セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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51話 可愛らしい訪問者

回想

 

 セレナは目覚めた日の事を思い出していた。

 

セレナ『あの日、私が目覚めた日…。ここはどこだろう?最初に思ったのはそんな事だった。それから、知らない場所で、知らない人達に囲まれて、色んな検査をしたり、すごく痛い注射を打たれたりした。次に思ったのは、マリア姉さんの事。会いたい…。いつでも一緒にいてくれた、姉さんの姿が見えない。その次はマムや月読さん、暁さん、レセプターチルドレンのみんなの事。みんなは元気かなって気になったけれど、私の体には色んなチューブが繋がれていて、ベッドから起きられなかった。その中でマムにはすぐに会えた。だけど何だか様子がおかしい。何となくだけど、少し年をとったような気がする。その理由は、数日して私が起き上がれるようになったころ、マム自身が教えてくれた』

 

ナスターシャ「セレナ、おはようございます。そろそろいいでしょう。…落ち着いて聞きなさい」

 

セレナ「改まって、どうしたんですか?」

 

ナスターシャ「あなたは実験の際の事故で重傷を負い、7年間…眠りについていたのです」

 

セレナ『そう言ってマムが語ったのは、私が知らない長い時間の事だった。コールドスリープによる延命と、未来の技術による蘇生治療。ううん、未来じゃない、それはもう、今。あの事故の日から7年も眠っていたなんて…。私は未だに実感が湧いてこない。』

 

 

 

研究所

 

 目覚めた日の事を思い出していたのは、訓練中の時だった。

 

ナスターシャ「…どうしました、セレナ。何か不調でも感じますか?」

 

セレナ「いえ、何でもありません」

 

ナスターシャ「そうですか。体調に問題がないなら構いません」

 

セレナ「はい。次の訓練プログラムをお願いします」

 

ナスターシャ「わかりました」

 

 

 

回想

 

 そして、また目覚めた後の事を思い出していた。

 

セレナ『目覚めていくらかしての事…。今いる場所は日本だとマムに聞いた。マリア姉さんも月読さんも暁さんも、今は別の研究所にいるらしい。もちろん私はみんながどこにいるのか聞いたけど、マムは極秘事項ですと言って教えてくれなかった。いつ会えるの?って聞いたらマムは』

 

ナスターシャ「…わかりません。ですが、日本に来る事があれば、きっと立ち寄るでしょう」

 

セレナ「早く会いたいな…」

 

セレナ『あの時、マムが少し寂しい顔をしたのを、今でも覚えている。それからは、アドルフ博士や研究所員の人達に言われるまま、様々な訓練や検査を頑張ってこなした。みんなを護るため…。それはもちろんあるけど…私が頑張ってこられたのは、きっと…いつかマリア姉さんが会いに来てくれた時に、うんと褒めてほしかったからだと思う』

 

 

 

 そして、セレナは次の訓練プログラムをこなしたのであった。

 

セレナ「ふう…」

 

ナスターシャ「今までで一番の数値が出ています。よく頑張りましたね。そろそろ少し休憩を入れましょうか」

 

セレナ「…私はまだ大丈夫です」

 

ナスターシャ「あなたがそう言うなら、続けましょう。不調を感じたならいつでも中断して構いませんからね」

 

セレナ「今の感じを忘れたくないので、もう一度お願いします!(…そう言えば、前に比べてマムが優しくなった気がする。私が良い子にしてたからかな…?)」

 

 

 

回想

 

 マリア達が並行世界から来る前の事を思い出していた。

 

セレナ『目覚めて、少しの間訓練を重ねた後…ある朝、マムはとても厳しい顔をして私に言った』

 

ナスターシャ「上層部から、あなたに実験への参加命令が下りました…。やってもらえますか」

 

セレナ『何事かとは思ったけれど、勿論、私の答えは決まってる』

 

セレナ「…私、やります。私の力が、誰かのためになるなら」

 

セレナ『そう答えると、マムの表情が一瞬翳ったように見えた。でもその後、マムが口にした言葉で、私は驚く事になる。同時に、マムの表情の意味も理解できた』

 

ナスターシャ「では、お願いします。…行うのはネフィリムの起動実験です」

 

セレナ「ネフィリムを、また…!」

 

ナスターシャ「どうしても必要な…あなたにしかできない事なのです。セレナ…」

 

セレナ『ネフィリムの起動実験…恐ろしい事故で私が7年も眠り、姉さんやみんなと離れ離れになってしまった原因…。また、それをする事になるなんて』

 

 

 

 次の訓練も終わった。

 

セレナ「……ふう」

 

ナスターシャ「好調のようですね。まだ続けられそうですか」

 

セレナ「(マム以外は誰も来てないみたい。マリア姉さんはまだ寝てるのかな?姉さん…早く、来てほしいな…)はい。休憩はもう一つこなしてからでお願いします」

 

ナスターシャ「わかりました」

 

 次の訓練が始まったが、その際にナスターシャは一輝がこっそりセレナの様子を見に来ていた事を察した。そして、一輝は微笑んだ後、調査に再び向かった。

 

 

回想

 

 マリア達に会う直前の事を思い出していた。

 

セレナ『ネフィリム…禍々しいとしか思えないその姿。自律機動型の完全聖遺物。再びそれを前にして抱いたのは、怖い…という感情だった。恐くて、怖くて逃げ出したい。足が震えて、目を背けたくて、それでも視線を逸らせなくて、どうにか立っていられるという状態で、私が思い浮かべるのは昔の事。7年前、最初の実験を始める時はそんな風には思わなかった。だって、その時はマリア姉さんが見ていてくれたから。マリア姉さんのため、みんなのために私は立っていられた。……でも、今マリア姉さんは、私の傍にいない。ううん、それどころか、もしかしたら……。だけど…来てくれた!』

 

 マリア達が来る直前、セレナは姉がいないが故に恐怖に苛まれ、既にマリアは死んでいるのではと思っていたが、マリアは来たのであった。

 

マリア「セレナァァァーーッ!!」

 

セレナ「え…。マリア、姉、さん…!?」

 

セレナ『私を止めてくれた!助けてくれた!マムは嘘なんてついていなかった…!大好きな姉さんの声。優しい声。心強い声。私が間違えるはずなんてない。私はやっと…姉さんと再会できた…』

 

 

 

 訓練が終わった後、セレナはマリアの所に来た。

 

セレナ「姉さん…。身長も伸びて、私と随分差が開いちゃった」

 

マリア「それはそうだけど。どうしたの、そんなにべったりとくっついて来たりして」

 

セレナ「だって、一緒にいられるのがうれしくって…」

 

マリア「私も同じよ…。あなたにもう一度触れて、言葉を交わす事ができて、嬉しいわ」

 

セレナ「うん。ねえ、月読さんや暁さんも元気?姉さんと同じ研究所にいるんだよね?」

 

マリア「もちろん元気にやっているわ。切歌は少し元気すぎるくらい。調も、前よりずっとよく笑うようになった」

 

セレナ「相変わらず2人は仲良しなんだね。2人も身長がのびているんだろうな。ちょっとうらやましい」

 

マリア「ふふ、セレナだってこれから大きくなるわ」

 

 そこへ、ナスターシャからの連絡が入った。

 

ナスターシャ『セレナ。マリアもそこにいるのですか?』

 

セレナ「はい、マム。マリア姉さんと一緒です」

 

ナスターシャ『至急、出撃してください。ネフィリムが出現しました』

 

セレナ「ネフィリムが…!?」

 

マリア「…大丈夫、私がいるわ」

 

セレナ「うん、マリア姉さんありがとう。もう大丈夫だから…」

 

マリア「お礼なんていらないわ。あなたは私の…私の妹なんだから」

 

セレナ「うん。私、マリア姉さんの妹で本当によかった…!」

 

 そこへ、瞬が来た。

 

瞬「行こう、2人とも。2人は既に向かっているよ」

 

 瞬と共にカデンツァヴナ姉妹も向かったのであった。

 

 

 

 

 そして、ノイズと応戦したのであった。

 

セレナ「えいっ!」

 

 ノイズを1体撃破したセレナだったが…。

 

マリア「セレナ!右にもう1体!」

 

セレナ「うん!」

 

 マリアの指示をしっかり聞き、倒していないノイズも倒したのであった。

 

瞬「(妙だな…。途中からネフィリムに対するチェーンの反応がなくなってしまった…)」

 

 みんなが戦う中、瞬はチェーンの反応がなくなった事に疑問を抱いた。

 

響「凄いなー、流石姉妹。息ピッタリですね。調ちゃんと切歌ちゃん以上かも!」

 

翼「無駄話をしてる場合か、立花!これで…仕上げだ!」

 

 瞬もいたため、あっけなくノイズは全滅した。

 

セレナ「みんながいると、こんなに短時間でノイズを…でも」

 

マリア「ネフィリムの姿がない」

 

瞬「僕も途中でチェーンの反応がなくなっていたから、気になってたんだ」

 

響「確かに反応を追ってきたはずなのに、どこに行ったんでしょうね?」

 

 そんな折、チェーンが反応した。

 

瞬「(この方角は、まさか…!)」

 

 嫌な予感がしたのと同時に、通信が入った。

 

ナスターシャ『研究所の方にネフィリムが現れました!保管庫を狙って』

 

マリア「マム!」

 

セレナ「すぐに戻ります!」

 

マリア「まさか…陽動?」

 

翼「ネフィリムがそんな策を講じるとは…だが!」

 

響「急ぎましょう!」

 

 

 

研究所

 

 ネフィリムの襲撃を受けた研究所はひどい有様であった。

 

翼「これは…」

 

響「こんなに血が…酷い」

 

セレナ「う…っ!」

 

 あまりにもショッキングな光景にセレナはショックを受けた。

 

マリア「セレナ、大丈夫!?」

 

瞬「マリアさん、この光景はセレナにはショックが大きすぎる!傍にいてあげてください」

 

翼「ネフィリムは!」

 

研究所員「私が隔壁を起動しに来た時にはすでに聖遺物保管庫周辺に姿はなく…。資料を取りに行っていたアドルフ博士は、恐らく…聖遺物を狙ってきたネフィリムに…」

 

セレナ「そんな…」

 

マリア「くっ、またしても!ネフィリムーッ!」

 

響「護れなかった…」

 

翼「防人たる私達がこの場にありながら…!」

 

 そこへ、ナスターシャが来た。

 

ナスターシャ「あなた達のせいではありません。この警備の中、保管庫を直接狙ってくるとは、想定外でした…」

 

セレナ「マム、よかった。無事だったんだ」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 ネフィリムが聖遺物保管庫を襲撃したため、マリア達は一旦元の世界に戻る事となった。

 

マリア「セレナに…かなり引き止められてしまったわね」

 

響「すぐに戻るからって言ったのに、セレナちゃん、マリアさんの事が本当に大好きなんですね」

 

マリア「ええ…」

 

翼「しかし聖遺物が奪われた今、次に現れるネフィリムが新たな成長段階に達している事は必定。ネフィリム関連の報告と対策を講ずることを鑑みれば、一度戻る事が最善手だろう」

 

マリア「わかっているわ。瞬が残ってくれているとはいえ、まだいささか、セレナが心配ではあるけれど…」

 

響「大丈夫ですよ!みんなと一緒にネフィリムへの対策を考えれば、きっといいアイデアが出てまたすぐに戻れます!」

 

翼「ああ。司令達とて、我々が並行世界に赴いている間、手をこまねいて待っていたはずもなかろうからな」

 

マリア「…そうね。対策を相談して、すぐに戻りましょう。待っててね…セレナ」

 

 マリア達は発令所へ向かったが、その直後に意外な客が来たのであった。

 

セレナ「(マリア姉さんの後をこっそりつけてきちゃったけど…)」

 

 その客とは、セレナであった。

 

セレナ「…?ここ、どこなんだろう…?(さっきの…、シンフォギアじゃないと通れなさそうだった。もしかして、遠くへ移動するための装置とかかな?だったら、ここはマリア姉さんたちが今いる研究所?…考えてもしょうがないし、マリア姉さんを探そう)」

 

 並行世界へ来たと思っておらず、セレナはマリアを探しにS.O.N.Gの本部を探索する事にした。

 

 

 

研究所

 

 その頃、研究所ではナスターシャが頭を抱えており、そこへ瞬が来た。

 

瞬「どうしたんですか?ナスターシャ教授」

 

ナスターシャ「セレナが勝手にマリアの後を付いて行き、あなた達の世界へ行ってしまったようなのです」

 

 ナスターシャはセレナが残した書き置きを瞬に見せた。

 

瞬「教授、セレナはマリアさんにずっと会いたがっていたので、こんな事をしてもおかしくないと思います。なので、大目に見てあげてください。このような事態を想定して僕は残ったのですから…」

 

ナスターシャ「ですが、勝手な事をしたのは事実です。帰ってきた後でセレナには注意します。しかし、あなたが残ってくれて助かります。よろしかったら、何もない時は医療現場の見学でもしますか?」

 

瞬「ありがとうございます。僕は医者の勉強をしているので、こういった経験も必要だと思います」

 

 医者としての勉強をするため、瞬は医療現場を見学する事にした。

 

 

 

 その頃、切歌と調は訓練をしていた。

 

調「切ちゃん、体の調子はどう?」

 

切歌「上々デス!ネフィリムに1発いいのをもらったけど、もう完全復活デスよ。調こそ大丈夫なんデスか?」

 

調「こっちも上々。朝から肩慣らしに来てよかったね」

 

切歌「続き、やるデスか」

 

調「うん。お昼まで使わせてもらおう」

 

切歌「この調子で強くなれば、矢でも鉄砲でも完全聖遺物でも、司令でも黄金聖闘士でも持ってこいデース!」

 

調「黄金聖闘士は無理過ぎるし、司令もちょっと無理かな…」

 

切歌「とにかくもっと強くなるデス!」

 

調「うん、2人で強くなろう」

 

 そして、訓練をこなしたのであった。

 

切歌「…ふ~。あたしと調の必殺コンビネーションも、ますます磨きがかかってきたデスね。ここいらでちょっと一服入れるデス」

 

調「それなら、飲み物取ってくる」

 

 ふと、異変に気付いた。

 

調「…あれ、トレーニングルームの扉が開いてる」

 

セレナ「どこにいるのかな…」

 

 そのままセレナはトレーニングルームの前を通り過ぎていった。

 

調「……」

 

切歌「デ…デデデース!?い、今っ!廊下を通った…み、見たデスか!」

 

調「切ちゃんも見たんだ…私の見間違いかと思った…。セレナ…だったよね?」

 

切歌「確認するデス!」

 

 急いで確認したが、既にセレナはどこかへ行っていた。

 

切歌「い、いないデス…!」

 

調「疲れて幻覚を見た…?」

 

切歌「2人同時にデスか…?ま、まさか幽霊…」

 

 そこへ、星矢達が来た。

 

星矢「どうした?2人揃って」

 

切歌「星矢、あたし達、セレナの幽霊を見たデスよ!」

 

星矢「セレナの幽霊?」

 

氷河「セレナって確か…」

 

紫龍「7年前に死んだマリアの妹だと聞いている」

 

星矢「見間違いじゃないのか?」

 

切歌「ほんとなのデス!!」

 

氷河「大声を出すな!わかったから、俺達もそのセレナの幽霊を探すのを手伝おう」

 

 星矢達も切歌と調を手伝う事にした。一方、セレナはメディカルルームにいた。

 

セレナ「ここにもいない(メディカルルームかな?私の所とは全然違う。姉さんも使ってるのかな)」

 

 更に、視線の先には食堂があった。

 

セレナ「(あそこは食堂…?私も姉さんと一緒にごはんを食べたいな…。装者の人達も多いから、設備が充実してるのかな。色んなお部屋がある。それより、マリア姉さんを探さないと…)」

 

 そこへ、エルフナインが通りかかった。

 

エルフナイン「ふう…次は…」

 

セレナ「こんにちは」

 

エルフナイン「あ、はい…こんにちは?えっと…?」

 

セレナ「私、姉さんを探しに来たんです。今は急いでいるので、これで失礼します」

 

 そう言ってセレナはマリアを探しに行った。

 

エルフナイン「姉さん…どなたかのご家族でしょうか…?でも、どうやって来たんだろう…?」

 

 その後、ノイズ出現の警報が鳴った。

 

弦十郎「くっ…翼達には戻ってきて早速で悪いが、都市部では速やかな対処が必要となる。全員で向かってくれるか?」

 

翼「はい!」

 

紫龍「俺達は装者だけで対処できるようなら手出しせず、どうにもならなくなった時に加わります」

 

マリア「ノイズの丁重なお出迎えね。わざわざこっちまで出る事もないのに」

 

クリス「お前らについて来たのか?はっ、懐かれてんな」

 

響「ノイズなんてペットにしたくないよ…」

 

エルフナイン「反応からして、ギャラルホルン経由で向こうから流れてきたノイズと推測されます」

 

弦十郎「場所が場所だ。すぐに対処に当たってくれ!」

 

響「了解です!」

 

 そこへ、セレナが入ってきた。

 

セレナ「えーっと、ここは…わ、凄い部屋!?」

 

マリア「セレナ!?」

 

 セレナの登場に星矢達も開いた口が塞がらない衝撃を受けた。

 

調「見間違いじゃなかった…」

 

切歌「デデデデース!なんまんだぶなんまんだぶ…成仏するデース!」

 

調「…切ちゃんよく見て、足がある」

 

切歌「あ、あれ…じゃあ?」

 

響「セレナちゃん、どうしてここに!?」

 

翼「ゲートを通ってきたのか!?…いや、聞きたい事はあるが、今はノイズの対処が先だ!」

 

響「は、はい!」

 

 一同はノイズの対処へ赴き、ノイズを倒し終わってから帰ってきた。

 

弦十郎「まずはノイズへの対処、ご苦労だった。さしあたって、あの子はマリア君に任せている」

 

沙織「では…現状についての情報共有を行いましょうか」

 

響「セレナちゃんとは、今回の並行世界で会ったんです」

 

翼「また、彼女にはナスターシャ教授の要望でまだ並行世界などの込み入った情報は伝えていません」

 

慎次「という事は、2人は本当の姉妹という扱いですか?」

 

翼「そういう事です」

 

切歌「セレナに、マムも生きてる世界、デスか」

 

調「こっちとはかなり事情が違ってそう」

 

沙織「そうでしたら、私達も迂闊な言葉は使えませんね。心得ましょう」

 

クリス「何だかめんどくさい事になってるな…」

 

エルフナイン「お姉さん、というのはマリアさんの事でしたか…。言われてみれば、雰囲気が似ている気がします」

 

切歌「幽霊じゃなくてよかったデス!」

 

調「でも、セレナ…。昔のままだった」

 

星矢「なあ、セレナとマリアの歳の差はどうなってるんだ?セレナは昔のままだとか言ってたけど…」

 

紫龍「以前、マリアから聞いた話ではセレナとの歳の差は2歳差らしい。あれから7年経過しているのであれば、20歳でマリアと同じぐらいの体格になっていてもおかしくないはずだ」

 

翼「それについてだが、向こうの世界のネフィリム稼働実験の際にセレナは重傷を負ってしまい、コールドスリープで7年も眠っていたそうだ」

 

氷河「だから、7年経過しても幼い状態だったのか…」

 

紫龍「おまけに、マリアを追ってこっちに来るとは…。もしかすると、セレナは星矢を凌駕するシスコンなのかも知れない」

 

星矢「確かにシスコンだな。それに、行動力も高くて中身は意外とマリアに似てるな」

 

 セレナは見た感じではマリアとは正反対っぽく見えても、中身は意外と似てると星矢達は思ったのであった。

 

 

 

マンション

 

 セレナはマリアの部屋に来ていた。

 

セレナ「お邪魔します」

 

マリア「何言ってるの、私の部屋なのに。ここはこっちでの活動のためにS.O.N.Gに用意してもらってる部屋だしね。とはいっても、住み心地は悪くないわよ」

 

セレナ「S.O.N.Gっていうのは?」

 

マリア「私の所属している組織の名前よ。さっき発令所でメンバーを見たでしょう?職員の方は他にもいるけれど…」

 

セレナ「F.I.Sとは違うの?マムは、姉さんはF.I.Sの別の研究所にいるって」

 

マリア「え…えっとそれは、その…こっちではそういう名前になってるのよ。関連組織の一つで」

 

セレナ「そうだったんだね。少し見ただけだけど、みんな優しそうな人達だった」

 

マリア「ええ…。風鳴司令をはじめ、みんな人々を守るためにひたむきないい人達ばかりよ。司令達と一緒にいた沙織さんや瞬の仲間の黄金聖闘士達はS.O.N.Gの所属じゃなくて、あくまでも協力者の立場だけど、共に戦ってくれているわ」

 

セレナ「月読さんと暁さんもいた!懐かしいな…」

 

 そんな中、通信が入った。

 

弦十郎『聞こえるか!再びノイズの反応を検知した!』

 

マリア「またなの!?だけど、今こちらに攻撃が集中しているのはむしろ好都合!」

 

沙織『マリアさん、そちらに場所を送ります!向かってください!』

 

マリア「了解!」

 

 マリアは出撃した。

 

 

 

市街地

 

 装者達は出現したノイズと戦っていた。

 

切歌「デェェース!」

 

調「そこ!」

 

 切歌と調は連携でノイズを蹴散らしていた。他のメンバーもノイズを蹴散らしていたが、出現したノイズは装者だけで対処可能と紫龍が判断したため、星矢達は手出しせずにいた。

 

クリス「しつこく湧いて来んじゃねー!てめえらは夏の蚊柱かああー!」

 

マリア「ノイズ如き、いくら現れた所で!」

 

 マリア達の戦いの現場をマリアの後を追って来たセレナは見ていた。

 

セレナ「こんなに装者がたくさん…。みんな、マリア姉さんの仲間なんだ…」

 

マリア「セレナ!?待ってなさいと言ったでしょう!」

 

セレナ「姉さん、私も戦う」

 

マリア「私達がいれば、あなたが無理に戦わなくても…」

 

セレナ「無理じゃないよ。私もみんなと一緒に戦う」

 

マリア「セレナ…」

 

紫龍「マリア、セレナの意向を尊重するんだ」

 

星矢「ただ護ってばかりでなく、妹の意向もきっちりと尊重するのが姉の仕事って奴だろ?俺はそんな姉さんの姿を見て育ってきたんだ」

 

マリア「紫龍、星矢…」

 

セレナ「あなた達は戦わないのですか?」

 

氷河「俺達は装者達の手に負えない事態になった時しか戦わない。俺達が積極的にノイズと戦えば、装者の自立心を潰しかねないからな」

 

星矢「だから、ノイズから人々を護るために戦うんだ!」

 

セレナ「はい!」

 

響「じゃあ、どんな敵も6人じゃなくて…7人いれば!」

 

 セレナも加わってマリア達は出現したノイズを全滅させた。

 

クリス「…あの厄介なのさえ出てこなきゃ楽勝だな」

 

マリア「みたいね。それにしても…」

 

セレナ「何?姉さん」

 

マリア「戦場にまでついて来るなんて」

 

セレナ「ごめんなさい…」

 

マリア「もう…仕方のない子。でも、よく頑張ったわね」

 

セレナ「うん。少しでも力になりたくて」

 

切歌「セレナデース!」

 

調「セレナ、本当に久しぶり…」

 

セレナ「月読さん、暁さんも…。大きく…はそんなになってないみたいですね」

 

 そのセレナの事ばに切歌は背伸びした。

 

切歌「そんな事なデス!身長だってこのぐらいだったのが、こーーーんなに伸びたデス!」

 

 対するセレナも背伸びした。

 

セレナ「ふふ、これくらいだと思いますよ」

 

 それに対抗すべく、切歌は再び背伸びした。

 

切歌「いやいや!こーーーのぐらいは伸びてるデス!」

 

調「セレナはあんまり変わってない…」

 

セレナ「はい、私は7年間眠っていたので…。でも、マリア姉さん達はこれから成長するって言ってくれました」

 

調「7年も…。そうだったんだね」

 

セレナ「よかった。月読さんも暁さんも私の知ってる2人のまま……」

 

クリス「こいつはたまに何言ってるかわかんねー時があるけどな!」

 

切歌「クリス先輩がそれを言うデスか!?」

 

クリス「何だ?あたしの言葉のどこがおかしいんだ!?」

 

切歌「いくら先輩相手でも、そこは断固指摘させてもらうデース!」

 

調「どうどう。どんぐりの背比べだから」

 

翼「全くだ。人に七癖我が身に八癖、という言葉もある」

 

マリア「翼、あなた…」

 

翼「どうした、マリア。これは日本のことわざで、自分の事はなかなか見えないという…」

 

マリア「そういう事じゃない」

 

セレナ「ふふ…みんな楽しい人ばかりだね、姉さん」

 

マリア「ええ、そうね。本当に」

 

響「そう言えばクリスちゃんと星矢さん達、セレナちゃんに自己紹介がまだじゃない?」

 

クリス「そういや挨拶してなかったな。あたしは雪音クリスだ。よろしくな」

 

星矢「俺は星矢、サジタリアス星矢だ」

 

紫龍「俺の名は紫龍、ライブラ紫龍」

 

氷河「俺は氷河、アクエリアス氷河」

 

セレナ「私はセレナと言います。よろしくお願いします」

 

響「セレナちゃん、みんなと仲良くなれてよかったですね!」

 

翼「ああ、そうだな」

 

 

 

 




これで今回の話は終わりです。
今回はセレナがコールドスリープから目覚めた後の事を振り返るのと、マリア達を追ってこっそり並行世界へやってくる所を描きました。
次の話はセレナが並行世界でマリアと過ごすのと、並行世界の方では別行動で異変を調査していた一輝が思わぬ敵と遭遇します。そして、その際にロストキャンバスのネタが出ると共に、アルテミスの勢力が遂に一輝と接触するかも知れません。

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