市街地
怪物と星矢達は睨み合い、星矢達が先制攻撃を仕掛けた。
星矢「俺から先に行くぞ!アトミックサンダーボルト!!」
光速拳の連打が怪物に放たれ、怪物はまともに連打を受けて痛そうにした。
紫龍「攻撃は効いてるようだ」
氷河「おまけにとても痛そうにしているぞ」
怪物「グガアアアッ!!」
攻撃に怒ったのか、怪物は口からビームを吐いた。だが、星矢達は簡単にかわした。
星矢「そんな技、初見でも見切れるぞ!」
瞬「サンダーウェーブ!」
ネビュラチェーンの技を放ち、怪物に当てたが、大きなダメージは与えられなかった。
怪物「グオオオン!!」
しかし、これは怪物の冷静な判断力を失わせるための策であった。
紫龍「隙だらけだぞ!廬山昇龍覇!!」
氷河「ダイヤモンドダストォ!」
紫龍と氷河の攻撃が飛んできた。対する怪物は怒っていたため、自らの身も顧みずに捨て身でビームを放った。その威力に2人の技は破られそうになった。
紫龍「お前も捨て身で攻めてきたか!だが、見境もなく暴れるお前に俺達は負けはしない!!」
更に2人は小宇宙を高め、一気に押し返したのであった。押し返された攻撃を受けた怪物は吹っ飛ばされた。
紫龍「まだ終わりではない!エクスカリバー!!」
星矢「インフィニティブレイク!!」
紫龍のエクスカリバーで斬られ、星矢のインフィニティブレイクをまともに受けた怪物はとても痛そうにしたのであった。
星矢「よっしゃあ、俺達の攻撃は確実に効いているぞ!あと一息か?」
怪物「グゥウウウッ……、グガアアアアッ!!!」
散々攻撃され、ダメージを受けて怒りが頂点に達したのか、怪物は凄まじいエネルギーを溜め始めた。
星矢「何だ!?」
紫龍「もしかすると…、俺達の攻撃で怒って大技を繰り出すつもりかも知れん!」
氷河「大技だと!?」
S.O.N.G潜水艦
司令室の方でもそのエネルギーは確認されていた。
朔也「敵に更なるエネルギーが収束していきます!」
あおい「こ、こんな…、エネルギー量って!?」
弦十郎「どうした!?」
あおい「もしこのエネルギーが放たれれば、日本全土、及び朝鮮半島全域を始めとする周辺国の一部がまとめて焦土となります!」
弦十郎「なんだと!?(短時間で日本国民全員や被害地域となる周辺国の人間を避難できるわけがない!だが、このままでは…)」
弦十郎は星矢達に連絡を入れようとしたが、沙織に止められた。
沙織「司令、今は星矢達を信じましょう」
弦十郎「だが…」
美衣「地上の愛と平和を守るのが聖闘士の役目です。彼等が人々を簡単に見捨てられるはずがありません!」
あおい「ですけど、今のままでは…」
沙織「星矢達はこれまでも絶望的な中でも奇跡を起こして強敵に打ち勝ったのです。なので、星矢達を信じてください」
弦十郎「…わかった。確かに、星矢達は何度も奇跡を起こしたのだからな。そんな状況でも星矢達を信じる事ができる沙織お嬢様の言う事はハッタリでも何でもないだろう!」
一同は星矢達が奇跡を起こすのを信じていた。
市街地
怪物は凄まじい威力のビームを放とうとしていた。
星矢「みんな、こうなったら俺達の小宇宙をとことん燃やして攻撃を叩き込むぞ!!」
紫龍「このままでは、今から放たれる攻撃で広い範囲が吹っ飛んでしまう!人々を守るにはそうするしかない!」
氷河「限界まで小宇宙を燃やすぞ!」
瞬「うん!」
星矢達は限界まで小宇宙を高め、紫龍は聖衣を脱いだ。
星矢「燃えろ、俺達の小宇宙よ!」
怪物「グオオオン!!」
怪物はビームを放った。
星矢「行くぞ!インフィニティブレイク!!」
紫龍「廬山百龍覇!!」
氷河「オーロラエクスキューション!!」
瞬「ネビュラストーム!!」
星矢達の技と怪物のビームがぶつかり、競り合いとなった。
星矢「負けてたまるか!俺達の背後には守るべき人達がいるんだ!」
紫龍「例えその身が滅ぼうとも、人々には指一本触れさせん!」
競り合いは続いたが、ほんのちょっとだけ怪物が優勢だった。
氷河「奴が押してる!?」
瞬「(こんな時に誰か黄金聖闘士ぐらいの実力の聖闘士があと一人いてくれたら…)」
???「俺を呼んだか?瞬!」
心の中であと1人黄金聖闘士ぐらいの聖闘士がいたらと思った途端、それに応えるように一輝が現れた。
星矢「一輝!」
瞬「兄さん、やっぱり来てくれたんだね!」
一輝「途方もない化け物の気配を感じたから、やってきた。こんな化け物に俺達の世界を好き勝手にはさせん!鳳翼天翔!!」
一輝の攻撃も合わさり、星矢達の攻撃が怪物の攻撃を押し返して怪物に大ダメージを与えたのであった。
怪物「グガアアアッ!!」
皮膚がボロボロになって顔も潰れ、身体のあちこちから大量に血が流れてて見てるだけでもグロく見えるほどの大ダメージを受けた怪物は穴の中に逃げ込み、その穴は消えたのであった。
星矢「逃げられたか…」
瞬「でも、ここ一帯が壊滅するというのは避けられたよ」
一輝「あの怪物は一体…」
そんな中、通信が入った。
弦十郎『ご苦労だった。お前達の活躍で日本全土や周辺国の一部が焦土になるのは免れた。これもお前達が奇跡を起こしてくれたからだ』
星矢「に、日本全土や周りの国が焦土だって!?」
紫龍「神でもないのにそれ程の化け物がいたとは…!」
怪物に対して疑問に思う星矢達の姿をある人物が見ていた。
???「嘘でしょ…?逃げられたとはいえ、聖遺物も持たずにあの化け物の本体に致命傷寸前のダメージを与えて退けるなんて……。今まで色々な並行世界を巡ったけど、聖遺物なしで装者を遥かに超える戦士がいた事に驚きだわ」
怪物に致命傷寸前のダメージを与えた星矢達を見た後、謎の人物は去って行った。そして、もう片方では…。
???A「ああ、もう!あの子に死ぬかもしれないほどひどい怪我をさせるなんて!!」
???B「これでは、傷が完治するのに途方もなく膨大な時間がかかりますな」
???A「あいつら何よ!聖遺物を使わないであんな力を引き出せる人間を見たのは初めてよ!」
何者かは不機嫌そうに去って行った。
S.O.N.G潜水艦
怪物が逃げた事に一同はほっとしたのであった。
エルフナイン「怪物の反応消失。ギャラルホルンのアラートもカルマノイズ出現の状態に戻りました」
朔也「奇跡ですよ!日本全土が焦土となる攻撃を5人の聖闘士が押し返して怪物を倒すなんてまさに奇跡ですよ!」
弦十郎「押し返せたのは紛れもない奇跡だが、あの怪物自体はまだ倒されたわけではない。しばらくした後にまた出てくるかも知れないから、当分は星矢達にこの世界に留まってもらおう」
沙織「私も同じ意見です」
ほっとしつつも、怪物の再度の襲来に警戒していたのであった。
公園(並行世界)
その頃、響達は並行世界に到着していた。
奏「…帰ってきたんだな、あたしは」
そんな時、通信が入った。
了子『奏ちゃん、聞こえてる?もしかして翼ちゃんとか他の子もいるのかしら?』
奏「聞こえてるよ。何かあったのか?」
了子『大量のノイズが現れてるの。アイザック君と王虎君やこの前こっちに来た3人も向かってるけど、あなた達も向かってくれるかしら?』
奏「ああ、もちろん!」
奏達は現場へ向かったが、響は元の世界の星矢達の事を気にしていた。
翼「立花、星矢達が気になるのはわかるが、私達は防人としてやらねばならぬ事を優先させなければならない」
マリア「それに、星矢達は私達では想像さえできないほどの困難を乗り越えてきたのよ。今は星矢達を信じましょう」
響「…はい!」
気持ちを切り替え、現場へ向かった。
市街地
その頃、クリス達と王虎、アイザックはノイズの大群と戦っていた。
切歌「休む暇もないのデス…。ノイズ、ノイズ、ノイズって、いい加減しつこすぎるのデス!」
王虎「弱音を吐く暇があるのなら、体を動かすんだな!」
アイザック「こいつを1匹でも逃がせば、犠牲者が出るんだぞ!」
切歌「何時間戦ってもバテない聖闘士は体力のオバケデスか…!?」
調「でも、誰かが倒さないと…」
切歌「それはそうデスけど…」
クリス「はん、こんな雑魚ノイズなんて相手になんねーよ!いくらでもきやがれってんだ!」
アイザック「そう言ってるとカルマノイズが出るかも知れんぞ」
クリス達は蹴散らし続けた。
切歌「まだまだ来るデス!」
クリス「はん、いくらでも来やがれ!風穴開けてやらあ!」
調「でも、この数はなかなか大変…」
切歌「アイザック達はともかく、あたし達の方はキリがないデス…」
???「それなら、私達も手を貸そう!」
そう言って現れたのは響達であった。
クリス「先輩…って、全員で来たのか!?いいのかよ!?」
マリア「ええ、向こうは私達じゃ手に負えなさそうな敵が現れるみたいから星矢達が留まっているの。だから、後はこっちを解決するだけよ」
切歌「やっとマリアも一緒デス!」
調「うん、そうだね」
クリス「それにしても、勢揃いだな…。合計7人って、これだけ装者がいりゃ、余裕だろ!」
翼「聖闘士も忘れては困るぞ」
翼の視線の先には圧倒的な力で雑魚ノイズを蹴散らす王虎とアイザックの姿があった。
奏「あんた達と一緒に戦うのは初めてだね。よろしく頼むよ」
クリス「おう、足手まといにならねーように気を付けろよな」
翼「雪音…もう少し言い方はないのか?」
奏「いいんだよ、翼。足手まといでない事は戦いで証明して見せるさ」
響「み、みんな!その、あ、あれって…!」
切歌「お出ましデース!」
響の視線の先にはゴールドカルマノイズがいた。
奏「以前、確認された奴が金色になってやがる!」
翼「みんな、注意するんだ!気を抜くな!」
アイザックと王虎が雑魚ノイズを蹴散らしている間に7人の装者がゴールドカルマノイズを追い詰めていた。
翼「立花、今のうちだ!」
響「はい、S2CAを」
ところが、別の方向からの攻撃を受けてしまった。
クリス「攻撃!?どこから」
切歌「向こうデス!あのカルマノイズの影にもう1匹いるのデス!」
その通り、ゴールドカルマノイズの影にもう1匹のゴールドカルマノイズがいた。
マリア「まさか…ゴールドカルマノイズが2体ですって!?」
奏「あっちの奴は見るのは初めてだ!それに…、奴等が共闘するなんて今まで一度も」
2体現れた事で発する破壊衝動もより強くなり、装者一同は苦しんでいた。
マリア「これが…、カルマノイズの呪い…!」
翼「みんな、気をしっかり」
そんな時、廬山百龍覇が飛んできてゴールドカルマノイズを吹っ飛ばした。
奏「これは…、王虎とアイザックだ!」
雑魚ノイズを片付け、王虎とアイザックが来た。
王虎「遅れてすまん!」
アイザック「今から奴等の動きを封じるぞ!オーロラエクスキューション!!」
小宇宙を高め、アイザックはオーロラエクスキューションを放ってゴールドカルマノイズ2体を氷漬けにした。
クリス「カルマノイズが…、凍った…?」
マリア「アイザック、あなたは氷河から二つの技を重ねて放つテクニックを教わったのね?」
アイザック「ああ。それに、氷漬けにしたのは櫻井了子からの指示でもあった」
奏「(カルマノイズの呪いの中でも平然としていれるあいつらは心も相当鍛えてるみたいだ…)」
氷漬けになった後、ゴールドカルマノイズは消えた。
調「あれ…?」
切歌「プレッシャーが…消えたデス!それに、ゴールドカルマノイズも…」
クリス「どうなってんだ…、消えちまった…」
アイザックと王虎以外は急にゴールドカルマノイズが消えた事に戸惑う中、了子が来た。
了子「間に合ったわ。よかった~。みんな、無事?」
王虎「アイザックがすぐに凍らせて動きを封じたから無事だ」
特異災害対策機動部二課
その後、一同は帰還した。
了子「ゴールドカルマノイズが2体同時に現れたって聞いてね。アイザック君に凍らせて動きを封じるように頼んでから、急いで発明品を持って駆け付けたのよ」
マリア「それで、その発明って何なの?」
了子「よくぞ聞いてくれました。これはあのノイズの検知している、生命反応を誤魔化すための装置なの。これを使ってあいつらが撤退するように仕向けたってわけ」
響「さっすが了子さん、すごい!」
了子「まあね~、それ程でもあるわよ」
弦十郎「これであのノイズが現れても被害は最小限にできるだろう。…そこで君達に問いたい。君達はこの世界の人間ではない。ここで退く事もできる。本当にいいのか?」
翼「それは…」
了子「即答はなしね~。よく考えてみたほしいのあの厄介なノイズが2体、これは装者が複数いても黄金聖闘士ぐらいの聖闘士がいても楽観視できる自体じゃないわ。だから、みんなよく考えてみて」
セーフハウス
その後、響達はセーフハウスにいた。
王虎「紫龍ともっと話をしたかったな…」
アイザック「想定外の危機故に俺達の世界に来れないのは仕方ないだろう。俺達は響達の手伝いをするだけだ」
王虎「ああ、わかってる」
一方、翼と奏の方は…
翼「奏、私に話って…」
奏「ああ。…戻ったら話そうって約束したからな」
翼「そうだったね…。実際は戻る前に向こうで会ってしまったけど」
奏「…話しておきたかった。今夜のうちに。そうしないと、放せなくなるかもしれないからな」
しばらく沈黙が続いた。
奏「お前を最初に見た時、心臓が止まるかと思った。死んだはずの翼がそこにいたんだからな…」
翼「…私も同じ。奏に会えるなんて、思っていなかった…」
奏「ごめんな、冷たい態度をとって」
翼「そんな…」
奏「あたしはずっと怖かったんだ。翼に軽蔑されるのが…。あのライブの火、翼はあたしに言ったんだ。『歌を絶やさないでほしい』って。だけどあたしはそんな歌を捨てて、ただノイズを殺すためだけに生きてきた…。そんああたしを見られたくなかった。だから理由をつけて翼を遠ざけようとして、見ないようにして、誤魔化してきたんだ」
翼「……」
奏「向こうで翼の歌を聴いて、わかった。あたしはやっぱり翼の歌が大好きなんだって。一緒には唄えなかったけど、あの歌を思い出すだけであたしは大丈夫だ。だから、もう…」
翼「違う!」
奏「翼…?」
翼「奏は歌が大好きなはずだ!唄えないはずなんてない!どうしてそんな悲しい事ばかり言うの!?」
奏「あたしは、今のあたしは唄えないんだよ…。あたしだって、昔の自分に戻りたいと…」
翼「それが間違ってる!昔の奏が唄うんじゃない、今の奏が唄わなきゃ意味がない!」
奏「今のあたしが…唄う…?」
翼「今の奏は唄えないんじゃない、唄わないんだ!歌が好きなのに、歌を遠ざけてるだけだ!お願い…唄う事を…諦めないで!」
奏「!?それでも…無理なものは無理なんだよ!今更、あたしはもう!」
奏は部屋を出ていった。
翼「奏!」
特異災害対策機動部二課
そして翌日…
弦十郎「…みんな、それで考えてもらえたか?元の世界に戻るなら…」
翼「それは不要です。防人として、戦う覚悟は済んでいますから」
クリス「ま、そういうこった。やられっぱなしで帰るなんてできるわけねーだろ?」
響「こっちを平和にしてこいって、向こうの師匠にも言われてますから!」
アイザック「こいつらは帰る気は全くない。カルマノイズを全て倒すまではな」
弦十郎「すまない、ありがとう…」
了子「もう、みんなバカなんだから~。それじゃ、一緒に最後まで頑張りましょうか」
弦十郎「では作戦を説明する。了子君、頼む」
了子「はいはい。残るカルマノイズは2体、この前見たので恐らく最後よ。それで作戦だけど、そっちの世界でやったように、こちらでも戦いやすい場所に相手をおびき寄せようと思うの」
翼「では、歌を?」
了子「うーん、それだと準備もあるし、唄っている装者が戦いにくくなるのよね。だから、代わりの物を用意するわ」
マリア「代わり…といっても、フォニックゲインを人為的に高める装置なんて聞いた事ないけど…」
了子「実際にフォニックゲインを発生させる必要はないのよ。要はあのノイズの知覚を狂わせればいいの。それなら、この前の装置の派生でちょちょいっと作れるわ~」
響「さっすが了子さん…」
王虎「(恐るべき頭脳だな…)」
クリス「何だか複雑だけどな」
了子「という事で、決戦はライブ会場よ。残りのカルマノイズを倒して、みんなでパーティでもしましょ?」
奏「…ああ、全部倒してやらあ!」
翼「(奏…)」
ライブ会場
一同はライブ会場に来た。
奏「翼、何だ?」
翼「奏…昨日は…」
奏「いいんだ。悪いのはあたしだから…」
翼「そうじゃない、そうじゃないんだ…。私は奏に…」
そんな折、緊急通信が入った。
弦十郎『緊急事態だ!市街地にノイズが大量に出現した!』
響「ええっ!?」
王虎「市街地へは俺とアイザックが行く」
アイザック「お前達はカルマノイズ退治を優先しろ」
そう言って王虎とアイザックは向かっていった。
了子「大変な事になってきたわね。それじゃ、装置を起動させるわよ」
了子が装置を起動させると、カルマノイズが現れた。
奏「来るぞ!」
クリス「最初から2体でくるたぁ、相変わらずノイズのくせにべたべたと仲良くしやがって」
マリア「とにかく隙を作るわよ。そうしてS2CAで止めを刺すしかないわ」
切歌「頑張るデス」
調「うん、私達がやらなきゃ」
響「全力で行きましょう!」
翼「…私達が人類守護の砦だ。ここで決着を着けるぞ!」
装者一同はカルマノイズに向かっていった。
クリス「あのブドウはあたしに任せな!」
葡萄型のカルマノイズは攻撃範囲が広いため、クリスが主に戦う事となり、持ち前の射撃で攻撃し、切歌と調もそれに続いて攻撃した。もう一方の残りの面々が戦い、カルマノイズを追い詰めていった。
響「倒した!?」
マリア「ダメよ、これじゃあ足りない!」
奏「反撃が来るぞ!」
翼「みんな、耐えるんだ!ぐああああっ!!」
カルマノイズの反撃で装者一同は吹っ飛ばされた。
了子「みんな、しっかりしなさい!」
カルマノイズの攻撃により、装者一同はダウンした。
クリス「ちっ…くしょう…」
マリア「…なんとか、生きてるけど…」
切歌「た、立てないの、デス…」
調「ダメージは、深刻…」
翼「まだ…、まだだ…」
翼は立ち上がった。
翼「…私はまだ唄っていたい!明日も、明後日も…風鳴翼の歌を絶やしたりはしない!」
奏「(…翼、お前は本当に強い奴だ。あたしなんかよりもずっと…。だけど、あたしも、そんなお前の横に立ちたい!そのために、もう二度と翼を失うわけにはいかない!もう二度と…)生きるのを諦めない!」
翼に続いて奏も立ち上がった。そんな時、カルマノイズの攻撃が翼に迫っていた。
翼「かわせない!?やはり、私1人では飛ぶ事なんて…」
奏「何弱気な事言ってんだ」
カルマノイズの攻撃を奏が代わりに受けた。
翼「奏!」
奏「ぐっ!1人で飛ぶなんて、寂しい事言わないでくれよな。あたしも一緒だ、翼!あんたの知ってる片翼より、ちょいとばかし情けないかも知れないけど」
翼「(ああ!忘れかけていたこの感じ…やっぱり、そう…奏は奏だ)ううん、奏は最高の片翼だよ…」
奏「はははっ!おら、お前ら!もう限界か?そっちの装者の力はそんなもんか!」
響「奏さん…」
クリス「言うじゃねーか…よ」
マリア「なら、見せてもらおうじゃないの。あなたの力を」
調「私達の力を、奏さんに…」
切歌「…全部もってけデス」
装者全員絶唱を唄い、S2CAを発動させた。
響「セット、ハーモニクス。この力…、届ええええっ!!」
装者達の力が奏に託されたのであった。
翼「奏…」
奏「(…あの日、あたしを護るために唄って散った翼、その翼の想いを、あたしは今まで裏切ってた…。ごめんな翼。だけど…もうあたしは大丈夫だ!随分と時間かかっちまったけど、今なら唄える!)翼、行くよ!」
翼「うん、行こう、奏!」
響達の束ねた力を受け取り、奏のギアのエクスドライブが起動したのであった。
市街地
その光はちょうどノイズを殲滅し終わったアイザックと王虎にも見えていた。
アイザック「ノイズは片付いた。俺達も行くぞ!」
王虎「ああ!」
2人は向かっていった。
ライブ会場
響達の協力を得て、奏はエクスドライブモードの起動に成功した。
奏「…翼、それにみんなも聴いてくれ。戦いのためじゃない、あたしの歌を!この歌で…あたしはまた飛んでやる!取り戻した翼で…誰よりも高く飛んでみせる!(見ててくれ、翼…)」
ゴールドカルマノイズ2体が襲い掛かったが、奏は槍を振るって2体とも吹っ飛ばした。
奏「喰らえ~~っ!!」
奏は投げた槍を分裂させて放つ技、STARDUST∞FOTONでゴールドカルマノイズ2体に大ダメージを与えた。
???「見事だ、奏!」
声と共にアイザックと王虎が来た。
奏「アイザック、王虎!」
王虎「ノイズの方は片付いた。俺達も協力する」
アイザック「世界を脅かすカルマノイズをここで殲滅するぞ!」
奏「ああ!」
葡萄型のゴールドカルマノイズはアイザックが、もう一方は王虎が向かっていった。葡萄型のカルマノイズは爆弾となる実を撒き散らした。
アイザック「爆弾は爆発させなければいいだけだ!オーロラボレアリス!!」
凍気で爆弾は凍り付き、あっけなく砕けた。そして、奏の攻撃に合わせてアイザックは小宇宙を高めて光速拳でゴールドカルマノイズに連打を加え、ダウンさせた。
アイザック「一気に畳みかける!オーロラエクスキューション!!」
オーロラエクスキューションとフリージングコフィンを同時に放ち、絶対零度の凍気で一気にゴールドカルマノイズを凍らせて動きを封じた。一方、王虎は聖衣を脱ぎ、全力でゴールドカルマノイズを圧倒していた。
王虎「まだ攻撃は終わっていないぜ!エクスカリバー!」
右手に宿る聖剣で王虎はゴールドカルマノイズを斬った。
奏「よし、次はそいつを葡萄の奴の傍へぶっ飛ばすぞ!」
王虎「ああ!老師直伝の奥義を受けてみるがいい、ゴールドカルマノイズよ!廬山昇龍覇!!」
王虎は廬山昇龍覇でゴールドカルマノイズを吹っ飛ばした。吹っ飛ばされたゴールドカルマノイズは空高く吹っ飛ばされ、氷漬けのもう一方のゴールドカルマノイズの近くに頭から激突した。
王虎「よーし、奏!お前が締めろ!」
アイザック「奏、一か所だけ攻撃を通す穴を作っている!そこに攻撃をぶち込んで2体とも倒せ!」
奏「ああ!あたしの全力を受けてみやがれ!!」
奏はULTIMATE∞COMETで突っ込み、バナナ型のゴールドカルマノイズを貫き、攻撃を通すための穴に攻撃して葡萄型のゴールドカルマノイズも一緒に貫いた。奏の全力の攻撃を受けたゴールドカルマノイズ2体は消滅したのであった。
翼「…最高の歌だったよ、奏…」
奏「ああ、ありがとう…。なあ、翼…。唄うって、こんなに楽しくて、気持ちのいい事だったんだな。今度こそ誓うよ。あたしはもう歌を絶やしたりなんてしない…。この声が枯れるまで、唄い続けるから」
翼「うん…うん!私は奏の歌が大好きだから…聴かせてほしい!」
奏「ああ、聴いてほしい。翼が好きだと言ったあたしの歌声で、この世界を一杯にしてみせるから…。例え世界が離れていても、あたしは翼の片翼だから…」
奏達の様子を王虎とアイザックは見ていた。
アイザック「これにて一件落着だな」
王虎「俺達の手伝いはこれで終わりかな?」
アイザック「いや、装者達は最後までこの事件に付き合ったんだ。これからノイズ退治もやらないといけなくなったからな」
王虎「紫龍達は大変な用でこの場を見れなかったのが残念だったな…」
アイザック「仕方がない。氷河達が来れなかったのは、よほどの事態だと割り切ろう」
装者達の勝利を見届け、先に帰還したのであった。
そして、戦いが終わってしばらくした後、奏の復帰ライブのリハーサルとなった。
星矢「へえー、みんなの力を受け取って奏がガングニールのエクスドライブを起動させたのか…!」
響「そして、アイザックさんと王虎さんと一緒にゴールドカルマノイズをやっつけちゃったんですよ!」
紫龍「俺達も見たかったな…」
王虎「途方もない事態だったから仕方ないさ。そこは割り切ろう」
氷河「奏の歌はどんなものだろうな…」
奏「つっても、今日はリハーサルなんだけどな」
響「いやいや、奏さんの歌を私達で独占できるんですよ!」
星矢「クリスももっと盛り上がろうぜ!」
クリス「い、いや、あたしはいいって!」
翼「くっ、どうしてなんだ!明日は奏の復帰ライブだというのに…、なぜ私達は今日、帰らなければいけないんだ!」
マリア「しょうがないじゃない。私達にも仕事があるんだから。向こうのファンをないがしろにはできないでしょう?」
翼「それはわかっている。わかっているが…」
奏「翼、あたしを心配してくれてありがとうな。でも、あたしはもう大丈夫だから」
アイザック「ノイズ退治に関しても、俺達がいる。だから、安心しろ」
翼「あの…、奏」
奏「ん?どうした?」
翼「やっぱり、私」
奏「翼、ちゃんと帰れよ?向こうで翼の歌を待っている人達が大勢いるんだろう?」
翼「奏は寂しくないの…?私は、奏がいないと…」
奏「おいおい、何泣きそうになってるんだよ」
翼「な、泣きそうになんてなってない!」
紫龍「そうは見えないけどな…」
泣きそうなのは星矢達から見てもバレバレであった。
奏「どうかな?翼は泣き虫だからなぁ~」
翼「奏は私に意地悪だ…」
2人のやりとりを一同は見ていた。
マリア「(何、この剣…可愛すぎ)」
響「うわぁ…すんこいレアな翼さんだ…」
切歌「見た事な表情してるデス…」
調「ちょっとびっくり…」
クリス「…なあ、あれ誰だよ?」
翼「お、お前達!人をジロジロと見るな!」
氷河「そう言われてもな…」
奏「ははっ!全く、翼はいい仲間を持ってるね」
翼「くっ!それはそうと…今日はリハーサルなんだよね?」
奏「ああ、そうだよ。当たり前じゃないか」
翼「それにしてはやけに人が多いような気が…」
響「当然じゃないですか!だって、今日はツヴァ」
切歌&調「あああああっ!」
翼「ん?」
調「みなさん、二課の職員だそうです。奏さんの歌を聴きたいって集まったみたいで」
クリス「仕事ほっぽり出してまで…大丈夫なのか?」
奏は沈黙していた。
紫龍「奏、何を緊張している?」
奏「ああ、大丈夫…つったけど、やっぱりブランクがあると緊張するな。本番も近いからか、リハーサルとはいえ、身体が震えていやがる。翼と一緒にデビューしたての頃を思い出すな」
翼「(…奏が困ってるのに、私は…何も力になれないの?)奏!」
奏「ん?どうした翼」
翼「私に何かできる事はない!?何でもいい、奏の役に立ちたい!」
奏「翼…。いや、ダメだ。これ以上翼に頼るなんて…」
翼「奏!」
奏「…本当にいいのか?お願いしても」
翼「うん!私にできる事ならなんでも言って」
奏「…はは。わかった。なあ、あれを持ってきてくれ!」
紫龍「準備は万全だ」
氷河「しわはないぞ」
紫龍と氷河が持ってきたのは、翼のステージ衣装だった。
翼「…これは?私のステージ衣装?」
奏「いや~、実は1人で唄うのがちょっとばかし不安だったんでよ。なんせ、リハとはいえ、久々だからさ。翼が一緒に唄ってくれるってんなら、これ以上、心強いものはないな」
翼「…え?」
響「ほらほら翼さん、着替えて着替えて!」
翼「えっ…?着替えてって…わ、私も唄うの!?私はこっちの世界の人間じゃ…」
星矢「別の本番じゃねえからいいだろ?」
奏「それに、さっき『何でもやる』って言ってたじゃないか」
翼「そうだけど…って、みんなは知ってたのか?」
クリス「まあ、そういうこったな」
マリア「ごめんなさい。翼の困る顔を見たいって、みんな聞かなくて」
切歌「マリアも見たいって言ってたじゃないデスか?」
調「うん、うん」
響「今日は一夜限りのツヴァイウイングライブです!あ~、未来も連れてきたかったな~!」
星矢「仕方ないだろ?未来は装者じゃねえんだから」
翼「くっ、お前達、私を嵌めたのか!?」
星矢「嵌めたも何も、俺達は一度ツヴァイウイングのライブを聴きたくてな」
奏「もしかして翼は、あたしと一緒に唄うのは嫌かい?」
翼「そ、そんなわけない!」
奏「なら何も問題ないじゃないか」
そして、ライブのリハーサルが始まった。
紫龍「いよいよツヴァイウイングのライブを聴く時が来たな…」
星矢「まさか、こんな形で聴けるなんて思わなかったぜ」
今にもライブが始まろうとしていた。
奏「あの日…翼があたしを助けてくれたあの日、あたしの時間は止まっちまった。だけど、翼ともう一度唄う事で動き出す気がする…。前へ進める気がするんだ!」
翼「奏…」
奏「なあ、翼…」
翼「なに、奏?」
奏「…あたしと翼。両翼揃ったツヴァイウイングは?」
翼「どこまでだって、飛んでいける!」
奏「いい返事だ!それじゃ、行くよ!」
翼「ま、待ってよ!奏!」
そしてライブが始まった。響達の熱気に星矢達は感心していた。
星矢「おお、これがツヴァイウイングのライブか!」
王虎「俺達の世界でも紫龍達の世界でもその人気ぶりがうかがえるな」
アイザック「こうやって聴けるのはまさに奇跡と呼ぶべきか?」
氷河「ああ、並行世界の兄弟弟子同士の出会いも奇跡としか言いようがない」
紫龍「さらに別の並行世界とつながれば、このような奇跡の再会が起こるんじゃないか?」
星矢「奇跡の再会か…」
並行世界、それは無限の可能性を秘めていた。ギャラルホルンによってつながった事で、ツヴァイウイングの両翼が再び巡り会う事となった。だが、これはまだ始まりに過ぎなかったのであった。
これで今回の話は終わりです。
今回は世界蛇と星矢達の戦い、そして奏達とカルマノイズの決着を描きました。
ギャラルホルン編1章で世界蛇に関してある程度わかり、本体の力も一部判明したために本来の時系列よりも早く世界蛇の本体を出しました。今小説の世界蛇本体の攻撃による被害は本体から生み出された影で都市一帯を焦土にできるなら、本体は日本全土や朝鮮半島を始めとする周辺地域も焦土にできなければダメだろうと判断したためです。そして、星矢達に致命傷寸前の傷を負わされて逃げるという流れにしました。ちなみに、カルマノイズを生み出す力を披露していないのは響達と戦うまでのネタバレ防止という事にしておいてください。
今回の話で片翼の奏者編は終わりで、次はヴァルキリーズ・サマー編になります。ヴァルキリーズ・サマー編は片翼の奏者編より短めにするで、聖闘士星矢本編では海将軍だったある男が協力者になります。また、ある神ももしかすると出てくるかも知れません。