37話 並行世界のフィーネ
S.O.N.G潜水艦
ある日の事、再びギャラルホルンからアラートが発せられ、装者達や沙織の帯刀ともいえる星矢達が招集された。
弦十郎「みんな、よく集まってくれた」
星矢「弦十郎、緊急招集なんて何が起こったんだ?」
弦十郎「…ギャラルホルンのアラートが発生した」
調「それじゃあ、また並行世界と…?」
切歌「今度はどんな所と繋がったんデスか?」
沙織「それは行ってみなければわかりません」
弦十郎「それで、向こうへの調査だが、今回は装者の方はこちらで人選させてもらいたい」
切歌「指名制デスか?」
氷河「という事は、俺達聖闘士はいつも通り志願という形だな?」
弦十郎「お前達聖闘士はいつも通りでいい」
エルフナイン「先日ギアの検査をしたところ、軽微ではありますが、いくつかのギアに残留するストレスが発見されました。今の所、装者への影響は皆無ですが、できれば今のうちにケアをしておきたいと思いまして」
弦十郎「そういう事だ。並行世界での任務は不確定要素が多い。そのため、万全の装者を送り込みたい」
瞬「その前に並行世界へ行く聖闘士を決めましょう」
沙織「そうですね」
星矢「その世界は俺が行くぞ」
紫龍「星矢、今回は俺も行く。お前だけだと、猪突猛進な装者だけになったら同調して突っ走りかねないからな」
沙織「わかりました。では、並行世界へ向かう聖闘士は星矢と紫龍に決まりです」
星矢「で、装者の方はどうなんだ?」
弦十郎「それは…」
市街地(並行世界)
並行世界へ向かって早々、カルマノイズの群れと遭遇してしまったため、星矢と紫龍は一緒に行く事となった響、翼、調の3人をその場から離脱させてカルマノイズの群れと応戦していた。
星矢「並行世界へ来て早々、カルマノイズの群れとご対面か!」
紫龍「まさか、カルマノイズが群れで出てくるとはな。だが、俺達の敵ではない!」
星矢「ペガサス流星拳!」
紫龍「廬山龍飛翔!」
セブンセンシズをものにし、黄金に昇格した星矢と紫龍の前にはカルマノイズはいくらいても赤子同然だった。
星矢「これでカルマノイズは片付いたな」
ところが、怪しげな黒服の男達がやってきた。
紫龍「(この男達…、怪しい奴等だ…!)」
黒服「この場の変異種のノイズを処理したのはお前達だな。悪いが、黙って我々と一緒に来てもらおうか…」
星矢「悪いが、俺達はお前らの言う事なんざ聞かねえよ。お前ら、悪党だろ?」
黒服「何だと!?だったら、ここで死んで黄金の鎧をよこせ!」
紫龍「貴様らでは俺達には勝てん。それに…、この黄金聖衣は先代に認められ、受け継いだもの!その先代の魂がこもった聖衣を貴様らには渡さん!」
直感で星矢と紫龍は黒服の男達を悪党と断定し、あっけなく撃破したのであった。
黒服「ば、化け物め…!」
紫龍「よし、急いで響達と」
???「貴様ら…、ドルバルの新しい手下…なのか……!」
カルマノイズを倒し終わって怪しい男達も一蹴し、響達と合流しようとした星矢と紫龍だったが、ある人物が目の前に現れた事で驚愕した。
星矢「お、お前は…!」
紫龍「ジ、ジークフリート!」
そう、目の前に現れたのは、かつて星矢達がアスガルドで戦った神闘士の中でも最強の戦士、ジークフリートであった。しかし、目の前に現れたジークフリートは実際に戦った星矢達からすれば信じられないほどの大怪我を負っていた。
ジークフリート「まさか…、ドルバルが黄金に輝く神闘衣を作り上げていたとは…!だが…私はここで負けるわけにはいかない…!」
星矢「ジークフリート、その怪我は何だ!?アスガルドで一体、何が起こったんだ!?」
ジークフリート「お前達…なぜ…私やアスガルドを知っている…?やはり…、ドルバルの手下…なのか…!」
星矢達はアスガルドでの戦いの経験があるために神闘士やアスガルドの事を知っていたが、それを知らないこの世界のジークフリートは重傷を負った身で余裕がない事もあってドルバルの手下と勘違いし、身構えたのであった。
紫龍「よせ、ジークフリート!今のお前はまともに戦える状態ではない!お前が敵だとしてもそんな状態のお前と戦う事自体、俺の誇りが許さない!」
ジークフリート「何を…言うか…、ドルバルの…手下…が…!」
紫龍の指摘通り、ジークフリートはまともに戦える状態ではなかったため、倒れてしまった。
星矢「ジークフリート、しっかりしろ!」
紫龍「いかん!早く手当をできる場所へ」
???「それなら、私に任せてちょうだい」
声の主に星矢達は驚いた。
星矢「お、お前は…フィーネ!」
フィーネ「(なぜ私の名前を?それに…神話の時代に失われたはずの聖衣…!あのサジタリアスの男…!)」
フィーネは星矢達が自分の名前を言ったのと聖衣、そして、星矢の顔に反応していた。
紫龍「どうした?」
フィーネ「いえ、何も。それより、あの男達を一蹴したのはあなた達ね?」
星矢「ああ、そうだ。俺達の聖衣をよこせって言ったから、返り討ちにしてやった」
フィーネ「随分と乱暴ね。それに、あの神闘士を運んでから説明をするわ。ついてらっしゃい」
隠れ家
ジークフリートを安静にした後、星矢達はフィーネから説明を聞いていた。
星矢「何?俺達が並行世界の住人だとなぜわかったんだ!?」
フィーネ「見ればわかるじゃない。この世界にも聖闘士はいて、私もかつては蛇遣座の黄金聖闘士だったけど、神々との戦いでアテナも聖闘士も全滅し、聖衣は失われてしまったの。それなのに、射手座の聖衣と天秤座の聖衣が目の前に出たとすれば、まだ聖闘士がいる『可能性の世界』から来たと考えた方が自然ではないの?」
紫龍「隠しても無駄か…。それに、この世界でも聖闘士が全滅していたとは…」
星矢「この世界には神闘士がいるみたいだな」
フィーネ「ええ。オリンポス十二神は地上を巡って争い、互いに消耗していたのだけど、オリンポス十二神を始めとする神々が消耗した隙を突き、十二神を一掃して地上を手に入れたのがオーディーンなのよ。そして、オーディーンの加護を受けた神闘士が地上を護る戦士となった。私もかつて神闘士になった経験もあったわ」
星矢「へえ~、この世界では神闘士が地上を護る戦士になっていたのか…」
紫龍「となれば、あのジークフリートの負傷はアスガルドで何かあったと判断するのが妥当だろう。フィーネはそれについて知らないのか?」
フィーネ「私もそこまでは知らないわ。ただ、あのジークフリートという神闘士の様子を見れば、今のオーディーンの地上代行者のヒルダの身に何かあったとしか言いようがないわね。今はあの男の回復を待って聞き出すしかないわ」
星矢「この世界でもアスガルドに異変が起こっていたのか…」
フィーネ「あなた達、この世界には詳しくないでしょ?だったら、私のボディーガードをやってみない?」
星矢「フィーネのボディーガードだって?」
紫龍「……確かに、俺達はこの世界に詳しくない。今はお前のボディーガードをやるのが妥当だろう」
フィーネ「賢明な判断だわ」
星矢「フィーネのボディーガードか…」
紫龍「(俺も星矢もフィーネを信用したわけじゃない。だが…今はそうするしかないようだ…)」
フィーネは完全に信用できないものの、この世界に詳しくない星矢達はフィーネのボディーガードをやらざるを得なかった。
特異災害対策機動部二課
その後、星矢達はフィーネと共に二課に入り込んだ。
星矢「で、俺達をどこへ連れて行くつもりだ?」
フィーネ「決まってるでしょ?あなた達の仲間を助け出しに行くのよ」
紫龍「俺達の仲間、まさか…!」
その頃、響達は黒服の男達に連行され、ギアを奪われて監禁されていたのであった。
響「聞こえてますか?あの、お話ししましょう!私達は敵じゃないですよー!人類皆兄弟です!だから、助け合いましょう!」
翼「無駄だ、立花」
響「でも…」
調「こんな事初めてですね」
翼「ああ…」
響「みんな怖そうな顔してましたし、流石に、虫の居所が悪かっただけって感じでもないですよね?」
調「とにかく、何とか脱出してギアを取り戻さないと…」
翼「それはそうだが、今は星矢と紫龍がここに来てくれるのを待つ以外にない。しかし、あの黒服、どうやら二課の人間ではなさそうだな」
響「え?どういう事ですか?」
翼「明らかに二課の者とは違う雰囲気だった。当然、並行世界だから、というのもあるから一概には決めつけられないが…。ただ、ここまで来る時の足取りを見ても、二課の本部の構造に慣れていない様子が見て取れた。以上から、少なくとも二課の人間である可能性は薄い、と私は思う」
響「さっすが翼さん!」
調「…私もそう思います。彼等の持っていた銃、あれはF.I.Sでも使われていた物でした」
翼「ふっ…いい目をしているな」
響「あれ?何も気づいてなかったのは私だけ…?」
調「けれど、相手の素性を予測したところで、ここから出る事ができないのは変わりません…」
翼「…ああ。この難局は私達のみで解決しなければ。場所は並行世界。本部のサポートも援軍も期待できない」
響「ガングニールがあれば、こんな扉も壁もこの拳で一点突破してみせるのに…」
調「私も、シュルシャガナがあれば…」
翼「それは私も同じ事。だが、ないものねだりをしても仕方がない…」
???「うわあああっ!!ば、化け物め~~!!」
突如として銃撃などの戦いの音がしたため、響達は身構えた。
響「な、何が起こったんですか!?」
翼「わからん…、ノイズが出たのかも知れん…」
???「助けに来たぞ、みんな!」
扉を開けたのは、星矢と紫龍、そしてフィーネであった。星矢と紫龍に倒された黒服の男達は顔が歪んでおり、身体もねじ曲がってたりとダメージの凄まじさが伺えた。
響「星矢さん、紫龍さん!」
フィーネ「あなた達ね、このシンフォギアの持ち主は」
翼「な?」
響「えええ!?」
調「まさか…その姿…フィーネ」
フィーネ「!?(なぜ彼女達まで私の名を…、考えるのは後ね)」
翼「一体これは…、星矢と紫龍の2人と共になぜ…」
フィーネ「…受け取りなさい」
響達はシンフォギアを受け取った。
響「こ、これ!私のガングニール!」
翼「私達のギアを…どうして」
フィーネ「さ、早く逃げるわよ。質問なら、逃げた後に答えてあげる。それに、聞きたい事があるのはこちらも一緒」
紫龍「俺と星矢もこの世界に詳しくないから、なし崩しにフィーネのボディーガードをする事となった」
星矢「納得いかねえだろうが、とにかく今は脱出だ!」
一同はフィーネの案内で二課本部を脱出しようとしていた。
フィーネ「…こっちよ。足元にセンサーがあるから、引っかからないようにね」
星矢「万一引っかかったとしても、俺達が壁でもノイズでもぶっ飛ばしてやるからな」
フィーネ「…随分と力任せね」
紫龍「確かにそうだな。だが、万一そうなった場合はそうせざるを得ない」
調「どういう事なんでしょう…?」
響「そ、そうですよ!黒服さんは二課じゃなくて、了子さんがいきなり現れて、こっちは一体どうなってるのか~」
星矢「俺に聞かれたってわかんねえぞ」
フィーネ「あなた達、内緒話はその辺にしてもらえるかしら?」
響「ごめんなさい」
翼「…正直な事を言えば、あなたに付いて行っていいものか迷っている」
フィーネ「…そうでしょうね。いいわ、少しだけ事情を話しましょうか。今、この特異災害対策機動部二課はとある武装組織の占領下にあるの」
響「武装組織の占領下って…ええっ!二課が乗っ取られちゃってるって事ですか!?」
フィーネ「そうよ」
星矢「だから、あの黒服の連中は直感で悪党の気配がしたのか…」
翼「星矢、まさかお前はあの男達を殴り倒したのか?」
星矢「ああ」
紫龍「俺達の聖衣を奪おうとしたのでな」
響「(星矢さんって、男の人が相手だとすぐ手が出ちゃうタイプだなぁ…)」
調「…風鳴司令は?」
フィーネ「…お偉いさんに呼び出されて、留守にしてるわ。彼がいれば、むざむざここを荒らさせる事なんてなかったでしょうね。全くあの人は肝心な時に…」
紫龍「(となれば、この世界の司令は俺達の世界と近い存在になるな…)」
響「確かに、師匠がいればそうですよね~。あの、他の人達は?」
フィーネ「主要の二課メンバーは別々の場所に監禁されているわ。もしくは見張りをつけて働かされている」
響「無事ではあるんですね…」
フィーネ「…随分と二課やその関係者に詳しいようね」
翼「それより、どうしてその武装組織とやらが私達を?」
フィーネ「あなた達がギアを纏い、ノイズを倒したからよ。聖闘士の聖衣を奪おうとしたのも同じ理由でね」
星矢「なるほど。でも、聖衣は小宇宙を燃やせる奴が持ってなきゃ、宝の持ち腐れさ」
フィーネ「シンフォギアシステム…私も完成品を見るのは初めてだわ。今だ机上の空論でしかないものが、いきなり現れたのだから。聖衣もそうだけど、目の色を変えてそれを手に入れようとしても、仕方のない事でしょう?」
紫龍「机上の空論…という事はこちらに装者はいないという事になる」
フィーネ「こちら、ね。ふふ…。ええ、確かに装者と呼ばれる存在はいないわ」
翼「(フィーネ…こちらでも櫻井女史に宿り、覚醒したのか?今の状況では測りかねるな…)もう一つ答えてほしい」
フィーネ「いいわ。好きな事を聞きなさい。私もあなた達に、俄然興味が湧いてきたわ」
翼「あなたの目的は…」
ところが、警報が鳴った。
星矢「どうやら、見つかったようだな」
フィーネ「監視カメラ…ちっ、位置を変えていたのね。小賢しいマネを…。お喋りはここまでね、急いで脱出するわ!」
一同は急いだが、黒服の男達が来た。
黒服「見えたぞ!逃がすな!」
黒服の男達は星矢と紫龍が応戦し、銃弾を全て受け止めた2人に男達は驚愕した。
黒服「じゅ、銃弾を受け止めた…!?化け物め…!」
そして、男達は一蹴された。
フィーネ「ちっ…集まって来てるわね。このルートは無理か…」
調「こっち!まだ敵の姿がない!」
紫龍「行くな、調!」
紫龍の制止も聞かずに調は敵がいない方へ行こうとしたが、伏兵がいた。
調「え!?そんな、敵が隠れて!」
響「危ない!」
フィーネ「全く、世話が焼ける!」
急いでフィーネは調を伏せさせたが、その際にフィーネは違和感に襲われた。その後、伏兵は銃弾を放ったが、フィーネは咄嗟にバリアを張って防御し、その隙に伏兵は星矢のパンチで倒された。
調「あ、ありがとう…」
フィーネ「…気にする事はないわ」
紫龍「みんな、俺と星矢が奴等を蹴散らして道を作った!急ぐぞ!」
フィーネ「行きましょう」
そう言ってると、また黒服達が出てきた。
響「どんどん敵が出てきますよ!」
星矢「こいつらがどれだけ来ても、俺と紫龍で返り討ちにしてやらぁ!」
黒服達がどれだけ集まっても、星矢と紫龍の前には神と虫けらも同然の差があった。
黒服「うぐっ、人の皮を被った化け物め…!」
星矢「へっ、ざまあみろってんだ!」
響「星矢さん…、いくら何でも…」
紫龍「今は緊急事態だ。まぁ、星矢も死なない程度には加減しているようだがな」
???「絶体絶命のこの苦境、そこに降り立つ僕こそは…」
突如、聞き覚えのある声がした。
星矢「忘れねえぞ、あの声…!」
ウェル「ドクター・ウェエエエルゥゥゥゥッ!」
しかし、既に星矢と紫龍によって黒服達は全滅していた。
部隊員A「博士…、無駄足だったようです…」
ウェル「な、何ッ!?」
部隊員B「誰がやったんだ…?」
紫龍「俺達だ」
ウェル「な、何ッ!?僕の活躍の場を…!!」
フィーネ「久しぶりね、頭のいかれた研究者さん」
ウェル「人聞きが悪いなぁ。僕は正常ですよ。むしろ常人の何倍もの優秀な頭脳を持っています!」
調「ドクターまでいるなんて…」
ウェル「さあ、そんな性悪女なんて置いて、僕と一緒に脱出ですよ!」
星矢「てめえよりフィーネの方が信用できるぜ。それに…その頭脳があったって、きちんと使わなきゃ宝の持ち腐れだ、クソ野郎が」
ウェル「何ッ!?貴様、僕を愚弄する気か!?」
星矢「ああ、てめえみたいな奴を愚弄して何が悪い?」
調「(まさか、星矢さんとドクターが対面しちゃったなんて…)」
翼「(星矢は立花や小日向、マリアの件でウェル博士への敵意が非常に強い。こんな状況で対面したら…)」
この一触即発の事態に調と翼は星矢がウェルを光速拳で殴る事が容易に想像できた。
フィーネ「私の方が信用されているわね。先約はこちらなの。あなたは遠慮しなさい?」
ウェル「そうは行くか!巡り巡ってやってきたこの千載一遇のチャンス!逃すつもりはありませんよ!」
フィーネ「この子達を好きにはさせないわ」
星矢「響達に手を出したら、俺がてめえのその面の原型を留めないほどにまでぶん殴ってやる!」
ウェル「黙れ、お前だって僕と同じだろう!シンフォギアに釣られてノコノコやってきただけのくせに!それに、お前は英雄の僕に向かってクソ野郎だとか生意気な口を!」
フィーネ「…否定はしないわ」
そう言ってると、敵が出てきた。
紫龍「新手か…」
星矢「俺達が片付けるか?」
紫龍「俺もあの男は癪に障るが、この場はウェルに任せるのがいいだろう」
フィーネ「あなたはどうするのかしら?」
ウェル「こうなっては仕方ありません。しばしその子達はあなたに預けますよ」
フィーネ「それがいいでしょうね」
ウェル「そして君達!君達っを救ったのはこのドクター・ウェルであるという事を忘れないでください!」
星矢「はいはい、わかりました…」
ウェル「ふふ、ではこの場は僕が食い止めましょう。さあ、さっさと逃げてください!」
部隊員A「食い止めるのは俺達だけどな…」
部隊員B「構うな、いちいち突っ込んでたらキリがない…」
フィーネ「この天災博士に付き従うなんて、同情するわ。…まあ、せいぜい時間を稼ぎなさい」
ウェル「黙れ!お前に指図される覚えはない!」
翼「(フィーネに、ウェル博士…そしてシンフォギアのない世界。こちらは一体、どうなっているんだ…)」
響達はその場を離脱した。
市街地(並行世界)
響達は脱出に成功した。
フィーネ「…何とか脱出できたわね」
響「はぁ、はぁ、そ、そうですね…」
翼「星矢と紫龍は流石に息一つ切れていないな…」
星矢「当然だぜ、修業していた頃はこんなのよりも遥かにきついものも多かったからな」
フィーネ「さて、後はこのまま無事に離脱できればいいんだけど…」
そう言ってると、ノイズが出てきた。
フィーネ「そううまくはいかないようね」
響「ええっ!?どうしてこんなばっちりなタイミングで!」
フィーネ「当然よ、あちらの手には『ソロモンの杖』があるのだから」
紫龍「奴等の手に渡っていたのか!」
フィーネ「さて、どう」
星矢「どうするも何も、蹴散らすに決まってるだろ!響達は疲れてるから、ここは俺達に任せろ!」
星矢と紫龍は聖衣を纏った。
フィーネ「(そう言えば、フォニックゲインの代わりに小宇宙でも完全聖遺物を起動させる事ができたわね。彼等には働いてもらうわよ…)」
ノイズでは黄金聖闘士である星矢と紫龍には歯が立たず、塵芥のように蹴散らされた。
星矢「へっ、ノイズ如きでは俺達なんて倒せやしねえよ!」
???「貴様ら、神闘士ではないな?」
ノイズを一掃した星矢と紫龍に聞きなれない声がし、その声の主2人が出てきた。
紫龍「何者だ!?」
ロキ「冥土の土産に教えてやろう、我が名はロキ!」
ウル「俺の名はウルだ!貴様ら、その鎧が何であるのかは知らんが、ドルバル教主のために消えてもらおう!」
星矢「消えるのはお前らだ!」
紫龍「星矢、こいつらは神闘士だが、俺達の知ってる神闘士とは違うぞ!油断するな!」
星矢はロキと、紫龍はウルと戦う事となった。
響「あの人達、悪い人なのでしょうか?」
翼「そうだろうな」
そして、その間にノイズがまた湧いてきた。
翼「今度は私達が戦わねばならないようだな」
調「そうですね」
響「行きましょう、翼さん!調ちゃん!」
3人は聖詠を唱え、ギアを纏ってノイズと交戦した。星矢の方はロキの動きを完全に見切り、終始優位に戦いを進めていた。
ロキ「何ッ!?攻撃が見切られているだと!?」
星矢「お前の攻撃は終わりか?ならば、今度はこっちから行くぞ!ペガサス流星拳!」
ロキ「ぐあああああっ!!」
ロキは流星拳をまともにうけ、大きく吹っ飛ばされた。一方、ウルは炎の剣で紫龍を斬ろうとしたが…
ウル「素手で俺の剣と鍔迫り合いをしているだと!?」
紫龍「これは我が右腕に宿りしシュラの魂、エクスカリバー!貴様の邪な剣では絶対に断ち切る事はできん聖剣だ!」
そう言って紫龍はウルの剣をエクスカリバーで両断し、ウルにも大ダメージを与えた。
ウル「うわあああっ!な、何が起こったんだ!?ドルバル教主の秘策が効かないだと!?」
星矢「紫龍の方も後少しのようだな」
紫龍「星矢、一気に決めるぞ!」
ロキ「おのれ…。最強の神闘士、ジークフリートさえ倒したドルバル教主のとっておきの秘策が効かぬとは…!この場は退くぞ!」
ロキはウルを抱えて逃げたのであった。
紫龍「(ジークフリートさえ倒した秘策だと?)」
星矢「あいつら、俺達の戦った神闘士に比べたらとっても弱かったな」
紫龍「そうだな。だが、次に戦う時も油断はするな」
星矢「わかってる。それより、あいつらの言ってたドルバルって奴がこの世界のアスガルドの異変の原因である悪の親玉なのか?」
紫龍「そうだろうな…」
星矢達が戦っている間、響達はノイズと応戦している最中だった。そして、フィーネは…。
フィーネ「いいわ…高まってゆくフォニックゲインと小宇宙…。そう、もう少し!」
そして、フォニックゲインと小宇宙がフィーネの満足するレベルまで高まった。
フィーネ「届いた!よくやった!」
高まったフォニックゲインと小宇宙により、ネフシュタンの鎧が起動したのであった。
フィーネ「ははは…、悲願をまずはひとつ達成した…!」
紫龍「あれは…ネフシュタンの鎧だと!?」
フィーネ「そう…これは装者達の歌と聖闘士の小宇宙で起動したネフシュタン」
翼「やはりお前は…」
響「ど、どこに持ってたんですか!?」
調「そういう問題じゃないと思う…」
星矢「フィーネ、それでどうするつもりだ!?」
フィーネ「ふふ…決まっているでしょう?」
フィーネはノイズを攻撃した。
響「ノイズを…?一緒に戦ってくれるんですね!」
フィーネ「言ったでしょう?私もあなた達には聞きたい事があるって。それに、あの連中のように黄金聖闘士を2人も相手にするほどバカじゃないわ。後、あなたには借りもあるようだしね」
響「借り…?何かありましたっけ?」
フィーネ「何でもないわ。さあ、炭素分解しか能のない、出来損ないの兵器ごときが。覚醒した完全聖遺物の前に露と消えろ!」
一同はノイズを全滅させた。
紫龍「終わったようだな」
響「疲れた~…」
翼「しかし、カルマノイズはいつの間に…」
調「気付いたら姿が見えなくなってました」
フィーネ「あれはそういう存在みたいね。一種の自動的な兵器。考えても仕方ないわ」
翼「(それにしても、まさかネフシュタンの鎧と肩を並べて戦う日が来るとは…)」
フィーネ「さて、そろそろちゃんと自己紹介しなくてはね。あたしはフィーネ、『櫻井了子』という人間を器とし、転生した終わりの名を持つ存在。やはり、あなた達は私の事を知っているみたいね。さあ、こちらは名乗ったんだから、次はあなた達の事を教えてくれないかしら?」
先にフィーネと接触した星矢と紫龍以外は名前しか明かさなかった。
フィーネ「名前以外はほとんど明かせないって事。まあ、今の所はそれでいいわ。さて、これから本題だけど…私は二課を奪還したいと思っているの。そこで、あなた達も手伝ってくれないかしら?」
響は引き受けようとしたが、調に口を塞がれた。
紫龍「なぜ、お前が二課を?」
フィーネ「あの場所は、今の私と櫻井了子にとっての唯一の居場所。それを奪われたのだから、取り返したいと思うのは当然でしょ?」
星矢「あんたの事は完全に信用してるわけじゃない」
紫龍「だが、俺達はさっき出てきた神闘士はあの黒服の連中と何か関わりがあると思ってる。それに、この世界の二課の人間を見殺しにはできないからな。手伝うとしよう」
響「紫龍さんも引き受けるんですね!?」
翼「紫龍まで!」
紫龍「翼、俺もフィーネの事は完全に信用している訳ではない。だが、今の俺達にできる事は少ない。フィーネが信用できない気持ちはわかるが、ここはこらえるんだ」
紫龍の言葉に翼は頷いた。
星矢「さて、一旦隠れ家に戻って休むか」
隠れ家
星矢達は今後の事を話していた。
調「本当によかったんでしょうか…」
紫龍「今の時点ではわからない。だが、二課をあのままにしてはおけないし、神闘士の事も気になる。フィーネは俺達の世界のように月の破壊を企てている可能性もあるから油断は禁物だ」
響「あの…安静にしている人がいるんですけど…」
星矢「あいつは神闘士のジークフリートだ。カルマノイズの群れを倒し終わった後に出会ったんだが、かなりの重傷を負ってたからフィーネの隠れ家で安静にしている」
翼「紫龍、あのジークフリートという男は私達の世界にもいたのか?」
紫龍「ああ、かつて俺達はアスガルドの神闘士と戦った際、ジークフリートと戦った事がある。あの男は誇り高い男で、アスガルドの戦いの真実に気付いてから、オーディーンサファイアを俺達に託し、散って逝った…」
翼「私達の世界のジークフリートは既に死んでいたのか…」
調「ところであの…ドクターの事は…?」
星矢「気にすんな、例えあいつがネフィリムの腕を得たって所詮は戦いのド素人だ。そんなクソ野郎がいらん事をしたら俺がタコ殴りにして懲らしめてやるから安心しろ」
調「(星矢さんの場合は懲らしめるを超えて、ドクターを殺しかねないと思う…)」
紫龍「占領された二課にアスガルドの異変…これは大変な事になりそうだな…」
窓を見ながら紫龍は呟いたのであった。
これで今回の話は終わりです。
今回は並行世界のフィーネとウェルの遭遇と星矢と紫龍の小宇宙と響達のフォニックゲインでネフシュタンが起動するまでを描きました。
聖闘士星矢の劇場版の神々の熱き戦いの神闘士を出したのは、黄金聖闘士2人に対してF.I.Sだけでは物足りなかった事と、並行世界ならばアスガルド編の神闘士と劇場版の神闘士を両方出す事も、ヒルダとドルバルを同時に出す事も可能だと判断したからです。ジークフリートがボロボロになっていましたが、そのジークフリートをボロボロにしたドルバルの秘策は聖闘士星矢本編を見れば何なのかがわかるはずです。
ちなみに、ヒルダはいつものアテナのようなポジションになります。
次の話はジークフリートが起き、ウェルが本編と同じようにネフィリムの細胞を腕に仕込みます。