セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

149 / 198
アルケミックオーダー編
149話 並行世界のサンジェルマン達


病院

 

 ある日の事、パルティータはサンジェルマンの形見である壊れたラピスを見つめながら、空を眺めていた。そこへ、星矢が来た。

 

星矢「母さん、サンジェルマンの事がまだ心に引っかかってるのか?」

 

パルティータ「ええ…。あの子は私の娘も同然の子なのだから…、あの子が死んだのが心にひっかかっちゃって…」

 

星矢「子供に先立たれた親って、こんな心境なのか……」

 

パルティータ「否定はしないわ。星矢やアテナ様は250年もすれば生まれ変わり、また会う事ができるのだけど、サンジェルマンは……」

 

 それ以上は言葉が続かなかった。

 

星矢「(もしかしたら、並行世界のどっかでサンジェルマン達が生きてるかも知れねえな。だって、奏やセレナなどのこの世界じゃ死んでるけど、他の世界では生きてるってケースは何度も見てきたし……)」

 

???「ならば、どこかの並行世界へ行ってみるといいぞ」

 

 声をかけたのはシャカであった。

 

星矢「シャカ!どうしてお前がこの世界に?」

 

シャカ「少し妙な予感がしたから、君達と同行する事にしたのだよ」

 

星矢「妙な予感?」

 

シャカ「私自身にもよくわからんが、数日前から何か妙な予感がして、居ても立っても居られなくなってな」

 

パルティータ「私も並行世界へ行ってみようと思ったの。もしかすると、あの子に会えるかも知れないから…」

 

 シャカに後押しされてパルティータは並行世界にサンジェルマンがいるかどうか確かめるため、並行世界に行く事にした。

 

 

 

???

 

 ある並行世界のある建物に響達の世界では倒されたアダムがいた。

 

アダム「いやはや…大したものだよ。彼女達は。黒いノイズに、シリウス交響楽団…。乗り越えてきた、ことごとく。ならば…しなければね。ふふ…ふふ……」

 

 

 

洞窟

 

 とある洞窟の中を並行世界のサンジェルマン達は進んでいた。

 

カリオストロ「はあ…。こんな薄暗い場所をとぼとぼウォーキングなんて、おしゃれじゃないのよねぇ……」

 

プレラーティ「だがこんな場所だからこそ、潜伏にはうってつけというワケダ」

 

カリオストロ「そうだけどぉ、本当にこんなとこにいるのかしら?いなかったらあーし達、ただの骨折り損のくたびれもーけだし?」

 

サンジェルマン「相応の確度の情報よ。今度こそ無駄足にはならないはずだわ」

 

プレラーティ「つまり統制局長からの情報というワケダね」

 

カリオストロ「その局長は今頃ホテルのお風呂に浸かってマッパで高笑いといったとこかしら?ほんと、良いご身分よねぇ」

 

サンジェルマン「そう腐らないの」

 

カリオストロ「そりゃっ腐りもするわよ。そもそも局長がアレを盗まれたりしなければ、こんなとこまで来なくても済んだじゃない」

 

プレラーティ「今更、言うだけ無駄なワケダ」

 

サンジェルマン「アダムスフィア…。あれが持つ力を考慮すれば、捨て置くわけにもいかないわ」

 

カリオストロ「はいはい、わかってますよ。ちょっと愚痴ってみたかっただけだってば」

 

 3人は洞窟を進んでいった。

 

サンジェルマン「情報によれば、この先のようね」

 

カリオストロ「ええっ?ほんとにあんな狭い穴藏に入るわけ?汚れちゃうじゃない!」

 

プレラーティ「虎穴に入らずんば、というワケダ」

 

カリオストロ「ほんと、最悪…。ちゃっちゃと片付けて、帰ってシャワーでも浴びましょ?」

 

 穴に入った3人であったが…。

 

カリオストロ「…って、あっという間に行き止まりじゃないの。どういう事?」

 

サンジェルマン「……」

 

カリオストロ「どうするの?コウモリさん以外、誰もいなさそうだけど?」

 

サンジェルマン「なるほど、はぐれ者とはいえ相手は錬金術師。欺瞞の術式の心得くらいはあるという事ね」

 

プレラーティ「だが、我々にはお見通しというワケダな」

 

 あっさり解除されたのであった。

 

サンジェルマン「やはり隠し通路があったわね」

 

プレラーティ「ビンゴというワケダ」

 

カリオストロ「わ、わかってたわよ、それくらい」

 

サンジェルマン「でも気を付けて。欺瞞の術式がかけられていたという事は他にも」

 

 そう言ってると、アルカノイズが出てきた。

 

カリオストロ「アルカノイズ!?」

 

サンジェルマン「やはり、ね」

 

プレラーティ「用意周到というワケダね」

 

サンジェルマン「2人とも、遅れをとらないように」

 

カリオストロ「わかってるわ!」

 

プレラーティ「言われるまでもないワケダ!」

 

サンジェルマン「ならばいいわ。行くわよ!」

 

 3人の前にアルカノイズは全滅した。

 

カリオストロ「これで全部かしら?」

 

プレラーティ「鎧袖一触というワケダ」

 

サンジェルマン「けど、無駄な時間を食ってしまったわ。さあ、早く進みましょう」

 

カリオストロ「あ、もう!?少しくらい休ませてくれたっていいじゃないの」

 

 再び3人は先へ進んだ。

 

カリオストロ「…それにしても。あの裏切り者達、アダムスフィアなんて何に使うつもりなのかしらねぇ?」

 

プレラーティ「どうせろくでもない事に決まっているワケダ」

 

サンジェルマン「奴等の目的がなんであろうと、取り戻さねばならない。あれは私達錬金術師協会にも欠かせぬ物。支配への反逆のために必要な力の一つなのだから」

 

カリオストロ「支配への反逆、ね。ほんと、サンジェルマンったら。相変わらずなのよね…。あーし達と出会う前に死んだという、育てのお母さんの事もよく話したし…」

 

 

 

回想

 

 カリオストロは昔の事を思い出していた。

 

カリオストロ『もう何百年も前。生まれた身分で全てが決まる時代。あの頃、あーしは錬金術師を名乗って、貴族どもを相手に詐欺を重ねていた。間抜けた上流階級の貴族どもが、低い身分のあーしに騙され、何もかも失う様は、見ていて本当に笑えた。そうして調子に乗ったあーしは宮廷に入り込み、王族にまで詐欺を働き、その結果、国中から追われる身となった。彼女と出会ったのは、そんな頃だった』

 

サンジェルマン「支配への反逆…革命を望むなら、私の同志となりなさい。…あなたに本当の錬金術を教えてあげる」

 

カリオストロ「同志だと?」

 

サンジェルマン「ええ…。この理不尽な支配に抑圧されし世界を変革する同志に、ね」

 

カリオストロ『追われていたあーしを、本物の錬金術を駆使して刑吏の目から隠し、サンジェルマンはあーしにそう言った。貴族が何を…なんて思ったけど、その言葉と紛い物ではない本物の錬金術に惹かれたあーしは、彼女の同志になった…。…まさかその後で、永遠の命と完全な肉体…女性体を与えられ、こーんな風になるなんて思わなかったけど。でも、男でいた頃より何百倍も魅力的になれたし、それもこれもサンジェルマンのお陰よね~。あーしは正直、もう革命とかどうでもいいんだけど、サンジェルマンのためなら、何だってやってみせる。それが命を救われ、こーんなに魅力的にしてもらった、あーしの恩返しだから…』

 

 

 

 昔の事でカリオストロは思い浸っていた。

 

サンジェルマン「カリオストロ?今の戦闘で負傷でもしたの?」

 

カリオストロ「別にどうもしてないわ。ちょっと考え事してただけ」

 

プレラーティ「作戦中によそ事とは、ずいぶんと余裕なワケダ」

 

カリオストロ「悪かったわね。それよりも、また新手みたいよ」

 

サンジェルマン「ええ、そのようね」

 

 またしてもアルカノイズが出現した。

 

プレラーティ「しつこすぎるワケダ」

 

サンジェルマン「けれど、それ故に本命が近いと言う証左でもあるわ」

 

カリオストロ「なら、ちゃっちゃと片付けて黒幕をふんづかまえちゃいましょ!」

 

サンジェルマン「ああ!」

 

 また出たアルカノイズを倒した。

 

サンジェルマン「深奥部はもうすぐかしら」

 

プレラーティ「予想以上に深く続いているワケダ」

 

カリオストロ「洞窟内の情報は事前に手に入らなかったわけ?」

 

サンジェルマン「いくら局長でも、そこまではね」

 

カリオストロ「ほんと、見掛け倒しっていうか、完璧主義者を気取ってる割に無能な男なのよねぇ」

 

プレラーティ「言うな。虚しくなるだけなワケダ」

 

サンジェルマン「この辺りで目的の物が見つかるといいのだけれど……」

 

プレラーティ「アダムスフィアか…。だが今の所、それらしき力は感じないワケダ」

 

サンジェルマン「とにかく、深部まで進みましょう」

 

カリオストロ「あー、もう。こう薄汚いところばっかり延々歩き続けると、気が滅入ってくるったらないわ。ほんと、こういう洞窟の奥にひっそりと隠れ家を作るなんて、いかにも錬金術師って感じ」

 

サンジェルマン「まあ、人目を憚る立場には都合が良いものね」

 

カリオストロ「ま、あーし達も人の事言えないけどでも、流石に今の時代、生の洞窟住まいはないわよね~」

 

プレラーティ「(研究所…そうだ。私も昔、こういう場所で研究を続けていた)」

 

 

 

回想

 

 プレラーティも昔の事を思い出していた。

 

プレラーティ『錬金術に興味を持ったのは、ただの気まぐれだった。友と共に虚飾にまみれ、日々快楽に耽っていた私は、巷の噂で錬金術というものを耳にし、暇つぶし程度のつもりで手を出したワケダ。しかし、研究はすぐに行き詰った。当然なワケダ。正しい知識もなく、巷にあふれる怪しいまじない師の真似事などしていても、真理には一生辿り着けない。それでも私はより深く知識を得ようと、友と共謀し無辜の民を錬金術の実験台にした。だが、すぐに見つかり、異端裁判にかけられ、絞首刑にされる寸前のところで、サンジェルマンは現れた』

 

サンジェルマン「私と来るなら、あなたを錬金術師の真理へ導いてあげる。そしてその崇高なる力を正しく揮う術を教えてあげるわ」

 

プレラーティ「同志になれ、と…?」

 

サンジェルマン「真なる英知を、錬金の業を欲するなら、ね。けれどそれを私欲を満たすために使ったなら、私が殺すわ」

 

プレラーティ『死を恐れたというのもあるが、何より、彼女の力は怪しいまじないなどではなく、本物だった。それに魅せられた私は、一も二もなく、その提案に飛びついたワケダ…。完全なる命を不朽の肉体を得る、つまり女性に変わるという予想外の事態はあったにせよ、真なる錬金術の前では性別など些細な事なワケダ。むしろこうして不朽の肉体を手に入れた事で、私は研究を続ける事ができる。更なる真理を探究し、大恩あるサンジェルマンに報いる事ができるというワケダ…』

 

 

 

 進んでいると、またまたアルカノイズが出現した。カリオストロは愚痴をこぼしていたが、プレラーティは考え事をしていた。

 

サンジェルマン「プレラーティ?どうしたの?」

 

プレラーティ「…あ、いや…何でもないワケダ」

 

サンジェルマン「…大した相手ではないけど、気を抜くと危険よ。戦いに集中しましょう」

 

 そして、アルカノイズを一掃した。

 

カリオストロ「片付いたわね。それよりどうしたの?今度はあなたがぼーっとしちゃって」

 

プレラーティ「大した事じゃない。少しばかり考え事をしてたワケダ」

 

カリオストロ「へえー、作戦中に考え事とは余裕ね」

 

プレラーティ「ふん…人のセリフで返すとは悪趣味なワケダ」

 

カリオストロ「あーしに言った事、自分もやってるからでしょ?」

 

サンジェルマン「しっ!2人共、奥に明かりが見えてきたわ」

 

プレラーティ「目的地に着いたというワケダな」

 

カリオストロ「さて…鬼が出るか蛇が出るか」

 

 最深部だと判断し、一同は進んだ。

 

プレラーティ「やはり、今度こそ最深部というワケダ」

 

カリオストロ「でも…誰もいないじゃない」

 

サンジェルマン「既に逃げおおせた後のようね…」

 

カリオストロ「そうみたい。少し前まで誰かがいた気配はあったようね」

 

プレラーティ「雑魚に時間を取られ過ぎたというワケダね」

 

カリオストロ「それで、アダムスフィアはどうなったのよ?」

 

プレラーティ「逃げ出すのに大事な物を持ち出し忘れるバカはいないワケダ」

 

カリオストロ「やーん、もうハズレだなんて~」

 

プレラーティ「ああ。見事に無駄骨だったワケダ」

 

サンジェルマン「……仕方ない、戻りましょう」

 

カリオストロ「えーっ。ここまでずっと歩いてきたのに!?」

 

プレラーティ「ならば一人でずっとここにいるワケダ」

 

カリオストロ「そんな事、言ってないでしょ!>」

 

サンジェルマン「!?2人共、気を付けて!」

 

プレラーティ「なっ、あれは!?」

 

 目の前に巨大アルカノイズがいたのであった。

 

サンジェルマン「ダメ押しの罠?いえ、足止め用かしらね」

 

カリオストロ「こんな狭い所に大型のアルカノイズだなんて!頭おかしいんじゃない?」

 

プレラーティ「とん置き土産というワケダね」

 

サンジェルマン「ええ…。でも、つくづくなめられたものね」

 

プレラーティ「ああ。この程度で我々を足止めできると踏んだワケダ!」

 

カリオストロ「ほんと、冗談ポイよね。とっとと蹴散らしちゃいましょう!」

 

サンジェルマン「ええ」

 

 

 

 

 アルカノイズを撃破した後、サンジェルマン達は洞窟から出た。

 

サンジェルマン「はあ…やっと外に出てこられたか」

 

カリオストロ「もう、無駄骨もこれで何回目よ~!?」

 

プレラーティ「数えきれないワケダ」

 

サンジェルマン「またしても、後1歩のところで逃げられてしまうとはね…」

 

プレラーティ「相手も錬金術師じゃ、イタチごっこというワケダ」

 

カリオストロ「ほんと、いつになったら取り戻せるのよ。あっち行ったりこっち行ったり、もうヘトヘトだわ。全く、それもこれも全部!あの局長の役に立たない情報のせいじゃないの!」

 

 そう言ってると固定電話が出現した。

 

カリオストロ「ひっ!」

 

プレラーティ「噂をすれば…というワケダ」

 

カリオストロ「相変わらず心臓に悪いったら…」

 

 サンジェルマンが電話に出た。

 

サンジェルマン「はい、私です」

 

アダム『どうだったかね?首尾は』

 

サンジェルマン「残念ですが、あと一歩というところで逃げられました」

 

アダム『ふむ…掴ませてくれないか。そう簡単に、尻尾はね』

 

サンジェルマン「申し訳ありません」

 

アダム『だが安心したまえ。入ったとおろだよ、次の情報が』

 

サンジェルマン「次の…ですか?」

 

アダム『役に立つといいんだがね。今度こそ、君達の役に。ねえ、カリオストロ?』

 

カリオストロ「(ギクギクッ!)」

 

プレラーティ「(全て丸聞こえというワケダね)」

 

カリオストロ「(カマかかえてるだけよ、カマ)」

 

サンジェルマン「それで局長、次の情報は?」

 

アダム『ああ、そうだった。再び現れたようだよ。はぐれ者達が。追ってほしい。今すぐにね』

 

サンジェルマン「無論です。それで、どちらへ?」

 

アダム『小さい島国だよ。極東のね』

 

サンジェルマン「極東の島国?もしや…」

 

アダム『ああ、そう……日本だよ』

 

 

 

特異災害対策機動部二課

 

 その頃、二課ではある事を弦十郎と了子が考えていた。

 

弦十郎「やはり、おかしい…」

 

了子「ええ、不自然なのよねぇ…」

 

奏「何難しい顔してるんだ?」

 

弦十郎「ああ…先日のブラックアウト事件の被害詳細を調べていたんだがな」

 

了子「私達の想定よりも、被害がかなり小さかったの」

 

奏「被害が小さかったって…それっていい事なんじゃないのか?」

 

弦十郎「まあ、そうなのだがな…」

 

了子「あの永遠の子守歌の影響を受けて、航空機の被害がこんなに少ないのは、やっぱり不自然すぎるわ」

 

奏「そんなにおかしい事なのか?」

 

弦十郎「ああ。あの時、国連から緊急飛行停止命令が全航空機に発せられたわけだが…」

 

奏「ああ、そうだったね」

 

弦十郎「発令時、既に洋上を飛行していた飛行機の中には、緊急着陸できる状況になかった機もかなりの数に上ったはず」

 

了子「なのに、どの機体も無事に空港に着地したり、偶然どこかに不時着したりしてるのよ」

 

奏「それって、オートパイロットとか、そういうやつのお陰じゃ?」

 

弦十郎「民生機のオートパイロットシステムにそこまで完璧な着地や不時着までをこなせる性能のものはないはずなのだが…」

 

了子「確率論で考えても、あり得ない偶然が重なり過ぎてるのよね」

 

弦十郎「ああ、裏で何かの意思が働いていたのかも知れないな……」

 

奏「助かった機体に何か記録でも残っていないのか?」

 

了子「それも調べてみたけど、生憎、ボイスレコーダーや映像記録にも、それらしい情報は残ってないの」

 

奏「そっか…。まあ、でも堅っ苦しく考え過ぎだろ」

 

弦十郎「む?」

 

奏「何にしても犠牲が少なく済んだんだから、素直に喜んでおけばいいじゃないか」

 

弦十郎「まあ、そうなんだがな…」

 

 そんな折、警報が鳴った。

 

弦十郎「どうした!?」

 

あおい「アルカノイズの反応です!」

 

弦十郎「まさか、また錬金術師か!?奏!」

 

奏「ああ、すぐ出る!」

 

了子「けど、王虎君とアイザック君は任務でいないから、無茶は禁物よ」

 

 そのまま奏は出撃した。

 

 

 

日本 道路

 

 サンジェルマン達ははぐれ錬金術師達に追いついた。

 

サンジェルマン「追いついたぞ、はぐれ錬金術師!」

 

錬金術師「錬金術師協会の幹部ども!?こんなところまで!」

 

プレラーティ「イタチごっこもここまでというワケダ!」

 

カリオストロ「ほんとに世話焼かせてくれちゃって!」

 

サンジェルマン「大人しく投降しろ。素直にアダムスフィアを返還するならば、命まではとるまい」

 

錬金術師「ここまで来て…渡してなるものかよぉ!」

 

 錬金術師はアルカノイズを出した。

 

カリオストロ「アルカノイズ?ちょっと大盤振る舞い過ぎじゃないの!?」

 

プレラーティ「往生際が悪すぎるワケダ」

 

錬金術師「ふははっ!いかに幹部とはいえ、この物量!流石に対処できまい!」

 

プレラーティ「どこまでも見くびってくれるワケダね!」

 

カリオストロ「せっかく助けてあげるって言ったのに、イケズねぇ」

 

サンジェルマン「いいだろう。そちらがそのつもりならば、実力をもって奪還させてもらおう!」

 

 そして、サンジェルマン達はアルカノイズを全滅させ、錬金術師を追い詰めた。

 

錬金術師「ぐあああっ!」

 

サンジェルマン「今度こそ大人しく観念するがいい」

 

錬金術師「ひいっ!?こ、この化け物共め!」

 

カリオストロ「失礼しちゃうわ。こんな可憐な乙女に向かって」

 

プレラーティ「だが元は男なワケダ」

 

カリオストロ「ひどーい。お互い過去の事は言いっこなしでしょ?」

 

錬金術師「捕まってたまるか!」

 

 錬金術師はテレポートジェムで逃走した。

 

サンジェルマン「なっ!?」

 

カリオストロ「あーん、また逃げられちゃったの!?」

 

プレラーティ「問答無用で止めを刺しておかないからこうなるワケダ」

 

サンジェルマン「プレラーティ、奴等の転送場所を探ってちょうだい」

 

プレラーティ「しばし待て!アダムスフィアの反応を辿って」

 

 ところが、ヘリの音がした。

 

カリオストロ「ちょっと待って。何か来るわよ」

 

サンジェルマン「この音は…ヘリか!」

 

???「待ちやがれ!」

 

 そこへ奏が到着した。

 

奏「なんてひどい有様だ……。…お前達、もしかして錬金術師か?」

 

サンジェルマン「いかにも」

 

奏「やっぱりか。ブラックアウト事件だけじゃまだ足りないっていうのかよ!?」

 

カリオストロ「ブラックアウト事件?何それ?」

 

プレラーティ「アリシアの起こした事件というワケダ」

 

カリオストロ「ああ…その事ね」

 

奏「あの事件で世界中にどれだけ被害が出たと思ってるんだ!?」

 

カリオストロ「何よ、あーしらは」

 

サンジェルマン「いい、カリオストロ。我々にも相応の責はある」

 

カリオストロ「でも…」

 

奏「何をごちゃごちゃ言ってる!?」

 

サンジェルマン「ブラックアウト事件とやらも、この事態も、全て我らの責任……と、そう言ったら?」

 

奏「当然、野放しにはできないな!」

 

 奏はサンジェルマンと交戦した。

 

奏「これでも食らいなあーっ!」

 

 攻撃を仕掛けた奏だが、サンジェルマンに防がれた。

 

サンジェルマン「ふん、シンフォギアか…。大した力もない、過去の遺物ね」

 

奏「言ってくれるな。それなら…こいつはどうだーっ!」

 

 出し惜しみできる相手ではないと判断した奏はブリーシンガメンを起動させた。

 

プレラーティ「気を付けろ。この反応…ブリーシンガメンかっ!?」

 

カリオストロ「それってベルゲルミルのおしりペンペンしたって奴?流石にちょっとヤバくない?」

 

サンジェルマン「流石に分が悪いか」

 

奏「何だ、今更怖気づいたのか?」

 

サンジェルマン「何とでもいうがいい。プレラーティ、連中の逃走先は?」

 

プレラーティ「残念だが、見失った…」

 

カリオストロ「あーんもう、あんたのせいで台無しじゃない」

 

奏「何を言ってるんだ?」

 

サンジェルマン「仕方ないわ。出直すとしましょう」

 

奏「待て、逃げるのか!?」

 

サンジェルマン「最後の警告しておこう。これ以上我らに干渉するな、シンフォギアの装者よ。もし次も邪魔立てするならば…その時は容赦はしない」

 

奏「そいつはこっちのセリフだ!」

 

サンジェルマン「ふん…」

 

プレラーティ「やれやれ、出直しというワケダね」

 

カリオストロ「ああん、待ってよ、2人とも!」

 

 サンジェルマン達はテレポートジェムでその場から消えた。

 

奏「何だってんだ?偉そうに…」

 

 愚痴る中、通信が入った。

 

奏「どうした、ダンナ!?」

 

弦十郎『奏!別の地点に新たなアルカノイズの反応を検知した!至急そちらへ向かってくれ!』

 

奏「くそ、次から次へと!」

 

 

 

 

 その頃、逃走した錬金術師は森で仲間と合流していた。

 

錬金術師B「おお、無事だったか」

 

錬金術師A「何とかな。だが幹部たちに捕捉された」

 

錬金術師B「まさか日本まで追ってくるとはな…。それで、例の物は?」

 

錬金術師A「無事だ。ここにある」

 

 錬金術師はアダムスフィアを見せた。

 

錬金術師B「ならばよい。ここのアジトは放棄する。早く離れるとしよう」

 

錬金術師A「そのアルカノイズは?」

 

錬金術師B「先日同様、伏兵としておいておく。少しは時間稼ぎになるだろう」

 

錬金術師A「だといいのだが…」

 

 ところが、ヘリの音という想定外の事態が発生した。

 

錬金術師A「しまった、追跡されたか!?」

 

錬金術師B「いや、待て。サンジェルマン達ではないようだ」

 

 そして、奏が到着した。

 

奏「反応の発信源はここか!?」

 

錬金術師A「何だ、お前は!?」

 

錬金術師B「こいつは確か…シンフォギア装者の!?」

 

錬金術師A「アリシア・バーンスタインとベルゲルミルを倒したという?」

 

奏「はっ、あたしも随分と有名になったみたいだな。しかしアリシアの事を知ってるって事は、お前らもさっきの錬金術師の仲間ってわけか」

 

錬金術師A「あんな腑抜け共と一緒にしないでもらいたいものだな」

 

奏「どういう事だ?」

 

錬金術師B「お前が知る必要はない!さぁ、こいつを殺れ!」

 

 指示と共にアルカノイズが襲い掛かってきた。

 

奏「アルカノイズか。そう簡単にやられてたまるかっての!」

 

 最早、アルカノイズでは奏に歯が立たず、アルカノイズは全滅した。

 

錬金術師A「な…たった一人にあれだけの数のアルカノイズが殲滅させられただと!?聖闘士でもないのに、なぜあれほどの力を!?」

 

奏「まあ、少しは手古摺らせてくれたけどな。だが、後はお前らだけだ!」

 

錬金術師B「おのれ、シンフォギア装者め!」

 

奏「大人しく一緒に来てもらう。お前達の計画を吐いてもらうためにな」

 

錬金術師A「むざむざ捕まるものか!」

 

 錬金術師は奏に攻撃を仕掛けた。

 

奏「往生際が悪い奴等だな!」

 

 錬金術師の攻撃をかわし、反撃で奏は槍の柄の部分を錬金術師にぶつけた。

 

錬金術師A「ぐああああっ!」

 

 柄の部分をぶつけた際、奏は錬金術師に傷がある事に気付いた。

 

奏「(ん?なんだこいつ、最初から傷を?)」

 

錬金術師B「しっかりしろ!」

 

錬金術師A「ぐっ…す、すまん」

 

錬金術師B「この借りは覚えておくぞ、シンフォギア装者め!」

 

 捨て台詞を吐いて錬金術師達は逃走した。

 

奏「ちょ、待て!」

 

 とりあえず、奏は連絡を入れる事にした。

 

奏「弦十郎のダンナ、すまない。錬金術師は逃がしちまった」

 

弦十郎『やむを得んな。だが周辺のアルカノイズの反応は全て消えたようだ。速やかに帰投してくれ』

 

奏「ああ、わかった」

 

 奏は通信を切った。

 

奏「しかし…。こんな森の中で何がしたかったんだ、あの連中?……ん?」

 

 考えていると、奏はアダムスフィアを見つけた。

 

奏「何だ、この玉っころ?奴等が落としたのか……?何だかわからないが、とにかく持って帰るとするか…」

 

 そのまま奏は帰投したが、一部始終を杳馬に見られていた。

 

杳馬「ふっふ~ん、戦いの匂いがプンプンしてるねえ!戦いの種をバラ撒けば、もっとカオスな展開になるかも!それにしても、現代の冥闘士は結界がなきゃタイマンだと黄金にボロ負けするほど情けなくて弱っちい連中ばかりみたいだったな。けど…俺が元々いた世界から蘇らせ、呼び寄せた冥闘士はそうはいかねえけどな…」

 

 杳馬が言う冥闘士は杳馬の傍におり、スキンヘッドに禍々しい冥衣、鍛え上げられた肉体が特徴の男がいた。

 

杳馬「さあ、これからどうなるのかなぁ?仮に星矢とパルティータちゃんに並行世界の黄金が来たとしても、俺やダンナがいる以上、簡単には事態を収束させる事なんてできねえぜ」




これで今回の話は終わりです。
今回は奏が生き残った世界でサンジェルマン達の登場と冒頭のパルティータが並行世界のシャカと息子の星矢と共に並行世界へ向かう決意をするのを描きました。
話の最後に杳馬がまたしても出てきましたが、今回はロストキャンバス外伝に出たある冥闘士が出てきます。その冥闘士はスキンヘッドという特徴で何者かわかるはずです。
次の話はアダムスフィアを巡り、混戦になります。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。