セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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173話 少女兵装決戦

S.O.N.G潜水艦

 

 デュプリケーターを使ってこの世界に来た清十郎によって響達の無事を知らされた弦十郎達は安心していた。

 

弦十郎「まさか、ギャラルホルン以外に並行世界を渡る手段が本当にあったとはな」

 

沙織「ええ。響さん達を助けてくれた魔法少女の世界の七井清十郎さんとその弟子である時女一族の魔法少女には感謝の言葉しかありません」

 

弦十郎「いつもなら響君の仕事だが、今回は翼と調君が築き上げた絆のお陰だな」

 

調「今度は翼さん達が清十郎さん達にお世話になった」

 

星矢「それにしても、エンブリヲの野郎は今まで以上にとんでもない野郎だな」

 

切歌「そのエンブリヲという男、ドクター以上のトンデモデス…」

 

マリア「ええ。捨て駒にするどころか、暴走する機能を使わせてからヤマタノオロチの餌にするなんて…」

 

弦十郎「今後の予定については、向こうにいる時女一族と合わせる。それまではコンディションを整えておけ!」

 

装者一同「はい!」

 

弦十郎「(だが、時女一族にデュプリケーターを渡した張本人は間違いなく杳馬だ。あの男やエンブリヲが並行世界の行き来に使っているのは間違いなく、デュプリケーターだ!)」

 

 清十郎によってもたらされた二つのデュプリケーターを見て、弦十郎は杳馬の仕業だと断定した。

 

 

 

潜水艦

 

 翌日、竜姫の世界ではメックヴァラヌスの修復と改修が行われ、十分に休んだ弓美と詩織はその起動実験をしていた。

 

弓美「負けるものか!メックヴァラヌスは!シンフォギアなんかにいいいいいいっ!」

 

 怒りのまま、弓美はデータ上の響達を押していた。

 

弓美「あたし達は立ち止まるわけにはいかない!もっと強くなるために、全部を受け止めるために!」

 

 次に現れたノイズも倒した

 

弓美「…はぁっ、はあっ、はあっ!あの極悪マッチョにドラゴンブレスを破壊されたのを知った時はショックを受けたけど、一刀両断されただけで助かった…」

 

詩織「極悪マッチョに…破壊された…?」

 

弓美「壊されたでしょ?あのマッチョに。おまけに、あいつに壊されそうにもなったし…」

 

詩織「あいつじゃなくて、響さんです。それに、壊そうとしていたのでしょうか?響さんが殴ったのも、私達がデヴァステイターを使うのを止めようとして…。それに、おじいさんを殺したあの人がドラゴンブレスを破壊したのは」

 

弓美「……わかってる!」

 

詩織「わかってるなら!」

 

弓美「……この国を、この国に暮らす人々を守るために造られたのが、あたし達竜姫の纏うメックヴァラヌス…。だけどメックヴァラヌスは、怪物の力から生まれて…その力は、あたし達の友達にも牙を剥いて…」

 

詩織「牙を向いたのは、創世さんにだけではありません。先代の竜姫にも、恐らく他の誰かにも…。それに、死んだおじいさんや大二さんの裏の顔があるのかも気になって…」

 

弓美「……だったら、どうすればいいの?あたし達…」

 

 医療スタッフに化けたパルティータに言われた訃堂とエンブリヲの裏の顔があるのか気になり、迷う弓美と詩織であった。

 

 

 

市街地

 

 一方、市街地にはノイズが現れ、変装を解いたパルティータが応戦していた。

 

パルティータ「数は多いけど、私の敵じゃないわよ!」

 

 光速拳であっという間に蹴散らし、パルティータは姿を消した。

 

 

 

潜水艦

 

 光の如く現れ、光の如く消えていったパルティータにエンブリヲは感心していた。

 

エンブリヲ「光の如く現れ、光の如く蹴散らし、光の如く消える…。見事なものだよ。すぐにロストしてしまうほどの隠密ぶりは」

 

 ノイズがあっさり消えた事に弓美達が来た。

 

弓美「大二さん、ノイズは?」

 

エンブリヲ「闇音があっさり倒し、そのまま姿を消したよ」

 

詩織「戦闘が終わると捕捉すらできないなんて…」

 

弓美「凄すぎるよ、あの人は…」

 

 そこへ、医療スタッフが来た。

 

医療スタッフ「本当に闇音さんは凄いわね。素早く現れて素早く倒し、誰にも捕捉されないように素早く姿を消すなんて。まさに、あなたのいうヒーローの鑑じゃないかしら?」

 

弓美「そう、だね…(じゃあ、あたしのしている事は…)」

 

医療スタッフ「そして、2人に朗報よ。創世ちゃんの意識が戻ったって」

 

詩織「本当ですか!?」

 

エンブリヲ「(さて、次の決戦の時が頃合いかな…?)」

 

 

 

時女の集落

 

 夜中の集落で、響は夜空を見つめていた。

 

響「私は、この拳で…友達までも…」

 

 そこへ、静香の母や清十郎といった大人達が来た。

 

清十郎「響、お前は竜姫を殴った事について悩んでいるのか?」

 

響「はい…」

 

静香の母「危ない状況だったとはいえ、友達を殴ってしまったのね。私としては、そうしなければ最悪の事態になってたと思うわよ」

 

響「最悪の……」

 

 続いて、翼達も来た。

 

翼「立花、こんな夜中に何を夜空を見上げてる?」

 

 言葉はなかったが、どういった気持ちなのかはわかっていた。

 

翼「立花は顔に出やすいな」

 

響「翼さん…。私はまた、ぶん殴ってしまいました。何とかしないと思った瞬間、身体が勝手に動き出して…」

 

静香「あの子を殴った事で…」

 

響「きちんと話せば何とかなったのかも知れません。でも、その事に気付くのは、いつだって手遅れで…」

 

翼「……神殺しと呼ばれた立花は、次は神様にでもなるつもりなのか?」

 

響「え?」

 

翼「確かに最善の方法が他にあったのかも知れない。だが、瞬件の決断の連続に、正しさを選び続けられるのは…」

 

清十郎「そういった事はできやしねえ。状況、時間、手段、色々な要素が絡んでいるのだからな」

 

響「清十郎さんも?」

 

清十郎「俺だって両親や妹を喪い、色々な過ちを犯し、後悔している。だが、大切な事が一つある」

 

響「それは…?」

 

清十郎「過ちを気に病むな。ただ認めて、次への糧にしろ」

 

響「次への…糧……?」

 

クリス「清十郎の言う通り、過ぎ去った現実は何も変わらない」

 

響「クリスちゃん…清十郎さん…。それでも私は、そんな風に自分の間違いを肯定して、次への糧にできないよ…」

 

クリス「肯定じゃない。肯定する必要もない。だけどこうして受け止めて、考え続けるのが大切なんだ」

 

響「でも……」

 

クリス「だーかーらー、何様のつもりなんだ?このバカは!なじるのは構わないが、本当になじる事ができるのは、これまでに一度も過ちを犯してないものだけなんだよ!自分にその資格があるなんて、まさかのぼせあがってるんじゃないだろうな!?」

 

響「……」

 

クリス「間違いを誇るのは言語道断だが、それでも、間違った自分はちょっぴり誇ってやがれ!」

 

響「…え?…」

 

クリス「間違うとか、後悔をするって事は、少なくともこたえを出そうともがいていた自分がいるって証だ」

 

響「クリスちゃん…」

 

すなお「人は誰でも間違いを犯します」

 

ちはる「でも、それを気にしすぎると生きていけないよ!」

 

静香「色々な事があったからこそ、今の私達があるの!」

 

響「すなおちゃん、静香ちゃん、ちはるちゃん…」

 

クリス「あたしもそう、あの時のステファンに気付かされた」

 

響「…簡単に答えが出せなくても、悩み続ける事に意味があるのなら、私は…」

 

翼「(雪音は強い。強くなった。そして、立花も……。だが、私はどうだ…?自分の弱さを、誰かの弱さを、果たして…)」

 

静香「翼さん…?」

 

清十郎「お前ら、もう寝るぞ」

 

 響達はもう寝たのであった。

 

 

 

潜水艦

 

 弓美達は創世のところに来た。

 

詩織「創世さん!」

 

弓美「すぐに連絡をくれればよかったのに…」

 

創世「ははは、無茶言うなって。私、さっきまでひっくり返ってたんだから。でも…心配させてごめん。そして、心配してくれてありがとう」

 

詩織「ありがとうはこちらのセリフですわ」

 

弓美「躊躇したあたしの代わりにあんたが無茶してくれたから、こうしてまた、三人が一緒にいられるんだから!」

 

創世「…無茶…ああ、デヴァステイター!?そうだ、あの子は!?あの子達とマッチョは!?」

 

詩織「どうしたのですか?」

 

弓美「あの子達って…並行世界から来たっていう六人とマッチョ?」

 

創世「そう!」

 

詩織「この世界にはいませんわ」

 

弓美「Dモジュールで怪物の力に取り込まれたあんたを倒した後、別の並行世界へ逃げて…」

 

創世「違う!あの子達はあたしを倒したんじゃない!」

 

詩織「どういう事でしょうか?」

 

創世「私がこうして助かったのは…あの子の力、シンフォギアのお陰なんだよ!!」

 

弓美「え…?ちょ、ちょっとどういう事!?あんたまでそんな事を言い出すなんて!」

 

詩織「私達の見ていないところで、一体何があったのでしょうか?」

 

創世「う、うん。あの時、意識が朦朧としていたけど、これだけははっきりと覚えてるんだ…」

 

 

 

回想

 

 創世は怪物化した際、清十郎に峰打ちで遠くへ吹っ飛ばされた事、そして響が絶唱で助けた事を思い出していた。

 

創世『…うっ、こ、ここは…?私、頭の中が塗りつぶされて、何もかもがわからなくなって…』

 

 創世の目の前に怪物が現れた。

 

創世『怪物!?先代竜姫のなれの果て…?…違う、あれは…私の頭の中を塗りつぶそうとしている怪物の力…?さっきまであんなに大きかったのに、どうしてここまで小さくなって…。まさか、あの子が私を救おうとして…ここまで小さく殺いでくれたの?…戦わなきゃ…、私だって竜姫なんだ!救われるばかりでなく、この危機を自分で乗り越えなきゃ!』

 

 

 

 創世の語った事に弓美と詩織は衝撃を受けていた。

 

創世「意識を塗りつぶそうとメチャクチャに広がる力はとても大きくて…、きっと私1人では抗えなかった。だけど……」

 

弓美「……あの子、話をしようとしてたよね…。だけどあたしは、あの子が伸ばした手を振り払って…」

 

詩織「手を振り払ったのは弓美さんだけではありません…」

 

創世「燃え上がる校舎とお爺ちゃんが殺されるのを見てたら、余裕なんてなくて…でも、今ならわかる…痛いぐらいに……」

 

詩織「そう言えば、私達のメックヴァラヌスのデヴァステイターが勝手に起動した時も、あのマッチョさんが…」

 

創世「あの時も、テラジ達を救った時も、マッチョの人が殺す気だったら私達が気付く前に両断されて死んでたかも知れない…」

 

詩織「だとしたら、おじいさんを殺したあの人も…」

 

弓美「話せばきっとわかる事…。だけど、邪魔する雑音と不協和音は、あちこちに溢れてて…あたしはもう、アニメみたいなヒーローではいられない…。ヒーローでいられないあたし達は、もう…」

 

医療スタッフ「だったら、私が集めておいた訃堂と大二様、そしてあなた達を襲った大蛇の情報を見てみる?」

 

 パルティータが集めた情報を見た時、竜姫達に衝撃が走った。

 

詩織「そんな…」

 

創世「おじいちゃんがこんな事を…」

 

弓美「あのヤマタノオロチって大蛇、世界のあちこちで暴れていたなんて…!」

 

 そこへ、通信が入った。

 

エンブリヲ『竜姫のみんな、発令所に来てもらうよ』

 

 

 

時女の集落

 

 翌日、響達は状況の整理をしていた。

 

清十郎「戦いに行く前に状況の整理だ。俺達が救援に来た時、黒服共を殺していた訃堂のクソジジイが仰陽館女学院に現れたな?」

 

翼「はい」

 

静香「そして、風鳴訃堂を清十郎さんが殺した。その直後に来た竜姫達は見慣れない私達と訃堂が殺した人達と訃堂が清十郎さんに殺されるのを目の当たりにし、黒服の人達も私達が殺したと思い込んだ」

 

響「交わされるはずの言葉を遮るように燃え落ちた仰陽館女学院の校舎…」

 

クリス「そのすべてがエンブリヲによって仕組まれていたかどうかはわからないが、裏で糸を引く奴はあいつしかいねえ」

 

翼「ああ。そして、襲撃者も奴の配下とみて間違いないだろう」

 

清十郎「邪魔なクソジジイが竜姫達に慕われていたのを利用して解放し、俺達に殺させる。かなり陰湿な敵対のさせ方だ…」

 

ちはる「だったら、エンブリヲとその襲撃者を倒せば終わりだよ!」

 

清十郎「だが、簡単にはいかない。襲撃者はともかく、エンブリヲが使役するヤマタノオロチは不死身なのだからな」

 

すなお「不死身は厄介ですね…」

 

清十郎「だが、何かからくりがあるはず。それを突き止めれば倒せるはずだ。そして、俺はお前達を送った後、増援を呼んでくる」

 

響「お願いします!」

 

 響達は竜姫の世界へ移動した。

 

 

 

潜水艦

 

 装者達が来たのをエンブリヲは確認した。

 

エンブリヲ「来たか…」

 

 発令所へ竜姫達が来た。

 

詩織「大二さん、何かありましたか?」

 

エンブリヲ「再び装者達がこの世界に来た。今度は君達と決着を着けるつもりだよ」

 

創世「決着を着けるって……」

 

エンブリヲ「そのために、君達のメックヴァラヌスの性能を上げ、あのフォニックゲイン吸収機能を加えておいた」

 

弓美「あの大型のアングィスマシリアスの機能を?」

 

エンブリヲ「そうだよ。でも、装者の助っ人の力は歌由来ではないから吸収できない。これだけは覚えておいてほしい」

 

弓美「やっぱ、あの助っ人達の力は歌由来じゃないんだ…」

 

エンブリヲ「それと、新しいメックヴァラヌスのブレスは着けると簡単に外れなくなる上、反抗したりすると強制的にデヴァステイターが起動するようになっている」

 

創世「デヴァステイターの、強制起動…?」

 

詩織「(もしかすると、私と弓美さんのデヴァステイターを外部から強制起動させたのは……)」

 

エンブリヲ「そうだ。奴等に殺されたお父様の思想を反映したセキュリティだ。敵の手に渡るぐらいなら、共倒れという理念でね。さぁ、装者と助っ人達の戦いに臨むかい?」

 

弓美「(やっぱり、おじいちゃんの本当の人柄と思想はあの医療スタッフの人の情報通りだ…)」

 

創世「(だけど、この人はもっとドス黒い何かを腹に抱え込んでいるかも知れない……)」

 

詩織「……いいですわ、やりましょう」

 

創世「…テラジ!?」

 

弓美「あんた、自分で何言ってるのか、わかってるの!?」

 

詩織「もちろん、わかっていますわ。メックヴァラヌスとシンフォギアとその助っ人…戦って、どちらが強いのかを明らかにすればよいのですよね?」

 

エンブリヲ「そうだよ」

 

詩織「だとすれば言葉ではなく、行動で示してみせます」

 

弓美「…なんで、どうして…」

 

詩織「『どうして』ですって!?さっき弓美さんも言ってたじゃないですか。『あたしは、アニメみたいなヒーローではいられない』って」

 

弓美「!?」

 

詩織「ヒーローでいられないのなら、あとはもう、力を持つ者の行く末はこうなっていくしかありません」

 

 弓美と創世は沈黙した。

 

エンブリヲ「積極的だね。何を望んでいるのかい?」

 

詩織「竜姫が装者とその助っ人を倒した暁には、危険なドラゴンブレスの解除をお願いいたします。もちろんブレスの解除だけではありません。叶えたい望みなんて指で折れないくらいには…」

 

エンブリヲ「いいよ」

 

詩織「ありがとうございます、大二さん!」

 

エンブリヲ「ヘリの手配をしよう。戦いに行ってきたまえ」

 

詩織「皆さん、行きましょうか」

 

弓美「あんた、どういうつもり!?」

 

詩織「どういうつもりなのかを問い詰めたいのは、こちらですわ?状況が刻一刻と変わっているのに、いつまでも!」

 

弓美「あんた、本気でシンフォギアと助っ人を…(泣いて、いるの…?)」

 

詩織「いい加減、腹ァ括りなよ!板場、安藤!戦わなきゃ誰も、救えないのよ!」

 

 ドスのきいた怒声に弓美と創世は驚いた。

 

詩織「大二さん、ヘリの準備をお願いします。装者の近くに下ろしてくれれば、後は竜姫で!」

 

エンブリヲ「わかった」

 

 

 

市街地

 

 竜姫の世界に着いた響達はアングィスマシリアスの襲撃を受けていた。しかし、魔法少女には全く勝てなかったため、七支刀最後の1人が来た。

 

クリス「今度は襲撃者自らのお出ましか!」

 

七支刀「もう私も後がないのよ!ここで片づけてやる!」

 

静香「翼さん、あの敵は私達が戦うわ!」

 

すなお「なので、竜姫のところへ!」

 

翼「わかった。頼んだぞ!」

 

 アングィスマシリアスと七支刀の相手を静香たちに頼み、翼達は先へ進んだ。

 

ちはる「さぁ、私達時女一族がお前をお前の仲間達のようにコテンパンにやっつけてやるぞ!」

 

七支刀「ふざけるんじゃないわよ!!訃堂様の計画が丸つぶれになったのは、全てエンブリヲとお前らの仕業だ!!」

 

すなお「責任を擦り付けるなんて、見苦しいですわよ」

 

七支刀「こうなったら、本当の姿でお前らをぶっ殺す!!」

 

 エンブリヲにこき使われていた苛立ちが爆発し、襲撃者はアングィスマシリアスをさらに大きくしたような真の姿になった。

 

ちはる「仲間達のように正体を現したようだよ」

 

バリガー・ダハーカ「私はバリガー・ダハーカ!訃堂様によりアジ・ダハーカの化石から造られし防人兵器!お前らのような計画を狂わせた邪魔者は全てぶっ殺してやる!!」

 

すなお「どうやら、あなたを倒せば防人兵器とやらは全滅のようですね!」

 

静香「すなお、ちはる、最後の防人兵器を倒すわよ!」

 

 時女一族の魔法少女と訃堂が遺した防人兵器、並行世界を巻き込んではいるが、時女と風鳴の因縁の激突が始まった。一方、装者達の方は竜姫と対峙していた。

 

クリス「ついにおでましときたもんだ」

 

翼「竜姫、メックヴァラヌス…」

 

響「…みんな…。でも、よかった…どんな形であれ、安藤さんとまた、こうして…」

 

創世「うん、ありがとう。助けてくれたし、マッチョの人もユミとテラジを助けてくれたのはわかってる。だけどね…」

 

詩織「退くわけにはいかない、私達なのです」

 

響「もう一度、話をする事は…。戦うしかもう、どうしようもないのかな…。分かり合えないのかな…?」

 

弓美「わかってもらう必要がないからね。だって、竜姫を背負って戦う乙女心、最後の覚悟と決断はここに来るまでに済ませてきた」

 

響「…覚悟と、決断…。でも、私にだって譲れない願いは」

 

弓美「そうだよね。多分、本気で戦うって、きっとそういう事だもの」

 

創世「だから、誰にも口を挟ませない」

 

詩織「誰かに割って入られるなんて、たまらないですもの。幸い、助っ人の皆さんは別の所で戦っているようですね」

 

弓美「そろそろ始めようよ、シンフォギア。話をする前にぶん殴るってのが流儀なんでしょ?」

 

響「私の流儀は、ぶん殴ってでも話がしたいのと、いつか、そんな方法をとらずに済む方法を探し続ける事だ」

 

弓美「…あんたってば本当に、あたしがずっと憧れて、まるで手が届かなかったヒーローそのものなんだね。ありがとう。あたしはヒーローになれなかったけど、ここには確かにアニメみたいなヒーローがいるって信じられる。だから、あたしは!」

 

詩織と創世「私達は、もう」

 

弓美「飛び立つ事を怖れない!」

 

 弓美達はメックヴァラヌスを纏った。一方、バリガー・ダハーカの方は歌を力としない魔法少女にはシンフォギア対策であるフォニックゲイン吸収機能が使えず、静香達に押されていた。

 

バリガー・ダハーカ「くそっ!奴等は歌を力としないから力が全然漲ってこない!!」

 

ちはる「てりゃああああっ!!」

 

 ちはるとすなおと静香の連携、そしてとても相性が悪い魔法少女の猛攻にバリガー・ダハーカは力を出せずにフルボッコにされていた。

 

すなお「あなたの仲間と同じで、シンフォギア対策のフォニックゲイン吸収は私達魔法少女には全く通じないようですね」

 

バリガー・ダハーカ「おのれぇ!!」

 

 フォニックゲインが吸収できないために魔法少女の猛攻でエネルギーが減っていき、再生能力も鈍ってきた。

 

バリガー・ダハーカ「エネルギー消耗によって回復速度低下…」

 

静香「どうやら、ここまでのようね。これで終わらせるっ!」

 

 静香が抜刀術の構えをとり、左足を踏み出したのをバリガー・ダハーカは見た。

 

バリガー・ダハーカ「(左足!)」

 

静香「時女一心流最終奥義、龍閃天翔!!」

 

 龍閃天翔を繰り出したが、バリガー・ダハーカは左足を注意し、それを察知して龍閃天翔を止めてから弾いた。

 

バリガー・ダハーカ「破れたり、龍閃天翔!まずは、お前の腸を食い尽くして」

 

 龍閃天翔を破って反撃のチャンスだと思い込んだバリガー・ダハーカであったが、静香はおろか、ちはるとすなおでさえも最終奥義が破られたはずなのに何も動揺していなかった。そして、動揺していない理由はすぐに判明した。

 

バリガー・ダハーカ「(何だ、これは!?奴に吸い寄せられるだと!?)」

 

 最終奥義を破ったと思い込んでいたバリガー・ダハーカは静香、厳密には静香の前方の空間に吸い寄せられ、動きを封じられた。

 

静香「左足を見て、繰り出すのを察知してから防いで龍閃天翔を破ったと思い込んだようだけど、この最終奥義の特性を見破れていなかったようね!」

 

バリガー・ダハーカ「何だとォ!?」

 

静香「これこそが龍閃天翔最大の特徴、隙の生じぬ二段構えよ!!」

 

 静香はさらに踏み込み、一撃目よりもさらに強力な二撃目を放ち、バリガー・ダハーカに致命的なダメージを与えて破壊した。

 

バリガー・ダハーカ「ぐああああああっ!!」

 

 

 

回想

 

 集落での騒動が終わった後、静香達は清十郎から実際に龍閃天翔同士でぶつかる合うのもやり、最終奥義の特性について教えられていた。

 

静香「さっきの吸い寄せられるのは、何ですか?」

 

清十郎「天翔ける龍の牙をかわしたところで、吹き荒れる風によって体の自由を奪われ、爪によって引き裂かれる」

 

ちはる「吹き荒れる風って、さっきの…」

 

清十郎「1発目を防いだりかわしたりすると、あまりの威力に弾かれた空間が元に戻ろうとして敵は吸い寄せらせるのさ」

 

すなお「では、これこそが…」

 

清十郎「最終奥義、龍閃天翔は超神速の抜刀術。そして、裏奥義の抜刀術は隙を生じぬ二段構え!」

 

 

 

静香「(清十郎さん、あなたの指導のお陰で私達は前より強くなれました)」

 

バリガー・ダハーカ「兵器として生み出された私が人間の編み出した剣術に負けるなんて、あり得ないぃいいいいっ!!」

 

 目の前の現実を認められず、バリガー・ダハーカは倒されたのであった。その頃、装者と竜姫の戦いは続いていた。

 

弓美「(やっぱり強い…)」

 

響「(もう、弱いなんて言えない…)」

 

クリス「この強さ…飛躍的に上昇した力の秘密は一体!?」

 

詩織「歌を喰らうアングィスマシリアスの機能を私達のメックヴァラヌスに組み込んでもらいました」

 

翼「そんな暴挙を!?だが、そこに対応する術は」

 

創世「そっちが歌の力を引き下げれば、その瞬間をデヴァステイターにて狙い撃つ!」

 

クリス「!?…周到な二段構え…」

 

響「制御の難しい、危険なデヴァステイターで、そんな…。自分の命を犠牲にするような戦い方、どうして!?」

 

 

 

回想

 

 それは、戦う前の事であった。弓美達を下ろした後、ヘリは現場を離脱した。

 

創世「私達を移送してきたヘリがこの場を急速離脱…。まあ無理もないよね、竜姫と装者の激突を考えれば…」

 

弓美「あんた、さっきまでのは何!?態度の豹変、ううん、それよりもあの涙」

 

詩織「…静かにお願いします。大二司令はいつも前触れもなく現れるので、盗聴されてる恐れもあります」

 

 詩織がとった行動は意外なものだった。

 

創世「(筆談!?)」

 

詩織『さっきはごめんなさい。お芝居を打たせてもらいました。並行世界の私に、女優さんみたいな一面があったと聞きましたので。もしかしたら私にも?と思い、試してみました』

 

弓美と装者『ナイスです!』

 

弓美『でも、何で?』

 

詩織『これ以上の枷を付けられて、行動を制限される前にあの場を離れたかったのです。私達が知りうる情報、全ての真実を装者と助っ人の方々に伝え、この世界に横たわる壁や闇を吹っ飛ばしてもらうために!』

 

弓美『!?伝えるったって、この複雑な状況、一言二言じゃすまないよ!』

 

創世『そうこうしていると、いつデヴァステイターを起動させられるのか…』

 

詩織『それでも、私は覚悟の上でした』

 

弓美と創世『ナイスじゃないです!』

 

弓美『土壇場のあんたに度胸があるのはわかったけれど、ちょっとありすぎ、踏み込みすぎ!』

 

詩織『…ごめんなさい』

 

創世『こ、これ、マジで何とかならないのかな!?ドラゴンブレスさえ外れれば、またみんなと一緒に』

 

弓美「あっ!」

 

 慌てて2人は弓美の口を塞いだ。

 

弓美『もしかしたら、何とかできるかも知れない』

 

 

 

弓美「うおおおおおおおおっ!する、何とかする、してみせる!!だから本気でかかってこい、シンフォギア!」

 

クリス「くっ、こっちのフォニックゲインをさらに力と変えて!」

 

翼「これ以上、無力化などと悠長な事は」

 

響「それでも止める!知るもんかあああああああっ!!」

 

 両者の戦いは拮抗していた。

 

翼「バカな、拮抗!?」

 

クリス「こっちも出し惜しみしているわけじゃないんだぞ!?」

 

創世「待っていたのはこの瞬間!」

 

詩織「メックヴァラヌスに取り付けられたFG式コンバーターで、この場に膨れ上がったフォニックゲインを一気に」

 

弓美「そう、この力さえあれば!!あたし達だってデヴァステイターだって制御してみせる!」

 

竜姫達「咆哮!」

 

 弓美達はデヴァステイターを起動させた。

 

響「だとしてもおおおおおおっ!!!」

 

 変貌が終わる前に響は全力の攻撃を仕掛けた。

 

弓美「がはっ…」

 

響「それでも…、安藤さんと寺島さんを止められ…」

 

 2人の方は、翼とクリスが攻撃した。

 

響「翼さん…?クリスちゃん……?私に代わって、2人のデヴァステイターを!?」

 

クリス「こいつら、避けもしないで受け止めて…」

 

翼「まさか、デヴァステイターを呼び水に、こちらの全力攻撃を誘ったのか…?」

 

 全力攻撃の際にドラゴンブレスが破損し、装着が解除された。

 

創世「コアパーツが破損して、自動解除…?」

 

詩織「ブレスも、外れ落ちて…」

 

 3人娘は倒れてしまった。

 

響「ごめん、みんなーっ!!いつだって私は、ぶん殴る事しかできなくて…」

 

弓美「違うよ。ありがとう…」

 

響「え…?」

 

創世「気にしないで…。こうするしかなかったんだ……」

 

詩織「私達を縛り付けるメックヴァラヌス…。解放されるには壊すしかなかったのです…。ただ敗北するだけでは、仰陽館女学院の誰かが、次の竜姫に選抜されてしまいますから」

 

クリス「そのために…」

 

翼「自分の命を危険にさらして…」

 

弓美「あんたにぶっ飛ばされたあたしだから…あたし達を救ってくれるのは、きっとあんた達しか…」

 

創世「誰よりも怖がりのユミが、勇気を振り絞って実行した、たった一つの冴えたやり方…」

 

弓美「親友2人が頑張ってくれたから…あたしもそれに応えなきゃと思ってね…」

 

響「それでも…、話をしたいと口にしつつ…友達を拳で殴り飛ばした事実は変わらない…」

 

弓美「……そう、なのかな…。例えばあんたや、あんたの周りはそんな風に考えるのかも知れないけれど…あたしらからすると、あんたが止めてくれたおかげで、街の被害や人の命をできる限り抑えられたと感謝しているんだ」

 

響「私、が……?」

 

弓美「あたしはヒーローになれないけれど、それでも、少しでもヒーローに近づきたかったから…ううっ」

 

 弓美は苦しみだした。

 

響「板場さん!」

 

 そこへ、医療スタッフに化けたパルティータが来た。

 

医療スタッフ「結構怪我してるじゃない。私が治すわ」

 

響「パルティータさん!」

 

創世「パルティータ…?」

 

医療スタッフ「この姿は仮の姿。本当は…」

 

 変装を解除し、本来の姿を露わにした。

 

パルティータ「これが本当の姿で、本当の名前はパルティータなの」

 

創世「医療スタッフに変装して、ずっと私達の傍に…?」

 

詩織「全く正体に気付きもしませんでした…」

 

弓美「どうして、正体を隠して…?」

 

パルティータ「それは、黒幕に踊らされているあなた達を真実へ導くためよ」

 

弓美「真実に…」

 

 そこへ、龍閃天翔の二撃目を受けて破壊されたバリガー・ダハーカと、勝負を終えた時女一族の魔法少女が来た。

 

静香「私達の方は終わったわ。そっちは?」

 

翼「こっちも終わった」

 

創世「あの子、まさか…」

 

 倒されたバリガー・ダハーカの正体に時女一族とパルティータ以外は驚愕した。なぜなら、仰陽館女学院の生徒であるはずの灰島なのであった。しかし、両断された灰島の断面は機械となっており、血ではなくオイルが流れていた。

 

弓美「灰島…?灰島って…人間じゃなかったの…?」

 

詩織「ですが、断面は機械などになっています…!」

 

 訃堂を殺された時は怒りと憎しみが湧いたが、目の前の灰島については、それは湧き上がらず、逆に衝撃が走った。

 

すなお「目の前の事実を受け入れられないかも知れませんが、彼女は防人兵器という自律兵器で、他の仲間と共に仰陽館女学院の生徒に擬態して潜り込んでいたのです」

 

ちはる「私達が初めて来た時に5人襲撃して来たけど、静香ちゃんとすなおちゃんの2人と力を合わせて2人、清十郎さんは3人倒したんだ」

 

創世「仰陽館女学院の、生徒に…」

 

パルティータ「全てのピースを揃え、一つのパズルに組み合わせる時が来たわ。風鳴訃堂失踪に関わり、私達の世界にやってきてシンフォギアのデータを盗み、防人兵器を使って一連の事件で暗躍してきた黒幕の名はエンブリヲ。その正体は」

 

???「いやはや、このような形で私の策を台無しにするとは見事なものだよ」

 

 聞き覚えのある声がしたが、その声の主はエンブリヲであった。




これで今回の話は終わりです。
今回は主にシンフォギア装者とメックヴァラヌスの竜姫との戦い、時女一族の魔法少女と最後の七支刀、バリガー・ダハーカとの戦いを描きました。
XD本編のバリガー・ダハーカはメックヴァラヌスDのラスボス的存在だったのに今小説では時女一族の魔法少女に押された挙句、時女一心流最終奥義の龍閃天翔の二撃目を受けて倒されるといった、噛ませ要素が強い中ボス扱いとなっていますが、フォニックゲインを力としない魔法少女相手だと相性が悪く、すぐにやられるのではないかと思ったためです。わかりやすく考えるなら、NARUTOで鮫肌によるチャクラ吸収を得意とする鬼鮫が体術のスペシャリストであるガイ先生に挑んでやられるようなものだと思ってください。
次の話ではいよいよメックヴァラヌス編の黒幕、エンブリヲとの戦いとなりますが、元ネタを知っていればわかる通り、エンブリヲにも重大な秘密があります。
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