セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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ヴァルキリーズ・サマー編
9話 南国の島


S.O.N.G潜水艦

 

 カルマノイズを倒し終わって帰還した後、星矢達は突如出現した謎の怪物の事について聞いていた。

 

沙織「あの怪物について何か分かった事はありますか?」

 

麻森「いえ…」

 

エルフナイン「あの怪物は謎だらけです。まだ何もわかっていません」

 

沙織「わかりました。何かわかり次第、連絡を入れてください」

 

 星矢達は部屋を出たのであった。

 

麻森「あの怪物…、何なのだろうか…」

 

 今の麻森とエルフナインには知る由もなかったのであった。

 

 

 

マンション

 

 そしてしばらく経った後の事だった。

 

響「夏…、そう。それは暑く、熱い季節…!」

 

クリス「夏…それは海、そしてプールが解放される季節だ…。はあ…」

 

切歌「夏…それはかき氷、そしてアイスがおいしい季節デス…!」

 

調「夏…それは暖房がいらない、そして夏野菜が安くなる季節…!」

 

響「冷房はいるんじゃ…?」

 

調「冷房なら、歩く冷凍庫がいるから…」

 

クリス「歩く冷凍庫…?」

 

 それは、氷河の事であった。星矢達も来ていたのであった。

 

氷河「あのな、聖闘士の力はそんな事に使うべきじゃ…」

 

調「仲間から聞いた。氷河は自分のお母さんの遺体を引き上げるために聖闘士を目指してたって」

 

切歌「思いっきり自分の事に力を使ってるのデス。だったら、歩く冷凍庫としてあたし達のためにその力を使うのデス」

 

 その発言に氷河は返す言葉もなかった。

 

クリス「それにしても、あんたらはいつもシャツ一枚で暑かったり寒かったりしないのか?」

 

星矢「別に何ともないぞ」

 

瞬「兄さんの修行地のデスクイーン島は1年中灼熱地獄だし、僕の修行地のアンドロメダ島なんて昼間は50度を超える灼熱地獄、夜は零下にまで下がる極寒地獄なんだ」

 

氷河「そして、俺の生まれ故郷であり、修行地でもあるロシアのシベリアは一年中雪と氷に閉ざされた世界だ」

 

クリス「マジかよ!!」

 

切歌「そんな所は住み心地がとっても悪いのデス…!」

 

調「氷河さんはそんなところで厚着しなくて平気だったの?」

 

氷河「ああ。俺の兄弟子のアイザックも俺と似たような恰好で修業をしていたんだ」

 

響「星矢さん達って凄い…!」

 

 自分達では到底耐えられない厳しい環境で修業し、聖闘士となった星矢達に響達は感心していた。

 

 

 

市街地

 

 その頃、マリアと翼は…。

 

マリア「夏…それは暖房がいらない、そして夏野菜が安くなる季節…!なのに…どうして!?」

 

翼「冷房はいらないのか。心頭滅却すれば火もまた涼しという言葉もあるが」

 

マリア「エアコンなんて、今は些細な事!この夏には、ただひたすらにアーティスト活動のスケジュールが詰まっている…。そしてわずかな休みさえ、S.O.N.Gの任務が産めてしまっている…夏そのものを否定するかのように!なぜ?どうして?私には夏を楽しむという最低限の権利すら与えられないというの!?」

 

翼「まあいいじゃないか。アーティストとしての活動が忙しいのはいい事だ。同時に私達はS.O.N.Gの装者でもあるのだから、任務が大切である事など言わずもがな。いや、マリアの場合、アーティスト活動も任務なのだから、結果、全てS.O.N.Gの任務になるのか…」

 

マリア「そんな事はわかっているわ!それでも…夏はすぐそこにあるのよ!割り切れないじゃない!」

 

翼「そこまで言うのなら、あまり関心はしないが、仕事を断ってオフを作ればいいんじゃないか?」

 

マリア「嫌よ。それで仕事が減ったらどうするの!?」

 

翼「…そ、それなら全ての任務をこなすしか…」

 

マリア「翼!あなたは真面目すぎるの!」

 

翼「待てマリア。それの何がいけないんだ…?」

 

 そんな中、忍者のように慎次が現れた。

 

慎次「いえ、僕もマリアさんと同意見です。翼さんはもっと休みをとってもいいと思いますよ」

 

翼「緒川さんまで…」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 訓練の時間になったが、マリアは元気がなかった。

 

星矢「元気がないな、マリア」

 

瞬「暑さで元気がないんですか?」

 

マリア「いいえ、違うわ。せっかくの夏なのに、休みがほとんどないのよ…どうして!せっかく日本へ戻って来れたと思ったら、やっぱり任務と訓練…」

 

切歌「夏は誰にでも平等に来るはずなのに。マリア…可哀想デス!」

 

調「私達に代われることがあったら、言ってほしい…」

 

マリア「2人共…ありがとう。わかってくれて嬉しいわ…」

 

翼「私の感覚がおかしいのだろうか…?ただ、わがままを言っているようにしか聞こえないのだが…」

 

紫龍「こうもスケジュールがびっしり詰まってたら、よっぽど真面目な奴でない限り愚痴の一つや二つぐらいはこぼしたくなるものさ」

 

響「でも、夏は楽しみたいですよ!ねえ、クリスちゃん?」

 

クリス「そ、そうだな…。夏だから仕方ねーな」

 

翼「なっ…雪音までだと…!?」

 

氷河「翼は休みがなくても平気なのか?」

 

翼「休みか…。必要だと思った事はないな」

 

響「でも、休みの時は息抜きとかしてますよね?」

 

翼「そうだな、オフの日には鍛錬をしている。いつでもこの身を剣として研ぎ澄まさなければならないからな」

 

星矢「おいおい…」

 

クリス「そりゃ息抜きって言わねーだろ…」

 

翼「剣を振っていると無心になれる…。いいものだぞ?」

 

マリア「はぁ、やっぱりあなたは真面目すぎなのよ…」

 

翼「危急の際に失態を演じれば生死に関わる。訓練を休むわけにはいかないだろう」

 

クリス「そうだな。で、さっさと訓練を始めねーか?少しでも夏を楽しむためによ」

 

マリア「…そうね、ここでため息を繰り返しても世界は何も変わらない。始めましょう!」

 

響「はい!それじゃあシミュレーション開始、お願いします!」

 

 そして訓練が行われ、終了したのであった。

 

クリス「ふー、終わった終わった。ま、こんなもんだな」

 

翼「やはり全員での訓練は身が入るな」

 

マリア「そうね、悪くはないけど…はぁ…」

 

切歌「マリア、元気出すデス。あたし達がついてるデスよ!」

 

調「うん、私と切ちゃんが一緒にいるから」

 

響「それじゃあ、みんなで師匠の所に報告に行きましょう!」

 

 装者一同は報告へ向かった。

 

星矢「響達の今日の訓練は終わったぞ」

 

弦十郎「ご苦労だったな。すまない、お前達にはせっかくの夏だというのに、訓練や任務で苦労をかける。しかし、これもいつ訪れるかわからない次なる緊急事態の」

 

 そう言ってると、警報が鳴った。

 

星矢「その緊急事態が来ちまったようだな」

 

 またギャラルホルンのアラートが鳴ったのであった。

 

翼「ギャラルホルン、まさか…」

 

エルフナイン「いえ、この前の世界ではなく、どうやら違う並行世界とつながったと思われます…」

 

氷河「今度は何が起きたんだ…?」

 

弦十郎「ギャラルホルンが新たな並行世界と繋がった。という事は…」

 

エルフナイン「はい。並行世界の危機、そしてこちらの世界への影響も推測されます」

 

弦十郎「そうだ。ついては前回同様、調査に行く班と残ってこちらに現れるであろうノイズに対処する班に分かれてもらいたい」

 

美衣「聖闘士に関しては、多くても2人までにさせていただきます」

 

切歌「前は3人だったのにどうしてデスか?」

 

沙織「それは響さん達が奏さんのいる並行世界に行っている間、装者では手に負えない恐ろしい怪物が現れたからです」

 

翼「あの時のアラートはその怪物の出現を知らせるためだったのか!」

 

マリア「怪物はどうしたの?」

 

沙織「怪物は星矢達との戦いで大きく深い傷を負った後、逃走しました。傷が癒えるまでは現れない可能性が高いと思いますが、再び出現する時に備え、星矢達を全員並行世界へ行かせるわけにはいかなくなったのです」

 

響「そうだったんですか…」

 

紫龍「今回は俺と氷河が行く。星矢と瞬はお留守番を頼む」

 

瞬「わかったよ」

 

響「装者の方は誰が行く…」

 

切歌「デス…?」

 

 行くメンバーは装者は翼、クリス、マリアに、聖闘士は紫龍と氷河が行く事になった。

 

クリス「なら、最後の1人はあたしだな!前回は留守番だったしな。それに、後の奴等は…」

 

 クリスは響達を凝視した。

 

クリス「どうせ夏休みの課題も残ってんだろ、お前ら」

 

響「ぎくぅーーーっ!」

 

切歌「な、なななっ、何の事デスか…?」

 

調「…切ちゃん、バレてる。観念しよう…」

 

瞬「学業を疎かにするのは感心しないよ」

 

沙織「では紫龍、氷河、翼さん、マリアさん、クリスさん、調査を頼みます」

 

響「私も行きたかったのにぃ…」

 

切歌「あたしもデス。また待機デスよ」

 

調「むー」

 

瞬「ちゃんと3人とも課題を終わらせるんだよ」

 

星矢「そうだぞ。きちんと勉強しなきゃダメだ」

 

切歌「勉強しなくていい聖闘士が羨ましいのデス~!」

 

星矢「聖闘士になるための修行をしてた時だって俺の師匠の魔鈴さんは色んな事を学ばせてたんだぞ」

 

瞬「僕も先生から色んな事を教わったんだ。勉強をしないという選択肢は存在しないんだから、きちんとやるんだよ」

 

 夏休みの課題という強敵に響達は凍り付いたのであった。そして、翼達は並行世界へ行った。

 

 

 

 

 翼達は並行世界に到着した。

 

マリア「なっ!?ここは…!?」

 

クリス「海…だな。それに砂浜」

 

翼「ほとんど人の手が入っていないように見える。無人島だろうか」

 

マリア「(無人島…そうね。こんなきれいな島で夏のバカンスを楽しめたら…)」

 

紫龍「何を考えている?マリア」

 

マリア「何でもないわ(水着…持ってきていれば!)」

 

クリス「それにしても、ここはどこなんだ?知ってる場所じゃねーよな…?」

 

氷河「少なくとも俺達は知らんな」

 

マリア「私もよ。…こんなバカンスによさそうな場所、知ってたら忘れないわよ」

 

紫龍「バカンス?」

 

マリア「何でもないわ。早速調査を始め」

 

 調査を始めようとした時、何やら人影を見かけた。

 

クリス「おい、人がいるぞ!」

 

 近づいてみると、モヒカンヘアーのインド人と思わしき男が目を閉じて座禅を組んでいた。その男の姿に紫龍は見覚えがあった。

 

紫龍「(そ、そんなバカな…!あの男は…!!)」

 

翼「現地の人間か…?」

 

クリス「おーい、オッサン!こんな暑い中で何昼寝なんか」

 

 クリスが声をかけて近づこうとしたが、翼はその男の持っている物に気付いた。

 

翼「雪音、その男に近づくな!」

 

クリス「え?」

 

 男は気配でクリスの存在を感じ取り、目を開いてから黄金の槍で貫こうとした。しかし、紫龍がエクスカリバーで受けた事で事なきを得た。

 

男「ほう、この俺の槍捌きを受け止めたとは流石だ」

 

紫龍「お前の名はクリシュナ、クリュサオルのクリシュナだな!」

 

クリシュナ「クリュサオル?それは知らんが、俺の名がクリシュナである事は合っている。お前、名を名乗れ」

 

紫龍「紫龍、ライブラ紫龍だ!」

 

クリシュナ「紫龍というのか。なかなかできるようだな。この俺の槍を受け止める事ができたのはお前が初めてだ」

 

紫龍「(目の前にいるこの世界のクリシュナは海将軍ではないようだ。だが、ゴールデンランスはどこで手に入れた…?)」

 

クリシュナ「だが、今のは小手調べ。今度はそうはいかんぞ!」

 

紫龍「こっちもだ!」

 

 海底神殿の時と違い、数々の戦いを経験して黄金聖闘士となった紫龍は真っ向からクリシュナと戦う事ができるようになり、ゴールデンランスとエクスカリバーのぶつかり合いによる激しい戦闘となった。

 

翼「何というスピードだ!」

 

マリア「奏のいる並行世界に来た時の戦いのように目が追いつかないわ!」

 

翼「それに氷河、紫龍はあの男を知っていたようだが…」

 

氷河「俺も紫龍から話を聞いただけだが、あの男はクリシュナ。俺達のいた世界ではポセイドン配下の海将軍で、紫龍と戦った男だ。紫龍はあの男に苦戦した上、二度目の失明を経験する事となったから、苦い思い出のある相手なのだろうな…」

 

翼「元の世界ではその男との戦いで失明する羽目になったから、紫龍も気合が入っているのか…」

 

 クリシュナは紫龍にとって苦い思い出のある敵であるため、この戦いに気合が入っていたのであった。

 

クリシュナ「(あの男、初めて見る俺の槍捌きをここまで防ぎ切るとは…!それに、まだ名乗ってもいないのに俺の名前を…)」

 

 物凄いスピードの槍と聖剣のぶつかり合いを続けた後、クリシュナは槍を収めた。

 

紫龍「どうした!?クリシュナ!」

 

クリシュナ「紫龍よ、お前に槍を受け止められた事で俺自身の血が煮えたぎり、勝手に俺の修行に付き合わせて済まなかったな」

 

クリス「修行!?あれで修業なのかよ!!あたしを殺す気満々だったじゃねえか!」

 

クリシュナ「自分を追い込まねば修行にはならんぞ。それに、お前に向けた時は急所は外すつもりだったのだがな」

 

紫龍「急所を外すつもりだった…だと?」

 

クリシュナ「そうだ。だが、急に君達に攻撃するという失礼な事をした以上、お詫びしよう」

 

マリア「聞きたい事があるのだけど、あなたは地元の人なの?」

 

クリシュナ「俺は修行でこの島にいるだけだ。と言っても、この島が気に入って住み着いたのだがな」

 

紫龍「その黄金の槍があるのなら、鱗衣という鎧もセットであるはずだ。それらをどこで手に入れた?」

 

クリシュナ「この島で修業を開始してしばらくしてから、この島の神殿を探索していた時に見つけた。お前達が鱗衣という鎧はそれではないのか?」

 

 クリシュナが指差した方向にクリュサオルの鱗衣があった。

 

氷河「間違いない!あれは紛れもなく本物の鱗衣だ!」

 

クリシュナ「次は俺から聞きたい。お前達は悪しき者ではないようだが、何の用でここに来た?」

 

紫龍「(並行世界を信じるかどうかはわからないが、本当の事を話してみよう…)」

 

 紫龍達は自分達は並行世界から来た事などを話した。

 

クリシュナ「なるほど。お前達はこの世界と似て異なる世界から来たというのか。そして、その世界の俺と戦った事があるからこそ、紫龍は初見で俺の槍捌きを見切れたのだな?」

 

紫龍「そうだ」

 

クリシュナ「よし、お詫びも兼ねてお前達の調査に協力する」

 

クリス「こりゃ、途方もなく頼もしい助っ人ができたな!」

 

 そう言ってると、何やら音がした。

 

マリア「何の音!?」

 

クリシュナ「気を付けろ、ノイズが現れるぞ!」

 

 クリシュナが言った通り、ノイズの大群が現れた。

 

マリア「ノイズ!それもこんなに群れて。ふっ、私達のために歓迎パーティーでもしてくれるのかしら?」

 

紫龍「軽口はそれぐらいにしておけ。早く片付けるぞ!」

 

 紫龍達は鎧を纏い、翼達がギアを纏ってからあっという間にノイズを片付けたのであった。

 

翼「しかし…戦いにくい状況だったな」

 

マリア「砂浜の足場の悪さが予想外に枷になるわね。それにこの強い日差し…」

 

クリス「眩しいやら暑いやらで。ちっ、めんどくせえ場所だな」

 

クリシュナ「戦いというのはいつも得意な場所で行われるとは限らんぞ。いつ、どんな場所でも臨機応変に戦わなくてはならないのだ」

 

クリス「偉そうに説教してんじゃねえよ!」

 

氷河「いや、クリシュナの言ってる事も一理あるぞ。俺達はどんな状況でも最善の戦い方をしなくてはならないのだからな」

 

紫龍「早速調査に行くぞ」

 

 紫龍達は色々回ってみたが、異常は見当たらなかった。

 

紫龍「異常らしき異常は見当たらなかったな。だが、ノイズは出現するから探索を続けるぞ」

 

クリス「また暑っちい砂浜かよ。ああ、もう汗が噴き出して来やがった…」

 

クリシュナ「愚痴を言ってても何も始まらんぞ」

 

クリス「いちいち言うなよ、オッサン!」

 

クリシュナ「俺はまだ21歳だ」

 

クリス「そんなには見えねえよ!」

 

マリア「肌が焼けてしまうわね。並行世界で日焼け止めが欲しくなるなんて思いもしなかったわ(それに、水着があれば海にも入れるのに…)」

 

 また音がしてノイズが出現した。

 

翼「この音はまさか、ノイズと関係があるのか!?」

 

クリシュナ「そうと考えるべきだろう」

 

紫龍「行くぞ!」

 

 紫龍達はノイズの群れと応戦した。紫龍達は砂浜でも全く気にせずに動き、ノイズを蹴散らしていたが、装者の方は戦いの場が砂地であるため、戦闘への支障が出ていた。そして、3人は連携して群れの親玉と思わしきノイズを倒したのであった。

 

クリス「やったか!」

 

翼「ふぅ、ふぅ…どうやら、仕留められたな」

 

クリス「あいつらは全然息が切れてねえぞ…」

 

 紫龍達は暑さを感じないばかりか、軽い運動をしたような感じであった。そして、マリアは何かを見つけた。

 

マリア「それは?」

 

翼「何だ、この奇妙な欠片は…?先程のノイズが落としたのか?」

 

氷河「それは不思議な欠片だ。いかにも怪しい感じがする…」

 

マリア「今のノイズの異様な強さもそうだけれど、今回の異変と関係があるかも知れないわ」

 

クリシュナ「なら、元の世界に戻って調べてみるといい。そろそろ日も暮れる。お前達が元の世界にいる間、俺が島のノイズを倒す」

 

マリア「頼むわ、クリシュナ。私達は色々と準備を整えてからまた来るわね」

 

 マリア達は元の世界へ帰る事となり、クリシュナはそれを見送ったのであった。

 

クリシュナ「ふっ、修行中にまさか並行世界の人間に出会うとはな。今夜の食料となる大物の魚でもとってくるか」

 

 槍を携えてクリシュナは海に飛び込み、沖へ出て大物の魚を獲りに行ったのであった。そして、沖でシイラを獲り、食べたのであった。

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 帰還した翼達は欠片などの報告をしていた。

 

翼「…という状況です」

 

弦十郎「奏のいる世界のように協力者もできたとはな。そして奇妙な音か…。それも気になるが、欠片というのは?」

 

翼「回収した欠片はここに」

 

 早速、翼は回収した欠片を見せた。

 

弦十郎「これはいったい…」

 

エルフナイン「ちょっと見せていただいてもいいですか?これは…!」

 

紫龍「何かわかるのか?」

 

エルフナイン「恐らくですが、これは何らかの聖遺物の欠片だと思われます」

 

氷河「聖遺物の欠片だと!?」

 

クリス「そんなもんがなんでノイズに…?」

 

エルフナイン「わかりません。けれど、この聖遺物の特性と関係があるものだと推測されます。今回の異変にも関係するものかも知れません。もう少し僕に調べさせてもらえますか?」

 

マリア「ええ、お願い」

 

 解析をエルフナインに任せたのであった。

 

 

 

マンション

 

 そして、マリアは帰ってきた。

 

マリア「ただいま、調、切歌」

 

切歌「もう帰ってきたデスか!?」

 

調「何もなかったんだ?」

 

マリア「あったわ、色々とね。準備を整えてまた調査に向かう予定よ」

 

切歌「そうデスか。でも、せっかく戻ってきたんだから、その辺の話は一緒にごはんを食べながら聞きたいのデス」

 

調「それがいいね、切ちゃん。マリアの分も支度するから、少し待ってて」

 

マリア「ありがとう、2人とも。それにしても本当によかったのかしら?学生でもない私がこの部屋に泊まって…」

 

切歌「ちゃんと許可をもらってるから、問題ないデスよ」

 

調「うん」

 

 それから、3人でテレビを見ていた。

 

切歌「デデデデース!?出たデス!セイレーンデスよ!」

 

調「じー…」

 

マリア「(歌声で船人を惑わず魔物、セイレーンか…。随分と古典的な映画ね。向こうの世界であった、あの唸り声のような音。あれがノイズを呼び寄せ、人に害をなすものだとしたら…、まるでセイレーンの歌声ね…)」

 

 

 

城戸邸

 

 紫龍と氷河は城戸邸に戻っていた。

 

星矢「何!?あっちにも海将軍がいただって!?」

 

紫龍「だが、俺達が会った向こうのクリシュナは俺が戦ったこの世界のクリシュナと同等の実力を持っているただの一般人で俺達が調査している島にある神殿からクリュサオルの鱗衣を手に入れたらしい」

 

氷河「奏のいる世界のアイザックは海将軍ではなく、聖闘士になっていたからな。こういったのも並行世界では不思議じゃないだろう」

 

瞬「でも、不思議だね。こっちでは敵同士だった海将軍が向こうでは協力者になったなんて」

 

紫龍「そ、そうか…?」

 

 この世界のクリシュナによって二度目の失明を経験した紫龍にとって、クリシュナとの共闘はやや複雑な心境であった。

 

瞬「アイザックやカノン以外の海将軍も向こうの世界では一般人として暮らしてるんじゃないかな?」

 

星矢「う~む…、他の海将軍達は向こうではどういった奴なのかの想像なんてつかねえな…」

 

沙織「向こうでは色々あったようですね。皆さんもゆっくり休んで次の戦いに備えてください」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 そして次の日…。

 

弦十郎「それでは、並行世界の調査を続行してほしい。奇妙な音と聖遺物の欠片、そしてノイズの関係を探ってくれ」

 

翼「わかりました。立花達にはその間、こちらでのノイズの対処を頼む」

 

響「はい!こっちの事は心配しないでください!」

 

切歌「あたし達にどーんと任せておくのデス!」

 

調「うん」

 

クリス「ノイズとの戦いを課題をやらない言い訳にすんじゃねーぞ」

 

 その言葉に響達は動揺した。

 

瞬「じゃあ、僕も勉強に付き合うよ。互いに勉強を頑張ろうじゃないか」

 

 瞬は至って笑顔であったが、響達には勉強は地獄であった。そして、あおいは何かを渡した。

 

あおい「これを持って行ってください」

 

翼「これは…?」

 

あおい「前回は準備が足りなかったとの事なので、現地に対応できるようにこちらで用意したものです」

 

翼「どうもありがとうございます」

 

エルフナイン「あの、この前受け取った聖遺物の欠片についてなのですが…」

 

紫龍「何かわかったのか?」

 

エルフナイン「はい。少なくともこちらの世界では見つかっていない未知の聖遺物でした」

 

マリア「未知の聖遺物?」

 

エルフナイン「ノイズが落としたという事からも、何らかの特性を持ったものだとは思うのですが…。詳しい事を解明するには、もう少し時間とサンプルが必要です。ですから…」

 

クリス「わかってるっての。あたしらに任しとけ!」

 

エルフナイン「よろしく頼みます」

 

弦十郎「頼むぞ、5人とも!」

 

 紫龍達は再び並行世界へ向かったのであった。




これで今回の話は終わりです。
今回からヴァルキリーズ・サマー編で翼達が並行世界へ向かい、クリシュナと出会って聖遺物の欠片を手に入れるのを描きました。
ポセイドン配下の7人の海将軍の中でヴァルキリーズ・サマーの世界の協力者をクリシュナにしたのは、クリシュナはスリランカ出身で南国系の人間であるため、ヴァルキリーズ・サマー編での協力者ポジションにピッタリというのが理由です。
話の流れはおおむね本編通りにする予定ですが、クリシュナが神殿で鱗衣を見つけた以上、最後辺りに思わぬ奴が出るかも知れません。
次の話は翼達のギアが水着型になる話となります。

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