セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

18 / 198
18話 並行世界の友との遭遇

特異災害対策機動部二課

 

 二課の方では、ある連絡が入っていた。

 

朔也「司令、永田町より入電です。例の完全聖遺物の件で至急相談があるとの事です」

 

弦十郎「それがどうした?」

 

朔也「それが、ここ最近になって活発な反応が見られるそうで、我々専門家の知見を求むとの事でした」

 

弦十郎「うむ…だが、我々はカルマノイズへの対策が先決だ。少々待ってほしいと伝えておいてくれ」

 

朔也「了解しました」

 

 そう言ってると、星矢達が来た。

 

星矢「お邪魔するぞ」

 

弦十郎「構わないさ。そちらのお嬢さんは初めてだが…そうか、君が小日向未来君か」

 

未来「あ…はい!」

 

弦十郎「どうした?驚かせてしまったか?」

 

未来「い、いえ…何でもありません」

 

翼「ここに来れた、という事は無事に神獣鏡のギアを纏えたのだな」

 

未来「あ、ありがとうございます。皆さんのご協力のお陰です(びっくりした…。弦十郎さんも、翼さんも、本当にそっくりなんだ…)」

 

 そう思ってると、一輝と瞬も来た。

 

未来「(一輝さんと瞬さんまでそっくりなんて…!)」

 

クリス「まあ、最初は大体みんなそんな反応だ」

 

瞬「君が星矢の言ってた響の友達の未来だね?よろしく」

 

未来「瞬さんも一輝さんもよろしくお願いします!」

 

弦十郎「響君達の話は聞いている。彼女達を救う事は我々の目的にもかなっている。どうかよろしく頼む」

 

未来「はい、頑張ります。あの…ところで、響はどこに…?」

 

弦十郎「残念ながら、我々でも彼女の居場所は把握していない。ただ、恐らく」

 

 そんな時、警報が鳴った。

 

星矢「出たか…!」

 

弦十郎「ちょうどいい、恐らく彼女はノイズを倒しに現れるはずだ。君達も現場へ急行してくれ」

 

未来「わかりました」

 

一輝「俺と瞬は待機しておく。何しろ、俺達はとっておきの伏兵なのだからな」

 

星矢「俺達がやばくなったら頼むぞ、一輝、瞬」

 

 星矢達は出撃したのであった。

 

 

 

市街地(並行世界)

 

 星矢達は響がいるのを目撃した。

 

未来「あれは…響!?」

 

星矢「あいつ、俺達より先に着いていたようだ」

 

クリス「怪我はしてないみたいだな」

 

未来「響…」

 

 未来は星矢と一緒に響の傍に来た。

 

響「ん…」

 

未来「あのね…私は小日向未来。よろしくね」

 

響「そう…」

 

 そのまま響はノイズの方へ向かっていった。

 

未来「あ、待って、響!」

 

マリア「もう、またがむしゃらに突っ込んで…。命が惜しくないのかしら」

 

クリス「目の前の敵を倒せりゃ、どうでもいいんだよ…多分な」

 

星矢「そうだとしても、俺達は響を救わなきゃならねえんだ!放っておけるか!」

 

 星矢達は出現したノイズを倒し終わったのであった。

 

翼「片付け終わったようだな」

 

星矢「いや、そろそろ奴が出てくるようだ…」

 

クリス「出るぞ…」

 

 星矢が察した通り、カルマノイズ3体とゴールドカルマノイズが姿を現した。

 

未来「あれが、カルマノイズ…!?」

 

翼「しかも、4体も出ただと!?」

 

クリス「どうなってんだよ!」

 

 そう言ってると、通信が入った。

 

一輝『星矢、瞬と和解した日に出たカルマノイズを倒した際にチェーンが反応していたから、まだいる事が判明している!』

 

星矢「まだいるのか?」

 

一輝『わからん。だが、発生源があるとすれば、4体出ても不思議ではない。普通のカルマノイズは黄金に昇格したお前なら、大した敵ではないはずだ』

 

星矢「ああ、任しとけ!」

 

 通信を切った。

 

星矢「みんな、3体のカルマノイズは俺に任せてお前達はゴールドカルマノイズを頼む!俺も片付け次第、合流するからな!」

 

 星矢はカルマノイズ3体に向かっていった。

 

マリア「通常のカルマノイズは星矢に任せておけば問題ないわね。私達はゴールドカルマノイズの方を何とかしないと!」

 

未来「はい!」

 

翼「いざ、参る!」

 

 装者達はゴールドカルマノイズの方へ向かっていった。星矢の方は光速の動きと装者を遥かに超えるパワーでカルマノイズを完全に圧倒していた。

 

星矢「遅い!」

 

 カルマノイズは3体がかりでも星矢の方が圧倒的に有利であり、カルマノイズの再生力もまるでスローモーション同然であった。

 

星矢「やばいノイズはとっとと退場させてもらうぞ!アトミックサンダーボルト!!」

 

 光速拳の連打でカルマノイズは3体纏めて宙に舞い、消滅したのであった。一方、装者達の方は苦戦していた。

 

翼「くっ…流石に手強い!」

 

クリス「この再生能力、タチ悪すぎだっての!お陰で小宇宙が使えりゃって思っちまうぞ」

 

翼「小宇宙…?聖闘士の使う小宇宙が使えた事があるのか?」

 

クリス「ちょっとな。けど、あん時は奇跡みたいなもんだ」

 

 そう言ってると、カルマノイズが未来に迫った。

 

未来「きゃあっ!」

 

クリス「バカ!寄り過ぎだ、距離をとれ!」

 

星矢「未来!」

 

 ちょうど星矢はカルマノイズ3体と戦い、3体まとめて倒した直後であったため、反応が間に合わなかった。そこへ、響が来た。

 

響「どいて!」

 

未来「え?きゃっ!」

 

 未来を庇って響が攻撃を受けた。

 

未来「(響…今、助けてくれたの…?)」

 

マリア「確かに強い。でも、相手の再生能力も無限じゃないはず!今が我慢のしどころよ!」

 

クリス「向こうが逃げなきゃいいけどな!」

 

 マリア達は攻撃を続けたが、ゴールドカルマノイズの姿が薄れ始めた。

 

翼「…奴の姿が薄れて…?行かせない!」

 

 翼は追い討ちをかけようとしたが、ゴールドカルマノイズは消えてしまった。

 

翼「くっ!仕留めきれないか!」

 

 結局、ゴールドカルマノイズに逃げられたのであった。

 

クリス「くそっ…逃げられちまった…」

 

マリア「やはり私達の攻撃の方が通りやすいあの小宇宙への耐性と再生能力は厄介ね…。何とか方法を考えないと」

 

翼「すまない。私が奴を仕留められていたら…」

 

マリア「あなたのせいじゃないわ。…切り替えましょう」

 

翼「それはそうと、途方もなく小宇宙を高めないと聖闘士の攻撃さえ決定打にならないあんな化け物を前はどうやって倒したんだ…?」

 

マリア「それは後で説明するわ」

 

 星矢と未来は響の方にいた。

 

未来「響!」

 

星矢「響、俺が間に合わない時に未来を庇ってくれてありがとう」

 

 星矢の言葉には反応して立ち止まり、それから帰っていった。

 

未来「星矢さん、さっき響は私を庇ってくれたの…?それとも…」

 

星矢「俺から見たら、明らかに庇ったと思う。この世界の瞬も本質は変わってなかったんだ。きっと響も…」

 

未来「星矢さんから見たらそう見えてたなら、私もそう思います。例え世界は違っても、響は響。だから、もっと話さないと」

 

星矢「よし、諦めずにしっかりと話して、響を救おう!」

 

 星矢達は帰還したのであった。

 

 

 

特異災害対策機動部二課

 

 星矢と未来以外は発令所に集合していた。

 

弦十郎「よく集まってくれた。早速、カルマノイズに関する対策会議を始めよう」

 

翼「…あと2人はどうしたんだ?」

 

マリア「あの2人は用事があるの。とても大事な、ね」

 

クリス「そういう事だ」

 

翼「そうなのか?ところで一輝は…」

 

瞬「兄さんはいつカルマノイズが現れてもいいように待機している。だから、僕に代わりに参加してほしいって頼んだんだ」

 

翼「そうか…」

 

弦十郎「まずはカルマノイズについての情報を整理したい。君達の知っている事をもう一度話してくれ」

 

マリア「ええ、あのカルマノイズは…」

 

 マリアはカルマノイズやゴールドカルマノイズについて説明した。

 

弦十郎「…なるほど。それ程までに厄介な相手という事か…」

 

マリア「この場で使える手段はそう多くないわ。通常のカルマノイズなら星矢と瞬、一輝なら何体来ても問題はないけど、ゴールドカルマノイズに対しては聖闘士と装者による連携・飽和攻撃くらいでしょうね」

 

瞬「今の所はそれくらいしかありませんね…」

 

翼「…この場で使える、という事は他の手段もあるにはあるという事なのか?」

 

クリス「まーな。S2CAやイグナイトとかもある」

 

瞬「その手段はどうして使えないんだい?」

 

クリス「S2CAは絶唱、イグナイトは暴走の力を元にしてるんだよ」

 

マリア「S2CAを使うには、手を繋ぐ事を特性としたあの子の存在が不可欠なのよ」

 

翼「…そちらの、立花響が必要という事か?」

 

マリア「そういう事。そしてあの子は今はとても戦えるような状況じゃない…」

 

クリス「こっちのあいつが使えればいいんだけどな。いきなりやれっていうのは、流石に無茶がすぎるだろ」

 

マリア「そうね。それにこの世界の瞬と一輝の守護星座が逆になっていたように、装者の特性も同じとは限らない。だからこの手段は使えない」

 

翼「…イグナイト、というのは?暴走の力とは不穏な響だが…」

 

クリス「あたしらのギアには、イグナイトモジュールってのが追加されてるんだ」

 

弦十郎「イグナイトモジュール…だと?」

 

マリア「魔剣ダインスレイフを核として、人為的な暴走を引き起こし、それを力に変える事ができるの。ただ、これはカルマノイズの持つ『呪い』との相性が最悪で、下手に使えば本当に暴走してしまう、諸刃の剣よ」

 

弦十郎「…それで有効な手立ては連携しかない、という事か」

 

翼「…ならば皆の力を合わせ、立ち向かうだけの事。この場の3人、それに小日向を加えた装者4人の力があれば」

 

クリス「それで足りないのはこの前で立証済みだろ?」

 

マリア「そうね。連携で多少は補えるかも知れないけど、彼女にも協力してもらわないと厳しいでしょうね」

 

クリス「戦力は多い事に越した事ないからな」

 

瞬「僕と兄さんと星矢も忘れては困るよ」

 

翼「おっと、済まない」

 

弦十郎「…確かに我々も彼女と協力できればとは思うが…」

 

翼「不確定要素を戦力に数えるのは賛同できません」

 

弦十郎「翼…」

 

翼「連携を高めるのがカルマノイズ打倒に繋がるというなら、今できる事をしたい。…協力してもらえないだろうか?」

 

クリス「ああ、勿論だ」

 

マリア「確かに、今できる事はそれくらいね」

 

瞬「兄さんに訓練に付き合ってもらったらどうかな?」

 

 早速、一輝に訓練の相手をしてもらった。

 

マリア「少しは形になったかしら…?」

 

一輝「ダメだな。お前達装者3人の連携では敵の再生スピードに対して、攻撃の密度が低すぎる。この程度だと再生力で押し切られるぞ」

 

クリス「やっぱ、あと2人ぐらいはいるか…」

 

 翼は黙り込んでいた。

 

瞬「翼さん、どうしたんですか?」

 

翼「立花響との協力、本当にできるのだろうか?やはり、私は反対だ…」

 

マリア「どうしてそう思うの?」

 

翼「これまで何度も戦場で顔を合わせた。二課に入るよう説得した事もある。しかし彼女の答えはいつも『興味ない』ただそれだけだ。ふらりと現れては、いたずらに戦場をかき乱すだけ。彼女が何を考えているのかわからない。志を同じくする事など、できるとは思えない…。それに、そのような者がガングニールを纏っている事も、私は…」

 

クリス「あいつは、ただまっすぐなんだよ。バカだけど」

 

マリア「そうね。それが彼女の本質だと思うわ」

 

翼「それはそちらの世界の立花響だろう。同じとは限らない…」

 

マリア「でも、違うとも限らないわ。ギャラルホルンは大きな川から外れた支流とを繋ぐ聖遺物、けれど元の川の流れは同じ。だから、個人の性格や嗜好、そういったものに大きな変化はないのよ。…今の所は、だけど」

 

クリス「ギアがあったりなかったり、誰かがいたりいなかったり、小さな違いなら結構あるけどな」

 

マリア「こちらの彼女を見て、最初は元の世界の彼女とのギャップに驚いたけど…でも、瞬がこっちの瞬と本質が同じである事を知って、彼女も本質は同じなんじゃないかと思うの。…私はね、彼女のそのまっすぐな所に救われたのよ」

 

クリス「あたしもだ」

 

翼「本当にそうならいいが…。だが、だとしてもどうやってあの者を説得する?」

 

マリア「それなら、専門家に任せましょう」

 

クリス「あのバカの事はあいつらの担当だしな」

 

翼「専門家?」

 

マリア「そう、彼女の一番の親友と恩人が今頃頑張ってるはずよ」

 

 

 

公園(並行世界)

 

 星矢と未来は響に会いに行っていた。

 

響「…何?何か用?」

 

未来「ごめん、邪魔しちゃったかな?」

 

響「…この前の人達といい、急に現れて何なの?やけに馴れ馴れしいし」

 

星矢「ちょっと接する態度が悪かったか?」

 

 星矢に対しては響はあまり頭が上がらなかった。

 

星矢「俺と未来が君に会いに来たのは、未来が話をしたいと言ったからさ」

 

響「話?」

 

未来「ちゃんと説明するよ。(並行世界やギャラルホルンについては機密だと思うけど…。ううん、こちらが嘘や誤魔化しをしたんじゃ、信用してくれない)」

 

 ルナアタック事変の際、響が隠し事をしていたのと同じ立場になった未来は自分達は並行世界から来た事などを正直に話した。

 

響「別の世界、別の私…」

 

星矢「いきなり信じてくれって言っても信じられねえけどな…。俺も初めて並行世界とか聞いた時はチンプンカンプンだったし」

 

響「…どうでもいい。他に用がないなら」

 

星矢「そこを何とかできないか?未来は君と話したいんだ。まぁ…無理にとまではいかないが…」

 

響「私は話したい事なんて、何もない…」

 

 流石の響も星矢の頼みは無表情で断る事はできなかった。

 

未来「そんな事言わないで。あのね、この前の戦いの事なんだけど、響、私を…庇ってくれたんだよね?」

 

響「庇った…?私が?」

 

未来「うん、そうだよ。だから私、お礼を言いたくて…」

 

響「そんなつもりなんてない…あなたの勘違い」

 

星矢「そう言うなよ。俺がこの目で見たんだ。間違いなく、お前は未来を庇った」

 

 星矢がそう言っては響も反論できなかった。

 

未来「響のお陰で怪我をしないで済んだよ。ありがとう」

 

 響は帰ろうとした。

 

未来「響?どこへ?」

 

響「……帰る。ついてこないで」

 

星矢「付き合わせて済まなかったな。だけど、寂しくなったり、辛い事があったりしたら話しに来いよ。俺達は力になるからな」

 

 星矢は響を引き留めず、帰らせたのであった。そして、響は未来の事を考えていた。

 

響「何なの、あの子…」

 

 響は星矢と未来に言われた事を思い出していた。

 

響「(助けた…私が?そんなはずない…。助けたりなんかしてない。)助けなんて…あるものか。助けなんて…」

 

 誰も助けてくれなかった辛い過去が響を苦しめていたのであった。

 

響「(…誰も、私を助けてくれなかった。だから、私は誰も助けない。助けたりなんてしない。…胸の奥が痛い…痛いよ…)」

 

 胸の奥の痛みを感じ、夢で助けられた時のように星矢と未来に助けてもらいたいという心も芽生え始めていた。

 

響「…こんなの、違う。痛くなんてない。私はもう、こんな事で痛みなんて感じない…。(誰かなんていらない。どうせ独りになるなら、最初から独りでいい…ううん、独りがいい)」

 

 しかし、そう思おうとしても助けがほしい心とぶつかり合い、さらに苦しんでいた。そんな折、ノイズ警報が鳴った。

 

響「奴等だ…倒さなきゃ!」

 

 響はノイズを倒しに向かったのであった。

 

 

 

セーフハウス

 

 星矢達はセーフハウスに集まっていた。

 

マリア「今回は普通のノイズしかいなかったわね…」

 

クリス「さっさとぶっ倒したいのに、もったいぶらずに出てこいってんだ…」

 

星矢「俺も同じ意見だ」

 

マリア「…彼女とは協力できそう?」

 

星矢「さっきもそうだが、まだだ」

 

未来「あの、少し聞いてもいい?」

 

クリス「何だ?」

 

未来「この前のカルマノイズとの戦いの時、響が私を庇ってくれたように思うの」

 

クリス「そうなのか?」

 

星矢「俺の目から見ても間違いない」

 

未来「さっきの戦いでも、ノイズの攻撃が街を破壊しないように、注意をひきつけていたような気がして…」

 

マリア「あの子が…?」

 

未来「瞬さんのケースもあったから、私と星矢さんはやっぱり響は響じゃないかって。無意識かも知れないけど、みんなを護ろうとしてくれてる。そう思ったんだけど…どうかな?」

 

クリス「流石に考え過ぎじゃないのか?お前を庇ったってのは星矢がその目で見たから、わかる気もするけどさ…」

 

未来「でも、私の知ってる響なら…」

 

マリア「そうかも知れないわね。けれど、それだけじゃ何とも言えないわ」

 

星矢「けどよ…」

 

マリア「でもね…あの子の事を一番知っているのは、そしてあの子と一番絆が深いのは言うまでもなくあなたよ。そして、星矢もあの子との絆は深い。だから、私はあなた達の判断を尊重するわ」

 

未来「マリアさん…」

 

クリス「そうだな。あのバカの事だし、お前らが言うならそうなのかもな」

 

未来「クリス…2人とも、ありがとう」

 

 そう言ってると、一輝が入ってきた。

 

一輝「ちょっと星矢に来てもらいたいが…」

 

 星矢は一輝と瞬とエスメラルダの所に来た。

 

星矢「一輝、何か話でもあるのか?」

 

一輝「ちょっとカルマノイズの事で気になってな…」

 

エスメラルダ「一輝は星矢さんにカルマノイズ出現を伝える際、発生源があるのではと言ってましたね?」

 

瞬「じゃ、じゃあカルマノイズは自然発生するノイズじゃないって事になるよ」

 

星矢「俺達が戦った4体のカルマノイズは、その発生源が新たに生み出した奴等って事になるぞ」

 

一輝「弦十郎から聞いた話では、もともとカルマノイズはせいぜい1,2体程度しかいなかったそうだ。それが、何の予兆もなく新たに現れるのはおかしいのではないのか?」

 

星矢「確かに変だな…」

 

エスメラルダ「私もおかしいと思います」

 

一輝「それに、チェーンが時折おかしな反応をする。まるで何かに気付き、伝えようとな…。とにかく、今は万一に備えての警戒が必要だ」

 

星矢「ああ、そうだな…」

 

 星矢達はカルマノイズが自然発生するノイズではないのではと思い、発生源があるのではないかとも推測するようになった。

 

 

 

???

 

 ある場所で1人の女が来ていた。

 

 

???「(様々な神話や伝説について書かれている資料を読み漁ってようやく知ったけど、まさか、あの化け物に致命傷寸前の傷を負わせたあの鎧の戦士がギリシャ神話に登場する『アテナの聖闘士』だったなんて…)」

 

 女性は怪物に致命傷寸前のダメージを与えて退散に追い込んだ星矢達の事を思い出していた。

 

???「(小宇宙…聖闘士が扱う人間の体内にあるというエネルギー…。これが聖遺物なしであのパワーを引き出せる力の源とは…。いえ、正確には聖衣も完全聖遺物の一種。完全聖遺物なのに特殊な修復技術を会得すれば破損しても修復もできる反面、小宇宙を扱えなければ使う事さえできない特異な完全聖遺物…。彼等が伝説の通りの希望の闘士であるかどうか、接触して見極める必要がありそうね…)」

 

 怪物に大ダメージを与えた星矢達の姿が強烈な印象として残ったため、星矢達と接触して見極めたい女性であった。

 

 

特異災害対策機動部二課

 

 一同はは訓練しようとしていた。

 

弦十郎「この前に戦ったカルマノイズのデータを基にして、シミュレータを調整した。早速、訓練に入ってくれ」

 

翼「ありがとうございます、風鳴司令」

 

弦十郎「いいさ。俺にできるのはこれくらいだからな…」

 

クリス「…ん?ま、まさかオッサンが調整したのか!?」

 

弦十郎「そうだが…それがどうかしたのか?」

 

未来「そんな事もできたんだ…」

 

マリア「待って、私達の知る風鳴司令はどちらかというと武闘派だったと思うんだけど…」

 

翼「武闘派…、そうなのか?」

 

弦十郎「最低限の護身術程度はできるが…。それ以外での武術等の心得はないぞ。代わりと言っちゃなんだが、機械の扱いなら任せてくれ。これでも、日がなSF映画を見ては着想を得て、色々と発明もしている。特許も多く持っているしな…」

 

星矢「機械!?」

 

クリス「オッサンが…、ウソだろ!?」

 

未来「こうして聞くと、結構違いもあるんですね…」

 

マリア「SF映画…(確か、私達の世界の司令はアクション映画が好きだったわよね…。以前行った、天羽奏のいた世界…あの世界の風鳴司令はミステリー物をよく見てるとかきいてような…。…!?)」

 

 ふと、マリアはある結論に辿り着いた。

 

マリア「…いえ、そんな事はないわよね。まさか…ね」

 

星矢「マリア、さっきからどうしたんだ?」

 

マリア「何でもないわ」

 

翼「せっかくこうしてシミュレータを更新してくれたんだ。早速訓練に入らないか?」

 

未来「はい、そうしましょう」

 

 早速訓練に入ったが、課題が残る結果となった。

 

弦十郎「もう少し調整が必要か…」

 

マリア「そうね。本物はもっと手強いと思うわ。かと言って、聖闘士に訓練の相手を頼んでも星矢は余程の悪女でなければ攻撃できないし、他の2人も実力が高すぎるわ」

 

クリス「決め手に欠けるって感じだよな…。連携は結構うまくいってるんだが」

 

未来「ごめんね、私の力がもっとあれば…」

 

 そんな未来の肩に星矢は手を置いた。

 

星矢「未来、カルマノイズと戦うのはお前達だけじゃない。俺達もいる事を忘れてもらっては困るぞ」

 

未来「星矢さん…」

 

翼「それに、力不足は小日向だけでなく、私も同様だ」

 

未来「でも、この中では私が一番装者として未熟ですから…」

 

翼「いや…」

 

マリア「はいはい、そこまで。誰がどうじゃないわよ。聖闘士以外はみんな等しく力不足…つまり戦力不足なんだから」

 

クリス「この前みたいにカルマノイズが大量発生したら、星矢達はそっちを優先して倒さざるを得ねえ。やっぱりあいつも何とかして協力させないとな」

 

マリア「そうね。星矢、瞬と一輝はどうしたの?」

 

星矢「2人はカルマノイズの発生源がないか、調べに行った。何でも、この前の戦いでカルマノイズは自然発生したノイズではない可能性があったらしいぞ」

 

未来「自然発生するノイズじゃない…」

 

クリス「となりゃ、発生源を潰せばもう新たに出なくなるな」

 

星矢「未来、俺と一緒に響の所へ向かうぞ」

 

未来「はい!」

 

 星矢は未来と一緒に響の所へ向かった。

 

 

 

公園(並行世界)

 

 一輝は瞬と共にカルマノイズを生み出している発生源がないか、チェーンで探っていた。

 

瞬「どうなの?兄さん」

 

一輝「反応が全くない。時折、反応する時は激しく反応し、時間経過と共に急に反応が止まる。発生源は短時間しか現れないのだろうな…」

 

瞬「あの響って子、僕のように立ち直れるのかな…?」

 

一輝「さぁな。奴はお前以上に生き地獄に耐える事ができなくなって人間不信に陥っている。生半可な事では立ち直れないぞ」

 

瞬「兄さん…」

 

 会話をしていると、見慣れない女性と出会った。

 

???「あなた達、どうやらアテナの聖闘士みたいね。何を探しているの?」

 

一輝「簡単な事だ。カルマノイズの発生源を探している」

 

???「カルマノイズ…。それって、ガンドの事かしら?」

 

瞬「ガンド…?君達はガンドって言ってるのかい?」

 

???「そうよ。でも、ここではカルマノイズと言った方が良さそうね。あなた達はカルマノイズの発生源を探しているようだけど、あなた達の発想は正解よ」

 

一輝「やはり、発生源があったのか!」

 

???「その鎖は色んなものに反応する便利な鎖ね。それを使えば多分、発生源が見つかると思うわ」

 

一輝「なら、俺達は発生源探しで失礼する」

 

 一輝は瞬とともに発生源探しを続けた。

 

???「あの化け物を退けた時も驚いたけど、アテナの聖闘士は思った以上にやるじゃない。並行世界の可能性で守護星座が逆でもあの兄弟の強さは全く変わらないわね。次はあの黄金聖闘士に会いにいくべきね」

 

 一輝と瞬の兄弟との接触を終えた謎の女性は次は星矢との接触を行おうとしていたのであった。

 

 




これで今回の話は終わりです。
今回は未来とグレビッキーとの遭遇とカルマノイズが複数同時に出現するのを描きました。
本来の時系列であればギャラルホルン編の序章から登場し、まだこの時点では登場していないミーナが素性不明の女として出ていますが、今後もギャラルホルン編が始まるまではちょくちょく星矢達を見たり、目の前に現れたりします。
次の話はとんでもない事態が起こります。そのとんでもない事態のヒントはドラゴンボールの映画のメタルクウラが出る映画にあります。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。