セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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137話 奇跡も魔法もあるんだよ

病院

 

 それは、温泉旅館へ行く前の事であった。さやかが病院に来て恭介の病室に来たが、まだ恭介はリハビリ室から戻ってきていなかった。そんな中で通りかかった看護婦が声をかけた。

 

看護師A「あら、上条君のお見舞い?」

 

さやか「え、ええ…」

 

看護師A「ごめんなさいね。診察の予定が繰り上がって、今ちょうどリハビリ室なの」

 

さやか「ああ、そうでしたか…。どうも…」

 

 恭介がリハビリ中という事でさやかは帰る事にした。しかし、話し声が聞こえていた。

 

看護師B「よく来てくれるわよね、あの子。志筑とかいう子にも負けないぐらいにね」

 

看護師A「助かるわ。難しい患者さんだしね。励ましになってくれるといいんだけど…」

 

看護師B「事故に遭う前は天才少年だったんでしょ?バイオリンの」

 

看護師A「一応、あの子はバイオリン以外にもギターとかの弦楽器なら一通りこなせるわよ。歩けるようになったとしても、指の方はね。今の医学では治せないから、二度と楽器を弾くなんて無理でしょうね」

 

 恭介のお見舞いができなかった事で少し落ち込んだ様子でさやかは帰る事になった。その際、看護師の一部の話が聞こえていた。

 

さやか「(恭介の指が動かない…?何で恭介なのよ…。あたしの指なんて、いくら動いても何の役にも立たないのに。何であたしじゃなくて恭介なの?もしもあたしの願い事で恭介の体が治ったとして、それを恭介はどう思うの?ありがとうって言われてそれだけ?それとも、それ以上の事を言ってほしいの?)…あたしって、嫌な子だ」

 

 しかし、さやかはこの時、何も知らなかった。奇跡の代償も、その先に待つ絶望という名の地獄も。

 

 

 

学校

 

 翌日、さやかはマミとまどか、見回りに来ていた響達に相談していた。

 

マミ「美樹さんは上条君の左手を治してあげたいのね?」

 

さやか「はい。今の医学では治せないという話し声を聞いて…。もしかすると、恭介はショックを受けるどころか、自殺まで考えたりすると思うと…」

 

マミ「この前も言ったけど、他人の願いを叶えるのなら、尚の事自分の望みをはっきりさせておかないと。美樹さん、あなたは彼に夢を叶えてほしいの?それとも、彼の夢を叶えた恩人になりたいの?同じようでも全然違う事よ、それ」

 

さやか「どうして他人の願いを叶えるのには否定的なんですか?」

 

マミ「前に私と行動を共にしていた魔法少女がいたのだけど、その子はあなたが考えているような他人の願いを叶えるためにキュゥべえと契約した子なの。でも、ある日を境に私と決別してしまった。だからこそよ」

 

さやか「そっか…」

 

響「だったら、私達の世界にいる世界一の名医さんを呼んで恭介君の手を治してもらえばいいよ」

 

 その言葉にまどか達は衝撃を受けた。

 

まどか「響さん達の世界の名医!?」

 

翼「私達の世界には四肢の移植手術などの困難な手術をこなせる世界一の名医がいる」

 

まどか「手とか足を移植!?それ、この世界の医学では全然できないよ!」

 

クリス「(こっちの世界の医学はあたしらの世界より遅れているのか…)」

 

 まどか達の驚き様を見て、クリス達はこの世界の医学が自分達の世界の医学より遅れている事に気付いた。

 

マミ「私達の世界より医学が進んだ世界から来る名医なら、治せるかも知れないわよ」

 

さやか「願い事をしなくても恭介の手が治るんだ。だったら、すぐに連れて来て!」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 早速、響は未来と共に元の世界へ戻り、パルティータを呼ぶ事にした。

 

弦十郎「なるほど。向こうの世界では治せない患者の手を治すためにパルティータ君を連れて行きたいというのか」

 

響「どうなんですか?」

 

沙織「残念ながら、パルティータは聖闘士としての任務とどうしてもパルティータでないと治せない患者の治療で行かせる事ができないのです」

 

未来「そんな…」

 

弦十郎「そう落ち込むな。だったら、ブラックジャック君を行かせればいい」

 

 弦十郎の言葉に2人は驚いた。

 

響「ブラックジャックさんを!?でも、あの人は普通の人間で…」

 

沙織「どういうわけか、ブラックジャック先生はギャラルホルンのゲートを通れるのです」

 

弦十郎「それに、商売で並行世界の患者の治療をやりたがってたしな。ちょうど患者も来てないから、俺が連絡を入れておく」

 

響「やったぁ!」

 

 それ程経たずにブラックジャックが来た。

 

ブラックジャック「まさか、私でないと治せない並行世界での患者が現れるとはな。ちょうど並行世界での患者第一号になる」

 

響「その子は上条恭介君といって、事故の後遺症で左手が治る見込みがなくて、幼馴染のさやかちゃんがブラックジャックさんを連れて来てほしいと言ってたんです」

 

未来「それに、恭介君はバイオリンを弾けないと言われたら、自殺まで考えるんじゃないかってさやかちゃんが言ってて…」

 

ブラックジャック「なら、私が手術するしかあるまい」

 

弦十郎「向こうの世界は魔女という化け物がいる。今の段階でわかっている魔女と魔法少女のデータを見てほしい」

 

 ブラックジャックは魔女や魔法少女のデータを見た。

 

ブラックジャック「なるほど。今の段階ではそうなっているのか…」

 

未来「それじゃあ、行きましょうか」

 

響「向こうの世界にいるさやかちゃんが待ってるよ!」

 

ブラックジャック「ああ」

 

 ブラックジャックは響達と共にゲートに入った。

 

 

 

見滝原郊外

 

 そして、ブラックジャックは遂に並行世界での第一歩を踏み出した。

 

ブラックジャック「ここが並行世界か…」

 

 そこへ、了子が来た。

 

了子「あらぁ、随分といい男じゃない!」

 

ブラックジャック「あなたの事は既に聞いています。確か、櫻井了子でしたね?」

 

了子「そうよ。そういうあなたは?」

 

ブラックジャック「ブラックジャック。この世界の患者の治療のため、響達の世界から来ました」

 

了子「凄いじゃない!患者の治療のために世界を超えるなんて!」

 

響「向かうべき病院は…」

 

 

 

病院

 

 ブラックジャックは響達が指定した病院に来た。

 

ブラックジャック「ここに並行世界で手術する予定の患者第一号がいるのか…」

 

 半分白髪、移植された色の違う皮膚、黒いコートといった異様な雰囲気を放つブラックジャックは目立ちすぎる存在であった。一方、さやかは恭介の病室にいて、いつものように恭介はCDをプレイヤーで聴いていた。

 

さやか「何を聞いてるの?」

 

恭介「…亜麻色の髪の乙女」

 

さやか「ああ、ドビュッシー?ステキな曲だよね。あ、あたしってほら、こんなだからさ、クラシックなんて聴くガラじゃないだろってみんなが思うみたいでさ。たまに曲名とか言い当てたらすっごい驚かれるんだよね!以外過ぎて尊敬されたりしてさー…恭介が教えてくれたから。でなきゃあたし、こういう音楽ちゃんと聴こうと思う機会、多分一生なかったと思うし…」

 

恭介「…さやかはさぁ…」

 

さやか「何?」

 

恭介「さやかはさぁ…、僕をいじめてるのかい?何で今でもまだ、僕に音楽なんか聴かせるんだ。嫌がらせのつもりなのか?」

 

さやか「だって恭介、音楽が好きだから…」

 

恭介「もう聴きたくないんだよ!自分で弾けもしない曲、ただ聴くだけなんて!!僕は…、僕は…!」

 

 苛立った恭介は左手をCDに振り下ろそうとしたが、病室に来たブラックジャックに止められた。

 

さやか「いつの間に!?」

 

恭介「放せ、放してよ!」

 

ブラックジャック「さっきのを止めなかったら痛い想いをしていたぞ」

 

恭介「動かないんだ…。もう、痛みさえ感じない。こんな手なんて…!」

 

さやか「大丈夫だよ。きっと、何とかなるよ!諦めなければ、きっといつか…」

 

恭介「諦めろって言われたんだ…。もう演奏は諦めろってさ、先生から直々に言われたよ。今の医学じゃ無理だって…。僕の手はもう二度と動かない。奇跡か魔法でもない限り、治らない…!」

 

ブラックジャック「私に診せてみろ」

 

さやか「診せてみろって…あなたが響達の言ってた世界一の…」

 

 初めてブラックジャックと対面したさやかは異様さに驚いていた。

 

ブラックジャック「お前さんがさやかか。話は響達から聞かせてもらった。上条恭介の手を治してもらいたいそうだな」

 

さやか「そうです」

 

恭介「誰が診たって結果は同じだ!今の医学じゃ」

 

ブラックジャック「それはこの病院の医者の診断だ。いいから、家族を呼んで私に診察させろ」

 

 キュゥべえが病室の窓にいたものの、ブラックジャックが来たためにさやかですら気付かなかった。

 

キュゥべえ「やれやれ、契約のチャンスが台無しになったよ」

 

 恭介の家族も呼んでブラックジャックは今までの恭介のカルテも見せてもらって診察を始めたが、病院の医師達はブラックジャックに不信感満々であった。

 

医師A「あのブラックジャックとかいう男、気味が悪いな…」

 

医師B「それに、もう治らないと診断されたあの少年の診察をしてるんだろ?」

 

医師C「今の医学で治らない手を治すなんて、それこそ神でもなければできない事だぞ」

 

 絶望していた恭介にとって、ブラックジャックの診察は他の医師と結果は同じだと決めつけていた。

 

恭介「無駄だよ、どうせ僕の手なんか…」

 

ブラックジャック「いや、お前さんの手は治る!」

 

 その言葉に恭介はもちろん、さやかと恭介の家族、医師達も衝撃を受けていた。

 

医師A「ほ、本気で言っているのか!?」

 

医師B「どうせ嘘っぱちに決まってる!あんな気味の悪い医者の診察なんて信用できるか!」

 

ブラックジャック「嘘でも何でもないぞ。それとも、お前さん達はこの患者が一生楽器を弾けなくなってもいいというのか!?」

 

 ブラックジャックに一喝された医師達は何も言い返せなかった。

 

恭介の父親「では、今すぐ手術してくれるのですね?」

 

ブラックジャック「そうですが、手術代として3千万円いただきましょう」

 

 あまりにも高額な請求にその場の人全員が衝撃を受けた。

 

恭介「さ、3千万円!?」

 

さやか「3千円…だよね…?耳が悪くなったのかな…?」

 

ブラックジャック「耳は悪くなってない。本当に3千万円だ!」

 

医師A「な、なんて法外で高額な手術代だ!お前はそれでも医者なのか!?」

 

ブラックジャック「お前さん達ではなく、患者とその家族に聞いているんだ。払えないのなら、お断りだ」

 

 騒がしくなったためか、院長が来た。

 

院長「どうしたのだね?」

 

医師B「院長、ブラックジャックという得体の知れない医者がやってきて我々はもう治らないと診断した上条恭介君の左手を3千万円で治すと言ってるんです。法外な手術代と引き換えに今の医学で治せないものを治すだなんて、絶対に詐欺に決まっていますよ!」

 

 ブラックジャックへの不満でいっぱいな病院の医者達の意見にもきちんと耳を傾け、院長はブラックジャックの目を凝視した。

 

院長「…この男は本気だ。詐欺師の目をしていない。彼に手術をさせよう」

 

医師A「院長!?」

 

ブラックジャック「ありがとうございます、院長先生」

 

院長「だが、患者の左手が治らなかった時は我々が君に慰謝料として3千万円を請求する。これでどうだね?」

 

ブラックジャック「いいでしょう。それと患者のご家族は3千万円を払えますか?」

 

恭介の父親「払います。このチャンスを逃せば、一生恭介の手は動かないままになってしまう。なので、今すぐに3千万円を妻に持って来させますのでお願いします!」

 

ブラックジャック「わかりました。では、オペの準備だ!」

 

 すぐに手術の準備が始められ、準備が整った後にブラックジャックは手術を開始し、さやかと恭介の両親は手術室の前で手術が終わるのを待っていた。

 

さやか「(神様、仏様、どうか恭介の手を治して……)」

 

 ブラックジャックのメス捌きと動作の速さと正確さ、無駄のなさといった手術の腕前に病院の医師達は衝撃を受けていた。

 

医師A「(何というメス捌きだ!我々はこれ程の男を見た目の異様さだけで軽蔑していたというのか…?)」

 

医師B「(手術の腕前は我々では到底及ばない…。院長が言った通り、口先だけの男ではなかった…)」

 

ブラックジャック「何をボサッとしている!メス!」

 

医師A「は、はい!」

 

 そして1時間後、恭介の左手の手術は終わり、ブラックジャックは手術室から出てきた。

 

さやか「ブラックジャック先生、手術は成功したのですか?」

 

ブラックジャック「……成功だ!」

 

 その言葉にさやかと恭介の両親は涙を流して喜び、ちょうどその時に恭介の麻酔も切れ、起きたのであった。

 

ブラックジャック「お前さん、左手を動かしてみろ」

 

恭介「左手を…?」

 

 言われた通りにしてみると、流石に事故前ほどではなかったが、左手が動いたのであった。

 

恭介「動いた…!左手が動いた!!」

 

さやか「これって……本当の奇跡だよ!」

 

 もう治らないと言われた左手がブラックジャックの手術で動いた事に恭介は大喜びし、さやかや恭介の家族、手術に携わった医師達や院長、看護師達は奇跡を起こしたブラックジャックに拍手したのであった。

 

医師A「こ、これは紛れもない奇跡だ!今の医学では治せないとされた患者の左手を治した!」

 

院長「手術に立ち会ったがメス捌きに動作の速さ、正確さ、無駄のなさ、どれをとっても私が知っている医師とは比べ物にならない!これ程完璧な手術を見たのは初めてだ!」

 

医師B「ブラックジャック先生、あなたを見た目と不信感だけで軽蔑してしまい、申し訳ありませんでした!」

 

 そう言って医師達は土下座して頭を擦り付け、ブラックジャックに謝った。

 

ブラックジャック「おいおい、そこまでしなくていいだろう。後はリハビリをすれば患者は以前みたいに左手を動かせるようになる」

 

恭介の父親「ブラックジャック先生、あなたには深い恩ができました。請求した3千万円を受け取ってください!」

 

ブラックジャック「いや、2千万円だけでいい。残りの1千万円は彼の進路に使ってあげてください。その代わり、彼の左手のリハビリが済んだら私にも彼のバイオリンの音色を聞かせるというのでどうでしょうか?」

 

恭介の父親「何から何まで…。ありがとうございます!」

 

恭介「僕、今まで以上にリハビリを頑張るよ!」

 

ブラックジャック「では1週間後、リハビリの経過を見るためにもう一度来ます」

 

 奇跡を起こしたブラックジャックは病院を後にしたのであった。その後をさやかは追った。

 

さやか「ブラックジャック先生、恭介の左手の障害はブラックジャックがいる世界ではもう治療可能なんですか?」

 

ブラックジャック「難しい手術ではあるが、治療可能だ。私は既に恭介と同じ症例の患者を30人も治している」

 

さやか「恭介と同じ障害の人を30人も治してるなんて、凄い…!」

 

ブラックジャック「恭介のリハビリを支えてやってくれ。私が不在の間はよく見舞いに来ているお前さんが恭介の心の支えだ」

 

 そう言ってブラックジャックは帰った。

 

さやか「(恭介の手が治って本当に嬉しい!恭介の手を治すという願いはブラックジャック先生が手術してくれたおかげで叶っちゃったから、何を願い事にしようかなぁ…?)」

 

 恭介の手が治ってしまい、願い事が白紙になったさやかは何を願うのか悩んでいた。ほむらは驚愕した様子で病院を見ていた。

 

ほむら「(キュゥべえの願い事以外では治せない上条恭介の手を治した医者が現れた!?何がどうなっているのよ…!!)」

 

 ブラックジャックもまた、ほむらにとってはイレギュラーな存在であった。

 

 

 

見滝原中学校

 

 そして、温泉旅館での出来事も含めた1週間後…。響達とまどか達は集まっていた。

 

翼「マミは鹿目達と昼食をとるようになったのか」

 

マミ「はい。もっと親睦を深めたいと思って…」

 

マリア「結局、あの場にグリーフシードがあったのはなぜなのかしら?」

 

マミ「言われてみればおかしいわね…」

 

響「どうなってるんだろう…?」

 

さやか「キュゥべえは何か知ってるの?」

 

キュゥべえ「それについてだけど、どうやら最近、魔女の活動が活発になってきているようなんだ。病院の時や温泉旅館の時のように急に魔女が現れるようになった。そうなると、他の街の魔法少女達が魔女を狩るためにこの街に来るかも知れない」

 

マミ「そうなったら、魔法少女同士の戦いも避けられなくなってくるわね…」

 

まどか「響さん達のように一緒に戦う事はできないんですか…」

 

キュゥべえ「多分無理だと思うよ。マミみたいなタイプは珍しいからね。普通はちゃんと損得を考えるよ。誰だって報酬はほしいさ」

 

マミ「これから戦いは厳しくなるかも知れないわね…。響さん達のお陰で負担もだいぶ軽くなったけど、異変を解決した後は帰ってしまう。…そこも考えたら、私達以外に一緒に戦ってくれる人がいれば…」

 

まどか「…ほむらちゃんと一緒に戦えないのですか?」

 

マミ「温泉旅館の時は一緒に戦ってくれたし、鹿目さんの言いたい事もわかるけど、彼女が応じてくれるかどうか…」

 

さやか「それに、なーんか怪しいと思うのよ。響達と違って信用できないって」

 

切歌「その通りデス!ほむらは響さんを邪魔者扱いしてるのデス!」

 

キュゥべえ「でも、シンフォギア装者と大人が助っ人をしてくれるとはいえ、他の街の魔法少女との戦闘も視野に入れればマミだけではこれからの戦いは厳しい。あと数人ぐらい魔法少女がいればいいんだけど…」

 

さやか「…あのさぁ…、あたしが魔法少女になろっか?あたしがなればマミさんや響達の負担も減るし…」

 

マミ「…今のままでは契約はしない方がいいわ。魔女との戦いは過酷なものよ。それに、願い事はまだ決まっていないのでしょ?魔法少女になって戦いたいのなら、じっくり願い事を考えながらしっかり戦う決意を固めて契約するのよ」

 

さやか「……わかった…」

 

マミ「さ、早く食べましょう」

 

まどか「そうですね」

 

マリア「それじゃあ、私達は別の場所で昼食をとるわね」

 

 

 

市街地

 

 それから、響達はどこで昼食をとろうか考えていた。

 

響「魔女の活動が活発になってきてるんだ」

 

調「キュゥべえはあまり信用できないけど、急にグリーフシードが出るぐらいだから、活発になってるのは間違いないと思う」

 

クリス「けど、被害が出る前にぶっ潰してやりゃいいだけだ」

 

 そんな中、ふらふらしている少女を見つけた。

 

少女「腹減った…。どこで食おうか……」

 

響「お腹が減ったの?だったら、私達と一緒に食べようよ!」

 

少女「お前らと?」

 

 早速、飲食店でその少女と一緒に昼食をとる事となった。通りかかった少女は響にも負けないほどの大食いであった。

 

未来「あの子、食欲が響に負けてない…」

 

響「うわぁ、私と同じぐらい食べる事ができる女の子なんて見た事がないよ!」

 

少女「そうか?」

 

クリス「ったく、バカと同じぐらい食う奴が出るなんてな。これじゃあ、大食いの魔女じゃねえか」

 

少女「大食いの魔女!?ざけんじゃねえ、デカチチに言われたくねえんだよ!」

 

 クリスが気にしている胸の事を少女に言われ、クリスもカッとなってしまった。

 

クリス「デカチチ!?ふざけんな!」

 

少女「何だとぉ!?」

 

翼「2人ともそれぐらいにしておけ。空腹で彷徨っていたようだが、何かあったのか?」

 

少女「あたしは隣の風見野に住んでたんだけど、知り合いに呼び出されて今日、ここへ来たんだ。でも、空腹になっちまってどこで食べようか悩んじまってよ、そん時にあんた達と出会ったのさ」

 

翼「呼び出されてきたのか。名前は?」

 

杏子「佐倉杏子」

 

マリア「杏子、その知り合いになぜ呼び出されたの?」

 

杏子「わかんねえって。訳も言わないで呼び出されたんだからな」

 

響「杏子ちゃんの家族は心配してるんじゃないの?」

 

 それを聞いた杏子は気まずそうな顔をしていた。

 

響「もしかして、聞きたくない事を私は言ってしまったんじゃ…」

 

杏子「いいんだよ」

 

マリア「支払いは私達がしておくからね」

 

杏子「ありがとな」

 

 そう言って杏子は先に帰った。

 

 

 

 放課後、まどかは待っていたほむらと一緒に下校していた。

 

まどか「ほ、ほむらちゃんはさ…、何だかマミさんとは別の意味でベテラン、って感じだよね」

 

ほむら「そうかもね。否定はしない」

 

まどか「ほむらちゃんは誰かが大怪我したり死ぬのを何度も見てきたの?」

 

ほむら「そうよ」

 

まどか「何人ぐらい?」

 

ほむら「数えるのを諦めるほど」

 

まどか「…もし、魔女の結界でマミさんや響さん達が死んじゃったらどうなるの?」

 

ほむら「向こう側で死ねば、死体は残らないわ。こちらの世界では、魔女の結界に入り込んで死んだ人間は永遠に行方不明者のまま。魔法少女の最後なんて、そういうものよ」

 

まどか「そんな…、ひどいよ…。みんなのために戦ってきたのに、誰にも気づいてもらえないなんて…そんなの、寂しすぎるよ…」

 

ほむら「そういう契約で私達はこの力を手に入れたの。誰のためでもない、自分自身のために戦い続けるのよ。誰にも気づかれなくても、忘れられても、それは仕方のない事だわ」

 

まどか「でも…やっぱりひどすぎるよ…」

 

ほむら「あなたは優しすぎる。忘れないで。その優しさが、もっと大きな悲しみを呼び寄せる事もあるのよ」

 

 別の場所では夕暮れに照らされ、杳馬とキュゥべえは病院の方角を見ていた。

 

キュゥべえ「杳馬、ブラックジャックという男が上条恭介の手を治してしまって美樹さやかの最大の契約のチャンスがなくなったじゃないか」

 

杳馬「俺も予想外さ。まさか、あの男が並行世界を渡り、この世界の医学では治せない障害を治しちまったなんて(ほんとは予想の範囲内だけどな。ま、あの悪徳営業マンには俺の楽しみや真意なんてわかりもしないし、わかろうともしないだろうぜ)」

 

キュゥべえ「これからどうやって契約に結び付けるんだい?」

 

杳馬「心配しなさんな、ダンナ。既にさやかちゃんを契約させる手は考えてあるぜ」

 

 杳馬の視線の先には仁美がいた。

 

仁美「上条君、左手が治って生き生きとリハビリをしていましたわ。次にお見舞いに来るときは何を持ってきましょうか…?」

 

 次のお見舞いに何を持ってくるのか悩む仁美であったが、誰かに突き飛ばされてしまった。

 

仁美「きゃっ!」

 

 そして、温泉旅館で了子達が偶然遭遇したホスト2人が運転している車が迫った。

 

 

 

病院

 

 恭介のリハビリの経過を見るため、ブラックジャックは再び病院に来て恭介のリハビリに付き合っていた。

 

看護師A「ブラックジャック先生って、よく見るとかなりハンサムよね?」

 

看護師B「初対面では気味が悪いと思ったけど、ハードボイルドでクールで……下手をすると私の心が奪われちゃいそうだわ」

 

 この世界の医学では治せないとされた恭介の左手を治したブラックジャックは病院の医師や看護師から一目置かれる存在になっていた。そして、恭介と共に屋上に来た。

 

恭介「どうしてブラックジャック先生は僕のリハビリに付き合ってくれるんですか?」

 

ブラックジャック「俺も小さい頃に爆発事故によって体がバラバラになり、お前さんみたいにまともに体を動かせなくなった時期があったのさ」

 

恭介「爆発事故で体がバラバラに…!?」

 

 それは恭介には信じがたい話であった。

 

ブラックジャック「そして、色々無茶をして以前のように動かせるようになったというわけさ」

 

恭介「ブラックジャック先生にそんな過去があったなんて…」

 

ブラックジャック「お前さんを見てると、昔を思い出してな。手の方はどうだ?」

 

恭介「病室でも必死にリハビリして、だいぶ以前のように動かせるようになりました。これも、先生が治してくれたおかげです」

 

ブラックジャック「俺は動かせるようにしただけだ。ここまで行けたのは、お前さんの必死のリハビリによるものだ」

 

???「2人共男同士で何を盛り上がってるの!?」

 

 声の主は屋上に来ていたさやかであった。

 

ブラックジャック「さやかか」

 

さやか「恭介ったら、ブラックジャック先生と何を語ってたの?」

 

恭介「ちょっとね。さやか、この前はごめん。気が滅入っててひどい事言っちゃって…」

 

さやか「気にしてないって。あたしが恭介の立場だったらそうしてたかも知れないし…」

 

恭介「そうだね。手のリハビリも順調だし、ブラックジャック先生との約束通りに」

 

 そんな時、看護師が慌てて屋上に来た。

 

看護師「ブラックジャック先生、まだおられたのですね!?」

 

ブラックジャック「その慌て様は?」

 

看護師「急患です!交通事故があって、ブラックジャック先生でないと手に負えない患者が搬送されたんです!」

 

ブラックジャック「何だと!?」

 

 急いでブラックジャックは患者の元へ向かった。ブラックジャックを追ってさやかが来ると、瀕死の重体になっていて搬送される仁美と慌てて病院に来た仁美の両親、そして仁美をはねたために警察に逮捕されたホスト2人の姿があった。

 

さやか「仁美!?」

 

ブラックジャック「この患者はお前さんの知り合いか?」

 

さやか「仁美はあたしとまどかの親友だよ!」

 

ブラックジャック「親友なのか…!」

 

 そして、ブラックジャックは診察を行った。

 

さやか「ブラックジャック先生、恭介の手を治せたんだから、仁美も助かるんでしょ!?」

 

 しかし、ブラックジャックの表情は険しいものであった。

 

ブラックジャック「……正直言って、今回は私でも確実に助けられる保証はできない。助かる可能性は…3%程度といったところだ」

 

 その言葉にさやかと仁美の両親はショックを受けた。

 

仁美の父親「そ、そんな…!」

 

さやか「(ブラックジャック先生でもダメだなんて…。このままじゃ仁美が死んじゃう!助ける手段は…!)」

 

 意を決したさやかはその場から出ていった。

 

仁美の母親「どうにかして仁美を助けてください!最後の希望はあなたしかいないんです!」

 

仁美の父親「何もせずに仁美が死ぬぐらいなら、その3%にかけて何千万円でも支払います!どうか、お願いします!」

 

 仁美の両親の頼みにブラックジャックは決心した。

 

ブラックジャック「…わかりました、娘さんの手術をしましょう」

 

仁美の母親「ありがとうございます!」

 

ブラックジャック「今からオペの準備を」

 

 ところが、今度は医師が慌てて来た。

 

医師「ブラックジャック先生!」

 

ブラックジャック「どうした?」

 

 やってきた医師から告げられた事は、ブラックジャックはもちろん、告げた医師でさえ信じられない事であった。

 

ブラックジャック「何だと!?」

 

 

 

市街地

 

 響達は響、未来、翼、クリス、慎次のチームとマリア達3人と弦十郎のチームに分かれて見回りをしていた。

 

クリス「あのデカイ奴はどこにいるんだ?」

 

翼「これだけ経っても一向に姿を見せないとはな」

 

慎次「今は見滝原にいる魔女から市民の方々を護らないといけません」

 

クリス「けど、2週間ぐらい経ってるのに出てくるどころか、見つからねえなんてよ…」

 

 クリスがぼやいていると、スマホに着信が入った。

 

慎次「どうしましたか?」

 

まどか『緒川先生!よく聞いてください!街を歩いていたら複数の人から魔女の口づけが!今から私のいる場所の地図を送るのでとにかく、早く来てください!』

 

慎次「わかりました!直ちに向かいます!」

 

 そう言って慎次は電話を切った。

 

響「魔女が出たんですか!?」

 

慎次「そのようです。マミさんとも合流して指定の場所へ向かいましょう!」

 

 

 

廃工場

 

 マミとも合流し、響達はギアを纏ってマミは変身し、ソウルジェムと魔法少女ギアの魔力センサーの反応を頼りに廃工場へ向かい、到着した。

 

未来「ここに魔女が…!」

 

マミ「行きましょう」

 

 しかし、入口はどこも閉まっていた。

 

マミ「どこも閉まっているわ」

 

翼「緒川さん、頼みます」

 

慎次「わかりました」

 

 そう言って慎次は窓から侵入し、響達が入ろうとしている裏口のドアのカギを開け、扉を開けた。

 

慎次「もう入れますよ」

 

響「さっすが緒川さん!」

 

慎次「それでは、僕は先に行ってまどかさんの救出に向かいます」

 

 まどかの安全確保のため、慎次が先行し、響達は後を追った。一方、魔女の口づけをされた人達の集団自殺を止めたまどかであったが、その人達が襲い掛かろうとしていた。

 

まどか「い、いやぁああああっ!」

 

 人々が襲い掛かろうとした時、慎次が現れてまどかを抱え、消えたかのようなスピードでその場を去った。それに人々はついていけず、まどかを見失った。慎次はまどかを抱え、響達と合流した。

 

慎次「まどかさんの安全は確保できました」

 

まどか「緒川先生、みんな!」

 

マミ「鹿目さん、人を助けるのは悪い事じゃないし、むしろ今回の集団自殺を止めたのはお手柄だけど、ちゃんと気を付けるのよ。さもないと、殺されるかも知れない状況になるのだから」

 

まどか「はい…」

 

慎次「そろそろ操られた人々が来る頃なので、隠れましょう」

 

 慎次が言った通り、響達はある部屋に隠れた。

 

クリス「で、どうすんだ?」

 

翼「人々を元に戻すには、魔女を倒さねばならないだろう」

 

クリス「けどよ、この工場のどこに」

 

 そう言ってると泡みたいなものが出て、その部屋にあるテレビの画面が映った。

 

慎次「どうやら、魔女自ら出てきたようですね」

 

 

 

魔女の結界

 

 身構えていると一気に魔女の結界が広がり、響達を取り込んでいった。そして、天使みたいな使い魔達とテレビの形をした魔女が姿を現した。

 

 ハコの魔女エリー。その性質は憧憬。筋金入りのひきこもり魔女。憧れは全てガラスの中に閉じ込める。閉じ込められた者は、精神の死を覚悟した方が良いだろう。

 

 魔女の出現にマミは光のリボンのバリアをまどかと慎次に張り、べべも含めて一同は戦闘態勢に入った。

 

翼「行くぞ!」

 

響「はい!」

 

べべ「ジュジュベ!」

 

 翼は響とべべと共に使い魔の群れに突っ込んでいき、それぞれ斬るなり、殴るなり、捕食するなりして使い魔を蹴散らした。

 

クリス「あたしらは撃って撃って撃ちまくるぞ!」

 

未来「うん!」

 

マミ「ええ!」

 

 クリスと未来とマミは使い魔目掛けて撃ちまくった。しかし、使い魔が一向に減る気配はなかった。

 

クリス「くそっ、キリがねえぞ!」

 

 愚痴をこぼしたクリスであったが、数体の使い魔がクリス達に襲い掛かろうとしたが、翼と響とべべに蹴散らされた。

 

マミ「助かったわ!」

 

未来「ありがとう、響」

 

響「当然だよ!」

 

翼「だが、いくら使い魔を倒しても減っている実感が湧かないぞ」

 

 一同が見てみると、魔女が次々と使い魔を生み出している事に気付いた。

 

マミ「このままだと、私達の方が先に力尽きてしまうわ」

 

翼「やはり、発生源を叩かねばならないか…!」

 

クリス「だったら、一気に魔女に接近して強烈な一撃で叩きのめせばいいんだ!」

 

響「そうだね!クリスちゃん、私と未来を」

 

 クリスの発射するミサイルで一気に魔女に接近し、強烈な一撃をエリーにぶつけようとする響と未来であったが、突如として乱入者が現れて使い魔の群れを一掃した後、真上にいたエリーが響達の目の前を通って真下に叩き付けられた。

 

クリス「どうなってんだよ!」

 

未来「まさか…!」

 

マミ「あなたは…!」

 

 その乱入者の姿は魔法少女で剣士ではあるものの、一同には見覚えがあった。

 

まどか「…さやかちゃん?」

 

 さやかの乱入にエリーは画面から使い魔を生み出して使い魔は襲い掛かった。だが、さやかは素早い動きで使い魔を葬り去っていった。

 

慎次「なかなか速いですね」

 

翼「私と同じような戦い方をする魔法少女か」

 

 使い魔を一掃してからさやかはエリーを再び真下に叩き飛ばした。

 

さやか「これでとどめだあぁっ!!」

 

 さやかの剣の刀身が発射されてエリーに突き刺さり、エリーは勢いよく一番下に激突して黒い液体を凄い勢いで噴出して消滅した。

 

 

 

廃工場

 

 魔女が消滅した事で結界が消滅し、マミもまどかを守っていたバリアを解除した。

 

さやか「ごめんごめん!もっと早く来れたらよかったんだけどさぁ…、やっぱり、響達だけで倒せた?」

 

 しかし、響と未来とクリスは困惑しており、翼とマミは険しい表情であった。

 

マミ「…美樹さん、契約したの?」

 

さやか「は、はい。まぁ…。それより、みんな魔女を倒したんだからさぁ、もっと喜ぼうよ!」

 

マミ「新人にしてはよく戦えた方だけど…」

 

翼「だが、上条は既にブラックジャック先生の手術で左手が治ったと聞いた。一体、何の願い事で」

 

 足音がして一同が振り向くと、そこにほむらがいた。その様子は何かしでかしてしまったと言っているような様子だった。

 

ほむら「あなたは…」

 

さやか「遅かったじゃない、転校生。この街はこれからあたし達が護る。わかったら、あんたは余計な手出しをしないで」

 

マミ「美樹さん、言い過ぎよ。暁美さんはこの前も力を貸してくれたわ」

 

さやか「だけどマミさん…」

 

ほむら「…私の知っているのとは違う願い事で契約したようだけど、契約してしまった以上、あなたは絶望という奈落の底へ墜ちて朽ち果てるのが末路よ」

 

さやか「はぁ?」

 

翼「(私の知っているのとは違う願い事?暁美は何を言っているんだ?)」

 

マミ「どういう意味なの?暁美さん」

 

響「そんな事はない!例えさやかちゃんがほむらちゃんのいう奈落の底へ墜ちたとしても、私達が支える!」

 

ほむら「無駄よ。あなた達ではどうする事もできない」

 

響「だとしても、私は諦めない!」

 

 以前から響に憎悪を抱いていたほむらは怒りと憎悪が燃えている目で睨み付けた。

 

ほむら「……だとしても?これは変えようのない運命なのよ!得体の知れないあなた達に絶対に変える事なんてできやしない!!」

 

 そのままほむらは去って行った。

 

未来「ほむらちゃん、一体何が原因でああなったのかな…?」

 

さやか「気にする事はないよ。あの転校生の言う事なんてインチキに決まってるし」

 

翼「私にはほむらの言ってる事は嘘だとは思えない」

 

クリス「まだ信用はできねえが、だからといって否定する事もできねえ」

 

慎次「皆さん、救急車を呼んで僕達は退散しましょうか」

 

 慎次の言う通り、響達は救急車を呼んだあと、退散したのであった。

 

 

 

市街地

 

 同じ頃、食べ物を食べ続けている杏子の姿があった。その隣にはキュゥべえもいた。

 

キュゥべえ「頼み通り来てくれてありがとう、杏子」

 

杏子「何の用であたしを呼んだの?」

 

キュゥべえ「実を言うと、近頃、この街の魔女の活動が活発になって他の街に比べて出現する数が多くなっている傾向にあるんだ」

 

杏子「魔女が増えているだって?」

 

キュゥべえ「しかも、イレギュラーもいるよ」

 

杏子「イレギュラー?」

 

キュゥべえ「そのイレギュラーは…、シンフォギア装者と規格外の強さを持つ大人さ」

 

杏子「はぁ?何だ、そいつら?」

 

キュゥべえ「まだ僕もあまり詳しくないんだ。ただ、彼女達は並の魔法少女を超える力を持っている事は間違いない。そんな人間が9人もいるんだよ」

 

杏子「並の魔法少女より強い奴等が9人もいるとはね…。魔女が増えてきてるって事は、それだけグリーフシードも手に入るよな?」

 

キュゥべえ「そうだね」

 

杏子「魔女が増えつつあるそんな絶好の縄張りをマミやそのイレギュラー共に渡しとくのはもったいないね」

 

キュゥべえ「この街の魔法少女はマミ以外にもあと2人いるよ。1人はさっき契約したばかりだけど」

 

杏子「へぇ…、そのルーキーにも渡したくないね」

 

キュゥべえ「どうするつもりだい?杏子」

 

杏子「決まってるじゃん。要するに、ぶっ潰しちゃえばいいんでしょ?マミも、ルーキーも、イレギュラー共も」

 

 新たな魔法少女の登場で大きく運命が動こうとしていた。

 

 




これで今回の話は終わりです。
今回はブラックジャックが初めて並行世界へ赴き、恭介の左手の手術を行ったのと、さやかの契約を描きました。
まどかマギカのSSでブラックジャックが恭介の左手を手術して治すという展開のものがあったため、今小説でもその展開をやってみる事にしました。今小説での恭介の左手が今の医学では治らないはまどかマギカの世界の医学ではの話で、響達の世界の医学では既に治療可能になっているという解釈にしました。
さやかは今小説では恭介の左手を治すのではなく、瀕死の重傷を負った仁美を治すために契約した事になってますが、違う願い事で本編と同じ能力にするのとマミがいても契約に走ってしまう展開にするのなら、仁美が瀕死の重傷を負ってしまい、ブラックジャックでも助けられる保証はできないという状況でなければダメだろうと思ったからです。
あまり評判がよくない仁美ですが、今小説では擁護的に描き、話にも深くかかわってきます。
次の話は本格的に杏子が介入してきます。

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