セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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83話 アリシアの非道

S.O.N.G潜水艦

 

 そして、装者や聖闘士達が集まったのであった。

 

弦十郎「みんな、十分に英気を養えたか?」

 

切歌「バッチリデス!」

 

氷河「聖衣もムウにきちんと万全にしてもらったし、俺達のコンディションも万全だ!」

 

未来「アリシアの本拠地がどこにあるのかわかったのですか?」

 

慎次「はい。向こうの世界のアリシアと同じように、ロイバルト北極基地を拠点にしているようです」

 

奏「あたしの世界の時と同じじゃねえか。あの時、ああいわなくても」

 

弦十郎「万一、違うケースも想定していたからな。だが、ロイバルト北極基地を拠点としているなら、既に行った事のある奏や翼達が道案内できる」

 

翼「道案内は私に任せてほしい」

 

紫龍「だが、あの時と違ってアリシアは冥闘士である上、他の冥闘士もいる。はっきり言って、奏の世界の時よりも厳しく、過酷な戦いになる」

 

調「過酷な戦い…」

 

マリア「アリシアのような敵が他にも3人…」

 

切歌「冥闘士が相手だと、命がいくつあっても足りないのデス……」

 

沙織「私としても今回の戦いは装者の皆さんにとっても非常に過酷な戦いになると思っています。出撃は強制しません」

 

セレナ「暁さん、出撃は強制しないと言ってますけど…」

 

切歌「も、勿論行くデス!クリス先輩を攫ったアリシアは許せないのデス!」

 

調「やられっぱなしは性に合わない…!」

 

マリア「そうね。ドクターすら裏で操っていた真の黒幕、許してはおけないわ!」

 

 アリシアがフロンティア事変の真の黒幕という事もあり、マリア達は闘志を燃やしていた。一方、未来は不安そうにしていたが響が手を握ってくれた。

 

響「もしかして未来、これからの戦いが怖いの?」

 

未来「うん。アリシアはこれまでの敵と違って強いだけじゃなくて、言葉に表せない恐ろしさがあるから…」

 

 不安そうな未来の手を沙織が置いてくれた。

 

沙織「未来さん、あなただけでクリスさんを助けに行くのではありませんよ?」

 

未来「沙織さん…」

 

星矢「俺達やムウにアルデバランもいるんだ。もっと前向きに行こうぜ」

 

ムウ「星矢の言う通りです。気持ちで負けていたら、戦う前から負けを認めたも同然ですよ」

 

未来「星矢さんにムウさん…、みんな……」

 

弦十郎「さて、これから行くロイバルト北極基地にはアルカノイズはもちろん、アイスネフィリムや冥闘士が待っている上、中枢を直接狙ってくるアリシアもいる。全員で向かうのは危険だ」

 

ムウ「なので、本部の防衛は前回のアリシア襲撃時と同様、アルデバランと私が行います」

 

アルデバラン「本部は俺達が何が何でも防衛する。だから、星矢達は敵を倒すのとクリス救出に専念してくれ」

 

星矢「ああ!」

 

瞬「頼んだよ!」

 

沙織「それでは司令」

 

弦十郎「ああ。これより、ロイバルト北極基地に突入し、アルモニカを破壊してクリス君救出を行う!出撃!」

 

 星矢達は出撃したのであった。

 

 

 

ロイバルト北極基地

 

 アリシアの不調の原因を知ったクリスはアリシアのところに来た。ちょうどその時、アリシアは発作に襲われていた。

 

アリシア「うっ、あああああっ!!」

 

クリス「アリシア!」

 

 クリスがアリシアの手を握ったものの、とても人の体温とは思えないほど冷たかった。

 

クリス「冷たっ!(なんて冷たさなんだよ…。あのバカとは逆で氷みたいに冷たいぞ…!)」

 

アリシア「(発作が治まったみたいね…)何の用?クリス」

 

クリス「アリシア!お前…、自分から融合症例になるなんてどういう神経してるんだよ!?」

 

アリシア「……とうとう私の秘密を知ってしまったのね…」

 

クリス「お前がやった事は、自分で命を縮めたのも同然なんだぞ!どうしてなんだよ!?」

 

アリシア「決まってるじゃない、夢も希望も失った私の命なんて非常に安いものよ。ベルゲルミルとの融合症例になって命が縮むのなんか、さらなる力を得る代償としては大したものじゃないわ。すべては、クリスのためなのよ」

 

クリス「命を安いとか、軽く考えるんじゃねえよ!あのバカより途方もねえバカじゃねえか!自分の命を軽く考えてるから、お前は平気で他人の命を奪えるんだよ!自分の命を安いとか考えるんじゃねえ!」

 

 そんな折、配下が来た。

 

配下「アリシア様、S.O.N.Gがここに近づきつつあります!」

 

アリシア「ここを突き止めたようね。だったら、連中を皆殺しにして神獣鏡を奪い、アルモニカプランを実行に移すチャンスよ!」

 

クリス「アリシア……」

 

アリシア「クリスは下がってなさい。そろそろ、奴等が来るから」

 

 苦楽を共にした仲間達と憎しみで暴走している家族の狭間でクリスは身を引き裂かれるように苦悩していたのであった。

 

 

 

北極

 

 途中まではムウのテレポートで送迎してもらった。

 

調「ここが北極…」

 

切歌「とっても寒いデス…!クリスマスの時期だったら、楽にいけたのにデス…」

 

セレナ「星矢さん達は薄着で寒くないんですか?」

 

星矢「ああ。氷河の故郷や修行地はシベリアだし、俺達もここと同じぐらい寒いアスガルドで戦った事があるからな」

 

紫龍「だからこそ、薄着で大丈夫だ」

 

翼「今は無駄話をしている暇はない」

 

響「急いでアルモニカを壊して、クリスちゃんを助けないとね!」

 

未来「(待ってて、クリス…)」

 

 先を進む一同を阻むように、大量のアルカノイズと冥闘士が現れた。

 

冥闘士A「うへへへっ、飛んで火にいる夏の虫とは、お前らの事だな!」

 

氷河「早速、お邪魔虫のお出ましか!」

 

紫龍「全員で冥闘士や大量のアルカノイズを相手にするわけにもいかない。この場は俺と氷河と星矢が残る。瞬は響達と共に行け!」

 

瞬「うん!」

 

奏「あたしと翼も残る。何しろ、星矢達を冥闘士との戦いに専念させるためにな!」

 

翼「うん。この場は私達に任せて、立花達は先へ行くんだ!」

 

響「はい!」

 

未来「2人とも、気を付けてください!」

 

 この場を星矢と紫龍と氷河、翼と奏に任せ、一同は先を急いだ。

 

冥闘士B「我々が何も罠を仕掛けてないとでも思ったのか?」

 

星矢「何だと!?」

 

冥闘士C「今頃、S.O.N.Gの本部はアイスネフィリムに襲われている。ネフィリムを細胞の段階から多数培養して生み出し、そして氷の世界で自然に成長するベルゲルミルの特徴も加わったアイスネフィリムを生み出したり、ネフィリム同士を共食いさせたりして更に成長させるなりし、戦力を増やしたのだ!」

 

氷河「ネフィリム同士で共食いさせるとは…」

 

紫龍「ネフィリムは共食いの巨人と呼ばれているが、まさかネフィリムを多数培養し、ネフィリム同士で共食いさせるとは…!」

 

 冥闘士が言った通り、本部にアイスネフィリムの完全体が複数現れたのであった。

 

アルデバラン「あの怪物がネフィリムか…」

 

ムウ「しかも、完全体が複数ですか…」

 

アルデバラン「だが、本部は俺達が防衛する!」

 

ムウ「行きますよ、アルデバラン!」

 

 2人は完全体のアイスネフィリムに向かっていった。

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 アイスネフィリムの完全体が複数出た事に発令所でも衝撃を受けていた。

 

弦十郎「アイスネフィリムの完全体が複数だと!?」

 

朔也「で、ですがこれ程の数のネフィリムを完全体にするには…」

 

エルフナイン「理論上では、ネフィリムを多数培養して生み出し、ネフィリム同士で共食いさせれば聖遺物集めをしなくてもこれ程の数のネフィリムを完全体に成長させる事は可能かも知れません」

 

あおい「それだと、アリシア一味は…」

 

沙織「確実にネフィリムの培養技術を持っているのでしょう」

 

弦十郎「なんて連中だ!」

 

慎次「ネフィリムが大量発生したら大変な事態になります!」

 

弦十郎「下手をしたら、アリシア一味の単純な戦力はパヴァリア光明結社を凌駕しているのかも知れないな…」

 

 

 

ロイバルト北極基地

 

 冥闘士と大量のアルカノイズは星矢達が引き受け、響達は基地へ入り込む事に成功した。

 

未来「響、先はわかるの?」

 

響「わかるよ!だって、この基地は奏さんの世界で来た事があるから!」

 

マリア「幸い、構造自体は向こうの世界と同じようね。これなら、迷わずに行けるわ!」

 

瞬「だけど、不気味なぐらい敵がいないよ」

 

切歌「きっと、アリシア以外はあたし達に恐れをなして逃げたのデス!」

 

瞬「本当にそうなのかなぁ…?」

 

 響とマリアが先頭になって基地の内部を進んでいると、奏の世界と同じホールみたいな部屋にアルモニカがあった。

 

響「やっぱり、同じ場所にアルモニカが!」

 

???「来たようね、害虫共」

 

 アルモニカの近くにクリスとアリシアがいた。

 

クリス「来てくれたのか…」

 

マリア「アリシア・バーンスタイン…!」

 

アリシア「よくかいくぐってここまで来る事ができたわね」

 

マリア「アリシア、あなたはアイスネフィリムを生み出すのに使ったネフィリムの細胞はどうやって手に入れたの!?」

 

アリシア「至って簡単よ。F.I.Sの研究所へ入り込み、細胞を採取したの。そして、培養して多数のネフィリムを生み出し、そして共食いさせて成長させ、投入したの」

 

切歌「ええっ!?ネフィリム同士を共食いさせて成長させるデスか!?」

 

調「他の聖遺物を餌にせず、ネフィリム同士を共食いさせるなんて…。その方法、ドクターじゃ絶対に思いつかない…」

 

セレナ「マリア姉さんの世界でもネフィリムの細胞が培養されて悪用されてたなんて…」

 

アリシア「でも、所詮は私の駒の一つでしかない。私はゴキブリと違って私自身の戦闘力がネフィリムよりも圧倒的に高いのだからね。聖遺物頼りの癖に威張っていた非力なゴキブリとは違うのよ」

 

未来「アリシア、クリスを返して!」

 

響「クリスちゃんは私達の大切な友達なの!」

 

アリシア「黙れ、泥棒猫!クリスは私の大切な家族!貴様らに渡してなるものか!ましてや、私からクリスだけでなく、神獣鏡までも奪っていった貴様は入念に嬲り殺しにしてくれるっ!」

 

 アリシアの指先から閃光が放たれ、それは響の頭をに命中した。

 

未来「響!?」

 

 突然の出来事に一同が戸惑っていると、突如として響は拳を握りしめ、未来に殴りかかってきた。

 

未来「きゃあああっ!!」

 

 いきなり響が殴りかかってきたために未来はかわせず、殴り飛ばされた。

 

調「響さんが未来さんを攻撃した?」

 

クリス「まさか…!お前、あのバカを洗脳したのか!?」

 

アリシア「ええ、そうよ」

 

 アリシアが肯定した通り、響は洗脳された時の未来と同じ虚ろな目をしていた。

 

瞬「まさかアリシア、基地を進むのを邪魔しなかったのも…」

 

アリシア「そう、害虫同士で殺し合わせるためにわざと邪魔しなかったのよ!アンドロメダ、貴様は私が葬ってやろう!」

 

瞬「そうはいかない!ネビュラチェーン!」

 

 アリシアのスピードが速すぎて瞬の攻撃は当たらなかった。

 

瞬「速すぎて」

 

アリシア「遅い!」

 

 あっという間に距離を詰められ、瞬は何発も殴られて吹っ飛ばされ、壁に激突した。

 

クリス「瞬!」

 

 一方、操られている響に対し、未来はまともに攻撃できなかった。

 

未来「(響は暴走しているんじゃなくて、操られている。どうすれば…?いや、迷っている場合じゃない!)響、正気に戻って!」

 

アリシア「ムダよ。フロンティア事変の時はややマインドクラッシャーの洗脳が弱かったから、お前は正気に戻れただけ。今回はお前を殺すまで攻撃をやめない上、お前の声が届かないように洗脳も強化しているの。だから、お前が自ら犠牲になって死ぬか、そいつを殺すか、選択肢は二つだけだ!」

 

未来「そんな…!」

 

アリシア「それに…お前はあのゴキブリに騙されて友達を傷つけたのよ。今度はその友達に殴られていい気味だわ!自分がしてきた事を返された気分はどうかしら?」

 

 洗脳された響は殺意全開で未来に襲い掛かってきた。その容赦のない拳は未来に向けられ、未来は殴られ続けた。

 

響「うおおおおっ!!」

 

未来「うっ!(私、フロンティア事変の時は響にこんなひどい事をしていたの…?アリシアの言った通り、こんな形で自分がした事を思い出さされるなんて…!)」

 

調「私達が急いで響さんを止めないと!」

 

切歌「ガッテン承知デス!」

 

アリシア「私がそれを許すとでも思ってるの?」

 

 圧倒的な力の差でアリシアはマリア達を殴り飛ばし、マリアの頭を踏みつけたのであった。

 

アリシア「ほんとお前は弱いわね、マリア。冷酷非情になれないから米国の連中に舐められ、ゴキブリの暴走を許し、育ての親を死なせた!だから、お前は弱いの。だけど、私は完全に冷酷非情になれるからこそ、一切裏切者を出さなかった上、どの国からも恐れられていて、圧倒的に強いのよ」

 

マリア「……その逆よ。弱いのはアリシア、あなたの方よ!」

 

アリシア「何…?」

 

マリア「あなたは自分の弱さを認めようとしなかった、昔の私と同じよ!弱い自分を受け入れて、人は強くなれるの!だけど、あなたは弱い自分を完全に捨てて、否定するために強大な力で誤魔化しているだけ!それは本当の強さじゃない!そして、自分への愛が全くない人間が他人を愛する事なんてできやしない!」

 

 マリアの言葉が図星だったのか、アリシアは衝撃を受けていた。そして、ナスターシャに正体を見破られた事を思い出していた。

 

 

 

回想

 

 それは、フロンティア事変当時の事であった。

 

ナスターシャ「アシリア、あなたはなぜ、マリアに見下したような事を言う時は妬んでいるような目をして言っていたのですか?」

 

アシリア「妬んでいる目?どういう事なのですかぁ~?」 

 

ナスターシャ「普通、見下す際の目は上から下を見るような目ですよ。なのに、あなたは口では見下したような事を言ってても、目は見下す目とは反対の見上げる目。あなたはマリアが情けないから見下しているのではなく、あなた自身が持っていないものをたくさん持っているのに嫉妬しているからこそ、その裏返しで口では見下した事を言っているのではないのですか?アシリア。いえ、アリシア・バーンスタイン」

 

 ナスターシャに正体を見抜かれた事にアシリアは驚き、思わず元の人格に戻ってしまった。

 

アリシア「何だと!?」

 

ナスターシャ「それに、あなたは表向きの性格は冷酷非道でマリアとは正反対と思われがちですが、本質は同じ。その邪悪な顔も、弱い自分を隠すためのものではないのですか?」

 

 

 

マリア「それに、あなたは私をやたらと見下していたけど、それは私があなたにはないものをたくさん持っているのが気に食わなかったからでしょ!?」

 

アリシア「私が弱いだと…?ふざけるな!!」

 

 激怒したアリシアはマリアの頭を掴み、壁にぶつけた。

 

マリア「うっ…!」

 

アリシア「私は力を得るために弱い自分を完全に捨てた!弱い自分を受け入れても力を得て強くはなれん!貴様も洗脳してやる、今度は自分の手で妹を失う悲しみを味わえ!」

 

 アリシアはマインドクラッシャーでマリアを洗脳した。

 

調「マリア!」

 

セレナ「マリア姉さん!」

 

 洗脳されたマリアも虚ろな目になり、セレナに襲い掛かってきた。

 

マリア「やあああああっ!!」

 

セレナ「姉さん、元に戻って!」

 

 セレナの声も届かず、マリアは容赦なく襲い掛かってきた。大好きな姉が洗脳されて本気で殺しにかかってきているため、セレナはまともに戦えなかった。

 

セレナ「(ダメ!訓練の時はともかく、操られたマリア姉さんとは戦えない…)」

 

 洗脳されたマリアと戦えないセレナはあっという間にマリアに押されてピンチになった。しかし、そこへ切歌と調が加勢してセレナを助けてくれた。

 

調「どうしたのよ、マリア!」

 

切歌「マリアが殺そうとしているのはセレナデス!セレナやあたし達がわからないのデスか!?」

 

 切歌と調の声も洗脳されたマリアには届かない上、マリアと戦う事への躊躇いもあったためにその隙をマリアに突かれ、吹っ飛ばされたのであった。

 

調「ううっ!」

 

切歌「ああっ!」

 

セレナ「月読さん、暁さん!」

 

アリシア「あははははははっ!親友同士や姉妹同士で殺し合う様はいつ見てもいいわね!」

 

 そんな中、突如としてネビュラチェーンがアリシアを締め付けた。

 

アリシア「くたばり損ないが!」

 

瞬「アリシア、あなたは家族を失う悲しみを知っているはず!それなのに、どうして洗脳を施して親友同士や姉妹同士を平気で戦わせる事ができるんだ!?」

 

アリシア「簡単よ、私はクリス以外の人間が全て憎いのよ!私からクリスと神獣鏡を奪っていった小日向未来はもちろん、その親友の立花響も、マリアも、その仲間達も、全て憎い!!」

 

瞬「(なんて憎しみなんだ!?憎しみに染まっていた時に兄さんとは比べ物にならない…!)」

 

アリシア「それに、こんな鎖で私を縛れると思ったら大間違いだ!」

 

 アリシアは力任せにチェーンを引きちぎった。

 

瞬「力任せにネビュラチェーンを引きちぎった!?」

 

アリシア「今度はこっちから行くぞ!」

 

 今度は光速拳を放って瞬を吹っ飛ばした。

 

瞬「うわああああっ!!」

 

アリシア「ふふふ、今度は」

 

 しかし、アリシアはある違和感に気付いた。

 

アリシア「空気が渦を…?」

 

瞬「受けよ、アリシア!ネビュラストリーム!」

 

アリシア「うわあああっ!」

 

 ネビュラストリームでアリシアは吹っ飛ばされたが、すぐに着地した。しかし、気流の渦がアリシアの動きを封じていた。

 

アリシア「気流の激しさが増しているだと?」

 

瞬「アリシア、今すぐ響とマリアさんの洗脳を解いて、自分の犯した罪を償ってほしい。今なら、まだ間に合う!」

 

アリシア「舐めるな!こんな気流如きで私の動きを封じたと思ったら大間違いだ!」

 

瞬「やむを得ないか…。ネビュラストーム!」

 

 やむなく、瞬はネビュラストームを発動させた。

 

アリシア「うわああああっ!!」

 

 アリシアはネビュラストームで吹っ飛ばされ、地面に激突した。

 

瞬「やったか…?」

 

 しかし、すぐにアリシアは立ち上がった。

 

瞬「そんな…!ネビュラストームをまともに受けたのに、すぐに立ち上がる人間がいるなんて…」

 

アリシア「さっきのは割と効いたわ。でも、私は全ての人間を皆殺しにするまではどうしても死ねないのよ。喰らえ、コロナブラスト!」

 

 アリシアの反撃の青い炎を瞬はまともに受けてしまった。

 

瞬「うわあああっ!」

 

クリス「瞬!」

 

アリシア「後は、害虫共が殺し合う様を最後まで拝ませてもらうわよ」

 

 装者達の方は、未来は響に殴られ続けていた。

 

未来「ううっ!」

 

アリシア「あはははっ!小日向未来、私からクリスを、神獣鏡を奪っていったお前は親友に殺されるのが最もふさわしい死に方よ。お前だけは念入りに心も身体もボロボロにして殺してやる!」

 

クリス「アリシア…、もうやめろ、やめてくれ!」

 

 洗脳された響によって未来が、洗脳されたマリアによってセレナ達が傷つけられていく光景にクリスは耐えられず、アリシアにやめさせるように頼んだ。

 

アリシア「何を言っているのよ?私は害虫を駆除しているところなのよ」

 

クリス「あいつらは害虫じゃねえ!あいつらは…あたしの大切な人達なんだよ…」

 

アリシア「大切な人達って…やっぱり、奴等はクリスをたぶらかしている!」

 

 セレナは洗脳されたマリアと戦えず、今にもマリアに止めを刺されそうになっていた。

 

マリア「やああああっ!」

 

 止めを刺されそうになり、思わず目を閉じたセレナだったが、攻撃が外れたのであった。

 

セレナ「姉さん…?」

 

マリア「セレナ…、私を…殺して…。もう…セレナを失うのは嫌なの…。だから…私の意識があるうちに…殺して…」

 

セレナ「嫌!マリア姉さんを殺す事なんてできない!マリア姉さんが死んだら、私は1人になっちゃう…。だから、姉さんを殺す事なんてできない!」

 

 セレナを自分の手で殺してしまうのが嫌なマリアは涙を流して何とか洗脳に抗い、セレナに自分を殺してもらうように頼んだが、セレナは泣きながらそれを拒んだのであった。未来の方は絶体絶命のピンチになっていた。

 

未来「響…、正気に……戻って……!操られて私を傷つけさせられているのって…辛いよね…!?」

 

 響は未来に止めを刺そうとしていたが…。

 

クリス「やめろ、やめてくれ!!」

 

 咄嗟にクリスはギアを纏い、響の攻撃から未来を庇ったのであった。

 

クリス「ぐあっ!」

 

未来「クリス!」

 

アリシア「どうしたのよ、クリス!なんで害虫を庇うのよ!」

 

クリス「やめてくれよ、アリシア…。あいつらは…、響は…未来は…後輩達は…あたしのかけがえのない人達なんだよ…」

 

アリシア「害虫が…かけがえのない人達…?」

 

クリス「フィーネに捨てられたあたしを救ってくれたのは…、響と未来なんだよ…。あの2人があたしの友達になってくれたから…、あたしは救われたんだ…。だからアリシア、あいつらを殺さないでくれ…」

 

 姉のアリシアがかけがえのない人達を傷つけている姿にクリスは涙を流してアリシアにやめるように頼んだが…

 

アリシア「何を言っているのよ、クリス!あなたは家族の私と一緒にいるのが一番幸せなのよ!私はただ、害虫を駆除しようとしているだけよ」

 

未来「アリシア、あなたはクリスがどうして泣いているのかがわかっていない!クリスは大好きなあなたが大切な人を傷つけているのが耐えられないから、泣いているのよ!あなたは自分の間違いを受け止められないの!?」

 

アリシア「何だとぉ!?クリスがあんな事をいう原因を作ったのは貴様らのせいだ!徹底的に殺し合わせてやる!!」

 

 クリスが泣いている原因がアリシアにある事を未来に指摘され、マリアが洗脳に抗い、セレナに殺してもらおうとしている姿に業を煮やしたアリシアは未来とセレナにもマインドクラッシャーを打ち込んだ。

 

セレナ「嫌、マリア姉さんを」

 

未来「響…!」

 

 マインドクラッシャーを打ち込まれ、洗脳された2人は目が虚ろになり、自分の意思とは関係なしにそれぞれ大切な人と殺し合わされてしまう事となった。

 

アリシア「あはははっ!害虫同士で殺し合え!私はアンドロメダに止めを刺すとしよう」

 

セレナ「やあああああっ!」

 

マリア「はああああああっ!」

 

 洗脳されて殺し合わされるマリアとセレナは互いに涙を流していた。そして、親友同士で殺し合わされる響と未来もまた、涙を流していた。

 

クリス「やめろぉ~~~っ!!」

 

 涙ながらにクリスは響達を殺し合わせ、瞬に止めを刺そうとしているアリシアの非道な行いをやめさせようとした。そんな中、クリスの悲痛な叫びに応えるかのように洗脳された4人に閃光が当たり、マインドクラッシャーが解除されて正気に戻ったのであった。

 

セレナ「えっ…?」

 

アリシア「マインドクラッシャーが解除されただと!?」

 

???「4人の洗脳は解除した。人の心を操り、親友同士や姉妹同士を殺し合わせるとは、笑止千万!」

 

アリシア「この攻撃的な小宇宙は…?何者だ、貴様!?」

 

 気が付いた瞬はそのマインドクラッシャーを解除した存在に気付き、喜んだのであった。

 

瞬「兄さん!」

 

 その存在こそ、一輝であった。




これで今回の話は終わりです。
今回はアリシア一味の本拠地への突入とアリシアによって響とマリアが洗脳され、親友同士と姉妹同士で殺し合わされるのを描きました。
アリシアの回想でナスターシャに見下す目の事を言われるくだりは、うしおととらの白面の見上げた目のくだりを参考にしています。
今小説の本編世界のアリシアは『もしもクリスが響達と出会えず、優しさすらない完全な悪人だったら』というコンセプトで人助けを一切せず、平気で人を殺す冷酷非道な悪人として描いており、他にも自分を偽っているという点でマリアの要素、自分を全く愛しておらず、融合症例である点は響の要素が入っています。
次の話では今回の話の最後で瞬のピンチに駆け付けてくれた一輝がアリシアと戦う事になります。
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