セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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6話 団結

特異災害対策機動部二課

 

 奏は落ち込んでいた。

 

奏「(翼は翼、そんな単純な事がわからなかった。全く、本当にあたしはバカだ…。いや、違うな…。本当はわかっていたんだ。ただ、受け入れられなかっただけ…。そのせいでまた翼を失いそうになってる…。どうすれば翼と一緒に唄える?どうすればあの頃の歌を取り戻せる?)翼…、あたしも翼の鳥で唄いたい…」

 

 病室にいた翼は何かが聞こえた。

 

翼「(奏…?夢の中で奏の声を聞いたような気がする…。私も待っている…。大好きな奏の歌を聞ける日を…)」

 

 それからしばらく経った。

 

翼「すまない…、心配をかけた」

 

紫龍「全く、無理も大概にしておけよ」

 

奏「…大丈夫なのか?」

 

翼「ええ、…もう大丈夫。ありがとう…。カルマノイズとの戦いもあるし、私も戦線に…」

 

星矢「そいつはやめとけよ」

 

了子「まだまだ安静にしてなきゃ、ダメよ」

 

王虎「まだお前は戦闘なんてできる状態じゃない。当分はゆっくり休まないと、治るものも治らなくなるぞ」

 

響「あ、一度向こうに戻って休むのはどうでしょう?」

 

翼「…いや、邪魔でないならこちらにいさせてほしい。身体が治ったらすぐに戦線に復帰したいし…、いいかな?」

 

氷河「俺達は反対しない」

 

奏「あたしもいいと思うよ」

 

翼「奏…」

 

奏「翼の力は必要だ。だから反対するつもりはないよ」

 

翼「ありがとう…」

 

アイザック「ようやく打ち解けてきたようだな」

 

奏「男共は何であたしを見て言うんだよ」

 

 ようやく奏が打ち解けた事に星矢達は微笑みを浮かべていた。

 

星矢「翼、お前の部屋の片づけは俺達が音速でやるぜ」

 

翼「星矢、それくらいは自分でやる!」

 

紫龍「普段でもできない事を今の状態でできるわけないだろ?いい加減に俺達に任せろ、翼」

 

奏「なんだ、翼はまだ片付けができないままなのかい?」

 

翼「奏まで…」

 

 響達の様子を大人達は見ていた。

 

弦十郎「雨降って地固まる…か。いい事だ」

 

了子「奏ちゃんもこれで少し余裕ができるといいわね」

 

 それから一同は訓練に入った。

 

奏「さて、それじゃ訓練でもしようか」

 

マリア「ええ、そうしましょう。翼の復帰まではまだ時間がかかるし、やれる事はやっておいた方がいいわ」

 

響「みんなで頑張りましょう!」

 

紫龍「よし、カルマノイズ戦の訓練といこう。俺をカルマノイズだと思ってかかってくるんだ!」

 

 いつものように紫龍は脱ごうとしたが…、

 

マリア「紫龍、脱ぐのは大概にしなさい!あなたの脱ぎ癖は見てるだけで恥ずかしいのよ…!」

 

 意気揚々と脱ごうとした紫龍だったが、脱ごうとした時に人生で初めて『脱ぐな』と言われた事に思わぬショックを受けていた。

 

星矢「いつもの脱ぎ癖をダメって言われてショックだったか?」

 

紫龍「た、確かに響達には刺激が強すぎたのかも知れん…。とにかく、知る限りの特徴を踏まえた上でカルマノイズ戦に備えて訓練と行くぞ!」

 

響「紫龍さん、行きます!とりゃあああっ!!」

 

 早速響が突撃したが、紫龍は容易くかわした。

 

紫龍「踏み込みが甘い!そんな単調な攻撃はカルマノイズには通用せんぞ!」

 

奏「なら、あたし達の攻撃ならどうだ!?」

 

 奏とマリアの攻撃も紫龍は容易くわかした。そしてしばらくした後…

 

マリア「このくらいにしておきましょうか」

 

紫龍「そうだな」

 

星矢「紫龍の指導は気合が入ってたからな」

 

奏「なぁ、ちょっといいか?」

 

響「え?私ですか?」

 

奏「ああ、ちょっとこの後付き合ってくれないか?もう少し体を動かしたい気分なんでね」

 

響「そういう事ならぜひ、お手伝いします!」

 

奏「ありがとな。それじゃあ、行こうか」

 

響「え、ちょ、ちょっと待ってください。私、まだギアのままです~」

 

氷河「だいぶ奏は素直になってきたな」

 

紫龍「ああ。これでようやく連携も構築できる」

 

 

 

 それから、響と奏は外にいた。2人の様子を見るため、星矢も傍にいたのであった。

 

奏「はあああっ!」

 

響「とりゃああああっ!!」

 

 響と奏は手合わせしていたのであった。

 

奏「思った通りだ。いい拳を持ってるじゃないか!」

 

響「はい、ありがとうございます!」

 

奏「弦十郎のダンナの弟子なんだっけ。よく鍛えてるな!」

 

星矢「弦十郎は俺達ほどじゃないけど、かなり強いぜ。何たって、小宇宙が使えないのに白銀聖闘士ぐらいはあるからな」

 

奏「ほんとかい!これや、そっちのダンナともぜひ手合わせしてみたいもんだね!」

 

響「師匠、喜ぶと思います!」

 

 それから手合わせを続けた。

 

奏「…いい汗かいたね、これくらいにしとこうか」

 

響「はい」

 

奏「…この前は悪かった。それに、ありがとうな…」

 

響「ふえ?あの、何の事でしょう…?」

 

星矢「奏が言ってるのは、勝手にお前のギアを持っていった事さ」

 

奏「それと、生きるのを諦めるなって言ってくれた時の事だよ」

 

響「そ、そんな!奏さんに謝られたり感謝されるような事じゃないですよ!そもそも、生きるのを諦めるなって私に教えてくれたのは奏さんですから!」

 

奏「あたしが?」

 

響「はい!」

 

奏「それじゃ、そっちのあたしはかなりできた人間みたいだね…。あんたにそれを言われて気付いたんだ。あたしはずっと、生きるのを諦めたがってた、ってね…」

 

星矢「奏…」

 

奏「翼が死んであたしは1人になった。それから、仇討ちなんてのを口実に翼と後を追おうと…。翼に助けてもらった命を、翼の想いを踏み躙ってたんだ。誰よりも諦めちゃいけないはずのあたしが…。戦いも、歌も、何もかも諦めてた。そんな時、あんた達とそっちの翼がやってきたんだ。眩しかった。あんた達が。あたしがなくしたものを全部持っているようにみえてさ…」

 

響「奏さんは何もなくしてなんてないです」

 

奏「…この前、同じような事を言われたよ。あたしはなくしたつもりになってただけだった。あたしもやり直したい、翼と一緒に戦って、唄っていたあの頃のように」

 

響「奏さんならできます!」

 

奏「ああ、ありがとう…。あたしが言うのも何だけど、あんたみたいなのがガングニールを継いでくれてよかった。…多分だけど、逝っちまったそっちのあたしもきっとそう思ってるんじゃないかな」

 

響「奏さん…ありがとうございます!」

 

奏「休憩はこのくらいにして、今度はギアありで訓練しようか」

 

星矢「よし、今からやる訓練はカルマノイズ戦を想定して俺に攻撃を打ち込んでこい!」

 

響「ええっ!?でも、ここでギアなんて使って大丈夫なんですか…?」

 

奏「大丈夫、ここは二課が管理している国有地だからね。多少何かあっても弦十郎のダンナが何とかしてくれる。それに、シミュレータができる前はこの辺りで訓練してた事もあったんだよ。翼と一緒にね」

 

星矢「思い出の場所でもあったのか、ここは…」

 

響「星矢さんは攻撃しないんですか?」

 

星矢「無茶言うなよ。俺はよっぽどの外道じゃないと女の人は殴れないんだ」

 

響「そう言えば、操られた未来と戦った時も星矢さんは攻撃を受け止めるだけで全く攻撃してませんでしたね」

 

奏「でも、カルマノイズ戦に役立つかも知れねえ。頼むぜ、星矢!」

 

星矢「ああ。遠慮はいらないから、思う存分にやれ!」

 

 星矢相手に奏と響がギアを纏って星矢相手に訓練を行った。そして、しばらくしたのであった。

 

奏「やっぱ、聖闘士はすげえな…。あの金ピカの鎧を纏ってないのにカルマノイズとは比べ物にならない動きの速さと強さだ…。」

 

星矢「俺達聖闘士は死にかけるほどの厳しい修行を数年受けてなるものさ。俺達の戦った敵の中には聖衣のお陰であんなパワーが出せるととんでもない勘違いをしたバカもいたけどな」

 

 星矢のいうバカとはウェルの事であった。フロンティア事変の時、星矢達はウェルの所業に怒っていたが、星矢は誹謗中傷から響を救った事もあって響や未来と親しいために人一倍怒っていたのであった。

 

響「それにしても、奏さんは凄いですよ!手を抜いてたとはいえ、カルマノイズより動きの速い星矢さんにあと一歩の所で攻撃を入れられそうでしたから!」

 

奏「これでもあんたより先輩だからね。翼だってたしが育てたんだ」

 

響「あの、奏さん。ちょっと図々しいお願いがあるんですが…」

 

奏「何だい?あたしができる事なら、遠慮せずに言ってみな?」

 

響「はい!私、奏さんの歌が聴きたいんです!」

 

奏「…歌?そんなの戦いの最中に聴いているだろう?」

 

響「違いますよ!戦いじゃない、奏さんが本当に唄いたい歌です!」

 

奏「…唄いたい歌?…今はこんな状況だし、カルマノイズ対策が先だろ?」

 

響「それじゃ、全部終わったらまた唄ってください!私、ぜぇ~ったいに聴きに行きますから!」

 

奏「…そうか。そて、そろそろ戻ろうか。十分体も動かしたし」

 

 そんな時、通信が入った。

 

弦十郎『聞こえるか、ゴールドカルマノイズが出た!急いで戻ってくれ!』

 

星矢「…ゴールドカルマノイズか…。2人共準備はいいな?」

 

響「もちろん!」

 

奏「よし、今度こそあの忌々しいノイズにあたし達の力を見せてやろうじゃないか!」

 

 

 

市街地

 

 紫龍達はノイズの群れと応戦し、奏達は現れたゴールドカルマノイズと応戦していたが、聖闘士の攻撃が効きにくい小宇宙耐性と再生能力に苦戦していた。

 

マリア「やはり…半端な攻撃では再生する上に聖闘士の攻撃は効きにくいようね!」

 

奏「全く厄介な相手だよ、本当に。この前の手は使えないのかい?」

 

響「S2CAですか?でも私とマリアさんの2人だけじゃ…」

 

奏「なら答えは簡単だ。あたしに翼の代わりを務めさせてくれ」

 

マリア「本気なの?あれは絶唱を束ねる技よ。互いの呼吸が合わなければ、フィードバックでボロボロになる可能性もあるわ」

 

奏「…大丈夫だ。あたしはあんた達を信じてるさ」

 

マリア「もう、この前までは全然信じていなかったくせに。以外に現金なのね」

 

奏「そうかい?ま、同じ装者でガングニールを纏った事のある者同士、仲良くいこうじゃないか」

 

マリア「もう、わかったわよ」

 

響「きっと大丈夫ですよ!なんてったって、奏さんはガングニールの大先輩なんですから!」

 

星矢「(まさに、ガングニール三姉妹という奴だな…)」

 

 心の中で星矢は3人の様子を三姉妹と称していたのであった。

 

マリア「はいはい…。行くわよ!」

 

 響達はS2CAを使うため、絶唱を唄った。

 

奏「(感じる…こいつらの力が、あたしの中を巡っている…。翼、いい仲間を持ったんだな…)」

 

 そして、S2CAが発動したのであった。

 

響「セット、ハーモニクス!行きます、でえええいっ!!」

 

 響は束ねた絶唱の力をゴールドカルマノイズにぶつけ、その一撃を受けたゴールドカルマノイズは消滅したのであった。

 

奏「全く、あきれた威力だな。綺麗さっぱりあのノイズが消えてなくなるなんてさ」

 

響「奏さんの力でもあるんですよ?」

 

奏「そうかい?」

 

マリア「何にしてもこれでまた1体、ゴールドカルマノイズを倒せたわね。これからも油断せずに行きましょう」

 

星矢「そうだな」

 

 響達は帰還したのであった。

 

 

 

市街地

 

 その頃、元の世界ではカルマノイズとゴールドカルマノイズが同時に現れた。通常のカルマノイズの方は瞬が倒したが、その時には聖闘士の攻撃の耐性が非常に高いゴールドカルマノイズによってクリス達はダウンしたのであった。

 

瞬「クリス、切歌、調、しっかりするんだ!」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 すぐに瞬は連絡を入れた。

 

瞬『こちら瞬です!』

 

未来「瞬さん、クリス達は無事なんですか!?」

 

瞬『それが…ゴールドカルマノイズにやられて負傷しました。カルマノイズの方は倒せたんですが、ゴールドカルマノイズの方は消えてしまって…』

 

沙織「直ちにクリスさん達を連れて帰還してください」

 

瞬『わかりました』

 

 クリス達を連れて瞬は帰還したのであった。

 

 

 

特異災害対策機動部二課

 

 並行世界の方では、ゴールドカルマノイズを倒し終わった後にMTGを始めようとしていた。

 

了子「さーて、それじゃわくわくMTGを始めましょうか~」

 

響「わくわく、わくわく…」

 

紫龍「合わせなくていいから落ち着け」

 

奏「翼、もう大丈夫なのか?」

 

翼「ああ、今度こそ大丈夫だ。ありがとう、奏…」

 

奏「いいんだよ。あたしが怪我させたようなもんだしさ」

 

弦十郎「さて、了子君、報告を進めてくれ」

 

了子「はぁい。それじゃ早速、カルマ化したノイズこと、カルマノイズについて分かった事を発表しちゃうわよ。この前受け取ったチップの情報、それから私が独自に集めたデータから、いくつかの事がわかったわ。まずカルマノイズの現れる場所の法則性について。それじゃあ…響ちゃん」

 

響「わ、わたしっ!?」

 

了子「カルマノイズは何を目標として現れているのか、わかるかしら?」

 

響「え、えーと…た、楽しそうな場所!」

 

了子「残念、不正解」

 

星矢「響、楽しそうな場所にカルマノイズが現れる訳ないだろ?」

 

翼「立花…流石にそれは…」

 

了子「ノイズに感情も嗜好もないので、まあ当たり前よね。ただ、惜しい所は突いているの」

 

アイザック「惜しい所?」

 

氷河「これまでカルマノイズが出現した場所…」

 

 カルマノイズが出現した場所を考える聖闘士一同はある事が閃いた。

 

了子「カルマ化したノイズは人が多い場所。そして、総じてフォニックゲインの高い場所に現れやすいの」

 

奏「人の多い場所…もしや…!」

 

了子「最初に現れた奴はまさにそう。…ライブ会場なんてまさに条件にピッタリだわ」

 

紫龍「今までカルマノイズが出現した場所は市街地や観光地の近くばかりだ!」

 

了子「あの時もそうだけど、普通のノイズが現れた場所に後からカルマノイズが出現するのもそれが原因の一つね」

 

王虎「なるほど、人が多い場所で装者が戦う事により、フォニックゲインが高まり、それに引かれてカルマノイズが出現するというわけか…」

 

了子「流石ね、王虎君。正解よ」

 

響「あ、あの!それじゃあ、私達がカルマ化したノイズを呼んでいたって事ですか…?」

 

了子「それは半分だけ正解ね。あのノイズは『必ず出現するもの』なの。これが大前提。その出現時に最もフォニックゲインの高い場所が選ばれると今までのデータが示してるわ」

 

マリア「…つまり、私達のフォニックゲインがなければ他の場所に同じタイミングで出現しただろう、という事?」

 

了子「そういう事ね。後はどうしてあのノイズが今まで何度も撤退していったのか。これも一つの仮説が成り立つわ」

 

奏「…その理由は?」

 

了子「それは…そうねぇ~。じゃ、弦十郎君、たまにはカッコいい所見せてくれるかしら?」

 

弦十郎「…撤退した理由、か…。そうだな…戦闘において、撤退する状況は兵站の不足や敵が想定外の場所や戦力の場合、更には敵がいなかった場合などだが…。ノイズは人を殺すための兵器、だそうだな。だとすれば、敵…つまり人がいない場合ではないか?」

 

了子「弦十郎君、大正解~。後でご褒美あげるわね?」

 

弦十郎「ふ…楽しみだな…」

 

響「お、おお大人の世界だ…!」

 

了子「カルマノイズは人に触れても自身は炭化しないわ。その代わり、人が少なくなれば自動的に消失するの。そうして時間を置いて次の場所に現れる。また人が少なくなれば消える、多い場所に現れるを繰り返すの」

 

弦十郎「まさに自動兵器、という事か…」

 

了子「今まで消えた時は人々の避難の完了とほぼほぼリンクしていたわ。一定範囲内の生命反応が減ると消えるみたい。今わかった事はこれくらいね~」

 

弦十郎「十分だ。後はこれを元にあのカルマ化したノイズを倒す。カルマノイズ殲滅作戦を練るだけだ。装者と聖闘士の君達にはまだまだ負担をかける事になるが、引き続きよろしく頼む」

 

星矢「ああ、まかしとけ」

 

 その後、装者一同は星矢達に訓練を受けてもらっていた。

 

氷河「よし、これくらいで休憩するぞ」

 

 それから、休憩に入った。

 

翼「フォニックゲインの高い場所か…」

 

紫龍「さっきの話しが気になるのか?」

 

翼「ああ。少しな…」

 

奏「気にしすぎても仕方ない。現れたはしからぶっ倒せばいいのさ」

 

響「ですねっ!」

 

翼「…いつの間にか、立花と奏は仲良くなったんだな?」

 

奏「そりゃ、同じガングニールの装者同士だし、な?」

 

響「はい、ガングニール仲間です!」

 

星矢「ガングニール三姉妹の方が合うんじゃないか?」

 

マリア「確かに、私も元ガングニール装者だから、星矢のいうガングニール三姉妹はピッタリね」

 

奏「よく思いついたな」

 

星矢「偶々だよ、偶々」

 

 会話の様子に翼はある気分になっていた。

 

翼「何だか、仲間外れにされている気分だ…」

 

奏「そんなつもりじゃないさ。あたしは…」

 

翼「ん?」

 

奏「その…な、なんでもない…」

 

翼「そう…」

 

 しばらく沈黙が続いた。

 

響「何です剣、このお見合いみたいな雰囲気」

 

マリア「大方今までの態度とかいろいろ引っかかって素直になれないんでしょうね。全く、世話のかかる2人ね…」

 

星矢「やっぱ男と女は心の面でも色々と違うもんだなぁ…」

 

アイザック「そうだな…」

 

氷河「だが、打ち解ける事ができたのはよかった」

 

王虎「ああ。これでカルマノイズ退治の連携もできる」

 

 そう言ってると、ノイズの警報が鳴った。

 

星矢「噂してたらノイズが出てきたな」

 

 星矢達は司令室へ向かった。

 

弦十郎「来たか!これで全員揃ったな」

 

紫龍「どうしたんですか?」

 

了子「ノイズ反応と同じ場所に新たな聖遺物の反応があったの。こっちでは未知の聖遺物なんだけど…お仲間さんかしら?」

 

星矢「だろうな。一体、何でこの世界に来たんだ…?」

 

紫龍「嫌な予感がするぞ。現場へ急ごう!」

 

 

 

市街地

 

 一同は現場へ出撃した。

 

奏「誰か小さいのが戦っているな…」

 

マリア「あれは…調!?」

 

 現場にいた装者は調であった。

 

調「マリア…よかった、やっと会えた…」

 

氷河「調、その怪我は何だ!?」

 

調「話は後…先にノイズを…」

 

紫龍「この場は俺達に任せて、響達は調を運んでくれ。お前達にはカルマノイズとの戦いに備えて体力を温存しておかなくてはならない」

 

響「はい!」

 

 装者一同は調を運ぶのを優先し、ノイズは星矢達が全滅させたのであった。

 

 

 

特異災害対策機動部二課

 

 それから、一同は司令室に集まっていた。

 

弦十郎「その子は…そちらの世界の装者の1人か?」

 

マリア「ええ、この子は月読調。これでも立派な装者の1人よ」

 

調「…こんにちは」

 

翼「それで、どうして月読がこちらに来たんだ?」

 

調「向こうにカルマノイズとゴールドカルマノイズが現れたの。…今度は実体を持って。それで瞬さんとクリス先輩、私、切ちゃんで迎撃して…。2人はかなりの怪我を負って今も療養中。だから、向こうの事を瞬さんと助っ人に来た一輝さんに任せて危機を知らせに私が…」

 

星矢「何っ!?クリスと切歌が!?」

 

マリア「調、あなたと瞬も怪我を…?」

 

調「瞬さんは全く怪我はなくて、私も軽傷で済んだから…」

 

マリア「…無理をしないで。言うほど軽い怪我には見えないわ」

 

響「聖闘士だけでは倒すのが難しいゴールドカルマノイズがいるんです!急いで戻りましょう!」

 

紫龍「そうだな」

 

翼「私達でカルマノイズを倒すんだ!」

 

奏「…なあ、あたしも連れて行ってくれないか?」

 

翼「奏…?」

 

奏「…今まであんた達にはかなり助けられた。その恩を少しでも返させてほしい」

 

マリア「気持ちは嬉しいけど、こちらでノイズが出たらどうするの?」

 

アイザック「その心配はいらん。俺と王虎がいるのだからな」

 

王虎「ゴールドカルマノイズに関しても、小宇宙への異様な耐性を持っているが故に倒すのが難しいだけで攻撃力とスピードは大した事はない。だから、奏の要望通りでいい」

 

奏「ありがとな…、王虎、アイザック…」

 

王虎「何だ?今まで俺達を鎧野郎とか男共とか言ってたのにその心境の変化は何かな?」

 

奏「そんなのはどうでもいいだろ?」

 

翼「私はまだ絶唱が使えるほど回復してないから、この世界で休息する。だから私の代わりを奏に任せたい。頼めるかな…?」

 

奏「…いいのか?あたしで…」

 

翼「奏だから任せられるんだ。…奏も私を信じてほしい」

 

アイザック「お前が留守の間は俺達が守る。だから、遠慮する事はない」

 

奏「…ああ、わかった。翼を信じる…。そしてアイザック、王虎、あたしの留守を頼んだぞ」

 

王虎「ああ」

 

 奏の頼みにアイザックと王虎は頷いた。

 

奏「翼、戻ったらゆっくり話をしよう。昔みたいにさ」

 

翼「…うん、楽しみにしてる」

 

マリア「調、あなたもこっちにいなさい」

 

調「マリア…でも、切ちゃんが…」

 

星矢「切歌の事は俺達に任しとけ。あっちには瞬もいるし、怪我をしてるのならきっちり治せよ」

 

調「…わかった」

 

マリア「…そういう事で、この子の事をお願いできるかしら?」

 

弦十郎「ああ、メディカルルームの準備を整えておこう」

 

響「…それじゃ行きましょう、皆さん!」

 

 

 

公園

 

 一同はゲートの前に来た。

 

奏「これが、あんた達の世界へのゲート…?」

 

響「はい、そうです。さぁ、行きましょう!」

 

 一同はゲートを通っていった。

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 そして、響達は元の世界に帰ってきたのであった。

 

星矢「着いたぜ」

 

奏「ここは…?」

 

マリア「S.O.N.Gの潜水艦の中よ。正確には、その聖遺物保管区画の一角。まずは司令室に向かいましょう」

 

 タイミング悪く、警報が鳴った。

 

氷河「帰ってきてすぐにノイズか…!」

 

弦十郎『みんな戻ったようだな』

 

響「はい、師匠、ただいま戻りました!」

 

弦十郎『響君とマリア君の2人と星矢達には早速で済まないが、瞬と一緒にノイズ迎撃に向かってくれ。クリス君と切歌君はまだ動けない』

 

響「装者は2人じゃありません、3人です!」

 

弦十郎『3人…?翼の通信機の反応はないが…。まあいい、とにかく頼んだぞ!』

 

奏「…今の、弦十郎のダンナか?翼もそうだったけど、本当に似てるんだな…」

 

マリア「ええ。私達も向こうの司令を見た時に同じ事を思ったわ。…それより、今は急ぎましょう」

 

奏「…ああ、そうだな。さて、こっちでも一暴れさせてもらうよ!」

 

 そして響達が戦闘を開始する際、司令室では衝撃が走っていた。

 

あおい「3つ目の聖遺物の高エネルギー反応を確認!」

 

朔也「波形の特定もできました!」

 

弦十郎「結果は?」

 

朔也「信じられません…、3つ目の聖遺物の反応はガングニールです!」

 

弦十郎「ガングニールが二つだとぉっ!?」

 

 

 

市街地

 

 そして、星矢達はあっさりとノイズを殲滅したのであった。

 

奏「これで全部か?」

 

響「ただのノイズしかいませんでしたね…」

 

マリア「恐らく向こうで聞いたように現れる周期があるんだわ」

 

瞬「君が奏なんだね?対面するのは初めてになるけど、僕は瞬だよ」

 

奏「他の聖闘士と比べても随分女っぽい顔だな。装者と間違われてもおかしくないぞ」

 

星矢「何言ってるんだ?瞬はれっきとした男なんだぜ。それに、ギアと聖衣は鎧の質感も違うから、装者と間違えられるわけねえだろ?」

 

 そんな中、奏はあるものを見つけた。

 

奏「…なぁ、おい。あれって…」

 

星矢「どうした?奏」

 

奏「月が…、綺麗な丸じゃない…」

 

マリア「…ああ、あなたは初めてだものね。あれがルナアタック、フロンティア事変の傷跡よ」

 

紫龍「その後、戦いの女神アテナと月の女神アルテミスの手で修復されたんだ」

 

奏「…本当にあたしは別の世界に来たんだな」

 

響「はい、ようこそ奏さん!私達の世界に!」

 

奏「ようやく別の世界にいるという実感が湧いてきたよ」

 

マリア「…さて、今はこれ以上ここにいても仕方ないわ。本部へ向かいましょう」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 響達は帰還したのであった。そして、奏の姿にS.O.N.Gのメンバーは驚いていたのであった。

 

奏「ここが…S.O.N.Gか」

 

あおい「そんな…」

 

朔也「ど、どうして…。じゃあ、さっきのガングニールの反応は間違いじゃなくて…」

 

弦十郎「奏…だと?」

 

響「あはは~、やっぱりビックリしますよね」

 

星矢「目の前にいる奏は向こうの世界の奏だ」

 

弦十郎「並行世界…そうか、向こうでは奏が生きているという事か…」

 

あおい「でも、本当に奏さんのままだわ…」

 

奏「あたしから見ても弦十郎のダンナやオペレーターのみんなはそのままに見えるよ」

 

朔也「本当にそんな世界があるんですね…」

 

沙織「初めまして、奏さん。私はグラード財団総帥であり、女神アテナの化身の城戸沙織と申します」

 

奏「えっ?あんたがアテナだって!?」

 

瞬「奏は向こうの沙織さんと会った事がないの?」

 

奏「グラード財団の総帥って聞いた事はあるけど、会った事はないし、アテナだとも知らなかった…」

 

沙織「向こうの世界でも翼さんの話通りの人柄ですね。よろしくお願いします」

 

マリア「驚きなどはそれくらいにして、状況を教えてもらえるかしら。…切歌は?クリスは無事なの?」

 

弦十郎「あ、ああ…。わかった。エルフナイン君、頼めるか?」

 

エルフナイン「はい。それでは僕から説明します。こちらにカルマノイズとゴールドカルマノイズが現れたのは三日前。今度は前回とは異なり、存在が固着した状態で現れました。瞬さんとクリスさん達がすぐに迎撃にあたり、瞬さんがカルマノイズを倒す事に成功しましたが、クリスさん達はゴールドカルマノイズに勝つ事はできず、逆に怪我を負ってしまいました…。ノイズはその後消失。ですが、以前とは違い、こちらの世界での存在を確定させてしまっています。今、こちらには聖闘士はいても戦える装者がおらず、あのノイズが次にいつ現れるかわかりません。そういった状況だったので、瞬さんはノイズ迎撃のために残し、比較的怪我の軽い調さんにみなさんを呼びに行ってもらったという状況です」

 

マリア「瞬、切歌とクリスの怪我の程度は?」

 

瞬「2人共命に別状があるほどじゃない。でも、あのノイズの呪いのせいか、衰弱が激しい。僕の小宇宙で応急処置をしたけど、当分は戦える状況じゃない」

 

響「でも、無事なんですよね?よかったぁ…」

 

エルフナイン「今、こちらの世界は並行世界同様にカルマノイズの脅威にさらされています。何とか対策を練らないといけないのですが、あのノイズについては知らない事が多すぎて…」

 

響「あ、そうだった。エルフナインちゃん宛てにこれ、了子さんから預かってたんだ」

 

 了子からの預かり物を響はエルフナインに渡した。

 

弦十郎「了子君!?向こうでは了子君も生きているのか…?」

 

氷河「ああ、そうだ」

 

エルフナイン「これは…データチップ?」

 

響「うん、前にくれたデータのお礼だって」

 

エルフナイン「ちょっと見てみます」

 

 早速、エルフナインはデータを見た。

 

エルフナイン「…凄い…、これを作った櫻井了子さんという人は本当に天才ですね…」

 

沙織「その通りです。彼女の頭脳は師にあたる麻森博士でさえ『私以上の逸材だ』と太鼓判を押した程で、世界中でも最も櫻井理論を理解してる彼でも理解度は7割程度にとどまっています」

 

マリア「…役に立ちそうなの?」

 

エルフナイン「はい。これなら対策が立てられます…。わぁ、こんなデータまで…」

 

弦十郎「…了子君は元気にしているのか?」

 

響「はい、了子さんは了子さんのまま、すっごく元気でした!」

 

弦十郎「…そうか、よかった」

 

エルフナイン「皆さん、大変です!」

 

紫龍「どうした?」

 

エルフナイン「このデータから推測すると、カルマノイズの次の出現予測は…今晩なんです!」

 

星矢「今夜にカルマノイズが出現するのか…」

 

沙織「今は英気を養い、戦いに備えてください」

 

 星矢達は戦いに備え、休息をとったのであった。




これで今回の話は終わりです。
今回は本格的に奏が仲間と打ち解ける内容となっております。
次はライブ会場でのカルマノイズとの戦闘になりますが、本来ならもっと後にならないと出現しない化け物が現れるかも知れません。

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