セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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172話 真誠デヴァステイター

時女の集落

 

 清十郎達時女一族はこのままでは竜姫達がいる世界で孤立する響達を自分達の集落に避難させるため、デュプリケーターで元の世界へ帰ってきた。

 

翼「時女の母様、敵から逃げるためだったとはいえ、ご迷惑を」

 

静香の母「いいのよ。この前は静香がお世話になったんだから、お互い様よ」

 

クリス「それにしても、ここは本当にタイムスリップしたかのような場所だな…」

 

ちはる「私も初めて来たときは驚いたけど、ここは空気がおいしくて川の水も綺麗だし、すっごい秘境なんだよ!」

 

すなお「ここは山奥で仮に竜姫がこの世界に来たとしても、よほどの事がない限りこの集落は見つけられないでしょう」

 

ちはるの母「だから、ゆっくり休みなさい」

 

翼「そうさせていただきます…」

 

 翼達は時女の集落で休む事となった。そして翌日…。

 

響「んんっ、ふあ~~~っ」

 

翼「起きたようだな、立花」

 

響「ここは…?」

 

 そこへ、静香達が来た。

 

静香「ここは、私達時女一族が暮らしている集落よ」

 

響「時女一族の集落って…」

 

清十郎「あの世界に留まったままだと、孤立して休みようがなかったからな。デュプリケーターを使い、俺達の世界にある集落で休ませる事にしたのさ」

 

翼「フォニックゲイン由来でないエネルギーを奪い取り、無理矢理に制御しようとしたのだから無理もない」

 

クリス「一応、パルティータの治療のお陰で十分休めばいいだけになったけどな」

 

響「それでも、私より友達の方が…」

 

翼「それについては、パルティータ女医が二課の医療スタッフに変装して治療を行うそうだ。後はあの人と友達を信じよう」

 

響「パルティータさん、残って治療を行ってくれるんだ…」

 

クリス「それに、あいつの変装はかなりレベルが高いからな。簡単にバレはしないだろうさ」

 

すなお「とりあえず、今はゆっくり休んでこれからの事を考えましょう」

 

 

 

潜水艦

 

 同じ頃、弓美達は潜水艦に来た。

 

詩織「言われるがままについてきたわけですが……」

 

弓美「まさか、こんなところにこんな施設があったなんて…」

 

エンブリヲ「医療スタッフから連絡が来たよ。君達の友人の創世君は大丈夫だってね」

 

弓美「よかった…、本当によかった……」

 

詩織「私達より先に現場へ行き、手当をしてくださった医療スタッフの人には感謝の言葉しかありません…」

 

エンブリヲ「(まぁ、最初からデヴァステイターは制御できないと予想はしていたけどね。これを逆手に取る事も可能だ…)」

 

 エンブリヲは最初から竜姫はデヴァステイターを制御できないという予想をしており、それを逆手に取った策も考えていた。

 

エンブリヲ「君達の友達は救えたが、お父様を始めとした多くの人を失ってしまった…」

 

弓美「あたし、もっと強くなりたい!強くなって、ボロボロにされた友達の仇を取りたいんだ!」

 

詩織「友達だけではありません!原型を留めないほどにまでして殺されたおじいさんを始めとする、二課職員の方々の仇も!」

 

弓美「だけど、今のあたしは弱くて…あいつらがどこに消えたのかも全然わからなくて…」

 

エンブリヲ「そこについては、できる限り協力しよう」

 

 一方、潜水艦に潜んでいた残り2人となった七支刀の内の1人はエンブリヲのやり方に不満を抱き、元の世界へ戻った清十郎らを追うためにエンブリヲのデュプリケーターを奪おうとしていた。

 

七支刀「(せっかく収集したシンフォギアのデータをまともに扱おうともしないエンブリヲにはついていけない…。あの男を殺して、訃堂様の悲願を…)」

 

???「全く、君達は人の言う事も聞けないのかい?」

 

 勝手に自分が使うデュプリケーターを盗もうとした事にエンブリヲは不機嫌になっていた。

 

七支刀「エンブリヲ!もう貴様に従うのは懲り懲りだ!」

 

エンブリヲ「そこまで私に従うのを拒むとは。訃堂の開発した防人兵器はとんだ欠陥品だ。兵器として新しい主人である私に黙って従えばいいものを」

 

七支刀「元はと言えば、全てお前が悪いんだ!お前がもっとしっかりしていれば、シンフォギア装者を孤立させる事ができたというのに!この最低最悪の夷荻がぁあああっ!!」

 

 七支刀はエンブリヲに襲い掛かったが、エンブリヲの眼力で服を脱がされ、全裸になってしまった。全裸にされて判明した正体は、仰陽館女学院の生徒であるはずの護摩堂であった。裸にされた護摩堂は思わず胸を隠した。

 

エンブリヲ「人形の分際で裸を恥ずかしがるなんて、兵器らしくないよ。」

 

護摩堂「だ、黙れっ!!」

 

 さらに護摩堂を辱めるべく、エンブリヲは感度3000倍で苦しめた。

 

護摩堂「あんっ、いやああああっ!!」

 

エンブリヲ「ここまでいう事を聞かないのであれば、私にも考えがあるよ」

 

 そう言って、エンブリヲは護摩堂を連れてどこかへ行った。弓美と詩織は創世の様子を見に行った。

 

医療スタッフ「容体の方は安定しているわよ」

 

弓美「あの時、あたしがデヴァステイターを起動させていたら、こんな気持ちにならずに済んだのかな?」

 

詩織「…あの時、弓美さんがデヴァステイターを起動させていたら、創世さんがそんな気持ちになったのではないでしょうか?」

 

弓美「!?」

 

詩織「どっちが正しかったなんて、きっとないと思います。あるとしたら、それは…」

 

弓美「…どっちも間違ってた?」

 

詩織「……」

 

弓美「わからない、わからないよ…。みんなの明日を救えるヒーローになるには、どうしたら…」

 

詩織「わからないのはそれだけではありません。私達に託された、この身を竜の鱗と鎧うブレスレット…メックヴァラヌスとは本当に、みんなの明日を救える力なのでしょうか……」

 

医療スタッフ「そこについては、頭を冷やしてよく悩み、考えてみるのよ。仰陽館女学院校舎が崩壊した時は色々と気が動転してしまったのも無理はないけど、敵も見つからない今なら、色々と情報の整理ができるはずよ」 

 

弓美「頭を冷やして、考える……」

 

 校舎崩壊時にも静香に言われたが、その時は頭に血が上っていて聞き入れられなかったが、今は医療スタッフに変装しているパルティータの助言通りに考えてみる事にした。

 

 

 

???

 

 防人兵器、七支刀の1人であった護摩堂は全裸のままある場所へエンブリヲによって連れて行かれた。

 

護摩堂「わ、私をここに連れてきて何をする気だ?」

 

エンブリヲ「決まっているだろう、私に反抗的な兵器である君も最終的には私の役に立つのだからね」

 

護摩堂「役に立つ?一体、どういう…」

 

 護摩堂は自分を見つめる視線を感じて振り向くと、エンブリヲの背後にヤマタノオロチがいた。

 

護摩堂「ヤ、ヤマタノオロチ……!」

 

エンブリヲ「さぁ、役に立ってもらうよ。そして、先に旅立った仲間達がお待ちかねだ」

 

護摩堂「や、やめて…!訃堂様、助けて!訃堂様ぁあああああああっ!!!」

 

 悲鳴の後、そこに護摩堂の姿はなかった。

 

エンブリヲ「(無理に竜姫を並行世界に行かせても竜姫達では装者と魔法少女がどこにいるのかわからない以上、向こうから来るのを待つ方が得策だね。もっとも、彼女達は行きたがるだろうけど…)」

 

 エンブリヲは姿を消した。

 

 

 

潜水艦

 

 弓美と詩織はシミュレータルームに来た。

 

弓美「ここにもシミュレータルームが…」

 

詩織「特異災害対策機動部二課でもありませんのに、こんな施設、こんな設備、こんな技術の塊が…」

 

 そこへ、通信が入った。

 

エンブリヲ『準備はできているようだね。これより、再調整したメックヴァラヌスの稼働実験を行う。データから構築した仮想敵を相手にどれほどの性能か確かめるんだ』

 

弓美「性能を確かめる…。そうだ、竜姫の限界は、まだまだこんなもんじゃないんだ!」

 

 そして、データから構築したノイズを倒し終わった。

 

弓美「メックヴァラヌスの動きが…軽い。それに出力だって、ずっと上がっている……」

 

詩織「その分の反動があって然るべきですが……」

 

エンブリヲ『今回の調整はトータルバランスの向上を重点的にしている。特に使用可能にしたDモジュールと先に組み込んだ歌を力へと変えるシステム…FG式コンバーターを連結させる事で、Dモジュールを安定化させる事が最大の目的なのだよ』

 

弓美「Dモジュール…。デヴァステイターの安定化を?」

 

詩織「そんな事が可能でしょうか?」

 

エンブリヲ『理論上では可能だけど、そう簡単にはいかないのが現実だよ(ふふふ…、本当は制御なんてできやしないんだよ)』

 

弓美「やっぱり、現実は厳しいんだ…」

 

詩織「そうですね…。Dモジュールを制御するのは厳しい状況ですから…」

 

エンブリヲ『だけど、歌があればDモジュールの制御だけでなく、メックヴァラヌスの基本スペックの向上も見込める。こっちも引き続き調査を進めよう。稼働実験はここまでにして、君達はシャワールームで汗を流したまえ』

 

 魔法少女の並行世界へ逃げ込んだために装者達の行方がわからない事に弓美は不満だった。一方、医療スタッフに変装しているパルティータは独自に調査をしていた。

 

医療スタッフ「(どんな攻撃を受けてもすぐに元通りに復活するヤマタノオロチ…。一体、どういう原理で復活しているの?)」

 

 今、持っている情報では特定できないがため、パルティータはある場所へ情報を送った。

 

医療スタッフ「とりあえず、そちらの方でもヤマタノオロチの不死身のからくりについて調べて。私の方でも何かないか調べるから」

 

 色々とデータベースを調べ上げるパルティータであった。

 

 

 

時女の集落

 

 時女の集落では、大自然に囲まれた秘境の中で響達は食事をとり、ゆっくり休んでいた。

 

クリス「ふぅ、こんな場所にいると戦いを忘れちまうほど心が落ち着くぞ」

 

住人A「そうだろう。こんな集落なんて、今の日本には数えるほどしか残ってないだろうな」

 

響「翼さんと調ちゃんもこの集落で10日近くも過ごしてたんですよね?」

 

翼「ああ。私達の世界にもあれば、休暇で過ごしたいぐらいの場所だ」

 

住人B「そこまで気に入ってくれて、何よりだ」

 

 すると、清十郎達が来た。

 

翼「どうしましたか?」

 

清十郎「お前達の世界に行って、無事を報告してきた」

 

クリス「そういや、お前達はデュプリケーターとかいうカギみたいなもんであたしらのピンチに駆け付け、この世界に避難させてくれたんだよな。それを渡したのは…」

 

ちはる「シルクハットとモノクルが特徴のおじさんだったよ。におったから、怪しいと思ったけど…」

 

翼「(シルクハット…?もしかすると杳馬が…?奴は事態の混乱を望んでいるから、一番あり得るが……)」

 

すなお「渡した後、あの人は姿を消したきりです」

 

静香「あの人の正体を突き止めるより、今は竜姫を説得してエンブリヲを倒すのが先よ」

 

清十郎「その通りだ。奴とヤマタノオロチをどうにかしなければ、あっちの世界は大変な事になるのだからな。最悪の場合は、あらゆる並行世界に現れて破壊活動をしかねない」

 

ちはる「だったら、竜姫のいる世界に行かないと!」

 

 響達は弓美達竜姫のいる世界へ移動した。

 

 

 

潜水艦

 

 エンブリヲの予想通り、装者達の方からやってきた。

 

エンブリヲ「やはり、向こうから来たか。魔法少女相手だと雑魚にしかならないが、アングィスマシリアスを出すとしよう」

 

 エンブリヲの予想よりも早くシャワーを浴び終わった弓美と詩織が入ってきた。

 

弓美「何で大二さんがあの怪物を…」

 

詩織「アングィスマシリアスを操っているのでしょうか!?」

 

エンブリヲ「シャワーを浴び終わるのは早かったみたいだね。理由は簡単だよ、操っている奴を徹底的に拷問して配下にし、戦力にしたのさ。メックヴァラヌス強化のデータ収集も兼ねてね」

 

詩織「メックヴァラヌスの、ですか?」

 

弓美「どういう事!?あの怪物は、いったい…」

 

エンブリヲ「ゾロアスター教に伝わる蛇竜アジ・ダハーカの化石から培養された兵器。メックヴァラヌスとはいわば姉妹のようなものさ。ところが、君達が見た襲撃者に開発中のものを奪われてしまって、私が取り戻すために拷問したのだよ」

 

弓美「メックヴァラヌスと」

 

詩織「姉妹とおっしゃったのですか?」

 

エンブリヲ「竜姫がその身に纏うのは、アジ・ダハーカのメックヴァラヌス。その原型を三等分して扱えるようにした負荷低減モデルだよ」

 

弓美「あの怪物と、あたし達は同じ…」

 

エンブリヲ「さっきも言ったけど、開発中のものを襲撃者に奪われてしまったんだ。今はお父様の信念を受け継いでシンフォギア装者とその助っ人を排除するために使っているところだよ」

 

弓美「…本当に?」

 

エンブリヲ「本当だよ。奴等に殺された今は亡きお父様に誓おう」

 

詩織「(…仮に、今の言葉に嘘はなかったとしても…大二さんはどこかに嘘をついているような…。特に、おじいさんへの愛情がまるで感じられない…。後、二課本部が襲われたあの日…)」

 

 詩織は二課本部が襲われた日の事を思い出していた。

 

詩織「(おじいさんを装者の助っ人に殺させて、竜姫と装者が戦わざるを得ない状況を作り出すために…Dモジュールを使わざるを得ない状況を作り出すために…。あの人は私達でメックヴァラヌスの人体実験をし、何かを企んでいるの…?)」

 

 実際は人体実験どころか、Dモジュールを使わせた後でヤマタノオロチの餌にする事であった。

 

詩織「手首のブレスレット…ドラゴンブレスには、一体どれだけの…」

 

 戦闘では、シンフォギア対策が通じない魔法少女とその師匠がいるため、無差別攻撃をしてもあっという間に全滅した。

 

弓美「助っ人達は何て強さなの……?」

 

詩織「(装者と助っ人の皆さんが阻止してくれたとはいえ、怪物の無差別攻撃はひどすぎます…)」

 

エンブリヲ「やれやれ、助っ人達の力は未知の力である以上、アングィスマシリアスでは無理か…」

 

弓美「だったら、あたし達が行くよ!」

 

エンブリヲ「君達が行くのかい?」

 

 

 

市街地

 

 フォニックゲイン由来の力でないため、静香達魔法少女とその師匠の清十郎の前ではアングィスマシリアスは雑魚に過ぎなかった。

 

ちはる「今度は私達が翼さん達に代わって大活躍だね!」

 

すなお「ええ。あんな怪物を放っておくと、被害が大きくなります」

 

翼「済まない、フォニックゲインを吸収するタイプの相手を押し付けてしまって…」

 

静香「いいんです。翼さん達では不利な相手は私達だと有利になれる可能性があったから、引き受けたのですから」

 

清十郎「お前ら、まだ終わりじゃねえぞ!」

 

響「えっ!?」

 

 ヘリの音がした。

 

クリス「…ローター音?ヘリで出張って来やがったか!?」

 

 ヘリから弓美と詩織がメックヴァラヌスを装備して降りてきた。

 

響「板場さん…、寺島さん……」

 

弓美「友達を酷い目に遭わせたんだ…。このまま何事もなく帰れるなんて思わないでよ…」

 

響「誤解だよ!それより安藤さんは、安藤さんの容態は…」

 

弓美「あたしの友達を口にするな!」

 

静香「響はあなた達の友達を心から心配しているのよ!それをわからずに踏み躙る気!?」

 

響「静香ちゃん…」

 

弓美「助っ人が口を挟むな!バージョンアップしたメックヴァラヌスのお披露目だ…。ここでブチのめされていきな、シンフォギアと助っ人ぉおおおっ!!」

 

 2人は戦いを挑んだものの、師の清十郎の指導でさらに実力をつけ、気持ちも落ち着いている時女一族の魔法少女達には歯が立たなかった。

 

弓美「ぐっ!」

 

詩織「きゃああっ!」

 

ちはる「あの子達、この前より強くなってる!」

 

すなお「ですが、そんな我武者羅で無理筋極まる戦い方では私達に勝てませんよ!」

 

 弓美はある決断をした。

 

弓美「代行や…、みんなの仇をとるために」

 

響「代行さんも!?」

 

翼「この気迫、まさか!?」

 

クリス「デヴァステイターを!?」

 

弓美「あたしはも、迷わない!怖がらない!誰もが泣かない明日のために!咆哮!」

 

響「や・め・ろおおおおおっ!!」

 

 デヴァステイターを使わせないため、響は弓美を殴り飛ばした。

 

弓美「きゃああああっ!!」

 

詩織「弓美さん!」

 

翼「立花!」

 

クリス「あいつ、デヴァステイターの起動を止めるために!?」

 

響「(それでも私は、勢いのままに友達を……)」

 

 戦いの様子をエンブリヲは誰も見えない所から見ていた。

 

エンブリヲ「これでもダメなようだね。さて、竜姫達を餌にするとしよう」

 

 邪悪な笑みを浮かべ、エンブリヲは懐からスイッチを取り出し、スイッチを押した。殴られた弓美は立ち上がった。

 

弓美「ぐっ…。なんで、シンフォギアなんかに…。チクショ~~~~ッ!!シンフォギアめ!!」

 

詩織「弓美さん、ここは」

 

 まだ戦おうとする弓美だったが、詩織と共に異変が起こった。

 

弓美「ぐっ、ああああああっ!!」

 

詩織「きゃああああっ!!」

 

ちはる「今度は何が起こるの!?」

 

清十郎「まずい!デヴァステイターが起動している!」

 

 急いで清十郎は刀を抜き、持ち前のスピードで弓美と詩織が怪物に変貌する前にドラゴンブレスを叩き斬ってデヴァステイターを停止させた。

 

弓美「チク……、ショウ……!」

 

 清十郎によってすぐにドラゴンブレスを破壊された事で怪物化せずに済んだものの、弓美と詩織は急激なエネルギーの上昇に耐え切れず、倒れた。

 

静香「デヴァステイターが勝手に起動したなんて…」

 

清十郎「長居しても何にもならんから、俺達の世界に帰るぞ。この事については集落に帰ってから話し合おう」

 

響「板場さん…」

 

すなお「響さん、2人の事はパルティータさんにお任せして私達は戻りましょう」

 

 響達は魔法少女の世界へ戻る事にした。その後、パルティータが駆け付けた。

 

医療スタッフ「さて、あの子達の治療を行わないと」

 

 パルティータは気を失った弓美と詩織を運んだ。

 

エンブリヲ「また妨害が入ったか。まぁいい、次にすればいいからね」

 

 次があるために焦りもせず、エンブリヲは去っていった。

 

 

 

潜水艦

 

 メディカルルームで弓美と詩織は目を覚ました。

 

弓美「ここは!?」

 

医療スタッフ「メディカルルームよ。あなた達は突然デヴァステイターが起動したせいで倒れたのよ。でも、休めばすぐに戦闘は可能よ」

 

詩織「そうですか…」

 

医療スタッフ「だけど、あなた達が怪物になる前にシンフォギア装者の助っ人がドラゴンブレスを破壊した事で事なきを得たみたいよ。もしも怪物化していたら、取り返しのつかない事態に陥っていた可能性もあり得たわ」

 

弓美「助っ人!?おじいちゃんを殺したあの極悪マッチョが!?」

 

医療スタッフ「あなた達からしたら、風鳴訃堂は気さくなおじいちゃんかも知れないけど、それとは別の裏の顔もあるかも知れないわ。風鳴訃堂について、調べてみたらどうかしら?」

 

弓美「調べてみたらって…」

 

医療スタッフ「色々調べてみたら、あなた達がまた知らない色んな事情や経緯がわかるはずよ。そうしたら、大二司令やあの助っ人への見方も変わるかも知れない」

 

弓美「そんな事って…」

 

医療スタッフ「調べ上げる事については、私も協力するわ。だから、あなた達の方で調べてごらんなさい」

 

 まだ訃堂やエンブリヲの表の顔しか知らない弓美達にとって、裏の顔がある事自体が信じられなかった。

 

詩織「あの、メックヴァラヌスのデヴァステイターが勝手に起動した事については…」

 

医療スタッフ「原因はスタッフが修理しながら調査しているところだけど、どうも不具合とは思えないのよ」

 

詩織「不具合じゃない…?」

 

 一方、最後の七支刀はエンブリヲと話していた。

 

七支刀「あの助っ人が使う最終奥義の破り方がわかったのですか?」

 

エンブリヲ「ああ。あのマッチョが訃堂を殺す時の動きをカメラで見たのだが、どうやら左足を踏み出すのが特徴のようだ」

 

七支刀「とすれば、左足に注意していれば、その最終奥義の発動を察知できるというのですね?」

 

エンブリヲ「そうだろう。それができれば、君はシンフォギアの助っ人達に勝てる」

 

七支刀「あの邪魔者はシンフォギアを超える厄介者ですから…」

 

 

 

時女の集落

 

 響達は突然、竜姫達のデヴァステイターが起動した原因について、話し合っていた。

 

ちはる「響ちゃん、落ち込んでいるよ…」

 

すなお「デヴァステイター起動を止めるためだったとはいえ、友達を殴ってしまった事を後悔しているのでしょう…」

 

翼「七井さんがメックヴァラヌスを破壊した事で最悪の事態は避けられたが、なぜデヴァステイターが勝手に起動したのか…」

 

クリス「勝手に起動してしまう不具合が生じたからじゃねーのか?」

 

清十郎「そいつは俺の考えとしてもあり得んな。第一、そんな欠陥があったらただちに直さなきゃならねえだろ。シンフォギアにそんな欠陥があったらお前らはどうする?」

 

クリス「…それだったら、使いたくねーよ…」

 

翼「結局、何が原因なのか…」

 

 悩み一同だったが…。

 

ちはる「こういう時は等々力耕一に聞いてみるんだよ」

 

クリス「は?」

 

翼「この世界で流行っているドラマの探偵だそうだ」

 

クリス「そのドラマの探偵がどーするんだ?」

 

ちはる「事件を解決する等々力さんの気持ちになって聞いてみるんだよ」

 

響「探偵さんの気持ちになって?」

 

クリス「お前、バカと同じぐらい頭がおかしいんじゃねーのか?」

 

ちはる「おかしいなんて失礼だよ!等々力さん、竜姫達のメックヴァラヌスに搭載されているデヴァステイターが勝手に起動したんですけど、何が原因なんですか?」

 

『機械の機能が勝手に起動するのは不具合以外にも色んなケースがある。機械を起動させる方法を色々と考えてみたまえ。そうすれば、起動した原因がわかるかも知れない』

 

ちはる「って、等々力さんは言ってるよ」

 

クリス「ってか、お前が自演してるだけじゃねーか!」

 

清十郎「確かにちはるの自演だが、違った視点で考える事もできるぞ」

 

翼「違った視点、か……」

 

 考えてみると、ある事に行きついた。

 

クリス「外部からの強制起動とか、あり得るか?」

 

清十郎「外部から…。それだ!外部からだったら、誰が起動させたのかを隠せば不具合や勝手に起動したのを装って確実な起動ができる!」

 

静香「そして、外部からメックヴァラヌスのデヴァステイターを起動させる事が可能な人物といえば……」

 

一同「エンブリヲだ(よ)!」

 

 自然と犯人はエンブリヲに行きついた。

 

清十郎「竜姫の世界のノイズについてはパルティータに任せるとして、ゆっくり休みながら翼達の元の世界と連絡を取り合った上で、今後の事を考えないとな」

 

 今はゆっくり休みつつ、元の世界と連絡を取り合って今後について考える事となった。

 

 

 

???

 

 そして、パルティータは医療スタッフを装いつつ、独自にヤマタノオロチやエンブリヲについて各国の政府関係者と連絡をとりながら調べていた。

 

パルティータ「ヤマタノオロチは何の前触れもなく現れ、大勢の人達を襲ったのね?」

 

中国政府高官「はい。我々は軍を派遣して応戦したものの、神出鬼没な上に圧倒的な火力と不死身ぶりの前に歯が立たなかった上、頼みの綱の反応兵器もヤマタノオロチには通じませんでした…」

 

ロシア政府高官「しかも、奴は人間を捕食する上に反日運動をすると必ずといっていいほど前触れもなしに現れるため、今となっては人々にとって恐怖の存在となって反日運動さえほとんど起こらなくなるほどで、まるで、我々は怪獣映画を見ているような気分でした…」

 

中国政府高官「そして、我々は多くの問題において、エンブリヲの要求を呑まざるを得ませんでした…」

 

パルティータ「被害の大きかった両国の他に被害を受けた国は?」

 

ロシア政府高官「まず、朝鮮半島二か国もヤマタノオロチによる政府機能完全破壊などの大きな被害を受けました。特に北朝鮮に至っては、エンブリヲがヤマタノオロチの力を見せつけるかの如く暴れさせ、農民や市民、兵士を始めとした多くの犠牲者を出した程です」

 

中国政府高官「しかも、将軍一家は核を使用してヤマタノオロチを倒そうとしましたが、結果は我々と同じでヤマタノオロチには通じず、逆に将軍一家や政府中枢の閣僚や軍司令官を皆殺しにされ、国は壊滅状態です。もっとも、エンブリヲは不甲斐ない日本政府に代わってヤマタノオロチを用いて色々な問題を解決し、被害者家族からは英雄として慕われています」

 

パルティータ「(あの男が英雄ねえ…)」

 

中国政府高官「ですが、我々はあの男は英雄とは程遠い男だと思います。ヤマタノオロチによって恩恵を受けているはずの日本政府からもあの男を排除しようとする動きが出ているぐらいなので、このままだとこの世界は奴の支配下になるのは間違いありません」

 

ロシア政府高官「我々も表向きは奴に屈してはいますが、本当は各国政府と提携し、いつでも奴を抹殺するための準備を企てています」

 

パルティータ「他に、被害に遭った国は?」

 

ロシア政府高官「他にはヨーロッパと中東諸国にアフリカ、南北アメリカがある程度被害を受けています」

 

パルティータ「何の前触れもなく現れる上、圧倒的な火力とどのような攻撃を受けてもすぐに元通りになる不死身ぶり…。世界のあちこちでヤマタノオロチの被害を受けていたなんて……」

 

中国政府高官「日本においては、ヤマタノオロチに関する情報はエンブリヲの存在共々、攻撃対象にされる事や不安を抱かせないために情報統制が敷かれ、知られていません」

 

ロシア政府高官「エンブリヲを倒した暁には、国連直属の特異災害対応チームを創設する予定です。日本についても、我々の国から竜姫候補を出したり、賠償金代わりとしてメックヴァラヌスの技術提供を行わせる見返りとして、常任理事国入り等を打診していきます」

 

中国政府高官「米国はエンブリヲに覇権を奪われて鼻息が荒いのですから、これくらいやらなければダメでしょう」

 

パルティータ「話に付き合ってくれてありがとうございます」

 

 政府高官らは通信を切った。

 

パルティータ「(まさか、S.O.N.Gのような組織をこの世界で創設する計画が持ち上がっているとはね…)」

 

 そう考えながら、パルティータはヤマタノオロチやエンブリヲの情報を集めていた。




これで今回の話は終わりです。
今回は生き残った七支刀の1人が護摩堂である事が判明したものの、反逆してエンブリヲから処罰を受けたのと、弓美と詩織のメックヴァラヌスのデヴァステイターが外部から強制起動させられ、清十郎によって破壊された事で事なきを得たのと、パルティータが竜姫達を真実に辿り着かせるようにしつつ、ヤマタノオロチの情報を集めているのを描きました。
今回、朝鮮半島二か国を滅ぼして世界のあちこちで暴れ回り、核兵器さえも効かない事が判明したヤマタノオロチですが、その不死身ぶりをどうにかする事が今後の課題となるでしょう。
防人兵器であった護摩堂がどうなったのかは想像はつくはずです。
次は装者と竜姫の激突になるとともに、魔法少女と最後の防人兵器との戦いにもなります。
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