セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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61話 暗躍する影

???

 

 とある場所で政府高官は話をしていた。

 

政府高官「…ふむ、そうか。報告ご苦労。やはりな」

 

 この政府高官は報告を聞いていた。

 

政府高官「今までに盗まれた物品のリストから見て、間違いない、あの怪盗どもの狙いは聖遺物…。それもこの俺が苦労して高値で売りさばいた横流し品だ!誰だ…?ふざけた事をしやがって!お陰で盗まれる事を怖れて買い付けのキャンセルまで出やがった!全部、怪盗どものせいだ!だが狙いがそれなら…やりようもあるって事だ!非常識には非常識…こんな時のために同盟の証を立てたんだからなあ!」

 

 

 

研究所

 

 怪盗としての活動からある程度日にちが過ぎた。

 

ナスターシャ「ここまでの活動ですが、成果はまず上々といった所です。不当に回収、隠匿されていた聖遺物をかなりの数取り戻す事に成功していますからね」

 

セレナ「やったね、姉さん」

 

マリア「ええ」

 

ナスターシャ「ただ、そろそろ我々の目的も黒幕側に漏れている頃でしょう……。恐らく、これまでより警戒されているはず。一層の注意をお願いします」

 

セレナ「はい、マム。私とマリア姉さんなら大丈夫だよね」

 

マリア「もちろん。負ける気がしない!一刻も早く、全ての流出品を回収してみせるから」

 

瞬「あと、道中のノイズ退治や何かあった時は僕も手伝うよ」

 

マリア「頼むわ、瞬」

 

ナスターシャ「期待していますよ」

 

 

 

公園

 

 その頃、あおいは上司にファントムシスターズに関する事を報告していた。

 

あおいの上司『怪盗ファントムシスターズか…』

 

あおい「すみません。一度は追い詰めたのですが…。……簡単に包囲網を抜けられてしまいました」

 

あおいの上司『包囲網の規模はこちらでも把握している。まさかあれをやすやすと……』

 

あおい「はい…」

 

あおいの上司『敗因は、相手の力を見誤った事だな』

 

あおい「本当に申し訳ありません」

 

あおいの上司『いや、恐らく誰であっても同じ結果になっただろう』

 

あおい「……」

 

あおいの上司『とはいえ、このままにしておくわけにもいくまい』

 

あおい「はい、今度こそ捕まえてみせます」

 

あおいの上司『ああ。期待している。今しばらく、上層部は俺が抑えておこう』

 

あおい「ありがとうございます」

 

あおいの上司『もしよければ、俺の映画コレクションの中から厳選した、怪盗関連の映画を貸す事ができるが、どうする?フィクションではあるが、敵を知るための何かのヒントにはなるかも知れんぞ?』

 

あおい「それは結構です」

 

あおいの上司『むう…そうか……。とにかく、上の堪忍袋の緒が切れる前に何とか頼む』

 

あおい「わかりました」

 

 

 

市街地

 

 あおいはため息をついた。

 

あおい「はぁ…」

 

警官A「どうされました、警部」

 

あおい「私が対処を失敗したばっかりに、上司にまで迷惑をかけてしまって…」

 

警官B「そんな、警部は最善の策をとって」

 

あおい「いいえ、私はまだ彼女達を見縊っていたのかも知れない。今度こそは確実に逮捕するわ。そのために、ファントムシスターズの情報をもう一度整理しましょう」

 

警官A「怪盗ファントムシスターズ。2人組の犯人グループで、主に骨董品や歴史資料を狙う犯行を繰り返す…」

 

警官C「一方で、可愛い身なりと、人的被害を出さずに鮮やかな手腕で目的のものだけを盗むやり方。さらに彼女達の犯行後に、これまで周囲で起きていた異常現象が収まるなどの報告もあり」

 

警官B「段々と一般市民の間で人気が高まっているようですが…」

 

あおい「怪盗が人気だなんて世も末ね…。実態は窃盗犯なのよ?」

 

警官A「もちろん、我々警察にとって憎むべき犯罪者である事は一同、重々承知しています!」

 

あおい「といっても、目的がお金でもない、コレクター色が強いわけでもない。……どういう事なの?それがわかれば、彼女達の動きを予測する手掛かりになるかも知れないのに」

 

 そんな中、予告状がまたしても来たのであった。

 

警官D「警部!ファントムシスターズから、また新たな予告状が!」

 

あおい「今度こそ絶対に捕まえるわよ!総員…出動!」

 

 

 

工場

 

 そしてその晩、マリアとセレナは工場に潜入した。

 

マリア「潜入成功。セレナ、周囲の警備は?」

 

セレナ「今の所大丈夫。今回も鮮やかに回収する!」

 

マリア「ええ!」

 

 2人は工場の中を進み、ターゲットがある場所まで来た。

 

セレナ「今回のターゲットはこれだね」

 

マリア「容易いものね。長居は無用、脱出よ!」

 

セレナ「姉さんもだいぶ慣れてきたね」

 

マリア「えっ、そうかしら…?と、とにかく!脱出よ!」

 

セレナ「うん。今の内に行こう!」

 

 そう言ってると、警報が鳴った。

 

マリア「流石に警察も潜入そのものに気付かないはずはないか。でも!」

 

セレナ「誰も私達を捕まえられない」

 

 しかし、ある違和感が生じた。

 

マリア「足音がこちらに向かってない…?警報が鳴ったのに」

 

セレナ「姉さん、悲鳴が…」

 

 悲鳴を出していたのは、アルカノイズに襲われている人達だった。

 

セレナ「こんな時にノイズ!?」

 

マリア「違うわ。あれはノイズじゃない…アルカノイズ!」

 

 アルカノイズは工場勤めの人や警官達を襲っていた。

 

従業員「ノ、ノイズ!」

 

警官A「こんな時に!くそっ、拳銃なんて効きやしない!」

 

警官B「警部、一時撤退を!」

 

 その様子をマリア姉妹は見ていた。

 

マリア「このままでは警察を危ないわね。とにかくあれを倒さなくては」

 

セレナ「アルカノイズって、何?」

 

マリア「錬金術…異端技術の一種で作られたノイズよ」

 

セレナ「…ノイズとは何が違うの?」

 

マリア「ええ、ノイズとは違い、アルカノイズにはそれぞれ解剖器官と呼ばれる部位があるの」

 

セレナ「解剖器官…?」

 

マリア「あらゆるものを分解する事が可能な器官…。それはシンフォギアも例外じゃない」

 

セレナ「…そんな、シンフォギアも分解されちゃうって事?」

 

マリア「そうよ。主に攻撃する部位が解剖器官となっているから、攻撃は受けずに避ける事を心がけて」

 

セレナ「…うん、わかった」

 

 警察はアルカノイズ襲撃の対応に追われていた。

 

あおい「住民の避難を優先して!それから私達も撤退よ!」

 

警官C「皆さん、早く逃げてください!早く!う、うわーっ!」

 

 避難を促したものの、アルカノイズは迫っていた。

 

セレナ「伏せてください!」

 

マリア「はあーっ!」

 

 するとそこへ、マリアとセレナが来てアルカノイズを倒したのであった。

 

警官C「た、助かった!?」

 

セレナ「ここは私達が何とかします。だから逃げてください」

 

警官C「えっ?あ、ああ…」

 

セレナ「姉さん、残りも一気に」

 

マリア「勿論!」

 

 残ったアルカノイズも全滅させたのであった。

 

マリア「…これで、殲滅完了かしら」

 

セレナ「みんな、ちゃんと逃げられたかな?」

 

マリア「安心していいわ。警察は私達よりずっと避難誘導には慣れている」

 

セレナ「そうだよね。きっと大丈夫だよね」

 

 アルカノイズを倒し終わり、マリアは連絡を入れた。

 

マリア「マム、こちらは襲撃を受けて」

 

ナスターシャ『こちらもです。研究所内に見慣れないノイズが…!』

 

マリア「まさか!そんな……どうして!」

 

 そこへ、マリア達の様子を見守っていた瞬が降りてきた。

 

瞬「きっと、研究所を襲撃しているのはアルカノイズだ!急いで戻ろう!」

 

 瞬と共にマリア姉妹は研究所へ急いだ。

 

あおい「怪盗が…ノイズを倒した?」

 

警官C「はい、間違いありません。彼女らがいなかったら、自分は今頃…」

 

警官B「工場周辺の住民からも、同様の証言があります」

 

警官A「確かに、彼女達がノイズを排除して助けてくれたと…」

 

あおい「どうして……ううん、どうやって…?」

 

 

 

???

 

 ある政府高官は報告を聞いていた。

 

政府高官「アルカノイズがやられた…!?そうなると賊はまさか未確認の装者…。誰にも知られていない装者が2人も、だと…!?だが装者が異端技術研究のバックアップなしにギアを手に入れられるはずがない。くっ…同士の誰かと組んでいるのか?装者を使って聖遺物の独占とは、裏切者が!……ならば、次の手だ!」

 

 政府高官は憤っていた。

 

 

 

研究所

 

 研究所へ帰ってきたマリア姉妹だったが、研究所の明りが落ちていた。

 

マリア「明りが落ちてる…急がないと」

 

セレナ「うん…。あっ、あそこに人が!」

 

 セレナの視線の先に人影があった。

 

???「まさか、新手!?」

 

 その人影はマリア姉妹に襲い掛かろうとしていたが…。

 

瞬「ストップ!あの2人はマリアさんとセレナだよ!」

 

 瞬が来て制止をかけたのであった。

 

セレナ「瞬さん!」

 

瞬「響、薄暗いけどあの2人はマリアさんとセレナなんだ。チェーンも警戒していないんだよ」

 

 人影の正体は響であった。

 

響「あ、ほんとだ。鎖が反応してない」

 

セレナ「瞬さん、止めてくれてありがとうございます」

 

マリア「…響と一緒にここを護ってくれたのね。ありがとう」

 

 そして、一同は集合した。

 

マリア「マム、今回の件は」

 

ナスターシャ「それについては、私の見解を話しましょう。しかしまず、研究所の危機を救っていただき、ありがとうございます」

 

響「人助けは私の趣味ですから!」

 

瞬「僕も使命よりも護りたい一心で護ったのですから」

 

ナスターシャ「今回、我々は罠にかけられていたようです。あれは、アルカノイズという人工のノイズ、でしたね」

 

瞬「そうです。錬金術師による錬金術で製造されたノイズです」

 

ナスターシャ「狙いが聖遺物とわかり、アルカノイズを使って反乱分子を探し出そうとしたのでしょう」

 

マリア「それじゃ、私達の事がバレたんじゃ…?」

 

ナスターシャ「いいえ、そうではありません。この研究所以外にもあのノイズが現れたようです。つまり現時点では、怪盗がどこにいるのかは、まだ相手にもわかってないという事だと思います。それに、ここにセレナという装者がいるのは、先日の件から周知の事。当研究所内でノイズが倒されたとしても、不思議はありません。実際に倒したのはセレナではありませんが。むしろ、この研究所に放たれたノイズが倒された事で、我々への疑いは薄くなったとさえ言えます。怪盗が装者だと向こうも気付いた以上、この状況はセレナの怪盗への関与を間接的に否定したともいえますからね」

 

セレナ「あっ、そうか。普通の研究所じゃノイズは倒せないから」

 

マリア「この研究所と、ターゲットのあった工場で同時にノイズが撃破された…。つまりそういう事ね」

 

ナスターシャ「そうです。セレナ以外の装者が怪盗に扮して、聖遺物を狙っている…そう敵の目には映る事でしょう」

 

響「何だかわからないけど、うまくいったならよかったです!」

 

マリア「しかし、アルカノイズまで使ってくるなんて……!」

 

ナスターシャ「他国において、使役可能なノイズが開発されたという情報はきいていましたが、まさかそれまでもが日本に渡っているとは…」

 

マリア「私欲のために手段を選ばない悪党だっているわ」

 

セレナ「そんな人達を放っておくなんてできないよ」

 

 その後、休息の時間となった。

 

響「あのー…それで、マリアさん達は結局何を…?」

 

マリア「説明がまだだったわね。実は、何者かが聖遺物や哲学兵装の横流しを行っていて、私とセレナが極秘裏に、それらを取り戻すために動いているのよ」

 

セレナ「正義のための怪盗です!」

 

瞬「でも、聖闘士の僕は怪盗をやるわけにはいかないから、道中のノイズ退治程度にサポートを留めているよ」

 

響「か、かっこいい!そういう事なら、私も協力します!」

 

マリア「そうね…今回の件はセレナと2人で片をつけるともりだったけど、アルカノイズの事もあるし、瞬と共にサポートを願いするわ。よろしく」

 

響「任せてください!」

 

マリア「セレナはまだ戦闘は不慣れだから、そちらであなたを頼りにする事もあると思う」

 

セレナ「私からも、よろしくお願いします。それで、どうしてこちらにいらしたんですか?」

 

響「マリアさんがなかなか帰ってこないから、何かあったのかなーって。一応、師匠は『大事な用があるから当分は帰れない』と言ってくれたけど」

 

セレナ「そうだったんですか。それと、マムを助けてくれて本当にありがとうございました」

 

響「いやー、お礼を言われるような事じゃないよ。じゃあ、私は一回戻って師匠に報告だけして来ますね」

 

マリア「待って!他のみんなには回答をやっている事と、新型ギアの事は言わないでちょうだい」

 

響「極秘の任務、だからですね。わかりました」

 

マリア「(極秘だからというより、恥ずかしいからなんだけど…!)」

 

響「それじゃ、行ってきます!」

 

瞬「気を付けるんだよ」

 

 響は報告のため、元の世界へ向かった。

 

響「怪盗ギアかー…私もやってみたいなー。怪盗ガングニール、参上!…なんちゃって」

 

 

 

公園

 

 そして翌日、マリアはセレナと護衛の瞬と共に公園で息抜きをしていた。

 

マリア「こちらでの息抜きもいいものね。夜になればまた仕事よ。それまで、少し休みましょう。アイスでも買ってくるわ。先に座って待ってて」

 

セレナ「うん。私、ストロベリーがいいな。…あ、やっぱりバニラとストロベリーのダブルでもいい?」

 

マリア「いいわよ。買ってくるわ」

 

 そして、マリアはセレナが頼んでいたアイスを買ってきた。

 

セレナ「はあ…アイスって、甘くて冷たくて、おいしい…」

 

マリア「ふふ、セレナは大袈裟ね。今はマムだってアイスぐらい」

 

 すると、通行人が『泥棒ー!』と叫ぶ声がした。

 

マリア「何!?」

 

セレナ「ええっ?」

 

通行人女性「ひったくりよ!誰か、捕まえてー!」

 

マリア「(よかった、私達の事じゃない)」

 

瞬「僕が行きます!マリアさんは通報してください!」

 

 急いで瞬は向かい、あっという間にひったくり犯を取り押さえたのであった。

 

ひったくり犯「(この女男野郎、なんて馬鹿力なんだ…!?動けねえ…!)」

 

瞬「もう逃げられないぞ!僕もあなたをこれ以上傷つけたくないから、盗んだものを返すんだ!」

 

通行人男性「おーっ、すげえ!あの美少年、捕まえたぞ!」

 

通行人子供「かっこいいー!」

 

女子高生「顔だけじゃなく、犯人を取り押さえる所も美しいわ!」

 

 その後、マリアの通報で駆け付けた警察にひったくり犯は逮捕された。

 

通行人女性「あ、ありがとうございます!」

 

瞬「いえ、僕は当然の事をしただけです」

 

セレナ「姉さん、悪い人を取り押さえた瞬さんはすごくかっこよかったね」

 

マリア「ええ。でも、瞬はちょっと対応に困っているようだけど…」

 

 年頃の女子達に詰め寄られ、瞬は困惑していた。

 

あおい「ご協力、感謝します」

 

瞬「僕はただの成り行きでひったくり犯を取り押さえただけです」

 

あおい「それにしても、さっきの身のこなしは何かの格闘技でもされているのでしょうか?」

 

瞬「詳しくは言えませんが、あなたの仰る通りです」

 

あおい「そうですか」

 

 ふと、視線をマリア姉妹へ向けてきた。

 

あおい「あの…あなた達は姉妹で、そちらは妹さんですか?」

 

マリア「はい、私の自慢の妹よ」

 

セレナ「自慢の姉さんです」

 

マリア「(私達の正体には…気付いていないみたいね。とはいえ、いつ感づくかわからない)」

 

瞬「(2人共、狼狽えたら逆に怪しまれるから、堂々とするんだよ)」

 

セレナ「(堂々とですね)警察のお仕事って、大変そうですよね」

 

あおい「確かに大変だけど、私はこれが天職だと思っているので。あっ、でも」

 

セレナ「何ですか?」

 

あおい「最近は怪盗なんてのが出て…。予告状まで出して、まったく警察を舐めてるとしか思えない」

 

マリア「へ、へえ……」

 

あおい「何が怪盗よ!あんなふざけた格好で!」

 

セレナ「け、結構可愛らしいって聞いてますけど…」

 

あおい「それにファントムシスターズって、自分で名乗って恥ずかしくないのかしら!?」

 

マリア「そ、そんな悪い名前じゃ…」

 

セレナ「(姉さん、ごめん。余計な話題出しちゃった)」

 

マリア「(愚痴を聞いてやり過ごしましょう…)」

 

セレナ「(うん……)」

 

あおい「しかも何なの!?あの予告状の丸文字は!緊張感はどこにあるの!?」

 

 長々とあおいの愚痴を聞くはめになったのであった。

 

あおい「もうこんな時間、私はそろそろ署に戻らないと。何だか愚痴ってしまいましたね。ごめんなさい。今回はご協力ありがとうございました」

 

瞬「たまたまですけど、犯人検挙に繋げる事ができて何よりです」

 

セレナ「お仕事頑張ってくださいね」

 

あおい「はい。それでは失礼しますね」

 

 帰っていくあおいの様子をマリアは見ていた。

 

マリア「(少々、ストレスを抱え込んでいるようだけど…やはりこちらの世界の彼女も、真面目で良い人みたいね)」

 

 

 

建物

 

 そして夜になり、マリア姉妹は目的地に到着した。

 

セレナ「今回のターゲットはこのビルだね。怪盗も馴染んで来たし、また一つ聖遺物を返してもらおう」

 

マリア「ええ……でも、この恰好…。大丈夫かしら…?」

 

セレナ「大丈夫だよ、マリア姉さん、すごくかわいいから」

 

マリア「そういう事じゃないの……!いつの間にか慣れてしまってたけど…」

 

セレナ「うん。姉さん、可愛い」

 

マリア「で、でも…ほら、年相応ってあるでしょ…!」

 

セレナ「かっこいいから、そっち方面でも大丈夫だよ」

 

マリア「くぅ…そうかしら……?」

 

セレナ「それじゃあ、早速潜入」

 

 しかし、やけに静かであった。

 

マリア「やけに静かじゃない。セレナ、予告状は出したんでしょう?」

 

セレナ「うん、いつもの通りにちゃんと出したよ」

 

マリア「この気配、たくさんの警察が張っているとは到底思えない…。かといってアルカノイズが出たような騒ぎもない」

 

セレナ「そういえば…何だろう?」

 

マリア「何だか胸騒ぎがするわ。普段以上に慎重にいった方がいい」

 

セレナ「あの警部さん、来てないのかな?」

 

マリア「そんなはずはない。予告状を出しているのに、警察が来ないなんてあり得ないわ」

 

セレナ「またビルに罠があるのかも知れないね」

 

マリア「…ともかく、潜入しましょう」

 

セレナ「うん!」

 

 ビルに入ったが、人の気配はなかった。

 

セレナ「警備は?」

 

マリア「…いない。いけるわ」

 

 そのまま進んでいったが、これまで行った場所に配置されていたようなトラップは見当たらなかった。

 

マリア「赤外線トラップも…ない。ロックを破れば反応するタイプの警報ぐらいはあったけど」

 

セレナ「それは簡単に無力化できるしね。隔壁も降りてこないし、なんdねこんなに妨害がないんだろう?」

 

マリア「セレナ私が先行するわ」

 

セレナ「うん、気を付けて」

 

 マリアが先行する事になり、進んでいると何かを発見した。

 

マリア「これは…」

 

セレナ「ビルの中がメチャクチャに壊されてる」

 

マリア「まるで獣でも暴れたような痕ね…。他の何者かが警察と交戦した可能性も考えられるけど、とても人間がやったものとは思えない」

 

セレナ「じゃあ」

 

マリア「一体、何が」

 

 進んでいるうちに、ターゲットがある場所に着いた。

 

マリア「ここにターゲットが…えっ!?」

 

 そこには以前の個体とは細かい部分が違うものの、ネフィリムがいた。

 

マリア「まさか、ネフィリム!?」

 

セレナ「ちょっと姿は違うけど…倒したはずなのに……!」

 

マリア「なぜ、ネフィリムが!?ここでは戦いにくい!一旦外へ」

 

 2人はその場では戦いにくいため、外へ出た。

 

マリア「襲ってくる!セレナ、いけるわね?」

 

セレナ「う、うん。わかった」

 

 外見が少し違うネフィリムとの戦闘に入った。セレナは攻撃を仕掛けたが、ネフィリムは攻撃をかわした。

 

マリア「こいつ、素早い!」

 

 そして、ネフィリムは接近して来た。

 

マリア「なっ、狙いは!」

 

 ネフィリムの狙いはセレナであった。

 

マリア「セレナ!」

 

セレナ「大丈夫、足を怪我しただけ…、それよりネフィリムが」

 

 ネフィリムは逃げようとしたが、突如として鎖に縛られ、締め砕かれたのであった。

 

マリア「あの鎖は…瞬ね」

 

 ネフィリムを撃破した後、瞬が降りてきた。

 

瞬「一応、近くで待機していたよ」

 

セレナ「瞬さん、取り逃がしそうになったネフィリムを倒してくれてありがとうございます」

 

瞬「セレナ、その怪我を診せてもらえないかい?」

 

 瞬はセレナの怪我の具合を診た。

 

セレナ「どうですか?」

 

瞬「無理に動かしてはいけない。当面の間は安静にしておいた方がいい」

 

セレナ「そうですか…。姉さん、目的の聖遺物は?」

 

マリア「残念だけど、瞬が倒したネフィリムに…」

 

セレナ「そんな…」

 

マリア「(またネフィリムが、私達の前に…)」

 

 足を怪我したセレナを背負い、瞬はマリアと共に研究所へ帰ったのであった。




これで今回の話は終わりです。
今回はアルカノイズや獣型ネフィリムの出現を描きました。
今回現れたネフィリムですが、次に現れる個体も成長する事なく倒されます。
次の話は療養中のセレナに代わり、響がマリアの相方を務める事となります。

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