セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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2話 並行世界の可能性

公園(並行世界)

 

 突然のアイザックの攻撃に氷河はおろか、星矢達でさえ驚いていた。

 

星矢「氷河を…偽者だって…?」

 

響「アイザックさん、そこにいる氷河さんは紛れもない本物の氷河さんなんです!どうして偽者呼ばわりするのかわかりませんが、信じてください!」

 

アイザック「黙れ!そんな話が信じられるか!」

 

 頑なに信じようとしない上、アイザックは氷河が纏っている聖衣に気付いた。

 

アイザック「それはまさか…、カミュの纏っていた水瓶座の黄金聖衣!氷河の偽者め、本物と語るばかりか、先生の聖衣まで盗んで身に纏うとは不届き者!この俺が始末して先生の聖衣を取り返してやる!!」

 

 実際は氷河はきちんと聖衣に認められて黄金聖闘士に昇格したのだが、氷河が水瓶座の黄金聖衣を纏っている事もアイザックの怒りをさらに燃やしてしまう事となった。

 

王虎「あのバカ、頭に血を上らせやがって…」

 

紫龍「そういう王虎は俺を偽者呼ばわりするのか?」

 

王虎「さぁな。俺がお前の事をどう思っているのかは…腕ずくで聞き出してみな!」

 

 結局、紫龍も王虎と戦う事となった。

 

氷河「アイザック、何があったのかは俺にはわからない。だが、俺達はこの並行世界の異変を調べ、そして異変の原因を解決しなければならないんだ!だから、お前に倒されるわけにはいかない!」

 

 海底神殿の時と違って言葉が通じず、本気でアイザックが殺しにかかってきているため、氷河はすぐにクールに徹してアイザックと戦う事にした。

 

響「アイザックさん、王虎さん、いきなり兄弟弟子と戦うなんて、そんなのおかしいですよ!きちんと話せば」

 

翼「立花、私達にあの戦いを止める事はできない」

 

マリア「やめさせたい気持ちはわかるけど、私達にはどうする事もできないわ…」

 

 聖闘士同士の戦いをやめさせようとする響だったが、実力は聖闘士の方が装者を大きく凌駕しており、響達は介入して止める事はできなかった。

 

響「星矢さん、今すぐにこの戦いをやめさせてください!」

 

星矢「…それはできない。聖闘士の戦いはフィーネみたいな化け物との戦い以外は基本的に1対1が原則だ。それに…男は話すより殴り合わなきゃ分かり合えない時だってあるんだ」

 

 そう言ったものの、星矢も響の気持ちはわかっていた。そして、下手に兄弟弟子同士の戦いに介入すると余計にこじれる事も。氷河とアイザック、紫龍と王虎の戦いは互角であった。

 

アイザック「くそっ、何て強さだ!カミュと互角かそれ以上の実力だ!(もしかすると、あの装者の言ってる事は…。いや、氷河はあの時に死んだ!ハーデスが死んだ今、死んだ奴が目の前に現れる時は必ず偽者だ!絶対に隙を見せてはいけない!)」

 

 目の前にいる氷河がカミュと互角かそれ以上である事にアイザックは目の前にいる氷河が本物ではないかと思ったが、偽者に隙を見せてはいけないと自分に言い聞かせ、戦闘を続けたのであった。

 

紫龍「王虎、俺は聖衣で勝負が決まるのは気に食わん。互いに五分と五分で決着を着けよう!」

 

 そう言って紫龍は天秤座の聖衣を脱ぎ捨てた。久しぶりに上半身裸になった紫龍を見て、響達は赤面していた。

 

響「し、紫龍さんが脱いだぁ!!」

 

マリア「ちょっと!聖衣どころか、わざわざ上着まで脱ぎ捨てる必要はないでしょ!?」

 

翼「(こんな事で未だに心をかき乱されるとは…。私も防人としての鍛錬が足りんな…)」

 

王虎「ほう、面白い。わざわざ対等な条件で戦ってくれて感謝するぞ!」

 

 王虎も対等な条件で戦うべく、聖衣を脱ぎ捨てたのであった。

 

紫龍「改めて対等な条件で行くぞ、王虎!」

 

王虎「望む所だ!」

 

 改めて生身の状態で2人は激突した。

 

紫龍「(この動きのキレ、元の世界の王虎よりもさらに磨きがかかっている!)」

 

王虎「(そのクソ真面目ぶり、聖衣を脱いで自らを追い込むという老師の教え、やっぱり目の前にいる紫龍は並行世界から来た本物のようだ)」

 

 頑なに目の前の氷河を本物だと信じないアイザックと違い、王虎は目の前の紫龍が並行世界から来た本物だと既に気付いていた。

 

王虎「紫龍、これならどうだ?エクスカリバー!」

 

 王虎がエクスカリバーを放った事に紫龍は驚いたが、すぐに紫龍もエクスカリバーで鍔迫り合いに持ち込んだ。

 

王虎「ほう、驚くのかと思ったが、お前もエクスカリバーが使えるのか」

 

紫龍「俺もお前がエクスカリバーを使える事に驚いていたぞ」

 

王虎「エクスカリバーが使えるのなら、こいつの威力はお前も知ってるだろ?下手をするとお前も真っ二つになるぞ!」

 

 エクスカリバー同士のぶつかり合いに入った。紫龍と王虎、氷河とアイザックの戦いはかなりのスピードであり、装者の目では追いつけなかった。

 

マリア「ダメ、何が起こっているのか目が追いつかない!」

 

響「速すぎて了子さんの光速拳を見切れなかった時のように何もわからないですよ!」

 

翼「聖闘士同士の戦い、ましてや黄金聖闘士クラスの戦いはこれ程までに目が追いつかないとは…」

 

 氷河とアイザックの方は凍気の対決となっていた。

 

氷河「ダイヤモンドダストォ!」

 

アイザック「ダイヤモンドダストォ!」

 

 ダイヤモンドダスト同士の対決は互角であり、互いに吹っ飛ばされた。

 

アイザック「偽者ではあるが、やるな。だが、黄金聖衣を纏っていても絶対零度で凍らせてやるまでだ!」

 

氷河「(この世界のアイザックの実力は俺のいた世界のアイザックよりも遥かに上だ。それに、絶対零度まで習得している。油断したらこっちがやられる!)」

 

アイザック「ダイヤモンドダストがダメなら、これでどうだ!?オーロラボレアリス!!」

 

氷河「オーロラサンダーアタック!!」

 

 オーロラボレアリスとオーロラサンダーアタックの対決も互角であった。

 

アイザック「…まさか、オーロラボレアリスも通じないとはな。こうなったら…、カミュより授けられし最大の拳で葬ってくれるっ!」

 

 アイザックがオーロラエクスキューションの構えをした事に氷河は内心驚いていた。

 

氷河「(アイザックがオーロラエクスキューションを…?)」

 

 すぐに氷河はオーロラエクスキューションの構えをとり、アイザックもまた、驚いたのであった。

 

アイザック「(氷河の偽者がオーロラエクスキューションを!?)」

 

氷河「行くぞ、アイザック!オーロラエクスキューション!!」

 

アイザック「オーロラエクスキューション!!」

 

 オーロラエクスキューション同士がぶつかり合った。

 

アイザック「負けてなるものか!氷河の偽者に負けてなるものか!」

 

???『アイザック、まだわからんのか!?このバカ弟子が!』

 

アイザック「何っ!?」

 

 突然の声にアイザックが驚くと、氷河の後ろにカミュの幻影が見えた。

 

アイザック「(何だと!?氷河の偽者の後ろにカミュの幻影が…)」

 

カミュ『アイザック、目の前にいる共に修行した弟弟子の氷河を勝手に偽者呼ばわりして殺そうとするとは何事だ!?我が制裁を以てその罪をあがなえ!』

 

氷河「うおおおおっ!!」

 

 カミュの幻影の叱責でアイザックが動揺したのと同時に氷河のオーロラエクスキューションが押し始めた。

 

アイザック「何!?俺のオーロラエクスキューションを押しているだと!?まさか、絶対零度を超えた凍気を扱えるようになったというのか!?うわあああっ!!」

 

 あっという間に氷河のオーロラエクスキューションがアイザックのオーロラエクスキューションを押し返し、アイザックは氷河のオーロラエクスキューションをまともにうけて吹っ飛ばされた。

 

響「アイザックさん!」

 

 氷河とアイザックの戦いの余波で公園は季節外れの凍結した世界となった。一方、紫龍と王虎の戦いは互いに落ち着いていて相手の出方を伺うような戦いであった。

 

紫龍「廬山百龍覇!」

 

王虎「廬山百龍覇!」

 

 百龍覇同士のぶつかり合いも互角であった。そのぶつかり合いの後、王虎は拳を降ろした。

 

紫龍「どうした?王虎!いきなり戦いを仕掛けておいて急にやめるとはどういう事だ!?」

 

王虎「紫龍、さっきの戦いはお前の実力と本物であるかどうかを確かめるためのものだったのさ。本物ではあるが、お前はこの世界の紫龍ではないな?」

 

紫龍「何だって!?王虎、俺が並行世界から来たといつわかった!?」

 

王虎「頭に血が上りやすいアイザックと違って最初からわかってたさ。この世界の紫龍は修行していた頃に不治の病で死んでいて、老師の天秤座の聖衣は貴鬼によって修復され、今は聖域に保管されている。そんな所から聖衣を簡単に盗めるわけがないし、聖衣に宿る老師の意思が偽者に力を貸すわけがない。となれば、目の前にいる天秤座の聖衣を受け継いだ紫龍は並行世界から来たと考えた方が自然じゃないか?」

 

 見た目に似合わない洞察力で並行世界から来たと見抜いた王虎に紫龍は驚いたのであった。

 

マリア「出会った時点で並行世界から来た本物だと見抜いた…。なんて洞察力なの!?」

 

王虎「氷河とアイザックの戦いの方も終わったようだ」

 

 オーロラエクスキューションのぶつかり合いに負けて凍気をまともに受けたアイザックはそれなりにダメージを受けていた。

 

氷河「アイザック!」

 

アイザック「…負けたよ、氷河。そして先生の言う通り、バカだった…。俺はそこの装者達の話にも耳を貸さず、目の前の氷河を偽者だと思い込んで襲い掛かった。カミュにバカ弟子と言われても仕方ない…」

 

氷河「それでも…、並行世界の別人であったとしてもアイザック、お前は俺の誇れる兄弟子だ…!」

 

 いきなり攻撃してきたのにも関わらず、氷河が誇れる兄弟子と言って手を差し伸べてくれたため、アイザックはその手を握った。

 

アイザック「氷河、さっきは頭に血が上って盗人などと言ったが…、そのお前が受け継いだカミュの水瓶座の聖衣、なかなか似合っているな」

 

氷河「お前もこのカミュから受け継いだ聖衣が似合ってるというのか…」

 

アイザック「その通りだ。並行世界のお前が立派な黄金聖闘士になれてて俺はとてもうれしいぞ。それで氷河、マザコンの方は治ったのか…?」

 

 その言葉に氷河は沈黙した。

 

アイザック「…そこは流石にまだだったか…。だが、海に潜らずに墓参りみたいな感じに自重してるか?」

 

氷河「…ああ。深く沈められた事もあって、もうマーマには会いにいっていない」

 

アイザック「そうか。花を添えるぐらいなら、何も言わん。それに、この世界の異変の調査に来たのなら、さっきの詫びも兼ねて俺と王虎がお前達をある人物の元へ案内する。そこの装者達も一緒について来い」

 

響「は、はいっ!」

 

 

 

???

 

 ある場所では驚きの連続であった。

 

???A「反応、消失しました…」

 

???B「ノイズ反応に続いて、小宇宙とは異なる謎の高エネルギー反応、さらに直後にノイズ反応が消失…一体何が起きているっ!?」

 

???C「波形、照合しました。こ、これはーーっ!?」

 

???B「どうした!報告しろっ!」

 

???C「3つあった反応の一つは未知の聖遺物、一つはガングニール、そして最後の一つは…天羽々斬、です…」

 

???B「天羽々斬だとっ!!?」

 

 

 

市街地

 

 並行世界に無事に到着した響達はギアの装着を解除してアイザックと王虎の案内についてきていた。そこの方向は旧リディアンのある場所であった。

 

響「アイザックさん、もしかして、あそこには…」

 

アイザック「ああ、あそこにはリディアンという音楽の学校がある。お前達の世界にもあるのか?」

 

翼「だが、ある事件で…」

 

アイザック「ぶっ壊された、だな?」

 

 その問いに響と翼は頷いた。

 

王虎「それにしても驚いたぞ、まさか並行世界の星矢がこんなにも元気な上、射手座の黄金聖衣を受け継いでいたとはな」

 

星矢「王虎、この世界の俺はどうしてるんだ?」

 

王虎「この世界の星矢は冥王ハーデスとの戦いで昏睡状態に陥り、いまだに回復の兆しさえない」

 

響「じゃ、じゃあ…この世界の星矢さんはずっと昏睡状態なんですか!?」

 

 並行世界の星矢が昏睡状態で回復の兆しさえない事に響達や星矢は驚いていたのであった。

 

紫龍「それと、この世界の俺と氷河はどうなんだ?」

 

王虎「さっきもお前に言ったが、この世界の紫龍はもうとっくに不治の病で死んだ。そして、紫龍は病で死ぬ際に俺に『私闘はやめて真面目に修行して聖闘士になってほしい』って頼んだんだ。それ以来、俺は私闘をやめて修行に打ち込み、ドラゴンの聖闘士になったのさ」

 

紫龍「この世界の俺は既に病で死んでいたのか…。王虎はこれから老師の天秤座の聖衣を継ぐのか?」

 

王虎「冗談はよせ、俺は善悪を測る要なんて向いてない。継がせるとすれば…、もう玄武しか残っていないからな」

 

 王虎が『玄武』と言った事に紫龍は反応し、激怒した。

 

紫龍「玄武だと!?不真面目で聖闘士にならずに老師の元を去ったあいつにか!?俺は反対だ!!」

 

王虎「(この紫龍の怒り様…、あっちの世界の玄武も不真面目なようだな…)」

 

響「あの…、その玄武って人は…」

 

王虎「そいつの話を紫龍の前でするな。いいな?」

 

 響は玄武の事が気になったものの、紫龍の怒り様と王虎の進言もあって聞かない事にした。

 

翼「氷河の方はどうなんだ?」

 

アイザック「…氷河は母親の遺体に会いにいくために海に潜った際にそこの潮の流れに呑まれて俺が助けに行った」

 

氷河「そこは俺達のいた元の世界と同じだ…」

 

アイザック「氷河の元々いた世界ではその際に俺が死んだようだな」

 

氷河「いや、俺達のいた世界のアイザックはそこでは死んでいなかった。ポセイドン配下の海将軍となって俺の前に立ちはだかり、その戦いで死んだんだ…」

 

アイザック「(…並行世界の俺は死ぬ前にまた氷河に会えたのか…。俺は命をかけて氷河を助けたそっちの世界の俺に申し訳ない事をしてしまったようだ…)氷河のいた世界では俺が消息不明になったようだが、この世界では氷河が俺を庇って氷塊にぶつかり、致命傷を負ってしまった。そして、もう助からないと判断した氷河は俺を助けようと最後の力を振り絞って俺を海上に放り出し、『軽率な事をした挙句、アイザックに迷惑をかけて済まなかった…』と謝って氷河は東シベリア海へと沈んでいったんだ…」

 

マリア「そして、アイザックがキグナスの聖闘士になったのね…」

 

 マリアの指摘にアイザックは頷いた。

 

響「そんな…、私達の世界ではアイザックさんが…、並行世界では氷河さんが死んでしまうなんて…」

 

星矢「そっからギャラクシアンウォーズとかまではだいたい俺達の世界と同じか?」

 

王虎「ああ。俺は紫龍の代理として参戦し、アイザックは聖域からの刺客として参戦した。だが、暗黒聖闘士との戦いとかがあってギャラクシアンウォーズは中止になったがな」

 

アイザック「そして、一輝を倒した後に白銀聖闘士との戦いになり、それから十二宮で黄金聖闘士との戦いとなった」

 

紫龍「俺達の世界とは流れが割と違うようだな」

 

王虎「流れが違う?どういう事だ?」

 

 紫龍と氷河は自分達の世界での戦いの流れを教えた。

 

アイザック「随分と違っているようだな。一輝との戦いの後、すぐに白銀聖闘士との戦いにならずにしばらくしてから白銀聖闘士と戦ったとは」

 

王虎「おまけに、十二宮での戦いと海闘士の戦いの間に神闘士とかいう連中と戦ったなんてな」

 

氷河「俺達の世界とこの世界の違いは他にないのか?」

 

アイザック「そっちの城戸光政はどういう奴なのかはわからんが、この世界の城戸光政は拾ったアテナを甘やかして育てた挙句、100人もの子供を作った超絶不倫野郎だと氷河から聞いた事がある」

 

 その衝撃の言葉に星矢達は驚いたのであった。

 

マリア「こ、子供を100人も!?」

 

響「そんなの、アリですか!?」

 

星矢「この並行世界の光政はなんてロクでもない爺さんなんだ!?俺達の世界の光政を見習えってんだ!」

 

アイザック「とすれば…、そっちの光政は立派な奴なのか?」

 

氷河「ああ。やり方は厳しいが、実に立派で真っ当な人だった」

 

アイザック「そうか…」

 

氷河「アイザック、この並行世界にも水晶聖闘士はいるのか?」

 

アイザック「水晶聖闘士…、一応カミュからカミュが最初にとった弟子で、自慢の一番弟子だったと聞いた事がある。だが、俺がカミュに弟子入りする1年前に任務で殉職したそうだ。どうしてそんな話を?」

 

氷河「俺と俺のいた世界のアイザックは水晶聖闘士の元で修行していたから、水晶聖闘士がこの世界にもいるのか聞きたくなってな」

 

アイザック「俺とこっちの世界の氷河はカミュの元で修業したが、あっちの世界では水晶聖闘士の元で修業していたのか…」

 

氷河「以前から水晶聖闘士がカミュの話をしてくれたが、俺がカミュに初めて会ったのは十二宮の戦いの時だ」

 

アイザック「とすれば、あっちのカミュは氷河の直接の師ではないという事か」

 

氷河「だが、それでもカミュは俺を更なる高みに導いてくれた師も同然の方だ」

 

アイザック「(先生はどの世界でも立派な師だったのか…)」

 

 元の世界でも並行世界でも弟子に過保護な所はあれど、カミュの人格者ぶりは変わらなかった。

 

星矢「アイザック、何で氷河を見た途端、偽者だと言ったんだ?そこをはっきりさせてほしい」

 

アイザック「至って簡単さ…、俺は海底神殿での戦いで氷河に化けた敵にやられてしまったんだ…。だから、同じ過ちを繰り返さないためにさっきのように偽者と決めつけてしまったのさ…」

 

マリア「…大切な人に化けた敵にやられた事がトラウマになってさっきみたいに氷河を偽者と決めつけても無理はないわ」

 

氷河「化ける敵…、アイザックもリュムナデスにやられてさっきみたいに俺を偽者と言ったのか…。兄弟弟子揃って同じ敵にやられてしまうとは、皮肉なものだな…」

 

アイザック「氷河もリュムナデスにやられたのか?」

 

氷河「ああ。俺の時はカミュに化けたがな」

 

王虎「俺達の世界と紫龍達の世界は大まかな所は一緒だが、細かい所が色々と違うようだ」

 

 一方、装者一同は街並みを見渡していた。

 

響「翼さん、この街並み…」

 

翼「ああ、そうだ。…フィーネとの戦いで破壊される前とそっくりだ」

 

マリア「そうなの?」

 

翼「間違いない。この風景は…変わっていない」

 

響「…もしかして、私達過去に来ちゃったとかじゃないですよね?」

 

マリア「時間移動したという事?エルフナインからは、そんな説明はなかったと思うけど」

 

翼「…時間移動はしていないようだ。そこの店のディスプレイを見て見ろ」

 

 通りかかった店のディスプレイには元々の世界の日付と時間が同じだった。

 

響「あ…日付…」

 

翼「ああ、西暦から日時まで全く同じだ」

 

王虎「急ぐぞ」

 

 

 

リディアン

 

 王虎とアイザックの案内で到着した場所はリディアンであった。

 

響「やっぱり、壊れる前にリディアン…」

 

翼「ああ、遠くから見えた時にも思ったが、何から何まで完全に記憶と一致するな…」

 

 そんな中、マリアは空を見ていた。

 

マリア「…2人共、向こうの空を見なさい」

 

 マリアに言われた通り響達が空を見ると、既に月が夕方の空にあった。

 

響「え?あ、もう月が登って来てるんですね」

 

翼「そうだな。綺麗な丸い月が出ている…ん、丸い月だとっ!?」

 

 元の世界でのフィーネとの戦いの後、破壊された月はアテナとアルテミスの手で修復されたものの、まだ綺麗な丸に戻っていなかった。

 

マリア「そうよ。こちらの月は欠けてないのよ。私はこの街にはそこまで詳しくないから、どうもしっくりきていなかったのだけど、月を見てようやく実感が湧いたわ。月が欠けてない、という事はルナアタックがなかったという事。この世界は、あの事件がないままに進んで来た世界なのよ」

 

アイザック「割り込む形で済まないが、お前達の世界の月は欠けたのか?」

 

マリア「ええ。その後にアテナとアルテミスの手で修復されたけど、まだ綺麗な丸の形には戻っていないの」

 

王虎「そうか。それとお前達の話は他の奴等には黙っておくから続きを頼む」

 

マリア「ありがとう、アイザック、王虎」

 

翼「あの事件が起きてないとすれば…フロンティア事変、魔法少女事変も…?」

 

マリア「ええ、起きてないでしょうね。それどころか、フィーネがいるのかどうかもわからないわ」

 

響「だから、街もリディアンも無事なんですね…」

 

星矢「俺達に会わせたい奴って誰なんだ?」

 

王虎「それは…」

 

 突如、悲鳴が聞こえた。

 

紫龍「どうやら、ノイズ退治が先のようだ」

 

アイザック「待て。今からやるノイズ退治はお前達の世界の装者達に任せてほしい」

 

星矢「どうしてなんだよ!?」

 

アイザック「お前達の世界の装者の実力がどれほどのものか確かめたい。頼めるか?」

 

星矢「…わかったよ」

 

響「じゃ、行きますっ!」

 

 

 

市街地

 

 響達の実力を確かめたいというアイザックと王虎の意向でノイズ退治は響達だけでやる事になった。

 

マリア「見える範囲は片付いたわね…」

 

星矢「どうだ?響達の実力は」

 

アイザック「装者としてはなかなかだな。複数人いる事による連携、ギアの特性、それらを活かして戦っている」

 

王虎「普通のノイズなら、敵なしといった所か」

 

 その場のノイズ退治は終了したが、何やら戦いの音が別の方向からしていた。

 

響「翼さん!マリアさん!まだ向こうから戦闘音が聞こえます!」

 

翼「誰かが、戦っている…?」

 

王虎「その音はこっちの世界の装者が戦っている音だ。行ってみるか?」

 

マリア「そうさせてもらうわ!」

 

 響達は急いでその方向へ向かい、星矢達もその後を追った。響達が着いた頃にはその装者がノイズを倒し終わっていた。

 

マリア「…ちょうど片付いた所みたい。やはり、こちらにも装者がいたわね」

 

 だが、その装者を見た響と翼、星矢達は驚愕していた。

 

星矢「おい、嘘だろ…!?」

 

紫龍「まさか…!」

 

氷河「写真とそっくりだ!」

 

マリア「みんなどうかしたの?」

 

響「嘘…。そんな、だって、あの人は…」

 

 その装者こそ、本来の世界では3年前に死んだ翼の相棒、天羽奏であった。

 

翼「か…奏……?奏ぇえええーーっ!!!」

 

奏「…翼…!?」

 

 思わぬ形で奏の姿を再び見る事ができた翼であった。




これで今回の話は終わりです。
今回は紫龍と氷河が並行世界の王虎とアイザックの2人と戦う話でした。
氷河とアイザックの戦いでアイザックが聖衣に宿るカミュの魂に叱責されるシーンは原作でアイオリアが射手座の黄金聖衣に宿るアイオロスの魂に叱責されるシーンを参考にしました。
並行世界の可能性として『もしも氷河ではなく、アイザックが助かってそのままキグナスの聖闘士になったら』とそのおまけとして王虎がドラゴンの聖闘士になっていたらを描きましたが、並行世界の紫龍の死因を病死にしたのは、どうしても並行世界の氷河のような死因が思いつかず、不治の病に侵されての病死しか思いつかなかったからです。並行世界の星矢が姿を現さないのはハーデス戦後の昏睡状態から目覚めていないとしました。
ちなみに、星矢達が来た並行世界は王虎がいる点以外は基本的に聖闘士星矢原作寄りとなっています。
次の話は奏と共に戦っていく事になります。
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