セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

144 / 198
144話 もう、誰にも頼らない

S.O.N.G潜水艦

 

 さやかの意識が戻ったその日の昼間、状況が落ち着いたために翼とクリスとブラックジャックは報告で元の世界に帰ってきた。

 

弦十郎「何だとォ!?インキュベーターは宇宙の寿命を延ばすために魔法少女を魔女に変えていたのか!?」

 

翼「はい。私達に会った際、そのように言いました」

 

沙織「何とも許し難い事です……!」

 

ブラックジャック「俺は向こうでの仕事が終わったから、帰るぞ」

 

???「ブラックジャック君、仕事を依頼したいのだけど」

 

 そこへ、パルティータが星矢と共に来た。

 

ブラックジャック「まさか、並行世界へ行くから手術する予定の患者を私に回すのか?」

 

パルティータ「話が早いわね。治療費の支払いはアテナ様がしてくれるわ」

 

ブラックジャック「いつもの事ながら…」

 

沙織「わかってます」

 

 いつもの事であるため、ブラックジャックと沙織の支払いの話はすぐに終わった。

 

星矢「杳馬が並行世界で色々とねちっこい事をやってるそうだからな。タコ殴りにしてやらぁ!」

 

 叩きのめす気満々で星矢達は並行世界へ向かった。

 

 

 

市街地

 

 一段落した上、さやかは魔力で怪我を完治させて退院する事となり、まどか達と共に帰る事にした。

 

仁美「まあ、響さん達とブラックジャック先生は並行世界からいらっしゃったのですか…」

 

さやか「響達は異変の調査で来たけど、ブラックジャック先生は恭介の手を治してもらうために響達に頼んで連れてきてもらったんだ。響達の世界はこっちより医学が進んでて、恭介の手の症状ももう治療可能になってるんだってさ」

 

仁美「だから、ブラックジャック先生は上条君の手を治せたのですか」

 

まどか「キュゥべえの協力者の未来予知と随分変わっちゃったけど…」

 

さやか「いいっていいって!響達のお陰であたしは魔女にならずに済んだ上、仁美やまどかともこうやって仲直りできたんだから」

 

仁美「悲劇的な結末の未来が正しい歴史であるなら、変えちゃっても罰は当たらないと思いますわ」

 

まどか「そうだね」

 

 仲良しの幼馴染3人はいつもの関係に戻り、家に帰ったのであった。

 

 

 

了子の家

 

 星矢達は了子の家に来て、ちょうどいい時間でもあったために今後の事について通信で八紘も会話に加わった。

 

八紘『ワルプルギスの夜?』

 

弦十郎「キュゥべえはワルプルギスの夜という、凄まじい強さの魔女が来ると言っていた」

 

了子「古来からいるかなりヤバイ魔女よ。何しろ、存在自体が災害ともいうべきものだわ」

 

八紘『私は聞くのは初めてだが、そのワルプルギスの夜らしき魔女の文献は見た事はある。過去に途方もない災害が発生していたらしいな』

 

切歌「ななな、何デスと!?」

 

調「じゃあ、私達の世界に現れたのはワルプルギスの夜の影…」

 

了子「それで間違いなさそうね」

 

八紘『ワルプルギスの夜が来る前に避難の準備は整えておく。それまでに弦達は倒すための作戦等を考えておくんだ』

 

 そう言って八紘は通信を切った。

 

星矢「ワルプルギスの夜か……」

 

パルティータ「杳馬がいる以上、奴は必ず邪魔にし来るわ」

 

星矢「杳馬は俺と母さんが何とかしないとな…。ところで、響達は?」

 

弦十郎「響君達なら、さやか君の訓練の件でな」

 

 外では、さやかと仁美は翼達との訓練をしていた。

 

さやか「へえ~、仁美の願い事は恭介の夕方の用事の事についての記憶を忘れさせた事なんだ」

 

仁美「普段では実現不可能な願い事だとしっぺ返しも大きいと言われたので、しっぺ返しが小さくて済む記憶を忘れさせる願いにしました」

 

さやか「だから、仁美の固有魔法は記憶操作になったんだ」

 

翼「美樹、訓練に入るぞ。覚悟するがいい!」

 

 翼の言葉を聞いた時、さやかは冷や汗をかいた。そして、さやかにとっての地獄の特訓が始まった。

 

さやか「や、やっぱりきつい……」

 

翼「美樹、ワルプルギスの夜は数日後にやってくる。だから、それまでに経験の浅いお前と志筑を鍛えなければならん!」

 

さやか「だ、だからってこんな事をやるなんて……」

 

翼「巴も佐倉も努力を重ねてあんなに強くなったのだぞ。努力せずに強くなれるものか!」

 

さやか「そんな~!」

 

マミ「美樹さん、前みたいな痛覚を遮断しての捨て身の戦法は効率も悪いから厳禁よ。強くなるにはもっと努力しないと」

 

さやか「マミさんまで~~!!」

 

 過酷な訓練に音を上げるさやかの悲鳴が木霊したのであった。

 

響「仁美ちゃんの方は契約したばかりなのにセンスがいいよ!」

 

杏子「ま、あたしからしても新人にしちゃ上出来といったとこだ。下手すりゃ、新人の頃のあたしより強いかも知れねえ」

 

仁美「習い事で舞踊を嗜んでいる他、少々ですが武道も嗜んでいるので」

 

切歌「だから、素手でもあんなパンチを出せたり、扇で吹き飛ばしたりできるのデスね」

 

弦十郎「後、俺のアクション映画やアニメの視聴もあっての事だ」

 

響「それでこそ師匠ですよ!」

 

 新人の魔法少女2人はそれぞれ訓練をする中、まどかはある事を考えていた。

 

響「何を考えてるの?まどかちゃん」

 

まどか「ほむらちゃんの事で…」

 

マリア「そう言えばあの子、色々知ってるっぽそうな雰囲気をしていたわね」

 

杏子「そういや、そうだな。ワルプルギスの夜が来るのは統計の結果だとは、あたしらの知らない事をたくさん知ってやがる」

 

マミ「暁美さんは一体、何者なのかしら…?」

 

了子「私も気になるわ。フィーネの記憶が引き継がれたといっても、ワルプルギスの夜がここに来る事なんて予測した事さえないの。私も気になるわね…」

 

まどか「ほむらちゃんも一緒に戦ってくれれば、ワルプルギスの夜っていう魔女に勝てそうなのに……」

 

クリス「けど、あいつが応じてくれるのか?」

 

マリア「今の時点で無理に一緒に戦ってと頼んでもあの子は拒絶するに違いないわ」

 

 響への異様な憎悪で共闘を拒む事がわかっていたため、どうすればいいのか一同は悩んでいたが…。

 

まどか「あの…私、ほむらちゃんと話してみようと思います」

 

切歌「ほむらと?」

 

まどか「はい。ほむらちゃん、私の事を護ろうとしているから、私が聞けばまだ話してない事を話してくれると思って……」

 

未来「だったらその通りにやってみればいいんだよ、まどかちゃん」

 

まどか「未来さん…」

 

了子「私も賛成よ。ほむらちゃんはまどかちゃんに執着しているから、まどかちゃんなら何か聞き出せるかも知れないわ」

 

調「今まで役に立ってないと思っていたまどかに重要な仕事が回ってきたね」

 

まどか「そんなに重要な仕事かな…?」

 

マミ「鹿目さんが思っている以上に重要よ。あの暁美さんから何か聞き出せるのは鹿目さんぐらいしかいないのだから」

 

了子「1人じゃ心細いだろうから、大人の私や他の魔法少女2人、シンフォギア装者も連れて行くわ」

 

響「あの、ほむらちゃんと話して」

 

未来「ほむらちゃんは響に異様な憎悪を抱いていてトラブルになるだろうから、行かない方がいいと思うよ」

 

響「せっかく話したかったのになぁ…」

 

未来「心配しないで。代わりに私が行くから。ほむらちゃんを見てると、何となくほっとけなくて…」

 

響「未来……」

 

了子「決まりね。明日、ほむらちゃんの所へ私とまどかちゃん、マミちゃんに仁美ちゃん、未来ちゃんの5人で行くわ」

 

杏子「ちょっと待て!あたしとさやかはどうすんだよ!?」

 

了子「あなた達は訓練か魔女退治でお留守番。2人とも結構感情的で余計な事を言いかねないから、何かトラブルでも起きたら大変な事を起こしかねないわ。だから、私達に任せなさい」

 

杏子「ちぇっ、しょうがねえなぁ…!」

 

 

 

ほむらの家

 

 翌日、了子はまどかとマミと仁美と未来を連れてほむらの家に来た。

 

了子「はあい、お邪魔するわよ」

 

ほむら「あなたは櫻井了子…!」

 

まどか「私達、ほむらちゃんと話をしたくて来たんだ。ほむらちゃん、色々と私達の知らない事を知ってるみたいだから、いいかな……?」

 

ほむら「……いいわよ。他の4人も上がりなさい」

 

 まどか達はほむらの家に上がった。ほむらの家に上がったのは初めての仁美と未来は驚きを隠せなかった。

 

仁美「まぁ、凄い部屋ですわ!」

 

未来「そうだね、仁美ちゃん…」

 

ほむら「適当な所に座りなさい」

 

 5人は円形のソファに座り、マミはその場にいる全員分の紅茶を淹れてくれた。

 

了子「ほむらちゃんには色々と聞きたい事があるの。あなたは何者で、何の目的があるの?」

 

ほむら「……それに答えるには、まず私の魔法の説明が必要ね」

 

マミ「瞬間移動っぽいようだけど、私に拘束された時は使ってなかったわ。一体、何なの?」

 

ほむら「私の魔法は……時間操作よ」

 

未来「時間操作?じゃあ、瞬間移動のように見えたのは、時間を止めてその間を動いてたって事?」

 

ほむら「そうなるわ」

 

マミ「なるほどね。だから、私に拘束された時はそれが使えなかった。違うかしら?」

 

ほむら「正確には、私が触れたものだけ魔法が解除されるのよ」

 

マミ「なるほどね。相手にカウンターされないように暁美さんは相手に一切触れずに攻撃できる火器や爆弾で戦っていたのね」

 

ほむら「ちなみに、私にその戦い方を教えたのはあなたなのよ、巴マミ」

 

マミ「え?」

 

仁美「ほむらさん、マミさんはそのような事は教えてませんよ」

 

ほむら「……ごめんなさい。言い方が悪かったわ。私が魔法少女になった時間軸の巴マミに、教えてもらったのよ」

 

未来「………意味が分からないんだけど」

 

ほむら「私が使える魔法は、時間停止ともう一つ、時間遡行。俗に言う……タイムスリップよ」

 

 ほむらが言った事に了子以外は言葉を失ったが、了子は平然としていた。

 

了子「なるほど。じゃあ、あなたはこの時間軸の子じゃないって事になるわね。未来人ってとこかしら?」

 

ほむら「そう考えてもらって構わないわ」

 

未来「元々の時間軸のほむらちゃんって、どんな子だったの?」

 

ほむら「元々私は、心臓に病を持っていて長い間病院に入院していたの。その頃の私は気弱で、体もとても弱くていつも自分に自信が持てずにいたわ」

 

仁美「弱気…だったのですか…。今の姿からは想像もつきませんね…」

 

 お調子者を連れてきておらず、落ち着いていたり、おっとりした思考の人物ばかりであったため、ほむらは過去の自分の写真を見せた。

 

まどか「ほむらちゃん……この写真の子って……」

 

ほむら「……ええ。昔の私よ」

 

 過去のほむらは眼鏡をかけ、髪を三つ編みにしている他、表情は今のほむらとは似ても似つかないほどオドオドしていて、雰囲気もクールな感じが全くなく、おとなしくて暗い感じであった。昔のほむらを見たまどか達は目が真ん丸になってしまったほどだった。

 

仁美「まあ、今とはずいぶん印象が違いますわ」

 

未来「こんなに大人しい感じの子がどういう経験をしたら今の雰囲気になるのが信じられない…!」

 

ほむら「そう思うのも無理はないから、今までの私の経験した事を話すわね」

 

 

 

回想

 

 それは、最初の時間軸での転校初日から始まった。

 

ほむら『心臓の病が完治してようやく退院し、見滝原中学校に通う事になった』

 

和子「それじゃあ、自己紹介いってみよう」

 

ほむら「あ、あの……暁美…ほむらです…。どうか…その…、よろしくお願いします……」

 

和子「暁美さんは心臓の病気でずっと入院していたの。久しぶりの学校だから、色々と戸惑う事も多いでしょう。みんな助けてあげてね」

 

 色々聞かれて困る中、まどかが声をかけた。

 

まどか「暁美さん、保健室行かなきゃいけないんでしょ?場所、わかる?」

 

ほむら「いいえ……」

 

まどか「じゃあ、案内してあげる。私、保険係なんだ。みんなごめんね、暁美さんは休み時間には保健室でお薬を飲まなきゃいけないの」

 

 まどかはほむらを連れ出した。

 

まどか「ごめんね、みんな悪気はないんだけど転校生なんて珍しいから、はしゃいじゃって」

 

ほむら「いえ、その…ありがとうございます」

 

まどか「そんな緊張しなくていいよ、クラスメイトだから。あたし、鹿目まどか。まどかって呼んで」

 

ほむら「そんな…」

 

まどか「いいって。私もほむらちゃんって呼んでいいかな?」

 

ほむら「あの…私、あまり名前で呼ばれた事がなくて……。その…変な名前だし……」

 

まどか「ええ~~っ!?そんな事ないよ!なんかさぁ、燃え上がれ~って感じでかっこいいと思うなぁ」

 

ほむら「…名前負け、してます」

 

まどか「そんなのもったいないよ!せっかくかっこいい名前なんだから、ほむらちゃんもかっこよくなればいいんだよ!」

 

 その後、授業に臨んだが、長い間入院していた事もあって勉強についていけず、運動もできなかった。

 

ほむら『心臓の病気で長い間入院していたせいで勉強にはさっぱりついていけないし、運動もまったくできなかった。……準備体操で貧血になるぐらいにね。私はそんな自分が嫌で嫌でたまらなかった。そしてその心の隙間に付け込まれて、その日の帰り道に私は魔女に襲われたの』

 

 1人で帰っていたほむらは勉強も運動もできない事を気にしていた。

 

ほむら「無理だよ……私、何にもできない…。人に迷惑ばかりかけて…恥かいて…、どうしてなの……?私、これからも…ずっとこうなの……?」

 

???「だったら、死んだほうがいいよね?」

 

ほむら「死んだ方がいいかな……?」

 

???「そう、死んじゃえばいいんだよ」

 

 ふとほむらが気付くと、そこは魔女の結界であった。

 

ほむら「どこなの?ここ……」

 

 困惑するほむらの前に凱旋門のような魔女と手下である不気味な使い魔が出現した。

 

 芸術家の魔女、イザベル。その性質は虚栄。自らを選ばれた存在であると疑わぬ魔女。誰かに自分の作品を見せたくて仕方が無く、人間にも積極的に干渉してくるが、その結界内はどこかで見たようなものばかり。

 

ほむら「何?何なの!?嫌ッ!」

 

 使い魔が迫り、怯えるほむらであったが、そこへ銃弾と矢が撃ち込まれて使い魔を一掃した後、イザベルは残りの使い魔共々リボンに拘束された。ほむらを助けたのは、まどかとマミであった。

 

マミ「間一髪、ってところね」

 

まどか「もう大丈夫だよ、ほむらちゃん」

 

ほむら「あ、あなた達は……」

 

???「彼女達は魔法少女。魔女を狩る者達さ」

 

 声の主はキュゥべえだった。

 

まどか「いきなり秘密がバレちゃったね。クラスのみんなには、内緒だよ!」

 

 そのまままどかとマミはイザベルを倒した。

 

 

 

ほむら「それが、魔法少女としてのまどかとの出会いだった」

 

 最初の時間軸ではまどかは既に魔法少女になっていた事にまどか自身が特に驚いていた。

 

了子「ありゃりゃ、最初の時間軸のまどかちゃんはもう魔法少女になっていたのね」

 

ほむら「その後、私は巴マミのマンションで魔女や魔法少女の事を知ったのよ。………ワルプルギスの夜の事も」

 

マミ「それって、その時間軸の私が教えたの?」

 

ほむら「ええ」

 

了子「その時間軸のマミちゃんはワルプルギスの夜の行動を調べていて、何週間かしてからワルプルギスの夜が来たのね」

 

ほむら「そうよ。大人のあなたは理解がとても早くて手間も省けるわ」

 

仁美「ワルプルギスの夜は…どれほどのものだったのですか?辛い話になるのは承知しています」

 

ほむら「……他の魔女とは比べ物にならない程だったわ…。巴マミとまどかは2人でワルプルギスの夜に挑んだのだけど……、まずはマミが死んで……その後にまどかも死んだわ……」

 

 衝撃的な言葉に一同は驚いた。話したほむらも血が出そうになるほど拳を握り締めていた。

 

未来「マミちゃんとまどかちゃんが……死んだ……?」

 

ほむら「ワルプルギスの夜は結界に隠れる必要がないほど強力で、一度具現化しただけで何千人もの人間が死ぬ事になるわ」

 

仁美「それほどワルプルギスの夜は恐ろしい強さの魔女なのですね…」

 

了子「そのワルプルギスの夜の姿、どういった姿なの?」

 

 ほむらはワルプルギスの夜が映っているディスプレイに指先を向け、一同がそれを見ると、未来は元の世界で現れた怪物と同じ姿であった事に衝撃を受けた。

 

未来「私達の世界に現れたあの怪物…、ワルプルギスの夜だったんだ!」

 

ほむら「私達の世界?どういう事?」

 

了子「ほむらちゃんはまだ知らないけど、未来ちゃん達はね…」

 

 了子はほむらに未来達は並行世界から来た事を伝えた。

 

ほむら「並行世界…。まさか、あなた達の世界にもワルプルギスの夜が?」

 

未来「私達の世界に現れたのはワルプルギスの夜の影。ギャラルホルンっていう、並行世界を繋げる聖遺物の影響でワルプルギスの夜の影が現れて、異変を収めるために私達はこの世界に来たの」

 

ほむら「並行世界から来た存在だから、あなた達は今までの時間軸にいなかったのね」

 

未来「そうだよ」

 

了子「それで、それからあなたはどうしたの?」

 

ほむら「私は…」

 

 

 

回想

 

 まどかの死にほむらは嘆き悲しむだけであった。そこへ、キュゥべえが声をかけた。

 

ほむら「……あなたと契約すれば、どんな願いも叶えられるの?」

 

キュゥべえ「そうとも。君にはその資格がありそうだ。教えてごらん。君はどんな祈りで、ソウルジェムを輝かせるのかい?」

 

ほむら「私は……私は、鹿目さんとの出会いをやり直したい。彼女に護られる私じゃなくて、彼女を護る私になりたい!」

 

 願い事を言ったほむらに対し、キュゥべえはまず、ほむらの魂をソウルジェムに加工した。

 

キュゥべえ「契約は成立だ。君の祈りは、エントロピーを凌駕した。さぁ、解き放ってごらん、その新しい力を」

 

 ソウルジェムを掴んだほむらは1か月前に戻った。

 

 

 

 ほむらの願いはまどかとの出会いをやり直したいというものである事を一同は知る事となった。

 

マミ「鹿目さんとの出会いをやり直す……。なるほど、それが時間操作の魔法に繋がったのね」

 

了子「こりゃまた、私も想像がつかなかった願いだわ」

 

未来「次の時間軸ではどうだったの?」

 

ほむら「次は…」

 

 

 

回想

 

 次の時間軸では、ほむらは魔法少女である事をまどかに明かし、時間操作の魔法を見せる事にした。

 

ほむら「それじゃあ、行きます!」

 

 ほむらは変身し、時間を止めてからゴルフクラブでドラム缶を攻撃した。

 

まどか「どう思う?マミさん」

 

マミ「う~ん…時間停止ね…。確かに凄いけれど、使い方が問題よね」

 

ほむら『そこを指摘された私は自作の爆弾を使い、時間停止と爆弾の攻撃を組み合わせた戦い方を編み出した。そして、3人でワルプルギスの夜との戦いに臨んだ。けれど、次もダメだった…』

 

 ワルプルギスの夜との戦いではマミという犠牲を払って勝利できた。ところが……、まどかのソウルジェムに異変が発生した。

 

ほむら「どうしたの?ねえ、鹿目さん!?しっかりして!」

 

 ソウルジェムに溜まった穢れが限界を超えてしまったためにグリーフシードに変化し、救済の魔女、クリームヒルト・グレートヒェンが出現した。

 

ほむら「何…?どうして……?こんな……!」

 

 

 

未来「まどかちゃんが……魔女に……?」

 

 2回目の時間軸ではまどかが魔女化した事に一同は言葉を失ってしまった。

 

ほむら「彼女が魔女化した時、私はまた過去に戻った。そこで分かったのよ。キュゥべえが何かを企んでいて、私達を騙しているって。まどかに会った時、すぐにまどか達にその事を伝えたわ」

 

了子「今のあなたの態度を見る限り、信じてもらえなかったでしょうね…」

 

ほむら「ええ。その時は私もまだキュゥべえの狙いが分からなかったから、信じてもらえるわけがなかった。しかもその時間軸では美樹さやかがキュゥべえと契約を交わして魔法少女になっていた上に、佐倉杏子と対立していた。そこに、私達はキュゥべえに騙されているなんて事を言う私が現れたから、彼女は私が佐倉杏子と組んで仲間割れを起こさせようと思ってるんじゃないかって私を疑った」

 

 ほむらと未来達の会話は未来達の後を追い、こっそり扉から盗み聞きしていたさやかと杏子も聞いていた。

 

杏子「あいつ…、そんな過去があったのか…」

 

さやか「何も知らずに色々と言っていたあたしがバカだった…」

 

 今まではほむらへの不信感故に拒絶していたさやかであったが、盗み聞きという形ではあったものの、ほむらの過去を知ってほむらの事情も知らずに不信感だけで悪い魔法少女と決めつけていた自分を責めていた。

 

了子「今の火器を使うスタイルになったのも、接近戦主体のさやかちゃんを巻き込まないようにするためかしら?」

 

ほむら「ええ。それ以来、私は暴力団事務所から銃器を盗んで、扱い方を練習し始めたの」

 

未来「す、すごい度胸だね……」

 

 下手をしたら殺されるかも知れない事をしていたほむらに一同は相当な覚悟と度胸があると察した。

 

ほむら「……でも、あの日、全てが壊れたのよ」

 

まどか「あの日……?もしかして……!」

 

ほむら「……美樹さやかの魔女化よ。きっかけは、あなた達も良く知ってるでしょ?」

 

仁美「その時間軸では響さん達やブラックジャック先生が来ていないので、さやかさんは上条君の手を治すために契約した上、魔女化を回避できなかったのでしょうね…」

 

 響達の介入によってさやかの契約の内容等が変わってしまい、神獣鏡の光でソウルジェムを浄化して魔女化を回避し、仁美も魔法少女になった事で和解したが、その時間軸では…

 

ほむら「思った通りよ。そもそも、志筑仁美が魔法少女になったのは今回が初めてなのだから」

 

未来「結局、魔女化したさやかちゃんを倒したのね?」

 

ほむら「そうしたのだけど、そこから悪夢が始まった……」

 

 

 

回想

 

 魔女化したさやかを倒した後、一同は悲しんでいた。そんな時、マミはまず、ほむらをリボンで拘束した後、杏子のソウルジェムを銃弾で撃ち抜いて殺害した。

 

ほむら「巴さん!?」

 

マミ「ソウルジェムが魔女を生むなら、みんな死ぬしかないじゃない!!あなたも、私も…!」

 

ほむら「やめて!」

 

 その時、まどかの矢によってマミのソウルジェムは砕かれてマミは死亡した。

 

 

 

 衝撃的な出来事は一同を震撼させた。

 

まどか「どうして、マミさんがそんな事を…?」

 

マミ「……もしかしたら、怖かったのでしょうね…。自分や鹿目さん達が得体の知れない怪物、魔女になってしまう事実に、多分その時間軸の私は耐えられなかったのかも知れないわね」

 

了子「だから、化け物になってしまう前に後輩共々死ぬ選択をしたみたいだわ」

 

マミ「わかっちゃうのよね、違う時間とはいえ、自分の事だから…」

 

仁美「マミさん……」

 

ほむら「残った魔法少女は私とまどかだけになったけれど、それでも私達はワルプルギスの夜と戦った。…なんとか勝つ事は出来たけど、戦いの後の私達はボロボロで、二人とも魔女になる寸前だった。でも、まどかが隠し持ってたグリーフシードで私のソウルジェムを浄化してくれたの。そして、約束した。キュゥべえに騙される前のまどかを救って見せる。何度繰り返す事になっても、絶対にまどかを護ってみせるって。そして時間をさかのぼる前に私はまどかの……」

 

 それ以上は言えなかったが、何をしたのかは一同も察した。

 

ほむら「その後、私はもう誰にも頼らないと誓い、いくつもの時間を巡って、まどかを助けようと戦い続けてきた。……だけど、まどかを助ける事はできなかった…」

 

 外で話を聞いていたさやかと杏子も中にいる一同共々、沈痛な気持ちになった。

 

さやか「誰も信じてくれなかったから、たった一人で時間を巡って戦い続けてきたんだ…」

 

 杏子でさえも何も言えなかった。

 

まどか「ほむらちゃんは…何で響さんの事をあんなに嫌っているの…?」

 

ほむら「……立花響とその仲間達は今までの時間軸にいなかったからよ。風鳴弦十郎達のような規格外の大人も初めて見たけど、そこは見過ごせたわ」

 

まどか「じゃあ、何で響さんに…?」

 

ほむら「あの女を見てるととても腹が立ってくるのよ!まどかと同じ声で綺麗事を言う上、いつも能天気で何も辛い事を経験していないような顔をしてるのに、私がどれだけ頑張っても変えられなかった巴マミや美樹さやか、佐倉杏子の運命を仲間達と共に容易く変えた上、まどかにも慕われている。私はもう誰にも頼らないと誓って何度も時間を遡って巴マミ達の運命を変える事ができなかったからまどかだけでも助けようとしているのに、あの女は仲間達と共に簡単に巴マミ達を助けたばかりか、志筑仁美というイレギュラーな魔法少女まで誕生させた!これじゃあ、私が今までやってきた事が全てあの能天気な女に否定されたようなものじゃない!!」

 

 幾度も時間軸を巡り、マミ達の運命を変えられなかったがためにまどかだけでも救おうと視野狭窄になっていたほむらにとって、一同の中心となっている響はまどかと同じ声である事に加え、仲間達と共にマミ達の運命を変えた事がほむらにとっては自分が今までやってきた事を全て否定されたようなものであり、そのために響を激しく憎んでいた。その胸の内を語るほむらはいつものクールさはなく、激しい憎悪と嫉妬と怒りに満ちていて、悔し涙まで流していた。

 

了子「激しい憎悪の根源は響ちゃんへの猛烈な嫉妬だったのね…」

 

未来「ほむらちゃん、自分が今までやってきた事を全て否定されたような気分になって嫉妬しているのはわかるよ。でも、響だって色々と辛い経験をたくさんしてきたんだよ」

 

ほむら「あの女が……?」

 

未来「響も死にかかったり、誹謗中傷の嵐に遭ったり、辛い事をたくさん経験してきた。でも、どんなに傷ついても、響は手を取り合える可能性がある人には手を差し伸べようとするの。何度失敗してもね。私は、幼馴染としてそんな響の姿をずっと見続けてきた」

 

ほむら「あなたが…あの女の幼馴染……?なぜ、その話を私に……?」

 

未来「ほむらちゃんを見てると、大切な友達のために行動するところがどこか私に似てる気がしててね、気にかけたくなっちゃうの」

 

ほむら「小日向未来と私が似た者同士…?」

 

未来「無理に響と一緒に戦ってとは言わないよ。でも、ほむらちゃんも響の事をもっとわかってあげて。響や私達がマミちゃん達の運命を簡単に変えたわけじゃないの、真正面から向き合って、マミちゃん達の助けになったのよ」

 

ほむら「真正面から……」

 

 未来も断られるのを承知で言ったが、ほむらの考えはすぐ変わるものではなかった。

 

了子「気になったんだけど、ほむらちゃんの願い事はどんな形でしっぺ返しが来たかしら?」

 

ほむら「しっぺ返し…?」

 

了子「キュゥべえに叶えてもらった願い事は必ず何かしらの形でしっぺ返しが来る傾向にあるのよ。マミちゃんや杏子ちゃん、さやかちゃんに仁美ちゃんの願い事は既にしっぺ返しが来たわ。もしかすると、既にほむらちゃんにもしっぺ返しが来ていると思うわ」

 

ほむら「しっぺ返し?そんな事は……」

 

???「なるほど、そういう事だったのか」

 

 聞きたくない声の主はキュゥべえであった。

 

 




これで今回の話は終わりです。
今回はほむらの過去が明らかになるのを描きました。
本編10話の『もう誰にも頼らない』はほむらの回想という形でダイジェストで描きました。
また、ほむらが響を憎んでいたのは、自分がいくらやってもできなかった事を容易くやってのけた事に加え、今までの苦労を全て完全否定されたというのも判明した形にしました。
次の話はまどかの高い魔法少女の素質の秘密が明らかになると共に、カストディアンとキュゥべえの因縁も明らかになります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。