セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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26話 神に最も近い男

白羊宮

 

 未来は並行世界の聖域に到着し、カノンと共に第一の宮、白羊宮に来ていた。

 

ナレーション「聖域決戦の火ぶたは切って落とされた!囚われたアテナを救うためにも、十二の宮を突破せよ!急げ、シンフォギア装者達よ!カノンの作り出した迷宮を響達は突破できたが、その際に切歌と調はアナザーディメンションで天秤宮に飛ばされてしまい、カミュによって氷の檻に閉じ込められてしまった!そして、響達は巨蟹宮を突破し、獅子座の黄金聖闘士不在の獅子宮を突破して、処女宮に迫りつつあった」

 

未来「ここが十二宮…」

 

カノン「お前の仲間達は教皇が提示した12時間以内にアテナを救出しようとしている。もしも、それができなければ、教皇はお前達の世界のアテナをこっちの世界のアテナにするつもりだがな」

 

未来「そんな…!急いで響達と合流しないと…!」

 

 そこへ、ムウが来た。

 

ムウ「お待ちなさい」

 

未来「私は急いでいるんです!そこを通してください!」

 

シオン「うろたえるな、小娘!」

 

 急いでいる未来はシオンに吹っ飛ばされたのであった。

 

シオン「焦ってばかりいては何にもならんぞ」

 

未来「そんな事を言われても…!」

 

ムウ「急ぐのであれば、カノンのアナザーディメンションで一気に処女宮までショートカットできるはずです。あなたのシンフォギアの強度を上げないまま行くと、黄金聖闘士と直接戦う試練において、死ぬだけですよ」

 

未来「でも…」

 

ムウ「それに…、あなたは友達を助けたい一心に任せて動いた挙句、その心を愚かな科学者に利用され、その友達を傷つけてしまったのではないのですか?」

 

 ムウの言った事は紛れもなくフロンティア事変の出来事である事が未来には嫌という程、理解できた。

 

未来「(この人、何でフロンティア事変の事を…?)」

 

ムウ「少し落ち着きましたか?急ぐ気持ちはわかりますが、今できる備えをしてからでも遅くはないはずです」

 

未来「強度を上げるのにどれぐらいかかりますか?」

 

ムウ「5分です」

 

未来「今すぐお願いします!」

 

 すぐにムウはとりかかった。

 

 

 

処女宮

 

 響達は処女宮の前に来ていた。

 

翼「ここが第6の宮、処女宮か…」

 

マリア「デスマスクはシャカの目を開かせるなと言っていたわね」

 

クリス「おまけに、何を考えてるのかわかんねえと言ってたしな」

 

響「話は通じないのでしょうか…?一応、了子さんとの戦いの時はシャカさんは私に力を貸してくれましたし…」

 

マリア「それは私達の世界のシャカの魂の方でしょ?この世界のシャカに話が通じるかどうかは実際に会ってみなければわからないわ。下手をすれば、直接戦う事にもなりかねない」

 

クリス「それは勘弁してほしいぞ…。あたしとバカと先輩は元黄金聖闘士のフィーネに黄金聖闘士の恐ろしさを嫌って程、叩き込まれたんだからな…」

 

翼「しかも、奴は『神に最も近い男』。戦いを避けたいのは私も同じだ。今から突入しよう」

 

響「シャカさーん、今から処女宮へ入りまーす!」

 

クリス「そんな事を言わなくてもいいだろ!」

 

 響達は処女宮へ突入した。すると、不思議な感じがした。

 

マリア「なんて世界なの…?殺気もなければ、人の気配もないわ…」

 

翼「この宮には安らぎと清らかさが満ち溢れている…」

 

響「わあ~っ、とても不思議な世界だ!」

 

クリス「はしゃいでんじゃねえ!あたしらはとっととここも抜けなきゃならねえんだ!」

 

マリア「シャカはこの奥にいるようね」

 

 響達は先へ進むと、奥に座禅を組み、浮かんでいるシャカがいた。

 

響「あの人がシャカさんかぁ…。直接会ってみると、凄い人だなぁ…」

 

マリア「シャカという名前、そしてあの雰囲気、まるで現代に仏陀が生まれ変わって現れたみたいね…」

 

翼「だが、仏陀は輪廻転生の輪から外れているそうだ。あくまでも、仏陀の生まれ変わりのような男と見るべきだろう(ルナアタック事変の際も魂だけの状態でも強大な力の断片を感じてはいたが、そのシャカ本人からは途方もなく強大な力を感じる…!)」

 

マリア「(私は小宇宙に目覚めた事はないけど、あのシャカという男は今までの黄金聖闘士とは力も、雰囲気も違い過ぎる…!)」

 

響「あの…シャカさん、私達は急いで十二宮を突破して沙織さんを助けなきゃいけないんです!その…、シャカさんの試練ってどんな事をすればいいのですか?」

 

 しかし、シャカは答えなかった。

 

響「シャカさ~ん、起きてるのですか?」

 

クリス「聞こえてねえようだぞ。おい、お釈迦様だか何だか知らねえが、寝てるんだったら起こしてやるよ!」

 

 もう我慢できないクリスは早速、シャカ目掛けてガトリングやミサイルをぶっ放した。

 

シャカ「…カーン!」

 

 しかし、ガトリングやミサイルは跳ね返され、クリスに向かっていった。

 

クリス「ちょ、どうなって」

 

 そのままクリスは跳ね返されたミサイルの爆風で吹っ飛ばされた。

 

翼「雪音!」

 

響「クリスちゃん!」

 

シャカ「君達、きちんと挨拶をした立花響以外は行儀が悪いな。立花響以外は挨拶もせずにこの処女宮へ入ってくるなり、いきなりこの私に銃弾やミサイルを放つとは、まるで死肉に飛びつく餓鬼のようだぞ」

 

クリス「ふざけんじゃねえ!あんたが寝てると思ったから、起こそうと思ったんだよ!起きてるのなら、バカの言った事にすぐ答えやがれ!」

 

シャカ「やれやれ、どんな試練を与えようか考えていたのだが、いきなり私に攻撃するなりしてあまりにも行儀が悪いから、君達にお灸を据える事にしよう」

 

 そう言ってシャカは座禅を解き、立ち上がった。

 

響「あわわわわっ、シャカさんが怒ったみたいですよ!」

 

マリア「デスマスクが言ったような黄金聖闘士と直接戦うという、最悪の事態になったわね…!」

 

翼「こうなってしまってはやむを得まい。全員、決死の覚悟で行くぞ!」

 

 翼達はシャカに戦いを挑んだ。まず、翼が刀を巨大化させてシャカに斬りかかったが、シャカは涼し気に指先二本で受け止めた。

 

翼「(何だ?ビクともしない…!)」

 

シャカ「この鈍刀が天羽々斬か?そのような刀が日本神話の伝説の刀とは、たかが知れている。ほぉれ!」

 

 シャカは小宇宙で翼を吹っ飛ばした。

 

翼「うわああああっ!!」

 

響「翼さん!」

 

マリア「今度は私の番よ!」

 

 今度はマリアが短剣を蛇腹剣に変え、伸ばしてシャカを斬ろうとした。

 

シャカ「カーン!」

 

 しかし、シャカに跳ね返されて逆に自分に向かってしまい、マリアは自分の剣に縛られてしまった。

 

マリア「ううっ、そんな…!私の剣が跳ね返されて、締め付けてくるなんて…!」

 

翼「マリア!」

 

響「マリアさん!」

 

 そうしている間にもマリアは締め付けられ、首から血が出そうになっていた。

 

マリア「身体が…、うわあああっ!!」

 

シャカ「ふふふっ、自分の剣に縛られる気分はどうかな?さて、また私が一声するだけで君の首が斬られるだろう。行くかね?ポトリと」

 

響「マリアさん!今、助けます!」

 

 急いで響は拘束を解いたのであった。

 

響「大丈夫ですか!?」

 

マリア「助かったわ…。もう少し遅かったら、首が落ちていたわね…!」

 

クリス「くそっ、まるで神そのものの強さじゃねえか…!」

 

翼「星矢達より上だろうな…!」

 

シャカ「シンフォギア装者の小娘達よ、今から引導を渡してくれる!4人纏めて大人しく餓鬼界へ墜ちたまえ!」

 

 シャカは手と手の間に小宇宙を溜め始めた。

 

響「な、何かやばそうな攻撃が来るみたいですよ!」

 

翼「大技をここで放つ気か…!」

 

シャカ「天魔降伏!」

 

 シャカの強大な小宇宙を叩き込まれ、響達は吹っ飛ばされた。

 

響達「うわああああっ!!」

 

 強烈なシャカの攻撃を受けた響達は気を失った。

 

シャカ「少し力加減を間違えてしまったか…。単にお灸を据えるつもりが、やり過ぎてしまったようだ」

 

 一方、ムウにシンフォギアの強度を上げてもらった未来はカノンのアナザーディメンションで処女宮の前にワープしていた。

 

カノン「ここが処女宮だ」

 

未来「ここに、響達が…!」

 

 そう思うと、響達の悲鳴が聞こえた。

 

未来「この声は…!響や翼さん達の悲鳴だ!響!!」

 

 急いで未来は処女宮へ入った。

 

シャカ「しかし、この程度の実力の者がこの6番目の処女宮まで登って来れたのが、未だ信じられん。彼女達が今まで受けた試練が黄金聖闘士と直接戦う試練でないにしろ、偶然が重なって突破できたとしか思えん」

 

 そんな中、まだ響に息がある事に気付いた。そんな響の元へシャカは近づいた。

 

シャカ「ん?往生際の悪い、死にきれぬ者が1人いたか。このシャカ、黄金聖闘士12人の中でも、最も神に近い男と言われている。しかし、神に比べたら、まるで持ち合わせていないものが一つだけある。それは、敵に対する慈悲の心だ。いや、こうして苦しんでいる者に止めを刺してやるのも慈悲というものかも知れんな。立花響は私と同じ守護星座を持ち、他の3人に比べて行儀がいいのが残念ではあるが、仕方あるまい」

 

 シャカは響に止めを刺そうとした。しかし、突如としてビームが飛んできて、シャカはそれを弾いた。

 

シャカ「このビームは…新たに処女宮に来た君が撃ったのかね?」

 

???「その通りよ!」

 

 ビームを放ったのは、大急ぎで駆け付けた未来であった。

 

未来「響や翼さん達をもうこれ以上傷つけさせない!」

 

シャカ「ふっふっふっ、君は神獣鏡の装者、小日向未来ではないかね?」

 

未来「な、何で私の名前を?」

 

シャカ「そんな事はどうでもよかろう。それに…、君の神獣鏡で私を倒す事は不可能だ」

 

未来「な、何で?」

 

シャカ「至って簡単だ。神獣鏡は聖遺物の力を中和し、聖遺物そのものも分解できる力がある。だが、小宇宙を中和したり、小宇宙を宿している聖衣を分解する事はできない。つまり…、神獣鏡の装者である君の天敵は小宇宙を扱うアテナの聖闘士なのだよ。もっとも、君が私以上の小宇宙を扱えれば話は別だが」

 

未来「例え相手が黄金聖闘士でも、響を傷つけるなら私は戦う!」

 

シャカ「君はそこまで立花響を護るために戦おうというのか。それより、君は私に攻撃した事がどんな報いを受けるのか、わかっているのかな?」

 

未来「それは知らないよ」

 

シャカ「知らなくても無理はない。見たまえ、自分の足元を。もう地獄に入っているぞ!」

 

 素直に未来が足元を見ると、血の池地獄になっていた。

 

未来「な、何なの!?」

 

シャカ「私の血だ。私を攻撃した事で君は私の血の池という、地獄に入ったのだよ」

 

未来「そんな!血の海なんて…!」

 

シャカ「言っておくが、これは幻覚ではない。いわば、これが天罰というものだ」

 

未来「天罰だなんて…!」

 

 そうしている間にも、血の池は水位が上がっていった。

 

シャカ「だが、君の助かる術はただ一つだけある。それは…私の前に跪く事だ!そして土下座して頭を擦り付け、この私を拝め!」

 

未来「何?土下座して、あなたを神と崇めろと言うの!?」

 

シャカ「そうだ!それによって、万に一つ救われるかも知れん」

 

未来「嫌だ!あなたに土下座して自分だけ助かるぐらいなら、私の命を捨ててでも響達を助ける!」

 

シャカ「強情だな。だが、そうしないと今度は君が血の池地獄に浸りきって死んでしまう事になるのだぞ。さぁ、友や仲間を見捨てて私に跪き、助けを乞うのだ!」

 

未来「だから、それは嫌!」

 

シャカ「君の強情さは予想以上だな。血の池地獄に浸っても尚、私に跪かないとは…」

 

 思った以上に未来が強情なため、シャカは血の池地獄を解いた。

 

未来「何…?」

 

シャカ「友のために私に一切跪かないとは…。ふふふ…、君の友を想う心に興味が湧いてきたぞ。未来よ、選べ。今から見せる6つの世界を、一番気に入った場所こそ、君が死んでいく世界だ」

 

未来「気に入ったところが死んでいく世界?そんな事があるなんて…!」

 

シャカ「六道輪廻!」

 

未来「きゃあああああっ!!」

 

 シャカの六道輪廻により、未来の精神は仏教における6つの世界を彷徨う事となった。

 

シャカ「仏教における6つの世界の中の第一の世界、地獄界。火の海、血の池、針の山、尽きる事のない断末魔の恐怖、ここに堕ちた者は未来永劫苦しみ、悶える。第二は餓鬼界、体は骨だらけ、腹だけが膨れ上がり、常に食べ物を求め、死肉さえも喰らい尽くす貪りの日々が続く餓鬼道に堕ちた者達の世界。第三の畜生界は、まさに動物の姿に変身させられた者達が織りなす、弱肉強食の獣の世界。第四が修羅界、血と殺戮、常にだれかと戦わなければならない修羅の道。休む事なく永遠に戦いが繰り広げられるのだ。喜怒哀楽、揺れ動く感情に苛まれ続ける不安定な人間の世界、人界。最後に極楽の世界といわれるが、ここは思い一つで人界を通り越し、畜生、餓鬼、地獄の界へ転がり落ちる最も危険な場所、天界」

 

未来「きゃああああっ!!」

 

 六道輪廻で6つの地獄を巡ったため、未来は気を失った。

 

シャカ「六道へ墜ちたか、未来よ。さしずめ、君が墜ちそうな場所は感情に苛まれ続ける人界であろう。友が傷つく姿と己の無力さにずっと苛まれ、愚かな科学者にその心を利用された程なのだからな。だが手を抜いたとはいえ、流石に六道輪廻はやりすぎたか…」

 

 しかし、未来の指が動き、未来が立ち上がろうとした。

 

シャカ「ほう、まだどこにも墜ちていなかったか…」

 

未来「当然よ…。だって…、ここで死んだら永遠に成仏できないし、まだ沙織さんや響達を助け出せてない!」

 

シャカ「私の六道輪廻を受けても尚、立ち上がれるのは立花響との友情が君を動かしているとみえる。あの愚かな科学者が目を付けたのも無理はない」

 

未来「(さっきから黄金聖闘士は私達の事を知っているとしか思えない事を言ってくる。どうして、私達の事を知っているの…?)」

 

シャカ「(小日向未来、君の魂は立花響と同様に穢れなきものだ。これほど穢れがない魂を持った人間を見たのは私も生まれて初めてだ…。ますます興味深い…!)未来よ、君の立花響への友情にますます興味が湧いてきた。このバルゴのシャカ最大の奥義を受けて再び立ち上がれるようならば、立花響や仲間達と共にここを通す事にしよう!天舞法輪!」

 

 穢れなき魂を持ち、未来の友のために戦う姿に興味が湧いたシャカは最大の奥義、天舞法輪を発動させた。

 

未来「な、何なの、これ!?」

 

シャカ「この天舞法輪は宇宙の真理。完璧に定められた、調和の世界。この天舞法輪は、いわば攻撃と防御一体の戦陣ともいえる。未来よ、この天舞法輪の力が、今から君の五感を断つ!」

 

未来「五感を…断つ…?」

 

 その時、シャカは目を開けた。

 

未来「あなたは…盲目じゃなかったの!?」

 

シャカ「その通りだ、私は盲目ではない」

 

未来「あああああっ!」

 

 目が開いたのと同時に未来の感覚の一つが消えた。

 

未来「体の感覚が消えて…、身体が麻痺して動かない…!」

 

シャカ「そうだ!未来よ、君は今、触覚を失ったのだ。もはや動く事はできない」

 

未来「そんな事って…。それに、何であなたは沙織さんを拉致した教皇と黄金聖闘士とに加担しているの!?沙織さんを拉致するように命じた教皇が悪い人だとわかっているの!?」

 

シャカ「他の感覚を潰す前に教えよう。私は正義のために戦っても、悪のためには決して戦わない。私には、どんな相手も正義であるか、悪であるかわかる。その私が見た教皇は……正義だ!付け加えておくが、教皇の悪の人格を見抜けなかった君達の世界の私と違い、悪の人格がない事も判断した上での結論だ」

 

未来「教皇が正義だなんて…」

 

シャカ「さて、今度は続けて残りの感覚を全て破壊してやろう。次は嗅覚、味覚、視覚、そして聴覚だ!」

 

未来「あああああっ!!」

 

 一気に未来は残りの感覚を全て潰され、動けなくなった。

 

シャカ「五感は全て破壊した。さぁ、立ち上がれるのかな?」

 

 そんな中、響は意識を取り戻した。

 

響「うぅっ…」

 

 見回してみると、未来を発見した。

 

響「未来…、来てたんだ…!助け…なきゃ…!」

 

 シャカの技のダメージが残る体を押して這ってでも響は未来の元へ少しずつ向かっていった。未来の方も感覚を失いながらも、本能で響の存在を感じ取っていた。

 

未来「(何も見えない…、何も聞こえない…、何も感じない…。これが…響も味わった五感を破壊された状態…。でも…、見えなくても、聞こえなくても、感じなくても、響が近づいている気がする…!行かなきゃ…!)」

 

 五感を潰されたのにも関わらず、未来が体を這って動き出した事にシャカは驚いた。

 

シャカ「(五感を潰されたのに動いた?やはり、小日向未来はどこか違うのか…?ん?)」

 

 未来が向かう先に、未来の元へ向かう響がいた事に気付いた。

 

シャカ「(小日向未来は立花響の元に向かっているだと?五感がないのになぜ…?見た所、六感でもない。まさか…彼女は本能で立花響のいる場所へ向かっているというのか…?)」

 

 衝撃を受ける中、響は未来の元に到着し、未来と手を繋いだ。

 

未来「(感覚を失ってもわかる…、響の手の温もりが…!)」

 

響「力が…あの時の力が…湧いてくる…!」

 

 2人の感覚を失っていても本能でわかる友情が、奇跡を起こしたのであった。

 

シャカ「こ、これは……小宇宙だと!?それも、私が今まで感じた事もない未知の強大な小宇宙だ!」

 

 2人から力が溢れ、それが自分も知らない未知の強大な小宇宙であるとシャカは知ったのであった。

 

響「あの時の小宇宙が…溢れてくる!」

 

未来「私も漲ってくるよ、響!そして、感覚が戻った!」

 

 そして2人は立ち上がった。

 

響&未来「はああああ~~っ!ああっ!」

 

 そして2人は小宇宙を燃やしたが、急に強大な力が湧いたために制御できず、倒れてしまった。

 

シャカ「強大な力を制御できずに気を失ったか…。しかし、私の天舞法輪を受けて立ち上がるどころか、今まで見た事のない面白いものを見せてくれた。よって、この処女宮を通すとしよう」

 

 思わぬ奇跡を起こした2人にシャカは笑みを浮かべて見ていたのであった。そして、2人はシャカの小宇宙で傷を治してもらい、他の面々も起きた。

 

響「私達、通っていいんですか!?」

 

シャカ「そうだ。君と小日向未来が起こした奇跡を私は目の当たりにした。よって、君達を通すとしよう」

 

クリス「元はと言えば、話をややこしくしてしまったのはてめえ自身じゃねえか!この上から目線野郎!」

 

シャカ「…ふっふっふっ。クリスよ、君にはお灸を据えるのが足りなかったようだ。もっとお灸を据える必要があるようだな。さぁ選べ、六道輪廻を受けるか、天舞法輪を受けるか、シンフォギアを破壊されてぽんぽんすーとやらになるのかをな!」

 

 そう言ってシャカは小宇宙を溜め始めた。

 

クリス「ふ、ふざけんじゃねえ!てめえのやろうとしてる事は全部途方もない嫌がらせじゃねえか!!」

 

シャカ「君に選択の権利を与えたのだぞ。それだけでも私なりの慈悲なのだが…」

 

未来「シャカさん、六道輪廻や天舞法輪はやめてください!6つの地獄を見せたり、感覚を破壊するのはやりすぎですよ!」

 

翼「6つの地獄を見せたり、五感を破壊するだと!?」

 

マリア「(どっちも想像したくもないほど恐ろしいわね…。シンフォギアを破壊されてぽんぽんすーになるっていうのも、別の意味で恐ろしいけど…)」

 

響「クリスちゃんが怒るのも無理はないんです!シャカさん、怒りを鎮めてください!」

 

シャカ「無論、さっきのは冗談だ」

 

クリス「(全然そうとは思えねえぞ…。隙あらばろくでもねえ事をするつもりだな…!)」

 

翼「小日向、処女宮突破の最大の功労者はお前だ!」

 

マリア「あなたが来てくれなかったら、全滅していたわ」

 

未来「翼さん…、マリアさん…」

 

クリス「さっさと出発するぞ!もたもたしてたら、あっという間に十二時間過ぎちまうからな!」

 

 響達は未来を加えて処女宮を抜け、次の天秤宮へ向かったのであった。響と未来の姿をシャカは遠くから見ていた。

 

シャカ「まさか、あの2人が奇跡を起こしたとは…!だが、あの2人は私から見ても明らかにおかしい。一体、その理由は何なのやら…」

 

 2人の事が気になるシャカであった。そして、処女宮での戦いの一部始終をカノンは見ていた。

 

カノン「これは面白いものを見る事ができたな。あいつに知らせるとするか」

 

 そう言ってカノンは誰にも気づかれぬように処女宮を出たのであった。

 




これで今回の話は終わりです。
今回はシャカとの戦闘と未来の参戦を描きました。
シャカと主に絡むのが響と未来にしたのは、今小説の参考にしたロストキャンバスとシンフォギアの小説で乙女座の黄金聖闘士のアスミタが響や未来と絡みが多かったため、そんな感じにしました。もっとも、今小説の参考にした小説のアスミタは結構響に厳しいのですが、今小説のシャカは割と響を評価している感じに描いています。
シャカは徹底的に理不尽に描いていますが、原作やアニメでも言い方や態度がドSで理不尽なため、今小説でも徹底的に理不尽に描く事にしました。
次の話は天秤宮と天蠍宮の話となり、切歌や調とも合流します。

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