セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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96話 すれ違う心

秘密基地

 

 敵がミサイルを開発しているという事実は響達も衝撃を受けた。

 

響「ミ、ミサイルを造ろうとしているんですか!?」

 

弦十郎「ああ。ロボ達が盗んでいた部品類を精査したところ、その可能性が高い」

 

クリス「自己増殖して世界を征服するのが目的じゃなかったのか?」

 

マリア「そのやり方じゃ、どれだけ時間がかかるかわからないわ」

 

弦十郎「ああ、最初からこちらが本命だったようだな。作られているミサイルは最新型の広範囲兵器だと考えられる。どこに撃ち込まれても、甚大な被害は免れない」

 

セレナ「そんな…」

 

翼「しかし、とんだ隠し球を持っていたものだな」

 

未来「あの…ミサイルの部品はどれくらい集まっているのですか?」

 

あおい「把握しているだけでも、GPS誘導装置やジャイロなど、姿勢制御系のパーツはほぼそろっていると思われます」

 

朔也「筐体やフェアリングは、一定以上の演算力と加工技術があれば作れるでしょうね」

 

エルフナイン「最大の問題はロケットエンジンまわりでしょうか?」

 

あおい「でも、既にシンバルを入手していますし、エンジンも自力でくみ上げる能力がある可能性があります」

 

弦十郎「仮に液体ロケットとするなら燃料は液体酸素と液体水素か…。いずれも工場地帯ならば入手は容易だろうな」

 

エルフナイン「固体ロケットも配合レシピと燃焼データがあれば、低精度のものなら製造可能でしょう。可能性は排除できないかと」

 

弦十郎「ふむ……。念のため、両方の可能性で追っておくべきか」

 

あおい「残りのパーツや燃料類を製造、保管する施設の割り出しを進めます」

 

瞬「どうやら、危ないところまで来てるようですね」

 

朔也「ああ。かなりね」

 

クリス「となると、問題はどこで作られているかだな……」

 

 そこへ、慎次が戻ってきた。

 

慎次「ただいま戻りました」

 

未来「あ、緒川さん」

 

弦十郎「ご苦労。何か収穫はあったか?」

 

慎次「はい。ようやくロボットを量産している工場を特定しました。例のミサイルを製造しているのはまた別の施設のようですが……」

 

セレナ「本当ですか?」

 

慎次「ええ。これまでいくつかのダミー施設もありましたが、今度こそ間違いないでしょう」

 

切歌「お手柄デス!」

 

響「なら、早速潰しに行きましょう!」

 

切歌「デスデス!」

 

弦十郎「うむ……。いや、少し待て」

 

響「えっ?」

 

切歌「どうしてデスか?」

 

弦十郎「計画の本命がミサイルである可能性が高い以上、そちらの組み立て場所を抑える事がより重要だ。迂闊にロボット工場の方を潰した場合、警戒した敵がミサイルをより発見が困難な場所へ移す可能性もある」

 

未来「確かに、ロボット工場を先に潰しちゃうとそうする可能性がありますね」

 

弦十郎「我々が連中の目的に気付いた事は、まだ把握されていないはずだ。この利は活かすべきだろう」

 

クリス「どうやってだ?」

 

弦十郎「我々の捜査目的をロボット工場だと見せかけて、本命のミサイル製造工場の特定を急ぐ」

 

セレナ「気付いてないふりをするんですね」

 

弦十郎「そうだ。ロボット工場を放置する以上、ここからはさらに時間との勝負となる。装者は変わらず偽ロボの撃破。緒川はミサイル製造工場の特定を急いでくれ」

 

慎次「承知しました」

 

弦十郎「藤尭と友里は、潜水艦の行方を重点的に追ってくれ」

 

あおい「はい。引き続き各国の軍事通信網や、偵察衛星の画像解析を進めます」

 

朔也「自分は公的回線や軍事回線への不審な通信アクセス、サーバー攻撃などの形跡から追ってみます」

 

弦十郎「よろしく頼む。では、ひとまず解散としよう」

 

 

 

ホテル

 

 敵の目的が判明したため、瞬とパルティータから星矢達へ連絡が入った。

 

沙織「敵の目的がミサイルの製造だったとは…」

 

瞬『それも、かなり危険なラインまで進んでいるかも知れないというのが、司令達の考えです』

 

美衣「ミサイルが発射された場合、私達聖闘士は耐えられても、護るべき人達が……」

 

星矢「厄介な物を作りやがって……!」

 

パルティータ『それと、厄介な事態が発生したのよ。偽ロボ軍団対抗の中核となっていた切歌と調が喧嘩してしまってね』

 

星矢「あの2人が喧嘩だって?たまには」

 

瞬『だけど、僕やセレナには少しおかしいのではないかと思っているんだ。2人の言い分が食い違っていてね』

 

紫龍「言い分の食い違いか…。妙だな…」

 

沙織「変わった事などがあれば、また連絡をお願いします」

 

瞬『わかりました』

 

 通信が終わった。

 

紫龍「(そもそも、敵は機械であるが故、精密な作戦を立てている。敵が動いたのも、俺達が会議へ行くタイミングを見計らって動き出したのではないのか…?それに、切歌と調の言い分の食い違いももしかすると……)」

 

 

 

秘密基地

 

 マリアとセレナはエルフナインの所にいた。

 

エルフナイン「マリアさん、セレナさん。少し相談が」

 

マリア「あら、どうしたの?」

 

エルフナイン「マリアロボとセレナロボの残骸を使って、アガートラームもメカニカルギアに合体可能だと思うのですが、いかがでしょう?」

 

セレナ「それ、できるのですか!?」

 

エルフナイン「はい。残骸の状態を確認しましたが、合体機構を取り付ける事が可能です。他の装者のロボも見てみましたが、翼ロボとクリスロボは跡形もなく壊されていて、響ロボと未来ロボはエネルギー消耗が激しいので、結果的にこの二機に合体機構を搭載しようと思います」

 

マリア「でも…。あれを纏うというのは…」

 

セレナ「私はとってもいいと思うよ!私モデルのロボはとっても可愛かったし、姉さんモデルのロボもかっこいいから、纏ってもかっこよくなりそう!姉さん、やってみよう!」

 

 ロボとの合体に積極的なセレナは目を輝かせていた。

 

マリア「(セレナが目を輝かせている…。でも……)」

 

エルフナイン「二機のAIはリセットしますから」

 

マリア「……わかったわ」

 

セレナ「これで私達も暁さんと月読さんのようにロボットさんと合体できるね、姉さん!」

 

マリア「え、ええ…。今は星矢達が救援に来れなくて、少しでも戦力増強は必要なところだもの。セレナも喜んでいるから、お願いするわ」

 

 マリアと比べ、セレナはロボと合体できるのがとても嬉しかった。

 

 

 

マンション

 

 その晩、切歌と調は気まずそうにしていた。

 

切歌「……調」

 

調「……切ちゃん」

 

切歌「何デス?調」

 

調「切ちゃんこそ」

 

切歌「その……何でもないデス。調は?」

 

調「……私も何でもない」

 

切歌「ふう……」

 

調「はあ……」

 

 切歌は気まずそうにしていた。

 

切歌「(やっぱり、気まずいデス……。本当は、今までの事を謝って仲直りしたいデスけど、直接口で伝えようとすると失敗しそうデス。言いたい事が言えなくなったり、つい、余計な事を言っちゃったり……どうしればいいデスかね……。)」

 

 そして、切歌はある事が閃いた。

 

切歌「(そうだ!メールで送ればいいデスよ!メールならよーく考えてから送れるから、間違いないデス)えーと、まずはじめは……」

 

 調の方も気まずそうにしていた。

 

調「(はあ……、早く謝らないと。切ちゃんとずっとこんなの、よくないもの。でも、口だと言いにくいし……。そうだ。メールで謝ればいいんだ)切ちゃんへーーと」

 

 調べもまた、メールで謝る事にしたのであった。そして翌日……。

 

切歌「ふわぁ……久々にぐっすり寝られたデス。調、メール読んでくれたデスかね?」

 

 早速、メールを見た。

 

切歌「お。返事が来てるデス!どれどれ…」

 

 そのメールには、とんでもない事が書かれていた。

 

切歌「ななななーーなんデスとおおおっ!!」

 

『切ちゃんは子供みたいに意地張り過ぎ。私がいなきゃ危なかった。助けてほしいならもっとちゃんと謝って。誠意が足りない』

 

切歌「な、なんデス、この言い草は!?あまりにあまりデスよ!!」

 

 一方、調は……。

 

調「ふぁ……。切ちゃん……メール読んでくれたかな」

 

 調もメールを見た。

 

調「あ。お返事来てる。え……何、これ……?」

 

『調がダメダメだから、苦戦したデス。あたしのカバーのお陰なんだから、平身低頭してあたしに謝るデス』

 

調「ひ、ひどい(……?でも、平身低頭って、切ちゃんいつの間にそんな言葉を……)」

 

 2人は仲直りするどころか、喧嘩がエスカレートしていった。

 

切歌「調!」

 

調「切ちゃん!」

 

切歌「いくら何でも酷いデス!あたしは謝ったデス」

 

調「あのメールのどこが謝ってるの?」

 

切歌「心が狭すぎるデス!」

 

調「切ちゃんこそ」

 

切歌「調なんて知らないデス!」

 

調「私こそ、もう知らない!」

 

 その光景をスペックを落として新たに作られた未来ロボが空中に浮かんで見ていた。

 

未来ロボ「仲間割れは成功。次は残り2組を仲間割れさせれば、我らを止められなくなる」

 

 状況を報告し、未来ロボはその場を去って行った。

 

 

 

市街地

 

 喧嘩がエスカレートしたせいで、さらに切歌と調の連携が乱れていた。

 

切歌「さっきから邪魔デス!」

 

調「切ちゃんこそ、攻撃の邪魔……」

 

マリア「2人共、何をやっているの!?」

 

セレナ「今はいがみ合っている時じゃありません!」

 

切歌「だ、だって調が……」

 

調「切ちゃんが……」

 

クリス「そんなのどっちでもいい!真面目に戦う気がないなら邪魔だ、下がってろ!」

 

響「この前はいい感じだったのに、どうしたんだろう……」

 

未来「確かに、2人はどうしたのかな…?」

 

 切歌と調は連係が乱れていたため、マリア姉妹と親友コンビの2組が中心になって偽ロボ軍団を蹴散らしたのであった。

 

響「ふう……。お疲れ様です……」

 

未来「マリアさんとセレナちゃんのメカニカル型ギアの調子はとってもよさそうですね」

 

マリア「ええ、セレナとの連携でさらに戦いやすいわ」

 

セレナ「攻撃力の上昇に加えて行動予測もできるので、さらに助かります」

 

翼「それにしても偽ロボ達、どんどん現れる頻度が上がってきてるな……」

 

クリス「工場を潰してないから、仕方ないだろう」

 

翼「ああ。残りの二組が中心になって戦っているが、早くミサイル工場が見つからないと、ますます厳しくなる」

 

クリス「それはそうと。お前ら、いい加減にしろ」

 

調「クリス先輩……」

 

翼「その通りだ。今は喧嘩などしている場合ではないだろう」

 

セレナ「その通りです。仲良くしましょう」

 

調「別に喧嘩してるわけじゃ……」

 

クリス「それが喧嘩じゃなかったら世の中に喧嘩なんてほとんどないだろ」

 

切歌「あ、あたしは悪くないデスよ。調が先に」

 

調「嘘、切ちゃんが先だよ」

 

切歌「ふんデス!」

 

調「ふんだ」

 

未来「2人共、どうしたのかな……。らしくないよ……」

 

マリア「私とセレナからも言ったんだけど、ずっとこんな調子なの。こんなに長引くのは初めてかも知れないわね(セレナが心配していた事態になってしまったわね…)」

 

調ロボ「切ちゃん……」

 

切歌ロボ「調……」

 

 そこへ、通信が入った。

 

響「本部からだ」

 

あおい『別の市街地にロボの一団が出現しました。至急、そちらへ向かってください』

 

未来「星矢さん達がいないから、休んでいる間もないよ」

 

クリス「やれやれ……」

 

 その後の戦闘が終わり、一同は帰ったのであった。

 

響「さーてと、未来に頼まれたものは全部買ったし、帰ったらおいしいおいしいご飯が待ってるぞ!」

 

 買い物が終わって上機嫌な響だった。そこへ、メールが来た。

 

響「未来からかな……?えええええっ!!?」

 

 メールの内容を見た響は驚いたのであった。

 

 

 

リディアン 寮

 

 そして、響は大急ぎで寮に帰ってき、土下座して謝ったのであった。

 

響「ごめんなさい、未来!!」

 

未来「どうしたの?響」

 

響「私の夏休みの宿題が終わってないのは全部私のせいだって怒ってて、土下座して頭を擦り付けて謝らないと許さないって言ってたから、ごめんなさい!!」

 

未来「えっ?夏休みの宿題についてはともかく、土下座を強要するメールは送ってないよ。それに、そんな謝り方なんて今まで一度も頼んだ事がない」

 

響「ええっ!?どうなってるの!?」

 

未来「後、響から私宛に変なメールが来たんだけど、響にしては難しい言葉を使ってておかしかったから、削除したよ」

 

響「そんなメール、私は送ってないよ!」

 

未来「じゃあ、何なのかな……?」

 

 切歌と調の2人と違い、斜め上をいくバカの響と割と落ち着きのある未来はメールがおかしいと判断したのであった。

 

 

 

市街地

 

 クリスはセレナと共に切歌と調のところに向かっていた。

 

クリス「はあ……、なんであたしがこんな事……。ちょっと気を回し過ぎか?でも、後輩2人のためだ、仕方ねーな」

 

セレナ「私も一緒に行きますね、雪音さん」

 

 

 

マンション

 

 2人は切歌と調のところに来た。

 

調「はい」

 

セレナ「私と雪音さんです」

 

調「セレナ、聞いてるから先輩と一緒に入ってきていいよ」

 

セレナ「それじゃあ、上がります」

 

クリス「邪魔するぞー」

 

 2人は入ってきた。

 

セレナ「ど……どうなってるんですか!?」

 

 そう、部屋の真ん中に線が引かれてあった。

 

クリス「なんで部屋の真ん中に、線が引いてあるんだ?『調の領土』『切歌の領土』?こりゃなんの真似だ!?」

 

切歌「見ての通りデス」

 

調「うん」

 

クリス「わからないから聞いてるんだよ……」

 

切歌「あたし達は戦争中なのデス」

 

調「領土侵犯は重罪」

 

クリス「お前ら、子供かよ!」

 

切歌「子供でもいいデス」

 

クリス「なに開き直ってんだ……」

 

切歌「まあクリス先輩とセレナは中立って事で、どこにいてもらってもいいデスけどね」

 

調「うん。ゆっくりしてください」

 

セレナ「(そんな空気ではゆっくりしてられません…)」

 

 2人がギスギスしていたため、ゆっくりできないクリスとセレナであった。

 

切歌「ちょっと失礼するデス」

 

クリス「ん?どうした?」

 

切歌「おトイレ行ってくるデス」

 

 トイレへ行こうとしたが……。

 

調「領土侵犯だよ」

 

切歌「なっ!?トイレは中立地帯のはずデスよ!」

 

調「トイレの中はそうでも、そこに至る道は私の領土」

 

切歌「そんな、酷いデス!」

 

調「油断した切ちゃんが悪い」

 

切歌「くう……そっちがその気なら…、冷蔵庫はこっちの領土内デス!」

 

調「えっ?」

 

 仕返しと言わんばかりに切歌はアイスなどを食べ始めた。

 

切歌「つまり、ご飯は全部あたしのものデス!……んー、アイスがおいしいデース!さあ、調はどう食材を手に入れるつもりですかね……?」

 

調「兵糧攻めなんてひどい……!」

 

セレナ「2人共……」

 

 そして、クリスは災難に遭ったのであった。

 

クリス「(どうして、こうなった…)」

 

調「クリス先輩、冷蔵庫にあるお茶をください」

 

切歌「クリス先輩、向こうにある漫画の2巻を取ってほしいデス」

 

調「洗濯機から洗濯物を。あ、ついでに洗濯ばさみも」

 

切歌「おトイレまでおぶってくださいデス。空中ならセーフデス」

 

調「テレビのリモコンと、お醤油を」

 

クリス「やってられるかーーーっ!!」

 

 遂にクリスは激怒したのであった。

 

切歌「わあ、先輩がキレたデス!」

 

クリス「これでキレな奴がいるかっ!?」

 

セレナ「2人共、雪音さんをこき使わないでください!」

 

調「だって。領土侵犯するわけにはいかないから」

 

切歌「デスデス」

 

セレナ「あなた達のルールのせいで雪音さんが苦労しているんです!そもそも、雪音さんや私がいなかったらどうするつもりだったのですか!?」

 

 クリスに続き、穏やかなセレナもとうとう怒り出したのであった。

 

切歌「ロボ達がいたら、頼めるデスけど……」

 

調「今、エルフナインのところでメンテナンス中で……」

 

セレナ「もう我慢できません!こんなものは全部なしです!部屋を全部共有してください!」

 

 怒ったセレナ相手にはクリス相手の時よりも切歌と調は反論できず、そのままセレナはクリスと共にテープを剥がした。

 

切歌「あーーっ!テープ剥がしちゃうデスか!?」

 

調「せっかく決めた国境線が……」

 

クリス「なら2人だけで続けるか?トイレ行けなくて漏らしても知らないけどな」

 

切歌「うっ、そ、それは……」

 

クリス「くだらねー意地張ってんな。最近のお前らのせいで周りがどれだけ迷惑してるかわかってるのか?」

 

調「ごめんなさい……」

 

切歌「ごめんなさいデス……」

 

セレナ「最初に謝る相手が違いますよ」

 

調「そ、それは…」

 

切歌「あ、あたしからは謝らないデス!」

 

調「私も」

 

クリス「お前ら……」

 

セレナ「(どうしたのだろう…?いつもならとっても仲良しで、たまに喧嘩してもすぐ仲直りする暁さんと月読さんがこんなに喧嘩をこじらせるなんて…。仲のいい2人は私もマリア姉さんも大好きなのに……)」

 

 

 

市街地

 

 そして帰り、セレナは2人の事が気になっていた。

 

セレナ「(どうしたら、2人を仲直りさせる事ができるんだろう…?)」

 

 そんな時、メールが届いた。

 

セレナ「誰からかな…?」

 

 そのメールに、セレナは驚いたのであった。

 

セレナ「そんな…!」

 

 

 

秘密基地

 

 そして翌日、マリア姉妹コンビと親友コンビは集まっていた。

 

響「ええっ!?マリアさんとセレナちゃんの電話にもおかしなメールが来たんですか!?」

 

マリア「ええ、そうよ。そういうあなた達の所にも変なメールが来たの?」

 

未来「はい。でも、互いにそのメールは書いて送ってないというのがわかったんです。マリアさんの電話に届いた変なメールの内容は何ですか?」

 

マリア「それがね、『姉より優れた妹などいないという世の中なのに、私に才能が劣ってて薬がなければまともにギアを纏えないマリア姉さんは私の姉としても恥そのものよ』ってね」

 

響「そんなメール、セレナちゃんは絶対に書かないのに…」

 

セレナ「はい。私はそんなメールなんて書きませんし、マリア姉さんもそのメールは誰かが私に成りすまして書いた偽物だとわかってくれました」

 

未来「セレナちゃんの方は?」

 

セレナ「私の方は、『あなた、私より才能があるのに戦闘能力が私に劣っているのはどういう事?才能をまともに開花させる事ができないあなたは私の妹として失格よ』って書いてありました」

 

未来「やっぱり、こっちもマリアさんは絶対に書かない内容のメールだ…」

 

セレナ「マムから、成りすましの対処法を教えてもらったので、すぐにマリア姉さんに確認をとって偽物だとわかりました」

 

響「これって…どういう事かな…?」

 

マリア「恐らく、何者かが成りすましで私達を仲違いさせるつもりなのよ。これからは、電話やメールに頼らずに重要な事は直接会話で伝え合いましょう」

 

 切歌と調に続き、自分達の連携までも乱れたら大変な事になると判断し、それを防ぐためにも直接会話で伝えあう事にしたのであった。

 

 

 

 

 その後、偽ロボが出現しために出撃し、全滅させたのであった。

 

マリア「そろそろまずいわね……」

 

響「そうですね…」

 

未来「対ロボット戦で一番活躍していた2人が、ここまで仲違いするなんて……」

 

クリス「残りの二組の頑張りで何とかなってるが、そのうち対応できなくなるぞ」

 

セレナ「向こうも姉さんのロボや私のロボに、性能を落として量産した皆さんのロボットのせいで、全体の連携がうまくなってますから……」

 

翼「方針を変更して、先にロボット工場を叩くか?」

 

未来「でも、それだとミサイル工場の方が見つからなくなるかも知れないんですよね?」

 

クリス「だけど、偽ロボが増えすぎて対応できなくなったらそれこそ本末転倒だろ」

 

響「確かに……」

 

翼「取り逃がすロボが多くなればなる程、ミサイルの部品回収も早まるだろうしな……」

 

マリア「せめてあの2人が仲直りしてくれれば、さらに長く対応できると思うんだけど」

 

セレナ「昨日、雪音さんと一緒に顔を出してきましたが、当分は仲直りできそうにありませんでした…」

 

響「はあ……、どうすればいいんだろう」

 

翼「もう少しだけ様子を見て、限界そうならロボット工場の破壊を優先する事を提案しよう」

 

マリア「それしかなさそうね……」

 

 切歌と調の仲違いは続いていた。

 

切歌ロボ「お願いデス、仲直りしてくださいデス……」

 

調「わかってる、けど…ん…」

 

調ロボ「このままじゃミサイルが完成しちゃう……」

 

切歌「そ、それはダメですけど……。どうしても調が助けてほしいっていうなら、考えてあげても構わないデスよ?」

 

調「それはこっちのセリフ」

 

切歌「あたしは調なんかに力を借りなくても充分戦えるデス!」

 

調「私だって!」

 

切歌ロボ「調……」

 

調ロボ「切ちゃん……」

 

マリア「はあ……これは本格的にダメかも知れないわね……」

 

セレナ「(マムだったら、こんな時、どうしてるかな……?ダメ、ここは私とマリア姉さんが何とかしないと…)」

 

 

 

秘密基地

 

 その後、秘密基地では朗報が入っていた。

 

弦十郎「お前達、これまでよく劣勢に耐えてくれた。調査部の尽力により、遂にミサイル製造工場の特定に成功した」

 

響「緒川さん達、さすがですね!」

 

翼「ああ、そうだな」

 

弦十郎「これより反撃作戦を開始する。抜かりのないよう準備を進めてくれ」

 

未来「了解しました!」

 

マリア「それで、作戦計画はどうなるの?」

 

弦十郎「装者達を2班に分け、夜の闇に紛れて敵拠点を強襲しようと思う」

 

翼「2班に…ですか?」

 

弦十郎「ああ。ミサイルとロボットの製造工場、その2か所を、同時に叩く」

 

翼「なるほど。一網打尽というわけですね」

 

クリス「面白くなってきた」

 

セレナ「あの…班分けはどうしますか?」

 

弦十郎「対ロボ戦を考慮すると、メカニカル型ギアを持つ者を、それぞれの班に配置すべきだろうな。ミサイル製造工場の担当を、調君、切歌君、クリス君、翼。ロボット工場の方をマリア君、セレナ君、響君、未来君。という配置で考えている」

 

切歌「ええっ!調と一緒デスか?」

 

弦十郎「何か問題でもあるのか?」

 

切歌「い、いえ。何でもないデス」

 

弦十郎「恐らく戦力は本命であるミサイル製造工場の方が上だろう。だが、ロボット工場の方にも最初に出た響君ロボや未来君ロボ、桜餅ロボに匹敵する強さを持つ単体のロボがいる可能性もある。ちょうど二班に分けてもメカニカル型ギア装者をどっちの班にも2人ずつ入れられる。つまり、調君、切歌君、マリア君、セレナ君の働きが作戦の要となってくる。くれぐれもよろしく頼む」

 

切歌「は、はいデス!」

 

調「了解しました」

 

クリス「(こっちが本命のミサイル班か。今のままだと厄介だな……)」

 

弦十郎「両拠点を潰す事ができれば、目標は奪われたS,O,N,G本部のみとなる。ここが正念場だ、気合を入れろ!」

 

セレナ「はい!」

 

マリア「さあ、行くわよセレナ!翼、クリスと一緒にあの2人の事を頼むわ」

 

翼「わかった。マリアも気を付けろ」

 

 マリアは妹のセレナと響と未来の親友コンビを連れて、翼はクリスと切歌、調を連れてそれぞれの目的地へ向かったのであった。




これで今回の話は終わりです。
今回は切歌と調の喧嘩がさらにエスカレートするのと、マリア姉妹と親友コンビに謎の偽メールが送られてくるのを描きました。
切歌と調の喧嘩をエスカレートさせた犯人はちょろっとですが、もう出しています。
響に出された偽メールを響が真に受けて未来に土下座して謝るシーンは、響はバカで未来に滅法弱いため、例え偽メールでもこんなのを書かれたら本気でやりそうだと思って加えました。
次はミサイル製造工場とロボット製造工場を同時に潰す事となります。そして、また新しい合体ロボが出てきますが、そのロボットのうちの1体はあるガンダムをモデルにしています。ちなみに、そのガンダムは宇宙世紀のガンダムタイプではないので、どのアナザーガンダムのガンダムがモデルか考えてみてください。

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