セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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46話 訓練後の露天風呂

雪山

 

 大物ノイズの話は翼達Bチームにも知らされていた。

 

弦十郎『というわけで、本日の訓練の締めくくりに相応しい大物を用意しておいた。そいつにはAチームも逆転に充分なポイントを付与してある。先を越されないように頑張ってくれ。健闘を祈る』

 

マリア「一発逆転って、まるでバラエティのクイズ番組じゃあるまいし…」

 

奏「こっちの方がハラハラして面白そうじゃないか」

 

翼「奏…。だが、大物か…どうする?」

 

マリア「漠然に大物と言われても、相手もわからないしね」

 

調「私達は普通の敵でも組み合わせ次第ではクリアできる残りポイントですし…」

 

翼「だが、残り8ポイントか。確実というには微妙な所だな」

 

マリア「確かに。小型のノイズやアルカ・ノイズだった場合、時間を食う割にはポイントは低かったわね」

 

翼「最悪のパターンだと2戦でも足りないな」

 

調「翼さん並みの機動力が私にあれば余裕だったのに…」

 

奏「そう言っても何も始まりはしないぞ。その大物を見て、判断するってのもいいんじゃねえか?」

 

翼「そうだね、奏」

 

マリア「その大物との戦闘は回避して通常通り敵を見つけてクリアする事も考えておきましょう」

 

調「私もその方針に賛成よ、マリア」

 

奏「頂上に着くまでに雑魚の群れと遭遇してクリアっていう可能性もあるしな」

 

翼「さあ、行くぞ!」

 

 Aチームは頂上を目指していた。

 

響「ちょっと待って。何か、上の方に見えてきた…」

 

 響は早速、大物のノイズを見つけた。

 

クリス「なるほど…大物ってのはあいつの事かよ」

 

響「うわー…これはまた大きいね。まるで山の頂上そのものみたい」

 

クリス「はっ、あたしらにかかれば、図体だけの敵なんて!」

 

 クリスは攻撃したものの、大物のノイズにはあまり効果はなかった。

 

響「ナイス、クリスちゃん!未来、切歌ちゃん!今の内に懐に飛び込むよ!」

 

未来「うん!」

 

切歌「…」

 

未来「切歌ちゃん、戦いに集中して!」

 

切歌「あっ、はいデス!」

 

響「さっきからなんか変だけど、大丈夫?」

 

切歌「な、何でもないデス!」

 

クリス「何グズグズしてんだ!あたし1人に戦わせる気か!?」

 

未来「ごめんね、今から行くよ!」

 

切歌「行くデスよ!」

 

 響達も大物のノイズに挑んだ。

 

響「はぁぁぁーっ!」

 

未来「やああああっ!」

 

 響と未来は同時攻撃を仕掛けた。

 

切歌「やったデスか!?」

 

 しかし、攻撃は大して効いてなかった。

 

クリス「いや…まだピンピンしてやがる!」

 

切歌「そんなバカな…アレを喰らって何ともないデスか!?」

 

クリス「いったいどうなってんだよ!こんな耐久高いなんて、ありえねーだろ!」

 

響「『締めくくりに相応しい相手』って、こういう事?師匠らしいといえば、らしいけどー!」

 

クリス「シミュレータとはいえ、パラメータ盛り過ぎだろが!」

 

未来「倒すのに火力が全然足りないよ!」

 

切歌「あたしに力がないから…」

 

 切歌は放心状態になっていた。

 

クリス「ば…バカ!何ボサッとしてるんだ!」

 

切歌「え…なっ、なんデスと!?」

 

未来「危ない!」

 

 大物のノイズが襲い掛かったが、咄嗟に翼が来て切歌を回避させた。

 

翼「無事か、暁?」

 

切歌「つ、翼さんデスか?」

 

調「切ちゃん、大丈夫?」

 

クリス「やれやれ…訓練だからって気を抜くんじゃねーぞ?」

 

マリア「あなた、その恰好…」

 

奏「気になるのはわかるけど、今は大物をぶっ飛ばすのが先だ」

 

マリア「…ええ、そうね」

 

切歌「どうして助けてくれたんデスか?競争中デスよ?」

 

奏「確かに競争中だ。けどな、苦戦してる仲間を目の前にしておきながら、見捨てて勝とうとは思わねえよ」

 

マリア「シミュレータとはいえ、流石にできない相談よね」

 

調「うん…」

 

マリア「登ってきながら遠目に戦いを見せてもらったけど、随分と手強い相手みたいね」

 

響「はい!叩いても叩いても、全然倒れません!」

 

翼「相手が相手だ。ここは助太刀させてもらおう!」

 

クリス「ちっ、余計な事を…と言いたいとこだが!」

 

 話している最中に大物のノイズの攻撃をかわした。

 

クリス「仕方ねー、ポイントは半分ずつだからな!」

 

マリア「上等!」

 

翼「ならば…推して参る!」

 

 装者全員で大物のノイズに挑み、どんどん押していった。

 

響「はあああーっ!!」

 

未来「やあああーっ!!」

 

翼「はあーーっ!!」

 

奏「てりゃあーーっ!!」

 

 響と未来と翼と奏の4人同時攻撃を受け、大物のノイズは倒されたのであった。

 

調「今度こそ、やった」

 

マリア「…とんだ強敵だったわね」

 

クリス「約束通り、撃墜ポイントは半々だな」

 

響「えーと…。30ポイントの半分だと15ポイントだから…」

 

調「私達は途中で雑魚を倒してきて、あと2ポイントでクリアだったから余裕なはず」

 

???「Aチームもそれでちょうどクリア。つまり両チーム同時クリアって事になるな」

 

響「その声は…」

 

 声の主は星矢であり、仲間達もいた。

 

星矢「お疲れさん」

 

あおい「まずはあったかいものどうぞ」

 

マリア「ありがとう、助かるわ」

 

翼「ギアを纏っているとはいえ、寒さが身に堪えたからな」

 

奏「っていうか、星矢達は薄着で大丈夫なのか?」

 

紫龍「装者とは鍛え方が違うからな」

 

氷河「問題ない。それに、俺の故郷であり、修業した場所であるシベリアの方がもっと寒いから、こんな寒さなんて心地よいものさ」

 

奏「つくづく人間離れしれるなぁ…」

 

マリア「(シベリアなんて極寒地獄じゃない!というか、聖闘士はまるで、人の皮を被った怪物のようにしか見えないわ…)」

 

瞬「寒い中でよく頑張ったね。今回はとっても嬉しいご褒美があるよ」

 

響「ご、ご褒美!?」

 

調「でも、今回は引き分けだから…どうなるんだろう?」

 

あおい「どちらも勝者と捉える事もできるし、そもそも勝った方にだけご褒美なんて誰も言ってないわよ?」

 

響「あれ?そうだっけ?」

 

奏「言われてみれば、そうだな…」

 

翼「全く、司令も人が悪い」

 

マリア「それを見越しての『最後の仕上げ』と言う事ね」

 

翼「ああ。敢えて協力しなければ勝てない設定をして、な」

 

紫龍「さあ、どうだろうな?」

 

響「それでそれで、ご褒美って何ですか?」

 

星矢「ふふふ、それはだな…この先にある天然の露天風呂だ。俺達は一足先に満喫したから、響達も思う存分に楽しめよ」

 

響「おおーっ、温泉!」

 

未来「温泉だなんてよかったね、響!」

 

翼「雪山の露天風呂か。風流だな」

 

クリス「きつい訓練に耐えた甲斐があったってもんだ」

 

氷河「俺達は先に戻っておくぞ」

 

 星矢達は先に旅館に行った。

 

調「やったね、切ちゃん」

 

 しかし、切歌からの反応はなかった。

 

調「切ちゃん、どうしたの?」

 

切歌「どうせあたしなんて…」

 

調「切ちゃん?」

 

奏「そういや、さっきの戦闘の時にAチームはなんか、サンタのコスプレをしてたみたいだな」

 

翼「奏は初めてだったね。あれは、心象によって変化した特殊なギアなんだよ」

 

奏「へえー、初耳だ。シンフォギアってあんなコスプレみたいな姿にもなれるのか…」

 

マリア「奏、シンフォギアは通常の状態でも装者の心象に影響されるのよ。例えば…響のガングニールとか、クリスのイチイバルとか、未来の神獣鏡がそのわかりやすい例よ」

 

奏「(神獣鏡?この世界のダンナの話でも聞いたが、確かあたしの家族が発掘した聖遺物も神獣鏡だったような…)そうなのか。ところで、お前は何でギアが変化してなかったんだ?」

 

 偶然、奏は切歌と視線が合ったために聞いてみた。

 

切歌「!?そ、それは…ううっ…」

 

 切歌の様子を察したのか、奏はそれ以上は聞かなかった。

 

調「切ちゃん、どうどう」

 

マリア「ギアの変化とは考えたわね。動きに食い雪上なら適応すればいい…という事かしら」

 

翼「途中から急激に追い上げてきたのはそれの効果か。『雪上型』というわけだな」

 

響「結果としてそれはそうなんですけど…見ての通り『クリスマス型』なんです」

 

翼「『雪上型』ではなく、『クリスマス型』だと?」

 

奏「へえー、まさにその通りだな。あたしもそんな感じがしてたし」

 

マリア「え?クリスマスへの強い想いでギアを変化させたの!?」

 

未来「はい、私はそういったギアの変化をやるのは初めてだったんですけど、試してみたらできましたよ」

 

マリア「そう。と、いう事は…(この子もそんなにクリスマスが楽しみだったのかしら)」

 

 マリアはクリスへ視線を向けていた。

 

クリス「な、なんだ!?なんか文句あるのかよ!?」

 

マリア「いえ、何でもないわ」

 

響「つまり、それだけクリスちゃんもクリスマスが楽しみだったって事だよね!」

 

翼「マリアが敢えて口にしなかったものを…」

 

クリス「全部言っちまってるじゃねーか!」

 

切歌「そうデス…それに引き換え、あたしはクリスマスへの想いが足りなかったデス…」

 

響「切歌ちゃん?」

 

翼「ああ。そう言えばさっき奏も言ってたが、暁だけ通常のギアだったな」

 

マリア「ちょ、ちょっと翼!」

 

切歌「こんなに楽しみにしてたのに…」

 

調「どうどう、切ちゃん」

 

マリア「まあ、想いの強さなんて、個人差はあるものだし…」

 

響「個人差かぁ…。そうだ、翼さんも試してもらえませんか!」

 

マリア「(ナイスアイディアだわ!奏だと楽しみというのがすぐ表に出ちゃうし)そうね、翼も試してみたらいいんじゃないかしら(クリスマスに対して淡泊な翼なら、変身できない可能性が高い。変身できない仲間がいれば、切歌の気も多少紛れるはず…)」

 

 マリアはそう思っていたが、奏の方は首を傾げる様子をしていた。

 

クリス「そ、そうだな。やってみろよ」

 

翼「ふむ?」

 

切歌「翼さんが…?」

 

マリア「(お願いよ、翼!)」

 

奏「(なーんか嫌な予感がするな。もしかすると…)」

 

 マリアは翼は失敗するだろうと思っていたが、奏は嫌な予感がしていたのであった。

 

翼「(なるほど、そういう事か…ならば一肌脱ぐとしよう。)ああ。そこまで言うなら、私もやってみよう」

 

 早速、翼はやる事にした。

 

翼「(クリスマス型…絶対に変化するわけにはいかない…そう、絶対!そもそも私はそういったイベントとは無縁の存在。心は常に常在戦場。浮かれてなどいられない。例え奏や仲間がクリスマスを楽しみにしていようとも、私にそれは似合わない。街を彩る装飾、あの心が躍るようなBGM。甘く美味しそうなクリスマスケーキに酒類豊かなオードブル。そう言えば、親しい仲の人とはプレゼント交換なるものをするらしいが…、ふっ、私には関係ない事だな。今、考えるべきは大切な仲間の事。暁やみんなが笑顔になるのなら、私は敢えて道化となろう…)」

 

 翼はギアを装着した。ところが…

 

翼「暁…この通りだ。ギアの変化などそうそう簡単にできるものでは…」

 

マリア「できてるじゃない!?なんで成功してるのよー!?」

 

クリス「ちょ、空気呼んでくれ!」

 

翼「い、いや、私はこんなつもりでは!?むしろみんなの笑顔のために失敗しようと…」

 

奏「やっぱりか…」

 

マリア「やっぱりかって…奏、どういう事なの?」

 

奏「あたしの世界の翼がまだ生きててツヴァイウイングとして活動していた頃はあたしも翼もクリスマスライブが楽しみでな、翼は無縁を装っていてもあたしが連れ出した時は意外と楽しみにしてたんだ。やっぱ、こっちの翼も楽しみにしてたのか」

 

マリア「そう言えば、クリスマスライブというものあったわね」

 

切歌「ぬぐぐぐ…」

 

響「き、切歌ちゃん!?」

 

未来「さっきより悪化してる…」

 

切歌「翼さんまで…しかも、失敗しようとしたのに成功したデスと…?」

 

翼「い、いや、これは何かの間違いだ!気をしっかり持て、暁!」

 

切歌「もう、もう……デエーース!!」

 

 雪山に切歌の悲痛の叫びが木霊したのであった。

 

 

 

旅館

 

 訓練が終わり、響達は旅館に来たのであった。

 

星矢「待ってたぞ、響達」

 

響「星矢さん!」

 

未来「どうして星矢さん達が旅館に?」

 

???「それは、私達は訓練の準備に付き合う事となったからだ」

 

 声と共にカミュとアルデバランが来た。

 

調「カミュさんにアルデバランさん…」

 

奏「誰だ?こいつら」

 

響「カミュさんとアルデバランさんは並行世界からやってきた黄金聖闘士なんです」

 

奏「あのクールそうな奴とオッサンが黄金聖闘士?」

 

アルデバラン「おいおい、オッサンはないだろう?俺はこれでもまだ22だ」

 

奏「マジかよ!?」

 

クリス「ってか、何でクールそうな奴とオッサンが来たんだ?」

 

カミュ「至って簡単だ、私は雪や氷の上に最も慣れているから、アルデバランは力自慢だから来る事となった」

 

マリア「という事は、あなた達もその準備に関わっていたのね」

 

アルデバラン「ああ。汗を流した後にこういった露天風呂も悪くないしな」

 

カミュ「私達は君達の訓練の準備で数日前からここに滞在して、準備を進めていた」

 

紫龍「お前達も露天風呂を満喫するといい」

 

 そう伝えて星矢達は自分達の部屋へ行こうとしたが…。

 

未来「カミュさん、あの…ちょっと相談したい事があるんですけど…」

 

カミュ「相談したい事?」

 

 少し離れた場所で未来は切歌がクリスマス型のギアに変化できなかった事を話した。

 

カミュ「ギアの変化か…。話は聞いていたが、生憎私達はシンフォギアには詳しくないのでな」

 

未来「そうですか…」

 

カミュ「だが、ギアの変化には想いが必要である事は聞いている。そこで、君達Aチームと面接を行いたい」

 

未来「面接?」

 

 早速、カミュはAチームと1人ずつ面接を行った。

 

カミュ「響、この面接は単にどういった想いでギアを装着したかを聞きたいだけだ。緊張せずにその想いを言葉にしてみるんだ」

 

響「はーい!」

 

 それぞれ、クリスマス型のギアに変化した際に何を考えていたのかをカミュに話したのであった。

 

カミュ「わかった。切歌が変化できなかった原因は私達の方でも突き止めてみせよう」

 

 カミュはその場を離れ、星矢達の所に来た。

 

氷河「カミュ、どこへ?」

 

カミュ「少し響達と面接をしててな。切歌のギアがクリスマス型とやらに変化できなかった原因を考えていた所だ」

 

星矢「そういや、切歌のギアはそのままだったな」

 

アルデバラン「それで、原因はわかったのか?」

 

カミュ「今はその原因を考えている所だ。まだ時間がほしい」

 

瞬「その原因って、何だろう…?」

 

 切歌だけギアが変化しなかった事に星矢達も考えていたのであった。

 

 

 

 そして、装者一同は早速、更衣室で服を脱いで露天風呂に入った。

 

響「わ~い、露天風呂だ~~!!」

 

未来「響、嬉しいからって走っちゃ」

 

響「うわあああああっ!!」

 

 未来の警告も虚しく、響は足を滑らせてしまい、温泉にドボンと飛び込んでしまった。

 

響「温泉に頭から飛び込んじゃうなんて…。私、呪われてるかも…」

 

未来「だから走っちゃダメって言ったでしょ?呪われてるんじゃなくて、響の自業自得だよ」

 

 他の装者達も温泉に入った。

 

クリス「ああっ、露天風呂は最高だぁ!」

 

マリア「雪山を眺めながら温泉に浸かるなんて、そうそうできるものじゃないわ」

 

翼「ああ、悪くないものだな」

 

 温泉に浸かって満喫していた。

 

未来「響、ご飯の食べすぎで最近太ったんじゃないの?」

 

響「え?ほんとに!?どこが!?」

 

未来「ええっとね…、こことか!」

 

 そう言って未来は響の胸を鷲掴みにした。

 

響「のおおおおっ!!む、胸は~~~!」

 

未来「響の弱点はわかってるんだよ~」

 

響「あはははっ、やめて、やめて~!」

 

クリス「こんなとこでイチャつくんじゃねえ!」

 

響「よーし、クリスちゃんも巻き添えにしちゃおう!」

 

 今度は未来と一緒にクリスの胸を触ったのであった。

 

クリス「うわっ!あたしの胸を触んじゃねえ!」

 

響「女の子同士だしいいじゃん!」

 

未来「クリスの胸は大きくて、弾力がとてもあるわね…」

 

調「いつも思うけど、あの南の島の落とし穴に引っかかるほどの凄いボリューム…」

 

 調はじーっとクリスの胸を凝視した。

 

クリス「なんであたしの胸をじーっと見てるんだよ!」

 

マリア「あの子達ははしゃいでいるわね」

 

翼「元気が有り余っているのか?」

 

 少し離れた所でマリアと翼は響達を見ていた。そんな中、奏は響と未来の所に来て、指先で響の胸の古傷に触れた。

 

響「か、奏さんまで~~!!」

 

奏「なあ、響。あたし達の世界に来た時から気になってたけど、その胸の古傷は何だ?」

 

響「この傷は3年前のツヴァイウイングのライブでノイズが襲撃してきた時、私達の世界の奏さんの砕けたガングニールの破片が刺さって…」

 

奏「(そういや、この世界のあたしは同じ3年前のライブの際、ノイズが襲撃して来た時に死んだって言ってたな…)で、何でその傷を残してるんだ?一応はいい病院に行けば消せるんだろ?」

 

響「ライブから生還した後は誹謗中傷がずっと続いて、一度はこの傷を完全に消し去りたいと思いました。でも、星矢さんと沙織さんに助けられてからは、私達の世界の奏さんに助けてもらった証として、真実を確かめたいのも兼ねて残しておく事にしたんです」

 

奏「そっか…、お前も生還してから辛い目に遭ったんだな…」

 

未来「私や星矢さんに沙織さんの支えがなかったら、響は響でいられなかったと思います。私は並行世界でそんな響を見た事がありますから…」

 

奏「友達を見捨てずに支えた未来は偉いな。それにダンナから聞いたけど、未来は最初は紛い物の装者だったのに、いつの間にかLiNKERがいらない本物の装者になっちまったんだろ?」

 

未来「はい。麻森博士やエルフナインちゃんでもその原因はわからないそうなんです」

 

奏「世の中は不思議なもんだな、紛い物から本物に昇格しちまう装者が現れたなんて…」

 

未来「奏さん、少し気になったんですけど、どうして私をよく見てるんですか?」

 

奏「ああ。未来の纏っているギアが神獣鏡だと聞いて、気になったんだ」

 

響「奏さんと神獣鏡にどんな関係があるんですか?」

 

奏「あたしの両親は聖遺物発掘に携わっててな、今から6年程前にノイズに襲われて亡くなって、あたしはそん時の生き残りなんだ」

 

未来「奏さんもノイズの被害に遭ったんですね…」

 

奏「後にダンナから聞いたんだけど、そん時に見つかった聖遺物が神獣鏡だったんだ」

 

マリア「(神獣鏡?ある程度は予想してたけど、奏の生き残った並行世界でも見つかっていたのね)」

 

 奏達の話をマリアは聞いていた。

 

響「嘘!?奏さんの両親が見つけた聖遺物が神獣鏡だったなんて!?」

 

奏「けど、破損が激しくて流石の了子さんもシンフォギアに加工できなかったんだ」

 

マリア「そこは私達の世界とは違ったみたいね」

 

響「マリアさんも加わってるし!」

 

奏「マリア、その口ぶりだとそっちのあたしの両親が発掘した神獣鏡は加工できたみたいだな」

 

マリア「ええ。そして、その神獣鏡を未来が纏う事となったの。ただ、私達の世界の神獣鏡はある事情で響が奏から受け継いだガングニールと共に失われて、今は別の並行世界の神獣鏡を纏っているけどね」

 

未来「その…奏さんの両親が見つけたこの世界の神獣鏡をダメにしてしまって…」

 

奏「気にするなよ。聖遺物と違ってお前達の命が失われたら元も子もないじゃないか。それに不思議だな。お前達2人があたしと縁のある聖遺物の装者になるなんて…」

 

響「言われてみればそうだね。私が奏さんからガングニールを受け継いで…」

 

未来「私が奏さんの両親が発掘した神獣鏡を纏う事になったなんて」

 

奏「ま、これからもよろしく頼むぞ」

 

 一方、切歌は落ち込んでいた。

 

調「切ちゃん…」

 

翼「月読、今はそっとしておいた方がいい…」

 

クリス「余計な事をしたらもっと落ち込むしな」

 

 切歌の落ち込みぶりに調は沈んでいた。

 

 

 

 それから装者達は露天風呂から出て、着替えたのであった。

 

マリア「ふう…いいお湯だったわ。雪の山肌を眺めながらの露天風呂なんて最高ね。雪山での特別訓練なんていうから、初めはどうなるかと思ったけれど、まさかこんな見返りがあるなんて」

 

奏「あたしも参加できてよかったよ。色々と気になった事も話す事ができたし、楽しく入浴できたし」

 

 そこへ、調が来た。

 

調「マリア…」

 

マリア「あら、調。切歌は一緒じゃないの?」

 

調「向こうで落ち込んでる」

 

奏「なぁ、あいつは何で落ち込んでたんだ?」

 

マリア「サンタクロースがいないという事実を知ってしまったのが原因なの。それから、気持ちが回復しかけていたのだけど…クリスマス型のギアにもなれず、再びショックを受けるなんてね…」

 

奏「サンタクロースか…。あたしも小さい頃、サンタクロースがいないという事実を知った時はショックだったからな…」

 

調「切ちゃん可哀想…」

 

マリア「ついてなくていいの?」

 

調「うん…今は1人にしてほしいって」

 

奏「こりゃ、重症だな…」

 

調「すっかり裏目に出ちゃった…」

 

マリア「そうだけど。まさか、あの朴念仁の翼までもクリスマス型になれるなんて奏以外は思わないでしょう?」

 

奏「確かにそうだな。付き合いの長いあたしじゃないとそうは思わないだろうし」

 

調「もしかして…私達にもできちゃうとか…」

 

マリア「まさか、よね」

 

調「まさか、だよね」

 

奏「一応、試してみたらどうなんだ?あたしなんてそういったギアの変化は今までやった事もないし」

 

調「う、うん。試すだけならタダだしね」

 

マリア「私達もできなかったわよ。…って言えば、きっと切歌も元気になるわよ」

 

調「うん、そうだね」

 

奏「それじゃ、やるぞ」

 

調「…うん」

 

 早速、試す事にした。

 

マリア「(…調と切歌のためにも、楽しいパーティーにしなくちゃね)」

 

調「(切ちゃん…励ましてあげたい。誰より楽しいクリスマスを切ちゃんにプレゼントしたい…)」

 

奏「(また翼と一緒にクリスマスを迎える事ができたんだ。翼やみんなと思いっきり楽しまなきゃな!)」

 

 3人がギアを纏うと、クリスマス型に変化していた。

 

マリア「できちゃったわね…」

 

調「うん…」

 

奏「初めてギアの変化ができたのは嬉しいが…、こりゃ大変な事になっちまったな…」

 

 3人は悩んだのであった。

 

 

 

雪山

 

 そして翌日…。

 

クリス「また雪山訓練かよ…」

 

マリア「温泉があるとわかっただけ、昨日よりだいぶマシじゃないの」

 

クリス「まあ、そりゃそうだけど…」

 

響「みんな、今日のお楽しみはそれだけじゃないよ!これが終わったらクリスマスパーティーがあるんだから!しかも全部S.O.N.G持ち!むしろそっちが本番だよ!」

 

調「凄い…、無料のご飯なんて…」

 

奏「張り切ってるじゃないか」

 

響「という訳で、テンション上げて今日も頑張ろう!」

 

クリス「お前は上がり過ぎだろ!ちっとはセーブしろ!」

 

未来「そう言っても無駄だよ。響はこういった事があるといつもこういうテンションなんだから」

 

響「未来、パーティーが楽しみでワクワクしちゃうよ!」

 

未来「それだったら、訓練も頑張らなきゃね」

 

翼「…暁、その…大丈夫か?体調が優れないなら、今日の訓練は休んでも…」

 

切歌「どうせあたしはクリスマスを楽しむ権利なんてないデス…」

 

翼「(くっ…ま、まだ引きずっている…)」

 

奏「(というより、昨日より悪化してるじゃねえか)」

 

調「(ど、どうしよう…?)」

 

マリア「(こうなったら、背に腹はかえられないわ)」

 

奏「(あたしに任せとけ)あ、なのな。実は夕べ試したんだが、あたし達もギアが変化しなかったんだ。だから、気にすんなよ」

 

切歌「え?そ…そうだったんデスか?」

 

奏「あ、ああ。マリアも調もダメだったんだ」

 

マリア「(ボロを出しちゃダメよ、奏…)」

 

切歌「やっぱりマリアと調と奏さんは仲間デス!」

 

クリス「(何だかな…)」

 

 そこへ、あおいが来た。

 

あおい「お待たせしてすみません」

 

翼「…そ、それで今日の訓練は?」

 

あおい「皆さんには機能に引き続き雪山でのギア運用試験を兼ねた、模擬戦闘を行っていただきます。ただ想定外のクリスマス型ギアの発現に伴い、通常型のギアとの雪山での運用能率差を重点的に比較検証したいとの意向です」

 

響「という事は、組み合わせは…」

 

翼「私がAチームに、暁にBチームに移れば揃うな」

 

あおい「はい、なのでマリアさんと調ちゃんと奏さんに関しては、切歌ちゃんに合わせる形で、今回は通常のギアでお願いします」

 

奏達「ん?」

 

切歌「マリアも調も奏さんも元々クリスマス型にはなれないから、合わせるも何もないデス」

 

あおい「え?そんなはずは…」

 

奏達「ああああっ!?」

 

 切歌に聞こえない形で奏達はあおいとひそひそ話をした。

 

調「どうして私達が、クリスマス型になれるって知っているんですか?」

 

あおい「アウフヴァッヘン波形を検知してますから、当然、本部でも把握していますよ」

 

奏「そうか、それがあったか…」

 

マリア「普通に考えたらそうよね。ねえ、ちょっとお願いがあるんだけれど…」

 

あおい「はい?」

 

 マリアはそのお願いを伝えた。

 

あおい「そういう事ならわかりました」

 

調「よろしくお願いします」

 

あおい「それでは…クリスマス型のギアに変身できた響ちゃん、翼さん、クリスちゃん、未来ちゃんをAチームとし、マリアさん、調ちゃん、切歌ちゃん、奏さんをBチームとします」

 

響「でもさ。私達はそれでいいけれど…流石にポイントの差がつきすぎないかな?」

 

あおい「ええ。でも、今日はチーム形式での競争よりも、ギアの評価実験のようなものと捉えてください」

 

マリア「まあ、昨日も競争で煽りながらも、最後はチームワークの訓練に持ち込んでいたみたいだしね」

 

あおい「さて、何の事でしょう?クリスマス型のギアによる索敵・戦闘効率を考慮して、目標ポイントは昨日の訓練の倍に設定しました」

 

奏「それだとますますこちらが不利だが…仕方ないな」

 

あおい「どちらかのチームが目標ポイントに達したら終了ですから。それまでBチームもできるだけ頑張ってみてください」

 

翼「内容はともあれ、だ。図らずもLiNKERが不要な装者達とLiNKERが必要な装者達という構図になったな」

 

未来「本当だ」

 

クリス「勝ち負けが問題じゃないと言っても、燃えるものがあるな」

 

切歌「それはこっちのセリフデス。適合率の低さなんてあたし達と奏さんの連携の前には問題はないのデス!」

 

奏「よく言ったな、切歌。装者の戦闘能力は適合率で決まるんじゃねえ、鍛え方と経験によって決まるんだ!紛い物でも鍛え方次第で本物を超えられる事を証明してやるぞ!」

 

マリア「(一度は孤独に戦い続け、悩んだりしたからこそ、奏の言った事にとても説得力があるわ)」

 

調「そうだね、私達の付き合いは長いし、適合率の低い奏さんやマリアだって翼さんに引けはとらないから」

 

切歌「そうデスよ!あたし達の底力、見せてやるデス!」

 

 その言葉に奏達はぎこちなく頷いたのであった。

 

あおい「それじゃ、私はヘリで司令部に戻りますね。みんな、気を付けて」

 

響「了解です!パーティーの準備もお願いします!」

 

あおい「はいはい。そっちは任せておいて」

 

 早速、訓練が始まったのであった。




これで今回の話は終わりです。
今回は大物のノイズとの戦いとその後のお風呂でのサービスシーンを描きました。
響と未来のイチャイチャシーンはクロスアンジュの18話のヒルダがアンジュの胸を触るシーンがあり、それを未来がやっても違和感がなさそうだと思って挿入しました。
また、クリスが胸を触られるシーンがありますが、クリスはマリアや奏に比べ、やたらと胸の大きさについて言及されるシーンがXDでは多いため、お色気要員としました。
フロンティア事変の際に使われた神獣鏡は奏の両親を含む発掘チームが発見したものという設定があったそうなので、未来と奏の意外な繋がりが明らかになるシーンや、奏が生き残った世界でも神獣鏡の状態は違えど、同じ出来事があった事が明らかになるシーンを加えました。
次に話は再び訓練となり、クリスマスパーティーもあります。
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