49話 もう1人のセレナ
マンション
それから正月となり、振袖の哲学兵装の騒動があったものの、何とか終わらせる事ができた。それからしばらく経ったが、パルティータがセレナに化けた事でマリアはある事が頭から離れられなくなってしまった。
マリア「ふう、また少し頭痛がする。薬は…必要ないか(休む程ではないけれど、こめかみの奥をキリキリと繰り返し苛む軽い痛み。私は、この痛みが風邪や体調不良から来る類のものではに事を知っている…)」
そして、マリアは7年前のあの日の事を思い出していた。
マリア「(私には妹がいた。名前はセレナ・カデンツァヴナ・イヴ。誰にでも優しくて、努力家で、私には少し甘えてくる自慢の妹。私とそっくりな瞳の色、柔らかい髪の感触、縋ってくる手の温もり、はにかんだ笑顔。全て、全て…。今もいささかも色あせる事なく思い出せるのに…けれどあの日、セレナはみんなを護るために…!燃え盛る研究所に佇む、セレナの最後の面影。痛ましいヴィジョンを追い払おうとすると、私の脳裏に滑り込んで来るものがある)」
それから、ある事が頭を過ぎるようになった。
マリア「(完全聖遺物ギャラルホルン。可能性によって分かたれた世界の危機を感知し、それを繋ぐ脅威の力を持つ聖遺物。…ずっと、考えないようにしていた。しかし、いくつかの事件を経て、次第に思考を逸らせなくなっている自分に気付いている。おまけにパルティータがセレナに化けた事が決定打になって、考えるのを止めたいのに、溢れ出す『もしも』を止められない。この世界でのセレナは既に私を置いて旅立ってしまった。だけど、並行世界ならば…?セレナが生きている、あの子が幸せに過ごせている、そんな世界があるのではないか。そんな可能性も、どこかにあったのではないか…。また益体もない考えが、こめかみ辺りに痛みとなって私を苦しめる…)」
そこへ、通信が入った。
マリア「…はっ!S.O.N.Gからの。はい」
弦十郎『ギャラルホルンのアラートが発生した。同時にノイズと思われる反応も検知している!急いで来てくれ!』
マリア「はい、すぐ行きます!」
郊外
マリア達装者はノイズの迎撃で出撃し、星矢達は別の方向にいるノイズの迎撃にあたった。
弦十郎『状況はどうなっている!』
翼「こちら、ノイズと交戦状態に入っています。なお、星矢達も別の場所でノイズと交戦中です」
沙織『周辺の避難誘導はあらかた完了しています。出現区域が郊外である事が幸いでした』
マリア「ギャラルホルンの方は…!?」
弦十郎『それについては後程本部で検討しよう。今は戦闘に集中してくれ!』
翼「了解!」
響「それにしても翼さん、ノイズがちょっと大盛り過ぎじゃないですか!?星矢さん達は別の場所で戦っているし、大盛りはごはんだけでいいのに~!」
翼「そうだな。だからこそ、市街地中心部への侵攻をここで食い止める必要がある!」
そう言って翼はやや大型のノイズを斬り捨てた。
マリア「その通りよ!」
マリアも次々とノイズを蹴散らしていった。
マリア「でも今までにギャラルホルンのアラートが起きた直後から、こんなにノイズが現れる事ってあったかしら」
翼「今回ほどの数は記憶にはないな」
響「やっぱり多すぎですよね…!」
クリス「まさか、そんだけヤバイ状況って事か?ちっ!」
切歌「だとしても、こっちも装者大盛りデス!片っ端からぶった斬ってやればいいんデスよ!」
調「そうだね。星矢さん達も別の場所で戦い続けているし、ノイズは…通さない!」
クリス達もノイズを蹴散らしていた。
響「みんな、またノイズの群れが来るよ!」
翼「かなりの数だな。この場を防衛線と定め、殲滅するぞ!」
マリア「気にかかるわね…。早いとこ片付けて、本部に向かいましょう!」
響「はい!」
S.O.N.G潜水艦
響達の戦いを弦十郎らは本部で見ていた。
あおい「聖闘士4名、またしてもノイズを数秒で殲滅、別の場所のノイズ撃破に向かいました」
朔也「装者6名、ノイズを撃破しながら郊外方面へと追い詰めています」
あおい「数は随分多いようですが、別段特異な状況は見受けられません」
朔也「優勢ですね。この分なら、避難勧告の範囲は現状より拡大する事はなさそうです」
弦十郎「ああ、そうだな。ギャラルホルンのアラートを考えると、楽観的にもなれないが…」
沙織「響さん達はこれまでも並行世界での困難な状況を打破してきました。信じましょう」
エルフナイン「せめて、あらかじめゲートの移動策を観測する手段があれば…」
朔也「流石に最強の錬金術師のパルティータさんがいたとしても、並行世界を観測するのは難しいんじゃないか?」
そんな中、警報が鳴った。
あおい「司令!」
弦十郎「どうした!?」
あおい「現場より高エネルギー反応!こ、これは…」
朔也「波形パターン照合!モニターに出します!」
モニターに出た怪物に一同は驚愕した。
朔也「な…、そんな…」
沙織「まさか…!」
弦十郎「ネフィリム…だとっ!?」
郊外
響達はノイズを蹴散らし続けた結果、あとわずかになっていた。
切歌「ノイズ程度なら星矢達不在でも楽勝なのデス!」
調「待って、まだ1体いる!」
切歌「あれは…何デスか?」
最後の1体はノイズではなく、何やら見覚えのある怪物であった。
響「ノイズじゃない!?こ、これは…!」
翼「まさかネフィリム…いや、その影…か!?」
マリア「ネフィリム…!」
響「まさか、こんなのが出てくるなんて…」
クリス「並行世界って奴は何でもありかよ…」
マリア「これもギャラルホルンのアラートによる影響、という事かしら」
翼「並行世界で起こっている現象の余波なのかも知れない」
マリア「向こうから現れたのだとしたら、かなり厄介な状況を抱えているのかも知れないわね!」
調「あっち側で暴れてるって事…!?」
切歌「星矢達不在の時にまたあんなのと戦う事になるデスか!」
クリス「一度倒した相手に負けるかよ!」
切歌「そうデスね!ネフィリムでもなんでもやってやるデス!」
調「うん、今の私達なら!」
そうしている間にネフィリムの影は実体化し、装者達の攻撃は普通に当たった。
クリス「普通に攻撃は当たる!こっちに出てきたカルマノイズとおんなじだ!」
響「この拳が当たる相手なら!はああああっ!」
響の拳でネフィリムは怯んだ。
調「押し込まれて怯んだ!切ちゃん!」
切歌「合わせるデス!」
調「はあああっ!」
切歌「これでえええっ!」
連携攻撃を繰り出した2人だが、ネフィリムのしぶとさは相変わらずであり、そのまま反撃を受けてしまった。
切歌「うっ、しぶとい…!」
調「くうっ、あと一撃だったのに…!」
マリア「調、切歌!」
翼「間合いに気を付けろ!影とはいえ、そいつは完全聖遺物だ!」
クリス「だったら、近づかずにこの一撃をくれてやる!」
得意の射撃でネフィリムに攻撃したクリスであったが、ネフィリムは消えてしまった。
マリア「着弾…しない!?」
響「姿が、薄れて…」
クリス「消えちまいやがった…」
ネフィリムが消えた事に響達はあっけにとられる中、一輝はその現場を偶然目撃していたのであった。
一輝「確か、あの怪物はネフィリムと瞬達は言ってたな…。何か、嫌な予感がする…」
そう言って一輝は存在を装者達に悟られる事なく姿を消した。
S.O.N.G潜水艦
その後、別の場所でノイズ迎撃をしていた星矢達と共に装者一同は帰ってきた。
弦十郎「みんな、ノイズとの戦闘、ご苦労だった。そして、ギャラルホルンのアラートがあった事については知っての通りだが…」
あおい「こちらで感知したエネルギー反応はフロンティア事変の時のネフィリムのものと一致…。まさか…」
クリス「ああ、そのまさかだ。逃げられちまったけどな」
瞬「ごめんね、みんな。僕達はノイズ迎撃を優先しててそっちへ救援に行けなくて」
マリア「気にしないで。でも、あれは間違いなくネフィリムだったわ…!」
エルフナイン「完全聖遺物ネフィリム…旧約聖書に記された堕ちたる巨人、神の洪水によって滅ぼされたという…。フロンティア事変の際に使役されたと聞いています」
美衣「今回、現れた影は今回のゲートの先でネフィリムが出現している事を示す先触れだと考えられます」
エルフナイン「先程は揺り戻しにより消失しましたが、異変の対処が遅れれば、今度こそこちらに固着してしまう可能性も…」
マリア「ネフィリムが現れているというのなら、今回の任務、私に行かせてほしい。どんな状況であったとしても、あれは私の、私達元F.I.Sの過去の過ち。だからこそ私がこの手でそれを!」
調「マリア…」
切歌「フロンティア計画の後始末、デスか…」
調「だけど、ドクターの助手のアシリアさんはフロンティア事変の後、行方がわからなくなってしまったね」
瞬「ちょっと待って、調。アシリアって人は…?」
調「アシリアさんはドクターの助手よ」
切歌「ドクターを英雄と崇拝しているけど、明るくてあたし達の話し相手になってくれたのデス!」
弦十郎「初耳だな。まさか、あのウェル博士に助手がいたとは…」
切歌「ただ、主に食料調達などで不在がちだったのデス…」
調「おまけに科学者の助手という身なのに、司令と同じぐらいかそれ以上に強いの」
星矢「助手なのに腕っぷしが強いだって?」
紫龍「信じられんな」
マリア「でも、あの人はいつの間にか姿を消してしまい、以後は消息不明になっているわ」
切歌「もっと会話したかったデス…」
マリア「(あのアシリアって人は明るい性格だったけど、残虐な言葉を平然と吐いたり、人殺しに何の躊躇いもなかったし、明るさと人懐っこさの裏に何かを隠していたようにも思えたわ。マムが『アシリアの方がドクターのさらに何倍も危険かも知れない』と言った程だし…)」
氷河「で、後は誰が行く?」
翼「それなら私も同行しよう。ネフィリムとの交戦経験が多い方が何かの助けになるはずだ」
マリア「…ありがとう、翼」
響「じゃあ、あと1人は私でいいですか!」
クリス「あたしも同じだけやりあったけど…ま、お前に殴り返す機会を譲ってやるか」
弦十郎「わかった。今回は今までとまた違った脅威が待ち受けている可能性が高い。並行世界での活動に一日の長があるマリア君、翼、響君。3人は適任だろう。それでは準備と共に向かう聖闘士が決まり次第、行ってくれるか」
未来「待ってください。響が行くなら」
沙織「いけません、未来さん。まだ十分に時間をかけて答えを出せていないのです。今はまだその時ではありません」
未来「そんな…」
まだ時期尚早と判断した沙織の制止に未来が落ち込んでいると、瞬が未来の肩に手を置いた。
瞬「未来、まだ君は訓練が足りてない上、十分な時間をかけて答えを出せていないんだ。ここは僕が代わりに行くから、じっくり時間をかけて答えを出すんだよ」
未来「瞬さん…」
星矢「安心しろ、未来。瞬は結構強いし、運が良かったら瞬の危機に現れるあいつが助けに来てくれるかも知れないしな。だから今は沙織さんの言う通りにして、瞬に響達の事を頼もう」
未来「瞬さん、私の代わりに響達の事をお願いします」
瞬「わかったよ」
沙織「司令、聖闘士の方は瞬が行きます」
弦十郎「わかった。瞬、未来君に頼まれたからには、きっちりと響君達の事を頼んだぞ」
瞬「わかりました。じゃあ響、翼さん、マリアさん、行きましょうか」
瞬は響、翼、マリアと共に新たに繋がった並行世界へ向かった。
弦十郎「近頃のマリア君は何か思い詰めていたようだな…」
沙織「はい、パルティータが今は亡きマリアさんの妹に化けたのが原因かも知れません」
弦十郎「もう1人、星矢達のうちの誰かも一緒に向かわせるべきだったか…」
???「それならば、俺が行こう」
聖闘士をもう1人向かわせるべきだったのではないかと思った矢先に思いもしないある人物が現れたのであった。
森
ゲートから出てきた先は一面の森であった。
マリア「…あたりは一面の森。ここは、一体…」
響「なんか深い森ですね。あ、あれ!空を見てください!」
空を見た所、月が元の世界と同じような状態になっていた。
瞬「完全に修復されていない月…、という事は…」
マリア「…ルナアタック、こちらでも起こっていたのね(だとすると、あのネフィリムはこちら側の私達F.I.Sが…?)」
そんな折、爆発音がした。それと同時に瞬のチェーンも反応した。
翼「爆発!?一体何が!」
瞬「このチェーンの警戒具体、この先に多分、ネフィリムかカルマノイズがいるのかも知れない!」
響「行ってみましょう!」
駆けだそうとしたその時、別の方向にチェーンが反応した。
瞬「この激しい警戒具合は…!」
チェーンの先には、カルマノイズの大群がいた。
マリア「カルマノイズの大群!?」
翼「これ程の数のカルマノイズは…!」
瞬「ここは僕に任せて、みんなは先に行って!この状況を食い止められるのは僕しかいない!」
マリア「確かに、黄金聖闘士クラスでないとカルマノイズの大群を相手にするのは無理ね。瞬、カルマノイズの大群を倒し終わったら必ず来るのよ!」
カルマノイズの大群を瞬に任せ、マリア達は爆発音がした方へ向かった。
研究所
爆発音がした先は研究所であった。
響「ここは研究所…ですかね?」
マリア「…この場所、もしかして」
爆発音がした研究所から研究員達が避難していた。
研究員「お、お前達は何者だ!?」
翼「教えていただきたい、ここで何が起こっているのか」
研究員「話せない!それより逃げろ、死ぬぞ!」
マリア「それだけ聞ければ結構!のうびきならない事態という事はわかったわ!」
研究員「お、おい!戻れ!」
研究員達が逃げ惑う中、響達は研究所を進んでいった。
翼「破壊音は奥からだ!」
響「なら、壁なんて打ち抜いて!はあああっ!」
急ぐため、響は壁を壊し、先へ進んだ。すると、マリアは思わぬ人物を見てしまったのであった。
マリア「あ、あれは…!」
そこにいたのは、元の世界では7年前に死亡したマリアの最愛の妹、セレナであった。
マリア「セレナアアアーーーーッ!!」
研究所
それは、マリア達がこの世界に来る少し前の事だった。この世界のレセプターチルドレンの育ての親であるナスターシャはまだ生きていたが、元の世界と異なり、五体満足であった。
ナスターシャ「その後、調子はどうですか。セレナ」
セレナ「皆さんのお陰でだいぶよくなりました」
ナスターシャ「それは重畳ですね。治療にあたった方々には、くれぐれも感謝を忘れないように」
セレナ「はい、マム」
ナスターシャ「好調ならば心配はなさそうですが、実験の前に少々、テストをさせてもらえますか?」
セレナ「テスト…ですか?」
ナスターシャ「テストといっても、シミュレータでの戦闘で、バイタルとフォニックゲインの状況を見るだけです」
セレナ「わかりました。それならマム、ちゃんと見ていてくださいね」
ナスターシャ「ええ、勿論です。ドクター・アドルフ。セレナのコンディションチェックをお願いします」
アドルフ「準備は終わっている」
セレナ「私、頑張ります」
シミュレータでの戦闘を行い、それが終わったのであった。
セレナ「どうでしたか?途中で1回、ミスしちゃったと思うんですけど…」
ナスターシャ「十分ですよ。復帰間もなくでこの数値ならば、今後の安定も期待できるでしょう」
セレナ「アドルフ博士もどうでしたか?」
しかし、返事はなかった。
セレナ「アドルフ博士?」
アドルフ「数値は期待の範囲内だ。問題はない」
セレナ「じゃあ、ミスがなければもっといい結果が…」
アドルフ「では、俺は実験の準備をしてくる」
そう言って金髪にサングラスをしたやや怪しい男、アドルフはどこかへ行った。
セレナ「あ…。私はアドルフ博士に嫌われているのでしょうか…?」
ナスターシャ「そんな事はありませんよ。なにしろ、ドクター・アドルフはあなたの治療に最も尽力した1人なのですから」
セレナ「そうだったんですか。今度お会いした時に、きちんとお礼を言わないと…」
ナスターシャ「それがいいでしょう」
その後、実験が行われたが、起動したネフィリムは暴走して、暴れ出した。その姿にセレナは恐怖で震えていた。
セレナ「!?身体が…震える…。(本当は戦いたくない…。だけど、みんなと私の居場所を護りたい!)」
聖詠を唱えてギアを纏い、セレナはネフィリムに向かっていった。
マリアの叫びにセレナは反応した。
セレナ「マリア…姉さん…?」
マリア「わ、私は…」
響「危ない!」
マリア「セレナ!」
突然、姉のマリアが現れた事でセレナは戦闘の集中力が切れてしまい、ネフィリムの攻撃を受けて気を失ってしまった。
マリア「セレナ…セレナ!」
翼「落ち着け、マリア!迂闊に飛び出すな!」
マリア「だって、セレナが!私に妹を喪う愚を繰り返せというの!?」
響「大丈夫、気を失ってるだけです!」
マリア「でも!」
翼「状況を見ろ!それに、あいつを片付けねば助けられるものも助けられない!」
マリア「くっ、そう…そうね…!」
しかし、落ち着く間もなく、今度はカルマノイズが数体出現した。
響「カルマノイズ!」
無情にも、今回現れたカルマノイズの1体は葡萄型であり、爆弾になる葡萄を落として大規模の爆発を行い、セレナは爆発に巻き込まれてしまった。
マリア「セレナ~~~ッ!!」
再び妹を助けられなかった事にマリアは泣き出してしまった。
マリア「また…またセレナを助けられなかったなんて…!」
しかし、突如として炎の形が変わったのであった。
翼「何だ!?」
マリア「何が起こったの!?(それにこの気配、まさか…!)」
そして、炎は不死鳥の形となった後、炎の中から一輝が気を失ったセレナを抱えて現れたのであった。その一輝の威圧感にネフィリムは逆に怯えていた。
マリア「一輝!」
一輝「だらしないぞ、マリア!嫌な予感がしたから俺もこの世界に来たが、もしも俺が来ていなければ、お前は目の前で再び妹を失っていたのだぞ!少しは落ち着け!」
マリア「…ごめんなさい。取り乱したわ。今は何よりあれを止めるのが先決ね」
視線の先にはカルマノイズとネフィリムがいた。カルマノイズの方へは一輝が向かい、ネフィリムは装者達が戦う事となった。
翼「いけるか?」
マリア「もちろんよ!私は過去の負債に決着をつけなければならない!」
翼「行くぞ!」
マリア「私はもう、幼かったあの日の私じゃない!」
一輝はカルマノイズと対峙した。
一輝「貴様の相手はこの俺だ、カルマノイズ!」
片手はセレナを抱えていて使えないのにも関わらず、一輝はカルマノイズ達を完全に圧倒していた。
一輝「ふん、所詮は俺の敵ではない!これで一気に決めてやる!鳳翼天翔!!」
片手で放ったのにも関わらず、その威力はカルマノイズ数体をまとめて完全に倒してしまったほどであった。
一輝「よし、次はネフィリムを」
ところが、装者達への加勢を阻むようにカルマノイズの増援が現れた。
一輝「敵はよほど俺を響達の増援に行かせないつもりらしいな…!」
結局、一輝はカルマノイズの増援と交戦する事となった。一方、マリア達はネフィリムとの交戦が続いていた。
響「またカルマノイズが現れたなんて…!」
翼「今の状況ではカルマノイズは一輝に任せるしかない。追い詰めるぞ!」
マリア「それなら私が!はああああっ!」
響「畳みかける!」
連携でネフィリムに着々とダメージを与えていたが、そこへナスターシャが急いで来た。
ナスターシャ「セレナ、無事ですか?」
マリア「マムーッ!」
突如、ネフィリムは狙いを装者からナスターシャへと定めた。
翼「まずい、ネフィリムが狙いを!」
ナスターシャ「なっ!?」
マリア「マム!」
ネフィリムはナスターシャ目掛けて炎を放った。咄嗟にマリアが防御壁で防いだものの、破られるのは時間の問題であった。
マリア「くうーっ!防ぎ、切れない…!」
響「翼さん!」
翼「2人がかりで相殺するぞ!避けろ、マリア!はあああーっ!」
響「おおぉおーーっ!」
2人はネフィリムの攻撃を相殺したが、ネフィリムは逃げてしまった。
翼「どうにか攻撃は防いだが…」
響「ネフィリムには逃げられちゃったみたいですね…」
そこへ、遅れて瞬がやってきた。
マリア「遅いわよ、瞬!」
瞬「あまりにも数が多くて遅くなってごめん!」
一輝「瞬はカルマノイズが多くて手が離せなかったから、代わりに俺が急いで駆け付けたのさ」
瞬「まさか、いつも単独行動をしている兄さんが並行世界に来るなんて思わなかったよ」
一輝「元の世界での装者達とネフィリムの戦闘を見た際にちょっと嫌な予感がしてな」
マリア「でも、一輝が来てくれなかったらセレナは助からなかった。ありがとう」
一輝「(この子がセレナか…。写真で見た時とまるで変わらない姿をしている…)」
ナスターシャ「あ、あなたは…。マリア…本当にマリアなのですか!?」
マリア「マム…いいえ、それはこれから説明するわ」
並行世界に来た途端、最愛の妹と育ての親と思わぬ形で再会を果たしたマリアであった。
これで今回の話は終わりです。
今回は新たな並行世界でマリア達がその世界のセレナに会うのと、一輝の登場を描きました。
振袖ラビリンスの話があった事が冒頭だけの説明に留めたのは、イマイチ星矢達とは相性が悪い話のように思った事と、早くセレナを登場させたかったからです。
セレナが登場するイノセントシスター編で今まで並行世界へ行った事がない一輝を登場させるのは当初から決めていた事で、マリアとセレナの姉妹の話なら、出すべき青銅一軍の聖闘士は一輝と瞬の兄弟で決まりだろうと判断しました。
作中でセレナは元の世界での死亡当時の幼い姿だったり、マムことナスターシャ教授は元の世界と違って五体満足でしたが、それらは次の話で明らかになります。
次の話はマリア達が訪れた並行世界の事情が明らかになります。