市街地(並行世界)
並行世界の響が現れた事に一同は衝撃を受けていた。
翼「また、あいつか…」
クリス「またって…どういう事だ?」
マリア「詮索は後よ!私達も加勢しましょう!」
クリス「おう、そうだな」
星矢「じゃ、すぐに片付けるぞ。ペガサス流星拳!」
星矢はノイズを蹴散らしていった。星矢だけでなく、一輝もいたためにノイズはあっさり全滅した。
クリス「いいタイミングで来てくれたな」
しかし、クリスの言葉に響は睨んでいた。
クリス「なに怖い顔してんだよ?返事くらいしたら」
クリスが響に近づくと、響は振り払った。
クリス「痛っ!な、何すんだ!」
星矢「響、いくら何でもそれはないだろ!」
響のクリスへの態度に星矢は口をはさんだが、星矢を見た途端、響は驚きの表情になった。
響「……!」
いかにも動揺した響は走り去っていった。
マリア「あ…ちょっと待って!(あの動揺は普通じゃないわ。どうして星矢に反応したのかしら…?)」
クリス「星矢に怒られてシカトして行っちまった…」
翼「彼女を知ってるのか?」
クリス「ああ…まあ、知ってると言えば知ってる。こっちで知り合いってわけじゃねーけど…。それにしてもあいつ、本当に何だったんだ?虫の居所でも悪かったのか…?」
翼「いや、彼女とは戦場でたびたび顔を合わせているが…大概、あんな調子だな」
星矢「おい、俺達の知ってる響とはまるで別人のようじゃねえか!」
翼「別人…どういう事だ?昔の知り合いか何かなのか?」
マリア「ごめんなさい。その説明は後にさせて。話すと長くなるから」
クリス「(あの目…。まるで、昔のあたしみたいだ…)」
星矢「なあ、翼は戦場でたびたび響と顔を合わせてるそうだが、あいつはお前と一緒に行動してないのか?」
翼「ああ、彼女は我々の組織の者ではないからな」
マリア「そうなの?」
翼「装者として協力するならともかく、ああして勝手気ままに戦場に現れてはかき乱すばかり…。正直、扱いあぐねている所だ」
マリア「そう…。私達の世界の彼女とは性格だけじゃなく、立場もだいぶ違うみたいね」
翼「『私達の世界』?」
クリス「ああ、まどろっこしいから後で全部説明する」
翼「そう言われてもさっきから気になって仕方ないのだが…」
そんな時に通信が入った。
翼「すまないが、我々の本部まで同行してもらえるだろうか?それと、自己紹介が」
星矢「風鳴翼、だろ?」
翼「せ、先手を取られた…!」
星矢「俺達もよく知ってるぞ。俺は星矢、サジタリアス星矢だ」
マリア「私はマリア・カデンツァヴナ・イヴよ」
クリス「あたしは雪音クリスだ。それにしても、こっちじゃ二課のままなのか…」
翼「二課の事も知っているのか?」
星矢「話が長くなるから、さっさと行くぞ」
一輝「俺も同行しよう。だが、その代わりに俺の探している人物について聞きたい」
翼「探している人物だと?」
一輝「特徴は着いてから話す」
リディアン 寮
元の世界の響はうなされていた。
響「ううっ…ああっ!?」
未来「(また、こんなにうなされて…)大丈夫だからね、響。きっと、すぐに良くなるから」
響「…独りは、嫌だよ…。未来、置いてかないで…」
未来「私はここにいるよ。ずっと一緒にいるから。大丈夫だから…(だから、いつもみたいに言ってよ…。へいき、へっちゃら、って…)」
再び響はうなされたのであった。
特異災害対策機動部二課
星矢達は二課本部に来た。
翼「戻りました。先の戦闘で助勢してくれた4人も一緒です」
弦十郎「君達がそうか…。よく来てくれたな。まあ、自分の家だと思って楽にしてくれ」
クリス「言われなくても、こっちは最初からそういう気分だけどな…」
一輝「早速だが、聞きたい事がある。俺は行方のわからない弟を探している。俺と一緒にいるエスメラルダにそっくりな顔の男は見なかったか?」
弦十郎「エスメラルダ君にそっくりな男だと…?そんな奴は聞いた事も見た事もないな」
マリア「(クリスが口を滑らせたけど、こっちの一輝のお陰で)」
一輝「そうか…。一晩寝たら、俺はエスメラルダと共に弟を探しに行く」
翼「待て!ノイズと戦えるのなら、共に剣として戦わなければならない!それに人探しなら二課に頼めば」
一輝「俺は生憎、群れるのは嫌いでな。だが、宿の提供は感謝する。それと、明日出発する際に通信機を提供してほしい。行くぞ、エスメラルダ」
エスメラルダを連れて一輝は部屋を出た。
翼「なんといい加減な奴だ!立花響にそっくりではないか!」
弦十郎「落ち着け、翼。あいつは大人数で行動するのが苦手なだけで、響君と違って排他的という訳ではない。本当に排他的な奴なら、こちらに来て弟の行方を知ろうとしたり、通信機をくれと言ったりしないだろう」
星矢「一輝は元々ああいう奴だけど、大事な時は必ず駆け付ける奴だからな」
群れるのが嫌いな一輝に翼はあまり納得していなかった。
マリア「私も一輝には一緒に戦ってもらいたいのだけど、ここは本人の要望を尊重しましょう」
弦十郎「ところで、君達は…」
マリア「私とクリスと星矢は…」
マリアは自分達は並行世界から来た事を話した。
弦十郎「なるほどな。つまり諸君は並行世界からギャラルホルンの力を使ってこちらの世界に渡ってきた、と…そういうのだな?」
マリア「ええ。ギャラルホルンがアラートを発したという事は、この世界に何らかの危機があるものと考えられるわ。私達はそれの解決のために来たの」
弦十郎「危機…か」
翼「にわかに言われても、正直ピンとこないが」
朔也「司令、もしかして、先日永田町に送られた完全聖遺物の件でしょうか?」
弦十郎「いや、しかしあれが影響を及ぼすとも思えんが…」
翼「まるで雲をつかむような話だ。もう少し具体的な情報はないのか?」
星矢「具体的なもんならあるぞ。黒くて途方もなく強いノイズとか見なかったか?」
翼「黒い…ノイズ?」
マリア「前回ギャラルホルンがアラートを出したケースでは、星矢の言う黒くて通常よりも数段強力なノイズの個体が出現したわね。こちらでは、そのような個体は出現してないかしら?」
弦十郎「強力なノイズ…だと?」
翼「黒いだけではわからなかったが、もしかして、先日の反応の…」
弦十郎「ああ、その可能性はあるな」
クリス「どういう事なんだよ?」
翼「実は、数日前の事なんだが…」
翼は数日前に強力なノイズの反応があった事、そして反応がロストした先には響がいた事を話した。
翼「と、いうような事があってな…」
弦十郎「あれだけ強大な反応のノイズだ。よほど巨大か、桁外れに強力な力を秘めた個体であったと考えられる」
マリア「だけど…ここにいる誰も、実物を見ていない、と」
翼「ああ、そうだ」
弦十郎「状況からして、先に現場にいたガングニール装者、立花響君がノイズを倒したとしか思えんのだが…」
星矢「あのノイズは俺達聖闘士ならともかく、装者単独で倒す事はできないからな」
弦十郎「それ程までに強いのか。だが、星矢の言う事も納得がいく」
クリス「そりゃそうだぜ。あの強力なノイズが相手なら、あたしら装者の場合はエクスドライブモードでもねーと1人じゃ無理だろうな」
翼「ところで、その黒い強力なノイズというのは、一体どういうものなのか教えてもらえないだろうか?」
マリア「私達はそのノイズの変異をノイズのカルマ化と定義づけ、変異したノイズを便宜上『カルマノイズ』と呼称しているわ」
翼「カルマノイズ」
星矢「カルマノイズは普通のノイズより滅法強いし、人間と触れても炭化しないんだ」
翼「それは…まさか無限に人を殺し続けられるという事か!?」
星矢「ああ、正直ゾッとする程にな…。そいつにギャラルホルンが反応したんだろうな」
マリア「それに、これはまだデータが不足してるからあくまで推論にすぎないけど…、周辺にいる人間を検知して出現したり、消えたりする特性もあると考えられているわ」
翼「人の数を…?」
マリア「いえ、恐らくはフォニックゲインを感知しているのだとは思うけど、カルマノイズ全てがそうとは限らない」
クリス「…どっちにしてもあれ1体で何人でも人間を炭化させられるからな。放っておいたらあっという間に炭の山の出来上がりだ」
翼「なんてたちの悪い…」
弦十郎「なるほど…まさかそんなノイズが存在していたとはな。先日の個体がそれだったのかはわからないが…。唯一の目撃者の響君に話を聞いてみるのがいいだろうな」
マリア「そうみたいね…。それで、彼女は今、どこに?」
弦十郎「残念ながら、彼女は我々とは協力関係になくてな…。ギアを纏っている間ならともかく、普段の動向までは把握できていないんだ」
クリス「仕方ねーな。なら、学園の周りでも探してみるか?」
マリア「そうね」
星矢「今回はこれくらいしか話がまとまらなかったな。それじゃ、俺は一輝の所に行ってくる」
星矢は部屋を出た。
クリス「あいつ、星矢を見た時はかなり動揺してたな」
マリア「あの子は星矢とグラード財団総帥、城戸沙織に助けられた事はあるの?」
弦十郎「いや、そんな話は聞いてない。そもそも、沙織お嬢様は1年前に行方不明になったそうだ」
クリス「星矢と沙織が行方不明だって!?」
マリア「(面識がないのに、なぜあの子は星矢に…?)」
面識がないのにも関わらず、星矢に動揺した響の様子が腑に落ちないマリアであった。
セーフハウス
星矢は一輝とエスメラルダと話をしていた。
一輝「なるほど。お前はこの世界の星矢ではなく、並行世界からやってきた星矢なんだな。どうりでペガサスの聖衣を纏っていないわけだ」
星矢「ハーデスとの戦いが終わって1年経った後の戦いの後に正式に黄金に昇格したんだ。そっちの俺はまだ昇格してないようだな」
一輝「ああ。あっちの俺やエスメラルダはどうなんだ?」
星矢「俺達の世界の一輝は瞬のデスクイーン島行きを引き受けてから、生き地獄を味わって一時期憎しみに囚われたんだ。後で聞いたんだが、一輝が憎しみに囚われたのはエスメラルダの死が決定打になったためらしい」
一輝「(あっちの俺が憎しみに囚われる程の生き地獄だと!?では、瞬は…)」
デスクイーン島での生き地獄によって並行世界の自分が一時期憎しみに囚われていた事を知った一輝は、デスクイーン島へ行った瞬が憎しみに囚われた状態になっているのではないかと思ったのであった。
エスメラルダ「あっちの私は死んでしまったのですね…」
星矢「ああ…。エスメラルダはデスクイーン島にいた頃があったんだろ?瞬はどうしてたんだ?」
エスメラルダ「…瞬は教皇に呼び出されてから人が変わってしまったパパからひどい事をされて心身共に追い詰められてました。そして、瞬が聖衣を継承する日に私は事故でパパの拳を受けて気を失いました。それから起きた時にはパパは死んでて聖衣はなくなり、瞬もいなくなってて、どこに行ったのかわからないんです…」
星矢「(ん?瞬の見た悪夢と一致しているぞ。こっちの瞬の経験を俺達の世界の瞬が悪夢として見るなんて、一体何がどうなってるんだ…!?)だから、一輝と一緒に瞬を探しているのか…。ところで一輝、こっちの瞬が先に引いてしまったくじはアンドロメダ島だったのか?」
一輝「その通りだ」
回想
一輝はアンドロメダ島へ行く時の事を思い出していた。
辰巳「お前達はいよいよ聖闘士の特訓を受けるべく、各地へ送られる事となった。この箱の中にお前達が行く場所が書いた紙が入っている。引いて選べ」
各自くじを引いてどこへ行くのかが決まり、瞬が引く事となった。
辰巳「瞬、アンドロメダ島」
瞬「アンドロメダ島…?」
辰巳「瞬、よりによって泣き虫のお前がアンドロメダ島を引くとはな」
アンドロメダ島という言葉に星矢達は反応して話し出したのであった。
辰巳「お前も運のない男だな。アンドロメダ島がどんな所か知ってるか?その美しい名前からは想像もつかないような恐ろしい島。昼間は容赦なく太陽が照り続け、50度を越す灼熱地獄!夜は一転して零下にまで下がり、すべての生き物を震えつかせる寒波地獄!この苛酷な条件のもと、見事聖闘士として帰ってきた人間は1人もいない それがアンドロメダ島の正体なのだ!」
瞬「ぼ、僕…」
一輝「面白い、代わりに俺が行かせてもらおう!」
辰巳「一輝、いくら兄弟だからって勝手な事を」
一輝「引っ込んでろよ!誰がどこへ行こうと、聖衣というのを日本へ持って帰ればいいんだろ?」
瞬「兄さん…、でも…」
一輝「安心しろ。俺は必ず日本に帰ってくる。いいか、瞬。1人になっても、決してくじけるんじゃないぞ」
瞬「兄さん…」
一輝「俺はそんなこの世の地獄へ瞬を行かせたくなかったから、俺はアンドロメダ島行きを引き受けたんだ。実際にアンドロメダ島は環境は厳しかったが、瞬とまた会うために、良き師のアルビオレ先生や妹弟子のジュネがいてくれたから俺は充実した修行生活を送って厳しい修業を乗り越えていき、日本へ帰る際に先生から『白銀聖闘士数人がかりでも勝てないほどの実力になった』と太鼓判を押されたほどの聖闘士になる事ができた。そして、瞬との再会を楽しみにして帰ってきたが、瞬は帰って来なかった…。瞬が心配になった俺は何もない時は瞬を探していたんだ。エスメラルダとはその道中で出会った」
星矢「って事は、瞬抜きで今までの戦いを乗り越えてきたのか?」
一輝「ああ、そうなる」
エスメラルダ「星矢も瞬を探してくれるんですか?」
星矢「ああ。マリア達がよっぽどの事態でない限りは俺も瞬を探す。何しろ、一輝の大事な弟なんだからな」
一輝「それは頼もしいな」
そう言っていると、マリアとクリスが入ってきた。
マリア「星矢、リディアンの近くの公園で響を探してみない?」
星矢「ああ、わかった」
公園(並行世界)
星矢は訓練を終えたマリアやクリスと共に響がいないか確かめに行った。
星矢「で、たまにこの辺で響を見かけると言ったのは本当か?」
マリア「そうらしいわよ」
クリス「心当たりがあるなら発令所で教えといてくれてもよさそうなもんだけどな…」
マリア「彼女達の間には、なにか大きな壁があるようね…」
星矢「壁、か…。よくわからんけど、面倒なようだな」
クリス「あそこ」
そんな中、クリスは響がいるのを見かけた。
クリス「なあ…あれ、本当にあいつか…?まるで別人みたいに見える…」
マリア「並行世界なのだから、多少の違いはあるものよ」
クリス「そりゃわかるけど…」
星矢「ここで突っ立ったままでは何も始まらん。話しかけよう」
星矢達は響の近くに来た。
星矢「なあ、お前は立花響、だよな?」
響「そうだけど…、何?」
星矢と会った響の態度はいかにも動揺したものであった。
星矢「お前に聞きたい事があるんだが…、数日前にお前が1人で対峙したノイズについて教えてほしいんだ」
ノイズの事について聞こうとする星矢だったが、響は気が動転してしまい、逃げ出してしまった。
星矢「待ってくれ、響!」
マリア「取り付く島もないわね」
クリス「ああ…(それにしてもあいつ…、なんであんな暗い顔してんだよ…)」
逃げ出した響は星矢達が見えなくなってからようやく気が落ち着いた。
響「(…あの人、着ている鎧は違うけど夢で私をノイズの群れから助けてくれた人にそっくりだ…!あの強さ、優しさ、夢から飛び出して来たような人だし、あの人と話したい…でも……)」
他人との関わり合いを避けている響でも夢で助けた人にそっくりな星矢には敵意はなく、むしろ話をしたいと思っていた。しかし、話をしたい心と他人を拒絶する心の相反する心がせめぎ合い、それが星矢を見て気が動転し、逃げ出してしまった理由であった。
特異災害対策機動部二課
それから翌日、一輝はエスメラルダや星矢と共に瞬を探しに行った。
翼「星矢まで行ってしまうとは…」
弦十郎「だが、瞬を探しに行く前に2人共通信機を受け取ってくれたではないか。カルマノイズが現れればすぐに駆け付けてくれるさ」
マリア「私達は私達のやるべき事をしましょう」
クリス「そうだな。あいつから聞き出すとするか」
星矢達とは別にマリア達も響から何か聞き出す事にした。
市街地(並行世界)
出発した星矢達は街で瞬の目撃情報を集めていた。
通行人A「そこの女の子みたいな顔をした男だって?聞いた事がないなぁ…」
通行人B「そんなとびっきりの美少年がいたらあたしでも見つけられるわよ」
通行人C「そんな奴は知らん!俺は今、急いでいるんだ!」
しかし、返ってくる返事は見た事がないなどばかりであった。
エスメラルダ「見つからないですね…」
星矢「瞬の奴、小宇宙まで断っているようだから小宇宙を辿って見つける事さえできねえ…!」
一輝「俺も世界のあちこちを回ったんだが、瞬の行方の手掛かり一つ見つけられなかったんだ…」
星矢「瞬は男とは思えねえ顔だからな。俺達の世界のギャラクシアンウォーズの時は女の人からの声援が凄かったんだ」
一輝「そっちの瞬はそんなに女から声援を受けていたのか…。だったら、すぐに見つかるはずなのだが…」
星矢「仕方ない、リディアンの奴等に聞いてみるか」
年頃の女子であれば瞬に興味があるのではと星矢は判断し、リディアンの生徒に瞬を見なかったか訪ねる事にした。
生徒A「この子にそっくりな男の人?ごめん、そんな人は見た事がないの」
生徒B「でも、不思議よね。そんな男の人とは思えないイケメンがこの世にいるだなんて」
生徒C「私も会ってみたい!」
女子生徒からの回答はやはり会った事はないであった。
一輝「ここでも知らんとはな…」
エスメラルダ「やはり、また別の場所で聞き込みをするしかないようですね…」
星矢「諦めるな!諦めなければきっと何とか」
???「あなた達、この辺では見かけない人達だね」
声をかけたのは元の世界では響の友達である創世達であった。
弓美「ねえ、あの2人は結構イケメンじゃない?アニメとかで出てくるような」
創世「弓美は色々アニメに例えすぎだよ」
詩織「でも、おっしゃる通りの人達です。ただイケメンといっても、男前のイケメンや中性的なイケメンといった感じで色んなタイプのイケメンがいるんですよ」
星矢「なあ、お前達に聞きたい事がある。この子によく似た顔をした男を見かけなかったか?」
星矢はエスメラルダに似た顔をした男を見なかったかと聞いたが、3人は驚いた表情になった。
弓美「あなたのおっしゃる人はアニメに出てくるような中性的なイケメンの人ですね?」
星矢「ああ、そうだ」
一輝「心当たりがあるのか?」
創世「実は数日前、私達はノイズに襲われたんです」
詩織「逃げ切る事ができずに絶体絶命の危機に陥りましたが、そこに不死鳥のような鎧を纏った男の人とは思えないほど美しい顔の男の人が私達を助けてくれたんです。それから不良に絡まれた時も私達を助けてくれました」
創世「その人の顔はとても美しかったけど、とても近寄りがたい雰囲気をしてたし、お礼を言っても『用がないのなら僕に関わらないでくれ』と言ってどこかへ行ってしまったの」
弓美「それに、おかしなことに不良に止めをさす素振りを見せておきながら、手が震えて不良に止めを刺せなかったのよ。なんかおかしくない?」
創世達の言葉に星矢達はその男の正体が何者であるのかがわかったのであった。
星矢「わざわざ教えてくれてありがとな」
エスメラルダ「貴重な情報をくれて感謝します」
お礼を言った後、星矢達はその場を離れた。
創世「あの人達、何者だったのかな?」
この世界の創世達は星矢達が何者であるのかさえ知らなかった。
公園(並行世界)
創世達からの情報を得た星矢達は瞬の小宇宙を感知して探すのが難しいため、一輝のネビュラチェーンの反応を頼りに瞬を探していたのであった。
星矢「一輝、ようやく瞬の情報を掴めたな」
一輝「ああ。数日前から連続で瞬の目撃情報があるのであれば、まだこの街に滞在している可能性が高い」
エスメラルダ「一輝、ようやく瞬が見つかるわね」
一輝「ああ。千載一遇のチャンスだ。絶対に瞬を見つけ出して見せる!」
星矢「(一輝がアンドロメダの聖衣を纏うっていうのも衝撃的だったけど、瞬がフェニックスの聖衣を纏う姿も想像がつかねえなぁ…)」
一輝がアンドロメダの聖衣を纏った姿は星矢も全く想像できなかったが故に衝撃を受けていたが、瞬がフェニックスの聖衣を纏う姿はもっと想像できなかった。進んでいる中、ネビュラチェーンが反応した。
エスメラルダ「一輝、チェーンが反応したわ!」
一輝「きっとこの先に瞬が…!」
チェーンの反応する先へ進むと、そこには聖衣箱を背負った中性的な美少年がいた。その美少年は星矢達には見覚えがあった。
星矢「お、お前は…瞬!」
ようやく瞬が見つかった事に星矢は喜び、一輝も表情を緩めた。
一輝「瞬、ようやく見つけたぞ。お前はいままでどこを」
しかし、元の世界で憎しみに囚われた一輝に対してチェーンの緊張が最高まで高まったように、この世界の瞬に対して一輝のチェーンの緊張も最高に達していた。そして、瞬は振り向いた。
一輝「(チェーンの緊張が最高に達しているぞ!やはり、瞬は…!)」
瞬「……今まで生き地獄を味わった僕を助けてくれなかったのに、僕に話しかけるな!!」
突然、瞬が聖衣を纏って攻撃を放った事に一輝は驚きながらも回避した。
一輝「瞬、どうしたんだ!?」
エスメラルダ「一輝はいつもあなたの事を心配して探し続けていたのよ!どうして一輝に攻撃したの!?」
瞬「うるさい!助けてほしい時に僕を助けてくれなかった兄さんから先に血祭りにあげてやる!!」
怒りと憎しみを露わにした瞬は襲い掛かったが、星矢に阻まれた。
星矢「いい加減にしろ、瞬!」
瞬「星矢、お前まで僕を邪魔する気か!?」
星矢「邪魔するも何も、心配してずっと探していた兄に拳を向けるのは間違いだろ!」
瞬「黄金聖衣を纏っているからといっていい気になるな、星矢!そんなに倒されたいのなら、星矢から先に血祭りにあげてやる!」
憎しみに囚われた瞬と星矢のぶつかり合いが始まろうとしていたのであった。
これで今回の話は終わりです。
今回は並行世界の一輝と瞬の兄弟の過去が明らかになると共に、並行世界の瞬の登場を描きました。2人の過去はアニメや原作のやりとりをデスクイーン島からアンドロメダ島に変えただけですが、シンフォギアXDでは本編では死んだ人物が並行世界では健在というのもざらにあるので、並行世界の可能性としてエスメラルダがそのまま生きていて、一輝と行動を共にしているのを描きました。ちなみに、エスメラルダはアニメ版寄りです。
次は星矢と瞬の戦いとなります。