57話 エキスパートメイド
S.O.N.G潜水艦
それは、並行世界でのネフィリムの騒動が終わり、セレナが療養中の時の事であった。
一輝「エルフナイン、向こうの世界のアルテミスからシンフォギアに詳しい技術者に渡せと言われた代物だ」
一輝はアルテミスから授かった聖衣をエルフナインに見せた。
エルフナイン「これは…」
一輝「向こうの世界の聖衣だ。アルテミスの力でアクセサリー状になっているが、使用する際は元の状態に戻るそうだ。アルテミスは9人の装者達が未知の怪物と戦い、戦死する夢を見たから、装者達のためにこれを技術者に渡せと言った。何か、装者の力にできるか?」
エルフナイン「聖衣をシンフォギア装者の力にですか…。恐らく、可能だと思います」
そう言ってエルフナインはルナアタック事変の最後の戦いの様子を収めた映像を見せた。
エルフナイン「あの時、響さん達のギアは聖衣と融合したと記録にありました。なので、それを再現して決戦機能として加える事はできるかも知れません」
一輝「ふっ、なら話が早いな」
エルフナイン「ですが…聖衣を扱うには小宇宙が必要です。なので、必然的にこれから搭載する機能の使用条件はエクスドライブより厳しくなることは避けられないでしょう。そして、僕一人では流石にこの機能の追加はできません」
一輝「お前1人では不可能だと?」
エルフナイン「はい。なので、今の櫻井理論の第一人者である麻森博士と、神話の時代から生き続けている最強の錬金術師のパルティータさんに手伝ってもらいます」
一輝「そうか。アルテミスの言った事はいつ起きるかわからないが、備えは必要だからな。守護星座はあらかじめあっちが調べてくれたそうだ。頼んだぞ」
セレナが療養中であるため、代わりにノイズ退治を引き受けている一輝は並行世界へ向かったのであった。
それから、並行世界のサガにも来てもらった上で響達のギアに新たな決戦機能を組み込むための話し合いが行われた。
サガ「並行世界のアルテミスが授けたという聖衣を使い、シンフォギアに新たな機能を組み込むのか…」
弦十郎「その通りだ。何でも、並行世界のアルテミスが一輝に対して装者に聖衣を渡すように言ったのは、夢に出てきた未知なる怪物への対抗策としてだそうだ。だからこそ、教皇のサガにもそれについてはどういった意見なのか、聞きたかった」
サガ「私としても、聖衣をシンフォギアに組み込んで新たな決戦機能を加える事は賛成です。そもそも、シンフォギアは小宇宙を扱うのを想定していないが故、十二宮での訓練の際に装者が小宇宙に目覚めた時に戦いぶりはルナアタック事変の時の映像と比較すると、小宇宙の力を100%引き出せていないようにも思えました」
エルフナイン「実際に対峙してみたサガさんはそういう考えなのですか?」
サガ「はい」
沙織「わかりました。私も聖衣をシンフォギアに組み込み、新たな決戦機能を加えるのを承認しましょう。脅威に備え、並行世界のアルテミスは聖衣を渡してくれたのですから」
エルフナイン「この新しい決戦機能の名称は『コスモドライブモード』という事にしましょうか」
弦十郎「コスモドライブか…。起動に小宇宙が必要だから、覚えやすくするためにコスモドライブという名称で問題ない」
早速、麻森とパルティータを呼んでからギアのメンテナンスという名目で元の世界の装者達7人のギアに聖衣を用いた決戦機能を組み込み、並行世界の装者である奏のガングニールとセレナのアガートラームにもパルティータがそれぞれの並行世界へ赴き、技術者と協力してメンテナンスという名目で同じ決戦機能が組み込まれた。
マンション
そして、ある晩の事だった。
切歌「ふわあぁ…調、もう寝るデスよ」
調「もう少し」
TV『今日は疲れた大人の憩いの場、メイドカフェの特集です。そもそもメイドというのは』
調「じー…」
TV『ーーと家事全般をこなすエキスパートで、概ね英国に端を発するスタイルの、いわゆるメイド服を』
調「ふむ、ふむ」
切歌「むにゃ…調、何見てるんデス?メイド…?」
調「おさんどんのエキスパート…、そしてすべての家事のエキスパート…なんだって」
切歌「それは凄いデス!エキスパートなら、きっと298円のカップ麺の味だって再現できるに違いないデスね」
調「それなら、私ができるように頑張ってみる」
切歌「再現をデスか!?た、楽しみにしてるデス」
調「うん、切ちゃんのために。やってみる」
市街地
そして翌日…。
切歌「本当にカップ麺の再現ができるんデス?」
調「わからない。でもエキスパートのメイドになれば、できるはず」
切歌「何しろエキスパートデスからね」
調「メイドの事もっとよく知りたい」
切歌「調はこうと決めたらすぐに実行するデスね」
調「できる事はやりたいから」
切歌「そういう事なら、あたしも応援してるデス!」
調「ありがとう。いつでもごちそうを出せるように頑張る」
切歌「あたしに手伝える事があったら、何でも言ってほしいデス」
調「うん」
そんな中、響達が来た。
響「調ちゃーん、切歌ちゃーん!」
切歌「あ、これは先輩方、今帰りデス?」
未来「うん、響を待っていたらこんな時間にね」
創世「可愛い後輩君達だなあ」
切歌「いやあ、それ程でも…あるデスけど。それより、調がメイドを目指す事になったんデス」
未来「えっと、どういう事?」
クリス「何でメイドなんだ?」
調「昨日、メイドはおさんどんのエキスパートだって知って、もっと家事ができるようになりたいんです」
響「う~ん、家事かー。私はそういうの苦手で」
弓美「メイド!!」
切歌「ど、どうしたんデスか!?」
創世「ああ…、この子にメイドを語らせたら長いよー」
弓美「メイド、それは…ご主人様に尽くす従者の理想系!メイドが1人いれば、あばら家も瞬く間に豪邸に変わるという」
調「そこまで…」
弓美「大切なご主人様とその居場所を護るため、ありとあらゆる状況に臨機応変に柔軟に対応できる!そのための様々な技能も勿論兼ね備えてて、炊事、洗濯、その他もろもろ家事全般は当然…時にはご主人様の領域を侵す存在と、身を犠牲にして戦わなければならない。それがぁ…メイド!!」
響「メイドさんって戦うの?」
弓美「もっちろん!獣や日本刀を手に戦うメイドは枚挙に暇がないわ!」
創世「大体がフィクションだと思うけどね」
響「メイド…かっこいいかも!」
クリス「おいおい、正気か?」
詩織「相変わらずノリの良さがナイスですね」
未来「フィクションだよ?」
響「それでもかっこいいよ!」
未来「うん、まあ響が満足ならいいんだけど」
切歌「そ、そんなに凄いものだったんデスか…。メイド、侮れないデス」
調「予想を遥かに超えていた…」
響「調ちゃん、私もメイドを目指したくなってきたよ!」
調「でも、どうやってなればいいかわからないんです」
詩織「どこかにお手伝いさんを雇えるような大きなお屋敷があればいいのでしょうけど…」
未来「翼さんの実家とか…」
クリス「まあ、すげー家だし、いそうっちゃいそうだしな」
響「もう一つ候補があるよ!」
未来「候補?」
響「沙織さんの家だよ!」
切歌「沙織さんはお金持ちのお嬢様デス!」
調「翼さんと沙織さんに聞いてみないと」
響「そうしよう!」
切歌「そうと決まれば、善は急げデース!」
S.O.N.G潜水艦
早速、翼と沙織に聞いてみる事にした。
響「翼さーん!」
切歌「聞きたい事があるデス!」
翼「何だ、藪から棒に」
調「翼さんのお宅ではメイドを雇っていますか?」
翼「ん?実家にいた女中の人達なら…」
調「違います、メイドです」
翼「え?」
未来「調ちゃんがメイドを目指す事にしたらしいんです。それで、翼さんの家なら…って」
翼「いや、だから、お女中の方ならと」
調「メイドはいないんですか……?」
翼「メイドと女中は同じではないのか…?」
クリス「こいつらには違うんだろうよ」
翼「ふむ」
切歌「うーん、翼さんの所にもいないとなると、困ったデスね」
響「次、沙織さんに聞いてみようよ!」
次は沙織に聞いてみる事にした。
沙織「メイド…ですか」
調「あの…気になってたんですけど、沙織さんの秘書の美衣さんが屋敷にいる時はメイドの服を着ていたのでもしかすると……」
美衣「そもそも、あなた達はどうしてメイドを目指しているのですか?」
響「友達から聞いたんです。メイドは全ての家事のエキスパートで、時には戦いもするって」
美衣「あなた達のいう、そのメイドはアニメとやらのイメージのようですね」
調「やっぱり…いないのでしょうか…?」
美衣「いないといえばそうでしょうが…、アテナ様の侍女の役目を受け持つ特別な聖闘士である、私達聖闘少女があなた達の語るメイド像に最も近い存在と私は思います」
響「聖闘少女…。そうだった!メイドの手本ともいうべき人は近くにいたんだ!調ちゃん、美衣さんに指導してもらって私達が最初の1人になろう!」
調「最初の…1人…」
クリス「本気で言ってんのか?」
響「メイド目指して頑張ろう、調ちゃん!」
調「はい!」
切歌「調「頑張るデース!」
未来「響、頑張ってね」
その後、発令所へ来た。
美衣「メイドを目指したいという熱意は受け取りました。ならば、私がその指導を行いましょう」
響「美衣さん!」
調「ちょうど手本になる人も見つかったし、これなら本物以上に…」
美衣「ただし、あなた達の熱意に応える形で指導は厳しく行います。よろしいですね?」
調「はい!」
クリス「あー、まぁ、頑張れよ」
そこへ、マリアや星矢達もやってきた。
星矢「沙織さん、なんか盛り上がってるようだけど…」
沙織「響さんと調さんが美衣さんの指導の下でメイドを目指すそうです」
マリア「また切歌は…えっ?調が言ってるの?」
調「まずは298円のカップ麺、完全再現だよ。家事のエキスパートならできるはず」
氷河「そういうものなのか…?」
マリア「ところで、どうして沙織お嬢様の秘書に指導を頼んだの?」
クリス「先輩の家の女中もメイドカフェ店員もダメで、メイド像に最も近いのが聖闘少女だったからと」
瞬「確かに、聖闘少女はアテナの侍女ともいえる特別な聖闘士だから、響達のメイド像に近いのかも知れない」
紫龍「だから、美衣に指導を頼んだのか」
今度は弦十郎が来た。
弦十郎「全員揃ってるな」
翼「はい、装者全員、揃っています」
弦十郎「うむ。それではエルフナイン君、今回の実験の説明を頼む」
エルフナイン「はい。本日は今後の戦力及び対応力の向上を目指して心象実験を行います」
響「心象実験?」
エルフナイン「まず、心象実験とはどういうものか、説明しますね。今回、着目するのはギアの心象変化です」
マリア「心象変化というと、聖遺物トリアイナとカルマノイズの件で突発的な変化をした水着型や」
クリス「哲学兵装ムラマサんときの和装型もあったな」
切歌「サンタさんのクリスマス型もあったデース!」
翼「大火の振袖の際の…振袖型はやや特殊かも知れないが」
エルフナイン「はい。しかしこれまでのギアの変化は、偶発的な物や起きた状況を対処するために行った、場当たり的な運用です。当然、それは容易ではなく、時にはうまくギアの変化が起きない事もありました」
切歌「雪山の時は、あたしだけギアが変わらなくて苦労したデス…」
エルフナイン「今回の心象実験は、そのギアの変化を意図的に起こす訓練を行い、様々な状況に対処できるようにする事を目的としたものです」
紫龍「なるほど。装者がその場に最適なギアを常に発現できれば有利に事を運べるぞ」
エルフナイン「はい」
星矢「で、響達はこれから何をするんだ?」
エルフナイン「具体的には、本部内で特別な状況を介さずに新しいギアの変化を目指してもらう、という形になります」
響「なるほど?」
弦十郎「つまり戦闘や実践訓練なしに、様々なアプローチでギアの変化を起こそうというわけだ」
クリス「ふうん…やる事はわかったけどよ。ここで全員で闇雲に念じりゃいいのか?」
エルフナイン「それは目指すギアによって異なりますが、なるべくシミュレータと日常の範囲で変化を観察したいです」
弦十郎「ともかく今回はあくまで実験だ。全員分のデータを必要ないので、希望者を募る」
調「それなら、私が立候補します」
切歌「調?」
調「メイド型になりたいです。メイドになれば、おさんどんの技術が上がるはず」
切歌「ギアの変化をカップ麺の再現に使うんデスか!?」
調「もっと家事をできるようになるなら、手段は選ばず、ギアの変化だって利用したい」
マリア「調、あなたは一通りの家事はできるじゃない。それでもまだ足り合いっていうの…!?」
エルフナイン「ギアは戦闘や災害救助に用いられるものですので、家事を行うメイドを模したギアでは用途がないのでは?」
弦十郎「ふむ」
沙織「よろしいのではないでしょうか?司令」
響「沙織さん!」
美衣「あの子達の語るメイド像はフィクションのものですが、奇遇にもアテナの聖闘少女に近いものがあります。なので、今回の目標にしてよろしいかと」
クリス「本気かよ!」
弦十郎「いいだろう。沙織お嬢様の勧め通りに今回の心象実験プログラムの目標は調君の言う、メイド型にしよう」
エルフナイン「本当にメイド型にするんですか?」
弦十郎「ああ。我々は人類のメイドのようなものだからな」
調「私達が、人類のメイド…?」
弦十郎「藤尭、シミュレータの準備を頼む」
朔也「はい」
弦十郎「まずは調君。他に、立候補者はいるか?」
切歌「調が立候補するなら!」
弦十郎「うむ」
クリス「つっても目指すのはメイドだろ…?」
マリア「私と翼が入るとスケジュール的に実験が飛び飛びになってしまいそうね」
翼「そうだな。他の者がいなければ、私達に日程を合わせる形の実験でも構わないが」
響「私がやります!」
エルフナイン「これで3名ですか。3名いれば実験は可能ですが」
沙織「未来さん、なかなか出撃できないストレス解消として今回の実験に参加してみませんか?」
未来「それなら、私も立候補します。いざという時のために、少しでも経験を積んでおきたいので」
弦十郎「うむ。では以上の4名で実験をやってもらおう」
響「未来、一緒に頑張ろうね」
未来「うん」
調「切ちゃん、私達も頑張ろう」
切歌「デース!」
沙織「実験期間中にノイズが出現した際は星矢達が迎撃を担当します。なので、期間中は実験に集中してください」
未来「星矢さん、紫龍さん、氷河さん、瞬さん、お願いします」
星矢「任せとけって!」
紫龍「実験期間中は実験に専念するといい」
そう言って星矢達は襲撃に備えて準備なりしに行った。
エルフナイン「それでは、早速心象実験プログラムに入りましょう」
響達はトレーニングルームに来た。
響「私達は何をしたらいいのかな?いつもの訓練みたいにノイズと戦うんじゃダメなんだよね?」
エルフナイン『今までのギアの変化から考えて、対象を強くイメージできるよう印象付ける事が大切だと思います』
沙織『そこで、あなた達には家事の練習をしていただきます。美衣さん』
美衣「では、先程おっしゃった通り、私や緒川さんが指導を行います」
未来「そう言えば、美衣さんが指導すると言ってましたね」
美衣「まずは緒川さんが掃除の手ほどきを教えます」
美衣が言ったのと同時に慎次が現れた。
切歌「い、いきなり現れたデス!」
マリア『なるほど、緒川さんなら翼の部屋の掃除で手慣れているものね』
翼『くっ…不甲斐ない…』
響「納得ですね!よろしくお願いします!」
調「お願いします」
すると、シミュレータの光景が大きな屋敷となった。
未来「わっ!シミュレータが大きなお屋敷に」
弦十郎『雰囲気を出すため、背景を切り替えておこう。少しはメイドの気分が味わえるはずだ』
調「何だかメイドになれそうな気がしてきました」
慎次「それでは、まずは僕がやってみせますので、同じ要領で掃除をしてみてください」
美衣「緒川さん、分身を使うとあっという間に終わりますので、要領を見せる意味でも分身は控えてくださいね」
慎次「わかりました」
朔也『シミュレータ内の背景を散らかりモードに切り替えます」
背景が散らかっている状態となった。
切歌「ああ…せっかくの豪華なお屋敷がゴチャゴチャデスよ」
響「翼さんの部屋みたいだね…」
クリス『あいつ容赦ねーな…』
翼『た、立花、それ以上言ってくれるな…!』
慎次「掃除の基本は、効率よく、計画的に」
しっかり慎次は分身を使わずに見本を見せたのであった。
慎次「と、このように」
調「すごくよく考えられた動き…。まるで最初から最後まで掃除と片付けの手順と結果が見えてくるみたいでした」
未来「これがプロの掃除なんだ…!」
美衣「では、今度はあなた達がやってみてください」
朔也「シミュレータ内の背景、再び散らかりモードに切り替えます」
再び散らかりモードになり、今度は調達が掃除をする事となった。
調「拭き掃除は上から下へ!」
切歌「お、お片付けは…詰め込めばオッケーデース!」
調「切ちゃん、それじゃ後で使う時に困るよ」
切歌「う、でもどうすれば収まるか…」
響「拭き掃除は、最速で最短でまっすぐに、一直線にいぃーわたたっ!?」
勢いに任せるあまり、響は未来と激突した。
響「あたた…」
未来「もう、響ったら。ちゃんと足元見てないから」
響「素早くしないといけないって思って…」
調「考えなしで動いては、かえって遅くなります。それが、家事の奥深い所だと思います」
慎次「その通りですね。家事は計画性が大事です」
響「計画性かぁー、難しい…」
切歌「マリアと調はいつもこんな事やってたデスか…!」
悪戦苦闘している調たちの様子を他のメンバーは発令所から見ていた。
クリス「たかが家事と思ってたけど、意外と一筋縄じゃいかないみたいだな…」
翼「計画性というのは立花の最も苦手とする所だからな。この難境をどうするか」
マリア「調はそつなくこなしているようだけれど、後のメンバーは怪しい所ね…」
そして、ようやく掃除が終わったのであった。
切歌「はぁ、はぁ…や、やっと掃除が終わったデス」
響「ノイズと戦うより難しいかも……!」
美衣「次は皆さんに料理を作って頂きます」
そう言いながら美衣はその準備を整えた。
美衣「こちらが、今日作ってもらう料理の食材です。レシピもあるので、コツさえ掴めばそれほど難しくはありませんよ」
切歌「おおお、こ、これは、カ、カニデスよ!」
調「高級食材店」
響「このまま焼いて食べたくなってきました!」
未来「このカニとパスタと他の食材で何を作ればいいんですか?」
美衣「カニとフェンネルのクリームソースパスタです」
発令所でカニという言葉を聞いた時、紫龍の表情が少し変わった。
クリス「先輩、カニって言葉を聞いた時に紫龍の表情が…」
星矢「紫龍の奴、カニを見てデスマスクの事を思い出したみたいだな…」
翼「デスマスク…聖闘士の風上にも置けない男か…」
聖域(並行世界)
そんな中、デスマスクはくしゃみをした。
デスマスク「へーっくしょん!!」
アフロディーテ「風邪でもひいたのか、デスマスク」
デスマスク「違うな、誰か俺の事でも噂したに違いない」
S.O.N.G潜水艦
そして、一通りの家事の指導は終わったのであった。
氷河「一通り終わったようだな」
瞬「次は何をするのかな?」
興味津々に星矢達も見ていたのであった。
響「美衣さん、次は何?」
調「恐らく次はメイドの本懐」
美衣「はい。主人への奉仕をやっていただきます。そこで、主人役」
切歌「お嬢様役デス!?それならあたしがやりたいデス!あたしは常々、メイドよりお嬢様の方が」
美衣「話が終わっていませんよ、切歌さん。主人役は既に決めていますから」
切歌「デデデース!?」
美衣からの非情な一言に切歌はショックを受け、落ち込んだのであった。
切歌「だ、誰デスか!?」
美衣「それでは皆さん、主人役の人を呼びに行きましょうか」
調達は美衣のいう、主人役の人を呼ぶために発令所に来た。
切歌「うぅ…主人役が既に決まっているなら、調に合わせてあたしもメイドに戻るデスよ…」
マリア「切歌、何でも調に合わせる必要はないのよ。メイドとして尽くす仕事はあまり乗り気ではないんでしょう?」
切歌「それは…うーん、でも」
調「切ちゃん、分業の方が効率いいと思う。私はメイドを目指すから、切ちゃんは別の何かをお願い」
切歌「そ、そうデスね。それもそうデス。じゃああたしは今回はここで…」
弦十郎「うむ。適材適所という言葉がある。切歌君は、次の心象実験の際にでも参加するといい」
切歌「わかったデス!次のためにパワーを温存するデスよ!」
翼「それがいいだろう」
調「美衣さん、その主人役というのは…」
美衣「主人役というのは、沙織様です」
美衣が既に決めていた主人役が本物のお嬢様である沙織であった事に一同は納得した。
響「美衣さんが決めていた主人役は沙織さんだったんだ!」
未来「沙織さんは本物のお嬢様だし、私も納得!」
マリア「この中で最も育ちがいいのは間違いないわ」
沙織「普段は皆さんの戦いを発令所で見届けるか、司令代行として司令不在時に指揮をとる事ばかりだったので、たまにはこういった事もしてみようかと」
エルフナイン「それでは沙織さん、よろしくお願いします」
本物のお嬢様である沙織が主人役となり、再開した。
調「それではお嬢様、御髪を整えさせていただきます」
未来「私はお食事の支度を進めておきますね」
沙織「はい。よろしく頼みます」
響「お嬢様ー!食前のコーヒーをお持ちしま…うわあああっ!?」
不手際でコーヒーをこぼした響だが、美衣が瞬時に動き、コーヒーを入れたコップを受け止めたのであった。
響「あたた…普段はコーヒーくらい運べるのに、他の事に気を使ってると…」
美衣「焦りは禁物ですよ、響さん。何事においても冷静さは必要不可欠ですから」
未来「それもそうですね」
響「それがなかなか難しいんだよー」
調「すぐに掃除いたしますね」
沙織「はい、ありがとうございます」
響「じゃあお嬢様、お手紙が届いておりましたので、開封を」
今度はペーパーナイフを扱った経験がないが故にヘマをやらかしてしまい、美衣に受け止められた。
響「うわわ、ペーパーナイフが勢い余って!?」
調「お嬢様、お怪我は」
沙織「ありません。受け止めてくれたので」
響「あはは…ごめんなさい、お嬢様。ペーパーナイフなんて使った事なくて」
未来「響、そういう時はナイフの先が人の方を向かないように使うんだよ」
響「あ、なるほど!」
調「未来さん、響さんの世話を焼きすぎでお料理がだいぶ放置されてます…」
未来「そ、そうだった。お嬢様、すぐにお持ちしますね」
沙織「はい」
その後、料理を持ってきた。
未来「食べさせて差し上げます」
沙織「お気持ちはありがたいのですが、大丈夫です。自分で食べます」
沙織は料理の出来具合を美衣と共に確認した。
美衣「未来さん、この料理は生焼けですよ。沙織様や私がしっかり見ていなければ、誤って食べてしまいかねません」
未来「え?そんなはずは…」
調「多分ですけど、響さんを気にしすぎて、火力調節が不十分だったんだと思います」
調以外は色々とヘマをやらかす姿を残りの一同は目撃していた。
弦十郎「うむ…。調君はやや無愛想ながらもなかなかにうまく勤めているようだが」
紫龍「響と未来は課題ありだな」
朔也「お嬢様役を務めた沙織お嬢様は本物のお嬢様だから、いつものような自然な振る舞いでしたよ」
あおい「本物のお嬢様が傍にいる事を改めて実感しました。それに、美衣さんの危機回避の判断もなかなかのものです」
切歌「も、もしあたしがお嬢様をやってたら…」
エルフナイン「美衣さんがいなければ入院1週間で済めば御の字という所でしょうか」
切歌「ぶるぶるぶる!お嬢様、恐ろしいデス!」
そして、心象実験のプログラムは終了した。
美衣「これにて、心象実験のプログラムは終了です」
弦十郎『現時点で、ギアの変化を起こせるか試してみてくれるか?』
調「わかりました。やってみます」
未来「メイドのお仕事をたくさん経験したから、できそうだよね」
響「うん、私もかなりいける気がする」
調「やってみましょう」
試しにギアを纏ってみたが、3人とも変化はなかった。
調「あれ…変わらない」
響「私もダメだー!」
未来「うん、私もダメみたい」
調「何が足りないんでしょうか?」
響「ギアが変化する時って…なんだろ」
調「恐らく、イメージの中のメイドに心象が追いついていないんだと思います」
未来「でも、うーん、メイドって本当に何なんだろう。沙織さんと美衣さんはどう思いますか?」
沙織「確かに、しっかりとこなしたのにも関わらず、変化しないのは何か原因があるのでしょう」
調「家事の能力を伸ばしたいって想いは確実にあったはずなのに」
未来「他にも何か、必要なものがあるのかな…?」
そんな中、美衣はある事を閃いた。
美衣「皆さん、あなた達のメイド像は家事だけでなく、戦闘もこなせるというものでしたはずですよ」
響「あ、そうだった!」
美衣「では、戦闘面で変化を起こしてみませんか?」
沙織「そうですね。司令、美衣さんの案はどうですか?」
沙織の提案を弦十郎達は発令所で聞いていた。
エルフナイン「戦闘…ですか」
弦十郎「そうした荒治療もアプローチの一つか。本来は実践訓練なしでギアの変化を起こしたかった所だが」
エルフナイン「心象変化はまだ実験段階ですので、多くのデータを集める事を優先して構わないかと思います」
弦十郎「わかった。シミュレータでの戦闘で真型ギアの発言を誘発できるなら、十分に有用だろう。藤尭、シミュレータ内にノイズを発生させるんだ!」
朔也「向こうの提案を受け入れるのですか」
弦十郎「ああ。調君達なら、乗り越えられるはずだ」
エルフナイン「ターゲットは沙織さんでお願いします。主人を護るという状況が作れれば、もしかしたら…」
朔也「了解。シミュレータ内、ノイズ生成します!」
シミュレータ内ではノイズが生成された。
美衣「沙織様、どうやら向こうは受け入れてくれたようですね」
沙織「そうでしょう」
調「ノイズ!?司令が出したんですか!?」
響「とにかく、沙織さんを護らなきゃいけないから戦うしかないよ!」
美衣「この戦闘に私は介入しません。あなた達だけで沙織様を護るのです」
未来「勿論です!沙織さんは私達が護る!」
調「沙織さんには近づけさせない!」
響「これを乗り越えて!」
未来「私達はメイドに!」
響達は次々とノイズを蹴散らしていった。
調「このシミュレータの中だと、護りながらの戦いは難しい…!」
未来「狭いし、場所を移せないから!」
響「3人で沙織さんの周りを固めるしかない!」
次々とノイズは出現した。
未来「これ以上は」
響「調ちゃん!」
調「はい!」
調達は沙織に迫るノイズを倒し続けていた。
美衣「調さん達から沙織様を護ろうとする熱意を感じます」
沙織「私も感じていますよ」
響「沙織さん、私の後ろに!……あの時、私を助けてくれた沙織さんを私が護るなんて、何だか不思議ですね」
沙織「響さんにはそう感じるのですか。言われてみれば、私も不思議に思いますね」
そうしている間にも大型ノイズも出てきた。
未来「でも、どんどん大きなノイズが出てきて…!」
調「3人ではカバーしきれるか…!」
切歌『みんな!今までの訓練を思い出すデス!』
調「切ちゃん…!」
切歌「今ならきっとできるはずデス!もう一度、メイド型に挑戦デス!」
響「切歌ちゃん!確かに、この状況なら!」
未来「2人とも、やってみよう!」
調「切ちゃん…わかった。私、やってみるよ!」
3人は一旦ギアの装着を解除し、再びギアを纏ってみた。すると、ギアがメイド型になっていた。
調「これが…!」
響「ほんとにできた!」
未来「私もできた!」
響「掃除のやり方を思い出して、順序よく!」
未来「料理の要領で…焼き尽くす!」
調「ご主人様を護るために!」
調達はこれまで習った家事の要領を戦いに活かし、ノイズを撃破したのであった。
調「これで…打ち止め」
響「沙織さん、大丈夫ですか?」
沙織「私は何ともありません。あなた達が必死に護ってくれたおかげで怪我一つありませんから」
未来「よかった…!」
響「これで、私達もメイドだね!」
しかし、派手にやりすぎたせいであちこちが壊れていた。
美衣「ギアの変化に成功し、一応はやりきりましたが、メイドとしてはまだまだ駆け出しですよ」
調「ちょっと、派手に戦い過ぎた、かも」
響「うーん、まだ足りないかも…」
未来「うーん、そうだね。メイドなら、調度品を壊しちゃいけないのかも」
調「私達のメイドへの道はまだ始まったばかりです」
これで今回の話は終わりです。
今回は冒頭で響達のギアのこっそり新たな機能が加えられたのと、メイド型ギアへの変化のために調達が様々な家事を身に付けて行くという話になっています。
XD本編では主人役は翼でしたが、今小説では本物のお嬢様である沙織がいるため、沙織が必然的に主人役となり、美衣は調達の指導役となっています。
次の話はメイドの話の後半になります。