任せるぞ!」

 

マリア「ええ!脱皮する人食い魔女はこれでくたばりなさい!」

 

 シャルロッテの開いた口目掛けてマリアはHORIZON†CANNONを放ち、シャルロッテを撃破したのであった。

 

 

 

市街地

 

 シャルロッテが倒された事で結界が崩れ、元の駐輪場の景色に戻った。すると、いつの間にかほむらがいた。

 

さやか「あっ、転校生!」

 

ほむら「…何がどうなっているのよ…!」

 

 驚きの様子を隠せないほむらはその場を去っていった。

 

マミ「暁美さんは私が拘束したはずなのに…」

 

慎次「すみません、僕がリボンを切って解放しました」

 

キュゥべえ「マリア、シンフォギアの事を色々と教えてくれないかい?」

 

マリア「何か探りたいのかしら?」

 

キュゥべえ「聖遺物とやらの研究はろくに進んでいない。いくら櫻井了子が天才とはいえ、これ程の代物はまだ開発できないんじゃないのかな?」

 

マリア「……随分としつこいわね」

 

弦十郎「響君達の事についても話す必要があるな」

 

 そのまま一同は帰る事となった。そして、ほむらは1人、自宅に帰りながら考え事をしていた。

 

ほむら「(素手であの魔女をあんなに圧倒する人間がこの世に存在したなんて…!しかも、魔力のない普通の人間…。立花響達といい、この時間軸はどうなっているの……?)」

 

 あまりにも非常識な弦十郎や響達の存在にほむらは衝撃で頭がいっぱいであった。

 

 

 

了子の家

 

 そして、響達は戻ってきた。

 

さやか「弦十郎先生がマリアさん達の事を話すと言ってたけど、響達って何者なの?」

 

マリア「今から言うけど、私達はこの世界の人間じゃなくて、並行世界から来た人間なの」

 

 並行世界という聞きなれない言葉にまどか達は首を傾げた。

 

マミ「並行…世界……?」

 

さやか「何、それ?」

 

了子「中学生のまどかちゃん達には難しい言葉だけど、簡単に言えばこの世界と似てるけどどこか違う世界だと思えばいいわ。響ちゃん達の世界は聖遺物の研究がこの世界より進んでいるから、シンフォギアが実用化されたっぽいの」

 

マミ「じゃあ、この世界ではまだ開発できてない事になりますね」

 

さやか「似てるけどどこか違う世界…。確かに、こんな感じならあたし達でもそれなりにわかるよ」

 

まどか「マリアさん達も嘘を言っていないのがわかります」

 

マミ「似てるけどどこか違う世界なら、マリアさん達の世界にも魔女や使い魔はいるのですか?」

 

翼「私達の世界には魔女と使い魔は存在しない。だが、この前櫻井女史が言ったノイズが出現する。一時は完全に出現しなくなったが、人造ノイズともいえるアルカノイズや並行世界のノイズが出現している」

 

さやか「人造ノイズ…。触れたら即死なノイズが人の手で作られているなんて…。なんか、響達の世界って超ヤバイ感じ…!」

 

響「他にも、光の速さで動ける私達よりも物凄く強い人達もいるんだ」

 

さやか「えええっ!?光の速さで動ける物凄く強い人達も!?人造ノイズに光の速さで動ける人……、どんだけ響達の世界ってカオスなんだ!?」

 

 それは星矢達であり、またしてもまどか達は衝撃を受けた。

 

まどか「そんなとんでもない世界があったなんて…」

 

さやか「そもそも、響達はどうしてこの世界に来たの?」

 

響「私達の世界にはギャラルホルンっていう、並行世界を繋げる聖遺物があって、その聖遺物の力で私達の世界の使い魔やとてつもなく大きな怪物の影の出現とこの世界の異変を収めるために来たんだ」

 

未来「八紘さんの手配で見滝原Gメンのメンバーになって合法的に調査を開始したのだけど、その異変となかなか遭遇しなくて、調査に行き詰まっていた時にまどかちゃん達と会ったの」

 

さやか「この世界の異変の解決…。って事は、響達は世界を股にかけるヒーローなんだね!?」

 

 さやかは響達に向けて、目をキラキラさせた。

 

切歌「そうなのデス!」

 

クリス「余計な事を言うな!っていうか、話が脱線してるぞ!」

 

 余計な方向に話が脱線したため、また話を元に戻した。

 

マミ「それで、そのとてつもなく大きな怪物って…?」

 

調「まだよくわかってないけど、ドレス姿でスカートの下が歯車、頭の一部が欠けていて逆さで空に浮いてる怪物なの。一応、魔女じゃないかって向こうでも予想されてる」

 

まどか「(それ、夢に出てきた怪物と特徴が似てる…)」

 

マミ「それだけでは私も断定はできないわ。そんな怪物がこの世界にいるなんて…(使い魔が向こうの世界に出没してて、巨大な怪物の影が現れた…。その魔女じゃないかと言われている巨大な怪物は噂に聞いた超弩級の魔女、ワルプルギスの夜かも知れないけど、まだ見た事がない以上、もっと情報が必要ね)」

 

 怪物の存在については見た事がないマミは心の中で噂に聞いたワルプルギスの夜がその怪物ではないかと思ってはいても、見た事がないが故に確証がなかったが、まどかは夢に出た怪物と響達の話に出た怪物の特徴が似ていた事に気付いた。

 

マリア「この世界にいると思われる怪物を倒すまで私達はマミの魔女退治に付き合うわ。よろしくね」

 

マミ「はい、こちらこそ」

 

弦十郎「言っておくが、子供だけで魔女退治をさせるわけにはいかない。俺や緒川にマリア君も同伴する事が絶対条件だ。いいな?」

 

マミ「はい!」

 

弦十郎「それに、そろそろ家に帰らないと家の人が心配するしな」

 

 まどか達は家に帰ったが、了子はマミの身元やある事件を報じた電子新聞を見ていた。

 

了子「(そう言えばマミちゃんの苗字は巴だったわね。数年前に交通事故で両親は即死でマミちゃんも死んだっておかしくなかったのに、奇跡の生還を果たしたと当時は話題になったものだわ)」

 

 ふと、了子は響達を通して魔女絡みの事件と遭遇した事である接点に気付いた。

 

了子「(奇跡の生還…、願い事を一つだけ叶えてもらう代わりに魔法少女となって魔女と戦う使命を課されるキュゥべえとの契約…。まさか、マミちゃんの奇跡の生還の理由は……!)」

 

 

 

マンション マミの部屋

 

 一足先にキュゥべえはマミの部屋に戻っていた。

 

キュゥべえ「やれやれ、杳馬の未来予知は外れたじゃないか。途中までは予知通りであと一歩のところで契約のチャンスになるはずだったのに、大人やシンフォギア装者達によって丸つぶれだ。また今後の事について練り直さないといけないなぁ」

 

 そう呟いていると、何やらマミの部屋にシャルロッテに似たぬいぐるみがあった。

 

キュゥべえ「マミに部屋にそんなぬいぐるみ、あったのかな?今日戦った魔女に似てるし…」

 

???「マジョマジョ……!」

 

 突然、ぬいぐるみが動き出してキュゥべえに近づいてきた。

 

キュゥべえ「ぬいぐるみが動いた?君はもしかして…」

 

???「マジョマジョ~~!」

 

 ぬいぐるみはシャルロッテと同じように口から本体が出てきて、本体はキュゥべえを捕食したのであった。そしてその後、マミが帰ってきた。

 

マミ「キュゥべえったら、先に帰ると言ったのに来ていないなんて…。どこかで寄り道でもしてるのかしら?」

 

 ふと、マミはキュゥべえを捕食した後、再びぬいぐるみのふりをしているシャルロッテに似た謎の生き物に気付いた。

 

マミ「今日、戦った魔女に似たぬいぐるみだけど…鹿目さんと美樹さんがこっそりプレゼントとして置いたものなのかしら?でも、せっかくのプレゼントだと思って傍に置いて寝る事にするわ」

 

 夕食を食べ、入浴を終えた後にマミはぬいぐるみのふりをしている謎の生き物を抱いて寝たのであった。

 

 




これで今回の話は終わりです。
今回はまどかマギカ2大トラウマ話の一つ、『もう何も怖くない』を描きました。
まどかマギカ2大トラウマの一つのマミさん死亡回避展開は強いヒーローなどがいれば割と簡単にできる方であったため、緒川がマミを救出するというのは当初から考えており、その後にOTONAが大活躍する展開に変えました。
ぶっちゃけ、シャルロッテがOTONAたる弦十郎相手にかなり粘れたのは、脱皮能力のお陰といっても過言ではありません。
そして、響達がまどか達に並行世界から来た人間である事を明かすのも描きました。
最後にシャルロッテに似た謎の生物がキュゥべえを捕食したシーンはマミさん死亡回避でマミるシーンがカットされたため、キュゥべえが代わりにマミられる展開にしています。そして、その謎の生き物は叛逆の物語を見れば何者であるのかがわかります。
次の話はまどかマギカでは時期の都合上水着回ができないため、代わりにお色気たっぷりの温泉回になります。そして、マミの過去も本人の口から明かされます。

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