セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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92話 本部からの脱出

工場地帯

 

 装者達とロボは戦いを繰り広げていた。

 

クリス「くらいやがれー!」

 

切歌ロボ?「回避デース!」

 

 クリスは銃弾を放ったが、あっさりとかわされた。

 

クリス「な……かわされた!?気をつけろ。こいつら、見た目の割にすばしっこいぞ」

 

翼「しかも2体だけでなく大量にいたとはな。動きを止める!はあーーっ!」

 

調ロボ?「当たらない」

 

 翼の攻撃もかわされた。

 

翼「なに、これもかわすだと?」

 

未来「だったら!」

 

 次は未来が扇からビームを放ったが、これもかわされてしまった。

 

未来「そんな…!」

 

翼「(何だ、この違和感は。単に素早いというだけではない。まるで、こちらの手の内が読まれているような……?)これは予想外に手古摺りそうだぞ」

 

マリア「……ダメ。ダメだわ。こんなの絶対に無理よ!」

 

翼「どうしたんだ?」

 

マリア「だって、だって……見た目があまりにも可愛すぎて……。攻撃するのを躊躇ってしまうわ!」

 

翼「……マリア?」

 

響「うんうん、わかる。わかりますよ、その気持ち!こんな可愛いのを倒すだなんて……。そんな事できませんよ!」

 

セレナ「私もです…。月読さんと暁さんに似てて攻撃できません…」

 

クリス「3人とも戦闘中にいい加減にしりよ……な!!」

 

 今度は逃げ場をなくす形で撃ちまくり、ようやく攻撃がロボに当たった。

 

切歌ロボ?「あうっ!」

 

 攻撃が当たった切歌ロボは機能を停止した。

 

クリス「っと。やっと当たったか!」

 

翼「なるほど、多少機敏とはいえ、小柄な体躯だ。移動範囲は限られる、か」

 

未来「だったら、広範囲で攻撃するだけよ!」

 

 翼は千ノ落涙を、未来は混沌を放ち、広範囲攻撃はきちんとロボに当たった。

 

調ロボ?「くーっ!?」

 

切歌ロボ?「やられたデース……」

 

響「うう……声まで調ちゃん達にそっくりで気が滅入るなあ……」

 

セレナ「私もそう思います……」

 

マリア「あなた達、よく割り切れるわね……」

 

翼「心苦しくはあるが、戦場で躊躇するわけにはいくまい」

 

クリス「ああ。なにも、本物ってわけじゃないからな。攻撃して来るなら、こっちも容赦しないだけだ」

 

未来「だから、響もマリアさんもセレナちゃんも躊躇しちゃダメだよ」

 

響「3人とも、ドライ……」

 

未来「(とは言ったけど、流石に響のロボが出てくるわけ…ないよね)」

 

 調ロボと切歌ロボには攻撃できても、響のロボが出たら躊躇ってしまうかも知れないと思った未来であった。

 

翼「無駄話は後だ。連中、崇にかかってくるつもりだぞ」

 

クリス「ぼさっとすんな。やらなきゃこっちがやられるだけだぞ」

 

セレナ「ごめんなさい、月読さんに暁さん……」

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 弦十郎達はロボット達から逃げていた。

 

朔也「ダメです。ロボット達に追いつかれます!」

 

あおい「聖闘士は瞬君しかいない状況であれだけ大量のロボットが一気に攻め込んでくると、どうにも……」

 

弦十郎「止むを得ん……、総員撤退だ」

 

朔也「ここを放棄するんですか?潜水艦ごと?」

 

弦十郎「メインコンピュータの制御を奪われた以上、留まり続けても敵の体内にいるようなものだ」

 

あおい「確かに、現状打つ手がありませんね……」

 

弦十郎「そういう事だ。今後のために最低限の装備とバックアップデータを持ち出す準備を進めてくれ」

 

朔也「……了解。ただちにかかります」

 

エルフナイン「僕もお手伝いします」

 

瞬「司令、僕はギャラルホルンの確保に行ってきます。万一、あれが敵に悪用されるのだけは阻止したいので」

 

弦十郎「わかった。確保してから合流した後、瞬は隊員達の防衛をしてくれ。友里は総員撤退命令をみんなに伝えてくれ。メインコンピュータの電源喪失時を想定した、独立系統の非常用回線があるはずだ」

 

あおい「…承知しました」

 

弦十郎「その間、調君と切歌君は限定攻勢に出てくれ」

 

調「限定攻勢、ですか」

 

弦十郎「ああ。敵の撃退と、避難する職員の安全確保を頼む。ギャラルホルンの確保ができ次第、瞬も合流する」

 

切歌「あれと、戦わなくちゃいけないんデスね……」

 

調「うん……」

 

弦十郎「できないか?」

 

切歌「……いや、やるデス!あれは、聖遺物が作り出した偽物デスよ!」

 

調「うん。切ちゃんロボは切ちゃんからのプレゼント。戦うための兵隊として使うなんて許せない」

 

弦十郎「ああ、頼んだぞ。瞬の方もギャラルホルンが確保できたら、すぐに隊員の誰かに渡して合流するんだ」

 

瞬「はい!」

 

 直ちに瞬はギャラルホルンの確保へ向かった。

 

弦十郎「2人が対応できない分は、俺が何とかする。幸い、相手はノイズではないようだからな」

 

切歌「それは頼もしいデス!」

 

調「お願いします」

 

弦十郎「ただし、深追いは禁物だ。自分の身を護る事を最優先に考えてくれ。頼んだぞ」

 

切歌「了解デース」

 

調「行ってきます」

 

 2人は進んでいると、何かの音が聞こえてきた。

 

調「切ちゃん、通路の先から機会の音がするよ」

 

切歌「いた……。見つけたデスよ、ロボ達!」

 

 そこには偽切歌ロボと偽調ロボがいた上、S.O.N.Gの職員達を襲っていた。

 

偽調ロボ「人間発見、人間発見!」

 

偽切歌ロボ「サーチ・アンド・デストローイ!」

 

S.O.N.G職員「うわあっ!?囲まれた!」

 

切歌「職員の人達が襲われてるデス!」

 

調「危ない!」

 

切歌「ちょっと待ったーデス!」

 

偽切歌ロボ「誰デース?」

 

切歌「本物様のご登場デスよ!」

 

調「皆さん、今のうちに外へ」

 

切歌「ここはあたし達に任せるデス」

 

S.O.N.G職員「す、すまない…」

 

 すぐにS.O.N.Gの職員は離脱したのであった。

 

調「もう少し遅かったら、危なかったね」

 

切歌「デスけど……こ、これは何たる光景デスか」

 

調「え?」

 

 切歌の反応の原因は、調ロボがたくさんいたからであった。

 

切歌「だって調ロボがいっぱいデスよ?夢のような光景デス!ああ……、このままダイブして調の海に溺れたいデス……」

 

調「切ちゃん、しっかりして!」

 

切歌「はっ、いけない。調の甘美な誘惑に負けるところだったデス」

 

調「誘惑してない、むしろ殺気立ってる」

 

偽調ロボ「人間は全部料理しなきゃ」

 

偽切歌ロボ「微塵切りデース!」

 

切歌「確かに、物騒な事ばかり言ってるデスね……」

 

 本人達も物騒な事を言っているのだが、自覚はなかった。

 

調「人間を襲うなんて……。この子達、やっぱり偽者だよ。あの子達だったら、絶対そんな事しないもの」

 

切歌「確かに、あたしの知ってるロボ達とどこか雰囲気が違うデス」

 

偽切歌ロボ「ユー、マスト・ダーイ!」

 

切歌「こっちも行くデス!偽ロボ、覚悟するデス!」

 

 早速、切歌はギアを纏った。

 

切歌「本家に勝てると思ったら大間違いデスよ!全部まとめてデストローイ!」

 

 相方の調もギアを纏った。

 

調「背中は私に任せて、切ちゃんは前の方をお願い」

 

切歌「了解デス!ドンと任せるデス!」

 

 

 

工場地帯

 

 一方、響達の方はようやくロボ達を全滅させたのだった。

 

クリス「やれやれ……。オモチャの癖に嫌にしぶとかったな」

 

マリア「苦戦したのは、見た目が可愛いせいもあるけどね」

 

セレナ「なんだか、とても心が痛みます……」

 

クリス「似てるっつったって外観だけだ。そんなの気にしても仕方ないだろ」

 

翼「似ているのは見た目だけ、か。果たして、そうだろうか…?」

 

未来「翼さん?どういう意味ですか?」

 

翼「まるでこちらの手の内を知っているような…。そんな感覚にしばしば襲われてな」

 

響「確かに、こちらの動きを先回りされてた気がします」

 

マリア「でも、いくらロボットだからって、思考を読める機能なんてないはずだわ」

 

セレナ「どうしてなんでしょうか…?」

 

翼「わからない…。ただの杞憂であればいいのだが」

 

クリス「それよか、終わったから撤収だろ」

 

セレナ「そうですね。でも、撤収の指示が来ませんよ」

 

未来「そういえば、途中から通信が入ってきていない…」

 

翼「確かに、そうだな…」

 

 装者の方から通信を入れたが、繋がらなかった。

 

翼「ダメだ、繋がらない」

 

マリア「通信障害か妨害電波のたぐいかしら……」

 

翼「わからない…」

 

 困っている時に通信が入った。

 

翼「いや、待て。別のチャンネルからのコールだ」

 

弦十郎『お前達、聞こえるか?』

 

翼「はい、明瞭とはいいがたいですが、何とか」

 

弦十郎『非常用回線から発信しちえる。長くは保たないかも知れん』

 

翼「非常用回線?何かあったんですか?」

 

弦十郎『本部内に調君、切歌君のロボットが大量発生し、襲撃を受けている』

 

翼「なっ!?」

 

弦十郎『メインコンピュータも敵の手に落ち、今や基地機能は完全に消失した』

 

クリス「おいおい、マジかよ!?大丈夫なのか?」

 

弦十郎『先程総員に撤収命令を下したところだ。お前達も至急帰還し脱出を支援してくれ』

 

翼「了解しました」

 

弦十郎『くっ、奴等め、来たか!』

 

 突如として通信が途切れた。

 

翼「司令?司令、応答願います!」

 

マリア「かなり差し迫った状況のようね」

 

セレナ「大丈夫でしょうか?」

 

響「大丈夫だよ、セレナちゃん。師匠はとっても強いし、瞬さんもいるからへいき、へっちゃらだよ」

 

未来「急いで戻ろう!」

 

 一同は急いだのであった。

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 切歌と調はロボ達を蹴散らしていた。

 

偽切歌ロボ「残念無念デース!」

 

切歌「自分の格好した相手を斬り続けるって、かなり精神にくるデスね」

 

調「でも、倒さないわけにはいかない…」

 

切歌「それにしても、なんでロボがこんなたくさんいるデスか?」

 

調「エルフナインが作ったのは2体だけだから、どこかでコピーしたんだと思う。コピーされたという事は、私達のロボもきっと敵側に……」

 

切歌「そんな……!いくらあたし達のロボがデザイン・機能ともに秀逸だからって、許せないデスよ。絶対見つけ出して、取り戻してやるデス!」

 

 一方、瞬はネビュラチェーンで次々とロボ達を蹴散らしていた。

 

瞬「ネビュラチェーン!」

 

偽調ロボ「くーっ!」

 

偽切歌ロボ「やられたデース……」

 

 ネビュラチェーンの前にはロボ達はどうにもならず、次々とロボ達は倒されていった。隔壁などの基地の機能さえも瞬の敵ではなかった。

 

瞬「簡単に倒せるけど敵は多いし、メインコンピュータをハッキングされたせいで基地の機能が全部敵に回ってる。聖遺物保管庫は……」

 

 ロボをチェーンで蹴散らし、隔壁を始めとした基地機能さえも素手で突破して瞬は聖遺物保管庫へ来た。

 

瞬「あった、ギャラルホルン!」

 

 瞬はギャラルホルンを確保し、連絡を入れた。

 

瞬「ギャラルホルンを確保しました!直ちに合流します!」

 

 一方、切歌と調は瞬と違って隔壁を壊せないため、隔壁に苦戦していた。

 

調「この先のはずなのに……」

 

切歌「ここも隔壁を塞がれたデスか?」

 

調「どうしたら…」

 

???「おおおおーっ!」

 

 そんな時、隔壁が壊された。

 

切歌「ななななななんデスとーっ!?」

 

調「隔壁が粉々に?」

 

 出てきたのは弦十郎だった。

 

弦十郎「ああ、お前達か。大丈夫か?」

 

切歌「ビックリしすぎて心臓飛び出るかと思ったデス!」

 

弦十郎「それはすまなかったな。うっ……」

 

 しかし、弦十郎は何やら傷を負っていたようであった。

 

切歌「司令、怪我してるデスか?」

 

弦十郎「連中が途中から非戦闘員を狙ってきたな。なかなか知恵が回るというか、姑息な手を使う」

 

調「それで、他の人を庇って……」

 

弦十郎「話は全員で脱出してからだ。行くぞ!」

 

切歌「了解デス!」

 

 進んだ先にはロボの残骸がたくさんあった。

 

切歌「……ロボの残骸でいっぱいデス」

 

調「これを司令1人で?」

 

切歌「(やっぱりこの人化け物デス……)」

 

調「(そして、司令よりも更に強い星矢さん達は途方もない化け物という事になる…)爆発した跡もあるみたい」

 

弦十郎「ああ。奴等は、自爆特攻も辞さん。気を付けろ」

 

切歌「それはエグイデスね…」

 

調「他の人達は?」

 

弦十郎「藤尭と友里に先導させて脱出させたところだ」

 

 その時、隔壁が破壊される音がした。

 

切歌「隔壁が壊される音がしたデス!」

 

調「司令以外で隔壁を壊せるのは……」

 

 来たのは瞬であった。

 

瞬「遅くなってごめん!」

 

弦十郎「瞬、ギャラルホルンは確保できたのか?」

 

瞬「はい。朔也さんとあおいさんに預けて、切歌と調と司令を探しに行ってました」

 

弦十郎「瞬が来てくれると心強いな!」

 

 今度はエルフナインが来た。

 

エルフナイン「みなさん、ご無事でしたか!」

 

調「エルフナイン…」

 

切歌「まだ残ってたんデスか!?エルフナインも無事でよかったデス!」

 

エルフナイン「研究データが多く、なかなか回収が終わらなくて……。でも、もう大丈夫です」

 

弦十郎「よし、では我々も脱出するとしよう」

 

 今度は脱出するために向かった。敵は退路を断ってきたが、瞬が壊してくれるお陰で遠回りせずに済んだのであった。

 

弦十郎「済まないな、瞬。俺が本調子なら粉砕したのだが、今回は拳を使うのを好まないお前にその役をやらせなくてはならなくなって」

 

瞬「相手が機械なので、今回は大丈夫です。それよりも司令、基地を脱出した後はその怪我をパルティータさんに診てもらってください」

 

弦十郎「医者志願の瞬が言うのであれば、それもそうだな…。それに、脱出したら沙織お嬢様に連絡を入れなければならない」

 

 話をしてると、ロボ達が集まってきた。

 

偽調ロボ「逃がさない」

 

調「後ろから偽ロボ達が!」

 

瞬「ネビュラチェーン!」

 

 ロボを蹴散らしたが、湧き水のようにロボ達は出てくる一方であった。

 

切歌「しつこい奴等デス!」

 

エルフナイン「この中で隔壁を壊せるのは瞬さんしかいません!瞬さんが足止めされているこの状況はどうすれば…」

 

偽切歌ロボ「デッドエンドデース!」

 

 1体の偽切歌ロボが襲い掛かったが…。

 

???「危ない!」

 

 他のロボとは様子が違う調ロボがその攻撃を防御した。

 

偽切歌ロボ「ナンデストー!」

 

切歌「何が起こったデスか?」

 

調「調ロボの1体が、切ちゃんロボの攻撃を身体で止めた!?」

 

切歌「どういう事デス?」

 

???「みんな、大丈夫デスか?」

 

 今度は他と様子が違う切歌ロボまで現れた。

 

切歌ロボ「こっちに脱出路があるデス!案内するデス」

 

弦十郎「なぜ、ロボットが我々の味方を!?」

 

エルフナイン「わかりません。罠の可能性も……」

 

瞬「罠ではないでしょう。チェーンがあのロボには反応しないのですから」

 

 味方してくれたロボにはチェーンが反応しなかった。

 

切歌「罠じゃないデス」

 

調「うん。瞬さんのチェーンが反応しないし、あの子達は本物の私達のロボだから!」

 

弦十郎「どうして本物だとわかる?瞬のチェーンのお陰か?」

 

切歌「そんなの、チェーンの反応以前に勘デスよ」

 

調「ずっと一緒にいたから」

 

エルフナイン「しかし、本物だとしても聖遺物に乗っ取られている可能性も……」

 

弦十郎「……いや、ここは2人の勘と瞬のチェーンの反応に賭けてみよう。今は助けを借りなければ危険な状況だ」

 

切歌「案内をよろしく頼むデース!」

 

切歌ロボ「了解デス。フォローミーデース!」

 

 そこへ、通信が入った。

 

あおい『瞬君、ロボット達が迫っているわ!すぐに来て!』

 

瞬「わかりました!では司令、あおいさん達の方へ行ってきます!」

 

 瞬はあおいと朔也達の方へ再び向かい、切歌ロボと調ロボの案内に従い、一同は進んだ。

 

調ロボ「この先に外への扉がある」

 

切歌「助かったデス」

 

弦十郎「確かに非常脱出口へ向かってるようだな」

 

 ところが、偽ロボ達が出てきた。

 

偽切歌ロボ「待つデス!逃がさないデース!」

 

エルフナイン「後ろから偽ロボット達がまだ追ってきます!」

 

調ロボ「警告。自爆回路の起動を確認」

 

弦十郎「自爆する気か?まずい……!」

 

調「瞬さんがいないから、防ぎ切れない…!」

 

切歌ロボ「みんな、逃げるデース!」

 

 切歌ロボと調ロボは自爆しようとする偽ロボの方へ向かった。

 

調「切ちゃんロボ?何を?」

 

調ロボ「私達の事はいいから、逃げて」

 

切歌「調ロボも?ダメデス、やめるデスよ!」

 

 自爆回路が起動した偽ロボ達はもう自爆しようとしていた。

 

偽切歌ロボ「シャル・ウィ・ダーイ!」

 

切歌ロボ「そうはいかないデス!」

 

調ロボ「みんなを護る」

 

 切歌ロボと調ロボは偽ロボ達の自爆攻撃から一同を庇い、巻き込まれてしまった。

 

調「ああ……」

 

切歌「あたし達の大事なロボ達が……。動かなくなっちゃったデス……」

 

エルフナイン「僕達を庇って……」

 

 そんな中、エンジン音がした。

 

弦十郎「む、この音は……エンジンを始動したか。出航するつもりのようだ。逃げられなくなる前に脱出するぞ」

 

切歌「でも、ロボ達が……」

 

調「切ちゃん……。悲しいけど、行かないと……」

 

 そんな時、鎖が動かなくなった調ロボと切歌ロボに巻き付き、回収してくれた。

 

調「この鎖は…」

 

切歌「瞬デス!」

 

瞬「味方してくれたロボは回収したよ!」

 

エルフナイン「どちらも頭部が無事です。修復できるかも知れません」

 

切歌「本当デスか!?」

 

エルフナイン「絶対とは言えませんが……いえ。この間の約束通り、絶対に直してみせます!」

 

調「ありがとう」

 

瞬「さあ、急いで脱出するよ!脱出していないのは僕達だけだ!」

 

調「うん。脱出したら絶対、直してもらうからね」

 

 一同は本部を脱出したのであった。

 

 

 

ホテル

 

 その頃、沙織が参加している世界各国の首脳を始めとした要人が集まった会議では、開催国の時差により、夕方であった。沙織達は会議の日程が終わり、ホテルにいた。

 

沙織「皆さん、今日一日お疲れ様でした」

 

星矢「沙織さんこそお疲れさん。俺達なんか、特に会議に乱入するような悪党は来なかったぜ」

 

紫龍「まあ、その方がいい事に越した事はない」

 

星矢「会議の議題はやっぱ、パヴァリア光明結社の事か?」

 

沙織「他にも色々ありましたが、それもその一つでした。パヴァリア光明結社の事に関しては米国や中国にロシア、アジア諸国などはどうにかするべきと主張していましたが、やはり暗黒大陸の欧州諸国は排除に消極的でした」

 

紫龍「あそこは錬金術師の巣窟だからな。排除に消極的なのもうなずける」

 

星矢「ま、俺達も沙織さんもゆっくり休んで、次の日の事をやらなきゃな」

 

沙織「はい」

 

 そこへ、慌てた様子の美衣と辰巳が来た。

 

辰巳「お嬢様、大変です!」

 

沙織「2人共、そんなに慌ててどうしましたか?」

 

美衣「不和の林檎と、それによって操られた大量のロボット達によってS.O.N.Gの本部がメインコンピュータごと敵の手に落ちたと先程、風鳴司令から連絡が入りました!」

 

沙織「何ですって!?」

 

星矢「沙織さんの悪い予感が当たったか……!」

 

美衣「それで、S.O.N.Gの仮本部はどこにしますか?」

 

沙織「それでしたら、グラードコロッセオ地下の秘密基地として使っていた場所を使わせてください」

 

美衣「わかりました。では、直ちに伝えます」

 

 美衣は直ちに連絡を入れる事にした。不和の林檎によって人間と機械の争いが始まろうとしていたのであった。




これで今回の話は終わりです。
今回は響達と偽ロボ達、そして切歌と調が大人達と一緒に敵の手に落ちた本部から脱出するのを描きました。
次の話は再び偽ロボ達との戦いとなります。

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