セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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28話 襲い来る獅子と聖剣と凍気

人馬宮

 

 響達は第9の宮、人馬宮に到着した。

 

ナレーション「聖域決戦の火ぶたは切って落とされた!囚われたアテナを救うためにも、十二宮を突破せよ!急げ、シンフォギア装者達よ!未来と合流した響達は天秤宮に到着し、童虎からライブラの武器を借りて切歌と調を救出し、次の宮へのみちを切り開いた。そして、次の天蠍宮で待ち受けていたスコーピオンノイズを切歌と調が打ち倒し、一同は人馬宮へと進んだ」

 

響「ここが人馬宮か…」

 

マリア「時計の方は天秤宮の火が消えたわよ」

 

未来「ここを抜けて、あと3つの宮を抜ければ教皇の間だよ」

 

クリス「いっちょ、行くぜ!」

 

 装者一同は人馬宮へ入った。すると、二人の黄金聖闘士が待っていた。

 

アイオリア「待っていたぞ、シンフォギア装者達よ。俺の名は獅子座、レオのアイオリア。そして隣にいるのが兄の射手座、サジタリアスのアイオロスだ」

 

アイオロス「君達は既にミロから聞いていると思うが、この宮は私の試練とアイオリアの試練、どちらかを受けなければならない。私の試練は困難な道を進むもの。そしてアイオリアの試練はアイオリアと直接戦う事だ」

 

アイオリア「どっちも困難な道だ。選択する権利は君達にある」

 

 どちらの試練を受けるのか、装者一同は色々考えた。

 

翼「どっちにするべきか…」

 

マリア「どちらかが罠だとも考えられるから、全員で同じ試練を受けるのは危険よ。。とりあえず、私がアイオリアに挑む事にするわ」

 

クリス「あたしらは困難な道にしとく。できれば黄金聖闘士との直接対決は避けたいからな…」

 

 完全に手を抜いている状態のシャカに一蹴されたのが未だに強烈なインパクトとして残っていたのであった。

 

アイオリア「決まったようだな」

 

アイオロス「では、私の試練の困難な道の入り口はここだ!」

 

 アイオロスが壁目掛けて黄金の矢を放つと、壁が砕けて洞窟が出現した。

 

調「壁の向こうに洞窟が…」

 

切歌「どうなってるんデスか!?」

 

アイオロス「この先が私の試練となる困難な道への入り口だ。さぁ、通るがいい!」

 

クリス「そうさせてもらうぞ!」

 

 罠の可能性も考えてマリアがアイオリアに挑む事となり、残りのメンバーはアイオロスの困難な道へ突き進む事にした。

 

アイオリア「君が俺に挑むのか」

 

マリア「(相手は黄金聖闘士…。実力は私達より遥かに上で、少なくとも星矢達とは同等かそれ以上は確定ね…。そんな相手に私はどこまで持つのかしら…?)」

 

アイオリア「言っておくが、俺の試練もアイオロス兄さんの試練も確実に君達を潰すような罠は存在しない」

 

マリア「要するに、どっちも正解って事ね」

 

アイオリア「そうだ。さぁ、かかってくるがいい!」

 

 マリアは勝てないのを承知の上でアイオリアに戦いを挑んだ。

 

 

 

洞窟

 

 マリアがアイオリアに挑んでいる間、響達はアイオロスの試練である困難な道を進んでいた。

 

響「狭いね…」

 

切歌「こんな場所に洞窟なんてどうなってるんデスか?」

 

未来「とにかく、何があるかわからないから注意して」

 

 響達は注意しつつ、道を進んだ。しばらく進んでいると、何か音がした。

 

翼「何か音がするぞ」

 

 突然した音に一同は警戒したが、音はどんどん大きくなっていった。

 

調「これって…」

 

クリス「まさか……!」

 

 一同が上を見上げると、天井が落ちてきている事に気付いた。

 

クリス「天井が落ちてきてるじゃねえか!!」

 

響「あわわわわっ!!」

 

切歌「このままじゃ、みんなペチャンコデス!」

 

翼「うろたえるな!これより、全速力で一気に駆け抜けるぞ!!」

 

 一同は全速力で駆け抜け、何とか全員天井に押しつぶされずに済んだ。

 

響「あ~、助かった…!」

 

未来「陸上をやってなかったら私が押し潰されてたかも…」

 

響「未来、そんな呪われた事、言わないでよ…」

 

切歌「マリアは今頃、どうしているのデスか…?」

 

調「きっと、黄金聖闘士にやられて…」

 

翼「マリアを信じろ!私達がやらねばならぬ事は、一刻も早く教皇の間に到着し、沙織お嬢様を助け出さねばならぬのだ!」

 

クリス「だったら、ぼさっとしてられねえな」

 

切歌「何か光ってるデスよ」

 

 光っている場所へ向かうと、そこは光っていた。

 

調「これって…」

 

翼「ヒカリゴケみたいなものか…?」

 

響「じゃあ、渡って行きましょう!」

 

未来「待って!そのまま行くと真っ逆さまになるかも知れないよ」

 

クリス「ってなりゃ、ここは歩かずにわたるしかねえな。先輩や後輩達はあたしのミサイルに乗りな!」

 

未来「響は私にしっかり掴まって。私が響の特等席なんだから」

 

響「うん!」

 

 翼達はクリスと共にミサイルに乗って渡り、響はギアに浮遊能力がある未来にしっかり掴まって渡る事となった。

 

翼「よし、そのまま先へ進むぞ!」

 

 そのまま一同は先へ進んだ。そして、様々な困難がありながらも力を合わせて乗り越えて出口に着くと、そこにはアイオロスがいた。

 

アイオロス「よくぞここまで辿り着いた。よって、君達の通過を認めよう」

 

クリス「よーし、これで人馬宮突破だ!」

 

調「マリアは?」

 

アイオロス「君達はやるべき事があるのではないのか?」

 

切歌「そうだけど、マリアが…」

 

翼「…行こう、私達のやるべき事は沙織お嬢様を助け出す事。ここで立ち止まるわけにはいかない!」

 

響「翼さん…」

 

アイオロス「ここから人馬宮の出口に繋がっている」

 

 一同は洞窟を出て、人馬宮を突破したのであった。それと同時にアイオロスは何かに気付いた。

 

アイオロス「これは…!」

 

 急いでアイオロスは人馬宮へ戻ったのであった。

 

 

 

人馬宮

 

 響達が人馬宮を突破した際、マリアはアイオリアと戦っていたが、手を抜いていてもアイオリアの方が圧倒的に強く、敗北はもはや時間の問題となっていた。

 

アイオリア「これ程までに力の差を見せつけられても戦う心が折れないとはな…。一度は世界を敵に回しただけの事はある」

 

マリア「私達はね…、一刻も早く私達の世界のアテナを…城戸沙織を助け出さなければならないのよ!だから…、負けるわけにはいかないの!」

 

 もはや限界に近い体を押してマリアはアイオリアに斬りかかったが、光速の動きができるアイオリアには全く当たらなかった。

 

アイオリア「マリア、十二宮を突破しようとした時の星矢達のように折れない闘志を持つお前に俺も力の一部を出して応えるぞ!ライトニングプラズマ!!」

 

マリア「うわああああっ!!」

 

 1億発もの光速の拳がマリアを襲い、マリアはライトニングプラズマをまともに受けて吹っ飛ばされ、頭から地面に激突した。

 

アイオリア「これでお前は終わりだろう、マリア…」

 

 そう思ってアイオリアが背を向けた途端、何かの力を感じた。

 

アイオリア「この強大な力は…小宇宙?」

 

 すぐにアイオリアが振り向くと、ボロボロながらも立ち上がろうとするマリアの姿があった。

 

マリア「言ったでしょ…、負けるわけにはいかないって…。こうなったら、もう翼達に後の事を託すしかないわね…。行くわよ、私の絶唱を!」

 

 もう他に方法がないと判断したマリアは絶唱を唄った。

 

アイオリア「これは…、シンフォギア装者が最後の手段として使う歌、絶唱というものなのか?」

 

マリア「(己を追い込み、力を引き出す。まさか、紫龍のやっている事を私がやる事になるとはね…)」

 

 ただでさえボロボロの状態で絶唱を使ったためにバックファイアが途方もないものであったが、極限まで追い込まれた事でこれまで扱った事のない未知の力も目覚めたのであった。そして、未知の力によってギアが変化し、エクスドライブモードとなった。

 

アイオリア「な、何だ!?この力はもしかすると…小宇宙!?だが、セブンセンシズでもないのにそれに匹敵するこんな小宇宙は今まで一度も感じた事もない!」

 

マリア「(この宇宙を感じるような力…。これが、小宇宙なのね…!)この一撃にかける!悪を切り裂く聖剣、受けてみよ!」

 

 最後の力と小宇宙を振り絞り、マリアはNEMESISHMMERを放った。

 

アイオリア「よかろう、お前の最後の一撃に俺も渾身の一撃で応えよう!ライトニングボルト!!」

 

 小宇宙を込めて放ったこの一撃は今までの攻撃とは威力が比較にならず、アイオリアのライトニングボルトとも互角の威力であった。

 

アイオリア「こ、これほどの威力とは…!うわあああっ!!」

 

マリア「ああああっ!!」

 

 技の威力が拮抗した状態が続いたために爆発が起こり、アイオリアもマリアも壁に叩きつけられた。

 

マリア「みんな…、後は…頼むわよ…」

 

 技を放ち終わったマリアは血涙を流しており流血もひどく、エクスドライブモードが解除された後に倒れてしまった。

 

アイオリア「まさか、小宇宙を扱った事がないシンフォギア装者が土壇場でセブンセンシズ以上の小宇宙に目覚めたとは…」

 

 そこへ、アイオロスが駆け付けた。

 

アイオロス「大丈夫か、アイオリア!」

 

アイオリア「アイオロス兄さん、彼女の最後の一撃にしてやられたよ…。彼女は未知の小宇宙に目覚め、ライトニングボルトと互角の威力の攻撃を放ったんだ…。そして、その爆発の余波で俺は吹っ飛ばされたよ…」

 

アイオロス「さっきの気配はそれか…」

 

 アイオロスはマリアの元に駆け付けた。

 

アイオロス「(まさか、未知の小宇宙に目覚めてアイオリアさえ吹っ飛ばすとは…。この場で死なせてはならない!それに、彼女の守護星座はカシオペアで間違いない!)」

 

 急いでアイオロスは絶唱のバックファイアで死にかかっているマリアの星命点を突いた。

 

アイオロス「これで止血した。仲間のシンフォギア装者達よ、マリアは私達が絶対に死なせないぞ…」

 

 そして、アイオロスは自身の小宇宙でマリアの治癒を行ったのであった。

 

 

 

磨羯宮

 

 一方、響達は10番目の宮、磨羯宮に辿り着いた。

 

クリス「ここが10番目の宮か…」

 

切歌「ここも含めてあと3つの宮を抜ければもうゴールなのデス!」

 

調「長かったけど、もうすぐ終わるよ」

 

翼「このまま突っ込むぞ!」

 

 一同は磨羯宮に突っ込んでいった。

 

未来「静かだね…」

 

響「あのー、ここを守護する黄金聖闘士はいませんか~!?」

 

クリス「バカ、自分から知らせる奴がいるか!」

 

響「だって、きちんと試練を突破しなきゃ通過できないんだよ」

 

 そう言ってると、聖闘士に剣を渡すアテナの像があった。

 

切歌「この像はなんデスか?」

 

翼「以前、紫龍から聞いた事がある。神話の時代、山羊座の聖闘士は最もアテナに忠誠心が厚く、それを称えられてアテナが直々に聖剣を渡したという話を聞いた。フィーネとの戦いで私に力を貸してくれたシュラも真実を知らなかったとはいえ、アテナに忠誠厚き山羊座の聖闘士に変わりなかったと紫龍も誇らしげに語ってくれた…」

 

響「そうだったんですか…」

 

 結局、磨羯宮を見回してもシュラは出てこなかったため、響達は磨羯宮を出て、宝瓶宮へ向かおうとした。

 

未来「シュラって人はいないみたいだよ」

 

切歌「きっと、この世界にはいないのデス!磨羯宮は突破なのデス!」

 

響「ラッキーだったね!」

 

???「バカめ、誰もいないと思っていたのか!?」

 

 その声と共に突然、響達の目の道が真っ二つにされてしまった。

 

クリス「な、何が起こったんだよ!」

 

翼「その声はシュラか!」

 

 声の主はシュラであり、しかもカミュまでいた。

 

調「カミュまで…!」

 

切歌「黄金聖闘士がまた2人同時に邪魔してくるのデスね!」

 

カミュ「いかにも」

 

シュラ「俺は小細工が苦手なのでな、直接戦う方が性に合ってる」

 

クリス「ここは黄金聖闘士2人と直接戦わなけりゃならねえのか…!」

 

翼「一つ聞く。なぜ、宮の中で戦おうとしない?」

 

シュラ「お前達も見ただろう?アテナの像を。あの気高いアテナ像をお前達小娘の血で汚すわけにはいかん」

 

翼「そのアテナに忠誠厚きお前は私達の世界のアテナを攫う事が恥だとは思わんのか!?」

 

シュラ「それ以上の問答は無意味だ。大人しくカミュに魂まで凍らされるか、俺のエクスカリバーの錆となるがいい!」

 

 シュラとカミュは身構えた。

 

翼「立花、雪音、小日向、お前達は先に行け!この場は私と暁と月読が何とかする!」

 

響「翼さん!?」

 

翼「雪音と小日向ならその道を通る事ができる!だから、3人だけでも先へ進むんだ!」

 

響「でも…」

 

クリス「おい、先輩の言う通りに先へ行くぞ」

 

未来「響の気持ちはわかるけど、今は沙織さんを助けるのが最優先だよ」

 

響「未来…。わかったよ」

 

 クリスはミサイルで、未来は響を掴まらせてギアの浮遊機能で崖を超え、先へ進んだのであった。

 

カミュ「なるほど、そうやって超えるとは考えたものだな」

 

切歌「カミュ、さっきのリベンジマッチなのデス!」

 

調「私達を甘く見ない方がいいわよ!」

 

カミュ「よかろう。君達こそ、全力を以て向かってくるがいい!」

 

 カミュになすすべもなく負けた事が悔しいため、切歌と調はカミュに向かっていった。

 

シュラ「お前の相手は俺だ、翼!その鈍刀など、エクスカリバーで両断してくれるっ!」

 

翼「アテナに忠誠厚き聖闘士でありながら、私達の世界のアテナに無粋な事をした愚か者の剣に防人の剣は折れはせん!」

 

シュラ「俺は実力もないのにデカイ口を叩く奴が嫌いでな。行くぞ、翼!」

 

 翼はシュラに向かっていった。刀でシュラに斬りかかったものの、全てシュラの右腕に防がれていた。

 

シュラ「どうした、翼。お前達の世界の俺が力を貸した事があるというのに、そんなザマでは鋼のように研ぎ澄まされた俺の両手両足を両断するどころか、傷1つ付けられないぞ」

 

翼「まだだ、シュラ!まだ戦いは始まったばかりだ!」

 

 ただ、斬りかかるだけではダメだと判断した翼は刀を巨大化させてシュラを両断しようとした。

 

翼「喰らえ!」

 

 しかし、シュラはすぐに翼の背後に回り込んだ。

 

シュラ「甘いぞ、翼!そんな技が黄金聖闘士に通用するか!自分が仕掛けた技の勢いで自分が吹っ飛べ!ジャンピングストーン!」

 

 翼の両脇を自分の足で抱え上げ、そのまま投げ飛ばした。

 

翼「うわあああっ!!」

 

 攻撃の勢いを利用されてしまい、翼は吹っ飛ばされて壁に叩きつけられ、地面に落ちた。一方、切歌と調はカミュのスピードと凍気の前になすすべもなかった。

 

切歌「行くデスよ!」

 

 鎌で斬りかかったものの、カミュには容易く避けられてしまった。

 

カミュ「そんなスピードでは私を捉える事はできんぞ」

 

調「(やっぱり、黄金聖闘士と直接対決となると、スピードやパワーではとても太刀打ちできない…!)」

 

 フロンティア事変の際もマリアや切歌と3人がかりで瞬に挑んでも鎖で3人一緒に拘束され、軽くあしらわれて聖闘士との実力差を嫌という程思い知らされた調だが、今回も黄金聖闘士との実力の差を嫌という程、見せつけられたのであった。

 

カミュ「今度はこっちの番だ。ダイヤモンドダストォ!」

 

 カミュのダイヤモンドダストを咄嗟にかわした切歌と調だったが…。

 

切歌「足が…動かないのデス…!」

 

調「そんな…!これじゃあ、ローラー移動もできない…!」

 

 かわしたのにも関わらず、自分達の足が凍って動けない事に2人は驚いていた。

 

カミュ「驚いているようだな。シンフォギアの耐冷性能はそれが限界だ。それに、この程度の事は私の孫弟子の氷河にもできる」

 

切歌「氷河のできる事がカミュにもできるなら…」

 

調「オーロラエクスキューションもできる事になる…」

 

カミュ「当然だ。お前達が良く知っている向こうの世界の氷河がオーロラエクスキューションを使えるのも、向こうの私が命をかけて授けたからだ。だから、祖父師である私にもできる」

 

切歌「な、何だか体の感覚がなくなってきたデス…」

 

調「私もよ、切ちゃん…」

 

 シンフォギアでさえ凍る冷気に切歌と調の体の感覚がなくなり始めた。翼の方はシュラのエクスカリバーの前になすすべもなく、体のあちこちに切り傷が出来ていた。

 

シュラ「翼よ、本来のエクスカリバーの威力はこんなものじゃないぞ。そもそも、本来の威力で撃ったらお前の身体など、豆腐のようにスパッと切れるのだからな」

 

翼「(そもそも、黄金聖闘士との実力の差は恐ろしいほどある。だが、防人たるこの私はここで負けるわけにはいかない!立花達を教皇の間へ行かせるためにも!紫龍がやっているように己を追い込み、力を引き出さねば!今こそ、絶唱を使う時!)シュラ、例え体が切り裂かれようとも、私は決して折れる事はない!今こそ、防人としての意地を見せる!」

 

 どうあがいてもシュラに勝てないがために最早、絶唱を使うしかないと判断した翼は絶唱を唄った。

 

シュラ「なぜこんな時に唄い出す!?そもそも、この歌は何だ!?(まさか、これが絶唱とやらだとでも…?)」

 

 あまり音楽に縁がないため、シュラにとって絶唱が何なのか理解できなかった。そして、絶唱を唄った翼は出血し、フィーネとの戦いのように未知の小宇宙に目覚め、その小宇宙によってエクスドライブモードが起動したのであった。

 

シュラ「これは小宇宙!?それに、鎧が変化した!?まさか、あの歌は紫龍がやったような己を追い込み、力を引き出すための歌だったとでもいうのか!?」

 

翼「行くぞ、シュラ!これが私の聖剣だ!聖剣抜刀!!」

 

シュラ「よかろう。翼、お前の捨て身の覚悟に応え、この俺も本気で行かせてもらうぞ!これが俺の本気のエクスカリバーだ!!」

 

 翼のアームドギアである刀は小宇宙を込めた事で巨大なビームの剣となり、シュラ目掛けて振り下ろした。シュラ自身も本気になって小宇宙を高め、右手のエクスカリバーを巨大な光の刃とし、翼の剣と斬り合った。

 

翼「はああああああっ!!」

 

シュラ「うおおおおおおっ!!」

 

 鍔迫り合いは続いたが、あまりのエネルギーのぶつかり合いに大爆発を起こし、二人とも吹っ飛んでしまった。

 

シュラ「うわあああああっ!!」

 

翼「ぐはっ!」

 

 吹っ飛んだ2人は壁に叩きつけられ、翼の方はエクスドライブが解除されて倒れてしまった。一方のシュラはダメージが多少残りながらも、立ち上がった。

 

シュラ「(仲間のために命をかけるとは…。見事だ、翼。お前はハーデスとの戦いで戦死した紫龍を思い出させるような女だ…。故に、ここで死なせるわけにはいかん!)」

 

 シュラは翼の星命点を突き、出血を止めた。

 

シュラ「見た所、翼の守護星座は鶴座のようだな」

 

 その頃、切歌と調は絶体絶命の危機に陥っていた。

 

カミュ「君達では私に勝つ事は不可能だ」

 

切歌「そんな事は…ないのデス…!」

 

調「例え勝てなくても…一矢報いるまでは…やる…!…響さん達を…、行かせるために…!」

 

 最早、絶唱以外に方法がないと判断した切歌と調は絶唱を唄った。そして、バックファイアで自分自身が追い込まれた事で2人は未知の小宇宙に目覚め、その小宇宙によってエクスドライブモードが起動したのであった。

 

カミュ「これは…、今まで感じた事もない未知の小宇宙だ…!」

 

切歌「これが小宇宙なのデスか…!」

 

調「そうみたい…。一気に勝負を決めよう、切ちゃん!」

 

 一気に勝負を決めるため、小宇宙を込めて切歌は鏖裁・號OォT壊eルを、調はΛ式・雙刃クロスを放った。

 

カミュ「その小宇宙を込めた威力、どれ程のものか試そうではないか!フリージングコフィン!」

 

 咄嗟にカミュは目の前にフリージングコフィンを作り出し、二つの攻撃を阻んだ。

 

調「こんな氷なんて…!」

 

切歌「あたし達が壊してやるのデス!」

 

 その言葉と共にフリージングコフィンにヒビが入った。

 

カミュ「フリージングコフィンにヒビが?」

 

 そして、ヒビが大きくなってフリージングコフィンは破壊され、その衝撃でカミュは吹っ飛んだ。

 

カミュ「ぐっ!2人がかりでとはいえ、フリージングコフィンを破壊するとは…!」

 

 技を放ち終わった後、切歌と調はエクスドライブモードが解除され、大量出血で倒れたのであった。ちょうどその時にミロが到着した。

 

ミロ「カミュ、さっきの小宇宙は何だ!?」

 

カミュ「あの2人が放ったものだ」

 

 未知の小宇宙を放ったのがカミュの視線の先にいる切歌と調である事がミロにもわかった。

 

ミロ「驚いたな、まさか小宇宙を扱った事のない者がセブンセンシズすら超えた未知の小宇宙に目覚めたとは…」

 

カミュ「故にこの場で死なせるわけにはいかない。ミロも手伝ってほしい」

 

ミロ「わかった」

 

 すぐにカミュとミロは切歌と調の星命点を突き、止血した。

 

カミュ「どうやら切歌は地獄の番犬座、調は御者座が守護星座のようだ」

 

ミロ「聖闘士としての訓練を受けていれば、星矢達にも負けない聖闘士になれていただろうな…」

 

 絶唱のバックファイアで気を失っている2人を見て呟くミロであった。

 

 

 

双魚宮

 

 双魚宮では本来ならばアフロディーテが立ちはだかるはずだったが、響達の未知の小宇宙に興味を持った教皇が直々に待ち構えていた。

 

教皇「さぁ、来るがいい。そして、私に今まで感じた事もない未知の小宇宙とやらを見せてみろ…!」

 

 不気味に待つ教皇であった。

 

 




これで今回の話は終わりです。
今回はアイオリアとアイオロスの兄弟それぞれの試練と、シュラとカミュが同時に出てくるのを描きました。
アイオリアは最初は獅子宮で出そうと思いましたが、せっかく兄のアイオロスと共演させるのであればと思い、人馬宮で兄のアイオロスと共に出す事にしました。アイオロスの試練はぶっちゃけアニメの人馬宮アスレチックの再現です。アイオリアの試練が本人との直接対決なのは、アイオリア本人が小細工が苦手な脳筋だからです。
シュラとカミュが同時に出てきて邪魔した際に響と一緒に行くメンバーを未来とクリスにしたのは、響は未来を放っておけないだろうと思ったためで、クリスは色々悩んだ結果、最後まで同行させる事にしました。
響達の守護星座は今小説のアイデア元となったロストキャンバスとシンフォギアの小説での響達の守護星座を参考にしましたが、今小説の響の守護星座が乙女座なのは誕生日繋がり、調の守護星座が御者座なのはソーサー繋がりで、切歌の守護星座が地獄の番犬座なのは切歌に似合う守護星座がどうしても思いつかず、消去法で地獄の番犬座にしました。ちなみに、翼の守護星座は今小説のアイデア元のロストキャンバスとシンフォギアの小説と同じ鶴座、奏は鷲座、未来は琴座、クリスは冠座、マリアはカシオペア座で、まだ未登場のセレナの守護星座に関しては秘密です。
次の話は遂に教皇との直接対決となり、十二宮の戦いの真実が明らかとなります。そして、黄金聖闘士達が響達の事をよく知っているのも明らかとなります。

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