セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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29話 教皇の正体と真実

宝瓶宮

 

 残された響達は教皇の間へ向かっていた。

 

ナレーション「聖域決戦の火ぶたは切って落とされた!囚われたアテナを救うためにも、十二の宮を突破せよ!急げ、シンフォギア装者達よ!人馬宮でアイオロス兄弟が立ちはだかり、罠の可能性も考えてマリアがアイオリアに挑み、残りのメンバーはアイオロスの試練に挑んでそれを突破した。そして、その先の磨羯宮では、シュラとカミュが待ち構えており、翼と切歌と調が応戦する事となった。そして、響達を教皇の前へ行かせるためにマリアと翼と切歌と調は絶唱で己を追い込み、小宇宙に目覚めて一矢報いたものの、力尽きたのであった」

 

響「みんな、大丈夫なのかな…?」

 

未来「響、心配なのはわかるけど、今の私達がやらなきゃいけない事は沙織さんを助ける事だよ」

 

クリス「12時間を過ぎちまったら、教皇はこの世界のアテナにするつもりなんだぞ!そうさせないためにも、先輩達の想いをムダにしないためにも、あたしらは進まなきゃならねえんだよ!」

 

響「…うん!」

 

 カミュが磨羯宮に出向いた事で無人になった宝瓶宮を響達は通過したのであった。

 

 

 

双魚宮

 

 そして、響達は双魚宮の前に来た。

 

未来「ここが双魚宮…!」

 

 そこへ、アフロディーテが待っていた。

 

クリス「てめえが最後の黄金聖闘士だな!」

 

アフロディーテ「その通り。私は魚座、ピスケスのアフロディーテ」

 

クリス「いかにも『神よ、私は美しい』とかほざいてそうだな、このカマ野郎!」

 

アフロディーテ「その言葉、聞き捨てならんな。私はミスティのように見た目だけの美しさは求めていない!己の生き様を貫いてこそ、美しいのだ!」

 

響「クリスちゃん、そんな態度はまずいよ…!」

 

クリス「で、あんたが最後なのか?」

 

アフロディーテ「本来であれば、私が最後に立ちはだかる予定だった」

 

未来「予定…だった?」

 

アフロディーテ「しかし、教皇が自ら立ちはだかりたいとの要望で私の代わりに最後の試練として立ちはだかる事となった」

 

クリス「上等じゃねえか。その教皇を懲らしめてやりたいと思っていた所だ!」

 

アフロディーテ「言っておくが、教皇は君達の思っている以上に下手な黄金聖闘士よりも強い。そしてその教皇を倒すには…奇跡を起こす他ない」

 

響「だったら、奇跡を起こしてみます!」

 

アフロディーテ「では、ここから先に教皇が待っている。行きたまえ」

 

 響達は双魚宮へ入った。そこには教皇が待ち構えていた。

 

クリス「教皇自らやってくるとはいい度胸じゃねえか!」

 

教皇「ふん、本来であればお前達など白銀聖闘士に抹殺させていたのだが、余興として黄金聖闘士と戯れさせたに過ぎない。そして、私に立ちはだからせる気にさせた事だけは誉めてやろう。だが、私に勝つ事は不可能だ!」

 

未来「それはわからない!」

 

響「例え私達より上でも、奇跡を起こして勝ってみせる!」

 

教皇「奇跡などお前達では起こせぬわ!私との力の差を嫌という程、思い知らせてやる!ここに来て我が体を覆え、双子座の聖衣よ!」

 

 法衣を脱ぎ捨てて軽装になった後、教皇はマスクと仮面はそのままに双子座の聖衣を纏った。

 

クリス「教皇が聖衣を纏った!?」

 

響「双子座って事は…、カノンさんが教皇!?」

 

教皇「私の正体がカノンであるかどうかをお前達が知る必要はない。ここで倒されるのだからな!」

 

 そう言って教皇は襲い掛かってきた。

 

響「はあああっ!」

 

 響が向かってパンチを打ち込んだが、教皇はかわそうともせずにそのまま受け、しかも微動だにしなかった。

 

響「攻撃が効いてない!?」

 

教皇「そんなパンチ程度では薄皮一枚でも微動だにせんぞ!」

 

 そう言って教皇は響を殴り飛ばした。

 

響「うわあああっ!!」

 

未来「響!」

 

クリス「こっちに来るぞ!」

 

 響を殴り飛ばした教皇は次の狙いを未来とクリスに定め、向かってきた。未来とクリスは攻撃したものの、教皇はものともせずにそのまま2人を殴り飛ばした。

 

クリス「ぐあっ!」

 

未来「きゃっ!」

 

教皇「所詮、この程度のようだな。その程度の攻撃では私の薄皮一枚傷つける事すらできん。これで引導を渡してくれるっ!ギャラクシアンエクスプロージョン!」

 

 教皇はギャラクシアンエクスプロージョンを放った。

 

響「うわあああっ!!」

 

クリス「ぐあああああっ!!」

 

未来「きゃああああっ!!」

 

 ギャラクシアンエクスプロージョンの前に3人とも太刀打ちできずに吹っ飛ばされたのであった。

 

教皇「終わったか…」

 

 しかし、響達はまだ息があった。

 

教皇「手を抜いていたとはいえ、まだ息があるのか。ならば、もう立ち上がれんように五感を断ってくれるっ!まずは味覚だ!聴覚!触覚!嗅覚!そして視覚だ!」

 

 教皇は3人まとめて響達の五感を破壊したのであった。

 

教皇「ふっふっふっ、これで私の勝利だ」

 

 五感を破壊された響達は立ち上がろうとしても立ち上がれなかった。

 

クリス「(ちっくしょう…、こんな状態はフィーネとの戦い以来だ…!)」

 

未来「(処女宮の時よりも…どうしようもない…)」

 

響「(もう…ダメなの…?)」

 

???『立ち止まるな!』

 

 そんな時、翼の声がした。

 

翼『立花、雪音、小日向、私達はお前達だけでも教皇の間へ行かせるために残ったのだぞ!』

 

マリア『私達の行動を無駄にしないで!』

 

調『だから諦めないで…』

 

切歌『奇跡を起こすのデス!』

 

響「(翼さん…)」

 

未来「(マリアさん…)」

 

クリス「(後輩達…)」

 

響「(五感が破壊されてもわかる…、みんなの声が…!)」

 

未来「(そうだよ…、私達は…教皇の間へ行って沙織さんを助けないと…!)」

 

クリス「(そのためにもあのクソ教皇をぶっ飛ばして…)」

 

響達「(絶対に教皇の間へ行く!!)」

 

 五感を破壊された響達が手を繋いだ途端、未知の強大な小宇宙が再び目覚めたのであった。そして、膨大なフォニックゲインの代わりに小宇宙によって3人のギアのエクスドライブモードが起動したのであった。

 

教皇「こ、これは…!?今まで感じた事もないセブンセンシズとは別の強大な小宇宙だ!(もしや、カノンが言っていた未知の強大な小宇宙というのは…!)」

 

響「私達はここで立ち止まってはいられないの!」

 

未来「沙織さんを助けるためにも!」

 

クリス「クソ教皇はぶっ飛ばさなきゃならねえからな!」

 

教皇「ふん、いきなり強大な力を手に入れたぐらいでいい気になるとは愚かな。だが、私もこれから手を抜くのはやめてお前達と戦うとしよう!」

 

 教皇は手を抜くのをやめて響達と再び激突した。

 

教皇「喰らえ!」

 

 教皇は光速拳を放ったが、響達はかわした。

 

未来「(見える!私にもあの時の響達のように光の速さの拳が見える!)」

 

響「オラオラオラオラ!!」

 

教皇「無駄無駄無駄無駄ァ~~!!」

 

 響は教皇との光速の殴り合いとなり、結果は互いに吹っ飛ばされたのであった。しかし、教皇はすぐに体勢を立て直した。

 

教皇「私がその程度の攻撃で倒れると思ったら」

 

クリス「戦ってるのはあのバカじゃねえんだぜ、クソ教皇!」

 

未来「私達も一緒に戦っているの!」

 

 クリスと未来は互いにビームを放ち、教皇を吹っ飛ばした。対する教皇もビームを腕でガードしていた。

 

教皇「小賢しい!ならば、我が最大の拳で葬ってくれるまで!受けよ、ギャラクシアンエクスプロージョン!!」

 

 今度は手を抜かずに教皇はギャラクシアンエクスプロージョンを放った。

 

響「行くよ、未来!クリスちゃん!」

 

未来「うん!」

 

クリス「ああ!」

 

響「ガングニール彗星拳!!」

 

クリス「スターダストレボリューション!!」

 

未来「暁光!!」

 

 響達は小宇宙を込めて響はガングニール彗星拳を、クリスはビーム砲からスターダストレボリューションを、未来は扇を展開して暁光を放ち、ギャラクシアンエクスプロージョンとぶつかった。

 

教皇「負けんぞ…!」

 

クリス「あたしらこそ、負けるわけにはいかねえんだよ!」

 

未来「みんなの想いを託されたから…!」

 

響「絶対に沙織さんを助けなきゃいけない!」

 

響達「はああああっ!!」

 

 3人の攻撃がギャラクシアンエクスプロージョンを押し、最終的には打ち破ってしまった。

 

教皇「な、何っ!?うわあああっ!!」

 

 そのまま教皇は双魚宮から吹っ飛ばされてしまった。

 

響「一気に教皇の間まで行こう!」

 

 教皇を吹っ飛ばしてから響達は飛行し、教皇の間を目指した。

 

 

 

教皇の間

 

 そして、教皇の間に到着した。

 

響「沙織さん!」

 

 教皇の間の扉を開けると、沙織が待っていた。

 

沙織「よくここまで来る事ができましたね、響さん、クリスさん、未来さん」

 

響「沙織さん…」

 

クリス「あたしら、間に合ったんだな!」

 

未来「これで沙織さんはこの世界のアテナにならずに済むよ!」

 

???「お前達が到着した今のタイムはタイムリミットまで2時間ちょっとだな。ギリギリになるのかと思いきや、大したものだ」

 

 その声と共にカノンが現れた。

 

響「カノンさん!」

 

クリス「カノン、てめえが教皇だったな!」

 

カノン「違う違う、俺は教皇じゃない。教皇は別にいる」

 

未来「声が似てるのにカノンさんと教皇が別人…?」

 

カノン「そろそろネタばらしでもしたらどうだ?」

 

???「そうだな…」

 

 何事もなかったかのように教皇が法衣を着た状態で現れた。

 

クリス「何っ!?あの攻撃を受けてもピンピンしてるだって!?」

 

教皇「いや、さっきのはそれなりに効いた。それに、この戦いは私が企画した訓練だったとはいえ、君達に不快な想いをさせた事も詫びなければならない。そして、私の正体も見せる必要がある」

 

響「えっ?訓練?正体?どういう事?」

 

 教皇はマスクと仮面をとった。明らかになった教皇の素顔はカノンと瓜二つであった。

 

響「ええっ!?カノンさんがもう1人!?」

 

サガ「私はカノンの双子の兄であり、現教皇にして、カノンが就任する以前の双子座の黄金聖闘士、ジェミニのサガだ」

 

クリス「何っ!?てめえとカノンが双子だって!?だから、声や顔が瓜二つなのか!」

 

サガ「そうだ。そして、君達の覚悟やルナアタック事変の際の奇跡の力を見たかった上、アテナ本人の同意があったとはいえ、君達の世界のアテナに無礼な事をしてしまったのは事実。よってこの場でお詫びする…」

 

 今までと違い、サガが跪いて詫びた事に響達は困惑した。

 

クリス「てめえ、好き勝手しておいて」

 

響「クリスちゃん、この人は悪い人には見えないよ」

 

クリス「何だと!?」

 

未来「私も響の言ってる事は間違ってないと思う。だって、この人は顔を見ても心が清らかな人とわかるし、心から詫びてるのもわかる。クリスもこの人を許してあげて」

 

クリス「……わかったよ。あたしもそいつの素顔を見てからは悪党だとは思えなかったし…」

 

響「サガさん、翼さん達は…」

 

サガ「誰も死んでいない。彼女達は絶唱のバックファイアを利用して未知の小宇宙に目覚め、黄金聖闘士に一矢報いたが、バックファイアによって今は治療中だ。君達の次の日の生活や任務に支障をきたさないように我々も尽力する」

 

響「よかった…」

 

未来「どうしてサガさん達はシンフォギアや絶唱、私達の事をよく知っていたのですか?」

 

サガ「それも向こうで話す」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 戦いの後、響達は元の世界に戻り、説明のためにサガが代表として響達の世界に来る事となった。

 

響「ええっ!?12時間にも及ぶハードな訓練は十二宮での戦いだったんですか!?」

 

弦十郎「ああ、そうだ。その企画をしたのが向こうの世界の教皇であるサガだったんだ。そして、沙織お嬢様が攫われるというのも全て事前に決めた茶番だったって訳だ」

 

クリス「最初から訓練だったのかよ…」

 

未来「私の出撃を許可してくれたのも…」

 

弦十郎「訓練だったからだ」

 

沙織「そういう取り決めだったので、伝える事ができずに申し訳ありません…」

 

サガ「私達の世界の星矢達のセブンセンシズを目覚めさせた時も黄金聖闘士と直接対決という形で鍛え上げていたんだ。君達の訓練はどうしようか考えていた時にちょうど昔の訓練を再現してみたくなって、十二宮を登っていくというものにしてみたんだ」

 

翼「だが、サガはどうして私達の事を?」

 

サガ「この世界の存在自体は3年前に繋がった時から把握していた」

 

響「3年前といったら…」

 

翼「ネフシュタンの起動実験の時か!」

 

サガ「その通り。その時はムウを派遣してその世界がどうなっているのかの調査を行ってもらった。その結果、我々の世界とは違う歴史を歩んでいる並行世界である事が判明したが、当時はハーデスとの聖戦が控えていた上、別の世界の人間がむやみに関わる事が混乱になると判断して君達の世界への干渉は行わなかった」

 

マリア「だから、3年前から私達の世界を把握しても何もしなかったのね。それがどうして急に…」

 

サガ「君達とは別の並行世界を巡る者達の存在だ。私達が君達の世界のアテナや星矢達と接触する少し前、その並行世界を巡る者達と出会った。その者達から、様々な世界の危機を知らされた。その事を重く受け止めた私はそれまでの方針を転換し、君達の世界のアテナや星矢達との接触を行う事に決めたんだ」

 

 

 

回想

 

 ギャラルホルンのゲートから出てきたのはサガ、アイオロス、カミュ、童虎、ムウであった。

 

紫龍「老師!」

 

氷河「我が師カミュ!」

 

瞬「ムウ!」

 

星矢「サガにアイオロスまで!何でお前達が出てきたんだ!?」

 

弦十郎「彼等は確か…」

 

星矢「俺達の世界では既に死亡している黄金聖闘士達だ」

 

サガ「私達は並行世界からやってきた黄金聖闘士だ。君達とアテナに話があってこの世界にやってきた」

 

沙織「話、ですか?」

 

 沙織達はサガ達と話し合う事となった。

 

紫龍「老師、並行世界の同一人物とはいえ、あなたと再びお会いできたことをこの俺は光栄に思います…!」

 

童虎「相変わらずわしの事を老師と言ったりする固い所はどこの世界でも同じじゃな、紫龍。だが、それがお前らしくていいぞ」

 

氷河「カミュ、またお会いできてどう言葉をかけたら…」

 

カミュ「私もどんな言葉をかけたらいいのか、思いつかん…。だが、お前が水瓶座を受け継いでくれたのは私も誇りに思う…!」

 

 紫龍と氷河は並行世界の同一人物とはいえ、大恩ある師との再会に涙を流していたのであった。

 

ムウ「世界は違えど、師と弟子の感動の再会ですね…」

 

星矢「サガ達は何の用でこの世界に来たんだ?」

 

アイオロス「単刀直入に言えば、この世界のアテナや君達との協力関係を築きに来たんだ」

 

星矢「俺達と?」

 

サガ「君達の世界の存在は3年前から私達は把握していたが、干渉は混乱を招くとしてしてこなかった。だが、並行世界を巡る者達から世界の危機が迫っている事を聞き、この世界のアテナや星矢達との協力関係を築く事を決めた」

 

星矢「(並行世界を巡る者達?ミーナさんの事か…?)」

 

 星矢には心当たりがあった。

 

瞬「3年前といえば、ネフシュタンの起動実験があった時だ!まさか、その時に繋がった世界が…」

 

アイオロス「私達の世界だ」

 

弦十郎「驚いたな。その世界に俺達の世界では既に死亡した黄金聖闘士達がまだ生き残っていたとは…」

 

紫龍「黄金聖闘士達が生き残る以前にアイオロスが健在な時点で俺達の世界とは歴史が違っているとみた。サガ、どうなんだ?」

 

サガ「…少なくとも、15年前まではこの世界と私達の世界の歴史は一緒のようだ。君達の世界と我々の世界の歴史の分岐点となったのが、15年前のようだ」

 

氷河「15年前と言えば、俺達の世界ではアイオロスが教皇に指名され、教皇になれなかったサガが反乱を起こして教皇に成り代わった時だ!」

 

星矢「となれば、サガ達の世界ではサガが教皇に指名され、正式な教皇になったのか?」

 

サガ「そうだ。だが、指名される少し前、私は前教皇の側近たちの話を偶然聞いてしまった…。『悪の心があるからサガを教皇に指名する事はできないだろう』と…。その事に悩んだ私はどうすればいいのか考えていた所、手入れでアテナ神殿から出されていたアテナの盾を偶然触ってしまい、君達の世界では目覚めてしまった悪の人格が目覚める前に消えた。そして、私は正式な教皇に指名された」

 

沙織「ほんのちょっとした偶然が歴史を大きく分岐する原因になったのですね…」

 

サガ「その通りです、アテナ。そして私は正式な教皇になった後、聖戦に備えて聖闘士の育成に努め、地上を守るアテナにもっと世界の事を学んでほしいがために偶然見かけた人格者、城戸光政に育てながら世界の事をもっと学ばせてほしいとアテナを託した。一月交代でアイオロスとシュラも護衛につける形で」

 

星矢「事情は違えど、サガ達の世界の沙織さんも光政の元で育ったのか…」

 

サガ「そして時が経ち、アテナから素質のある聖闘士を見つけ出すための格闘技の大会、ギャラクシアンウォーズの話を持ち掛けられた。私も素質ある聖闘士を見つけ出すため、そして表向きは反逆者として彼等を鍛え上げるためにそれに同意してアテナの元でギャラクシアンウォーズを開催させた。私も素性を隠して観客として観戦し、参加している聖闘士の素質を見極め、そして我々の世界の星矢達の素質に目を付けた」

 

紫龍「まさか、そっちの世界ではサガが見に来ていたとは…」

 

氷河「となると、一輝との戦い以外の十二宮の戦いまでの戦いは全てサガが向こうの世界の俺達を鍛え上げるためのものだったのか?」

 

サガ「そうだ。十二宮の戦いではこっちの世界と違い、私がアテナを拉致する形となったがな」

 

瞬「向こうの十二宮の戦いでは黄金聖闘士は全員生き残ったの?」

 

サガ「その通り。そして、その後に神闘士や海闘士が襲撃して来た。15年前に行方不明になったカノンは海将軍となっていて、ポセイドンとの戦いの後に改心した」

 

星矢「そこは俺達の世界と同じか…」

 

サガ「ハーデスとの戦いの際は君達の世界と異なり、我々は事前にアテナの霊血で黄金聖衣を強化し、聖域に迫る冥闘士を退けた後にハーデス城に乗り込んでから冥界へ赴き、12人全員で神聖衣を発動させてから嘆きの壁を破壊したのだ」

 

沙織「神聖衣を!?」

 

弦十郎「だから、生き残ったとでもいうのか?」

 

アイオロス「恐らく…。だが、その時点で我々は力を使い果たし、そこから先をアテナと星矢達に託した…」

 

サガ「結果、星矢達はハーデスとの戦いで戦死し、アテナもハーデスと相討ちになった…。結局、我々は聖戦を完全に終わらせる事はできたが、その代償はあまりにも大きかった…」

 

弦十郎「そういった歴史を辿ってきたのか…」

 

沙織「誰かが生き残れば誰かが死ぬ。そういった形で世界はバランスをとっているのでしょう…」

 

サガ「例え生まれた世界は違えど、我らは地上の愛と平和を守るアテナの聖闘士。並行世界をめぐる者達の語る危機に備え、力をお貸しいただきたい…!」

 

沙織「わかりました、あなた方との協力関係を築きましょう」

 

星矢「その危機が訪れたら、俺達だって他人事じゃなくなるからな」

 

サガ「かたじけない…」

 

 協力関係を築くのを認めた沙織にサガは跪いてお辞儀した。

 

ムウ「3年前の時点でシンフォギアというのを断片的に知っているのですが、最初に把握してから3年経過するまでに何があったのか教えていただけますか?」

 

弦十郎「わかった」

 

 弦十郎はサガ達にシンフォギアや装者達の事、ルナアタック事変、フロンティア事変、魔法少女事変やギャラルホルンが絡んだ事件の事を教えた。

 

童虎「なるほど、3年間の間にそんな事があったのか」

 

カミュ「私も驚きだ」

 

サガ「司令、今度のシンフォギア装者の訓練を我々の世界の十二宮でやらせていただけないでしょうか?」

 

弦十郎「十二宮でだって?」

 

サガ「シンフォギア装者達はこれから強くならなければなりません。そして、正式な装者ではないとはいえ、小日向未来もいざという時に備えて鍛え上げなければなりません。お願いできますか?」

 

弦十郎「……いいだろう。だが、お前達の方が圧倒的に力が上だからあまりやりすぎるなよ」

 

サガ「承知しました。そしてアテナ、その訓練にあなたも付き合っていただきます」

 

沙織「わかりました」

 

 

 

サガ「という感じで我々は君達の事を知り、訓練を企画した」

 

翼「だから、黄金聖闘士は私達やシンフォギアの事を最初からよく知っていたのか…」

 

サガ「何はともあれ、無事に訓練は終了した上、私も今まで見た事もない奇跡を見せてもらった。これから訪れる危機のために、我々も協力する。ちょうど、黄金聖闘士の中には君達の世界への訪問に行きたがっている者もいるからな。君達も訪問したいのであれば、我々の世界の聖域に来てもいいぞ」

 

切歌「黄金聖闘士が味方だと、とっても頼もしいのデス!」

 

未来「これからもよろしくお願いします」

 

サガ「ありがとう。では、私はここで帰る」

 

 念のため、ギャラルホルンのゲートを通過する際にカノンから聖衣を借りていたサガは聖衣を纏い、元の世界へ帰った。

 

響「十二宮の戦いは大変だったけど、色々な黄金聖闘士に出会えたね」

 

クリス「もう、12時間以内とかは勘弁してくれよ…」

 

沙織「お疲れ様でした。ここまで大変な訓練が無事終了したので、今晩の夕食は豪華なものにします」

 

響「うおおおっ!ご馳走だ~!」

 

未来「もう、響ったら!」

 

マリア「私もとってもお腹が空いたわ。しっかり食べて、次の日の生活や任務に備えましょう」

 

 十二宮の戦いが終わり、響達は豪華な夕食をとったのであった。

 

 

 

リディアン

 

 そして翌日…。

 

響「また小宇宙が使えなくなっちゃった…」

 

クリス「そりゃあ、あたしらは小宇宙を扱う訓練すら受けてねえからな」

 

未来「星矢さん達は小宇宙を扱う訓練をきちんと受けていたけど、セブンセンシズに目覚めてから、それを常に維持するのに結構かかったみたいだよ」

 

響「でも、いつでもあの小宇宙が使えたらいつでも光速でリディアンに行けて遅刻なんてしなくていいのに~!」

 

切歌「光速で手を動かせば宿題だって数秒で終われるのにデス…」

 

調「でも、頭で理解できなきゃ光速で手を動かせてもどうにもならないよ」

 

切歌「ううっ…」

 

???「お前ら、小宇宙が使えなくなって困っているようだな」

 

 そこへ、カノンが来た。

 

クリス「カノン!」

 

カノン「サガの予想通りだったな。お前らは未知の強大な小宇宙に目覚めたといっても、それは一時的なものにすぎん。そもそも、お前らは小宇宙を扱う訓練すらしてないのにあんな小宇宙に目覚めた事自体がおかしいのだからな」

 

調「やっぱり、あの力はエクスドライブのようにいつでも使えるわけじゃないみたい…」

 

切歌「ショックデス…」

 

カノン「そう落ち込むな。サガからの伝言がある。『奇跡は起こる、諦めない限り何度でも』ってな」

 

未来「諦めない限り…」

 

響「何度でも?」

 

カノン「ま、どうしようもない時でも最後まで諦めなければ、またあの力が使えるようになるって事を伝えたかったのだろうな。それじゃ、俺は元の世界に帰るぞ」

 

 響達にサガの伝言を伝えたカノンは響達と別れた。

 

未来「あの力、もう使えなくなったわけじゃないんだね?」

 

クリス「だろうな。自由に使えねえけどよ」

 

響「きっと、この前のような奇跡はまた起きるよ!」

 

 小宇宙が使えなくなってショックを受けたものの、サガからの伝言で響達はまた立ち直ったのであった。

 

 

 

聖域(並行世界)

 

 同じ頃、元の世界の事は瞬に任せ、星矢達は並行世界の黄金聖闘士達と組手を行っていた。

 

アイオリア「ライトニングプラズマ!!」

 

星矢「ペガサス流星拳!!」

 

 アイオリアはライトニングプラズマを、星矢はペガサス流星拳を放ったが、互いの連撃は相殺に終わった。

 

アイオリア「やるな、星矢。俺のライトニングプラズマをペガサス流星拳で全て相殺に持ち込むとは!」

 

星矢「アイオリアこそ、俺達の世界のアイオリアに勝るとも劣らない強さだ!」

 

アイオリア「だが、訓練だからと気を抜いてたらあっという間に死後の世界へ行ってしまうぞ!ライトニングボルト!」

 

星矢「アトミックサンダーボルト!」

 

 ライトニングボルトとアトミックサンダーボルトがぶつかり合った。そして、紫龍は童虎と組手をしていた。

 

紫龍「老師と直々に組手ができて俺は光栄です」

 

童虎「わしもじゃ、紫龍。心も体も若い頃に戻った気分で嬉しいぞ」

 

紫龍「では、行きます!」

 

童虎「遠慮せずにかかってこい!」

 

 紫龍と童虎は互いに向かっていった。氷河はカミュと組手を行う事となった。

 

カミュ「氷河、生まれた世界は違えど、こうして巡り会えたのは何かの縁だな」

 

氷河「俺もです、カミュ。あなたは例え並行世界の同一人物であっても、俺の師も同然の方」

 

カミュ「私も氷河は並行世界の同一人物であっても愛弟子である事に変わりはない。さぁ、今までの戦いで磨き上げた実力を見せてみろ!」

 

氷河「はい、カミュ!」

 

 生まれた世界は違えど、再び巡り会えた事に氷河とカミュは喜びあっていた。

 

サガ「並行世界というのは、様々な可能性があるな」

 

アイオロス「片方の世界では死んでいる人間がもう片方ではまだ生きている。そして、そのまた逆もあり」

 

サガ「私も星矢達の世界の私が引き起こした内乱には驚かされたな…。もしかすると、アイオロスがそんな事をした世界もまた、あり得たのかも知れん…」

 

アイオロス「そうかも知れないな…」

 

サガ「並行世界の同一人物という形で星矢達やアテナと再び巡り会い、これまで会った事もない人との出会いまであるとは…」

 

アイオロス「彼女達の言う危機とは、どういったものか…」

 

 世界の危機がどういったものなのか、想像するサガとアイオロスであった。




これで今回の話は終わりです。
今回は教皇との直接対決とその正体がサガだと判明し、沙織がさらわれたのも全て訓練のための茶番だと判明する内容となっています。
響達は五感を破壊されるという極限状態からの復活と同時に未知の小宇宙に目覚める展開となり、そこから逆転する内容となりましたが、その際にクリスがビーム砲からスターダストレボリューションを放ったのは、今小説の前日談にあたる13番目の黄金聖衣でのフィーネ戦以来となります。
今回の舞台となった並行世界ではアイオロスではなくサガが指名されて正式な教皇になっていましたが、シンフォギアXDの片翼の奏者やイノセントシスターを見て、『もしもアイオロスではなく、サガが指名されていたら』というのをやってみたくなったからです。
13番目の黄金聖衣の時のように戦いの後の響達は小宇宙が使えなくなりましたが、そもそも十二宮の戦いの中でセブンセンシズに目覚めた星矢達は原作の時点ではセブンセンシズに常時目覚めている状態ではなかったため、星矢達と違い、今まで小宇宙を扱う訓練をしていない響達の小宇宙の目覚めは一時的で、いつでも使えるわけではないという事にしました。
これで十二宮編は終わりで、次からは和装乱舞編となります。

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