セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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48話 番外編 数千年の時を超えた出会い

シベリア

 

 クリスマスが終わって年末となり、氷河は日本で花束を購入してから故郷のシベリアへ戻り、亡き母親へ供え物としたのであった。

 

氷河「(マーマ、今年は色々とあったよ。並行世界でアイザックと出会ったり、南の島を探索したりして色々と騒動が多かった。また、安らかに眠ってね…)」

 

 氷の上に花束を置き、知り合いのヤコフがいる村へ帰ろうとした氷河だったが…。

 

???「氷河、氷河」

 

氷河「この声は…!」

 

 声がした方を向くと、そこには死んだはずの母親、ナターシャがいた。

 

氷河「マ…、マーマ!?そんな…、俺は夢でも見てるのか?」

 

ナターシャ?「氷河、これは夢ではないのよ。さあ、近くにおいで。私もあなたを抱きしめたいから…」

 

氷河「マーマ……マーマ!!」

 

 母親が目の前にいる事実に氷河は疑う事もなくナターシャに近づいた。

 

氷河「(この温もり、まさにマーマそのものだ…)」

 

 感動の再会であったが…、ナターシャは表情を変えて突然氷河を攻撃して吹っ飛ばした。

 

氷河「おわあああああっ!!マーマ、何で俺に攻撃を…!?」

 

ナターシャ?「相変わらず母親や師匠に兄弟子の事となればクールになれないようね。リュムナデスにやられた事を全く反省できてないじゃない。それではダメよ」

 

氷河「何者なんだ!?俺のマーマなのか!?」

 

ナターシャ?「私はあなたの母親に化けただけよ、アクエリアス。正体を知りたいなら、自分の力で暴く事ね」

 

 そう言ってナターシャは姿を消した。

 

氷河「(どういう事なんだ…?)」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 それから、装者達や星矢達は集合する事となった。

 

氷河「何ッ!?お前達もその俺のマーマに化けた奴に襲われたのか!?」

 

マリア「ええ。正体は見せてないけど、その人が氷河の母親に化けた奴と同一人物である可能性はあるわ。私の時はセレナに化けて現れたの」

 

星矢「確か、セレナってマリアの妹なんだろ?」

 

マリア「ええ。まさか、私の死んだ妹に化けていたなんて、思わなかったわ…」

 

 

 

回想

 

 それは、あるライブの帰りの事だった。

 

マリア「(もう、こんなに忙しいなら、少しぐらいはバカンスを楽しみたいわ…)」

 

 心の中で愚痴っていると、思わぬ人物と遭遇した。

 

セレナ?「マリア姉さん」

 

マリア「セレナ!?どうして!?あの時、死んだはずじゃ…!?わ、私は夢でも見てるの…!?」

 

セレナ?「夢なんかじゃないよ、マリア姉さん。私はこうやって姉さんに会いに来たんだから」

 

 いくら目をこすっても姿が消えないため、マリアは夢ではないと判断したのであった。

 

マリア「夢じゃない…。セレナ、セレナぁああああっ!!」

 

 目の前にいる妹を抱きしめようとしたマリアであったが、セレナは無情にもマリアを攻撃した。

 

マリア「がはっ!な、何でセレナが私を…?」

 

セレナ?「あなた、思ったよりも簡単に引っかかったわね。これでは、大切な人に化ける敵にすぐやられるわよ」

 

マリア「あなたは何者なの!?何でセレナの姿を」

 

 何も答えず、セレナは姿を消した。

 

 

 

マリア「という訳なの」

 

響「大切な人に化けて襲ってくるなんて…」

 

瞬「まるで、リュムナデスみたいだ」

 

マリア「他のみんなも大切な人に化けた奴に襲われたの?」

 

翼「ああ。私の時は奏に化けたが、違和感を感じたから偽者であると気付いた」

 

紫龍「俺の時は春麗だったが、翼と同じように違和感があったから別人だとわかった。そして、そいつは俺を褒めたんだ」

 

翼「奇遇だな、紫龍。私も正体を見抜いた時は褒められた」

 

星矢「で、他はみんなしてやられたって事か?」

 

瞬「うん…。僕の時はジュネに化けたんだ」

 

クリス「あたしの時はママに化けた」

 

切歌「あたし達の時はマムに化けたのデス」

 

調「マムが目の前に現れたから、疑う事を忘れて引っかかっちゃったの」

 

紫龍「司令、敵の行動をどう思いますか?」

 

弦十郎「なるほど…、今回の敵の化けた人物にはある共通点がある」

 

翼「共通点?」

 

弦十郎「それは、化けた人物は全員女性であるという事だ」

 

クリス「言われてみれば…」

 

弦十郎「とにかく、引き続き注意が必要だ。そして、次のターゲットは…星矢と響君で間違いないだろう」

 

星矢「そういや、そうだな」

 

響「私達、まだ襲われてませんね」

 

弦十郎「2人は警戒しておくんだ。わかったな?」

 

星矢「おう!」

 

響「わかりました!」

 

 話している間、沙織は心当たりがあるような顔をしていた。

 

弦十郎「沙織お嬢様、今回の敵には何か心当たりでも…?」

 

沙織「一応、あります。もっとも、15年前に降臨してから会った事はまだないのですが…」

 

弦十郎「(沙織お嬢様に心当たりがあるとは…。それに、敵は今まで会った奴等に攻撃を仕掛けても、仕留めようともしなかった。一体、何の真意が…?)」

 

 

 

市街地

 

 狙われる危険性があるため、響が寮に着くまでは星矢が護衛として送っていく事となった。

 

響「星矢さん、私達の前に大切な人に化ける敵が現れたら、誰に化けるのかな?」

 

星矢「知らねえな。俺の場合は姉さんか魔鈴さんに化けるだろうけど、響の場合は未来じゃねえのか?」

 

響「未来は近くにいるから、敵は未来に化けてこないだろうね」

 

未来「そうだと思うけど…、誰に化けるのかな?」

 

星矢「そろそろ年末や正月の準備でもするんだろ?」

 

未来「はい。響、お店に寄る?」

 

響「うん。お店に行こっか」

 

???「星矢」

 

 声が聞こえたため、振り向くとそこには星矢の姉、星華がいた。

 

星矢「姉さん…」

 

響「星矢さんのお姉さん?」

 

未来「この人が…」

 

星華?「星矢、ちょっと来てほしい所があるけど…」

 

星矢「あ、ああ…」

 

 星矢の手を引き、星華は空き地へ向かったため、響と未来もその後を追った。

 

星矢「(何だ?この温もりは…。懐かしいけど……、姉さんとは違う…!)」

 

星華?「着いたわよ。星矢、ちょっと来てほしかったのは大事な用があるからなの」

 

星矢「聞きたい事がある。あんた、姉さんじゃないだろ?」

 

星華?「ど、どういう事なの?私は星矢の姉の星華よ」

 

響「どうして星矢さんは自分のお姉さんを疑うんですか?」

 

星矢「疑うも何も、俺の手を引いた時に温もりが姉さんと違ってたからなんだ。あんた、リュムナデスより化けるのが下手なようだな。正体を見せろ!」

 

星華?「…うふふふっ、流石にリュムナデスには及ばなかったようね」

 

 そう言って星華に化けていた何者かは正体を現し、本来の姿と思われる黒髪のローブ姿の美女となった。

 

響「れ、錬金術師!?」

 

パルティータ「そう、私の正体は錬金術師であり、聖闘士でもある唯一無二の存在、アルケミックセイント、オウルのパルティータ!」

 

星矢「オウルだと!?」

 

未来「オウルはフクロウだけど…」

 

星矢「そんな、オウルの聖闘士なんて聞いた事がないぞ!」

 

パルティータ「そんな事はどうでもいいでしょ?それより…星矢、私はあなたの力がどれほどのものか確かめたいの。だから、本気で戦ってちょうだい!」

 

 そう言ってパルティータはオウルの聖衣を錬金術で召喚し、銀色に輝く聖衣を装着した。そして、殴りかかってきた。

 

響「うわあっ、襲い掛かってきた!」

 

未来「私達は離れよう!」

 

 慌てて響と未来はその場から離れた。星矢はパルティータの攻撃をかわし続けていた。

 

星矢「(この人は怪しいけど…フィーネと違って悪い人には見えない…)ダメだ、俺は極悪人でなければ女の人を殴れないんだ!」

 

パルティータ「手間のかかる子ね。星矢、すぐに聖衣を纏って本気で戦いなさい。さもないと、死ぬわよ!」

 

星矢「やむを得ないか…!」

 

 やむなく星矢は聖衣を呼び寄せ、装着したのであった。星矢が聖衣を装着したのと同時にパルティータの指先からの閃光が星矢の頭に直撃した。

 

星矢「何をしたんだ…?」

 

パルティータ「この戦いが終わるまでは女相手でも躊躇いなく殴れるようにしたのよ。一方的に嬲り殺しにしてしまっては、あなたの本気が見れないもの」

 

星矢「(さっきの拳を受けたせいか、女の人が相手でも殴る事への躊躇いがなくなっている…。気が進まないが…、やるしかないか!)」

 

 パルティータの精神に作用する拳で女相手でも殴れるようにされた星矢だが、心の中ではやはり気が進まなかった。

 

星矢「ならば行くぞ、ペガサス流星拳!」

 

パルティータ「流星拳ね。これくらいなら、私でもできるわよ」

 

 ペガサス流星拳を放った星矢だが、パルティータも連打の拳でペガサス流星拳を全て相殺させた。

 

響「凄い…!」

 

未来「星矢さんの流星拳を全て相殺させたなんて…!」

 

星矢「流石に流星拳は通じないか…!」

 

パルティータ「よそ見でもしている場合!?」

 

 パルティータの猛攻は続き、星矢との力はほぼ互角だった。

 

響「星矢さんと互角だなんて…」

 

未来「あの人、とても強い…!」

 

パルティータ「互角などと思ってたら大間違いよ。私はまだ本気を出してなんかいないの」

 

響「ええっ!?あれで本気じゃないんですか!?」

 

パルティータ「そう。そして、星矢も追い込まれればいつもより強いのよ」

 

星矢「あんたの本気ってどれほどのものなんだ?」

 

パルティータ「口で言うより、その身体で確かめてみた方が手っ取り早いわよ。これが私の本気、黄金錬成!」

 

 指を鳴らすと、パルティータの纏っている聖衣が光り輝き、その輝きが頂点に達すると今度はその輝きが黄金へと変わった。

 

響「パ、パルティータさんの聖衣が!」

 

未来「黄金に輝いてる!?」

 

星矢「それだけじゃない、あの人の小宇宙も爆発的に燃え上がっている!」

 

 輝きが収まると、パルティータの聖衣は黄金になっていた。

 

星矢「小宇宙を燃やして限りなく黄金聖衣に近づけたのか!?」

 

パルティータ「違うわよ。黄金聖闘士の血で修復された聖衣の黄金の輝きなんて、所詮はメッキに過ぎないの」

 

星矢「メッキだと!?かつて、俺達の聖衣の修復のために血を提供してくれた今は亡きアイオリア達をバカにする気か!?」

 

パルティータ「それでも、私からすればメッキに過ぎないわ。でも、私の黄金錬成は違う。私の黄金錬成は自分の聖衣を黄金に限りなく近づけるんじゃなくてね、一時的に黄金聖衣そのものにしてしまうのよ。もっとも、消耗もそれなりに激しいから、多用はできないけどね」

 

星矢「近づけるのではなく、黄金聖衣そのものに変えるだと!?」

 

パルティータ「そして、その副作用で小宇宙が爆発的に燃え上がるのよ!」

 

 黄金錬成でオウルの聖衣が黄金聖衣そのものへと変わり、小宇宙も燃え上がったためにパルティータの力は跳ね上がり、互角だった状況を一気にひっくり返した。

 

響「そんな!」

 

未来「星矢さんが一方的に押されているなんて!」

 

 星矢が苦戦している光景を2人は信じられなかった。

 

星矢「(な、何て強さなんだ…!まるで、サガをまともに相手にしているようだ…!いや、下手をしたらサガより上かも知れない…!)」

 

パルティータ「あなたの力はこんなものじゃないでしょ?さあ、見せるのよ!双子座のサガを、海皇ポセイドンを退けた時のような、タナトスを倒した時のような奇跡を見せてみなさいよ!」

 

 そう言ってパルティータは星矢に光速の連打などといった、容赦のない攻撃を浴びせた。星矢の方も十二宮の戦いほど一方的に押されているわけでもなく、光速の連打を何とかガードしていたりしてたが。

 

響「星矢さん!」

 

星矢「大丈夫だ、響、未来…!俺はこんな所で負ける男じゃない…!」

 

パルティータ「早く見せてみなさいよ、あなたの本当の力を!ハーデスにさえ傷をつけた神殺しのペガサスの力を!」

 

星矢「ああ、見せるさ…!燃え上がれ、俺の小宇宙よ!!」

 

 パルティータに追い詰められても屈しない星矢は小宇宙をさらに燃やしたのであった。

 

パルティータ「うふふふっ、エンジンのかかりが遅いじゃない。やっぱり、まだ黄金としては新人といった所ね」

 

星矢「あんたが何を考えているのかは俺にもわからない。だが、正体とかはきっちり聞かせてもらうぞ!」

 

 ようやくかつてのように追い詰められてからの反撃が始まった。そして、星矢とパルティータのぶつかり合いは再び互角となった。

 

パルティータ「神聖衣を発動させた時程じゃないけど、これ程の力を持ってて私は嬉しいわ!」

 

星矢「俺はあんたを倒して、正体を聞きたいんだ!行くぞ、アトミックサンダーボルト!!」

 

 星矢はアトミックサンダーボルトを放ったが、再びパルティータも光速の連打で相殺させた。

 

パルティータ「こんなものが私に通用するわけ」

 

 しかし、既に星矢は弓を取り出し、黄金の矢を構えていた。

 

星矢「行くぞ!コズミックスターアロー!!」

 

 小宇宙を込め、星矢は矢を放った。

 

パルティータ「この技、私にもできるわよ!」

 

 咄嗟にパルティータも小宇宙で弓を作り、同じく小宇宙でできた矢を放った。星矢の放った矢とパルティータの放った矢はぶつかり合った。二つの矢は拮抗していたものの、コズミックスターアローがパルティータの矢を打ち破った。

 

パルティータ「これ程の威力とは…!」

 

 威力に感心していたパルティータは左わき腹を貫かれたのであった。

 

星矢「どんなものだ…!」

 

パルティータ「あなた…、私目掛けて矢を放った際、私の心臓を射抜かないように狙いをわざと外していたわね?」

 

星矢「あんたに女の人を殴れるようにされたって、どうも心が痛むからな…。それに、あんたには色々と聞きたい事がある」

 

パルティータ「本当に甘いわね…。でも、そこが生まれ変わった私の息子のいい所でもあるのだから」

 

星矢「む、息子!?」

 

 パルティータの言葉に星矢はもちろん、響と未来でさえ衝撃を受けた。

 

響「パルティータさんが星矢さんのお母さん!?」

 

未来「そ、そんな!!」

 

???「やはり、あなただったのですね、パルティータ」

 

 そこへ、沙織が来た。

 

響「沙織さん!」

 

パルティータ「アテナ様、再びお会いできたのは数百年ぶりですね」

 

未来「数百年ぶり!?」

 

沙織「驚きの連続のようですね。S.O.N.Gの本部で話をしましょう」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 その後、星矢達はS.O.N.Gの本部へ来た。

 

氷河「あの女がマーマに化けていた奴なのか?」

 

沙織「その通りです。彼女の名前はパルティータ、神話の時代より私に仕えていた錬金術師であり、聖闘士でもある特別な聖闘士なのです」

 

弦十郎「錬金術師であり、聖闘士でもあるだと!?」

 

エルフナイン「僕も初めて聞きました。まさか、アテナに仕える錬金術師がいたとは」

 

パルティータ「あなた達は知らないと思いますが、錬金術師はアテナの聖闘士が纏う聖衣を作り出したりと、思っている以上にアテナにも関わっているのです」

 

星矢「何ッ!?聖衣の製作者は錬金術師だって!?」

 

紫龍「俺も初耳だ。老師から聞いた事もない」

 

パルティータ「ライブラの童虎が知らないのも当然です。聖衣は第一次聖戦において、ポセイドンの軍勢が纏う鎧、鱗衣に対抗するためにアテナの命を受けたムー大陸の錬金術師がファウストローブの雛形といえる技術と星座を設計図に制作されたわ」

 

翼「何だと!?聖衣にはファウストローブの雛形の技術が使われていた!?」

 

マリア「だとすると、聖衣とファウストローブは兄妹ともいえるわ!」

 

パルティータ「その通りよ。ファウストローブは神々の戦いによってムー大陸が海の底に沈み、聖衣の製作技術が失われた後に聖衣のような防具を目指して作り上げた代物よ」

 

切歌「大昔の話で頭がチンプンカンプンなのデス…」

 

調「壮大すぎる…」

 

響「あの、パルティータさんはどうして聖闘士であり、錬金術師でもあるんですか?」

 

パルティータ「それは簡単、私はムー大陸出身の錬金術師の家系に生まれたからよ。私の家系は代々アテナに仕えている名誉ある錬金術師の家で、私も錬金術と小宇宙を扱う聖闘士の闘法を学び、聖闘士…というよりは聖闘少女に近いポジションでアテナ様に仕える事となったの。私の修業時代の同期はフィーネなのよ」

 

響「えええっ!?黄金聖闘士の頃の了子さんと同期!?」

 

クリス「マジかよ!」

 

弦十郎「だが、オウルは聖闘士の88の星座には含まれていない。それなのに、なぜオウルの聖衣があるんだ?」

 

パルティータ「オウルの聖衣は聖闘士が纏う聖衣の中で一番最初に製造されたプロトタイプともいえる代物なのよ。性能の方は白銀と黄金の中間だけど、シンフォギアやファウストローブのように女性にしか纏えないという欠陥があったから、後に製造された聖衣は聖闘少女用以外は男でも纏えるようになったの。プロトタイプのオウルの聖衣は私の家系が代々所有してて、私はそれを受け継いで聖闘士になったの」

 

紫龍「聖衣のプロトタイプか…」

 

瞬「それなら、88の星座に含まれていなくても不思議じゃないよ」

 

星矢「それで、あんたは本当に俺の母さんなのか?」

 

パルティータ「その通りよ」

 

 その衝撃の発言に沙織以外の一同は驚愕した。

 

マリア「ええっ!?パルティータが星矢の母親!?」

 

クリス「どうなってんだよ!!」

 

星矢「俺に聞かれても知るかよ!」

 

パルティータ「厳密には、気の遠くなるほど前世、それこそ神話の時代にハーデスに傷をつけたペガサスの聖闘士の母親なのだけどね」

 

星矢「神話の時代って…、何年生きてるんだよ!」

 

パルティータ「そうね…錬金術を極めた結果、もうざっと数千年も生きているわ」

 

 再び爆弾発言をしたパルティータに一同はまたしても驚愕した。

 

クリス「す、数千年だと!?」

 

未来「そんなに長生きしてて気がおかしくなったりしませんでしたか?」

 

パルティータ「ちょーっと感覚がおかしくなったりしたけど、長生きしたらしたで色々と経験できたのよ。それに、私が錬金術で長生きできるようになったのを知った当時のアテナ様はある命令を下したの」

 

弦十郎「ある命令?」

 

パルティータ「様々な邪悪、特にパヴァリア光明結社の動向を探り、行き過ぎればそれを止めよと命じられ、私は数千年もの人生を楽しむ中でこれまでアテナ様に敗れた神々の封印が解かれたり、復活していないかの調査やパヴァリア光明結社の動向を探っていたの」

 

マリア「パヴァリア光明結社ですって!?」

 

 パルティータの発言にマリアは反応した。

 

氷河「どうしたんだ?マリア」

 

パルティータ「どうやら、あなたはパヴァリア光明結社を知っているようね」

 

マリア「知っているも何も、武装組織フィーネを支援していた組織なのよ。まさか、あなたが数千年も前からその動向を探っていたのは驚きだわ」

 

パルティータ「奴等も私やフィーネの行動に敏感でなかなか尻尾を出さないのよ。よっぽど隠れるのが得意みたいね」

 

響「あの…パヴァリア光明結社って何ですか?」

 

星矢「そういや、俺達も知らねえな」

 

沙織「パヴァリア光明結社は古の時代、それこそ神話の時代から人類の歴史の裏で暗躍してきた謎の組織なのです」

 

紫龍「だが、謎の組織にしては大人しいような…」

 

パルティータ「それも当然よ。奴等は私や現役の黄金聖闘士の頃のフィーネにこっぴどくやられてひそひそと活動していたの。活動が活発になったのは、そのフィーネがいなくなってからだわ」

 

翼「まさか、フィーネがパヴァリア光明結社を抑えていたとは…」

 

パルティータ「あなた達に言っておくわ。あなた達はキャロルの背後にいるパヴァリア光明結社とはいずれ本格的に戦う事となる。それを覚えておく事ね」

 

 その言葉に弦十郎や装者一同は頷いた。

 

マリア「後、聞きたい事があるわ。パルティータ、あなたはなぜ私達にとって大切な人に化けて不意討ちをしたの?」

 

パルティータ「至って簡単よ、あなた達を試していたの。大切な人に化けた奴が偽者だと気付けるかどうかをね。もしも、リュムナデスが相手だったら、あなた達の大半はその場で死んでたでしょうね」

 

氷河「リュムナデスか…」

 

瞬「大切な人に化ける嫌な海将軍だったね…」

 

響「あの…パルティータさんは錬金術師としてもどの錬金術師よりも上なんですか?」

 

エルフナイン「僕も気になります。例えば…キャロルとか…」

 

パルティータ「上も何も、キャロルなんて私からしたら錬金術師としての道さえ外れたヒヨッコで愚か者よ。思い出を燃やしてあんな力を得た所で、小宇宙を燃やし、安定して絶大な力を発揮する聖闘士であり、錬金術師でもある私だけが使える独自の錬金術には遠く及ばないわ。実際に数百年前にキャロルと戦ったけど、1秒足らずで瞬殺できたわ」

 

クリス「い、1秒足らずでキャロルを殺せただと!?」

 

未来「(星矢さんと互角だから、1秒足らずで瞬殺しても不思議じゃない…と思う…)」

 

パルティータ「色々と話が長くなりましたが、色々と調査があるのでいつでもここに来れるわけではありませんが、これからもよろしくお願いします」

 

弦十郎「ああ、味方だとわかって俺も安心した。俺達の方からもよろしく頼む」

 

 星矢の前世の母親というパルティータに一同の衝撃はまだ走ったままであった。

 

パルティータ「星矢、今夜は私と一緒に食事でもどう?」

 

星矢「い、一緒に食事!?」

 

パルティータ「何だったら、私を母さんと呼んでいいのよ。前世では実際に母親だったから」

 

星矢「え、えええ、えっと……母…さん」

 

 あまりにも恥ずかしくて星矢は小声でしかパルティータの事を『母さん』と言えなかった。

 

響「パルティータさん、私と未来も一緒に食事します!」

 

パルティータ「いいわよ。アテナ様、あなたもご一緒しますか?」

 

沙織「お言葉に甘えて、そうさせていただきます」

 

 

 

レストラン

 

 その晩、沙織御用達のレストランで星矢と沙織、パルティータ、響と未来は食事をする事となった。

 

星矢「なあ、母さん…は黄金錬成を使った後の強さはサガぐらいはあるのか?」

 

パルティータ「これでも腕が鈍っているのよ。現役の頃はもっと強かったわ」

 

響「ええっ!?現役の頃はあんなのよりもっと強かったんですか!?」

 

パルティータ「そうね。実力の安定性ならフィーネが勝っていたけど、爆発力に関しては私が勝っていたわ。私の息子で、何度も生まれ変わる事となったペガサスの聖闘士もその私の体質を受け継いで生まれたのでしょうね」

 

未来「だから、星矢さんは追い込まれた時の方が普段より強くなるのですね?」

 

パルティータ「そうかも知れないわね」

 

星矢「何千年も生きてたって母さんは言ったけど、その間に弟子をとったりした事はあるのか?」

 

パルティータ「聖闘士なら、何人もとったし、錬金術師としての弟子も1人とったわよ」

 

響「そのパルティータさんの錬金術師のお弟子さんって、今はどうしてるんですか?」

 

パルティータ「ごめんなさい…、その錬金術師としての弟子は私との師弟関係は良好だったんだけど…ある事で喧嘩別れしてしまったの」

 

響「喧嘩別れしたなんて…。その…、聞いてはいけない話だったのでは…」

 

パルティータ「気にしないで。もう数百年も過去の話よ。ところで、あなた達2人は星矢に特別な感情を抱いてるの?」

 

 恥ずかしい質問も平然と行うパルティータに響と未来は赤面した。

 

パルティータ「やっぱり抱いてたみたいね。でも、息子の星矢はあげないわ。だって、星矢はアテナ様のお気に入りにして、互いに想いを寄せ合う存在なのだからね。星矢への恋愛はさっさと諦めなさいっ!」

 

沙織「パルティータ、そこまで言わなくても…」

 

響「その…星矢さんに抱いてた特別な感情は…特別な年上の男の人って感じなんです…」

 

パルティータ「どうしてかしら?」

 

響「私のお父さんはあまり褒められた人じゃないので…、どうしても私を助けてくれた星矢さんの姿が瞳に焼き付いてて、奏さんと同じぐらい特別な人って思うようになったんです。流石に星矢さんが私より年下って知った時はショックを受けましたけど…」

 

未来「私は響ほど星矢さんと接点があるわけじゃないんですけど…、悩む私を励ましてくれたりしてくれる星矢さんは特別な男の人と思ってしまっています」

 

パルティータ「2人共理想の男の子が星矢だと思っているのね。もう、星矢ったら、女の子にモテモテじゃない。罪な男の子に成長したわね」

 

星矢「か、母さん、俺はそんなつもりじゃ…」

 

パルティータ「あと、戦った時はあなたがかつて使っていたペガサスの聖衣に血を提供した黄金聖闘士をバカにしたような発言をしてごめんね。あなたを怒らせて本気を出させるためだったとはいえ、事実だけ言って、血を提供した黄金聖闘士の想いを踏み躙るような事を言ってしまって…」

 

星矢「実を言うと、母さんと会った時から極悪人じゃないって思ってしまって、母さんが言った事も本気で言ったわけじゃないと本能で思ってしまって…。でも、母さんの言ってる事も決して間違いじゃないって思ったんだ。紫龍もクリシュナと戦った時にメッキがほにゃららとか言われてたそうだし…」

 

パルティータ「あら、お友達は既にその事を言われていたのね」

 

星矢「まあ、何かあったら知らせてくれよ、母さん」

 

パルティータ「さっきまでは赤面してたのに、普通に言うようになったじゃない、星矢」

 

 母親と生まれ変わった息子は数千年の時を超え、再び巡り会ったのであった。

 

 

 

マンション

 

 その頃、マリアは考え事をしていた。

 

マリア「(おかしいわね…。パルティータがセレナに化けてから、セレナの事を考えられずにはいられなくなってしまった…)」

 

 パルティータが今は亡きマリアの妹、セレナに化けた事でマリアは奏の生き残った世界に行った時から思っていたものの、考えないようにしていた事が頭に出てしまっていたのであった。

 

マリア「(そんな都合のいい事が起こるはずがないのに…、セレナ…)」

 

 翼と奏が世界を超え、再び巡り会った時に思っていた事がマリアにもあった。そして、その思っていた事は現実になろうとしていたのであった。




これで今回の話は終わりです。
今回はパルティータの登場を描きました。
パルティータを登場させようと思ったのは、ネクストディメンションでもテンマやアローンは出ていたので、そうしようと思ったためです。シンフォギアの世界観にも合わせてパルティータを錬金術師であり、聖闘士でもある存在にしたのは、聖衣を開発したのはムー大陸の錬金術師という裏設定があったようなので、聖闘士と錬金術師の意外な繋がりや、それを作中でも言及してみようと思ったためです。
今小説のパルティータと星矢の関係はわかりやすく例えるなら、セーラームーンの月野うさぎとクイーン・セレニティの関係のようなものです。
途中でパルティータの錬金術師としての喧嘩別れした弟子がいたという話が出ましたが、誰なのかは話が進めばわかります。
次の話はイノセントシスター編で、名前を言わずとも誰が出てくるのかは容易に想像できるはずです。そして、今まで並行世界に行った事がないあの男も行く事となります。

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