セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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34話 黒い武者ノイズ

戦艦

 

 次の日、瞬達はウェルに案内された。

 

ウェル「さぁ、皆さん。着きましたよ」

 

切歌「合同訓練って言いますけど、シミュレータの事デスよね?」

 

ウェル「ふふ、それはどうでしょう」

 

調「それって、どういう…」

 

 突如、瞬達は歓声を受けたのであった。

 

クリス「な、なんだこりゃ…。歓迎されてる…のか!?」

 

切歌「大歓声デス…」

 

瞬「マリアさんがステージに出た時みたいだ…」

 

 そこへ、女隊長が来た。

 

女隊長「私のように共に戦って仲間意識に芽生えた人や瞬君達に助けられた人、理由は様々だけど、少しずつ変わってきているのよ。というわけで、今日は訓練の教官役をしっかり務めるのよ!」

 

 早速、瞬達はノイズ出現の際にどうすればいいのかを教えたのであった。

 

隊長「あの瞬という少年の教え方は的確だ」

 

女隊長「でしょ?私もあの子に一目惚れしてノックアウトされてしまったの」

 

隊長「無類のイケメン好きの君が言っても説得力がないがな」

 

 その様子をウェルは見ていた。

 

ウェル「うんうん、打ち解けていますね。美しい関係が築かれようとしています。ふふ…すべてこの僕の思惑通り…。いいですよ。最高にいい…もうすぐ、僕の理想が!」

 

 そんな折、ノイズ警報が鳴った。

 

ウェル「…ノイズ、ですか。全く、興が冷める…」

 

クリス「ノイズだと!?」

 

切歌「どこに出たんデスか!?」

 

ウェル「え、ええ…場所は…」

 

調「…行こう、切ちゃん!クリス先輩、瞬さん!」

 

瞬「うん、急ごう!」

 

 

 

市街地

 

 瞬達は急行し、ノイズと交戦した。

 

瞬「隊長さん、避難状況は?」

 

女隊長『もう完了しているわ!さぁ、派手にやりなさい!』

 

瞬「わかりました!」

 

 装者達と違い、避難誘導が完了したと聞いた瞬は一気にチェーンでノイズを一掃したのであった。

 

クリス「瞬の奴、あたしらが手間取るほどの数を一瞬でやりやがった…」

 

調「それに、被害は最小限に抑えられてる」

 

切歌「そうデス!それもこれも…」

 

クリス「あの瞬に惚れた隊長達のお陰だな…ったく、あの女隊長以外も最初からこうしてくれればよかったのによ!」

 

 クリス達も一気にノイズを倒していった。

 

切歌「自衛隊さん達が避難を引き受けてくれてるデス!」

 

調「うん、だから私達はノイズに集中できる…」

 

クリス「(…役立たずなんかじゃ、ないよな。本当、あたし達は何を見てたんだろうな…)」

 

瞬「クリス、今は戦闘中だ!集中して!」

 

クリス「おっと、そうだったな。あいつらの前で恥ずかしい戦いはできねーな!」

 

切歌「デス!気張って戦うデスよ!」

 

調「うん、切ちゃん。頑張ろう!」

 

 4人はノイズを殲滅させた。

 

クリス「これでノイズは倒し終えたみたいだな」

 

瞬「うん。もうチェーンが反応しないから、そのようだ」

 

 すると、歓声が聞こえた。

 

切歌「な、なんデスか!?」

 

調「あ、自衛隊さん達が…」

 

クリス「や、やめろ!こっぱずかしいじゃねえか!」

 

瞬「そんな事は言わずに歓声に応えよう」

 

調「みんなこっちを見てる」

 

切歌「ほら、クリス先輩も手を振るデスよ。みんな待ってるデス」

 

クリス「嫌だっての!」

 

瞬「僕が代わりにやるから、3人は先に帰ってて」

 

 瞬が代わりにする事となり、クリス達は先に帰った。

 

 

 

住居

 

 クリス達は夕食の支度をしていた。

 

クリス「ほら、そこの肉がそろそろ煮えてきたぞ」

 

調「はい。…あつあつ、美味しい」

 

切歌「ノイズとの戦いではうまく協力できたし、お鍋はおいしいデスし、今日はいいこと尽くしデス!」

 

調「うん、お鍋はやっぱりあつあつだよね…」

 

クリス「そうだな。今日の戦いは激しかったし、たくさん食えよ。あ、ちゃんと肉ばかりじゃなくて野菜も食べろよ?」

 

切歌「クリス先輩、マリアみたいデス」

 

調「あ、マリアみたいといえば…」

 

切歌「そうデス。この前のライブ会場でのクリス先輩、まるでライブの時のマリアみたいでカッコよかったデス!」

 

クリス「な、なんで今更そんな話ぶり返すんだよ!?」

 

調「きっと、あれと瞬さんの頑張りがあったから、自衛隊の人達も考え直すきっかけになったんだと思う」

 

クリス「そ、そうかあ…?ああほら、こっちの煮えてるから、さっさと食え!」

 

調「クリス先輩ったら、照れてる?」

 

クリス「う、うるさい!さっさと飯食ったら、風呂入って寝るぞ!明日も早いからな!」

 

切歌「あ、あのー、クリス先輩…」

 

クリス「ん?何だ?」

 

切歌「…夜1人で寝るの心細くないデスか?」

 

クリス「はあ、何を今更、そんなのもう慣れっこだ」

 

切歌「さ、さいデスか…」

 

調「今日、なんかいつもより寒いような気がする」

 

クリス「だったら、風呂入ってあったかくして寝ろ」

 

調「…はい」

 

 調と切歌はクリスの方を凝視していた。

 

 そして翌朝、早起きした瞬はランニングでクリス達が過ごしている住居の前に来た。

 

瞬「クリス達はどうしてるんだろう?様子を見よっと」

 

 瞬は話し声を聞く事にした。その頃、クリス達が済んでいる住居ではウェルが来ていた。

 

ウェル「おはようございます、皆さん!今日は僕からある提案を持ってきました!」

 

切歌「提案…デスか?」

 

ウェル「ええ!昨日の訓練、戦いを経験してもらってわかる通り、今、皆さんは自衛隊の間で大人気なのですよ!そこで、今以上に親睦を深めるためにも、ぜひとも皆様には慰問を兼ねたライブをやってもらいたいのです!」

 

瞬「(ライブ?なんか怪しいなぁ…)」

 

調「慰問ライブ…?」

 

クリス「それって、あたし達に唄えって言ってるのか?」

 

ウェル「はい、その通りです!」

 

クリス「ば、ばか!そんなの、できるわけないだろ!」

 

切歌「え、そうデスか?あたしはやってみたいデス」

 

調「人前で急に唄うなんて恥ずかしい…」

 

切歌「戦いではいつも唄ってるじゃないデスか!たまには調の戦いじゃない歌も聴いてみたいデス!」

 

調「切ちゃんがそこまで言うのなら…」

 

クリス「ま、マジかよ。あ、あたしは嫌だぞ!そんな見せ物みたいなのは!」

 

切歌「クリス先輩、秋桜祭でも唄ってたじゃないデスか」

 

調「うん、そうだね」

 

クリス「あ、あれは違うっての!とにかく、何と言おうとあたしは唄ったりしないからな!」

 

ウェル「そうですか…ではとにかく準備しておきますね!もしかすると、後で唄いたくなるかも知れませんしね!」

 

クリス「ならないっての!か、勝手に決めるな」

 

ウェル「それでは、準備しておきますね!」

 

 ウェルは出ていったのであった。

 

クリス「い、いっちまいやがった…。…お前ら、本当にやる気なのかよ?」

 

切歌「はいデス!」

 

調「マリアもそういうお仕事をやった事があるって前に言ってた」

 

クリス「あいつとあたしらは違うだろうが!なんでそう安請け合いしちまうんだよ…」

 

切歌「安請け合いなんかじゃないデス」

 

調「クリス先輩こそ、素直になればいいのに…」

 

クリス「あ、あたしは最初から…」

 

 そんな中、ノイズ警報が鳴った。

 

瞬「みんな、ノイズが出現した!急ごう!」

 

 瞬達は出撃した。

 

 

 

道路

 

 クリス達はノイズを蹴散らしていた。

 

調「これで、最後!」

 

 調はその場にいたノイズの最後の1匹を倒したのであった。

 

切歌「はー、ようやく一段落デス!」

 

クリス「1体1体が相手ならどうとでもなるけど、数がいると面倒でしょうがないな」

 

瞬「だとしても、1匹たりとも逃がしてはいけないんだ」

 

ウェル『あー、一息ついている所申し訳ないのですが、新たな反応を検知しまして』

 

切歌「またデスか?次はどのくらいいるんデスか…?」

 

ウェル『数はその、一つなんですけども。えっと反応がかなり特殊でして…』

 

 すると、巨大な武者ノイズが現れた。

 

クリス「なんだ?なんかいつもよりデカくないか!?」

 

瞬「それも、2体だよ!」

 

調「確かに。それにいつもよりも強そう…」

 

切歌「確かに強そうデス…」

 

瞬「怯んではダメだ!1体は僕が倒すから、もう1体はクリス達は力を合わせて倒すんだ!」

 

 2体現れた巨大武者ノイズのうち、1体は瞬が、もう1体はクリス達が戦う事となったが、瞬は圧倒的な力の差で倒したものの、クリス達は苦戦していた。

 

切歌「デデデエエエエエッス!?」

 

調「ほとんどダメージが通ってない…!」

 

クリス「こんなの反則だろ!ったく、次から次へと!」

 

切歌「ど、どどどどうするデスか!?これきついレベルじゃないデスよ!」

 

切歌「うん、そうだね。切ちゃん…」

 

クリス「…おい、二人とも!ステージにあたしも立ってやるよ!」

 

切歌「え?どうしたデスか!?急に!」

 

クリス「この戦いが終わったらな!だから、全力全開であの化け物ノイズをぶっ倒すぞ!」

 

切歌「そ、それは嬉しいデスけど、ある意味危険な発言デスよ!?」

 

調「うん、ダメになるパターンだよね…」

 

クリス「うるせーっての!とにかくここが正念場だ!全力出しきるつもりでやるぞ!」

 

 3人は力を合わせ、巨大武者ノイズを倒した。

 

クリス「っしゃあ!あたし達の勝ちだ!」

 

切歌「な、何とか倒せたデス…」

 

調「…びっくりした」

 

 倒した武者ノイズはそれ相応に欠片を持っていた。

 

瞬「結構持ってるみたいだね」

 

切歌「…とにかく倒し終わった事デスし、欠片を納めたらさっそく歌の練習デース」

 

クリス「…しょうがねぇ。約束しちまったしまあ、1回くらいはやってやる」

 

調「やった!唄うの楽しみだね、切ちゃん!」

 

 

 

 

 そして、欠片を納めた。

 

ウェル「ありがとうございます!これだけの破片が回収できた事は大きいですよ!」

 

瞬「はい。このままいけば、もうすぐ元の世界に帰れます」

 

ウェル「…帰る?はっ!?そうだった…」

 

クリス「…?おい、どうしたんだ?」

 

ウェル「いえ、何でもありませんよ!まだ欠片は残っていますから、この調子でお願いします」

 

切歌「まかせるデース!」

 

調「でも欠片から刀身の輪郭も見えてきたし、今回みたいにまとまった欠片が集まれば、すぐだよ」

 

クリス「そうだな。ま、あたしらにかかれば残りも楽勝だな」

 

瞬「だけど、油断しちゃダメだよ。思わぬ強敵が出てくるかも知れないんだから」

 

 

 

市街地

 

 次の日、瞬は買い出しなどで市街地に来ていた。

 

瞬「そう言えば、クリス達はウェル博士が企画したライブに出るって予定が入ってたね。どんな歌を唄うのかな…」

 

 そう言ってると、いつもお世話になっている女隊長と会った。

 

瞬「隊長さん、ノイズが出るのを想定して見回りですか?」

 

女隊長「ええ。上司が率先して動かないと、部下もついていかないからね。そういう瞬君はライブとかに興味はないの?」

 

瞬「僕は小さい頃から家族が兄さんしかいなくて、聖闘士になるべく戦いの事ばかり習ってて、1年くらい前から医師の勉強を始めたばかりです。なので、僕はライブとかにはあまり興味がないんですよ」

 

女隊長「本当だったら、あなたも子供らしく色々と遊び、色んな事を学校で学んでいる時期なのに、親がいないが故に聖闘士という厳しい道を歩まなきゃいけないなんてね…。って、瞬君はお兄さんがいたの!?」

 

瞬「はい。兄さんも聖闘士なんですけど、単独行動が好きでいつも一緒にいるわけじゃないんです。でも、僕がどうにもならなくなったら、兄さんは必ず助けに来てくれるんです」

 

女隊長「別行動をしてても、弟の危機にはきっちり駆け付けてくれるからいい兄さんね…」

 

瞬「それと隊長さん、今からクリス達の様子を見に行きませんか?」

 

女隊長「そうしようかしら。それとね、私の名前は」

 

 そう言ってると、ノイズ警報が鳴った。

 

女隊長「もう、自分の名前を瞬君に言いたかったのに!」

 

瞬「隊長さん、僕はノイズを倒しに行ってきます!」

 

女隊長「避難は私達がやるから、派手に暴れなさい!」

 

 

 

 

 ライブができなかった事に切歌と調は憤っていた。

 

切歌「ライブ…やりたかったデエエエーーーース!」

 

調「いい所に出て来たりするからーーーーー!」

 

 怒り狂っている2人は次々とノイズを蹴散らした。

 

切歌「あたし達の恨み…!」

 

調「思い知って…!」

 

クリス「お、落ち着けって、お前ら。残念だったのはわかるけど、まだノイズは残ってるんだ。倒しきる前にガス欠になっちゃ意味ないだろ?」

 

調「わかってはいるけれど…!」

 

切歌「怒りの炎で天を焦がしちゃいそうデース!」

 

調「切ちゃん!」

 

切歌「調!」

 

調「この怒り…」

 

切歌「全部ノイズにぶつけるデス!」

 

クリス「ったく、あいつらは…(…あたしも、少しだけ残念かもな)」

 

 怒り心頭でノイズに向かっていく切歌と調にクリスは呆れていた。瞬が着いた頃には、ノイズは全滅していた。

 

瞬「もう終わっていたのか…」

 

切歌「見たかデース!」

 

調「ライブの恨みは怖い…」

 

クリス「ったく、完膚無きにまでやっつけちまいやがって。ムラマサの欠片は残ってるだろうな…」

 

 きちんとムラマサの欠片は残っていた。

 

瞬「あったね。何だか、切歌と調は苛立っていたようだけど、何かあったのかい?」

 

クリス「それがな…」

 

 クリスは瞬にノイズが出たせいでライブが中止になった事を教えた。

 

瞬「そうか、それで苛立ってたんだ…。さっきの戦いで少し気が晴れたのなら、欠片を戻しに行こう」

 

 

 

 

 瞬達は欠片を納めた。

 

切歌「これで…あとどのくらいデス?」

 

クリス「わかんねーけど、間違いなく半分は終わってるだろ。ま、それなりにはいいペースなんじゃないか?」

 

調「……」

 

 調は浮かない表情をしていた。

 

クリス「ん?どうしたんだ?」

 

切歌「ライブできなかったのが残念なんデスよね?調は」

 

瞬「そんなに唄いたかったのかい?」

 

調「うん…それもあるけど…」

 

クリス「何だよ…、歯切れが悪いな…」

 

切歌「調はクリス先輩の歌が聴きたかったんデスよ」

 

クリス「…はあっ!?あ、あたしの歌?」

 

切歌「調は秋桜祭の時に、先輩が唄ってる姿を見て…むぐっ」

 

調「切ちゃん」

 

切歌「まあ、調の気持ちもわかるデスよ。あの時のクリス先輩の可愛さは女神も嫉妬するレベルデス」

 

クリス「な、な、何なんだよ急に!」

 

調「羞恥心の混じった表情もまたいい」

 

クリス「…お前ら、先輩をからかって楽しいか?」

 

瞬「やれやれ…」

 

 クリス達の会話に瞬は呆れていた。

 

 

 

住居

 

 そして夜、瞬はある事を考えていた。

 

瞬「(何だか、最近はノイズ退治などが思うように進んでいるけど…戦いが終わってもチェーンがわずかだけどカルマノイズが出た際の反応をしていたから、何だか次の日辺りには何か嫌な予感がする…。嫌な予感が…)」

 

 怒り心頭の切歌と調がノイズを殲滅した後でもチェーンが反応していたため、瞬は何か嫌な予感を感じ取っていた。

 

 

 

 

 次の日、社の辺りにノイズが出現したのであった。

 

調「また社付近にノイズ…?」

 

切歌「集まった欠片をとりに来てるんじゃないデスか?」

 

クリス「…それより、今日は気を引き締めていけよ。いつも以上にだ」

 

切歌「そんなに脅かさないでほしいデス」

 

調「急にどうしたんですか?」

 

クリス「なんだかわかんねーけど、変な胸騒ぎがしてるんだ」

 

調「胸騒ぎ…」

 

切歌「…デスか?」

 

瞬「僕のチェーンも昨日に比べてより明確に反応している。クリスの言う通りにしよう」

 

調「…考え過ぎじゃないんですか?」

 

瞬「チェーンの反応を見ればそうじゃないと僕は思う」

 

切歌「そ、そう言われると…何だかあたしも変な感じデス!」

 

調「切ちゃん?」

 

切歌「うう~、嫌な予感を感じるデスよ!確かに何か起きそうデス」

 

調「瞬さんと切ちゃんまで?」

 

クリス「嵐の前の静けさってこういう感じなんじゃないか?」

 

切歌「そうかも知れないデス!」

 

調「3人とも…」

 

 そう言ってると、ノイズが出現した。

 

瞬「ノイズが出たよ!戦おう!」

 

 4人はあっという間にノイズを蹴散らした。

 

切歌「いっちょうあがりデース!」

 

調「先輩と瞬さんの嫌な予感、外れちゃいましたね」

 

瞬「…いや、まだだよ。僕のチェーンがさっきより警戒している。気を抜いてはダメだ(多分、今から出てくるのは…!)」

 

調「でも、さっきので最後なんじゃ…」

 

 すると、黒い霧と共に黒い武者ノイズが2体現れた。

 

切歌「デエエーーーース!まだいたデスか!?」

 

調「…ちょっと待って。この欠片持ち…何かが違う!」

 

クリス「こいつ…まさか前の!?」

 

瞬「カルマノイズだ!」

 

切歌「か、カルマ化してるデスか!?どうなっちゃってるんデス!?」

 

 通信でウェルもそれを聞いていた。

 

ウェル『カルマ化…?なんですかそれは?』

 

クリス「こいつは普通のノイズじゃないんだ!すぐにあたしら以外のやつらを退かせろ!」

 

ウェル『普通じゃないって…、一体何が』

 

瞬「間に合わない!最悪の事態を防ぐためにも、気を失わせるしかない!」

 

 瞬はカルマノイズの呪いによる同士討ちを防ぐため、咄嗟にチェーンでその場にいる自衛隊員を気絶させたのであった。

 

クリス「済まねえ、瞬…!」

 

調「クリス先輩!被害が広がる前に!」

 

切歌「あたし達で倒すしかないデス!」

 

瞬「隊長さんは大丈夫ですか?」

 

女隊長「私は大丈夫…。だから…、気にしないで戦って…!」

 

瞬「わかりました!隊長さんはまだ正気の人達を連れてこの場から離脱してください!あの黒いノイズとは戦ってはいけません!」

 

女隊長「わかったわ」

 

クリス「くそっ!犠牲を出してたまるかよ!」

 

 瞬とクリス達はそれぞれ黒い武者ノイズと応戦した。瞬は武者ノイズの持つ不幸を撒き散らす呪いを防御できないため、思った以上に手古摺っていた。

 

瞬「ムラマサの呪いのせいで思ったようになりにくい。こうなったら、一気に勝負を着けるしかない!」

 

 そう判断した瞬はチェーンを手放した。

 

女隊長「ちょっと瞬君、武器の鎖を放り出して大丈夫なの!?」

 

瞬「聖闘士は武器を使っちゃいけません。そして、アンドロメダの聖衣についているネビュラチェーンは武器ではなく、あくまでも補助装備にすぎないんです。それに…僕がなぜ普段はチェーンを使った戦いをしているのかを隊員さんの離脱を促すために残っている隊長さんに今からお見せします!」

 

 カルマ化した武者ノイズは急に気流に絡みつかれて動けなくなった。

 

女隊長「これは…風?」

 

瞬「受けてみろ、カルマノイズ!ネビュラストーム!!」

 

 アフロディーテの時などと違い、ノイズには瞬も全く容赦せずにネビュラストームを発動させた。気流は暴風となり、カルマ化した武者ノイズを吹っ飛ばし、消滅させたのであった。

 

女隊長「驚いたわ…。素手でも瞬君は強かったなんて…」

 

瞬「はい。本来、聖闘士は己の肉体を武器に戦うものです。そして、僕が普段はチェーンを使った戦いをしているのは、この威力がありすぎる拳を使わないようにするためなんです。もっとも、ノイズは特定災害でしかないので、今までの戦いと違って何の躊躇いもなく使えますけど」

 

女隊長「武器を使っていると思ってたら、素手の方が強かった…。敵からしたら、武器を壊していい気になってると、想定外の一撃を喰らってノックアウトしてしまうパターンになるわね」

 

 瞬が強力な素手の拳が使えるのにも関わらず、チェーンで戦っている理由を知り、しかもそれが敵に思わぬ一撃を与えられると感心したのであった。一方、クリス達はカルマ化した武者ノイズに押されていた。

 

クリス「く…くそ…。2人共、大丈夫…か…?」

 

切歌「だ、大丈夫デス…!」

 

調「けど、このままじゃあのノイズに…。…あ、あれ?」

 

 まだ倒していないカルマ化した武者ノイズはいつの間にかいなくなっていた。

 

瞬「いなくなったね…」

 

クリス「助かった…のか…」

 

瞬「クリス達からすれば、そうともいえるね」

 

切歌「瞬はあのノイズを1人でやっつけたんデスか!?」

 

女隊長「そうよ。瞬君は普段は使わない素手の拳であのノイズを瞬殺しちゃったんだから」

 

切歌「そ、そう言えば瞬はあの時、カルマノイズを倒す際もネビュラストームを使ってたデス!」

 

調「それなら、瞬殺してもおかしくない…」

 

瞬「それにしても、カルマ化した武者ノイズまで出るとは…。クリス達はまた元の世界に戻って報告してほしい」

 

クリス「やっぱ、瞬はまた残るのか?」

 

瞬「うん。異変が解決するまでこの世界の人達を放っておけなくてね」

 

調「では、私達が戻ってくるまでお願いします」

 

 瞬は引き続き並行世界へ残り、クリス達は元の世界に帰った。

 

 




これで今回の話は終わりです。
今回はカルマ化した武者ノイズが出現する話となっています。
次の話はクリス達が連携を強化する話となります。

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