セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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ヴァルキリーズ・エンドレス・サマー編
87話 南国の島、再び


病院

 

 アリシアとの戦いの際、星矢達は響達の世界を救うライブを成功させるための時間稼ぎの際にかなり負傷したため、グラード財団の医療機関で治療を受けていた。

 

星矢「いててててっ!!」

 

パルティータ「星矢、痛みを我慢しないとダメよ」

 

星矢「いや、いくら母さんにそんな事言われても…」

 

氷河「それにしても驚いたな…」

 

紫龍「まさか、パルティータが医師免許を持っていたとは」

 

パルティータ「昔からずっと任務の傍ら、錬金術で病人や怪我人を治す流浪の医者としての活動もしてたけど、時代の移り変わりで錬金術も見せられなくなったし、明治辺りになってからは表向きの身分も必要になってね、それでオペの技術を身に付けて医師免許をとってたの。グラード財団の医療機関に所属したのはごく最近だけどね」

 

星矢「そういや、キャロルの親父は異端審問とかいう連中に殺されたそうだな」

 

瞬「パルティータさんも中世ぐらいの頃に異端審問にかけられた事はありましたか?」

 

パルティータ「私の場合は聖闘士でもあるから、周囲は黙認していたけど、勝手に疑いをかけた異端審問の連中は葬ったわ。というより、異端審問の連中であろうと、貴族や国王、皇帝といった権力者だろうと悪ならば殴るなりの制裁を加え、これまでの悪事を悔い改めなければ葬るのが私のスタンスよ」

 

紫龍「(パルティータは星矢と違って落ち着いてて温厚ではあるが、星矢の母親とだけあって、星矢と根っこは似てるな…)」

 

星矢「あと、母さんが白衣を着たら、まさに天使そのものだな」

 

瞬「僕もあなたの医者としての姿は似合ってると思いますよ」

 

パルティータ「ありがとう。実際に私はホワイト・クイーンという、名医としての異名さえあるのよ。あなた達は傷が癒えるまではきちんとベッドの上で大人しくしないとダメよ」

 

紫龍「それもそうだな」

 

瞬「兄さん、いつもの事だけどまた行っちゃったね」

 

氷河「あの状態の一輝が行きそうな場所といったら、カノン島だろうな。きっと傷を癒しているのだろう」

 

星矢「響達はどうしてるんだろうな…」

 

 

 

 

 その頃、響達は以前も行った事のある並行世界の南国の島に来ていた。

 

響「うーみーーっ!」

 

切歌「海デース!」

 

調「はしゃぎすぎると転んじゃうよ、切ちゃん」

 

未来「響ももう少し落ち着こう」

 

響「だって、本当に待ち遠しかったんだよ。未来と一緒に海なんて!」

 

未来「それは…私も楽しみだったけど」

 

 はしゃぐ響達だが、クリスはまだアリシアが死んだショックが抜け切れてないのか、元気なく海を眺めていた。そんなクリスへ、切歌と調が背後から不意打ち同然にクリスの胸を揉んだ。

 

クリス「ひゃっ!」

 

切歌「クリス先輩、隙ありデス!」

 

調「ボリュームは凄いし、柔らかい…!」

 

クリス「お前ら、人の胸を触んじゃ」

 

 今度は響と未来までもクリスの胸を揉んだ。

 

クリス「うわっ!てめえらまで!!」

 

未来「少しはショックが抜けた?クリス」

 

クリス「ショック…?」

 

切歌「クリス先輩、アリシアが死んでから元気がなかったデス…」

 

調「だから、少しでも元気を出してもらおうとこういったイタズラを思いついたの」

 

切歌「家族を失ったのが悲しいのはわかるのデスけど、前を向かないとダメなのデス」

 

クリス「だからって、人様の胸を触るんじゃねえ!!」

 

響「あわわわわわっ、クリスちゃんが怒った!!」

 

クリス「勝手に人の胸を触って怒らねえ奴がどこにいる!?待ちやがれ、てめえら!!」

 

 胸を勝手に揉まれて激怒したクリスは全員に制裁を加え、いつもの調子に戻ったのであった。

 

響「すっごく綺麗だねー(以前にも来た事のある、並行世界。その時にクリスちゃん達が発現させた水着型ギア、その水着型ギアを私達も発現させる。その訓練のために来たんだけど……)」

 

未来「どうかした?じっと私の顔を見て…」

 

響「な、何でもないよ!」

 

未来「もう、おかしな響」

 

響「(この前、未来は一緒に来れなかったけど、今度は一緒に来れた。ううー、やっぱり未来が一緒だと、違うよね!)」

 

未来「私も正式な装者になったから、本格的に訓練や任務にも参加するよ」

 

クリス「今度予定している海外任務については、オッサンたちから聞いたんだろう?」

 

未来「うん、それは前から聞いているよ。今回はそのための訓練なんでしょう?確か、任務の場所が海辺中心だから、念のため、装者は全員水着型ギアを発現させるようにって。星矢さん達はまだ療養中だから来れないと聞いてるよ」

 

クリス「海外任務の日程って、夏休みの初めの頃だよな。あたしら学生組にしてみたら、序盤とはいえ夏休みが減っちゃうだろ?だから、オッサンたちが変な気を利かせてくれたんだよ」

 

未来「え?」

 

クリス「訓練は訓練で時間をとるけど、それ以外は自由にしていいってよ。まあ、今回は半分休暇みたいなもんだな」

 

未来「言われてみれば、そうみたいね」

 

クリス「そんじゃお前ら、そろそろ訓練始めるぞ!」

 

切歌「クリス先輩、いつもの調子に戻ってやる気満々デース!」

 

調「今回は、私達の先生だからね」

 

響「早く遊びたいけどしょうがない、やりますか!」

 

 早速、一同は水着に着替え、クリス以外はギアを纏い、クリスは水着型ギアを纏った。

 

クリス「水着型ギア…やっぱり海辺だと違うな」

 

切歌「クリス先輩だけずるいデス!」

 

クリス「そう思うなら、とっとと水着型ギアを発現させろ。それに、早く終わればその分遊べるんだし、気合い入れていけよ」

 

切歌「当然デス!いつでもどこでも、気合はマックスデース!」

 

調「そうだね、頑張ろう」

 

未来「私も頑張るね」

 

響「うん、でも無茶はしないようにね」

 

未来「無茶をするのは響でしょ?」

 

響「ええー、私はへいき、へっちゃらだよ」

 

クリス「いいか、ここでの訓練は3日間だ。あたしがみっちりと訓練してやるからな。よーく見て、早くイメージを掴みとれよ」

 

切歌「了解デース!じっくりたっぷり見続けるデス!」

 

調「じー…」

 

響「私もクリスちゃんの事、ずっと見てるからね!」

 

 一同はクリスをじっと見つめた。

 

クリス「……そ、そんなにじっくりあたしを見つめるな!」

 

響「ええー?見てって言ったのはクリスちゃんじゃない?」

 

クリス「そういう事じゃねー!」

 

 しばらくしたものの、ギアの変化は起きなかった。

 

切歌「全然ギアが変化しないデス…。一体、何が悪いんデスかね…」

 

調「疲れた…」

 

響「未来、大丈夫?」

 

未来「…うん、何とか大丈夫だよ」

 

クリス「まあ、さすがにそう簡単にできるわけないよな……」

 

 クリス達はギアの装着を解除した。

 

クリス「……。よし。今日は初日だし、訓練はこれくらいにするか」

 

響「やったー!未来、向こうへ行ってみようよ!」

 

未来「もう、そんなに手を引っ張ったら転んじゃうよ。ちゃんとついていくから、落ち着いて?」

 

響「ごめんごめん。それじゃ行こう!」

 

 響と未来はどこかへ行った。

 

調「切ちゃん、荷物を漁ってどうしたの?」

 

切歌「ふっふっふ……じゃーん!ビーチボールを持ってきたデス!」

 

クリス「お前、遊ぶ事に対してはいつも本気だな……」

 

切歌「という事で膨らませてほしいデース!」

 

クリス「はあ?あたしが!?ったく、仕方ねーな……」

 

切歌「それにしてもマリア達、今頃何してるんデスかねー」

 

調「きっと、頑張って任務をこなしてると思う」

 

切歌「そうデスか?案外マリアとか、今頃、遊びたーい!とか言ってるかも知れないデスよ」

 

調「マリアに限って、それはないと思う」

 

クリス「はぁ、はぁ…。お前ら、先輩に空気入れやらせて、何雑談してんだ!?」

 

 

 

リゾートビーチ

 

 切歌と調の言ってた事は的中していた。

 

マリア「私も遊びたーい!!」

 

翼「ど、どうしたマリア!?大丈夫か?」

 

マリア「何で!?どうして!?せっかくの夏なのに、任務任務任務って!まさか、私の夏はこれでおしまい…?」

 

翼「落ち着け、マリア。今はそんな事言ってる場合じゃないだろう?」

 

マリア「だって見なさい、翼!真夏の太陽!青い海!白い砂浜!」

 

翼「……うむ」

 

マリア「夏のバカンス三種の神器が揃ってるのに!」

 

翼「……揃ってるならいいじゃないか。私は十分に夏を感じているぞ」

 

マリア「あれを見てもそう言えるの!?」

 

 視線の先にはアルカノイズがいた。

 

翼「私達がここにいるのは、出現したアルカノイズを倒すためだろう?決して夏を満喫するためではない。ましてや、星矢達は療養中だ。我々が星矢達の分まで戦わねばならない」

 

マリア「知ってるわよ!だけど……。くっ!私があの子達の指導員を引き受けるべきだったわ」

 

翼「マリア、いい加減冷静になれ!私達の任務を忘れたのか!このビーチで夏を満喫しようとしていた大勢の人のために、早くあのアルカノイズを撃退するぞ!」

 

マリア「!?ごめんなさい、翼。ちょっとだけ、取り乱したわ。そうよね。このビーチで夏を満喫しようとしていた人達のために!」

 

翼「ああ!」

 

マリア「アルカノイズを召喚した奴を見つけてぶっ飛ばす!」

 

 

 

 

 その頃、響は未来と共にある場所へ向かっていた。

 

未来「ねえ響、どこまで行くの?」

 

響「もうちょっと奥まで行ってみようよ」

 

未来「響は行き当たりばったりすぎるよ。もう少し考えて行動するように」

 

響「でもーっ!せっかく来たんだし、もう少し進んでみようよ!」

 

未来「もう、響ったら…」

 

響「こんなに気持ちいいと、2人でうんと遠くまで行っちゃいたくなるよね!」

 

未来「はいはい」

 

 しばらく進んでいると…

 

響「……太陽と透き通るような青空。夏って感じだよね……。よーし、せっかくだから、もっと島の奥の方にも行ってみよう!」

 

未来「響、待って!」

 

 未来も響を追いかけた。しばらく進んでいると、クリシュナが修行をしているのを目撃した。

 

響「あっ、クリシュナさんだ!」

 

未来「あの人、知ってるの?」

 

響「クリシュナさんは前にこの島での騒動の際にノイズ退治を手伝ってもらったんだ。クリシュナさ~ん!」

 

 響の声にクリシュナは反応した。

 

クリシュナ「響か。こうして会うのは久しぶりだ。響は前に会った時とは全く変わらんな」

 

響「クリシュナさんこそ、いつも通りですよ」

 

クリシュナ「ところで、そこの娘の名は?」

 

未来「私は小日向未来といって、響の幼馴染です」

 

クリシュナ「未来というのか。わかった。どこへ行くのかは知らんが、俺もついていくとしよう」

 

 クリシュナも加わったのであった。

 

未来「こんな場所に、こんな大きな洞窟があったんだ」

 

クリシュナ「この洞窟は前にノイズが大量発生した際に来た洞窟で、俺が鱗衣を手に入れる際に入った洞窟でもある」

 

未来「クリシュナさん、それって、響達が最初にこっちに来た時のですか?」

 

クリシュナ「ああ、そうだ」

 

響「ねえ、せっかくだし、少し入ってみない?」

 

未来「いいけど…危なそうだったら、すぐに引き返そうね」

 

 

 

 

 

洞窟

 

 3人は洞窟に入った。

 

クリシュナ「入口は斜面が急だ。足元に気を付けろ」

 

響「はーい!未来、足元に注意して」

 

未来「うん、ありがとう。それにしてもこの洞窟、かなり深そうだね……」

 

響「前に来た時とは結構変わってるかも。あちこち崩れてるし…」

 

未来「そうなの?」

 

響「うん、危なさそうだし、あんまり奥に入り過ぎないようにしようか」

 

未来「そうだね。…きゃっ!?」

 

響「危ない!」

 

 ところが、未来はうっかり落ちそうになったが、響が咄嗟に手を引いて事なきを得た。

 

響「ふう、間一髪だったね」

 

未来「響、ありが」

 

 今度は洞窟が崩れ始めた。

 

クリシュナ「いかん、崩れるぞ!」

 

未来「きゃああああっ!」

 

響「うわあああーっ!」

 

 3人は崩れてできた穴へ落っこちたのであった。

 

クリシュナ「何という事だ!」

 

未来「響いいいいっ!」

 

響「未来、掴まって!」

 

未来「響どこ!?全然見えないよ!(どんどん落ちていく、このままじゃ)」

 

 しかし、3人は水に入ったのであった。

 

未来「(えっ!?水!?)」

 

響「未来、こっちに!ここから上がれそうだよ」

 

未来「う、うん」

 

 3人は水から上がったのであった。

 

クリシュナ「ふう、下が水で助かったな」

 

未来「ごめんね、響、クリシュナさん。私のせいで…」

 

響「ううん。私も、まさかあんなところで穴が開くなんて……。それより未来、怪我はない!?」

 

未来「うん、大丈夫。響の方こそ大丈夫?」

 

響「私は、へいき、へっちゃらだよ」

 

未来「よかった。でもここは…」

 

クリシュナ「上を見た限りでは、落ちてきた穴がほとんど見えない。恐らく、かなりの高さから落ちてきたのだろう。俺以外では上へ登るのは無理と思った方がよさそうだ」

 

響「それにしても、薄暗くてよく見えないね」

 

未来「地底みたいだし、しょうがないよ。気を付けながら進もう」

 

クリシュナ「向こうで光っているが…」

 

響「もしかして、出口!?」

 

未来「うん、そうかも」

 

響「行ってみよう!」

 

 3人は光のあるところへ向かった。

 

響「光が強くなってる!出口が近いのかも」

 

未来「うん、でもあまり視界がよくないから気を付けてね」

 

響「よーし、出口め…早く出てこーい!」

 

未来「何だか探検してるみたいだね」

 

響「みたい、じゃなくて探検そのものだよ。いきなり地底湖に落下して、出口を捜して地下を彷徨ってるんだから」

 

クリシュナ「言われてみれば、そうだな」

 

未来「ふふっ!」

 

響「ん?未来どうかした?」

 

未来「ううん、こんな状況だけど、なんだか楽しくって」

 

響「実は私も!今、すっごく楽しんだ!」

 

未来「(やっぱり、響と一緒にいると楽しいな……)……ねえ、響、もうすぐだよね?」

 

響「え?もうすぐ…?」

 

未来「私達の海外任務……」

 

響「か、海外任務…。大切な夏休み前半、その5日間が潰れる…あれ?」

 

未来「その、あれ、だよ」

 

響「うう…、でも、S.O.N.Gの任務じゃ仕方ないよね。これで、宿題が減るかチャラになればいいのに……」

 

未来「夏休みはまだ始まったばかりだけど、宿題もちゃんとやらなきゃダメだよ」

 

響「は、はい、ワカッテマス」

 

クリシュナ「(俺は宿題というものを知らないが、響達も大変だな…)」

 

未来「響、目が泳いでる。ちゃんと私の顔を見て約束して。任務の後、色々行きたい所があるから、任務の前に宿題を最低でも半分は終わらせる事」

 

響「が、頑張ってみる……」

 

 ふと、響は何かに気付いた。

 

響「あ!」

 

未来「響、話を逸らさないで!」

 

クリシュナ「そうではないようだ。向こうを見ろ」

 

 クリシュナの言った通りに見ると、光がはっきり見えていた。

 

未来「今までよりもはっきり光ってる…本当に出口かも!」

 

 進んだ先は出口ではなかった。

 

未来「出口じゃ…なかったみたいだね」

 

響「ここ、広いね。それに…あれ、未来は何に見える?」

 

 視線の先には箱みたいなものがあった。

 

未来「私には古ぼけた箱に見えるけど」

 

響「いや、私は宝箱に見える!ここまで辿り着いた者にのみ与えられるお宝!」

 

未来「そんなわけないでしょ。でも、どうしてこんな地下の洞窟に……」

 

クリシュナ「俺が鱗衣を手に入れた際に来たポセイドン様の海底神殿もこの洞窟の先にあったんだ。こんなものが地下の洞窟にあっても不思議ではあるまい」

 

響「とにかく調べてみよう。もしかしたら、伝説の剣とか入ってるかも知れないし!」

 

クリシュナ「いや、俺としてはとんでもない災いが入っているパンドラの箱かも知れないぞ」

 

未来「私は、伝説の剣よりも、出口の手掛かりが欲しいけど…」

 

 響達は箱を調べてみた。すると……

 

響「えー!」

 

未来「きゃあっ!」

 

 箱を調べた途端、目の前に城が現れたのであった。

 

響「お、お城!?お城が突然現れた!」

 

未来「すごくきれい…煌びやかで……」

 

クリシュナ「2人共、見とれている場合ではないぞ!」

 

 突然、魚人が現れてクリシュナは槍で受け止めた。

 

響「今度は魚みたいな人間!?いやいや、人間みたいな魚!?」

 

未来「1人や2人じゃない。後から後から…!」

 

 魚人の1体は箱を持っていった。

 

響「あっ!お魚の人がさっきの箱を持ってっちゃった!」

 

未来「どうしてあんな箱を……」

 

クリシュナ「奴等の宝という可能性もあるだろう」

 

響「ね、ねえ未来……、あのお魚の人達、何だかとてもお怒りみたい……」

 

 響が言った通り、魚人は怒っている様子だった。

 

響「ちょ、ちょっと待って!話せば分かり合えるよ!」

 

未来「すごい敵意。話し合いをする余地はないみたい。どうしよう…」

 

クリシュナ「奴等とは話は通じない上、ここは洞窟だ。派手に戦うと崩落の危険性がある。ここは洞窟を脱出するしかあるまい」

 

 3人は逃げたが、魚人は追いかけてきた。

 

響「しつこい!」

 

未来「どこまで…追ってくるの?」

 

響「未来、あとどれぐらい走れそう!?」

 

未来「心配しないで…。私、響の足手まといにはならない!」

 

響「でも、視界も足場も悪い地下洞窟を走り続けるって……」

 

クリシュナ「(このままでは俺はともかく、響と未来は力尽きてしまう)」

 

未来「どうして、こんなに追いかけてくるのかな」

 

響「それは、逃げ切ってから考えよう」

 

未来「でも、もし追いかけてくる理由があるのなら」

 

 視線の先に何かが見えた。

 

響「あ、ここは……」

 

未来「私達が落ちてきた地底湖……。ここで…行き止まり……他の道はないみたい。逃げられるところがなくなっちゃった」

 

響「前門の湖、後門のお魚の人……。こうなったら、ここが海に繋がっているって信じて飛び込もう!」

 

クリシュナ「今はそれしか選択肢がないな。行くぞ!」

 

未来「……うん!」

 

 3人は湖に飛び込んだ。

 

 

 

 

 そして、3人は海に出たのであった。

 

響「ぷはああっ!はぁ、はぁ、はぁ……」

 

クリシュナ「やはり、海に出たか!」

 

響「未来!未来!?」

 

未来「はぁ、はぁ、はぁ、ここだよ。わたしは大丈夫……」

 

響「よかったー!」

 

未来「響が、ずっと私の手を引いてくれたおかげだよ」

 

響「へへっ、私が未来の手を離すわけないでしょ」

 

未来「うん、ありがとう。だけど…陸までかなり遠いね」

 

クリシュナ「日頃から生身で沖へ出ている俺はともかく、2人には厳しいだろう」

 

響「うわっ!お魚の人達が追って来た!」

 

クリシュナ「かなりの大群で来ている!」

 

未来「ど、どうしよう!こんな海の真ん中で!」

 

響「この状況を打開するためには!あれしか……」

 

未来「あれ?でも、こんな急に!?」

 

響「きっと大丈夫だよ。ちゃんと訓練したし、ぶっつけ本番にはなっちゃったけど」

 

未来「…響。わかった、やろう!」

 

響「うん!」

 

クリシュナ「ある程度は俺が引きつけておく。すぐにその秘策をやるんだ!」

 

 魚人の大群の大半をクリシュナが引きつけておく事となり、2人はギアを纏う前に念じ始めた。

 

響「(お願い私のギア、未来を助けるために、応えて!)」

 

未来「(響に助けられてばかりは嫌!私だって、響の力になれる、響を助けたい!だから…お願い!)」

 

 念じてからギアを纏うと、二人のギアは水着型に変化していた。

 

響「やった!成功したよ!」

 

未来「これがクリス達が発現させたって言ってた……」

 

響「未来、これなら!」

 

未来「うん!きっと大丈夫!」

 

響「行こう!」

 

 

 

 

 戦闘の様子は海岸にいたクリス達も気付いた。

 

切歌「ななななっ!海面で爆発デース!一体全体、何がどうしたデスか!」

 

調「あれは!」

 

クリス「姿が見えないと思ったら、ギアえ水中からかっ飛んできやがっただと!?」

 

 響と未来は海岸に到着し、クリシュナも泳いで到着した。

 

響「つ、着いたー。結構長かった…」

 

クリシュナ「俺は沖へ出るときはいつもあれくらいは行くぞ」

 

響「た、体力のオバケ…」

 

未来「響、クリシュナさん、あのお魚の人達がついてきてる!」

 

切歌「3人の後ろ、なんか追ってきてるデスよ!」

 

 響達を追っていた魚人たちが浜辺に到着した。

 

調「……大きな魚?じゃくて、人?」

 

クリス「何変なもん連れてきてんだ!」

 

クリシュナ「違うな、奴等はどういう事か、俺達を追っていたんだ」

 

調「何だかわからないけど…」

 

切歌「襲ってくる以上、戦うしかないデス!」

 

 クリス達もギアを纏って戦ったが、魚人の大半はクリシュナが倒したのであった。

 

切歌「倒したら消えたデス!」

 

調「どうやら普通の生き物じゃないみたい」

 

クリス「見た目からして普通じゃないけどな」

 

響「た、助かった…。死ぬかと思ったよ…」

 

未来「本当……クリシュナさんがいてくれたけど私達、よく無事だったね」

 

クリス「お前ら、どこでどんな真似をしでかしたら、こんなわけのわからない状況になるんだよ…。それに、いつの間に水着型ギアを発現させたんだ?」

 

響「それは、あのお魚の人達から、逃げる途中で色々あって……」

 

切歌「水着型ギアの事も知りたいデスけど、それより、あのへんな魚の事が気になるデス!」

 

クリス「ああ、確かにそっちの方が先決だな。見たところノイズじゃなさそうだけど…」

 

調「うん、魚人なんて…初めて見た」

 

クリス「魚人か…。まあいいや、とりあえず詳しく教えてくれ」

 

響「ええっと…とは言うものの、私達にも何がなんだか」

 

未来「ひとまず、順を追って話すね」

 

 響と未来は何があったかを教えたのであった。

 

調「お城…」

 

切歌「びっくりデス…」

 

クリス「…作り話じゃないんだよな?」

 

クリシュナ「その通りだ」

 

クリス「そもそも魚人なんておかしなものも出てきたしな……。それにしても、落盤か……。あたしも気を付けなきゃな」

 

切歌「クリス先輩なら、前みたいに引っかかって落ちないデスよ」

 

調「うん、私もそう思う」

 

クリス「はあ?それはどういう……」

 

切歌「前に見せてもらった見事な罠回避デス!」

 

調「私達にはとても無理な神回避…」

 

 2人はクリスの胸を凝視した。

 

クリス「…う、うるせえ!」

 

響「ん?前に何かあったの?」

 

クリシュナ「ああ、そうらしい」

 

クリス「気にするな!」

 

未来「ねえ、話しを続けてもいいかな?」

 

クリス「ああ、続けてくれ」

 

未来「うん。それで、お城が出現して、どこからともなく現れた魚人に追いかけられて、追いつかれそうにもなったんだけど……逃げる時に水着型ギアが発現したお陰で、何とか逃げきれたんだ」

 

クリス「なるほど、それとクリシュナもいたから助かったってわけか……」

 

切歌「結局、あの魚人は何なんデスかね?」

 

調「うん、どうして襲ってきたんだろう……?」

 

クリシュナ「気になるし、謎も深まるな…」

 

 そんな中、何か声が聞こえた。

 

クリス「ん?なんか声が聞こえないか?」

 

 それは悲鳴だった。

 

響「悲鳴!」

 

未来「まさか、さっきの魚人が誰かを襲ってるんじゃ……」

 

クリシュナ「急ぐぞ!」

 

 魚人は一同が一掃した。

 

切歌「これで魚人はすべて倒したデスかね」

 

クリス「とりあえずだけどな。聞く限りじゃ、もっといるんだろ」

 

響「大丈夫ですか……って、この人!」

 

未来「まさか……えーっ!?」

 

 魚人に襲われていた人物こそ、ふらわーのおばちゃんのそっくりさんであった。

 

おばちゃん?「どこの誰かは知らないけど、ありがとう。お陰で助かったよ…。ちょいとこの島に用があって来てみたら、まさか、魚の化け物に襲われるなんてね。クリシュナさんは知らないのかい?」

 

クリシュナ「生憎、俺もあの怪物を見たのは初めてだ」

 

未来「あれ?おばちゃんが私達の事、知らなくてクリシュナさんと知り合いって……」

 

響「未来、未来。ここは並行世界だから……」

 

未来「そっか。似てても別の人なんだよね」

 

おばちゃん?「ところであんた達、クリシュナさんと一緒に魚の化け物と戦ってたみたいだけど、一体何者なんだい?」

 

響「えっと、それは、その……」

 

クリス「あ、あたしらは政府機関の者だ。不思議な現象が起きていると聞いて、調査に来てるんだ」

 

切歌「(ナイス!クリス先輩!)」

 

おばちゃん?「政府の……。とにかく助かったよ。……そうだ、もしよかったら、お礼をさせてくれないかい?」

 

響「そんな、お礼だなんて……」

 

おばちゃん?「それなら、何か力になれる事はないかい?地元の者として少しでも手伝わせてほしいのさ。これでもクリシュナさん波に地元では顔が利くんだよ」

 

調「どうしましょう…?」

 

響「どうする?クリスちゃん?」

 

クリス「……それじゃあ、手を貸してもらうか。この場所じゃ、あたしらだけだと情報収集一つでも手間がかかるしな」

 

未来「うん。私もそれが良いと思う」

 

切歌「それじゃあ、よろしくお願いするデース!」

 

おばちゃん?「こちらこそ、頑張っておくれよ」

 

クリシュナ「では、その人が住んでいる島へ向かおう」

 

 おばちゃんが住んでいる島へ一同が向かっているうちに夕方になった。

 

響「あの島の知覚に、こんな大きな島があったなんて」

 

調「うん、船ですぐ着きましたね」

 

クリス「もっと早く知ってれば、前来た時もあんなに苦労する事なかったんじゃ……」

 

切歌「ここは、隣の島デス?」

 

おばちゃん?「ああ、他にもいくつか島はあるけど、この島が一番大きくて、人が大勢住んでるんだよ。そして、ここがあたしの店だよ」

 

 

 

ふらわー

 

 一同はおばちゃんの店に来た。

 

おばちゃん?「部屋は空いているから、滞在中はここを自由に使っておくれ。自分の家だと思って、遠慮なくね」

 

響「……ふらわーだ」

 

未来「やっはり、お好み焼き屋なんだ。名前も同じで」

 

おばちゃん「名前が同じ?ここ以外に同じ名前の店があるのかい?」

 

未来「あ。いえ、そうではないんですけど」

 

 入ってみると、中も同じであった。

 

響「うわー、落ち着くー」

 

未来「うん、すごく見覚えがある感じだし…」

 

おばちゃん「気に入ってくれて嬉しいよ。食事はあたしが腕によりをかけるからね。楽しみにしてておくれ」

 

クリシュナ「だったら、俺が沖で大物でも獲ってくるぞ」

 

おばちゃん「注文は何にするのか、ちょっと迷っちゃう」

 

調「ここまでしていただいて……ありがとうございます」

 

おばちゃん「いいのいいの。自分達のためにやってるだけなんだから。それじゃあ、あたしは厨房で夕食の仕込みをしてるからね。何かあったら、遠慮なく呼んでおくれ」

 

 おばちゃんは厨房へ向かった。

 

クリス「野宿にならなくてよかったな」

 

調「はい。一応、テントの準備はしてきましたけど、正直、屋根のあるところで寝られるのは助かりますね」

 

未来「うん。数日という事もあるし、今回はお言葉に甘えさせてもらおう」

 

切歌「あたし達がこっちにいる間に、あの魚人を何とかしなくちゃデス」

 

響「うん、放っておくなんてできないもんね!そうだ!それじゃあ、私と未来とクリシュナさんで魚人たちについて調べてみようよ!」

 

未来「うん、あの怪しい箱も気になるし」

 

クリシュナ「俺は夕食用に大物を獲るのもあるからな」

 

クリス「ああ、そっちは任せた。それじゃあ、あたしらは引き続き心象訓練だな」

 

調「はい」

 

切歌「了解デース!」




これで今回の話は終わりです。
今回はヴァルキリーズ・サマーの舞台となった南国の島へ再び訪れ、クリシュナと再会したのと、魚人の出現、ふらわーのおばちゃんが出てくるのを描きました。
ヴァルキリーズ・エンドレス・サマー編での負傷して療養中の星矢達と任務へ行っている翼とマリアの出番はこの話だけです。
パルティータの医者としての顔は前々から考えていましたが、名医としての異名のホワイト・クイーンはどこぞの黒い無免許医を意識しての異名です。
次はおばちゃんの住んでいる島を拠点とした話となります。
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