セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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90話 明日を取り戻せ!

ふらわー

 

 そして、次の日になり、響達はクリス達に時間が進んでいない事を話した。

 

クリス「時間が進んでない!?」

 

響「あ、疑ってる!クリスちゃん、ものずごく信じてない!」

 

クリス「おいおい、あたしが悪いみたいに言うな。時間がどうのとか、流石にちょっとぶっ飛びすぎな与太話だろ。どうすれば信じられるんだ?」

 

響「わかる……」

 

クリス「お前らはどうだ?」

 

切歌「うーん、あたしは何もおかしな事は感じないデスね」

 

調「うん、繰り返してないと思う」

 

未来「そうだよね……」

 

クリシュナ「だが、これならば信じられるか?」

 

クリス「それって、何だよ」

 

クリシュナ「今日の朝食のメニューを言う。今日の朝食は……トーストにハムエッグ、サラダだ」

 

クリス「おいおい、流石にそれは……」

 

おばちゃん「みんな、朝食ができたよ」

 

 メニューはクリシュナが言った通りであった。

 

調「嘘……」

 

切歌「クリシュナが言った通りデス!」

 

未来「信じてくれる?」

 

クリス「……朝食のメニューが完璧に当たってたしな。ハムエッグに入ってた、ハムの枚数までピッタリときたら……。それに、そんな真剣な顔して言われたら信じないわけにはいかないだろう?」

 

響「クリスちゃん、ありがとう!」

 

切歌「あたし達だって、3人を信じてるデス!」

 

調「はい」

 

未来「うん。これでやっと、前に進める」

 

クリス「これからは全員で行くぞ」

 

調「でも、時間が繰り返してるとしたら」

 

クリス「ああ、これからどうすればいいんだ?」

 

響「私と未来はこの時間を3回……。4回目なのかな、繰り返してるんだ」

 

クリス「じゃあ、打つ手も考えてるのか?」

 

未来「あの時見た竜宮城、そこへ行こうと思うの」

 

響「島の人達の話を聞いてみて、竜宮城にある玉手箱を手に入れれば、きっとこの繰り返す時間から抜け出せるんじゃないかと思ってるんだ」

 

クリス「なるほど。だったら急がないとな。夜が明けたら、お前ら3人以外はここで聞いた話も何もかもリセットされるんだろ?」

 

未来「うん、だから、時間は限られてるの」

 

クリス「制限時間以内に竜宮城の玉手箱……。事態の中心……要するに、この異常を引き起こしてる聖遺物みたいなものをぶちのめすなり、引きずり出すなりすれば」

 

未来「解決するか、少なくとも状況は変わってくれるはず」

 

クリス「よし!地の底だろうが、成層圏だろうが、行ってやる!」

 

切歌「右に同じデス!」

 

調「うん」

 

クリシュナ「では、支度だ」

 

 

 

 

 そして、出現した魚人の討伐に一同は向かったのであった。

 

切歌「魚人討伐完了デース!」

 

調「次はどうしますか?」

 

クリシュナ「俺は自力で泳いで行けるが……」

 

響「まずは島へ行く船がいるよね」

 

クリス「さっきの魚人のせいで騒ぎになってるから、船は厳しいかも知れないな」

 

響「それじゃあ、島の人にお願いして船だけ借りて」

 

未来「ギアで押していってでも島へ行かないと」

 

切歌「無茶のエンジンが掛かってきたデス!」

 

調「待って。あれを見て!」

 

切歌「第2陣のお出ましデス!」

 

 再び魚人が現れた。

 

クリス「魚人の群れ……。それとも、こういうのは軍団って言った方がいいのか?」

 

切歌「どう考えてもキリがないのデス!」

 

未来「いつもより、数がずっと多い!」

 

 しかも、どんどん増援が来ていた。

 

クリス「しかも、後から後からどんどん現れてくるぞ。これは」

 

響「囲まれた…!」

 

クリシュナ「島へ俺達を行かせるのを阻むようだな」

 

切歌「これじゃ船が出せないデスよ!」

 

調「危険すぎる……」

 

響「ど、どうしよう」

 

未来「島に行かないといけないのに」

 

クリス「あたしに考えがある。ちょっと乱暴な方法だけどな!」

 

クリシュナ「ならば、ここは俺が引き受けよう。お前達は先に行け!」

 

 この場はクリシュナに任せ、響達はミサイルに乗って島へ行こうとした。

 

クリス「振り落とされるんじゃねーぞ!」

 

未来「ミサイル!?海……まさか!?」

 

響「クリスちゃんの18番!」

 

切歌「ミサイルは乗り物デース!」

 

調「うん、もはや定番」

 

未来「ええっ!?ちょっと待って、心の準備が」

 

響「女は度胸だよ、未来!」

 

未来「……響が一緒なんだから、どんな苦難でも乗り越えられる」

 

 ミサイルを乗り物扱いする事に未来は戸惑ったものの、決心した。

 

未来「うん、行こう!」

 

クリス「それじゃ、あとは伸るか反るかの一発勝負」

 

切歌「いつでも準備OKデース!」

 

調「今度こそ、邪魔をする魚人の裏をかく」

 

響「裏をかくっていうよりは、テーブルごとひっくり返すって感じだよね!」

 

クリス「そっちの方があたし達らしいしな。とにかくこいつで海を渡るぞ!」

 

クリシュナ「俺は後で泳いで来る!だから、先に行け!」

 

 響達はクリスのミサイルで隣の島へ向かった。

 

 

 

浜辺

 

 響達は隣の島に到着した。

 

響「到着!やっぱり速いね!」

 

クリス「どんなもんだ!」

 

未来「まさかミサイルに乗る日が来るなんて思わなかった……」

 

切歌「乗り心地はどうだったデスか?」

 

未来「なんて言ったらいいか……結構悪くない、かな?まだよくわからないけど……」

 

調「そのうち慣れますよ」

 

未来「慣れるのかな……」

 

クリス「おい、おしゃべりはそこまでだ。……あいつら、追ってきてやがる」

 

 またしても魚人達が出てきた。

 

切歌「しつこい連中デスね」

 

調「思ったより厄介かも」

 

クリス「……なあ、この後何が起こるか、お前達は知ってるんだろ?」

 

響「こっちに来た事はなかったから……」

 

未来「うん、それに、私達の行動で色々変化もしてるみたい」

 

クリス「そうか……、なんか役立つ情報があればと思ったんだけどな。とにかく追って来た奴等はこっちで抑えるから、先に行っとけ」

 

未来「ありがとう、クリス」

 

響「わかった。気を付けてね!」

 

 2人は先へ進んだが、その直後に魚人がまた出た。

 

切歌「あ、魚人が来たデス!」

 

調「ここから先へは通さない」

 

クリス「よし、とっとと片付けちまうぞ!」

 

 次々と片付けていくクリス達だが、魚人の方は増援が来る一方だった。

 

クリス「くそっ!あいつら、無尽蔵かよ!」

 

切歌「海の中にどれくらいいるんデスか……」

 

調「キリがない……」

 

クリス「(こいつらは水着型ギアがあるわけじゃない。水の中の敵を何とかするなら、あたしがやらないと)援護を頼む!大本からぶっ叩いてやる!」

 

 クリスは海に飛び込んだ。

 

切歌「危険デスよ!」

 

調「クリス先輩!」

 

クリス「それでも……あたしがやるしかないだろ!特大のをくれてやる!」

 

 特大のミサイルで魚人たちを一掃した。

 

クリス「どうだ!」

 

切歌「クリス先輩!上デス!」

 

クリス「あ?上!?」

 

 上から魚人がやってきて、クリスは攻撃を受け、水中に落ちた。

 

クリス「がっ!(まずい……)」

 

調「クリス先輩!」

 

クリス「(くっ…まだ水中にこんなに敵がいたのか…。早く水面に出ないと……)」

 

 水面に出ようとしたクリスだったが、魚人に足を掴まれた。

 

クリス「(足を掴まれた!?このままじゃ溺れて)」

 

 しかも、最悪な事にギアまで解除されてしまった。

 

クリス「(なっ!?ギアが…解除されちまった!?ヤバイ!このままじゃ……)」

 

調「クリス先輩が遠い……このままじゃ……」

 

切歌「調!やるしかないデス!」

 

調「切ちゃん!うん、やろう!」

 

切歌「(クリス先輩、すぐ行くデスよ!)」

 

調「絶対、助けます!」

 

 強い想いによって、2人のギアも水着型になったのであった。

 

調「私達の大事な先輩に」

 

切歌「気安く触るなデス!」

 

 連携戦闘では右に出る者はいない切歌と調のコンビは魚人たちを倒し、クリスを助け出せたのであった。

 

切歌「大丈夫デスか!?」

 

クリス「あ、ああ……。何とかな」

 

調「よかった……。でも、無茶しすぎです」

 

クリス「……悪かった。けど助かった。その、ありがとうな」

 

切歌「先輩を助けるのは後輩の務めデス!」

 

調「先輩の無茶をカバーするのも後輩の務め」

 

クリス「全く、頼もしい後輩達だな」

 

 その頃、響と未来は進んでいたが、そこへクリシュナが来た。

 

クリシュナ「遅くなってすまない」

 

響「クリシュナさん!」

 

未来「泳いできたんですか?」

 

クリシュナ「ああ、そうだ」

 

響「それにしても、ここまでこれたね」

 

未来「うん。クリス達のお陰だね」

 

響「行こう。早くこの事件を解決しなきゃ!」

 

 

 

洞窟

 

 そして、洞窟の地底湖がある場所に来た。

 

未来「やっぱり、ここから落ちるしかなさそうだよね……」

 

響「今度はあらかじめわかってるから、きっと大丈夫!」

 

未来「それはそうだけど…あの、響。手を握っててもいいかな?」

 

響「もちろん!未来とならいつだって大歓迎だよ!」

 

 響は未来の手を握った。

 

未来「……ありがとう。こうしてると、何でもできるって気がしてくる」

 

響「私も!未来の手、すごく温かいしね!」

 

未来「…うん、もう大丈夫」

 

クリシュナ「さあ、飛び込むぞ!」

 

 地底湖に飛び込んだ3人だが、その先には大勢の魚人が待ち構えていた。

 

響「待ち伏せされてた!?」

 

未来「みたいだね……すごい数」

 

響「でも、未来がいるから」

 

未来「響がいるから」

 

響と未来「2人一緒なら、負ける気なんてしない!」

 

 響と未来の連携と共にクリシュナまでいたため、魚人たちは全滅し、響達は竜宮城に着いた。

 

未来「やっと竜宮城に着いたみたい……」

 

響「あの時は急いでてじっくり見てなかったけど……。なんだかすごいところだね」

 

未来「水の中……じゃないよね?」

 

クリシュナ「水の中ではないが、非常に不思議な場所だ…」

 

未来「これも玉手箱の力なのかな?」

 

 そう言ってると、魚人がまた現れた

 

未来「また魚人…」

 

響「どれだけやってきても、この拳で!」

 

未来「待って、響。様子がおかしい」

 

 今までと違い、襲ってくる気配はなかった。

 

クリシュナ「襲ってこないな。それに、整列しているようだ」

 

 そこへ、魚人のボスが来た。

 

魚人兵長「オマエタチ、何をしにここに来た……?」

 

響「ぎょ、魚人が!」

 

未来「喋った…!?」

 

クリシュナ「意外だな、俺達にわかる言葉を話せるとは」

 

魚人兵長「オマエの耳は飾りなのか?我の言葉が聞こえているだろう」

 

未来「……お願い。玉手箱を渡してほしいの」

 

魚人兵長「なぜ、玉手箱を求める?」

 

響「それが、この繰り返すじかんのカギなんじゃないの?」

 

魚人兵長「その通りだ。玉手箱によって時間を封じている。そのフタが開けば、時間は解放される」

 

未来「それなら」

 

魚人兵長「……しかし、本当にいいのか?それは避けようのない、災厄を解き放つ事になるぞ。玉手箱は時間を封じるだけのものではない。同時に、逃れられぬ災厄をも封じているのだ」

 

響「さ、災厄!?」

 

魚人兵長「それは、何よりも恐ろしいものだ。時間に囚われた、オマエタチにとってはな……」

 

クリシュナ「(まさか、その災厄というのは……)」

 

未来「恐ろしい災厄……。それは、どうにかならないの……?」

 

魚人兵長「どうにもならない。逃れられぬ災厄だからこそ、時間ごと封じているのだ」

 

響「うぅ…、なんか危険な感じが……」

 

未来「うん……」

 

響「……でも、進むしかないよね!」

 

未来「ふふ、響ならそう言うと思ってた。何が起きるか怖いけど、響と一緒なら、きっと大丈夫」

 

響「うん、未来がいれば!」

 

未来「響がいれば!」

 

魚人兵長「……結構な自信だな。いいだろう。進むというなら着いてくるがいい。逃れられぬ災厄……本当に克服できるというならな……」

 

未来「……響、行こう!」

 

響「うん!」

 

クリシュナ「お前達2人のおまけだが、俺も行くとしよう」

 

 

 

竜宮城

 

 そして、玉手箱がある場所へ来た。

 

魚人兵長「ここだ」

 

 そこには、玉手箱があった。

 

響「この箱……やっぱりあの時の!」

 

未来「これが玉手箱だったんだ…」

 

響「今更だけど、こんなにあっさり手に入れちゃっていいのかな?」

 

魚人兵長「オマエタチの力は知っている。こちらも無駄な争いでこの聖域を汚したくはないからな」

 

未来「響……」

 

響「わかってる。これを開けるんだよね……」

 

魚人兵長「開けたら時間が解放される。そして災厄も共に解き放たれる」

 

未来「それでも、私達は開けなくちゃ」

 

魚人兵長「やってみるがいい。本当に開ける事ができるならな……ふふ」

 

未来「響、やろう!」

 

響「うん、これを開けて、この時間のループから抜け出そう!」

 

響と未来「せーの!」

 

 しかし、箱は開かなかった。

 

響「ぐぎぎぎぎっ!」

 

未来「んーーっ!」

 

響「……はあ、はあ。びくともしない」

 

未来「全然フタが動かない……まるで接着されてるみたい」

 

魚人兵長「やはりな…」

 

響「やはりって、接着するなんてひどいよ!」

 

魚人兵長「そうではない。我は何もしていない。もちろん同胞達も。玉手箱が開かないのは、オマエがこの時間から抜け出したいと思っていないからだ」

 

響「わ、私が!?」

 

魚人兵長「そうだ。よほど封じられた災厄が怖いらしい……。玉手箱は使用者の願いを叶え、災厄を遠ざけるもの。つまりはこの時間はオマエ自身が望んだもの……。解き放てば災厄が近づく。望んだ時間の代わりに、逃れられぬ災厄と向き合う事になる。人間がそれに抗えるものか!ふふ……ははは……はーっははははは!」

 

未来「響……」

 

響「大丈夫!信じて!どんな災厄にだって立ち向かってみせるから!」

 

未来「うん。響の事、信じてる」

 

響「……今度こそ、開けてみせる!」

 

魚人兵長「やれるものならやってみろ。オマエにとって、何よりも恐ろしい災厄が解放されてもいいならな」

 

クリシュナ「(響にとって、何より恐ろしい災厄……まさか!?)」

 

響「それでも、私には未来がいる!」

 

魚人兵長「それでなんとかなればいいがな。我にはその災厄がどれほどのものかはわからないが。箱を開ければ、逃れる事のできない恐怖の災厄、『ナツヤスミノシュクダイ』が解き放たれる!」

 

クリシュナ「(やはりか…)」

 

 魚人兵長の言う災厄について、クリシュナの予想が当たった瞬間だった。

 

 

 

洞窟

 

 その頃、クリス達は洞窟を進んでいた。

 

切歌「邪魔な魚人たちデス!」

 

調「次に出てきたら、3枚におろそう。そうしよう……」

 

クリス「おろしたところで、煮ても焼いてもマズそうだけどな……。それにしても、こっちで合ってるのか…?」

 

調「3人の足跡が残ってる。こっちで間違いないと思います」

 

 進んでいると…。

 

調「ここで足跡が途切れてる……それに」

 

切歌「深い穴があるデス。ここに落ちた……?いや、入ったんデスかね」

 

調「そういえば、最初に探検した時に穴に落ちたって」

 

クリス「そんな話もしてたな。となると、ここを進めばいいって事か。よし、あたしに続けー!」

 

 3人も地底湖に入った。

 

クリス「落ちた先は地底湖、それにまだ洞窟が続いているとはな……」

 

切歌「ギアじゃなかったら、ちょっと怖い高さだったデス……」

 

調「うん……」

 

クリス「それで、あいつらはどこへ行ったんだ?」

 

切歌「あっ!向こうの方、なんだか少し明るくないデスか?」

 

調「本当だ」

 

クリス「よし、とりあえず行ってみるか」

 

 クリス達は明るい方へ進んだ。

 

 

 

竜宮城

 

 一方、響達は…。

 

魚人兵長「言っただろう?時間を止めたのはオマエの願いだ。『ナツヤスミノシュクダイ』から逃げたいという、オマエの望みに玉手箱が反応したのだ!」

 

響「……災厄が、そんな恐ろしいものだったなんて……」

 

未来「響…?」

 

響「あああああ…最恐すぎるよ…。ごめん未来、私、もうダメかも……知れない」

 

未来「響!?ねえ、しっかりして!」

 

響「災厄……確かに恐ろしすぎるよ……」

 

魚人兵長「ふはははっ、だから言ったのだ!開けられるものなら開けてみろと!思った通りだ!災厄を知った今、もうオマエは立ち上がれまい!玉手箱は二度と開かない!これで我らを封じ込める者は」

 

 そんな中、魚人兵長はクリシュナの持つ槍に驚いた。

 

魚人兵長「そ、その槍は……クリュサオルの!」

 

クリシュナ「お前達を封じ込めたのはポセイドン様のようだ。それに…封じ込められなければ、箱を壊すか、魚人を全て倒すまでだ!」

 

魚人兵長「誤算だった…。ポセイドンめ、海将軍を我らに差し向けるとは…!」

 

クリシュナ「(奴等、俺が海将軍だと気付くのが遅いな…)」

 

 そこへ、クリス達が来た。

 

クリス「おい、大丈夫か!」

 

切歌「助けに来たデス!」

 

調「3人とも、無事ですか?」

 

クリシュナ「俺と未来はな。だが、響がどうしようもなくなってしまった」

 

クリス「……ん?どこも怪我はないように見えるけどな……」

 

切歌「きっと精神的な攻撃を受けたんデスよ。幻魔拳とか、物理より厄介な攻撃デス!」

 

調「うん、何か大きなショックを受けたみたい……」

 

魚人兵長「新手か。だが遅かったな!既にその者の心は折られた!」

 

クリス「おい、こいつに何をした!?」

 

魚人兵長「何かしたわけではない。勝手に屈服したのだ。最恐の災厄『ナツヤスミノシュクダイ』になあ!」

 

切歌「デデデデース!」

 

調「夏休みの……宿題!?」

 

クリス「何の冗談だよ!」

 

未来「それが、冗談じゃないの!あのね」

 

 未来は事情を話した。

 

未来「って事があったの。つまり時間のループの原因は」

 

クリス「こいつが夏休みの宿題をやりたくないからって事か……」

 

切歌「まさかの原因デース…」

 

調「事実は小説よりも奇なりだね……」

 

クリス「……バカかっ!」

 

未来「もう、そんな事言わないの。響だって真剣なんだから」

 

クリス「はあ……もういい。とにかくその箱をぶっ壊せばいいんだろ!」

 

切歌「派手に行くデース!」

 

調「うん!」

 

魚人兵長「待て!無理に壊せば何が起きるか」

 

クリシュナ「お前達は箱を持って連れてここから逃げろ!奴等は俺が全員倒す!」

 

未来「クリシュナさん…」

 

クリス「頼んだぞ、クリシュナ!」

 

 この場をクリシュナに任せ、未来達はその場から離脱した。

 

魚人兵長「おのれ…、海将軍め…!」

 

クリシュナ「ここから先を通りたければ、俺を倒す事だな。行くぞ!」

 

 魚人たちにクリシュナは向かっていった。

 

 

 

砂浜

 

 クリシュナが魚人たちを足止めしてくれた事で、未来達は何事もなく洞窟から出られた。

 

切歌「出られたデス!ってもう暗くなる寸前デスよ!?」

 

調「確か、次の日になったら私達の記憶はリセットされちゃうって」

 

切歌「タイムリミットは、0時って事デスか?」

 

未来「多分、そうだと思う…。私と響とクリシュナさん以外はみんな今日の事も忘れてしまって……」

 

切歌「せっかく色々あった1日なのに、忘れるなんてもったいないデス!」

 

調「思い出は大事」

 

クリス「クリシュナのお陰で何とか出られたが……」

 

響「うー、どうすればいいのー!」

 

クリス「何とかのそのバカを説得しないと、明日は来ないぞ」

 

未来「でも、どうすれば…」

 

切歌「宿題を克服させる必要があるデース……」

 

調「今までにない強敵……」

 

クリス「……一部の奴にとってだけだけどな」

 

 そこへ、今度は海から魚人の親玉達が現れた。

 

魚人兵長「見つけたぞ…!」

 

クリス「ちっ、来やがった…」

 

魚人兵長「逃がさん、同胞達よ!」

 

 大勢の魚人が現れた。

 

クリス「なんて数だ!?」

 

切歌「完全に囲まれたデス!」

 

魚人兵長「追い詰めたぞ!もう我々から逃げられんぞ!」

 

響「ど、どうしよう!」

 

未来「響!宿題なんて少しずつやって終わらせればいいじゃない!」

 

切歌「それができれば苦労はないんデスよ……」

 

調「……」

 

クリス「あああっ!お前ら状況わかってんのか!周りを見ろ!魚人に囲まれてるんだぞ!」

 

魚人兵長「さあ、大人しくその玉手箱を渡してもらおう。『ナツヤスミノシュクダイ』が解き放たれてもいいのか?」

 

響「やっぱり私には、夏休みの宿題を乗り越える事なんてできないのかも……」

 

クリス「そんな難しい事か?真面目にこつこつやればいいだろ!」

 

響「それができないから困ってるんだよ……」

 

クリス「何がわからないんだ?」

 

響「わからないところがどこかすら、わからないんだよ!」

 

クリス「な……んだと!?」

 

切歌「……実感のこもった言葉デス。宿題と長く向き合ってきた者の重みがあるデス」

 

クリス「アホか!?いやアホだろ!」

 

響「無理、だよ……」

 

未来「響……お願い、もう少しだけ勇気を出して!」

 

響「無理だよ…未来。宿題は……宿題だけは、この拳じゃどうにもならないんだよ!」

 

未来「ううん、そんな事ない。怖がらないで?私も一緒に、いてあげるから……」

 

響「未来…?」

 

未来「私ね、響の宿題手伝うの、好きだよ。昔からずっと。衣装賢明に机に向かう響を見ながら、一緒に悩んで答えを出して……それだって大切な夏の思い出なんだよ?だから…今年も一緒に頑張ろう?2人で今年の夏も乗り越えよう?」

 

響「未来……も、もしかしてノートを写させてくれたり」

 

未来「それはダメ。それじゃ身に付かないでしょ?」

 

響「だよねー…」

 

魚人兵長「何を言っているのかよくわからないが、望みは絶たれたようだな……さあ、玉手箱を」

 

???「立花響よ、もう一度私に謝ったその勇気を見せてみろ!」

 

 突如、三又の槍を持った鎧の青年が声をかけた。

 

クリス「だ、誰だ!?」

 

ポセイドン「我が名はポセイドン!」

 

魚人兵長「ポ、ポセイドンだと!?」

 

響「ポセイドンさんって、こんな姿だったんですか!?」

 

ポセイドン「違うな。私が降臨する際、ソロ家の人間は私の肉体となる役割を与えられている。今の私の肉体となっているのが、当代のソロ家当主、ジュリアン・ソロだ」

 

魚人兵長「き、貴様!なぜ深い眠りについていたのに起きた!?」

 

ポセイドン「先の騒動で眠りがまだ浅かった上、魚人が解放されたのを感知し、再び起きてちょうど近くにいたジュリアンに宿り、繰り返される時の中でこの時を待っていたのだ」

 

魚人兵長「くぅぅ……」

 

 ポセイドンの出現で魚人たちは慌てふためいていた。

 

未来「響……聞いて?宿題なんかに負けちゃダメ。自分でやってこそなんだよ?」

 

響「自分で…?」

 

未来「そう……今までだってやれたじゃない。だからきっと大丈夫」

 

響「やれる…のかな?本当に、こんな私でも」

 

未来「うん、絶対。だって、私の…私の大好きな響は、宿題なんかに負けたりなんてしない!だから宿題を終わらせて……一緒に花火を見よう、響!」

 

響「未来……ありがとう…」

 

魚人兵長「なっ…立ち上がるのか!恐怖を克服したというのか!?」

 

響「私、ずっと悩んでたんだ……。宿題もだけど、それで毎回未来に迷惑をかけるのが。だけど」

 

クリス「わかってるなら、少しずつやれば」

 

切歌「クリス先輩、静かに。ここは見守る空気デスよ」

 

 調とポセイドンも黙って見ていた。

 

響「未来はやっぱり私の陽だまりだ。未来が私を信じて(手伝ってくれる)なら、まだやれる…頑張れる!宿題だって、解いてみせる!」

 

未来「響……うん!」

 

 すると、玉手箱に変化が起こった。

 

未来「!?え、これ、玉手箱が…!?」

 

魚人兵長「くっ!?その意志に反応したというのか!?これでは玉手箱が!かくなる上は、力づくで止めさせてもらう!」

 

 魚人の親玉は巨大化した。

 

切歌「デェェェェス!?ピンチに巨大化ってどこの特撮怪人デスか!?」

 

調「どうしよう……巨大ロボットがないと戦えない……」

 

ポセイドン「うろたえるな、装者共!」

 

 そう言ってポセイドンは装者達を吹っ飛ばした。

 

クリス「いきなり何しやがる!」

 

ポセイドン「お前達は力を合わせて今までの危機を乗り越えられてきたはずだ。今回だって乗り越えられる!」

 

切歌「力を…そうデス!みんなのギアの力を合わせて…変形合体デス!」

 

クリス「それはまたの機会に残しとけ!今は真面目にこいつをどうにかしないと」

 

???「その巨大魚人は響と未来に任せろ!」

 

 遅れてクリシュナも来た。

 

響「クリシュナさん!」

 

クリシュナ「俺を襲った魚人は全滅させた。雑魚は俺達に任せろ!」

 

未来「あれは私達が乗り越えないといけないものだから……」

 

魚人兵長「たった2人で我に挑むつもりか?真の姿となった我を相手に……」

 

響「私はもう迷わない。立ち止まらない。未来と一緒に…明日へ進むんだ!こうして隣で未来が私の手を握ってくれていれば、宿題だって何だって、乗り越えてみせる!」

 

未来「そうだよ、響!響ならできる!私はいつだって、響と一緒だよ!」

 

響「うん、行こう!未来!私達の明日へ!」

 

魚人兵長「ええい、ポセイドンまで現れてはもうヤケだ!我が同胞達の悲願のために!」

 

 クリシュナだけでなく、ポセイドンまで出た事で魚人たちはヤケになって襲ってきた。

 

切歌「魚人に余裕がなくなったデス!」

 

クリス「よっぽどポセイドンが怖いみたいだな!」

 

調「そうですね」

 

ポセイドン「では、魚人達に我が鉄槌を下すとしよう!」

 

 響と未来は魚人の親玉と戦い、残りの面々は魚人たちと戦った。クリス達の方はクリシュナとポセイドンがいた事もあり、魚人たちは一瞬のうちに全滅した。

 

魚人兵長「わ、わが同胞達が……」

 

響「よそ見してる場合じゃないよ!」

 

未来「士気が落ちたから、チャンス!」

 

 魚人の親玉は粘っていたものの、ポセイドンの力を再び目の当たりにし、士気が低下したその隙を突かれ、響と未来の同時攻撃に倒されてしまった。

 

魚人兵長「わ、我が負けるとは……」

 

ポセイドン「さあ、その箱を開けて再び魚人を封じ込めるのだ!」

 

響と未来「はい!」

 

 2人は玉手箱を開けた。

 

魚人兵長「ぐぎゃあああっ!わ、我らの悲願がぁああああっ!!」

 

 玉手箱が開いた事で、魚人たちは再び封じられた。

 

ポセイドン「さて、度々開けられては眠りの邪魔になるから、人の手の届かぬ深海へ放り込むぞ」

 

 そのままポセイドンは玉手箱を世界で最も深い日本海溝へ飛ばしたのであった。

 

クリス「やっと、終わった……」

 

切歌「最期まで疲れさせられたデース……」

 

調「でも、これで解決ですね。……あ、日付が変わりました」

 

ポセイドン「これで明日を取り戻す事ができた。騒動が終わったから、私は眠りにつくとしよう。クリシュナよ、ジュリアンを泊まっている宿へ運ぶのだ」

 

クリシュナ「はっ!それとポセイドン様、浦島伝説にあった皇子と姫についてですが…」

 

ポセイドン「皇子は生まれ変わったが、姫については既に私が気まぐれで外の世界へ出した。今頃は、皇子の生まれ変わりと一緒に過ごしているのだろう。では、私は眠りにつくぞ」

 

 そう言ってポセイドンの魂は眠るために海底神殿へ行き、ポセイドンが抜けたジュリアンは気を失って倒れたのであった。その後の響と未来の様子をクリス達は見ていた。

 

調「じー……」

 

クリス「なあ……今回一番苦労したのってあいつらじゃなくて、もしかしてあたしらなんじゃないか?」

 

切歌「なんか、疲れが増してきたデス……」

 

響「これで明日が戻ったね、未来!」

 

未来「うん。でも、私が正式な装者になってなかったら、玉手箱は開かなかったかも知れない……」

 

響「へ?どうして?」

 

未来「正式な装者じゃなかったら、海外任務へ行けなかったし……」

 

響「確かに、そうだね。そこは沙織さんに感謝しないと」

 

未来「うん!それと、このまま少し歩かない?2人で海を見ながらとか」

 

響「いいね!それじゃあ、手を繋いで行こう」

 

 2人の様子をクリス達は見ていた。

 

切歌「既に2人の世界に入りっぱなしデース……」

 

響「ん?あれ?どうしたのクリスちゃん、そんな怖い顔して」

 

クリス「……お前ら、マジで大概にしろ!!」

 

 

 

 

 そして海外任務が終わり、花火大会当日になった。

 

翼「まさか、ポセイドンまで起きてしまう事態になったとは……」

 

未来「魚人の事でいちいち起きてられないという事で、ポセイドンは玉手箱を深海に放り込んだそうです」

 

マリア「ポセイドンは寝るのが好きだから、起こされるがとても嫌なのね」

 

響「そう言えば、浦島伝説のお姫様って、あの玉手箱の中にいなかったね」

 

クリス「ポセイドンが言ってなかったか?気まぐれで外に出したって」

 

未来「そもそも、そのお姫様ってどんな人だったのかな?」

 

切歌「美人に決まってるデス!」

 

調「会ってみたかった…」

 

響「花火はほんと、最高だね!」

 

未来「うん!」

 

響「(ポセイドンさんが身体として使っていたジュリアンって人、今頃向こうではどうしてるのかな?)」

 

 

 

豪華客船

 

 その頃、ジュリアンは仕事中だった。

 

テティス「お茶が入りましたよ、ジュリアン」

 

ジュリアン「ありがとう。君が支えてくれるお陰で仕事がはかどるよ」

 

 ジュリアンはふと、テティスを見た。

 

テティス「どうされましたか?」

 

ジュリアン「いや、君とは最初に会った時でさえ、初め会った気がしなかったんだ。それに、あの島で過ごした時にある日の記憶が全くない。どうしてなのかな?」

 

テティス「きっと、気のせいですよ。ジュリアン、私はあなたの秘書として、ずっと尽くす意気込みです」

 

ジュリアン「君のような容姿端麗で仕事も早い秘書に出会えて、光栄だよ」

 

 ジュリアンはテティスと共に海を眺めた。

 

テティス「(私を箱から出してくれてありがとうございます、ポセイドン様。私は皇子の生まれ変わりであり、ポセイドン様の器でもあるジュリアンに出会えて幸せです。これからも、ずっとジュリアンに付き添い、支えていきます)」

 

 気まぐれとはいえ、箱から出してくれたポセイドンにテティスは感謝し、かつて恋した皇子の生まれ変わりのジュリアンと共に過ごしていたのであった。 




これで今回の話は終わりです。
今回は切歌と調が水着型ギアを発現させたのと、再びポセイドンが起きた上、魚人たちとの決着を描きました。
XD本編では未来も玉手箱が開かない原因を作っていましたが、今小説では沙織の配慮によって世界に響く平和の歌編で未来は正式な装者に登録されたため、開かない原因を作っていたのは響だけになりました。
また、アニメ版のテティスは本物の人魚であった事と浦島伝説の姫と皇子が玉手箱から出ていた描写がなかったため、ヴァルキリーズ・サマーと今回のエンドレスサマーの舞台となった世界のテティスが浦島伝説の姫本人、ジュリアンが皇子の生まれ変わりとしました。
これでエンドレス・サマー編は終わり、次は調べ歌う二重唱編となります。マジックランプドリーム編は話の内容的にAXZ編の後でも問題ないと判断したため、AXZ編の後でやります。
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